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株式会社ANALOG   場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク 
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 2012年記事archive
 首相 野田佳彦→安部晋三

・8月 ロンドンオリンピック

・2月 東京ゲートブリッジ
・4月 新東名高速道路
・4月 ダイバーシティ東京プラザ
・5月 東京スカイツリータウン
・10月 東京駅丸の内駅舎リニューアル
 ・4月 三井アウトレットパーク木更津
・4月 渋谷ヒカリエ
・4月 東急プラザ表参道原宿
・10月 大丸東京店リニューアル
 ・11月 フェスティバルプラザ
 
 12月
■CDショップの進化〜ライブ感にこだわったタワーレコード渋谷店

 カフェの新設とイベントスペースの増設〜リアルの物売りの場は”コト”が差別化のキーに

 一昔前は大型CDショップが商業施設のテナント誘致の時の目玉であった時代がありました。大阪のアメリカ村がメジャーになった原動力は1993年のビッグステップの開店です。
 それに先立つ1990年のタワーレコードの開店も大きな力になりました。

 音楽配信が普及してCDの売上が伸びないといわれています。レンタルで借りてすます人も多くなっています。音質も悪くないですしね。

 世界最大級の品揃えを持つ渋谷のタワーレコードが売場面積を増床し、5,115uの店舗として改装オープンしました。(11月23日)

 改装の目玉は2階の一等地に設置した「タワーレコードカフェ」隣接する「タワーブックス」の本を持ち込んで休憩することも出来ます。「たまり場」づくりが目的だそうです。

 各階にミニライブやイベントの開催が可能な空間を設置し、そのイベントをライブストリーミング番組で配信します。何も買わなくても、まず来てもらえる店づくりを行っています。週に何度も各フロアで演奏やトークイベントを開催するそうです。

 先日梅田で増床オープンした梅田阪急でも「コト」を重視した売場づくりが話題になっています。モノを揃えるだけではお客を呼べなくなっています。続けてイベントを起こしていくのは大変なのですが、何もしないと特にネットとの競争に埋没していくばかりです。

 大型店ばかりで無く、小さな個店でもネットとの競争、安売り店との競争に対して存在感を示すために、イベントやサービス機能を強化する動きが見られます。

 例えば、工房を併設した家具屋さんの事例がこれです・・
http://www.harmonichouse.com/ へのリンク


                                      (2012年12月28日)
■こんなに鉄道が暮らしに密着している都市は世界でも例外的?〜沿線文化の重要性

 海外に比べて高い鉄道シェア

 特に東京都市圏では交通分担率は3割が鉄道です。日本では東京でも京阪神でも沿線の街イメージが明確ですが、ニューヨークやロンドン、パリではどうでしょうか?地域のブロックとしては語られても、鉄道沿線としてエリアがまとめて語られることは無いような気がします。

 日本の、しかも都市部だけにしかない切り口なのでしょうか?郊外生活者が多く、しかも電車で通勤しているから生まれた文化なのでしょうね。

 鉄道会社の囲い込み

 乗降客数が伸びない中、各鉄道会社派は沿線顧客の日常生活の需要の囲い込み体制に入っています。JR大阪三越伊勢丹の不調は、JR西日本にも、三越、伊勢丹にも「沿線文化」という感覚がいまひとつピンときていなかったからでしょうね。

 さて、今後電力の自由化が進むと、鉄道会社にも沿線へのエネルギー供給(小売り)というビジネスチャンスが生まれます。戦前には発電所も持っていましたし、送電網もありますから参入は比較的容易でしょう。

 スマートシティを沿線に拡げていければ面白いと思うのですが・・・。

                                                       (2012年12月26日)

図ー代表交通手段分担率(パーソントリップ調査)〜東京都市圏2008年、京阪神2010年
図1
図ー交通手段分担率 海外都市
図2
 (ニューヨーク2001年、ロンドン2007年、パリ2002年)
■梅田商業施設戦争〜第2章
 大阪百貨店戦争の終幕とあらたな商業施設間競争

 大阪百貨店戦争が「一応の終幕を向かえた」と報道しているのは「商業施設新聞」です。20日の当サイトの記事と合わせてみると、三越伊勢丹にとっては不吉な表現だといえます。

 店舗面積2万平米のJR大阪駅駅ビル「ルクア」の健闘はある意味、三越伊勢丹をステップボードにしたものですから、事業主のJR西日本としては今後トータルとしての収益の確保をはかれる体制に一刻も早くもっていくべきでしょう。現在ルクア370億円、JR大阪三越伊勢丹が240億円であわせて610億円です。

 この4月に開業する駅の北地区「うめきた先行開発地域グランフロント大阪ショップ&レストラン」は店舗面積4.4万平米で266店舗が集積します。売上げ目標は発表されていませんが年間500億円はくだらないとされています。動線から考えて一番影響を受けるのはJR大阪の駅ビルです。

 潜行して進むその他の動き

 現在、詳細は発表されていませんが、ヨドバシカメラ梅田店の北側の駐車場には商業施設開発の計画があります。2013年春には工事着工するといわれています。隣接する「うめきた先行開発地域グランフロント大阪ショップ&レストラン」との回遊を意識しています。

 又、当面は広場空間として活用される旧大阪中央郵便局の跡地には延べ21万7,000uのビル建築の予定があり、商業一説も4.8万平米整備されるようです。

 既存のディアモール大阪、ハービス、阪急三番街、ヘップファイブもこのままで終わるはずはないので、SCを中心とした第2幕の競争が始まります。

                                           (2012年12月25日)
■想定通りのJR大阪三越伊勢丹の専門店導入発表について

 JR大阪三越伊勢丹専門店導入?

 550億円の年間売上げ目標が240億円にとどまるJR大阪三越伊勢丹ですが、一部フロアをルクアの専門店にするという報道がなされています。好調なルクアでは売場を広げたいというテナントもあるようですね。

 これは当サイトでも予想していた展開です。小倉そごうの後を引き継いだ小倉伊勢丹が業績不振のために売場を縮小しやがて撤退した先例をみると、いずれ、売場は縮小され、撤退はないとしてもルクアの中のいちテナントになっていくのでしょうね。

 JR西日本、三越、伊勢丹とすばらしい人材が揃った企業が力をあわせても相乗効果があげられなかったようです。

 西武・そごうは大阪の市場に悪態をついて退場していきました。(まだ郊外に店舗を保有しておられます)

 百貨店業態の衰退とからめて論じる報道もあります。百貨店の衰退論は今に始まった話ではありません。

 原因の多くは市場を読み切れず、ポジショニングを明らかに出来なかった戦略のミスです。きちんと総括して次に繋げてくださいね。

                                                 (2012年12月20日)

■通販市場の拡大とLOHACOの提供する価値について

 2012年国内通販市場7兆5,269億円

 富士経済の調査では国内通販市場は前年比8%増の7兆5,269億円だそうです。物販は6兆2,734億円と7.6%増。サービス・デジタルコンテンツは1兆2,535億円の9.9%増です。電子ブックが普及すればもっと伸びていく分野でしょう。

 アスクルが始めているLOHACO(消費者向けの日用品・食品宅配サービス)の当日・翌日配達エリアが関西6府県にも拡大されています。午前10時までに注文すると当日の夜に配達されます。配達料は1,900円以上は無料です.スーパーなどでも配達サービスを始めている店は増えていますが、食品のみとか配達料は必要だとか地域指定などの制約が多く、高齢者は利用していますが、使い勝手は今ひとつです。
 また通常の通販は配達までの時間がかかったり、品目毎に配送料がかかったりしてストレスが少なくありません。

 オフィスの事務用品でアスクルのサービスに慣れてしまうと、「2〜3日中に発送」というサービスは遅く感じてしまいます。

 生活必需品の買い物はを簡単に済ませられるのであれば若い層の利用も増えるでしょう。2013年の5月までの半年間で180億円の目標より早く普及する可能性が高いでしょう。アマゾンに勝てるでしょうか?

 既存のスーパーや地域のSCの売上に大きな影響を与える動きです。超低価格か、生鮮・惣菜などの強みに特化しないと生き残りが厳しくなるでしょう。

 スーパーや個別のお店の立場で宅配を考えると、コストアップになってとうてい無理ですが、このようにシステムが整備されると全体で採算が取れるようになっているので、個店では太刀打ちできません。
 GMSが影響を受けるでしょうね。


                                       (2012年12月18日)
■来年開業する注目施設〜神戸、姫路、梅田

 神戸ハーバーランド商業施設は2013年春グランドオープン

 
旧神戸阪急、ダイエーなどが入居していたダイヤニッセイビルとモザイクは来年春「ウミエ」として生まれ変わります。イオンモールが一体的な施設として運営するモノで、とりあえずネーミングが先行して発表されました。どんな形で構築されるのかまだ未公表ですが、この地域の活性化はミナト神戸の再生に関わる大事な要素です。

 直接関係ないですが阪急電車の「三宮」に「神戸」の名称を入れるとか言う話がでています。京阪神の人間には今更ですが、「三宮」を知らない他県から、もっと広くから人を呼びたいという動きの一環なのでしょう。


 姫路駅ビル「ピオレ姫路」には東急ハンズが出店


 2013年のゴールデンウィークには姫路駅ビルが開業します。高架化に伴い先行して開発された高架下の商業施設「プリエ姫路」も「ピオレ姫路」と一体となって運営され名称も変わります。

 新駅ビルは核店舗に「東急ハンズ」が出店し全体で13,000uの売場面積になります。20〜30代の女性を中心に男性やファミリー層など幅広いターゲッを設定し、播州地域で最も高感度なお店を目指しているそうです。

 改装工事中の姫路城がよく見えるロケーションです。新しい街のシンボルになるでしょう。姫路の地元商店街は比較的頑張っている方ですし、地元百貨店の「ヤマトヤシキ」「山陽百貨店」もまだまだ存続しています。

 自動車商圏の街ともいわれていますが、連係して中心市街地を盛り上げていって下さいね。

 うめきた先行開発地域グランフロント大阪ショップ%レストランは4下旬開業

 A部ブロック3u、Bブロック1.4万uの巨大な商業集積が4月下旬に誕生します。30〜40代の男女がメインターゲットで「ライフスタイル編集の達人」をイメージされているようです。テナントは1月に発表されます。

 今までの梅田に無い、ゆっくりとお散歩のできる商業ゾーンらしいですから、梅田の楽しみ方が又一つ増えるようです。

 夏には阿倍野の近鉄百貨店あべのハルカスタワー館が先行開業します。

 大阪、関西がどのように変わっていくのか楽しみな1年ですね。

                                              (2012年12月14日)
 
■利用者の視点から見たお店の個性〜梅田4店の比較

 人に頼まれた品物探して梅田4店を回りました。探していたのは「手帖」なのですが。

 阪神百貨店では在庫の有無を訪ねても、店頭に無ければありません・・・とそこで終わり。食料品売場以外は基本的に売場に覇気がありません。
 
 阪急百貨店は売場の後ろに偉そうな人が複数立っていて店頭のスタッフを監視していますが、在庫整理忙しそうなスタッフにはモノを訪ねることを拒む雰囲気がありました。増床オープン時のバター売場でも感じましたが、この店は接客に関係ない偉い人が目立ちます。(社員では無くお取引先なのかもしれませんが)

 JR大阪三越伊勢丹は、歳末の夕方だというのにお客さん数が少なすぎて、もし自分がここの店長だったらいてもたってもいられないでしょうね。それでも頑張るのは伊勢丹のプライドでしょうね。
 (でも羊羹は関西人には受けないのですよ。あれだけ言っているのにまた羊羹セールをやりましたね)

 他に無い商品も揃っていて、食料品売場も決して高くなくていい品物が揃っているのに、ここまでくると、この静かな空間が不思議で貴重です。

 手帖は梅田大丸の東急ハンズが最も対応が良かったです。在庫を調べて、メーカーに問い合わせて取り寄せの手配までしてくれました。流石に「ハンズ」です。
 梅田大丸自体も、エスカレーター回りの各階にワゴンで出店している「期間限定ショップ」の印象は良好です。百貨店としてのクォリティが一番コトロールされているのは梅田大丸なのだと思います。

 阪急は規模をコントロールするオペレーションノウハウがまだ確立できていないのだと思います。新しい実験を行っているのである意味当然かも知れませんが。

 三越伊勢丹は、何らかの大きな方針転換をするのなら早く方向性を示してやらないと、現場スタッフが腐ります。

 阪神は食料品を建て直して自信を取りもどし、たたかう姿勢を示さないと、お取引先も逃げていきますよ。

                                             (2012年12月11日)
■中之島西部エリアの活性化〜牽引車の見えない地域開発

 「中之島西部エリア活性化に向けた提言」
 〜企業参加を「促す環境をつくり 他には無い魅力作りを〜大阪商工会議所

 中之島の西端は大阪府中央卸売市場に面していて、かつては大阪市役所や大阪府庁があった場所です。川口の旧居留地も近く、大阪の近代化の玄関口であった地域です。

 大阪商工会議所が10月22日に「企業参画を促す環境作りの必要性や活性化策」についての提言を発表しています。

 活性化のポイントは

1.人や企業を引きつけるモノ・コト他には無いシンボル作り

 ・食のブランドを活かしたエリアの核となる拠点作り
   中央卸売市場やざこばの朝市の活用のようですが、具体的な内容については触れられていません
 ・商業だけで無い複合的な魅力作りと時流に合わせて変化する工夫
   デユーティフリーショップ、ホテル、ボートホテル、水上住宅?のことでであるようです
 ・大阪初の海の舟と川の舟の乗り継ぎが出来る拠点的なマリーナづくり
   関空アクセスから都心への観光船の乗り継ぎだそうです
 ・橋のデザインをシンボル的に・・・

2.利用者の目線でつなぐ戦略的な水辺と街のネットワーク強化
 ・東西の動線の連係強化(公共交通、自転車ネットワークなど)
 ・水辺へのアクセス
 ・まちあるきツアー

3.エンドユーザーに響くデリバリーの工夫(情報発信)

企業参画を促す環境作り
 ・公共投資
 ・企業提案による水面専有スキーム。水辺施設の実現
 ・行政と民間での敬作策定プロセスの共有

という内容のプレスリリースが発表されています。

 大阪市や大阪府といった行政も大きな投資が出来ませんし、中之島地区の最大の企業である関西電力も、しばらくはあまり表立って動かないでしょう。今、大きなプロジェクトが動く時期ではありません。

 もっと若い人や住民を巻き込んで地道な活動の積み重ねからスタートしてはいかがでしょうか?

 近くの西区ではマンションが増えて、ファミリー層やペットが増えています。地元民のニーズをすくい上げていくではどうでしょうね。いきなり「デューティフリーショッパーズ」というのは初見の私たちにはわかりにくい提案です。何でDFSが提案されているのか?発表されていない議論の経緯が気になります。

                                                (2012年12月10日)
■阪急梅田本店増床で割を食った阪神の逆襲の策はあるのか?

 阪神一人負け

 大阪地区の11月の百貨店の売上げは、気温の低下による冬物衣料の伸びの他、阪急梅田本店の増床効果による賑わいの活性化によりほとんどの百貨店が売上を伸ばしている。JR大駅のエキマルシェの開業も大丸梅田店、JR大阪三越伊勢丹にとってはプラスになっています。

 大丸心斎橋店の落ち込みは中国人観光客の減少によるものと思われますが、一人負け状態なのは阪神梅田本店です、他店は阪急に対抗したイベントを打ち出していましたが、阪神では「たこ焼きの増量」で回遊性を高めようとしていた程度の対策しか取れませんでした。
 以前にも指摘しましたが、差別化のために育ててきたテナントがごっそり阪急に抜かれたのが傷手でしょう。
 かつては「日本一の食料品売場」を自称していたのですが、精彩がありません。お互いに競争して切磋琢磨してこそ大阪の百貨店ならでの食料品の魅力が生まれていたのですが・・・何か遠慮があるのでしょうね。

 阪急梅田本店上層階は開店時の賑わいが一段落してきました。阪神との食料品売場の競争を活発化させることでお客様を呼び込む必要があります。

 阪神逆転のポイント

 阪急の食料品売場のウィークポイントは、3つあります。

 ひとつは生鮮三品が決して強くないこと。新しくなり広くなっても「独自の強み」のある売場ではありません。特に「肉」。

 ふたつめはテナントが幕の内弁当のように小さく沢山集まっていること。色々なブランドが揃えられていますが、八方美人になりすぎて品揃えに奥行きがありません。そして、イートインなどの食事の試食が出来る空間が少ないことです。

 いつも思うのですが、この企業はあまり食べることは好きでは無いのだと感じられます。坪効率の管理とかテナントへの交渉力などのビジネススキルは高いのだろうと推測します・・・・・それもまあ企業の個性なのですが。

 ということで最も人の流れが多いこのポイントでの阪神食料品売場逆転のポイントはこの阪急のウィークポイントを突くことです。
 テナントと一体となったスイーツの開発など手間暇をかけた仕掛けの積み重ねや、将来に向けたシニア対応などやれることは沢山あります。

 阪急百貨店とは棲み分けを意識していないのですから、グループであっても本気で「競争」すべきでしょう。それが、お互いの魅力アップにもつながります。

                                           (2012年12月10日)
図ー2012年 11月の売上対前年比
図3

(阪急梅田本店増床は10月25日に8割、残りの2割を11月21日に開業)
■作業フロー公開A〜新事業開発の作業計画書

 新規事業開発時の外部チームの作業フローです。課題整理から意思決定までの必要手順を示しています。

 事業開発作業フロー.html へのリンク

                                              (2012年12月05日)
■作業フロー公開@〜百貨店郊外店分析

 様々な事情があって、プロポーザルが中断したり、成果物への支払いを踏み倒されてお蔵入りになったレポートがあります。

 当社の業務の内容については全ての業務が守秘義務の中にあるので、お話は出来ません。それでも仕事の内容を知っておいただきたいと思いますので、順次公開していこうと思います。

 もちろん、委託を受けた作業や、施主からデータ提供を受けた物は絶対に非公開でです。

 初回は阪急阪神の郊外店の立地分析です。阪急阪神関係社からの依頼では無く、そこに売り込みたかった某所からの依頼でした。阪急さんには全く無関係です。

 事例はきちんとしたエリアマーケティンを行う前の簡単な整理のシートの事例です。

 地域特性.html へのリンク

                                               (2012年12月03日)
 11月
■中国のショッピングセンター計画へ提案した当社のワークフロー

 「日本企業」へのニーズ?

 中国の上海から少し離れた地方都市の商業開発でマーケティングについて「日本企業」という指定があり、当社にお声がかかりました。韓国や台湾での調査で、とても勉強になった思いがあるので、コスパは悪いと思いましたがチャレンジしようと、やりとりを続けていました。

 反日感情が高まっていると言われている中で、何故「日本企業」なんでしょうね。欧米のコンサルより、アジア人の感覚にフィットしやすいのでしょうか?日本にも、欧米のデザイン会社や広告会社は入ってきても、マーケティング調査会社・企画会社はあまりぱっとしませんね。(外資系メーカーの需要はあっても商業開発ではあまり聞いたことがありません。まあ、マーケティングにあまりお金をかけない事もありますが)

 ネット調査やエリアデータベースは上海や北京ではかなり整備されてますが、上海から1時間ほどの地方都市、(神戸に対する姫路といった感じでしょうか)ではあまり揃っていないため、プロジェクトの受託は断念しました。(現地と提携しているWEB調査会社さんや地図データベースの大手企業さんも色々調べてくださったのですが・・・・ということは、今までは大都市以外はニーズもなかったのでしょうね)

 現地に乗り込んで一から情報収集してもいいのですが、あまりにもコストが膨らむので断念しました。

 説明のために作成した商業施設開発での調査と企画の関わりについてのワークフローを下記にアップしました。ご参考までに。

 今年もあと1ヶ月です、体にお気を付けて、もうひとふんばりいたしましょう。
                                                  (2012年11月30日)
 ワークフロー.html へのリンク

■中之島フェスティバルプラザ本日開業

 「華やぎのある大人の街」がコンセプト

 ターゲットはビル内や近隣で働くOL、ビジネスマンとフェスティバルホール来館者だそうです。昔のフェスティバルホールはアフターイベントの楽しみが無かったのですが、「ラ・フェットひらまつ」「キッチンジロー」「マーノエマーノ・ピッツェリア&バール」など飲食店が17店舗、物販サービスが15店舗出店します。

 4,400uの店舗面積ですが、店舗ゾーンが地下1階から2階、12〜13階、最上階と分散しているので、あまり一体化した商業施設というイメージは無いのかも知れません。

 注目店舗は「自転車のある素敵な暮らし」をテーマにした自転車のコンセプトショップ「ライフクリエーションスペース・オーヴ」です。シマノの運営するパイロットショップです。

 100uの店内には300冊のライブラリーやサイクルグッズ、漆器や文房具が並びますが、自転車は売っていないそうです。「自転車の価値の再提案、自転車の社会的地位の向上」へ向けて情報発信するそうです。

 中之島周辺で質の高い自転車が活躍すれば地域全体のイメージアップにもつながります。東京では青山に出店していますよね。自転車ショップだけでも、わざわざ見に行く価値があると思います。

                                            (2012年11月28日)
■地域おこしは必要だが見え透いたごまかしはやめておこう〜鳥取国際まんが博300万人突破で終了

 来場者数300万人、経済効果543億円が見込まれた「国際まんが博」(鳥取)

 8月4日から11月25日までの4ヶ月鳥取県の鳥取市、倉吉市、米子市で「国際まんが博」が開催されていました。鳥取県は水木しげる氏の出身地で境港市のみずきしげるロードには毎年250万人の観光客が訪れています。その他にも「名探偵コナン」の青山剛昌氏や「孤独のグルメ」の谷口ジロー氏の出身地でもあるので「まんが博」が開催されたようです。

 新聞報道では来場者数は目標の300万人を上回り「大成功」と発表されていますが、もともとの見込みでは県主催事業で70万人、県補助事業で50万人、水木しげるロードと青山剛昌ふるさと館150万人を見込んでいたのですが、開催初日の来場者数は5,500人だったそうです。ネット上では「県の税金10億円と国の税金3億円を投入した割に費用対効果が低すぎる」「電通がディズニーのリロ&ステッチの版権料で8000万円抜いている」「KPOPグループのコンサート?ががらがら」とか、「震災復興予算が流用されている」とかのネガティブな評価が圧倒的です。

 特に「まんが」のファンはネットの利用も多いので新聞の公式発表とWEB上の情報のギャップが大きいとイメージダウンが心配されます。(同じようなケースで大失敗した横浜開港博では当時の市長が任期途中で逃げ出してしまいました)

 「神話博しまね」は目標の42万人を上回る73万人を集客

 同じ頃お隣の島根県で開催されていた「神話博しまね」は目標の42万人を上回る73万人の集客をはたしたそうです。

 鳥取や島根の集客は現状のポテンシャルではこれが相応だと思います。

 無理矢理、数字を盛っていることが見えるので、マンがファンが利用されていると反発してたたかれているのでしょう。

 地域発のイベント開催はどんどんやっていくべきだと思います。鳥取県は横に長いので全県のイベントでは1会場あたりの動員数は薄く見えてしまいます。
 今回は企画に難がありました。失敗は総括して今後地域の為になるイベントを続けていって下さい。ただ、嘘は簡単に見抜かれる、というか攻撃されやすい行為である事は学ぶ必要があるでしょう。

                                             (2012年11月27日)

 読売巨人軍の優勝パレードに40万人弱の人出があったそうです(主催者側発表)、オリンピック誘致の為のやらせの動員といわれている金メダリストの凱旋パレードも40万人(主催者側発表)ですから、首都圏で暇な人達の総数は約40万人と推計されます。

 ・・・・地方に人を呼ぶのは大変です。電通を使って巨額の費用をかけても何ヶ月かかけて、(水木しげるロードの定着した集客装置がなければ)実質数十万人ですから

 ちなみに神戸ルミナリエのピークは1日で60万人弱です。ジャイアンツや金メダリストに勝っていますね・・・。震災の鎮魂の祈りを込めた祭です。

■ガスビル駐車場で見かけた自転車の共同利用にはもっと深い狙いがありました

 HUBチャリ〜シェアサイクルでオーサカ革命

 大阪ガスビルの駐車場でレンタサイクルのコーナーがあります。放置自転車が社会問題になっている中、自転車のシェアというのは大きな解決策です。
 放置自転車が増えているのは、都心居住が進んでいる事とも関わりがあります。コミュニティバスを廃止するならその代わりに自転車のインフラ整備(駐車場、専用道路)進めることも必要です。

 「HUBチャリ」は都心では大阪ガスビルと新梅田シティ、東急インに拠点があります。

 http://www.hubchari.com/ へのリンク

 よく調べてみると、これは大阪市立大学の学生が代表となったNPO団体が運営しています。交通問題の解決だけで無くホームレスの支援策の一環でした。ホームドアという団体は新聞でも紹介されているのだと思います。
 http://http:http://www.homedoor0.com/homedoor%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/ へのリンク

 大阪からの話題は決して明るいものでは無く、気の滅入るものが多い中で、あたたかみのある未来に希望を繋げる動きだと思います。マッキンゼーのコンサルを100人雇うよりもこのような市民からの動きをバックアップして邪魔をしないのが行政のトップのありかたではないでしょうか。

 全国のみなさん、大阪は決して酷薄な弱肉強食を奨励するだけの街ではありませんよ。
         
                                            (2012年11月26日)
■グローバルブランドランキングと企業の値打ち

 グローバルブランド 伸びているのはインターネット関連

 グローバルブランドのランキングを発表しているインターブランド社のブランド価値を金額換算する手法はブラックボックスですが、同じ手法で毎年続けていると「変化」の読み取りに意味があります。今年大きく伸びているのはアップル、サムスン、アマゾン、グーグル、オラクルなどネット関連の企業です。(サムスンはメーカーですが)

 ブランド価値はコンシューマー向けに強いと思うのですが、上位にはIBMやインテルと行ったBtoBの企業がディズニーよりランキングされています。
 
 日本の企業ではトヨタ、ホンダ、ソニーがベスト40にランクインしています。以下では46位に任天堂、65位にパナソニックが入っています。家電業界はGEのように金融業中心に業態転換するか、あらためてサムスンに挑戦するかしか無いのでしょう。希望退職の人員削減で、人材がまた韓国や中国の企業に流出していくのでしょうね。  ところであのグローバル企業はどこにあるのでしょう。有名デザイナーのロゴが売り物の・・・・。H&MやZARAは入っていますよ。

                                             (2012年11月22日)
図ーブランド価値(億円)と前年比
図4
(インターブランド社 グローバルブランドランキング2012)



■「大阪のあるべきイメージ」を海外都市に例えると
 
 ニューヨーク、香港、シンガポール

 少し古い資料を整理していて、なにわ考現学94で大阪のあるべきイメージを海外の都市に例えた調査結果がでてきました。
 1位は「ニューヨーク」(42件)商業の中心で活気に満ちた都市をイメージしています。2位の香港(35)も雑然としているが活気のある国際性豊かな都市があげられています。

 3位は「シンガポール」(31件)で清潔で美しい街つくりが指示されています。

 以下、「サンフランシスコ」(15件)都市機能とアメニティの共存。「パリ」(15件)「ロンドン」(14件)伝統と新しいファッションの共存、文化と歴史を保ちながら近代化するイメージが支持されています。

                                        (2012年11月19日)
■地下鉄売店の変身〜コンビニが売店を運営すると

 売店からミニコンビニへ

 大阪市の地下鉄の売店の運営がコンビニエンスストアのポプラとファミリーマートで運営されるようになりました。おにぎりやドリンクが前面に出た売場は、かつての売店とは顔つきが違います。ミニコンビニといっていいような売場です。
 かつてはタバコ、新聞、雑誌が豊富に揃っていたのですが、タバコはともかく新聞、雑誌の種類と量が極端に絞り込まれています。コンビニ流の売れ筋への絞り込みでしょうか。

 通勤者が減少している鉄道売店では、タバコ、新聞、雑誌の売れ行きは落ちているのでしょうが、新しい収益源が見えてきません。

 公共料金の支払いサービス等のコンビニの強みが活かされて全く違った収益構造が生まれるのかも知れません。鉄道各社は売店の対策を色々考えているので注目して行く末を観察しているでしょう。

 売店の坪効率はとても高いので、あまり思い切っていじれないのですが、駅の乗降者のタイプ別、時間帯別にサービスの内容を変化させるきめの細かさが必要です。毎日通るおなじみさん相手の商売です。うまくやれば、しっかり固定客が掴めます。商売の原点ですね。

 駅売店の雑誌の種類が減ると、「文化的」な匂いが街から薄れていきます。関西では置いてなかったですが、昔、東京の京浜急行の売店に「朝日ジャーナル」が置いてあるのをみて、うーむと感心したことがあります。それは俗物根性かもしれませんが、そんな格好つけも街には必要です。

  駅前の小さな本屋さんもなくなっていますし、コンビニに置いてある馬鹿雑誌(AKBとか韓流とか)を眺めては大阪の行く末を憂います。(もうすぐ大阪「市」も無くなるらしいですけれどね)

 歴史の風格があった三休橋筋に出店した新世界風の派手な串カツ屋とか政治家のポスターをでかでか張り出す飲食店とか(どこの場末なんだ)が大阪の未来をあらわしているのでしょうか。
 
                                               (2012年11月16日)
■私鉄王国 大阪の現在

 私鉄(民鉄)のシェアは京阪神が多い

 輸送人員の差は首都圏と比べて総量は圧倒的に少ないですが、私鉄のシェアは京阪神が46.5%とJRの強い首都圏、地下鉄の強い中京圏と違いがあります。

 企業別に見ると東京の私鉄は依然として鉄道収入が中心ですが、京阪神では鉄道だけでは食べていけない事実が明らかです。東急は多角化が進んでいる例外ですね。

 九州の西鉄で鉄道収入のシェアが低いのは、九州はバス王国である事が考えられます。バス利用が多くてバスが便利な地域です。

                                                  (2012年11月15日)
図ー年間輸送人員 (首都圏は50km圏 京阪神も50km圏 中京圏は40km圏) 億人
図5
図ー交通期間別輸送人員の割合  %
図6

(民鉄協会 大手民鉄の素顔より  東京メトロを民鉄に分類しているが地下鉄に組み込んで再集計)

図ー営業収益に占める鉄軌部門の割合   %
図7(大手民鉄の素顔)
■梅田百貨店戦争へのマスコミの評価

 大阪百貨店戦争は最終局面に(週刊ダイヤモンド)

 10月25日の阪急百貨店の一部オープンは新聞、雑誌には評判がよかったようです。日経紙MJでは椙岡会長のリーダーシップを賞賛する記事を掲載しています。「アッパーの日常、アッパーミドルの非日常の演出」ということでアッパーミドルに絞ったターゲット設定が本来の百貨店の楽しさを再認識させたのでしょう。収益源である本店の建て替えという事業ができたのは強いリーダーシップのなせる技です。

 開店後5日間。アパレルブランドのテナント(上位10店)は1日平均200〜600万円売上を上げているそうです。都内の有力百貨店でも1日100万円売れればいい方だそうなので驚異的なパワーです。


 週刊ダイヤモンド、日経ビジネス、などでは「大阪三越伊勢丹」がさらに苦しくなると指摘しています。大丸は専門店の導入でファミリー層を獲得していますし、阪神は大衆百貨店のポジションが明確です。(それぞれに課題がある事は従来から指摘していますが)

 8月の産経新聞の取材ではJR西日本伊勢丹の社長は「危機的な状況ではない」と発言していましたが、三越伊勢丹ホールディングスの大西社長は「小手先をいじっても効果は無い.店の根本的な考え方を変える」と語っているそうです。

 三越伊勢丹の不調理由については「積極的に話しかける大阪の接客をわかっていない」「地下に客が少なすぎる。食品が弱い百貨店は大阪では生き残れない」「吹き抜けが大きすぎる。エスカレーターと吹き抜けの間に売場があるようだ」といつもここで書いているような評価が掲載されています。

 ブランド別に並んでいるのではなくアイテム別に並んでいる売り場に大阪の消費者が慣れていないことも原因だそうです。「あの陳列の良さがわからない消費者はセンスが無い」という声もあるそうです。最近均一セールでカンフル剤的な売上を確保した実績から・・・社内では大阪の消費者は価格訴求しか通用しないと蔑んでいるのでしょうね。(今までに大阪に進出して惨敗した小売業の方からも散々聞かされましたが)

 再生の特効薬はありません。何よりも動線や吹き抜けのハード計画が間違っています。それは修正しようがありません。地道にカード顧客を増やして伊勢丹ファンを増やしていくか、そこまで待てないなら名誉ある撤収しかないでしょう。

 伊勢丹の企業としての生き残り策は自主企画商品を増やして益率をアップさせる戦略だと聞いています。自主編集、自主企画するためにはお客様が見えていることが前提です。お客様が見えていない事がわからないのは何故でしょう?

 三越伊勢丹開店時に800億円と売上をお見立てしたファッションコンサルタントがおられたように、業界の人や付き合いのあるコンサルタントは「いい話し」しかしてくれません。耳障りのいい声だけがトップにあがるのです。業者さんも同様です。

 企業それぞれは優良な会社で優秀なスタッフが集まっていますが、伊勢丹、三越,JRというそれぞれプライドの高い企業が集まった会社であったことも悲劇を生んだ原因でしょう。遠慮があったのでしょう。

 ワンマンで毀誉褒貶のある阪急の椙岡会長ですが。逆に意思決定ラインは明確です。

 阪急阪神のウィークポイント

 阪神の売上げの45%は食料品です。市場的な売場で庶民対応すると位置づけられていますが、阪急が食料品を強化した影響をかなり受けそうです。
 正直に評価すれば阪急の生鮮三品はそれほど良くはありません。ただ、惣菜、銘品、洋菓子などはかなり強力にテナントを集めています。ポッキーなど関西発の店も話題を読んでいます。ただ、集めすぎて、阪神が差別化ポイントとしていた話題のテナントも阪急内に取り込んでいます。たねや、クラブハリエ、ユーハイムのパイの店・・・・阪神で行列ができていたこともある店です。

阪神の食料品売場の入店者数が減っています。
 阪神は食料品売場を改装したばかりですが、さらにてこ入れが必要でしょう。本格的な建て替えまで時間がかかるでしょうしね。
 
 阪急は本店と西宮店に資源を集中しているよです。その分、支店の劣化が激しいのです。また阪神の支店も収益源にはなっていません。

 本来は支店の食料品売場を補完・強化する役割の阪急オアシスもまた軌道に乗っていないと思います。地元の店をスクラップするには時間がかかるので、本店の収益を食いつぶさない対策が必要でしょう。

 阪急梅田本店には本当に死角が無いのか?

 三越や島屋が特異とする富裕層への対応や、食料品では生鮮三品など今見える弱点は沢山あります。立地の良さとテナントさんのお付き合いで優位なポジションを確保していますが、お客様に向き合うという事が苦手です。

 阪神や京阪百貨店は強みである食料品売場の要の部分は自前です。伊勢丹は自主編集売場に粘り強く取り組んでいます。三越や島屋は外商がお客様の信頼を獲得しています。

 阪急は自主売場は伊勢丹ほどではありません。、食料品はテナントを前に出します。外商は縮小していますし、顧客カードデータの活用も伊勢丹や大丸に比べてあまり話題になりません。

 良く言えばスマートなのですが、あまり商売人という感じがしません。  言い過ぎですか?

                                          (2012年11月14日)
■「空き地がいっぱい?」〜国土交通省調査報告書

 「空き家.空き地や閉鎖された店舗が目立つ」という国民意識

 2003年の住宅土地基本調査」で空き地の増加が指摘されて以来、「人口減少に伴い今後も空き地が増加する」「住宅団地での住民の高齢化」により空き地化が進行する」といった議論がされてきました。

 2008年の同調査では全国的に空き地面積は大きく減少しました。空き地問題の不安は無くなったのでしょうか?ところが、2010年の国民意識調査ではトップに「空き家・空き地や閉鎖された店舗が目立つ」という項目が挙がってきています。「実態」と「意識」のギャップについて国土交通省の調査レポートが発表されています。

 全国的に空き地は減少しているとはいえ近畿、中国、市jこく九州・沖縄では依然として増加傾向が続いています。また、住宅団地での住民の高齢化が進行して空き家が増えているのは確かですが、「空き地」としてスクラップされるにいたっていないのが現実だと思います。何らかの形で再利用されるめどが無ければ、スクラップする費用もでないのではないでしょうか?

 三大都市圏で空き地が多いのは首都圏

 国土交通省の調査では三大都市圏について調べています。
 市街化区域の空き地率は、首都圏13.3%、近畿圏11.6%、中部圏11.0%と首都圏で多くなっています。

 首都圏では都市圏中心部〜20km圏の臨海部で空き地率の高い場所が集積しているほか、中心からの距離が離れるほど空き地率が増加していきます。臨海部については調査時点で開発途中の土地が多かった為ではないでしょうか?

 近畿圏と中部圏は距離圏は無関係で空き地率の高いメッシュがモザイク状に分布しています。
(調査では1km圏のメッシュ単位で空き地率が集計されています)私たちが体感的に目にする空き地は、駐車場になっていたりして細切れです。メッシュデータでは粗すぎるのだと思います。また首都圏については中心部に近いほどより利用率が高くなっていて、「空き地」になりにくいにかも知れません。

 古い開発地で空き地が増加している状況ははっきりと出ていたようです。

 膨大なレポートを読みましたが、結論としては「よくわからない」部分も多いようですが、自治体の危機感は強いようです。

 先にも述べたように都市部の空き家が「空き地」になってくれればまだ、「公園」や「公共の共有空間」として暫定利用が可能です。

 深刻なのは「空き地」よりも「空き家」問題ではないでしょうか?この調査の出発点に問題があるのに無理やり報告書にした感じです。

                                    (2012年11月13日)
図ー空き地面積の動向
図8

(土地基本調査   空き地とは「駐車場」「資材置き場」「空き地」の合計)
■応援する理由〜Jリーグサポーター調査(産能大)

 応援しているチームのトップは「浦和レッズ」〜「応援スタイルが好き」だから

 産業能率大スポーツマネジメント研究所が「Jリーグサポーター調査」を発表しています。全国で会場で生観戦をする人に聴取したアンケートです。

 順位は下図の通り、ビッグクラブである浦和レッズがトップです。好きな理由で特徴的なのが「応援スタイルが好きだから」「スタジアムの居心地が良いから」というのが「目立ちます。(もちろん、トップの理由は地元チームだからなのですが)

 2位の横浜Fマリノスは「伝統があるから」」、3位の名古屋グランパスは「監督が好きだから」というのが「突出」しています。ピクシーの人気はすごいですね。

 4位のコンサドーレ札幌は「地元」「出身地」というのが強いのですが、「弱いチームだから」というのが目立っているのが面白いでrすね。昔の阪神タイガースのようなものでしょうか?

 5位のガンバは「好きな選手がいるから」「戦術が好きだから」というのが目立ちます。遠藤の人気と、西野監督時代の攻撃的なサッカーが好きという人は少なくないのです。

 大阪のライバルチーム、セレッソ大阪は2.6%で15位です。好きな理由で目立つのは「戦術が好きだから」「スタジアムDJ」が好きだからといった項目です。(その後、若手の活躍で甲南女子のお姉ちゃんを中心に選手のファンが増えています。6億円でよんだフォルランの効果も高いですね)

 ガンバ大阪のスポンサーであるパナソニックの営業不振で、両チームの合体「Gセレッソ大阪」節が一部に流れています。大阪で応援していたスポーツのチームが次々と無くなる中で、(ホークス、ブレーブス、バファローズ)ガンバもその運命をたどるのかと思っていたら、・・・・・・・肝心の「大阪」が解体されてなくなりそうですね。

                                             (2012年11月12日)
図ー応援しているチームベスト10
図9
(産業能率大学スポーツマネジメント研究所)
■京橋に開業した大衆演劇場と「京橋花月」の失敗

 11月3日「羅い舞座 京橋劇場」日本最大級の大衆演劇場オープン

 大阪でキタ、ミナミ、天王寺・阿倍野に次ぐ第4のターミナルである京橋駅は、京阪電鉄、JR環状線、JR学研都市線が交差する交通拠点です。1日あたりの乗降客数は18万人。

 2008年に開業した駅前の商業施設「KIKI京橋」は京阪電鉄が久々に京橋に対して起こしたアクションでした。飲食店、TSUTAYAとともに吉本興業が運営する劇場「京橋花月」が目玉でしたが2011年11月に営業不振で閉館していました。平日の昼間のお客さんが入らなかったのがその理由であるようです。

 身の回りでお金を払って吉本の劇場に行ったという人は全く見かけません。

 文楽や歌舞伎ならお金を払って見にいくひとは結構知っていますが・・・・。何故でしょう。千日前の吉本NGKシアターは団体の観光客のコーズになっているのだと思います。落語の天満繁昌亭は賑わっているのですが・・・。
 
 誰がお金を払って吉本を見に行っているのでしょうね。

 かつて心斎橋2丁目劇場など若手がでていた小屋は賑わっていたように思いますが、最近、吉本の若手芸人さんは少し売れると東京に行きます。地元に残っているのは華の無い芸人さんや、少しくせの強い中堅が多いように思います。

 若い子が追っかける対象でもないし、シニアが安心して楽しめるベテランでもありません。(京橋花月では座長がメッセンジャー黒田という微妙な劇団が公演していましたね)

 一旦若返りで切り捨てたシニアをもう一度取り返す戦略も必要かも知れません。

 大衆演劇は北陸の大江戸温泉物語という温泉旅館で見たことがあります。それなりに中高年のファンがついているように思います。平日の昼間の集客には近隣の中高年女性のハートを掴む必要があります。

 460席というキャパシティは大きすぎるかも知れませんが、頑張って欲しいものです。

 それにしても京阪電鉄は京橋をどうしたいのでしょうね。

 JRが駅ビルを開発するとしたら、市内ではこの駅なのですがJRの出方待ちなのでしょうか。

                                                (2012年11月9日)

■2013年春に開業する「あべのハルカス近鉄本館タワー館」は大阪の多極化の始まりかも知れない

 フルライン・フルターゲットを標榜しながら堅実なターゲット設定の近鉄百貨店

 2013年春に大阪第3のターミナルである天王寺・阿倍野に「近鉄百貨店阿倍野店」が「あべのハルカス近鉄本店」としてタワー館が増床オープンします。現在の百貨店部分ははその後改装工事を進めてグランドオープンするのは2014年春になります。

 先日発表された報道資料ではターゲット設定として、メインターゲットはアクティブシニア女性(60歳以上)、ミセス(40〜50歳代)、OL(20〜30歳代)、オーソドックスな設定になっています。チャレンジターゲットも子育てファミリー層(20〜30歳代)、ヤング女性(10〜20歳代後半)などキューズモールと連係することの出来る設定ですし、駅利用ビジネスマン(30〜40歳台)も順当でしょう。

 エリアとしても足元商圏と鉄道沿線居住者と手堅いです。コミュニティ重視でNPOとの連係も謳っています。

 奇をてらわない、無理をしない順当な設定だと思います。日本一のビルの展望台とか美術館で派手なアドバルーンを上げたいところですが抑制が効いていると思います。

 日本最大級のレストラン街のラインナップも、いつも見るよくあるテナントだけでなく地元店などの渋いセレクトが見受けられます。(もう少し頑張って地元店を誘致して欲しかったとも思いますが)

 面積比に見る方向性

 発表されている面積比は百貨店:専門店が60:40。10万uの配分としては妥当でしょう。物販:非物販が75:25でやや非物販が少ないようにも思えます。ただ、あべのハルカス全体の事務所や展望台、美術館を一体の物と考えると結構あります。(阪急梅田本店が非物販に注力すると謳われていて面積比率が20%ですから、それを上回っています)

 年間予想来店客数は4,500万人。商圏人口は270万世帯、620万人。売り物は日本最大級のレストランフロア11,000u、42店舗、28,000席と、関西最大級の食料品売場9,000uです。

 規模は似ていても梅田の阪急百貨店とは直接ターゲットは重ならないのであまり影響はしないでしょう。島屋大阪店の商圏がかぶるので対策が必要でしょう。

 従来、キタとミナミに集約されていた大阪の繁華街が阿倍野天王寺を加えた多極化時代を迎えるのか、阿倍野・天王寺の影響でなんば・心斎橋が地盤沈下をおこし、衰退期を迎えるのか今後の動向が注目されます。

                                            (2012年11月7日)
■高いビルの男

 大阪市は御堂筋沿いのビルの高さ規制を撤廃し、住宅建設をしやすくする検討を始めるということです。
新聞報道では「6日の都市計画審議会専門部会で、市は高さ規制撤廃、本町―心斎橋間でマンションを含む住宅の建設容認を提案する見通しだ」そうです。

 現在の市長は規制撤廃に前のめりようですが、市の特別顧問にも慎重な意見があり、新聞も「議論呼びそうだ」と慎重な報道スタンスです。

 世界的に見ても高層ビルが建ち並ぶ都市はニューヨークのマンハッタンかアジアの都市ぐらいなのです。ビルの需要が減少し、供給過剰になっている時代の都市経営としてはどうでしょうね。次の世代にどのように評価されるか?
 
「規制緩和」はお金のない行政としては唯一の武器なのですが、「市場原理」が都市の価値を損なう可能性がある分野については「規制」することも必要な手段です。

 南港の高層ビルWTCへの府庁の移転や、ご自宅として千里中央の超高層マンションを購入されかけたことといい。今の市長は高いビルがお好きなようです。
 
 大阪の朝のニュースで映し出されるOBPのビル群と大阪城の風景は美しいと思いますし、「うめきた」も完成すれば美しい街になるだろうと期待しています.。

 中之島のフェスティバルタワーもチャーミングなフォルムを見せ始めています。決して高層ビル嫌いでは無いのですが・・・・大阪随一の景観を示す御堂筋への高さの制限を撤廃すれば都市の資産価値は損なわれます。

                                                    (2012年11月6日)
■JR博多シティ開業2年目の福岡商圏

 伸び率では福岡パルコ独走状態

 JR博多駅ビルの今年は、来店客数は17%減少。売上はアミュプラザが7.8%減、全館では6%減だそうです。
特に飲食は23%減と落ち込みが大きく衣料品は2%減だたということです。

 天神地区では昨年大きく落ち込んだ福岡パルコが回復率が大きく14%増となっています。身の回り品13.1%増、雑貨は8%増、衣料品は%増だそうです。それでも他店よりは好調ですね。

 大型開発が継続して進行中の梅田と違って、このバランスの中で均衡がどのように形成されるかが注目されます。

 博多阪急は既存の繁華街とは離れたターミナル立地と言うことで。京都におけるJR京都伊勢丹の出店の時と競合状況は似ています。伊勢丹は京都では時間をかけて浸透してきています。

 博多阪急は初年度は話題性も有り大きな売上をあげましたが福岡の百貨店では3番店です。岩田屋はともかく博多大丸を脅かすほどの勢いが無いとこれからさき厳しいでしょう。大阪三越伊勢丹の惨状が目立つのであまり話題にはなりませんが、今後のカード会員の拡大が一つの目安になるでしょう。

 伊勢丹系の岩田屋や大丸との競合は大阪とはちょうど逆のポジションにあります。結局、企業力、マーケティング力(ほとんどこの概念が無い業界ですが)の差では無く、立地と「顧客」が店のキャラクターを分けているようです。

                                          (2012年11月5日)

図ー福岡市内の大型店2012年上半期の前年比
図10
図ー福岡市内の大型商業施設売上(2011年)と前年比
図11
(繊研新聞 流通ニュースより)
■エキマルシェの開業は三越伊勢丹にプラス

 新しい動線で食料品売場に入りやすくなったのはプラス

 昨日は三越伊勢丹に随分失礼なことを提言いたしました。少しフォローしておきますと、エキマルシェ開業で人の流れに改善傾向が伺えます。堂島方面からの流入がエキマルシェを通れば改善されていて、直接三越伊勢丹に入れるようになりました。

 今まで少し戻るような動きになるので圧倒的に不利でした。

 三越伊勢丹の1階や地下の食料品売場に人が入りやすくなっています。冨澤商店や八百一は結構賑わいがあります。

 ただし、エキマルシェのお菓子や惣菜などがが大変な賑わいを示しているのにも関わらず、百貨店の菓子、惣菜売場は従来と変わらず品の良い売場となっています・・・・はっきり言って夕方なのに人が居ない。

 手の打ちようは、まだあるのかも知れません。昨日のご提案は結構、現実的だと思うのですが。

                                               (2012年11月2日)

 大丸梅田店の「売上高」は好調だと発表されています。気になるのは心斎橋店の不振です。不振要因は中国人の団体客の減少でしょう。中国人観光客は確かに大きなプラスですが、それに頼りすぎると本来の顧客が離れていきますよ。

図12
従来は中央コンコースを通って西へ戻る動線だったのが、エキマルシェを通れば直接
JR大阪三越伊勢丹の食料品売場に入れます
■うめだの人の流れは変わったのか
 10月25日阪急百貨店うめだ本店2期棟開業

 全面開業は11月21日になります。開業6日間で100万人と予定を上回る人出だったそうで、早速売上げ目標が上方修正されたようです。周辺の通路も開通しており、梅田周辺の人の流れはまた大きく変わってきています。

 昨日はJR大阪駅に駅マルシェ大阪が開業しています。4,500uの売場面積に、ファッション、総菜店、レストランが集積した西日本最大のエキナカ施設です。売上げ目標は70億円。

 来年3月に開業するうめきた先行開発地区「グランフロント大阪」ショップ&レストランズの開業で、新しい梅田周辺の人の流れの全体像が見えてくるでしょうが、今まで工事のために人が集中していた大丸梅田店〜ルクアのルートから流れは分散していくでしょう。あらためて、それぞれのお店の店舗の魅力が問われることになりそうです。

 商圏拡大を狙う阪急百貨店

 阪急百貨店うめだ本店の中核商圏は大阪市北部の他には吹田市、豊中市、茨木市、尼崎市、宝塚市、西宮市などの阪急沿線が中心でこの地域での顧客比率が75%だそうです。

 京都の四条河原町、神戸のハーバーランドから撤退したので神戸、京都方面の顧客を本店で取り戻し、4割を中核地域以外からとりこむことを考えているようです。大阪市内中心部への通勤者も多いエリアですから堅実な考え方だと思います。

 椙岡会長のおっしゃる「アッパーミドル」がターゲットというのも、近年アッパーミドルのボリュームが少なくなっているとはいわれるものの、「百貨店」の王道ともいえるでしょう。百貨店戦争といわれていますが、関西で従来の「百貨店業態」で生き残ってくのは阪急と島屋だけかもしれません。

 あえて他業態を取り込んでいく「大丸」の挑戦は、成功すれば都市型商業施設のトップ企業となる可能性が大いにあります。奥田CEOのリーダーシップはきっとそれを可能にするでしょう。

 JR大阪三越伊勢丹については、内情は知りませんが三越伊勢丹ホールディングスの考え方を推認すれば選択肢はひとつだと思います。どうするかは流通事業に力を入れているJR西日本の経営判断だと思います。

 落としどころは三越、伊勢丹の百貨店の売場をテナントとして残し、直営の大衆型百貨店(阪神のような)を乗降客数の多い,JR西日本管内の駅に店舗展開するといったように発展的解消の形をとるのが良いでしょう。
 (あくまでもこれは妄想レベルの話ですが)各社の面子もたてられますしね。・・・・・・今のままだと例えば、テナントに「しまむら」をいれるとかは出来ないでしょう。それでも「生き残る」としたらその路線しかありません。
 ルクアのテナントとなる路線は間違いなさそうですね・・・小型店の展開までは発表されていませんが

 横浜の上大岡の京急百貨店は後発の百貨店ながら健闘しています。9月中旬の改装で客数を大幅に伸ばした飲食店テナントは例えば「餃子の王将」「長崎ちゃんぽんリンガーハット」です。

                                            (2012年11月1日)
 10月
■バブル期の遺産が大阪名物になるまでに・・・・大阪10大名物づくりのテキ屋的発想

 空中展望台、タマネギの載ったアートな清掃工場・・・・・なぜ名物にならないのか?

 毎朝、通勤時に大阪方面を眺めると、梅田スカイビルの空中展望塔の特異なフォルムが目に入ります。

 あんなに、ユニークな建物があるのに、何故「大阪には絵はがきに写り映えのする名物がない」と言い切れる人がいるのでしょうか?

 「人がつくって時が育てる」・・・・お風呂をテーマにした漫画の中の名言です。

 バブルの時に建てられた「奇抜」で「珍妙な」建物の多くは取り壊されてしまいました。
 道頓堀に建っていた有名建築家の「西洋仏壇」ビルや、当時の若手気鋭の建築家のガウディ風のチルドレンミュージアム。バブル以前の建物ですが心斎橋にあった世界的建築家のショールームのビル。

 出来た瞬間は話題になっても名物として定着はしませんでした。

 最近は全く話題になりませんが今年の初めには(苦笑)とともに話題になった大阪の10大名物作りはこれらのバブル期の作品の質
にも満たない思いつきのに見えます。

 「驚愕展望台」「空中カフェ」で世界中から人が集まるなら何故、梅田スカイビルの空中庭園では駄目なんでしょうか???

 うめきたがオープンし、人が行き交うようになった時に、あらためてその特異なフォルムが「名物」になるように思います。毎日当たり前のように見ている「丸ビル」だって他には無いユニークな建物です。時間が経てば、無くなれば寂しいモノになるはずです。

 タマネギを載せたアートな清掃工場はユニークでも名物にはならないでしょう。

 完成した時にびっくりさせることは簡単ですが、「愛着」が持たれて長く使われることで「歴史」が価値を創造し「名物」となっていきます。

 本当の歴史遺産では無くても、昭和につくられたコンクリートづくりの大阪城は市民に愛され、観光客を呼び込んでいます。地下に埋まる過去の大阪城の記憶の力でもあるでしょう。歴史は受け継ぎ、未来に向けてつくっていくものです。価値はそこにしかうまれません。

 人目をおどろかす単発的な思いつきは、次から次へと新しい「驚き」を要求され、驚きが消費されます。それは見世物師やテキ屋さんの世界です。
 そういった発想もいいじゃないかという意見もあるでしょう。間違いではないかも知れません。続けられればね・・・・。

 私はテキ屋の販売しているたこ焼きでうまいたこ焼きを食ったことはありません。二度と買いません。

                                  (2012年10月31日)
■びわ湖環境ビジネスメッセ2012で考えた事

 今年は35,500人の来場(昨年より2,000人減)

 10月24日から26日の3日間。滋賀県長浜市の長浜ドームで開催されました。

 今年の展示では小規模水力発電、小規模風力発電の展示が多くあり、印象に残っています。太陽光発電や燃料電池などと併せて家庭、住まいの近くで発電することが標準になっていくのでしょうね。「革命的な変化」は静かに浸透してくるモノなんだなあという感想を持ちました。

 昨年は東京電力の原子力発電所事故の後でしたので、脱原発なのか、原発の再生があるのか先行き不透明でしたが、徐々に3.11後の社会像を具体的に落とし込んでいくステージに移行しているのだと思います。

 観光客も原発事故の後、回復しかけた団体客が尖閣諸島問題で、しばらく回復が見込めません。いずれ団体旅行は一巡し、個人旅行客を獲得する為のきめの細かい対応が必要になるステージに移行して行く必要があったのです。

 大阪のまちづくり、都市計画についても、行政が麻痺していますし(沢山のブレーン達の叡知と強く発信するリーダーが逆に現場の実行部隊の思考停止を招いていると分析しています〜民間企業でもよくある話です)、地域でリーダーシップを取ってきた企業も構造転換を求められています。

 閉塞感が世の中で蔓延する時にはは、ちゃぶ台返しのような「リセット論」が元気に聞こえます。その手の議論は「リセット」した後の「ビジョン」が表層的な「思いつき」で、壊すことが目的のように思います。

 ゼロから再スタートするのでは無く、今のやり方のいいところ悪いところを「検証」して議論のステージをあげるという正攻法を少しずつ積み上げていく他はないでしょう。トップがかわらないのなら現場、末端から環境変化に対応して進化していけばいいのです。今はWEBというツールもあります。同じ思いを持つ人々と連係していけばいいのです。

 現場の行政マンや都市計画プランナーには「悲観せずに頑張るようにと」エールを送っておきましょう。

                                             (2012年10月30日)
■住まいと暮らしのリノベーション「LIVING&デザイン」会場大阪国際会議場は中高年の熱気が熱い
 大阪国際会議場の熱い3日間

 「LIVING&DESIGN2012」が今年も10月24日から26日まで開催されました。大阪で開催されるコンベンションが年々少なくなっていく中で貴重な国際イベントです。
 名誉会長にはあの堺屋太一先生が就任されていますが、大阪府、大阪市とも後援にも名を連ねておられないのはとても残念です。

 その大変結構なイベントの会場である大阪国際会議場に昨日25日、中高年のお姉様方が大集結していました。「氷川きよし」さんのコンサートが開催されていたのです。一瞬、日本人のインテリア意識がここまで白熱していたのかと錯覚してしまいました。

 おそらく、せい一杯お洒落をしてこられただろうお姉様方を、昨日24日の阪急百貨店プレオープン特別招待会にこられていたお姉様方と重ね合わせてみると、年代は似通っていてもはっきりと「客層」が違うなと感じます。

 ただ、単に人を集めればいいのではないということがわかります。年代を区切って、シニアミセスに絞っても、ライフスタイルによってあきらかに客層が違うのです。

 ただし、昨日氷川きよしのコンサートに集まった少しくすんだお姉様方は決して貧乏人では無く、結構お金を持っていることも大事なポイントです。数百万の着物を何着もお小遣いで買ったりするのはこの方達なのです。

 在阪の百貨店でもこの層にめっぽう強い百貨店があってそれなりにがっちりと、稼いでいます。

 東京から来た三越伊勢丹の悲劇は、阪急特招会の客層もとれず、かといってこの氷川きよしファンは絶対に店に入れたくないという伊勢丹の美意識のためとても狭いターゲット設定になっている事が原因です。
                                         (2012年10月26日)

図13  図14  図15 これは別会場です

図16  図17会場には中高年の皆様方の熱気がむんむん

大阪国際会議場周辺では地下鉄の駅を探すお姉様方がさすらっておられました。イベント時には梅田や難波につながるバスのご案内をした方がいいようです。京阪の駅をお教えしたのですがそれでは駄目みたいです。

■バックヤードが見えるのもどうでしょう

 デパ地下のレイアウトの流行

 最近は食料品売場で調理風景を見せないで、厨房は別のフロアにまとめて見せないのが流行だという。(本当かな?)大丸東京店の食料品売場で逆に調理風景を前面に出している事へのへのテレビ番組のナレーションでそのことを知りました。イトーヨーカ堂の流儀で改装した池袋西武の地下食料品売場が店頭調理を無くしていたのは知っていましたが・・・・

 前にも触れましたがダイエーの新業態である「フーディアム堂島」は中途半端な広さを持てあましているように見ます、オープンキッチンを入れておけば良かったのにと強く思います。全ての店にあてはまる正解は無いのでしょうが、多くの場合調理風景が見える方が、購入者の立場では安心できます。

 本日2期棟がオープンした阪急百貨店ですが、基本的にオープンに調理加工を見せるテナントも多く配しています。

 関西初出店のある食品テナントですが、お客様が二重三重にならんで待ち行列ができていました。何故かレジの精算に時間がかかり販売スタッフが右往左往しています。その奥でガラス張りで見える奥の加工スペースで,ショップの店長とおぼしき年配の男性とスーツ姿のおじさん数名がなにやら難しそうな顔をして立ち話をしています。

 何かトラブルがあったのでしょうか?

 それにしてもお客様は30分も40分もずっと立って待っているのです。

 「おまえ等、そんな会議をしている閑があれば働けよ」と思うのは私だけでしょうか?
 
 プレオープンとはいえ、上得意を招待したその日にこんな姿を見せるのは大きなマイナスでしょう。

 オープンにするのは調理をする姿、働く姿を見せるためなのです。

会議は会議室でやって下さいね。おじさん達の目には並んでいるお客様が見えていないようでした・・・.目も合わせないのね。

せめて申し訳分けなさそうにしてくれていれば・・・嘘でも。

                                       (2012年10月25日)
■10月25日阪急梅田本店二期棟オープン

 顧客は財産だなとあらためて感じた招待会

 二期棟開業を前にした招待会に潜入してきました。精一杯おしゃれをしたおばさま方で一杯でした。時代が変わっても「百貨店」の飯の種はこの年代のミセスです。阪急の全面開業を楽しみにしておられるのが見ていてもわかります。

 この顧客が阪急梅田本店の資産なのだとあらためて感じます。梅田で今一番活気のあるJR大阪駅「ルクア」とは客層が全く違います。梅田百貨店戦争といわれていますが、阪神が阪急グループに合流した今、百貨店の土俵で正面衝突する店はなくなりました。

 大丸梅田店は、都市型の専門店ビルに活路を見いだそうとしています。
若い子向けの「うふふガールズ」などのチャレンジも京都店で外商顧客に総スカンをくったように、従来の大丸顧客には歓迎はされていません。新しい顧客に対する新しいビジネスを生み出していく途上にあります。(多分、阪急百貨店も博多では梅田大丸と同じような課題を抱えているはずです)     その後の新聞報道で軌道修正が報じられていました。

 JR大阪三越伊勢丹については、長期的な観点で自社のファンづくりを頑張って下さいとしか声のかけようがありません。
 時々考えるですが、成功しているJR京都伊勢丹がもし、駅立地で無く、河原町あたりの繁華街に出店していたら今のような成功はあったのでしょうか・・・・・・。
 
島屋、大丸に「いけず」をされてブランドが揃わなくても、JR沿線と京都の南という未開拓のヒンターランドがあったからこそ売上を確保できたのかもしれません。
 もしも、「目先の実利を尊ぶ田舎者の大阪人より京都人の方が東京の感覚に合うから京都はうまくいって大阪ではいまひとつと市場の所為と考えているならそれは・・・ふふふ・・・・間違いです。

 今日の内覧会には前の京都伊勢丹の店長で、今はルクアの社長をされている中山さんが部下を引き連れて視察に来られていました。(研究熱心だなと感心しました)今日の来店客層も見ているはずです。

 新聞報道では価格訴求を強める方針があるようですが、特別に安くも無い招待会に集まったおばちゃん達の熱気が何故、三越伊勢丹に向かわないのか?

 答えはそうむずかしくないはずです。

                                                   (2012年10月24日) 
■多様化、細分化したニーズが産んだ同人誌市場〜バリューチェーンの逆流

 690億円市場の同人誌市場

 690億円は17日に御紹介した矢野経済研究所の推計値です。22日の繊研新聞に同人誌を店頭で販売している会社の社長のインタビューが掲載されていましたが、94年に創業し21店の店舗を持つその会社売上は188億円と言いますから、イベント会場で販売されたり、直売されている同人誌の市場は実際にはもっと大きいモノかも知れません。

 もともとはコミケに集まるマニアを対象に販売されていたモノが、マニア以外の層にも普及しだしたのは電車男ブームでアキバが注目された2000年頃からだといいます。 
 最近の同人誌の傾向は把握していませんが著作権無視のパロディに名を借りたキャラクターの二次使用といった危うい部分も解消されているのでしょうか?

 著作権にシビアな米国では成立しないビジネスかも知れません。TPPが締結されれば、著作権は非親告罪になりますからアウトでしょうね。

 自分の欲しいものは自分で作る

 同人誌がここまで伸びた背景には、ユーザーの好みの細分化、多様化があります。供給者側は多品種少量生産は効率的では無いので、できるだけ避けようとします。「選択と集中」という「思考停止用語」が意味を取り違えられて普及しています。

 「自分の欲しいものは自分で作る」パーソナルファブリケーションが注目されています。モノでは無いですが、コンテンツの分野では同人誌のような出版物がその先駆けとなってきました。

 DIYやアクセサリーの自作などからさらに3Dプリンターを使ったもののデザインの個人化が進むと「お家の中発」の商品が多く流通していくでしょう。規模の経済からの進化が始まります。

 直接的なつながりがない様々な分野でのバリューチェーンの逆流には情報技術の進化が推進力になっています。「21世紀の産業革命」の形がようやく見えてきました。
 
                                                   (2012年10月23日)
■大丸新長田店の後継店に西友が決定

 大丸新長田店 2013年1月に営業終了

 店舗面積は9,091uですが、売上は53億円。営業利益は1億1,100万円のマイナスだったそうです。

 神戸新長田の駅ビルジョイプラザの核テナントとして1977年から営業していました。新長田は震災で大きな影響を受けましたが、復興を果たし鉄人28号像や牛肉のすじ肉とこんにゃくを炊き合わせたぼっかけを名物として、カレーやお好み焼きの具として全国に発信している元気な下町です。

 東京の人が持つ「神戸」」のイメージとはおよそかけ離れているでしょうが、修学旅行生の体験学習の受け入れをいち早く始めるなど、コミュニティの力がととのった街です。

 ただし、百貨店の立地としてはどうでしょうね。地域とのお付き合いという意味で大丸は長い間頑張ったと思います。過去の改装では食品売場の地元テナントに包丁を持って追いかけられた・・・とか聞きます。百貨店のサラリーマンにはきつい立地だったかも知れません。

 大丸の本社が東京に移って地域との付き合いをドライに考えるようになった事も少なからず影響はしているでしょう。ただ、この規模の百貨店の運営は難しいです。後継テナントは西友だそうです。

 大丸ららぽーと横浜店も来年1月に閉鎖されます。

 数字だけ見ると山科店も厳しいですね。さすがに芦屋店は閉店することは無いでしょうが。

 阪急・阪神も神戸阪急を閉鎖し、都筑阪急を業態転換するなど店舗の再編が続きます。

 小型店舗の再編には食料品売場を大丸であればピーコック、阪急であれば阪急オアシスに移管し、伊勢丹がSCの出店などで、てがけている「化粧品雑貨を中心とした小型店舗ユニット」で百貨店らしさを残しながら、専門店テナントを導入するという形になっていくでしょう。百貨店らしさをどう残すかがポイントです。スーパーでは一時オアシスが良くなったかも思いいましたが、ピーコックに一日の長があるようです。(その後大丸はピーコックを売り払いましたが)

 それにしても阪神は強い(大丸に比べて)

 梅田大丸が入店客数で阪神を抜いたと報道されましたが、売上については店舗面積が大きいにも関わらず、阪神に大きく引き離されています。

 というか、梅田大丸としては何とか入店客数でおいついたので、ここからが勝負なのだと考えているのだと思います。

 阪神の小型店舗は課題が多いのですが、本店は強いですね。(その後、阪急に食料品のめぼしいテナントを引き抜かれたりして、売上げを急激に落としましたが)

                                                (2012年10月19日)

図ー大丸の店舗と 2011年の売上と入店者数
図18
図ー阪急、阪神の店舗と 2011年の売上と入店者数
図19
(各社決算短信より)
■主食として「パンがお米を逆転した」報道へ疑問

 「パンがコメを逆転」とのNHK報道

 今年の6月頃のNHKの番組でパンへの支出がコメを抜いたとの報道が有り、主食としての「コメ」の凋落を取り上げていました。データの出所は総務省の家計調査で2011年の年間支出をもとにしています。

 確かに、コメの消費量は少なくなってきていますが、この比較はおかしいとは思いませんか?

 まず、パンは小麦から加工されていて付加価値があがっています。手をかけた分だけ金額は膨らみます。一方のコメは調理用の素材です。もし比較するとすれば、食品として加工された後のパック米やおにぎり、弁当と消費金額の比較をしなければいけません。

 下図のようにパンの消費金額とおにぎり・寿司・弁当の消費金額はほぼ同じです。

 コメの食べ方も家庭で炊飯するより加工食品としてパック米や冷凍おにぎりを買ったり、中食の弁当を食べたり、外食で消費する消費量の方が多くなっています。

 これは家庭での食の形態の変化として論じる数値で、主食の交替というストーリーは強引すぎます。

 TPPが話題になる中で、コメの重要性はたいしたことないよと言う社会的な雰囲気を作るための印象操作で、米国の意向をうけたNHKのの謀略である・・・という人が出てきても不思議ではありません。

 それは冗談としても、誰でも少し考えればわかるでしょう。
                                            (2012年10月18日)

  

図ー1世帯あたりの年間支出(2人以上の世帯)
図20
図21
(家計調査)
■「オタク市場」は日本を救うのか?

 オタク市場最大の市場規模を持つのはオンラインゲーム3,868億円

 矢野経済研究が真面目に市場規模を算出しているくらいですから、大企業や官庁でも、「オタク市場」が本当に経済活性化の救世主になると考えている人が多いのでしょうね。

 王道である「プラモデル」が263億円、「鉄道模型」が161億円、「プロレス」が122億円とつつましいのに対して

「オンラインゲーム」の市場規模が3、868億円というのはすごい規模ですね。無料じゃなかったのかしらん・・・。
 どこかで、しっかりとお金を吸い上げられているのですね。

 「コミックス」が3,903億円の規模なのに対し電子コミックが545億円です。タブレットやケータイの操作性が悪いのと、コンテンツの囲い込みが過剰で選びにくいので個人的にはあまり利用しませんが、電子コミック書き下ろしの作品が流通するようになると紙媒体に取って代わっていくのでしょうね。

 「AV」が何となく元気が無いです。かつては新しいメディア(ビデオデッキ等)はAVソフトをきっかけに普及すると言われていたのですが。この世界のデフレ化も進んでいるのでしょう。

 コスプレ関連は衣装とサービスを合わせて520億円と大きな市場を占めています。良かったですね。(大阪をコスプレイヤーの聖地にするという提案をグレートリセットに加えるのはいかがですか)

 「同人誌」市場も690億円と「電子コミック」や「アイドル市場」を上回っています。情報の流通が一歩通行では無く双方向になってきている現れでしょう。

                                       (2012年10月17日)

 鉄道模型、ジオラマの河合商会が破産しました。マニア向けのこの種のビジネスは景気変動にも強いと思っていたのですが、中国向けに売上が伸びたことが仇になった様です。クールジャパンのかけ声に踊ることもまたまた善し悪しですね。
図ーオタク市場の市場規模(2011年)
図22

矢野経済研究所「クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究2012」
コミックは全国出版協会 ゲームソフトは「情報通信白書」
■海外ショップが大阪で1号店を開く理由

 タイガー  コペンハーゲン 9月22日再開
 7月21日に開店したものの商品の供給が追いつかず、閉店していた「タイガー」が9月21日に再開しました。

 2012年7月21日、デンマークの激安雑貨チェーン「タイガー・コペンハーゲン」のアジア1号店が、大阪・ミナミのアメリカ村にオープン。初日には約400人が開店前に並び、終日大勢の客でにぎわった。
 三角公園近くのプレヴュービルに、売り場面積530平米、2層の大型店を出店。北欧デザインのカラフルでユニークな生活雑貨を約1000アイテムそろえ、均一の低価格で販売する。欧州の標準店は売り場面積200〜300平米で約2000アイテムを展開。毎月300アイテムが入れ替わるが、日本1号店は入荷が間に合わず半分のアイテム数でのスタートとなった。順次新商品を投入し、3カ月後に2000アイテム、半年後には2800アイテムに拡大する予定だ。初年度の売上高約1億円をめざす。
(日経トレンディ記事より)

 何故東京では無く大阪に1号店を出店したのでしょうか?

 「東京はマーケットが巨大なうえ、毎日多くの店舗がオープンしているので、その中に埋もれてしまう。大阪はコンパクトな都市なので注目されやすい。関西の人はカラフルなものが好きだと聞き、1号店にふさわしいと判断した」(CEOレナート・ライボシツ氏)

 同じ事を別の場所では「東京には特徴的なエリアが沢山あり1店舗をオープンしても限定した地域のものになるため、埋もれてしまう危険性があると考えた」
 「東京に比べ、都市のサイズがコンパクトな大阪では1号店をオープンしたら全体からお客さんに来てもらうことが出来、広く知れ渡ると考えた」
 「大阪進出に際しジェトロや大阪商工会議所のサポートを受けられたが、東京では大阪のようなサポートを受けることが出来なかったかもしれない」友語っています。

 1.埋没しない
 2.より広い客層に知ってもらえる
 3.行政等のバックアップが得られる
 4.客層の好み=カラフルな商材が関西の顧客に受けると考えた

 多店舗展開をするテストマーケティングとしては「大阪」が手頃だったのでしょうね。出店コストも安く抑えられたはずです。

 イケヤやH&Mなど北欧風のテイストはかなり「日本人好み」なのだと思います。
(その後「ASOKO」等の低価格北欧雑貨の店は急激に増殖しています)

 それにしても、「大阪」に1号店とは」良い着想ですね。これを契機にもっと他の企業も、関西の立地に目を向けて欲しいものです。
                                                    (2012年10月16日)
■世界の都市力ランキング〜居住分野では大阪が世界2位

 大阪の全体評価は17位 経済22位 研究開発12位 文化・交流28位 
 居住2位 環境17位 交通20位


 居住分野は「就業環境」「居住コスト」「安全・安心」「生活環境」「生活利便性」からなる指標で評価されています。大阪は世界で2位です。大阪は猥雑だとか、沈んでいるとか、首長にも言われていますが、客観的な指標で見ると決してそうではありません。

 文化交流分野は「交流・文化発信力」「集客資源」「集客施設」「受け入れ環境」「交流実績」が指標化されています。(決して文化ストックの評価ではありません)今年はロンドンオリンピックの効果でロンドンがトップで、総合評価でもトップに躍り出ました。まあ、それはそうでしょうね。

                                          (2012年10月12日)
図ー世界の都市ランキング
図23

図24

図25

図26


(森記念財団 都市戦略研究所 世界の都市総合力ランキング2012年)

■積み重ね型ネーミングの問題とブランディング〜あちこちに気を遣いすぎ
「LIVING&デザイン 住まいと暮らしのインテリアTOTALデザイン展 企画展de sign de > リノベーション」

 何故こんなに長くなるのか良くわかりませんが、10月20日から中之島バンクスで開催されます。お時間があればぜひのぞいてみてください。それにしてもタイトルのネーミングが長すぎます。最後の企画展のタイトルも読み方が示されていなくて自己満足の世界です。ネーミング、ブランディングも含めてデザインだと思うのですが・・・。

 同時期に行われる今年の「びわ湖環境ビジネスメッセ2012」も是非ご覧下さい。大飯原発再稼働でクローズアップされた関西の水源の原子力発電所事故によるリスクの扱いがどのようになるか注目されます。再生可能エネルギー推進への方向転換が示されるでしょうね。

 うめきた先行開発地域『グランフロント大阪 ショップ&レストラン』

 当初は商業施設のネーミングを考えようとされていました。結果的に独自のネーミング無しになったのは「うめきた」と「グランフロント大阪」のネーミングがうまく階層化されていなくて並列的なものを積み上げた印象があるからではないでしょうか。賢明なご判断です。

 「グランフロント大阪」については例えばマンション名としては適当ですが、「先行開発地域」の地域のネーミングとしては不適切だと思います。

 シンプルに先行開発地域は「うめきた一番地」とでもするべきです。その中のマンションやオフォスビルが「グラント大阪レジデンス」とか「グランフロント大阪タワー」とかになっていれば、商業は商業としてのネーミングを持てたはずです。

 商業が独自のネーミングを持てたとすると、一体となった販促や催事、顧客作りもより効果的に進められたでしょう。例えば、ポイントカードをつくるにしても「グランフロント大阪ショップ&レストランカード」となるのは無駄に長すぎます。

 多分、「うめきた」というネーミングがダサイ、かっこ悪いと考える人達がいて、「グランフロント大阪」を推し進めたんでしょうね。内情は全く知りませんが、そのあたりの葛藤が想像されてしまいます。
 
 それにしても「LIVING&デザイン〜以下略〜」って何をしたいのでしょう。「ミラノサローネ」とかだったらシンプルでわかりやすいのですが、色んな人の言いたいことがありすぎて、みんなの顔をたてた結果でしょうか。

                                                 (2012年10月11日)
■容積率緩和は魔法の杖では無い

 丸の内ブランド投資の回収率は?

 丸の内には戦前から続いた百尺規制(高さ30メートル)がありました。中層ビルがならんでいたのです。2002年の丸ビルの建て替えは国の規制緩和方針にのっとっていたものです。丸の内エリアの三分の一を保有する三菱地所は丸ビル開業からの10年間に7000億円を投資し次々に、超高層ビルに建て替えました。

 高級商業施設を導入し、2.4万人だった休日の来街者は6.2万人に増加しました。延べ床面積は7割増えたそうです。ただし、貸し付け可能な面積あたりの賃貸収入は2%の伸びにとどまっています。

 賃貸収入は1254億円から1967億円と伸びているのですから文句は無いでしょうが、立地の良さ割に付加価値は上がらなかったとも言えそうです。

 なかなか難しいものですね。

 今後「外資などグローバル企業の受け皿となる機能を高める」方針だそうです。英語対応可能な外来病院や長中期滞在型の高級賃貸マンションが整備されます。中国との関係が短期的には微妙なだけに、長い目で見ていく必要がありそうです。それだけの価値がある開発だと思います。

 御堂筋容積率緩和論を排す

 東京の駅前一等地で、日本有数のデベロッパーである三菱地所が運営していてもそのような状況です。街の付加価値をあげるには、長期的な戦略が必要です。関西の景気を盛り上げるのに、御堂筋のビルの容積率を緩和することが効果的という俗論が跋扈しています。

 使い道が無くてハコだけが大きくなると、安くなった賃貸床にソフトバンクのケータイショップや学習塾が入り、やがてパチ屋になるのは目に見えています。

 戦略の思考の順序が逆なのです。大事なことは目に見えないことです。わかりやすくないことから解き明かすことです。

                                       (2012年10月10日)
■連動性に欠ける三越伊勢丹の店内

 催事の案内が無いJR大阪三越伊勢丹

 梅田阪急の開業を控えて、JR大阪三越伊勢丹は正念場を迎えています。「伊勢丹らしさ」を崩していないポリシーの明確さはとても大事だと思いますが、店内の回遊性が悪いのは建築構造上の問題ばかりでは無いと思えます。

 売場の連携が悪いですし、ルクアや梅田大丸との連携も悪い・・・。

 日常的に一番人が集まる食料品売場で上層階の催事の案内が全く見当たりません。エスカレーター回り、エレベーター回にも見当たりません。うめきたが開業し、11月21日に梅田阪急8万uがオープンすると人の流れは大きく変わるでしょう。

 このままではJR大阪駅の商業施設の将来は決して明るくありません。

 
 うめきたの商業施設は通勤者の飲食が中心?
 
 来年4月に開業するうめきたの先行開発地域の商業施設は、大型のフラッグシップストアと雑貨、飲食が中心になりそうです。ネーミングも色々考えておられたようですが、「グランフロント大阪、ショップ&レストラン」とそのままです。駅裏という人の流れが今までにあまりない場所ですから、街区内の通勤者等が中心になりそうです。どれだけ流動者を集めるかが勝負です。
 開業後、多くの来場者を集めています。商業施設の運営者が阪急阪神であったことが成功要因でしょうね。

 A・B ブロック低層部の商業施設『グランフロント大阪 ショップ&レストラン』のキーコンセプトは「お散歩」。大阪・梅田という大都会にありながら、豊かな水と緑に囲まれた環境で、お散歩をしながらゆったりとお買い物やお食事を楽しんでいただける施設が誕生します。
また、都心部のターミナル立地としては日本最大級という規模(店舗面積:約44,000 u)を活かし、関西旗艦店とこだわりショップの集積した物販ゾーンや、本物の「味」が楽しめる飲食・食物販ゾーンなど、バラエティー豊かな266 店舗の入居を予定しています。
(プレスリリースより)

 ブランディングの戦略は不動産開発でも重要

 余計なお世話ですが、うめきたのプレスリリースはもっと大阪駅北口の安藤忠雄先生の設計した北口広場の環境イメージを前面に出した方がインパクトがあったでしょうね。
 墓石のようなビルの全景では無く歩行者目線での環境整備がされているはずだと思うのでセールスポイントが逆です。

 梅田の利用者にとって「うめきた」が大阪市民にとってどんなすばらしいプレゼントとなるのか?高層ビルが立ち並ぶ風景を喜ぶのは一部のマニアだけです。

 今のままの環境では、決して美しい建物群には見えません。大阪駅の反対サイドの駅前の再開発ビルとどう違うのでしょうか?残りの敷地の緑地化が急がれます。商業施設のお散歩が出来る街というコンセプトは素晴らしいので、早くその形が見たいと思います。

 11月28日には中之島のフェスティバルホール建て替えで、商業ゾーンである「フェスティバルプラザ」が開業します。4,400uの店舗面積になります。大川の水辺と言うことと、大阪随一の文化施設であることで他に無いビルとなっています。
 
 JR大阪駅ビルにしても、うめきたにしても寄り合い所帯の遠慮がブランディングを阻害しているのかも知れません。うめきたのオフィス入居率50%というのは景気が低迷していることだけが理由なのでしょうか?
                                            (2012年10月09日)
■未来を謳うけれど現在と歴史が見えない「うめきた」はどこからきて、どこへ向かうのか?

 日経新聞でさえ「優」にはほど遠いと辛口評価

 関西最後の一等地といわれていた大阪駅北地区「うめきた」の先行開発区域「グランフロント大阪」の概要が10月3日に発表されました。23.6万平米のオフィスは坪3万円の賃料もとれずに、開業時には半分しかうまらないだろうといわれています。住宅販売は好調ですが、投資目的の購入が多いとも報道されています。

 ナレッジキャピタルとしての構想が具体化されず、商業利用ばかりがすすめば、優良可の採点をしたときに「優」はとても望めないと10月4日づけの日本経済新聞で辛口に評価されていました

 「多様な人々や感動との出会いが新しいアイデァを育むまち」を実現するために、「大阪・関西からアジア・世界へのゲートウェイとして、多様な人々の集積や交流、感動との出会いを通じて、このまちで生み出される新しいアイデアや多様なイノベーションにより、大阪・関西、さらには日本の成長・発展を目指します」ということです。

 なんだかネットで拾った言葉をあつめて自動生成されたメッセージに聞こえるのは、5W1Hと主語がぼやけているからでしょうね。

 現場で奮闘している優秀なスタッフも知っていますし、水に落ちた犬をたたくようなまねはしたくないのであまり揚げ足取りのようなことはしたくないのですが、大企業が集まってプロジェクトを進めると、それぞれが自社の上司の顔色をうかがうので、結集されたはずの英知が凡庸なものになるという事例です。

 
                                          (2012年10月05日)
■今日の粗大ゴミから何が見えるか?

 パソコンラックが不用品となるわけ

 たまたま、今朝の粗大ゴミで「パソコンラック」が2つごみとして出されていました。最近は家庭用でもノートパソコンが中心になっています。デスクトップ型でもディスプレイと一体となっていて、テレビと外見は変わりません。リビングにおいても違和感は無いデザインになっています。

 その結果、かつては各家庭に便利なデスクとして使われていたパソコンラックが無用の長物になっているのです。プリンターも今は無線LANでつながっていますからね。本体、ディスプレイ、プリンター台で構成されているラックは邪魔になっているんでしょうね。

 家具屋さんに話を聞くと、昨年までは地デジ対応でテレビの買い換えが進み、テレビボードが爆発的に売れたようですが、これからは大型テレビは壁掛け型が主流になるはずで、その際テレビボードは不用品になるだろうと観測されていました。

 ネットとテレビの融合

 ホリエモンがフジテレビを買収しようとしたときに、ネットのテレビの融合という将来イメージを多くの人が現実的なものとしてイメージできませんでした。地デジ化でチャンネルが増えたテレビは恐ろしくコンテンツが貧弱で、同じようなお笑い芸人と安く仕入れた韓流ドラマ、テレビショッピングが放送時間の大半を占めています。

 今、若い人はほとんど新聞を神で読みません。同じような減少はテレビでも起こりそうです。画面はニコ動やネット経由のコンテンツ、ゲームが中心で、その中にテレビ放送のコンテンツも選択肢となる逆転現象がおきるでしょう。
 ネットが主で放送が従になる・・・・・。今はまだ、テレビの放送の方がコンテンツ制作にお金がかかっていますが、広告主が実態に気がついたときには「広告費」の流れが変わるのでしょうね。

 中身に魅力がある方に視聴者は流れます。

※おまけの話題

 ダイエー「フーディアム堂島」が心配・・・

 昨年9月にオープンした都市型食品ス-パ「フーディアム堂島」。
 開業当時は「コンビニとスーパーのいいとこどりを目指したようです。
「店舗の実に3分の1以上が手軽にさくっと食べられる系の「中食カテゴリー」となっており、合計約300品目あるデリカ売場を中心に圧倒的な品揃えとなっています」

とか言われていましたが、

1年ぶりに店頭を除くと290円、390円のお弁当が山積みになっていました。チキンの揚げ物をつかったボリュームのある弁当の安売りはまるで「スーパー玉出」を彷彿させます。

 飲み物も同じ商品を大量に並べる、悪い意味での米国のスーパーのような陳列になっています。売場が広すぎて、持てあましているのです。

 広さがあるならコーヨーの淀屋橋店のように、オープンキッチンを導入すればいいのですが、このままでは惣菜が多すぎて、ロスも多いだろうと思えます。
 食材の原価が安いチキンの揚げ物が中心になっていて、価格訴求で売りたいのはわかりますが、玉出ほど徹底しているわけではありません。
 この立地で肉体労働者向けのメニューを揃えてもミスマッチです。・・・ちなみにコーヨの弁当は490円。食材の原価を考えると美味しい弁当の値段はワンコインまで下げるのがが限度でしょう。

 何よりも「食」に対する愛情や,執着が感じられない店を続けているのが間違いです。

 アメリカ人だったらこのような店満足するかも知れませんね。彼らは一部のマニアを除いて食には全く執着しませんからね。

 コンテンツに魅力のある店にお客様は流れます。

                                            (2012年10月04日)

図27
■市場規模4兆円は大げさだが、これから伸びる「ヘルスツーリズム」

 ヘルスツーリズム市場規模4兆円〜JTBヘルスツーリズム研究所

 「ヘルスツーリズムは,自然豊かな地域を訪れ、そこにある自然、温泉や身体に優しい料理を味賄、心身とも癒され、健康を回復・増進・保持する新しい観光形態。医療に近いものからレジャーに近いものまで様々なものが含まれる」
という定義がされています。

 国内旅行市場16兆円の四分の一である4兆円と、JTBヘルスツーリズム研究所によって推計されています。この定義だとほとんどの旅行が含まれそうな気もします。

 少し範囲が広すぎて参考にしづらい数値ですね。

 着地型旅行とは

 観光客の出発地である都市部等での企画では無く、地元の自治体、旅行会社、企業などが主体となって企画された旅行商品を「着地型旅行」と呼びます。

 地域興しとか地元の資源を活かした商品開発の観点から考えると、こちらの数字の方が参考になりますね。観光庁の推計で331億円で259万人が参加している(2009年)と推計されています。
 その中で、ヘルスツーリズムとして分類されるのは「心身の癒やしと健康の増進・保持」すなわち健康増進(一次予防)と、健康の回復「リハビリテーション」(三次予防)にあてはまるもので、42億5,800万円の市場規模と推計されています。

 健康診断や治療を目的とした旅行は含まれていませんが、地方が地域興しに関連して企画するにはこのあたりが目安になりそうです。これに加えて、「ビューティツーリズム」美容のための旅行を加えるとほぼカバーできます。
(韓国への美容整形ツアーとかはまた別の領域になりますが、コスメ商品買いあさりツアーとは入ってきそうですね)

 「癒やし」というジャyンルにはエビデンスはありませんが、お客様の心をくすぐるキーワードになるので、「効用」をうたえなくてもイメージを伝える工夫が必要でしょう。

 単なるグルメツアーでは食べるお腹の制約がありますが、アンチエイジング、セラピー療法でしたら付け加える料金が結構ふくらみますし、リピーターの確保にもつながります。

                                          (2012年10月03日)
図-着地型旅行市場規模推計(2009年)   百万円
図28
(観光庁)

 同年の国内市場規模(観光消費)は23兆9,040億円と推計されている

■旧桜宮公会堂が結婚式場兼レストランとして再生

 旧桜宮公会堂〜国の重要文化財の歴史文化の価値

 大阪市北区天満橋にある「旧桜宮公会堂」は桜の通り抜けで有名な造幣局の北、帝国ホテル大阪のあるOAPの南に立地する「泉布観」地区に立地しています。
 
昭和10年に市民の寄付で明治天皇記念館として設置されました。正面玄関は造幣局の建て替えの時に移設された明治4年築の国の重要文化財となっています。泉布観もまた明治初期に建築された大阪最古の洋風建築で国の重要文化財に指定されています。

 桜宮公会堂は昭和55年まで大阪市立図書館として利用されていましたが、長く利用されていませんでした。

 昨年4月の事業者コンペでいったんは(株)プラネットワークが事業予定者として決まっていました。結婚式場を中心にカフェレストランなど,パーティ会場を併設し、「人が,時代が、地域が交流するレトロな未来志向公園」をコンセプトに、」3.8億円の会総投資で5.3億円の営業収益を上げる計画でした。2012年秋に開業予定ということでした。同社は万博公園の迎賓館やブライダル事業などを運営する企業です。

 今年2月の契約締結前に事業者が辞退し、第2候補の(株)ノバレーゼが結婚式場、カフェ,ギャラリーとして整備することに決まったようです。「人々が集う 桜宮TSDOU GARDEN」で365日開放されるようです。4.4億円の投資で6億円の営業収益を見込みます。年間160組の披露宴を予定しています。同社もハウスウェディング業態を多く手がけており、神戸のジェームス邸をゲストハウスとして今週オープンします。

 結婚式も旧来の結婚式場やホテルでのウェディングから邸宅型のウェディングやリゾートウェディングに主流が移っており、街の中でも疑似邸宅や疑似協会が多く建てられています。

 川沿いに面しており、近くには帝国ホテル大阪や、雅叙園があるように水に面した自然環境は(桜宮の土地イメージは別にして)抜群なのですが,天満橋、京橋、桜宮から遠く、交通アクセスは今ひとつです。

 ハスウェディング業態は休日だけ稼働させて平日は閉めることで運営コストをさげます。365日オープンするには足元商圏が弱いと判断しますが、勝算があるのでしょうね。民間が修復コストを負担するとしたらこのプランしかないのですが、ランニングコストが事業者にとっては負担になりそうです。

 中之島の府立中央図書館もある意味、もし、民間の活力で活性化しようと考えるのなら「ハウスウェディング」+「カフェ・レストラン」となるのでしょうね。仕事の必要上あそこは図書館で無いと困るのですが、もし、中之島でこの程度の活用法であるのなら、ビジネスとしてもあまりスマートでは無いなと勝手に想像しています。あくまでも仮定の話なのですが・・・・

 民間活力で活性化?・・・・は万能では無い

 民間活力を活用すれば、どんな事でも解決できるというのは幻想です。

 千里中央地区の活性化の切り札として導入されたヤマダ電気LAB千里中央は当初は活気があったのですが、地デジ化以降業界全体の落ち込みと共に、売場に活力がありません。

 広い売り場なのに商品が揃っていない・・・これって何なのでしょう。日用雑貨、ゲーム関連、書籍、雑貨類など単価の低い商品が縮小され、巨大なケータイ売場になっています。ビジネスモデルの軌道修正ができないのでしょう。 

 もし百貨店でないにしてもイオンモールかイトーヨカドーが入っていればもう少し対応策があったと思います。当時の勢い、それが永久に続くと錯覚したのでしょうね。

 一時の勢いだけで業態開発能力の無い企業が一等地に入ると、目も当てられないことになります。

                                               (2012年10月01日)
 9月
■漫画ミュージアムへの偏執〜北九州市立漫画ミュージアム開業

 北九州市立漫画ミュージアムのコンセプト

 北九州市は松本零士氏など日本を代表する著名な漫画家を多く輩出しています。
 本市では、それら多くの作家やその作品を地域の資源として、漫画文化の振興とまちのにぎわいを創出するため、幅広い年代の人々に漫画の楽しさや魅力を伝える漫画文化の拠点施設「(仮称)北九州市漫画ミュージアム」の整備を進めています。

 (仮称)北九州市漫画ミュージアムの整備予定箇所である小倉興産21号館では、漫画ミュージアムのほか、漫画関連の店舗等が誘致される見込みであり、施設全体が漫画による統一コンセプトビルとして、全国へ漫画文化を発信する拠点となります。


 観覧料は400円。お得な年間パスポートは2,000円です。色々な展示と、漫画の読み放題。北九州市は国営漫画喫茶と揶揄されて頓挫した元総理の麻生さんの地元で、宿願で会った「漫画ミュージアム」を実現したと言うことでしょうか。

 はたして、これは公営漫画喫茶なのかどうか、是非一度見た上で検証する必要があるでしょう。小倉には松本清張記念館が有り、展示の難しい文学館をうまくつくっていました。

 サブカルチャーを展示する手法はまだ開発されていないので、どんな工夫がされているか楽しみです。地元作家松本零士一本ではあまり面白くない。鳥取県の水木しげるは漫画も作家もテレビドラマのおかげで広い層に親しまれていますが。松本零士が大好きな世代は限られた世代の限られた人達だけですから。

 あるあるシティはサブカルチャーで街を再生

 このミュージアムが入館している「あるあるシティ」はもともと「ラフォーレ原宿」でした。ファッションでは立ちゆかなくなり、漫画、アニメ、フィギュア、パソコン。吉本の芸人スタジオなどのサブカルチャーの店舗を集積して再生を図っています。コスプレショップもあるようです。

 九州から韓国の「おたく」の聖地になればいいですね。

 名古屋とか北九州のような工業都市っぽい街が「おたく文化」との親和性が高い理由を、いつかきちんと分析しておきたいですね。

                                                 (2012年09月28日)

■中国は分裂する〜堺市民が受けてきた反秀吉教育

 大阪が一つなんてとんでもない

 「大阪の神さん仏さん」釈撤宗・高島幸次(株)104B刊を読んでいて、著者の一人、高島先生が土地神を移築させた秀吉のことを快く思われていない事から、堺出身の私の「反秀吉感情」がふつふつと蘇ってきました。

 商人の自治都市であった堺の街を防御する外濠を埋めてしまい。商人を大阪市内へ強制移住させた秀吉、堺出身の千利休を切腹させた秀吉のことを、「黄金の日々」を弾圧した破壊者として、堺市民は今に至るも許してはいないのです。
 小学校の郷土史ではあきらかに「反秀吉教育」が体系的に行われていた記憶があります。(米国の陰謀でも無く,日教組の陰謀でも無いのですが。

 フィクションの世界では、「プリンセストヨトミ」(万城目学の小説。大阪人は豊臣秀吉に忠誠を誓いひそかに大阪国を継承している)とか「定吉七番シリーズ」(東郷隆のスパイアクション、大阪商工会議所所属の殺人許可証を持つ丁稚が東京の悪の組織NATTOと戦うシリーズ。ジェームスボンドのパロディ)にあらわれているように全ての大阪人が大阪が勢いの良かった頃の象徴として秀吉を敬愛している様に描かれています。
 
 ところが、高島先生は学生にアンケート調査させ、大阪での秀吉と家康の人気には差が無いと実証しています。

 大阪と呼ばれる地域でも河内、摂津、和泉ではそれぞれ気質も価値観も違います。大阪はひとつではありません。地域の中にある過去のルサンチマンは決して無くなってはいないのです。

 中国はひとつなのだろうか

 広大な国土とたくさんの国々、民族で構成されている中国について。いまだに人民服と毛沢東語録の時代のイメージをもってひとつの画一的な國と思い込んではいないでしょうか?

  中華人民共和国については香港しか知りませんが、仕事をともにした韓国や台湾では地方の違い、地域の違いははっきりとわかりました。本当はもっと多様なモノを国家の力で無理に一つにまとめているような気がします。

 今回の騒動で,暴力行為を働いているのは間違いなくごく一部の人であり、多くの人は眉をひそめているのは日本と同じ状況だと思います。階層の差であり地域の差でその意見は本当は違うはずです。政府のコントロールも効かなくなっているように見えます。貧富の差が大きくなりすぎている中で若者の失業率が高い不満も大きいのでしょう。

 無理矢理に押さえつけている「画一性」のたがが外れてきていると思えます。地域のルサンチマンは前述のごとく根深いモノです。

 中国は今後地域毎に分裂するのでしょうか?なんだか、その方が怖いような気がします。核を持っていますしね。

                                             (2012年09月26日)

■大阪に1to1マーケティングを〜住みやすい都市国内トップ(エコノミスト誌調査)

 イギリスの雑誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニットがまとめた「世界で最も住みやすい都市ランキング」では大阪は12位と東京の18位、香港の31位、北京の72位より上位にランキングされています。
 
 これは世界の140都市を対象に治安状況や医療サービス、文化、環境、教育などの30項目を基に「住みやすさを」数値化したもので、トップはカナダのバンクーバー、2位はオーストラリアのメルボルン、3位はオーストリアのウィーンがあがっています。

 国内の多くの人は先入観を持って街を評価しますが、先入観を持たずにデータを評価すれば大阪は決して住みにくい都市ではありません。

 デマや誇張を含めて間違った情報発信が続く中、どんな人に大阪を訪れてもらい、好きになってもらうのか1to1マーケティングが必要です。

 ルクアの影響で売上を落としていた西梅田の「ブリーゼブリーゼ」が好調です。全館一律では無く個々のテナント顧客向けフェアにあわせた個別ポイントアップなどきめ細かい顧客対応にあります。
 
商業施設も都市経営もキメの細かい対応を厭っていてはだめですね。

                                          (2012年09月24日)
■伝統芸能をささえているのはシニア女性

 大阪の教養文化はシニア女性、おばちゃんが支えている

 文楽を巡る橋下市長の発言は、橋下氏に対してそれなりにシンパシーを持っていた層にもひんしゅくをかっています。文楽や歌舞伎、クラシック音楽を愛好するのは一部の知的なエリートなのでしょうか?

 大阪に関して言えばそれらを上演する、国立文楽劇場、大阪松竹座(歌舞伎)、ザ・シンフォニーホールなどの利用者は60歳代の女性が圧倒的に多いのです。

 男性はひどいもんです。

 教養とか文化は直接的な効果はすぐに見えませんが、時間をかけて浸透し、引き継がれていきます。豹柄の派手なコスチュームのイメージで語られることが多い大阪のおばちゃんですが、(実際にある学者の調査では豹柄は神戸、京都の方が多かったといいます)大阪の教養や文化を支えています。

 船場の嬢はんの嗜み伝統がまだ生きているのかも知れません。

 改築中のフェスティバルホールは来年4月に開業です。先だってフェスティバルプラザ(商業ゾーン)が11月28日に開業します。

                                                     (2002年09月21日)
図ー過去1年間のホール劇場の利用
図29
(なにわ考現学 2005)大阪市内通勤者を対象にしたアンケート調査
■健康意識が食生活を変える

 この10年間に栄養バランスを気にする人が大きく増加

 厚生労働省のキャンペーンの所為かもあるのでしょうか、この10年間で「栄養バランスを気にするようになった人」は各年代で6割を超えています。量を減らして、低カロリーで、味が薄めで、良質のモノを選ぶようになってきています。空腹を満たす飢餓の時代の名残は完全に払拭されています。

 特にシニア層で健康のために意識されていることは、規則正しい食事と無農薬、無添加の食材、新鮮な食材の選択です。無農薬、無添加の市場は小さいお子さんをかかえたお母さん層でしたが、年代別に見るとシニア層で突出していることがわかります。塩分控えめ、糖分控えめ、.油控えめに関してはメタボ健診世代前後から意識的に訴求されていますが、シニアに絞った無農薬、無添加はあまり意識されていないように思います。

 かつては、白米をお腹いっぱい食べることがごちそうだった時代がありました。学生向けに大盛りの料理を売り物にした食堂も、学生街を中心に多かったように思います。今は若い世代を含めてそんな意識はないでしょう。

 「ごはんの友」が少し前にブームになっていましたが、昔のようにこれだけで何杯も米を食える・・・という食材では無く、お酒を飲めない人も楽しめる「珍味」としてとらえないと、売れないと思います。

 食習慣は地域差も残っており保守的なものなのですが、「健康意識」が根本の部分を変えているのです。

 情報入手手段の違い

 この調査でも世代による情報入手手段の違いが顕著です。60〜70代では新聞記事のウェートが高いのですが、50代以下の若い世代ではインターネットが新聞を上回ります。

 古いメディアでもテレビ番組は各世代共通して参考にされているというのは興味深いものがあります。

 一時、自粛されていたテレビの情報番組での健康食材の紹介が再開しているというのは根強い人気があるのでしょうね。

                                              (2012年09月20日)
図ーこの10年間の食に関する変化
図30
図ー健康維持増進のために意識していること

図31

図−健康維持・増進のための情報源
図32


日本政策金融公庫 2012年上半期消費者動向調査 より
■11月21日「阪急うめだ本店」グランドオープン

 売上高2,130億円の巨大店舗がいよいよグランドオープン

 今年中にオープンするかどうかが危ぶまれていた阪急うめだ本店がいよいよ11月21日にグランドオープンします。

 8万平米の「劇場型百貨店」は情報リテイラーとしての百貨店を目指すそうです。初年度の売上は2,130億円。百貨店の原点に戻るという事で「業態価値」を再構築するという方向性を選んだようです。

 13層の高層百貨店は回遊が大変ですが、フロア毎の色分けははっきりしてきます。フロア構成をざっと見た限りおばちゃん向けのフロアがありません。(また、あとで付け加えるのかも知れません。それとも阪神と役割分担するのかな)

 サービスが充実し、カード会員のメリットが増大

 梅田の百貨店4店は阪神を別にして置いてある商品はそれほど代わり映えしません。カードの割引率が顧客の購買をつなぎ止めている側面もかなりあります。(だからこそ、伊勢丹三越は定着に時間がかかっています)

 今回うめだ阪急はサービス機能がかなり充実しています。WI−FI利用サービス、お子様一時お預かりのキッズルーム、カード会員専用の遊トライ応パウダールーム、クロークサービス等でカード会員はかなり優遇されています。

 割引率の競争では限界に来ているので、競合店にとってはかなりこたえてくると思います。

 後方施設の充実にも注目

 15フロアに及ぶ縦の移動をささえる後方施設として従業員専用のエスカレーターが設けられています。従業員用トイレにもパウダールームを設けるなど、見えない部分の設備充実にも注力しています.バック動線の充実で、売場を通らずに品出しができるようになっています。

 阪急の開業で又人の流れが変わっていくことでしょう。百貨店業態の梅田大丸、三越伊勢丹より、ルクアの数字が厳しくなっていくと見ています。

 (その後ルクアは快調に売上げを伸ばし、一方JR大阪三越伊勢丹はますます落ち込んでいきました。うめはんシスターズが不調で、棲み分けがはかられたようですね。)


                                             (2012年09月19日)
■高速道路立地の可能性

 新東名ネオパーサ お盆期間中は1日平均20万人の来場者

 新東名のSA、PAに開設された商業施設7カ所は、この夏のお盆期間中、14日間(8月6日〜19日)で300万人の来場がありました。1日平均20万人。そのうち10%は高速道路外の一般道からの入場だったそうです。(ぷらっとパークは高速道路外の一般道からSAに入る駐車場です)

 アローズやビームス、フリーズインターナショナル、玉屋などのファッション系専門店が出店するなど今までのPA、SAとは異なった新しい取り組みをしていることで開業時も話題になりました。夏休みの時期で行楽客も多かったのですが、ファッション系の店舗が好調だったといいます。

 高速道路の無料化がなくなったり、ガソリン代の高騰というマクロ的なマイナス要因もありますが。今まで注目されていなかった立地と言うことで新しい需要がとりこめているのでしょう。

 大きな成長を続けているわけでもない「立地」でもまだ、着眼点によっては開発の余地があるということもいえそうです。(開業悟1年間の結果は2013年4月のページで紹介しています)

                                       (2012年09月18日)
■東北の夏祭りの動向に見る復興への道程

 2012年の東北の夏祭りの入れ込み客数1,504万人 前年比1.3%の増加

 今年の主要な夏祭りの入れ込み客数を日本銀行がまとめています。東日本大震災の影響で大きく落ち込んだ昨年から1.3%の増加だそうです。昨年は1,484万9千人。一昨年は高速無料化の影響も有り1,584万2千人だったそうです。

 地域別の見ると青森県、秋田県、山形県は回復基調があきらかです。特に、東北新幹線の青森延伸の効果がようやく青森県にでてきたようです。青森県の中でも五所川原市は原発関連の財団がお祭りから手を引いたのですが、地域の核処理施設のイメージが強く伸び悩んでいます。

 岩手県、宮城県、福島県は伸び悩む

 東北の田舎でも震災の影響が大きかった、岩手県、宮城県、福島県はまだまだ回復が思うように進んでいません。

福島県は放射性物質の半減期を待つ長期戦となりそうですが、岩手県、宮城県もまだ復興が十分でないと考えた方がいいでしょう。息の長い支援と振興策の実行が必要です。

 ホテル旅館は、復興支援客の長期宿泊は縮小したのですが、九州や関西からの宿泊客が増加しているそうです。外国人観光客は戻っていないそうです。

 地域にとって「観光」は重要な産業ではあるでしょうが、まずは地元の人達の暮らしの立て直しが先でしょう。東北が住んでみたい町になるにはどうしたらいいのか?やることは一杯ありそうです。

 先日のテレビでの将来の首相候補の一人の生活保護費削減対策としての尊厳死・安楽死への言及を見ていて、この国の中心部にはやっかいなもののリセットを合理性と考える空気があるようにも思えます。その空気の延長で東北を放置し「安楽死」を待っているのではないかとも思えます。邪推であればいいのですが・・・先日農業関係者に「財務省は農産物は海外から買ってくればいいと考えている」(=国内農業は一部を除いて安楽死ということですね。)と聞いたばかりなので薄ら寒い思いがします。

                                             (2012年09月13日)
図ー夏祭りへの入れ込み動向       (単位 万人)
図33

(日本銀行 森支店、秋田支店、仙台支店、福島支店「東北の主要夏祭りの動向」)
■生まれたときからずっとデフレだった20歳代の環境意識

 「もったいない」意識が高いのは30歳代以上の女性

 全般に男性より女性の方が環境問題を意識したアクションを実行しています。使い捨て製品の消費を抑制する傾向も女性の方が高いのですが、「壊れたモノを修理して長く使う」という行動は男性でも結構高くなっています。

 街の中で修理をしてくれる店舗が少なかったので広く定着していませんが、最近、修理の店が少しずつ話題になって増えてきています。

 特に女性の中でも20歳台の意識行動率が低いのは、まだ親がかりでもあり生活に関連する消費の機会が少ない=生活感がないあためだとも思われますが、もうひとつ世代の特徴も考えられます。

 生まれてからずっと不況で有り、デフレ業態が幅をきかせている中で、「良いモノを長く使う」という消費行動のイメージが確立していないのでないかと思います。

 この調査では取り上げられていませんが、若い世代は結構社会的な事、公共への関心も高く、フェアトレードなどのエシカルな消費(倫理的な消費)には反応率が高いと言います。

 3.11の原子力発電所事故によるエネルギー抑制、そしてあいつぐ消費税、社会保険料の増加の中で、これから間違いなく消費は抑制されていきます。

 あらためて安物を使い捨てにするか、価値のあるモノを長く使うかといった消費スタイルが問われます。

 メーカー、店舗の方もその消費の変化にどのように答えるか、準備が急がれます。

                                                       (2012年09月12日)

図ー環境問題に関する意識
図34
内閣府 環境問題に関する世論調査 2012年6月
■「都筑阪急」モザイク化した商圏ポテンシャルへの対応

 モザイクモール港北 都筑阪急は6割減の改装

 10月3日に横浜市港北区、市営地下鉄センター北駅の「モザイクモール港北」が改装オープンします。総面積4万uの内1.6万uが核店舗の都筑阪急でしたが、百貨店は7,000uに縮小されます。食料品売場と40代ミセスのファッションを中心とした一階の2層になるといいます。

 この店は14%の売場面積の食料品が売上の4割を占めています。郊外店は食料品の比率が高くなりがちとは言え、他店と比べても大きな偏りです。

 専門店ゾーンは7000u増加し、30代ファミリー層対応で都市型セレクトショップやJs(小学生)ファッションを強化します。現在170億円の売上を改装後には250億円に引き上げます。

 商圏の質は平均的に高い方です。3km圏の円形の商圏内のポテンシャルは西宮にも匹敵するのですが、あるコンサルタントの指摘では、高額所得者の居住する田園都市選沿線とは国道246号線で分断されていて、見かけ上の所得水準の高さと実際の購買力にはズレがあるそうです。
 地下鉄沿線の東急の港北東急SCも百貨店が撤退し、低価格業態の「しまむら」が導入されて好調だと言います。

 郊外の立地でも商圏は均質ではありません。関西の千里、川西の商圏も、所得の高い住民と、そうで無い住民のエリアがモザイク状に入り組んでいます。

 どんな人のどんな需要に答えるかを明確にしないと、市場を読み違えることになります。

 モザイクモールで百貨店業態に変わる専門店街の運営ノウハウを確立すれば、今後予定されている阪急阪神グループの郊外店のてこ入れに有効な武器となります。
(百貨店の地方店、郊外店は専門店のウェートを高めるしか生き残りの途はないのかもしれません)

 モザイク化した商圏にきめ細かく対応するには専門店運営と食料品売場の自前化が必要

 千里阪急の立地する千里中央では「阪急オアシス」の開店で、今後の百貨店食料品売場改革への好影響を期待していたのですが今の所、充分な成果が上がっていません。(郊外百貨店は今後食品スーパーをベースにデパ地下グルメを取り入れ、上層階は基本専門店のテナントという形になっていくと見ています)

 この地区では、一時は苦戦していた「大丸ピーコック」の巻き返しが目立ちます(食料品売場以外は駄目なのですが・・・・大丸グループもまた専門店運営のノウハウ確立が急がれます)このエリアでは美味しい食品の購入先は「いかりスーパー」「コーヨー」「ピーコック」「オアシス」・・・・という序列でしょうか?

 千里阪急はテナントの売場と催事売場が目立っていて、自社主体で運営する売り場が少ないと感じます。

 食料品の売上げが45%近くを占めている割に、阪急の「思い」が感じられない売場になっています。1年間の「のべ客数」が格段に多いのは食料品売場です。売上げの噴水効果は中々すぐにあらわれなくても、この大事な場所で店舗全体のメッセージが発信されていないとお客様に伝わるモノはありません。

                                          (2012年09月11日)
 
図ー郊外店食料品の売上げシェア、売場面積シェア、売上シェア/売場面積倍率
図35
(有価証券報告書、百貨店調査年鑑、から当社作成)
■少し明るい「製造業」の話題

 製造業版グーグル?

 シャープを始め日本製造業に関してはあまり明るい話題が聞かれません。先月8月14日に日経産業新聞に掲載された建設機械メーカー「コマツ」の記事は、建設機械とITという取り合わせの少し明るい話題でした。

 コマツは油圧ショベル、ブルドーザを製造するメーカーです。2001年から建機に「コムトラックス」という遠隔管理システムを標準搭載するようになりました。盗難防止が当初の目的だったそうです。

 GPSやセンサーによって全国70カ国以上の27万台の建機がの作業状況や稼働時間をリアルタイムで把握できるのでその場所の都市開発、資源開発、土木工事の状況がいち早く掴めます。
 他の指標とあわせれば、建機の需要予測だけで無く、その国の開発の動きが全て把握できます。コマツは建機の販売予測や補修サービスへの活用を考えているようですが、商社や投資会社にとってはとても有効なデータとなるはずです。

 無人の運行システムの開発なども興味深い話題ですが、顧客との交流にフェィスブックを取り入れて顧客ニーズを把握するなどIT化は幅広く導入されています。

 コマツの連結営業利益は2013年3月期には13.3%も伸びています。

 日本のモノ作り企業の生き残り策と言われる「IT化」のひとつのポイントは、大量生産品を安く売りっ放しにするのではなく、顧客と長くつきあう為のツールとして活用するという点にあるように思います。

                                                     (2012年09月10日)
■日経新聞でも報じているオリンピック経済波及効果の幻

 4000万円をかけて盛り上げられた50万人のオリンピックパレード

 主催者側発表で50万人(すごいですね)の動員があったというオリンピックのメダリストのパレードには、4,000万円の資金が投入されたと言われています。広告業界的には、この景気低迷の中、4,000万円の需要と雇用を生んだ・・・といえますが、納税者にとっては????でしょう。

 2016年のオリンピック招致には150億円の招致費用をかけたといわれています。今回の招致活動費予算は55億円とも言われていますが、競技施設整備費3,249億円、組織委員会予算が1790.5億円で約4,000億円の開催準備金を積み立てているといいます。

 オリンピックの経済波及効果は大きくない

 ロンドンオリンピックの開催費用は1兆1,500億円。(別途交通網整備に7,400億円かけていますから、合計1兆8,860億円)ロイズが発表したロンドンオリンピックの経済波及効果は2005年から2017年のあいだで2兆円といわれています。そのうち3割は閉会後の数字だと言います。

 波及効果はわずかで、オリンピックを大義名分にした「インフラ整備」と「広告費用」への税金の投入が経済効果となります。(数字のソースは日経新聞です)

 実際に日経新聞の記事でも五輪開催後には反動で景気が悪くなると言う記事が掲載されています。
 前倒しの公共事業や市民の消費の反動がでてくるのだそうです。そういえば大阪の期待の星だったシャープの失速のひとつの原因は地デジ特需による液晶テレビ需要の前倒しがあるでしょう。(もちろん、世界的な値崩れや、欧州危機が主因だと思いますが、国内需要の先食いが追い打ちをかけたともいえます)

 冬季五輪を開催した長野県はオリンピックの時がピークでその後、10年間景気は低迷しました。

 東京オリンピックではテレビの買い換えなどの直接効果は「全国」で1兆2,200億円。波及効果は2兆9,600億円と東京都は試算しています。いまからテレビノイ買い換えがあり得るの?とも思えますが、額面どおり受け取ったとしても、日本のGDP500兆円の中ではそれほど大きくないと日経の記事には書いてありました。

 日経にこうした記事が出ると言うことは経済界の空気が冷ややかである事を反映しているのでしょう。

 国際的な知名度をあげる・・・といっても東京には充分に知名度はあります。例えば、東北で開催するとか、沖縄で開催するとか、大阪で開催して西成区にメイン会場を建設するのであれば、税金の集中投資の大義があります。ロンドンオリンピックも貧しい東部地区の再開発のためにオリンピックを活用した側面もありますからね。

 集中的に公共投資をおこなってカンフル剤のように景気にはずみをつけようとか、国威発揚とかいった理由でオリンピックを開催しようと考えるのははやめたほうがいいでしょう。違ったアプローチを創造できたら楽しいイベントになるのでしょうが。

                                         (2012年09月06日)

■百貨店低迷の背景と「顧客層」についての再評価

 主要顧客層が減少している百貨店は個人所得の動向と売上がリンクしていない

 日本政策投資銀行の発表した「百貨店の低迷の背景と今後の方向性」によると、個人所得と小売業販売額の相関が弱まっているそうです。所得が増えても小売業での消費に回らないのはサービス消費の比重が高まっているためと分析されています。

 その小売り販売額に対してもスーパーは連動して動いてるのですが、百貨店は1991年をピークにずっと右肩下がりの状態が続いています。

 百貨店の主力商品である衣料品の消費支出が多い30〜50歳台の百貨店への支持が低く、60歳台の高齢者に支持層が偏っているという事が指摘されています。また百貨店の支持率が高い高所得層の世帯が減少している事も背景として分析しています。

 「衣料品にお金を使う30代から50代の消費者の所得が減少したことで百貨店離れが進み、ストックリッチな高齢者の支持はつなぎ止めているものの、消費額そのものが少ないという事象が起こっている」と解き明かしています。

 さて、それらの層(30才台〜50歳台)が百貨店離れを起こしているのは所得が減少しているだけの理由でしょうか?彼らはものを買わなくなったのでしょうか?

 8月28日に掲載したグラフにあるように「通信販売」の市場は百貨店と反比例して伸びています。また下図にあるようにアウトレットモールの利用は30才台を中心に幅広い年代に見られます。

 確かに「所得」は若い層を中心に縮小していますが、消費の欲求は無くなっているわけでありません。百貨店という業態ももともとは「正札販売」というそれまでに無い販売手法を導入したディスカウント業態だったのですから、お客様のお財布が厳しければ、それにあっった売り方商品を提供する変革が出来るはずです。

 合併のスケールメリットはあるのか

 百貨店の現状打開策として合併によるスケールメリットがよく言われます。わたしはその見解には否定的です。百貨店の改革の方向は一つではないからです。

 例えば食料品売場。昨日のテレビで東京駅の大丸の弁当売場について紹介されていました。お弁当の競争が激しい東京駅で、増床後に成果を上げるために、実演販売を導入して「成功している」というものです。確かに美味しそうですね。

 以前、別のテレビ局で西武池袋店の食料品売場の「成功例」を紹介していました。」かつて「食品館」で一世を風靡し、対面販売や実演販売のシズル感が魅力だった同店舗の食料品売場から、実演販売のスペースを一切排除してバックヤードのセントラルキッチンで調理したモノを持ち込むという「改革」でした。

 売場が見通せて、これもまた「正解」なのかもしれません。

 要は小売業にとって、競合や、客層によって「売り方」や「商品」の正解は一つでは無いということなのです。多店舗展開のチェーンオペレーションではその場所での正解には辿り着けないのです。

                                                    (2010年09月05日)
図ーアウトレットモールの利用率   利用経験率が高いのは30歳台
図36  

「アウトレットモールに関するアンケート調査」JTB総合研究所  2012年7月 1都3県18才以上の男女
■環境市場への期待と3.11後の再検証

 環境市場は103兆円(2025)、健康市場は20兆円(2020年)・・・2005年時点での予測

 ジェトロのレポートで利用率が低くても今後の利用意向が高いモノの上位にハイブリッドカーや太陽光発電がランキングされています。3.11以後再生エネルギーへの関心が高まっている現在、ここであらわれた潜在ニーズがかなり顕在化していると思われます。

 潜在ニーズが高いのですが、まだ2012年現在大きな市場になっていないのが「アレルギー対策の安全家具」や「リサイクル品や中古品・再生家具・アンティーク家具」です。住宅では建材などの環境配慮について公的な基準が決まっています。住宅メーカーや工務店の意識も高くなっています。

 家具については安価な輸入家具がシェアを伸ばしており、業界としての環境基準も徹底されていません。業界全体として低価格化が進んでいることも手間のかかる再生や、コストのかかる健康基準の徹底を妨げています。

 ニーズが高い割に市場が顕在化していないモノとしてはインテリア等のトータルコーディネートサービスがあげられます。相談サービスに対して対価を支払うという習慣がなかなか根付かないように思います。

 健康関連では「癒やしサービス」のニーズが顕在化している

 癒やしとかオーガニックレストラン、エステサービス系についてはこの何年かその市場が顕在化してきています。(8月23日の当サイト記事参照)科学的な裏付けは定かではありませんが、占いや宗教と同じく効くと思える人には効くのでしょう。
 ペットサロンについてはこの調査以上に伸びています。全年代では高くなくても特定の年代に強く顕在化している需要なのだと考えています。

 オール電化市場はどこに吸収されるか

 震災前には大量の広告投下で普及が進んでいた「オール電化住宅」は震災以後、不良債権となってしまいました。電気自動車を蓄電池にしたスマート住宅や、太陽光発電と蓄電池を組みあわせた住宅の普及が期待されますが、都市部では戸建て住宅市場に限定されます。低炭素社会という大きなキャッチフレーズを組み直してアピールする住まいの形をリードするコンセプトが必要です。

                                           (2012年09月04日)
図ー健康や環境に配慮した商品サービスの利用状況と利用意向
図37

2005年12月 京浜・京阪に居住する20才以上の男女 
ジェトロ ジャパニーズマーケットレポート78「環境と健康に配慮した消費者及び商品・サービス市場」より
 
 8月
■ペット市場は」シニア市場でもある

 犬を飼う人のピークは60歳台?

 従来は、犬は子供を中心としたファミリーのペットという印象が強かったのですが、家計調査を見るとペット市場を支えているのは60歳台の世帯だと言うことがわかります。70歳台になると犬の世話を続けられるかの不安がでてくるのかガーデニングにシフトするようです。

                                                       (2012年08月30日)

図ー年間家計支出  世帯主年齢別の比較
図38
■生体販売は一段落したが、幅が拡がるペット市場

 ペット関連市場は1兆3,941億円(2011年)〜さらに伸びる予測1兆4,000億円(2012年)

 ペットブームは一段落した様相を示しています。生体販売について規制が強まっていますが、欲しい人にはほぼ行き渡ったということでしょうか。犬猫の飼育率は犬が1,194万頭、猫が1,002万頭とほぼ横ばい状況です。(2011年度ペットフード工業会調べ)

 登録されている飼い犬数は677万8,148頭(厚生労働省2010年)ですから、登録をして大事にメンテナンスされている犬の数は少ないようです。ペット病院の市場規模は3,157億円(2012年見込み)で毎年1%前後伸びています。個人診療所が減少し、ペット関連のサービス事業者が診療所を併設し総合サービスを行うという形が増えています。ペット医療も高齢化が進んだためか、高度化してきていてレントゲンだけでなくCTスキャンなどの設備も当たり前になってきています。

 2011年のペット関連市場は1兆3,941億円と推計されています。(矢野経済研究所)犬と猫のみに限定しても7,000億円はくだらないと専門家は語ります。今年合併しスタートしたイオンペット(株)だけで売上高が300億円規模ですから、市場はもっとあると思います。

 百貨店が取り組むドッグファッション

 従来、ペットショップ中心だったドッグファッションや犬用カートなどのグッズ類に百貨店の注目が集まっています。売場に「犬」を入れると糞や吠えたり他の客にかみつくなどの事故をおそれて店側は消極的ですが、メーカーは差別化、高付加価値化の切り札として期待しています。

 普通の人はあまり犬にお金をかけられないのですが、お金をかける人は結構な金額を「家族の一員」に消費します。犬の市場はまたはシニアマーケットでもあります。

 百貨店内に本格的に売り場を展開している西宮阪急では990uの売場にドッグランからビューティサロン、ホテルなどを整備しています。会員は1万人を超しているそうです。
 物販は165u。客単価は3500〜4000円と質の高い品揃えをしています。

 モノとコトの融合。総合サービスの提供による高付加価値化など、百貨店としての基本を守った展開です。

 犬や猫の扱いは個人の好き嫌いが分かれる野が難しいのですが、少子高齢化の中で避けては通れない市場だと考えています。

                                             (2012年08月29日)
■5兆円を突破した通販市場の影響力

 リーマンショック後も着実に伸びている通販業界

 通信販売業界の勢いが止まりません。2011年度は前年比9.0%の増加で5兆900億円となりました。(協会の推計した売上は非会員社の売上も含まれていますが、保険や、デジタルコンテンツは含まれていません。)

 大手の総合通販、テレビ通販、メーカー系の健康食品・化粧品通販企業が好調だそうです。

 業界では売上の2割を広告費に使います。約1兆円の広告需要が生まれています。広告業界の2011年度の市場規模が5.7兆円ですから、かなりのシェアを占めることになります。

 百貨店業界の売上はリーマンショック後さらに縮小しています。
 好調と言われるテレビ通販を見ていると、品質の割に決して安くない商品が売れています。価格競争力がないことだけが百貨店の凋落の原因ではありません。

                                                (2012年08月28日)
図ー通販市場の伸びと百貨店の売上げ推移  億円
図39
                             (日本通信販売協会、百貨店協会)
 ※会員外の企業の売上も加算されている

図ー日本通信販売協会会員社の品目別売上げ構成  2008年

図40
※アマゾンやアイチューンは会員外なので売上げ構成の中には含まれていない

■地元客が目立ち始めた「東京ソラマチ」

 年間目標300億円を達成できるか?集客好調な「東京ソラマチ」

 東京スカイツリータウンの商業施設「東京ソラマチ」の来館者数が予定を上回っているようです。当初は年間2,500万人の見込みでしたが、それを上回るペースで集客しています。

 客層は外国人観光客は予想より少なく中高年や家族連れ、近隣の主婦層が目立ちます。通勤客も夕方以降増えているようです。夏休みの時期は観光客やカップルも多かったですよ。団体客が入り出すとバスの駐車場がパンクしてしまう可能性もあるようですから、今のペースを永く続けていけばいいでしょうね。

 売上げ構成は飲食、食物販が5割で、ファッション関連を中心とした物販が5割。テレビキャラクターとのタイアップ商品は希少性も有り修学旅行生には受けるでしょうね。スーパーマーケットの「北野エース」は生鮮食料品も充実しており地元のお客さんもついてきているようです。

 施設全体の印象は海遊館のマーケットプレースを巨大にしたような印象を受けました。「土産物」だけでは利益があがらないので、地元客のリピーターをしっかりとつかまえていくのがこれからの課題でしょう。

 年間売上げ目標は300億円だそうです。初年度はクリアするでしょうが、2年目以降はこのままでは厳しいでしょう。

 2年目の課題は京都にもあります

 2年目以降と言えば、、開業前にさんざんもめた「京都水族館」の来館者数は好調に推移しているようです。
 まだ未見なのですが、WEBで見る限り、夏休みの行列が少し寂しいように感じます。初年度にしっかりと延ばしておかないと2年目以降が厳しくなります。もっとも息長くファン作りをすすめるという考え方であればいいのですが、物販や飲食で収益を補填できなければ苦しいかも知れません。

 イルカショーについてはイルカとの「絆」を強調したモノだそうです、「しょぼい」という口コミありますが、心配していた欧米人観光客からの反発はやわらぐかも知れませんね。

 神社仏閣や伝統芸能については「飽きられる」ということはありませんが、人工的な名物は「刺激」がエスカレートしないとリピーターが来ないようにも思えます。(本当は別のやり方もあるのですが)

 思った以上に「真面目」なので応援したいと思います。そういえば、「オリックスバファローズ」というプロ野球球団も一生懸命集客のイベントをやっているわりに、盛り上がらなくて気の毒なぐらいです。関西では「タイガース」がどれほど弱くても「人気者」なのですね。(大阪近鉄バファローズ時代はよく応援に行ったのですが・・・)

                                             (2012年08月27日)
■JR博多シティ「アミュプラザ博多」の影響が大きかったSCは?

 2011年3月に開業した「アミュプラザ博多」

 昨年3月の開業で大きな影響を受けたSCしては「福岡パルコ」(-10.4%)、「ソラリアプラザ」(−10%)など天神地区の店舗が目立ちます。

 JR駅と天神地区の中間に位置する「キャナルシティ博多」は積極的なリニューアルも功を奏してプラスの伸び率となっています。天神地区でも「天神コア」は影響を受けなかったようです。

売上金額 伸び率
キャナルシティ博多 39800 2.1
アミュプラザ博多 27700 0
マリノアシティ福岡 21500 -5
天神地下街 16236 -4.6
福岡パルコ 12838 -10.4
天神コア 11372 -1
イムズ 10422 -7.7
ソラリアプラザ 9869 -10
ソラリアステージ 5978 -5.1

 アミュプラザ博多は、昨年以上に好調だった飲食が4〜6月で29%減と「正常化」していてそセール時期の6月には衣料品が9%増と伸びているようです。
 カード会員を増やして「顧客化」を図ろうというのはJR大阪駅の「ルクア」と同じ課題ですね。

 大阪駅と言えばJR大阪三越伊勢丹の食料品売場が徐々に良くなってきています。野菜は元々良かったのですが、富澤商店が入ったことで目的客が増えています。阪神や阪急とはひと味違った売場作りが定着していけばいいですね。


                            (2012年08月24日)
         

図ー2011年度SC売上(福岡市)

図41

(繊研新聞  全国主要SCアンケート調査」)
■「信じようと信じまいと」エビデンスの怪しい「癒やし」ビシネスが急拡大中

 代替医療市場は2兆円(2003年)

 「代替医療」というのは現代西洋医学において科学的に未検証な医学・医療体系の総称とされています。

 東洋医学や鍼灸など医療保険の対象となるような効果の実証されているモノも含みますが最近は無資格のマッサージや心理療法なども含んで「癒やしビシネス」として語られる事も多くなっています。

 日本の人口の2倍強3.1415億人(円周率と同じになったようです)の米国の医療費は150兆円を超えていますが、日本は僅か30兆円です。GDPに対する医療費の比率でも米国の15%に対して、7.9%とニュージーランドや、イタリア、デンマークより低い水準です。

 その米国での代替医療への個人支出は97年で3兆2670億円。対して日本は2兆円と推計されています。(2003年矢野経)・・・保険制度や保険がカバーする範囲が違うので一概には比較できませんが、日本人の方が代替医療好きといえるかもしれません。

 抗疲労・癒やしビシネス市場規模は12.1兆円(2020年予測)

 代替医療から範囲は拡がりますが、最近伸びているのが「抗疲労・癒やし」ビジネスです。下図の比較を見ても心理療法、セラピーで分類されているモノが不意組まれる「リラクゼーション市場」は5兆7,600億円とも推計されています。確かに、最近街の中にではアロマテラピーやマッサージのお店がやたら目につきます。

 注意したいのはそれらの多くは「公的資格」が不用で、効き目に個人差があるようなモノばかりだと言うことです。確かに「口コミ」で評判がよければ「効く」と思い込むこともありますが、それらのほとんどがただの妄想です。

 確かに、占いや「風水」のように効くかも知れない、と思えるグレーゾーンのビジネスもあってもいいかもしれませんが、いまはそちらが主流になってしまっていることに強い危機感を覚えます。

 公的なレポートでも、結構正面から取りあげているのはどんなもんでしょうね。

                                                  (2012年08月23日)
図ー代替医療・癒やしビジネス市場規模   (上段:2020年予測 下段2003年推計値)
図42

■分譲マンションの平均価格に見る京阪神の都市ポテンシャル

 都心マンションの価格水準が高くなっている

 阪神間、北摂の単価が高いのは相変わらずですが、都心のマンションの単価も高い水準を示しています。梅田に近い北区や福島区だけで無く、西区や浪速区(なんば近く)、天王寺区、阿倍野区など再開発が進んでいるエリアのマンションが高い水準を示しています。

 同じ行政区画の中でも人気のある場所と、そうで無い場所があります。(箕面市は地価水準からすると、下記の結果は少し低いような気がします)

 住まいの環境への評価は、基本的に絶対評価よりも、そこに永く住んでいるかどうかの「なじみ」の要素が大きいのが普通です。他所から来て住んでみたいかどうか・・・そのポイントでエリアの人気、マンションの価格が上下します。
 
 大阪市の区を統合していこうという動きがあります。行政区など必要に応じて変えていけばいいと思うのですが、愛着の強い土地を分断したり、平らにならしてしまうような再編成は街を壊すことになるでしょう。行政の効率化のためだけに街の区画を再編成するのはよろしくないでしょうね。

 「住んでみたい街」をつくれば不動産価格が上がり、固定資産税の入る地方自治体は潤います。価値を上げる工夫をしなければいけないのでしょう。

                                                   (2012年08月22日)
図ー2011年の分譲マンション平均坪単価

図43
(2012年8月 SUMO 関西67市区価格データより 2011年1年の」分譲価格  不動産経済研究所)
                                     (2012年08月22日)
■都心の顔づくりと同時に足元を固める事が鉄道経営の両輪〜活かされていない京阪沿線のポテンシャル

 京阪電鉄枚方市駅の活かされていないポテンシャル

 京阪電鉄枚方駅は1日の乗降客数が10万人弱と大きな市場です。かつては周辺に「三越」や「枚方近鉄」といった百貨店が集まる郊外の拠点でした。

 バス路線も集中していて、川を渡った高槻までの路線もここからでています。

 京阪電鉄の郊外の商業拠点は枚方駅では無く樟葉駅にあります。
 くずはモールが改装し、新しい店舗を導入、レストラン街を充実させた結果、周辺に居住し都市型の商業を求める人は「くずは」に出かけるようになっています。
 今すすめている改装で「駅ビル」ブランドや「シネコンが整備されると集客力はさらにアップするでしょう。

 片方を川で分断され、郊外からのアクセス道路は決して使いやすくはありません。しかも駐車料金も有料です。・・・・・・周辺商業地に住民が欲しいものが全くなかったことが一人がちの要因だと思います。

 枚方市駅周辺が凋落したのは、決して「郊外ショッピングセンター」の所為では無い事がわかります。

 京阪沿線の特徴として、高度成長期に急激に都市化したため駅周辺の密集度が高く、開発余地が低い事があげられます。

 また、旧来の商業者がなんとなく食べていけるので、自分たちが変わろうとしない・・・再開発ビルの屋上に個人の住宅が残るなど、街にとってなにが良いことなのかのコンセンサスが取れてないことにあります。

 枚方の場合、北河内の広域拠点でも有り、駅近くの一等地に官公庁の建物が密集しています。

 枚方駅の乗降客数は例えばJR姫路駅の乗降客数と同じ水準にあります。姫路駅は高架下の地下街ができるまではJR駅は商業拠点ではありませんでしたが駅ビルが出来てからは多くの人を集めています。

 枚方市駅には本来充分なポテンシャルがあります。大学が有り、病院が有り、若い人も少なくありません。

 行政のまちづくり計画もあるのでしょうが、駅周辺は鉄道事業者がリーダーシップをとって改革していく事が出来るはずです。
 自社がかかえている資源を活かせないのであれば、新しい路線の延伸や、沿線外での事業展開もうまくいくはずは無いでしょう。

                                                 (2012年08月20日)
図ー京阪沿線の駅 1日あたりの乗降客数
図44
(枚方市統計書) 2010年
■「オリンピックの経済効果」から「交流人口拡大論」を再考する

 ロンドン五輪の経済効果2兆6,800億円?

 開催直前の7月28日の英国のロイズ銀行グループが試算したロンドン五輪の経済効果は165億ポンド(2兆680億円)と発表されました。ただし、これは五輪招致が決まった2005年から五輪終了後の5年間の合計です。このうち三分の一に当たる50億ポンド(6,250億円)は五輪終了後の5年間で見込めるというモノです。

 海外からの120万人を含む1,000万人の観光客を想定しています。これはオリンピック施設が他の有用な施設に転用されて引き続き観光客が訪れることを想定したモノだそうです。

 すでに「楽観的すぎるという」批判も出ていますが、どうでしょう。

 経済効果の内訳は建設工事費が82%、観光業12%,大会の運営及び開催が6%となっています。

 開催予算は93億2,500万ポンド。財源は中央政府が62.4億ポンド、ロンドン市が8.75億ポンド、宝くじが21.75億ポンドでした。

 この予測のユニークなのは五輪の開催による「幸福効果」により、消費支出が上昇する事を含んでいることです。

 それ以前にはアメリカのVISAが開幕から20115年の間に51億ポンド(6,380億円)の経済効果があると予測していました。・・・・・・・・

 投資に対する利益としてロンドンに60億ポンド(7,520億円)、残りの英国に105億ポンド(1兆3,150億円)をもたらすと試算されているそうです。

 日本国内の経済効果

 ロンドンオリンピックが日本にもたらす経済効果は電通総研の試算では3,687億円の直接的な消費押し上げ効果と経済波及効果全体で8,037億円と見込んでいました。(新国立競技場の建設費が3,000億円だとしたら・・・・あまり費用対効果が良くないですね)

 北京五輪では直接押し上げ効果が5,386億円。経済波及効果全体で1兆1,172億円と試算されていましたから3割減です。2004年のアテネ五輪では直接押し上げ効果が4,072億円。経済波及効果が8,857億円でしたから、立場上楽観的な予想をするであろう電通でさえ、抑え気味の予想でした。

 テレビ放映権料の高騰でテレビ局も放送することが赤字になるという背景もあります。レギュラーで放送しているあほらしいバラエティ番組よりは見ていて面白いのですが、原価が高くつくのでしょうね。

 日経新聞系のテレビ大阪(東京)の番組では、スポーツ用品が130%の売上増とか、コンビニの来客数が5%増加し、コンビニのファーストフード等の売上が2割増加したと報道しています。常磐薬品の「カフェインドリンク」が2ケタ増とかで8,000億円の事前予想より大きな経済効果があったと報道しています。

 地元ロンドンへの経済効果は期待外れ

 さて、地元ロンドンでの評価はどうでしょう。ロイターの記事では「多くの企業がロンドン五輪の恩恵を受けているモノの、需要の押し上げ効果は全く期待外れだった」と報じています。レジャー産業、小売業で効果があったとする企業が多いのですが、中心部やウェストエンドの売上が会場近くのロンドン東部に移っただけという冷ややかな見方も多いようです。

 現地の記者によると、競技観戦者に混雑を避けるために市民の外出が減少、中心部の人出は逆に減少しています。開幕後のロンドンタクシー組合の売上は20〜40%減だそうです。

 百貨店もお土産売場は盛況ですが、ファッション売場は閑古鳥が鳴いて、ロンドンは「ゴーストタウン化」していました。その結果、飲食店、ホテルまで売上予想を大きく下回っています。

 五輪会場に隣接したSCは連日4万人を上回る人出だそうです。

 今年度第2四半期のGDPも0.7%減と予想より悪くなっています。

 政府関係者はイメージアップによって長期的に英国の小売りにとっての五輪効果は大きいといいます。しかし、単に人を集める=「交流人口を拡大する」というだけでは都市の活気は蘇らないという事を知らしめた大会だったと言えましょう。

 競技は楽しかったのですがね。
                                             (2012年08月16日)
■(夏休み特別論文)「沈む大阪」の「グレートリセット」は成功するか

これは、没原稿なのですが,今読み返しても問題になるような表現は見当たらないです。

当時は「維新」の勢いも、もっと強かったのでしょうね。


沈む大阪」の「グレートリセット」は成功するか
〜ハレーションをおこす「10大名物」や「中之島図書館」をめぐる議論


 
 大阪について語ることは難しい・・・・いや、語ることは簡単なのだが、きちんと聞いてもらうことが困難である。前提として、大阪人以外は大阪についてほとんど関心を持たない。まあ確かに、例えば仙台に住んでいるとして、大阪について知らなくても、ほとんど日常生活には困らない。
 特に東京に住んでいる方にとって、「日本」は東京だけで構成されていると無意識に考える傾向が強い。〜例えば、先日の上野動物園におけるパンダのご懐妊騒動のときに、日本国内でも神戸や和歌山の白浜で何匹もパンダが生まれていることは(神戸では2回死産。和歌山では12回出産している)一部ネットでは話題になっていても、テレビ、新聞ではほとんどその事実には言及されない。
東京以外の地域の住民が「東京に関心が無い」とは考えもしないだろう。
 
 大阪についてはステレオタイプのイメージが強く定着してきた。串カツと通天閣と吉本、道頓堀といった「こてこての大阪」である。・・・最近は橋下市長という独特のキャラクターが加わったようだ。良くも悪くも、「発信力」をお持ちなので、その言葉は全国に伝えられる。ただし、大阪や関西の話題が、全て橋下徹氏の言動にからんだ「ネタ」になってしまう。

宮崎県の知事だった東国原氏のように意識的に広告塔の役割を果たそうとしている側面もあると思うが、大事な課題提起があり、きちんと議論を尽くさなければいけないポイントに焦点が当たらずハレーションを起こしてしまうのはすこぶる残念である。

中之島図書館騒動とグレートリセット

 中之島は大阪市役所や日銀などが立ち並ぶ大阪の中枢である。ここに建っている大阪府立中之島図書館は、住友家15代当主の吉左衛門友純氏が建設費と図書購入資金を寄付したものである。(その隣の中之島公会堂は株式仲買人の岩本栄之助の寄付による。今の大阪城天守閣も昭和3年の不況の時期に住友家や市民の寄付金150円〜今の価値にして数十億円〜で建てられている。お上に頼らない伝統があるのは市民の誇りである)
 明治37年に野口孫市の設計により本館が完成した。大正11(1922)年に増築された本館両脇の建物とともに、国の重要文化財に指定されている。ギリシャ神殿風の正面玄関は格調高い風格があり市民に親しまれていて、外国人観光客の注目度も高いそうである。
 その府立中之島図書館を巡って激震が起こったのは、6月19日の府市統合本部の会合後の記者会見である、その場で大阪府知事の松井氏と橋下市長が「中之島図書館を廃止し、別の施設として活用する方針」を語ったと報道され、大きな反発の声が巻き起こった。

 「例えばあそこで事業をしたいという公募事業者は、ものすごい数がいるはずだ。すごいスポットになる」という松井知事や「あんなところに図書館を置く必要はない」という橋下市長の言葉をそのまま受け取ると、「中之島図書館をつぶして建て替えるのか?」とか「図書館をやめて民間のレストランにするのか」という憶測が流れたのも無理は無い。

過去に「国際児童図書館」を閉鎖した事もあり、橋下市長は「文化」を敵視していると考えている市民も少なくないからだ。

 知事と市長の発言の背景には、その日に報告された大阪府市都市魅力戦略会議報告書「世界的な創造都市に向けて〜グレートリセット〜」(特別顧問橋爪伸也氏が中心にまとめたもの)の中で提起されている「中之島ミュージアムアイランド構想」がある。

 「重要文化財を含む近代建築群の魅力が十分に発揮されていない」という課題認識のもと、「中之島図書館を都市魅力施設として積極活用」という流れで、「建物の魅力や歴史的な価値を活用し、ミュージアム機能を発揮」する中でカフェやレストランといった集客施設を誘致し、賑わいを創出するという議論で盛り上がったのだろう。そのテンションが前出のような発言につながったと推測される。
 その後の取材で、管理者の教育委員会は、図書館機能を廃止し全館民間事業者に事業を委託するという可能性を否定し、府知事が言った「事業をしたいという公募事業者」というのは、カフェなどのテナントを図書館に入れたらどうか、という話であり、市長の「あんなところ」というのも、市長はかねがね中之島図書館を歴史的建物だと絶賛していて、例えば美術館にしてもいいいのではないかと提案しているようだ〜

 確かに、中之島の近代建築群は、今の魅力を十分に活かしてはいない。市民や観光客が充分に楽しめる環境整備もできていない。外から見えてわかりやすい外観デザインの価値を大阪の都市の魅力作りに活かすべきであろうという議論は説得力がある。
ただし、建物の外形的な魅力だけで無く、企業活動をすすめる上で、機能として都心にこそ図書館機能が必要であることがこの会議では理解されていない。さらに機能面にとどまらず、明治人と同じ空気の中で本を読む快楽について想像が及んでいないことを悲しむ。 
 近代建築は外面をなぞったコスプレではない。

 騒動は収束したが、「グレートリセット」について市民を巻き込んだ議論にならなかったのは残念でならない。

「大阪城西の丸公園」でのモトクロスレース構想
〜本当に価値のあるものは見えないところに埋まっている

 さかのぼる4月には、大阪市が管理する国の特別史跡「大阪城の西の丸庭園」に盛り土をし、モトクロスレースを開催することを検討しているという発言が議論を呼んでいた。
これはオーストリアの清涼飲料水メーカー「レッドブル」が主催しているフリースタイルモトクロスの大会レッドブルX-Fightersの事で、世界中の史跡〜エジプトのスフィンクス前やロシアの赤の広場などでも開催されている。日本を代表する城として大阪城に打診があった事が発言の背景である。
 大阪城西の丸庭園は国の特別史跡で有り、競技用の盛り土をすることで芝生が傷んだり、地面の下に埋まっている史跡が破壊されることが懸念されている。
 市長は、大阪城が国際的なイベントでより広く知られることのメリットを歓迎したのだろう。

 国際的には「大阪」のことが全く知られていないのが、観光客誘致の障害になっていることは各方面で指摘されている。税金を使わないで国際的PRができるチャンスと考えたのだろう。例え史跡であっても、盛り土をしても、後で元に戻せるのなら問題は無いだろうという判断だ。

 しかしながら、今の大阪城は昭和になって建てられたコンクリート製のものである。前述のように市民の募金で建てられた、美しい建物は広く市民に親しまれているが、本当の大阪城の歴史的な価値のある史跡は、家康によって焼かれ、土の中に埋まっている。
盛り土をすることでそれが破壊される事を心配する声も多くあがっていた。文化庁の管轄なのでモトクロスレースの実現は難しいだろうが、きちんと発掘整理されていない事が今回の議論を引き起こした原因である。

 税金を使わずに、国際的な知名度をあげることに知事、市長がとびついたのは、今年の1月に堺屋太一特別顧問から提案された「大阪の10大名物作り」の議論が背景にある。

「大阪10大名物作り」の暴走〜道頓堀プール計画進行中?

 大阪府市統合本部では様々な分野の参与や特別顧問の知恵が集められて幅広い分野にわたる「改革」が議論されている。
 
2012年の1月、大阪府市統合本部特別顧問、かつて日本万国博覧会を成功させたと自認する堺屋太一氏が「大阪の10新名物作り」を提起した。
 地元の新聞で一部取り上げられたもののそれほど話題にはなっていなかった。内容は、市長が言うように「役人の今までの発想ではでてこない」ものではあるが、衝撃的な斬新さも無く事業性についても明らかで無いので、賛否が議論になったとは聞かない。市長はひとつでも実現を語っていたが、事業として「税金を一切使わない」事が建前なので、主導権をとる人もいない。
 
6月25日の雑誌アエラで報道されたようにそのうちのいくつかはすでに見直し、差し替えられているらしい。

 その中の「道頓堀プール計画」(道頓堀完成400周年を記念した、長さ2kmのプール)の実現に向け、事業構想の発表会が7月30日に開催された。2012年度〜2015年度の「道頓堀プール株式会社」の必要資金は30億円を想定。寄付金や出資でまかない税金を使わないのが前提としている。(周辺整備も含めて税金が投入されないことを祈る)

(計画内容)
道頓堀川の周辺住民、商店、関連企業からの出資により「道頓堀プール株式会社」(以下DPC)を設立、2015年の営業に向け準備を進める。
 プールは、発泡スチロールのフロートを付けた布函(ふかん)式(=箱状の布)水槽を浮かべ、水道水を注入することで実現する。区間は、日本橋から深里橋西側(西横堀川の手前)の800メートルから1kmが予定されている。〜半分になったようだ〜
 プールの幅は、川幅いっぱいの12〜15メートル、深さは1.1〜1.4メートル。1つの布函の長さは30メートル程度とし、チャックにより全体を接合、一体のプールとする。(ちなみに、セーヌ川にもプールが浮かんでいるが、川幅が広く2コースのプールを船のような構造物で浮かべている)
 プールの名称は、「人工的に水をためた遊泳場」という意味に加え、「たまり場=人をそこにためる」という意味を重ねた「TONBORI POOL SIDE AVENUE」を予定するそうだ。
 営業期間は、6月の最終日曜日から9月の最初日曜日までの10週間1日を予定。営業時間は10時〜21時。利用料金は、最初の1時間が1,000円、以降1時間ごとに500円とし、3時間ほどの利用を想定する。
 期間中、一般客の遊泳利用のほか、男子・女子の超長路水泳競技および男子、女子の遠泳リレー競技を行う予定で、合計入場者数100万人、年間収入16億円以上を目指す。(1日約14,300人の有料入場者数があるということだ)

 堺屋氏の話では74.1%の市民が期待しているそうだ。「昔ながらのハコモノの発想だ」とか「監視員はどれだけ配置するのか等、実現性に課題が多すぎる」「道頓堀で行われている行事、例えば天神祭はどうするのか」という批判も少なくない中、あくまで強気である。

 「道頓堀で水泳大会を開催しよう」ということは随分以前から提唱している市民団体があった。プールの設置ではなく水質を浄化して水泳が出来るようにしようというのが主な目的だった。そのために水を浄化する貝を何度も投入。その貝で真珠をつくるという趣旨で市民の出資もつのっていた。今回の議論では、その経緯は「無かったこと」になっているようだ。

 大阪の行政には本当にお金が無い。市民が出資してでも実現したい「夢」でなければ「大阪の名物」にはならない。今の大阪名物である「大阪城天守閣」は市民や財界の寄付で建てられたことを思い起こして欲しい。
 
10大名物の議論はどこかでボタンを掛け違えている。市民が寄付してでも実現したい計画にはなっていない。


―世界都市大阪にふさわしい世界的全国的名物づくりの提案(堺屋太一特別顧問)

@「道頓堀プール計画」
 2015年の道頓堀400周年にあわせて、浮函膜式の2kmのプールを造り「2km世界遠泳大会」を開催すると共に有料遊泳場に供して収入を得る。
A「大阪発都記念大博覧会」の開催
 2015年に大阪城で開催。そのシンボルに大阪城公園と天満公園を結ぶ大歩道橋を造る。
B「御堂筋デザインストリート化」
 御堂筋全体をデザインストリートとし、路面店舗の価値を高める。
C「ヘクタールビジョン」10,000uの超大型映像装置の設置
 大阪市内または堺市に設置し、CM等の上映と入場料で維持費を図る。
 〜事業見直しで案は消え、「西成芸術村」「天王寺動物園改修」に差し替えられた。
D「驚愕展望台」
 近鉄阿倍野タワーにメルボルンタワーのような展望台の設置をお願いする。(床がガラスになった張り出し展望台のことと思われる)
〜近鉄に対して正式な申し入れは無く、候補から外れたそうである。
E「空中カフェ」
 JR大阪駅大屋根の下に再開する。
F「空中緑地」
 北ヤード2期工事に高層マンションと屋上の桜の山を実現する。
(経済性と名物緑地を併用)
G「ナレッジキャピタル」を世界的名物に
 ビル全体に付加価値がつくような「儲かるアイデア」が必要だから従来の案を見直す。
 それであれですか?
H咲洲または南港にエレクトロ・ゲーム・センターをつくる(原文ママ)
〜候補から外れたそうである。
I関空と咲洲を一体開発し「国際特区」にする
〜アエラの取材によれば外国人居住地や保税特区のことを意図しているようだ。
 保税特区は開発時から計画され,認可されましたが企業が集まらず期限切れになりました


多くの人が馬鹿げていると考えていることを馬鹿げていると言えない世の中をつくるのが維新なのだろうか。


実際には、市長も,区長も実際にはこの計画には冷ややで距離を置いている。
                                                         (2012年08月10日)

なんば経済新聞のアンケートでは7割以上が入りたくないプールです

ぜひ入りたい 16.12%(132)
機会があれば入りたい 11.48%(94)
入りたくない 14.53%(119)
絶対入りたくない 57.88%(474)
投票数:819

建設資金30億円は寄付で集めるそうです。道頓堀今井(うどんや)の社長が会長の組織が発足しています。道頓堀開削400年のイベントとしてはもっと他にもアイデアがありそうなものです。

■ルクアの影響が最も大きかったのは

 HEPファイブ2ケタダウン

 今まで報道にもあったように、「HEPファイブ」が-12.9%と大幅にダウンしています。テナントや客層がかぶっていますからね。数字が発表されていませんが「ディアモール大阪」「イーマ」なども影響は大きいはずです。「NU茶屋町」は健闘しています。

 以外に健闘しているのが「阪急三番街」マイナスは4.8%にとどまります。客層や店舗構成が違いますからね。「なんばシティ」は改装効果もあり7.6%のプラスです。その煽りで「なんばパークス」が5.5%のマイナスとなっています。

                                                   (2012年08月09日)
図ー2011年度売上と前年比伸び率
図45

繊研新聞08月09日  8月10日
                                              (2012年08月09日)
■「パネルベイ」への過度の期待からの反省

 「パネルベイ」の誤算

 2008年にこのサイトをオープンした当時、シャープの堺工場、パナソニックの尼崎のプラズマディスプレイ工場など、関西での新しい工場集積に大きな期待を寄せていました。今となっては不明を恥じるしかありません。

・欧州の経済危機による急激な市場収縮
・アジアのメーカーの参入による価格の大幅下落と急激な円高の進行
・地デジ買い換え特需終了による国内市場の縮小

など過去に想定されていなかった要因もあります。

 ただ、基本的に誰でも簡単に生産できる製品の「ものづくり」はいずれ価格競争に陥るということでしょう。

 テレビでいえば有機ELや3Dなど「付加価値」の高いモノづくりにを行っていましたが、「付加価値」を訴求しきれなかったようです。テレビの視聴好意率や視聴時間は徐々に低下してきています。海外の市場も低価格市場が膨らんでいますからね。

 何よりも「何を見せるための液晶パネル」かが考えられていなかったこと、コンテンツの軽視が課題です。

 10大名物のヘクタールビジョン構想にしても「CM」以外のコンテンツには全く触れられていませんでした。何を見る、何を見せるかで「商品」としての完成度が違ってきます。

 WEBの動画投稿サイトなどのコンテンツはアイデァは面白いモノが多く、へたなテレビ番組よりも楽しまれています。ただし、技術は洗練されているモノばかりではありません。

 今後、液晶パネルの重点はスマートフォンやタブレット端末に移行していくのでしょうが、アプリは正直、お手軽でお粗末なものが大多数です。質の高いコンテンツを提供する仕組みが無いと端末もまた淘汰されるでしょう。

 日本国内では大量生産品のものづくりはほとんど不可能なのでしょう。


 これからは

1.その製品の現在の勢いだけで無く、市場変化要因とリスクについても検証する
2.旧来型のものづくりを脱却できているか、さもなくば伝統的なものづくりを継承するニッチ市場の可能性を比
  較する(新しいばかりがいいとは限りませんからね)
3.ハードと同時にそれにのいるソフトやコンテンツに「新しい」要素が組み込まれているかどうか

等を考えて有望産業かどうかを評価する必要がありますね。
「パネルベイ」は当社が言い出したキャチフレーズではありませんが、無批判に同調、流布したことは大きな反省点です。(新聞を鵜呑みにすると間違えてしまうという教訓です)

 簡単に真似される商品・サービスは「価格破壊」の洗礼をあっという間に受けるということです。
 

                                                 (2012年08月08日)
  
■アウトレットのブルーオーシャン

 アウトレットモール未経験者集客策

 アウトレットモールは相変わらず売上を伸ばしていますが、これからはアウトレット未経験者を集客しようと対策を取り始めているそうです。ターゲットはクルマを持たない若い層と50代、60代のシニア層です。

 「アウトレット経験者は主力客層の20代、30代でもまだ2割に満たない。特にクルマを持たない若い世代や中高年層、"ママ友”など観光との組み合わせで新たな客層の掘り起こしにつなげたい」と語るのはチェルシージャパンの担当者(繊研新聞2012年8月6日)。

 具体的な対策は、御殿場プレミアムアウトレットへの品川駅からの直行バス運営。新宿、東京、横浜駅発に加えて新たに運行します。それにしても、往復2,800円は買い物だけの利用だと高いですね。

 20代、30代女性を対象に「美や健康、グルメ」など周辺の施設・観光名所周遊を組み合わせたツアーをはとバスと組んで企画していたそうです。こちらはありでしょう。

 三井アウトレットパーク木更津は東京、新宿、横浜、川崎からの直行バスで会社帰りの6時発で10時に戻ってくる「究極の弾丸ツアー」を期間限定で行います。往復1,000円でドリンク、クーポン付きだと利用者はいるかもしれません。それでも実質の買い物時間が2時間程度で物足りないでしょうね。

 軽井沢のプリンスショッピングプラザは新幹線の臨時列車「プリンスエクスプレス」を東京〜軽井沢で運行。プリンスホテルのサービスマンが同行し本格的なサービスをするというのいはポイントが高いですね。毎回満席だそうです。

 アウトレット利用率

 それにしても20〜30代で利用経験率2割というのはどうでしょう?

 地域によって違うでしょうし、都市圏では自動車の所有率も低いのでそんな気もするのですが・・・・・。朝日大学が首都圏の生活者を対象に調べたデータでは未利用者が2割いるというのが正解でしょう。男性に限ると、未利用者の割合はもっと高くなります。30代、40代はファミリーでの利用があって利用率は高いのです、20代、50代では利用経験率が低くなります。

朝日大学マーケティング研究所「アウトレットモールに関するマーケティングデータ」
http://www.asahi-bplan.com/marketing/data/1004.pdf へのリンク

                                                   (2012年08月07日)
図ーアウトレットモールの利用率(首都圏在住の20〜59歳の男女)
図46

(朝日大学 「アウトレットモールに関するマーケットデータ」  2010年4月調査)
■めざせ二子玉〜郊外SCのひとつの目標

 競合施設の開業でも存在感を高める二子玉川高島屋

 郊外型ショッピングセンターのひとつの頂点が二子玉川の玉川高島屋ショッピングセンターといっていいでしょう。69年に開業して以来世田谷区を中心に良質な商圏を強固に固めてきました。商圏は足元だけで無く目黒区、川崎市、狛江市など3〜5km圏に拡がっています。

 2011年3月には駅近くに「ドッグウッズプラザ」「ライズショッピングセンター」があらたに開業し、両館で300億円の売上を上げをあげていますが、玉川高島屋ショッピングセンターの売上は880億円とほとんど変わりません。

 関西では「阪急西宮ガーデンズ」は全体として健闘しています。商圏の質の高さは負けていません。玉川高島屋ショッピングセンターを強く意識していると思いますが時間をかけて商圏を押さえていけばもっと伸びる余地はあると思います。

 意外に健闘しているのが「くずはモール」です。川のそばの片商圏であること、駅に向かう自動車交通が混むということ、足元商圏のボリュームの薄さ、核店舗の百貨店の商品力を考えれば上出来です。開業時に二子玉はかなり意識されているようです。

 くずはモールの成功の要因は、JR京都伊勢丹の成功要因にも重なります。新しい住宅地、良質の住宅地を後背地に持ちながら、その住民の嗜好にあった店舗がない空白地帯だったことです。

 新しい住宅地で人口が伸びていると、従来の利用者のテイストとは一番新しい店やサービスが求められます。地元で永く、今までの住民相手に商売してきたやりかたを変える必要があるのです。

 大規模改装で大きく切り替えられたのが成功の要因です。地元枚方市で最も乗降客数が多い枚方市駅では百貨店や大型店がどんどん無くなっています。

 売上を発表していない「イオンレイクタウン」は800億超。「ラゾーナ川崎」は700億円超の売上があるそうです。

                                                    (2012年08月06日)
図ー主要SC2011年度売上  関西と首都圏比較
図47

(繊研新聞2012年8月6日 記事より作成)
■まちのリスクマネジメントとしての温泉

 震災と温泉

 JTBが発表している「温泉まちづくり再考」が面白い。

 震災の被災者が温泉地に避難してきて、ゆっくりお風呂に入って始めて緊張がゆるんだというお話や、被災者受け入れを契機に草津温泉と福島の交流が始まっているとか興味深いエピソードが紹介されています。

 食べるものよ眠る場所だけでなく、ゆっくりお風呂に入れる場所というのは元気を回復するための大事なインフラである事がわかります。

 旧来の温泉地では、いまだに団体客の受け入れに依存している旅館も残っているのでしょうか。有馬温泉は阪神淡路大震災の時以来、昼食、日帰り入浴を始める旅館が増えて、復活しました。

 今回の地震では九州の湯布院温泉が外国人観光客がいなくなり、日本人観光客が中心になってみて、あらためて外国人に依存しすぎるのは良くないという見直しが始まったようです。

 外国人が駄目というのでは無く、団体客に依存するということが問題なのだと思います。

 利用者層の変化

 その中で、震災後の温泉の利用について鳥羽温泉の方がお話しされています。高級旅館のお客さん「ニッチ層」は減っていない、またファミリー客も減っていないそうです。流行追随がたのフォロワー層の動きが悪くなっていたようです。家族層はゴールデンウィーク、夏休みも主力となる客層だといいます。

 近年、経営破綻した温泉旅館の再生柵として「湯快リゾート」など均一価格で提供する事業者も増えています。家族客も利用しやすい受け皿となっています。

 災害の度に学校の体育館で生活している被災者の姿がテレビに映ります。長期にわたる避難生活が想定されるなら温泉地というのもまちのバックアップ機能として大事なモノだと思います。

「温泉まちづくり再考」JTB  下記サイトからダウンロードできます
http://onmachi.jp/news/120719_onmachi_web.pdf

                                                 (2012年08月03日)
■売上げ好調の大丸神戸店〜神戸阪急の売上げはどこに消えたのか

 神戸大丸の3〜8月の全館売上高は前年同期比4.8%のプラス、入店客数は6.3%増

 神戸大丸は今春の食料品フロアの改装で、入店客数を前年比2ケタ伸ばしています。食料品の売上げも3割アップし、いわゆる「噴水効果」で衣料品、服飾雑貨も伸びています。

 2012年度の売上は前年比2.8%増の810億3,000万円と6年ぶりの増収を見込んでいます。

 前年に比べて22億円の増収なのですが、今年の3月に閉店した神戸阪急91億円の売上の24%にあたります。神戸市西区、北区、須磨区、垂水区の顧客が神戸阪急から大丸神戸店にスイッチしたのだと思いますが、残りの75%の売上はどこに消えたのでしょうか?

 神戸阪急は震災後は一次、お客さんを集めたのち、立地上非常に厳しい戦いを続けていました。それでも「百貨店」としての矜持は守り続けていました。郊外のSCあるいは西神そごうなどに、ながれたのでしょうが、神戸大丸はもっととれたのではないかとも思います。

 4月下旬に全館オープンした食料品の売場の意欲的な改装は高く評価されていますが、この春は顧客を増やすチャンスであったと思われます。

                                      (20128月2日))
        
■驚天動地の道頓堀プール事業計画

「道頓堀プール計画」を税金使わないからと放置しておいていいのか

 堺屋太一先生が発表された「大阪10大名物づくり」はある意味「ネタ」にもならずにスルーされていました。突っ込みが無い事はある面、功労者の先輩への配慮だったのでしょうか。

 「道頓堀プール計画」(道頓堀完成400周年を記念した、長さ2kmのプール)の実現に向け、事業構想の発表会が7月30日に開催されました。※その後1km、さらに800mへどんどん縮んでいますが

(計画内容)
道頓堀川の周辺住民、商店、関連企業からの出資により「道頓堀プール株式会社」(以下DPC)を設立、2015年の営業に向け準備を進めるということです。

 プールは、発泡スチロールのフロートを付けた布函(ふかん)式(=箱状の布)水槽を浮かべ、水道水を注入することで実現する。区間は、日本橋から深里橋西側(西横堀川の手前)の800メートルから1kmが予定されている。〜計画の2kmが半分になったようです。

 プールの幅は、川幅いっぱいの12〜15メートル、深さは1.1〜1.4メートル。1つの布函の長さは30メートル程度とし、チャックにより全体を接合、一体のプールとする。水道水で一杯にするらしいですが「濾過」はするんでしょうか?掛け流しでしょうか?

 プールの名称は、「人工的に水をためた遊泳場」という意味に加え、「たまり場=人をそこにためる」という意味を重ねた「TONBORI POOL SIDE AVENUE」だそうです。。

 営業期間は、6月の最終日曜日から9月の最初日曜日までの10週間1日を予定。営業時間は10時〜21時。利用料金は、最初の1時間が1,000円、以降1時間ごとに500円とし、3時間ほどの利用を想定しています。ということは客単価は3,000円ですね。ファミリーでは無く大人の男女がお客さんですね。道頓堀の通行人に水着姿をさらす自信のある人限定ですね。

 期間中、一般客の遊泳利用のほか、男子・女子の超長路水泳競技および男子、女子の遠泳リレー競技を行う予定で、合計入場者数100万人、年間収入16億円以上を目指す。観覧席は設けられるんでしょうか?ただでみられるなら観客の入場料はとれませんね。

シンクロをやるとかいう話もあります。シンクロには深さ3mのプールが必要ですから掘り返すのでしょうか?


 単純計算して1日約14,300人の有料利用者があるということです。心斎橋筋商店街の通行者数が1日9万人として約1割強が利用?

 ちなみに「年間」100万人以上の利用者のあるアクアパークは「スパリゾートハワイアンズ」の149万人(震災前09年)、それに次ぐ利用者数のある「東京サマーランド」の92万人を上回ります。

 2012年度〜2015年度の「道頓堀プール株式会社」の必要資金は30億円を想定。寄付金や出資でまかない税金を使わないのが前提としているそうです。この種の仮設施設はできれば1年。少なくとも3年で償却したいところです。朝日新聞では、南海電鉄も出資するそうです。・・・株主名簿にはありませんが

あくまでも税金を使わないことが前提なので、「周辺整備」も含めて税金が投入されないことを祈るばかりです。

 誰かが責任を持って止めてあげないと・・・・。市長を含め会議に出席した府市統合会議の参与、特別顧問も放置している限り賛同したのでしょうね。


 平松前市長のサッカースタジアム建設計画もある意味ずさんでしたけれどね・・・。
                                               (2012年08月01日)

 
 経営コンサルタントと弁護士が牛耳る自治体は滅んでいく運命にあるとあるのでしょうね。市民は大阪市の使用人ではなくステークホルダーです。市長は選挙で落とせますが、特別顧問や参与は過ちにペナルティはありません。(会社をつぶして責任を取ったコンサルタントなんて聞いたこともありません)ある意味、よく非難されている役人より始末が悪い人達です。

 弁護士もコンサルタントも施主の依頼に応じてロジックを組み立てて相手を黙らせるのが仕事ですから実業には向いていません。
 7月
■行ってみたいけれど住みたくない街「大阪」

 「沈む大阪、消える若者」 日本経済研究センターの分析

 ・90年代以降大阪経済の停滞で東京との格差が拡大している。
 ・東京への一極集中はデメリットやリスクもあるので大阪の再生が不可欠
 ・大阪停滞の要因は「2次産業」から「3次産業への移行が進まなかった」ことと、「製造業が足元の成長に貢
  献しなかった」こと(愛知県と比べて)
 ・大阪は働きにくい町になり、若者の大阪離れが進む

 ・20〜30代の若者100名にアンケートすると「大阪府には行ってみたい86%が住みたくない69%」という結果
 ・若者が重視する「勤めてみたい企業」「街並みの整備」「「治安が良い」は東京と比較して大阪が大きく劣っ
  ているポイント

 一部のポイントを紹介すると上記の通りです。これから大阪が生き残るためには「独自文化の発信地」としての期待されている役割を果たしながら,おもてなし産業(観光)を活性化するべきという論が続きます。

 基本的な論調は妥当な分析ですが、「大阪には歴史的魅力が無い」と断定しているのが少し違和感があります。京都や神戸、奈良など歴史的な都市まで電車で1時間圏の立地を活かせという趣旨ですが、確かに奈良や京都に比べるのはわかりますが、何故「神戸」が歴史的魅力がある都市なのかわかりません。

 確かに大阪では歴史的な資産が有形無形のものに関わらず軽視されていますし、大阪城やなにわの宮などの発掘調査も進んでいません。正しくは歴史資産があっても活用されていない・・・・京都のようにうまく商売のタネに出来ていない事にあります。

 「歴史の京都,奈良、神戸」と連携し「食の大阪をアピール」と提言は続きます。結局従来の「たこ焼き、串カツ、道頓堀、通天閣,吉本」のステレオタイプの大阪の枠内での提案で・・・これでは住みたい町にはならないでしょう。

                                       (2012年07月31日)
■中之島図書館騒動にみる「個人の発信力」依存の功罪

 中之島図書館 廃止民営化?

 この6月に中之島図書館について知事と市長が図書館の機能を廃止して民間力で活用するというコメントを発表した事に対し、一斉に反発が拡がりました。

 報道では知事の言葉、市長の言葉だけが記事になっていました。今や「歴史文化ぎらい」で通っている市長の「あんなところに図書館を置く必要はない」という言葉に図書館の廃止だけがクローズアップされたようです。

 これは両氏の思いつきでは無く、前日に,大阪府市都市魅力戦略会議でまとめられた「中之島ミュージアムアイランド構想」の中での「中之島図書館を都市魅力施設として積極化活用」という提言を受けたモノです。

 その中では「建物の魅力や歴史的な貴重書を活用しミュ^ジアム機能を発揮」「カフェやレストラン等の集客施設を誘致し,賑わいを創出」「中央公会堂、適塾、,愛珠幼稚園とともに重要文化財の集積をアピール」「船場の近代建築群とも連携し,観光拠点化」という活用策が例示されています。

 松井知事や橋下市長の発言はこの議論を受けたものだったとわかります。


 文楽協会についての議論も層ですが、狭いサークルの中で「専門家」(何の?)議論を重ねて煮詰まった内容だからこそ、あそこまで確信を持った「断言」ができるのでしょう。

 自分一人の考えなら、普通はもう少し逡巡とか自信のない部分もあるはずですが、優秀なブレーンとのやりとりを済ませているので(そこで承認された考えなので)わからないやつが馬鹿だという発想になり、言葉がきつくなる・・・・と拝察されます。


 「世界的な創造都市に向けて〜グレートリセット〜」はもう少しきちんと紹介されて、そして議論されるべきモノだと思います。
http://www.pref.osaka.jp/daitoshiseido/togohonbu/honbukaigi014.html へのリンク

 
            (2012年07月30日)
■郊外百貨店売上げのバックボーン〜昨日記事の補足

 肥沃な後背地を持ちながら突出しているわけでは無い西宮阪急

 郊外店の売上げの比較で、好調といわれている西宮阪急について少し厳しい評価をしました。比較対象となる守口の京阪百貨店は、なんといっても本店であり、3km圏足元の人口世帯数も密集しています。百貨店の売場面積もやや広いので売上金額が近いのも順当と・・・いえなくもないです。

 また高槻西武は売場面積も広く、オーロラモールという専門店街と一体となっています。西宮阪急も西宮ガーデンズとあわせれば,売上金額ははるかに上回るかも知れません。とはいえ、高槻西武が運営の中心になっているSCと、巨大モールの中に入店している西宮阪急では位置づけが違います。

 西宮北口は宝塚につながる阪急今津線(映画にもなりましたね)の結節点ですし、足元の高額所得者の密度も高いのです。にもかかわらず、そこそこの売上で完結している事が不思議です。

 例えば売上がすべてでは無いとして、阪神間の生活文化を感じさせる特徴が育っているかどうかもまだはっきりとは見えていません。例えば、売上は傑出していなくても、芦屋大丸は芦屋の生活を感じさせる匂いがあります。

 阪急沿線の街、例えば箕面駅などは大型施設が集まっているわけでは無いですが、ひとつひとつの古ぼけた店にも「生活文化」の匂いがします。乗降客数が多くても千里中央駅ではナショナルチェーンの店舗と、ニュータウン開発時に権利を持って入居したあまりやる気のない地権者の店が多くて、特徴のある店が少ないので、地元の街を紹介するテレビ番組でも苦労していました。

 ・・・・西宮に感じる問題は、百貨店では無く、大型チェーンの集積したショッピングセンターによって街の匂いが薄まってしまったことにあるのかもしれません。売上もそこそこ、文化もそこそこ・・・って。(当然、この立地では、百貨店にとっては両立というか,この売上と文化2つは正の相関関係にあります)

                                           (2012年07月27日)

図ー売場面積と売上高(百貨店部分)
図48
図ー半径3km圏の人口世帯数
図49
図ー半径3km圏の高額所得者数と小売業販売額(07年)
図50

■競合エリアの「くくりかた」で百貨店のポジションが変わって見えてくる

 大阪の一番店は?

 都市型百貨店といっても基本的な商圏は限定されています。ターミナル立地だと鉄道沿線。それに加えてどれだけのお客様を集められるかが、そのお店の本当の店舗力です。

 昨年の梅田百貨店戦争では阪急対JRが注目されました。もう少し俯瞰して大阪の百貨店として比較すると、島屋大阪店の存在感が高くなっています。伝統的な百貨店、歴史文化を背景にし、百貨店として阪急梅田本店とはあきらかに対照的な存在感があります。

 大丸は京阪神の店舗をあわせると売上規模は、,他の企業と比較にならないボリュームを持つ強みがあります。神戸では,震災以来一番店として君臨しています。一方、京都では伊勢丹に追い上げられているように見えます。 
 若い子向けの「うふふガールズ」は京都大丸の外商顧客には評判が悪かったようです。

 それぞれの地域特性を活かしながら「大丸」としてのアイデンティティと運営効率をどう浸透させるかが課題です。

 Jフロントリテイリングの本社の東京進出は間違った判断だったと思います。稼げる場所または地域に軸足を置くのが原則です。
(シマノは堺市に本社をおいてグローバルなビジネスを展開しています)

 郊外店の意外なランキング

 郊外店を見ると意外な店舗が上位にランキングされています。

  話題になった西宮阪急に,最近新しい話題の少ない西武高槻が肉薄しています。阪急百貨店の優良店舗である川西阪急、千里阪急と西武八尾が並んでいます。

 もちろん商圏のポテンシャル、店舗の売場面積は違いますが、都心の旗艦店がなく新しい話題の少ない西武・そごうが売上的には一定規模をキープしている(利益率は不明ですが)事はあらためて注目しておくべきでしょう。

 川西、千里は社内的,評価では優良な方なのでしょうがイトーヨカドーがついている西武八尾はともかく、率直に言ってもう終わっているとも評価されている島屋堺店と大きく売上が変わらないのが現実です。

 西宮阪急はかなりグループの力が入っているにも関わらず、西武高槻と20億程度の差でしかないこともきちんと考えなければいけない課題でしょう。・・・・もっと成績の悪い店舗の対策に追われているのでしょうが、稼げるところで稼いでおかないと・・・・・。

                                               (2012年07月26日)
図ー梅田地区 百貨店売上げ(2011年)
図51
図ー心斎橋〜ミナミ 百貨店売上げ(2011年)
図52
図ー神戸 百貨店売上げ(2011年)
図53
図ー京都百貨店売上げ(2011年)
図54
図ー郊外店百貨店売上げ(2011年)
図55

繊研新聞2012年7月25日 2011年度百貨店店舗別売上ランキングより作成
■空白市場に出店し、利益確保から増収策に転じる百貨店

 利益確保から増収策に転じた百貨店

 百貨店の売上高が前年比」1.5%の伸びとなったようです。東京を中心とした都心店が苦戦している反面、郊外店、地方店の「地元消費」による伸びが大きかったようです。

 各社とも「選択と集中」による不採算店舗の閉鎖をすすめてきた結果、特に地方に百貨店の空白地帯が多く生まれています。増収策に転じた百貨店の外商拠点とも鳴る小型店舗の出店が活発な地域は、既存店の閉鎖による空白地帯を狙ったモノが多いようです。新潟県の上越、長岡、愛媛県の新居浜、今治等・・・。

 SC出店の明暗

 今年3月に報道された「ららぽーと横浜」からの大丸の退店。「イオンモール東村山」からの三越の退店などを思い出すとショッピングセンターでの百貨店の成功は難しいのでは無いかと思われます。

 Jフロントリテイリングは26日、横浜市都筑区のショッピングセンター内の「大丸ららぽーと横浜店」の営業を、来年1月末に終了すると発表した。「デパ地下」をイメージした食の専門店街として、2007年にオープンした。売上高が伸び悩み、赤字が続いていた。昨年には100円ショップやドラッグストアも入れたが、黒字化のめどが立たず、閉店を決めた。売り場面積約3900平方メートル。年間売上高は約38億円。

 西宮阪急、泉北高島屋などごく一部の例外を除いて関西でもショッピングセンターの中の百貨店はあまりうまくいっていないようです。

 岩田屋三越のように規模を絞り込めば効率を上げることも可能なのかも知れません。

                                   (2012年07月25日)
繊研新聞 2012年 07月25日記事をもとにした
百貨店のSC内やや小型路面店の出店動向
図56
■ターミナルのキャラクターの違いから阪急とJR大阪三越伊勢丹の商圏を考える

 広域商圏のJR駅立地と足元利用者の多い民鉄 阪急

 ターミナル百貨店の顧客のベースは駅の利用者です。中でも毎日通勤通学する定期客は基本的なベースになります。

 大都市交通センサスという大規模な交通機関利用者調査で、降車駅別にどの駅で乗車したか(初乗り)を集計したデータが公表されています。梅田の阪急百貨店とJR大阪駅のJR大阪三越伊勢丹との商圏を比較するのにひとつのい参考資料になると考え、一部をグラフ化したのが下図です。

 阪急梅田駅で下りる人が比較的近い駅から乗る人が多いのに比べ、JRでは滋賀県や兵庫県などの遠方から乗車する人が多いのが特徴的です。もともと広域を結ぶ交通機関であるJRと駅の数も多く、都市近郊をネットワークする民鉄の違いが浮かび上がります。

 かつては近くの駅のおばちゃん達が、阪急の地下で食料品を購入するために定期券を買っていたという時代もありました。通勤通学でも多いのは大阪市内か近い駅です。

 JR大阪三越伊勢丹の食料品は近場の通勤者も多い阪急や阪神とは違った売り方をしないといけませんね。山科とか滋賀の石山、兵庫の三田に帰っていく人がこれだけ多いとね。

                                          (2012年07月24日)

図ー阪急梅田で降車する人の乗車駅(定期券利用者 1日あたりの人数)※500人以上
図57
図ーJR大阪駅で降車する人の乗車駅(定期券利用者 1日あたりの人数)※500人以上
図58

(大都市交通センサス 2010年)
※JR三越伊勢丹が開業する前の調査ですが、定期券の比較なのであまり違いは無いはずです
■「タイガー」を大阪に〜北欧雑貨の均一ショップオープン

 「タイガー1号店」アメリカ村に開業

 デンマークの均一価格の雑貨店「タイガー」がアメリカ村のビッグステップの近所に21日開業しました。日本進出1号店です。

(WEBサイトでの紹介では)
◆10DK(=150円位)、20DK(=300円位)、30DK(=450円位)均一の様々な雑貨や日用品を扱うデンマークのお店です。
◆デンマーク、ドイツ、イギリス、ノルウェー、オランダなど北欧中心に120店舗あります。今年中に200店舗に拡大する予定らしいです。
◆扱っているジャンルは、文具、化粧品、キッチン、ガーデニング、シーズニングなどの料理材料、メイク、トーイ、キャンドルなどの雑貨、収納グッズなどなど


 均一価格でダイソーなどに近いのでしょうが,カラフルでカワイイ小物のデザイン性は「フランフラン」に近いかも知れません.「無印良品」ではストイックすぎるという人におすすめかも知れません。

 ただし、商品は飽きたらゴミとなるだろうなと思わせる品質ともいえます。

 コンセプトは「ユニークさと必要なモノ」

 大事にしているモノは「ブランド」「デザイン」「価格」で同じ北欧の「イケア」(家具インテリア)、「H&M」と共通しています。気持ちを豊かに楽しくさせる事を目指しています。

 年商、初年度1億円を予定し、年内に大阪3店舗、来年以降全国展開をはかるそうです。

 別に「タイガース」を意識したわけではないようですね。なんで大阪なんでしょうね。

 大阪人は価格にシビアという俗論が北欧にまで浸透しているのでしょうか?

                                           (2012年07月23日)
■大阪の「ヒガシ」京橋への住民の評価

 京橋イメージは?

 大阪市の都島区役所が1月に”「京橋地域のあり方」報告書”というレポートを発表しています。、1日50万人以上の乗降客がある大阪市京橋地区の周辺住民と利用者への街頭アンケート調査が報告されています。

 地域住民に向けてまちづくりを一緒に考えて行こうという呼びかけであるので、平易にまとめようと努力されていますが、来街者と居住者のデータが必要な部分で分けて集計されていないなど少し困ったレポートでもあります。それでも住民の生の声の評価があらわれています。

 京橋の良い点

 利便性と庶民的なイメージが高評価です。新しく転居してくる人も少なくないようです。発展しながら古いモノが残っている点。大阪城やOBP、大川が近くにある点が評価されています。「大阪らしさの典型」という評価が多いようですが、その中身をもっと知りたいところです。何故、大阪らしいはずのヨシモト「京橋花月」が失敗したのでしょう。

 京橋の悪い点

 はみ出し看板や,ゴミ、汚物、煙草のポイ捨て、不法駐輪などがマイナスイメージであげられています。治安が悪く、子供を近づけたくないという評価も多いようです。アンケートは地域住民やよく利用しているユーザーを対象にしているのでどちらかというと甘くなるはずなのですが,厳しい意見が多くなっています。

 エリアでいうと京阪モール周辺は良い評価なのですが,JRの東側、高架下、国道1号線の北側での嫌いという評価が高くなっています。

 これからの京橋の方向性

 報告書では「これからの京橋」を考える方向性が提示されています

@評価され,個性を耐えている「京橋のよさ」を育み,活かす
 〜レポートでは「利便性」以外はあまり浮かび上がってこないので、具体的なポイントを例示してあれば次に繋がります

A問題視されているマイナス面を排除・改善する
 〜どうやって?のヒントは後段の取り組み例の提案で例示されています

Bマイナスイメージがあるとの前提のもと、イメージ転換を戦略的に行う
 〜脱歓楽街という指摘があります

Cみんなが関心を持ち,支え、関わる共感型、賛同型まちづくりを展開する
 〜キタやミナミ、天王寺のようにリーダーシップをとる事業者(主に鉄道事業者)が不在なので、住民や地元事業者が主体になるという事は大事ですね

D意思を変え、気運を高め、共感を広めることのできるビジョンを描き,共有する
 〜OBPや大阪城公園を含めた「仮 グレート京橋」を描き、ゾーン毎にそれぞれの魅力を創っていく・・ということのようです。

 まとまった土地が駅周辺には少ないのでデベロッパーにとって魅力は無いかも知れませんが、人の動きのポテンシャルはあります。地元の動きが活発になれば、JRの土地、JRの駅ダイエーの建て替えなども動くかも知れませんが、なま小さなビルが集積しすぎて動きが取れなくなっているように思えます。

 京阪電鉄も旧京橋花月などで頑張ってはいたのですが、今は動けないでしょう。
(京橋花月跡は大衆演劇場として再スタートしています)

 京橋周辺についてもいろいろ考えたこともあったので、ポテンシャルと課題についてこの報告書の背景は良くわかります。区役所には頑張って地域を動かしていってもらいたいと願います。

                                               (2012年07月20日)
 
■2011年震災の年〜東京観光のダメージ
 
 2011年に東京都を訪れた観光客(日帰り・宿泊)は4億2,420万人と8.4%のマイナス

 東京都が7月に発表した平成23年度東京都観光客数実態調査で、震災の年の東京観光のダメージの程度が明らかになりました。

 宿泊客は2,984万人と14.8%の減少です。外国人は294万人で31%と減少幅が大きくなっています。日帰り客は全体で3億9,436万人と7.9%の減少。外国人に限定すれば116万人と21.3%の減少になっています。

 外国人観光客の減少については様々な報道があったように減少している事が統計数値で裏付けられました。都内、あるいは国内の人の動きも報道などでのイメージではもっとダメージを受けていたような印象が強かったのですが、以外に影響は軽微であったように思えます。昨年は自粛と節電で首都圏はひっそりと息を潜めていたようにも感じられたのでギャップがあるのかも知れません。

 今年に入って、都内でいくつかの商業施設が開業しているので2012年度は大きく回復しているでしょうね。

 観光消費額に着目すると、東京都以外の観光客の消費額が大きくなっています。派手に消費する中国人観光客の団体も大事ですが、国内のリピーター確保も大事です。

 生産波及効果も含めて都内生産額に対する観光の貢献度は5.0%と試算されています。

 東京都に比べて「観光」の面では立ち後れている大阪も魅力作りに成功すれば数%の経済効果があるといえるでしょう。

 他の都市にはない伝統文化「文楽」など貴重な資源もありますので、本気で都市の魅力を高める政策が必要でしょう。

                                                (2012年07月19日)
 
図ー1 東京都での観光消費額2011年と前年比
図59



■専門サービス人材の課題と「関西の地盤沈下」

 本社移転の影響による周辺サービス業の人材の流出

 以前、イベント企画業の方に取材したことがあります。企業の展示会やイベントがほとんど東京に集中している現在、関西でイベント企画業をされていた人材は、仕事を求めてほとんど東京にいってしまい、東京の会社の下請けで面倒な現場仕事を押しつけられているという話でした。

 関西で発行されていた雑誌の多くも、取材と営業は関西で行っても、編集製作は東京で行うケースが多いようです。

 ゼネコンや設計事務所の企画部門も多くの人材を東京へ配置転換してしまいました。有名建築家でも世界を相手にしている大阪の至宝「安藤忠雄」先生など関西を基盤にしているかたはごく僅かです。

 大型商業施設の計画が出来る人材を探していたのですが、関西にはほとんど残っていません。大手の上場企業でも私の承知している限りで「企画」を中心に仕事を行っている担当者は片手の指で数えるほどだと思います。

 東京に比べてソフト産業が弱い、情報発信力がないといわれ続けてきた関西、大阪ですが、ここにきて様々なジャンルで「専門サービス業」の基盤がますます薄くなってきているように思います。

 (日本全体で専門サービス業が衰退しているという話もあるのですがね・・・少なくとも東京の魅力もかつてほど強力で圧倒的なものでは無くなってきています)

 クリエイティブな才能、クリエィティブな人材、及びそれをプロデュースする人材の数はおそらく変わっていないはずです。発表の場、発表の方法、活動のジャンルが変わってきているのだと思います。
 
 関西の場合は大企業の本社移転というわかりやすい原因が見えていたのですが、解決策は本社の呼び戻しだけではありません。

 知的サービス業にも「もの作り職人」と同じように細々とした点でプロの「基準」があります。仕事の伝承が必要なのだと思います。おそろしいのは、建築、商業計画、デザイン、広告、イベント、出版様々な分野で同時並行的に「崩壊」が進んでいることです。

 クラウドソーシングが進めば専門サービスの立地は関係なくなるはずです,人材を集める魅力ヅクリが必要です。

                                              (2012年07月18日)

■人の流れから見た「大阪圏」〜「大阪都」議論の振れられない視点

 大阪市への通勤地区ベスト3は 堺市、吹田市、豊中市

 これらのベッドタウンの他に、兵庫県の西宮市、尼崎市も大阪市への流入が多くなっています。奈良県の奈良市、生駒市も通勤者が多くなっています。

 東大阪市と八尾市は流入者も多いのですが,逆に大阪市内からの通勤者も多くなっているのが特徴です。ものづくりや物流機能で、市内から機能が移転したことも考えられます。
 吹田市、尼崎市、堺市への通勤者も少なくありません。

 通学者は吹田市、京都市へ流れている

 高校生や大学生を中心とした通学者は大きな学校のある吹田市や京都市や京田辺市が目立ちます。通勤者と比べて通学者を集める魅力が少ないのが気になります。高校の学校区を撤廃するだけで無く、独自の魅力を持つ私学を元気にしないと大阪市内は寂しくなります。今の仕組みの中では私学が独自性を保って生き残るのは難しくなっているようです。

 大学については工場三法で流出してしまった機能を都心に回帰させることが必要なのですが、今の行政のトップはこの点について、あまり関心が無いようですが、将来的に影響のある大事な課題ですから,何らかの布石が必要でしょう。

                                      (2012年07月17日)

 その後兵庫の市長選で神戸まで「大阪都」に含めるという構想が総スカンでした・・・・考えは間違っていないのですが、無理矢理「併合」する印象が反発を呼んだのでしょう。京阪神共栄圏は横の連係で進めていかないと
図ー大阪市の昼間人口(就業者の流入者数と流出者数)
図60
図ー大阪市の通学者の流入流出
図61
(2010年国勢調査)

■中高年向けの「ヴィレッジヴァンガード」?

 高齢化社会に対応した業態開発

 ヴィレッジヴァンガードといえばサブカルチャーに特化した書籍と雑貨の品揃えで人気を集めていたお店です。多店舗化の中でファミリー層にも抵抗がないようと商品構成がマイルドになり、かつてのコアなファン層は離れてしまったとはいえ、いつのまにか国内では373店舗にまで拡大しています。

 この5月にイオンモールrテ内に中高年(50〜60歳代)を主要顧客に据えた新しい業態「ホームカミング」を開店しました。235uの店舗にはジャズのCD、書籍は料理、自己啓発(?)、落語の分野を揃え、デザイン性の高い「杖」?、老眼鏡、買い物のカートの他、釣具屋やガーデニング用品などのホビー用品も揃えているそうです。

 「老眼鏡やキッチン雑貨などの実用品の購入が多く、堅実な買い物が多い」ということです。ヴィレッジヴァンガードの店は「実用品」を置いていないのが魅力だったような気がします。・・・・多分「団塊世代」をターゲットにしているのでしょうが「杖」」が必要なのは70代以上です。おそらく、中高年は50代以上とかなりアバウトなくくり方で設定された品揃えですね。

 もちろん、シニアを対象にした売場は必要ですが、ヴィレッジヴァンガードの個性を活かすのであれば、もっと対象年代を絞る(団塊世代)ことと、深い品ぞろえが必要です。

 実際のお店を見ないと評価はできませんが、紹介記事を読む限り、外してしまったと思える店作りです。

                                              (2012年07月12日)

■企業の本社誘致政策のヒント

 本社移転企業の立地選択のポイント

 本日、独立行政法人経済産業研究所のサイトで発表されたディスカッションペーパー「日本企業の本社部門の立地について:本社移転の決定要因と生産性による選別」(慶応義塾大学産業研究所 松浦寿幸氏)では企業の本社移転要因と選択基準が数理的に分籍されています。

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/12j022.html へのリンク

 企業の本社の流出が続いていた関西にとって、企業本社をつなぎ止め、かつ新しく誘致するためのヒントが読み取れます。

 アメリカなどでの先行研究では本社(製造部門から独立した本社事業所)を持つ事業所は地理的に離れた事業所を複数所有し、複数の事業を多角的に展開している企業が多いといいます。「同業他社の本社集積」と「多種多様なビジネスサービスの集積」が本社立地選択の重要な要素ですが、後者により強いインパクトがあるという分析もあるようです。

 発表された論文の分析では,工場立地では賃金の安い地域が選択される傾向が指摘されていますが,本社の場合逆に{賃金の高い立地」(=高額歴人材が集積している)を選ぶ傾向にあるようです。

 交通アクセスはアメリカの場合空港への近接性が重視されますが、日本では新幹線駅への近接性が重要だということです。(かつて空港誘致の時にスカイフロント産業集積といった構想もたてましたが、日本では定着しなかったようです。ただし、LCCの存在感が高まり、航空機の移動のコストダウンが図れれば環境は変わってくるかも知れません)

 サービス産業や高度人材の集積では東京が一人がちですが、同業他社の集積数も重要な要因であり、企業集積の維持促進が本社を逃がさない重要な課題としています。
(繊維、衣服、金属製=大阪  輸送機器=名古屋など)

 本社誘致のポイント

 工場誘致では固定資産税の減免や立地補助金が有効ですが、本社の誘致には効果はありません。

 ・ビジネスサービ事業所の集積
 ・同業者の本社の集積の維持
 ・新幹線駅へのアクセス
 ・高度な人材の集積

 が必要だという事です。高度なビジネスサービスを育てるためには企業の本社件数が必要というどちらが先かという議論はありますが。関西からソフトサービスの担い手が東京へ流出していることは確かです。

 大学や専門学校,研究機関の集積、国際的にも評価される歴史文化の集積(文楽等の伝統芸能を含めて)、コンパクトに緑と水の環境がまとまった都市環境の潤い・・・・京都,大阪、神戸といった異なった都市が近接する関西にはまだまだ資源がありますから、戦略を間違えなければ可能性はあります。

                                              (2010年07月11日)
■娘を軸としたシニア戦略を〜困ったときは娘が頼り?

 母親、父親とも娘と接触する機会が多く、困ったときに頼るのも娘が多い

 調査対象者が60〜74才とまだ高齢者の中では若い世代なので、親が子供を頼るというより子供の方も親を頼る相互依存の関係にある可能性も高いと思います。子供の年齢も40台前後になりますからまだ,独身者も少なくないので親子関係が若いときの延長にあるのかも知れません。

 いずれにしても、シニア世代の需要をとらえるときには、娘が情報源になり、購買行動への影響も強いと考えられます。もちろん、この年代のシニアでもインターネットを使いこなしていたり、ボランティア活動などでアクティブに人間関係を築いている人は沢山いますが、新しいサービスや商品について消費の後押しになる口コミは娘からの助言が有効でしょう。

                                                    (2012年07月10日)
図ー配偶者以外で困ったときに頼れる人
図62

図ー高齢者夫婦のみの世帯が近くに住むこどもと接触する頻度
図63


第一生命経済研究所「シニア夫婦の生活環境とデザインに関する調査」2011年10月
全国の60〜74才の夫婦2人ぐしの世帯700名対象
■「デパ地下」であるだけでは踏み込みが足りないグルメ市場

 「デパ地下」の強みとは?

 ショッピングセンターの中で百貨店がテナントとして期待されている役割のひとつが「デパ地下グルメ」の提供です。来年ららぽーと横浜を撤退することが発表された、大丸も「大丸ピーコック」という食品スーパーを持っています。ある程度、日常の食料品の提供のノウハウはあったはずです。それでも収益があがらないのはどこに課題があったのでしょうか?その後ピーコックは手放しましたね。

 高級食品スーパーと百貨店の違いはいくつかあります

・ギフトに使えるブランド価値のある洋生菓子等のスイーツの充実
・販売催事などでの地方の本物の物産の実演販売
・作りたて惣菜の充実(日用からごちそう惣菜まで)
・輸入食品など珍しい食品の充実
・有名料理店のテイクアウト食品の充実
・質の良い食料品の品揃え充実

 特にスイーツはデパ地下人気を牽引してきました。

 最近、駅ビルでもスイーツが充実してきましたし、コンビニエンスストアでもそこそこの食品が並んでいます。宅配サービス充実してきました。
 産地直送品はWEB通販の利用が定着してきています。デパ地下の独自性が薄れてきているのです。

 加えて、百貨店のコストダウンの意識が「デパ地下」の魅力を提言させます。売場から実演を排除したデパートもあります。また、食品催事も「定番」の催事を繰り返していて新味がありません。郊外店ではロスをおそれて珍しい食材は並ばなくなりました。都心店でもそうなってきていますね。

 「デパ地下」らしい売場はそれぞれ業者に丸投げしても構築可能です。人件費の高い社員が手を動かすよりも見た目、安くできます。ブランド性のあるテナントを囲い込めば競争優位が確保できると考えるようになっても無理はありません。

 食料品は日常の細かい気遣いが商品の質を大きく変えます。かつての「成城石井」や「いかりすーぱー」「ディーン&デルーカ」や「光洋」にはそれを感じさせるものがあったように思います。

 美味しいものを提供するための自社ブランドづくりがどれだけできているかが、百貨店の中で残っていく食料品売場の目安となりそうです。(事例に大丸をあげたのは大丸が駄目ということではないですよ。すべての百貨店の課題だと思っています。・・・・食料品売場が改装された神戸大丸は訪問を楽しみにしています)
良かったです神戸大丸。
                                           (2012年7月9日)


 大丸松坂屋百貨店を運営するJ.フロントリテイリングは26日、横浜市の大型商業施設「ららぽーと横浜」内にある食料品専門店エリア「大丸ららぽーと横浜店」を、来年1月末で閉店すると発表した。

 同店は、ららぽーと横浜の開業と同時期の2007年3月にオープン。約3900平方メートルの売り場に、デパ地下の食料品を中心とした、こだわりの食材を販売していた。

 しかし、売り上げが初年度から目標の40億円を割り込んだほか、その後も11年2月期まで、年間38億円前後と低迷。開店以来、一度も営業黒字化を果たせなかった。11年2月期の営業損益は、1億2100万円の赤字だった。

 08年から、ドラッグストアや百円均一ショップ、ドーナツ店といった来店頻度の高い店舗を入居させるなどのてこ入れを図ったが粗利率が低下。人員配置の見直しなどの経費削減も効果が薄く、同社は「今後も赤字解消の見通しが立たない」と判断した。
( MSN産経ニュース  2012.3.26 
■高速道路インターチェンジ立地の来店客動向〜三井アウトレットパーク滋賀竜王

 高速道路による広域商圏の可能性

 トラフィックチャネル、交通結節点での商業が注目されています。2010年7月に滋賀県竜王町に開業した三井アウトレットパーク滋賀竜王は名神高速道路の竜王インターから500mという立地にあります。

 店舗面積27,000uのアウトレットモールです。三井不動産ららぽーとマネジメント株式会社が運営するアウトレットモ-ルでは最大のドライブタイム90分圏の約1,000万人が想定商圏人口となります。260億円といわれる目標売上はマリンピア神戸の203億円を上回ります。京滋エリアで初のアウトレットですから可能性はあります。

 昨年7月に矢野経済研究所が行ったWEB調査(サンプル数が133sなので、あくまでも参考資料ですが)では、利用者の所要時間は約40分。ほとんどの人が車で利用しています。

 1年間の利用は1〜3回が6割。4以上利用している人が約4割となっています。対象者が周辺都市居住者という点を割り引いてもリピーターの比率が高いようです。

利用時間帯は休日の午後が3割、平日の午後が27%。となっています。「食」の集積が普段の利用を促進しているのだと思います。

 良く行く店は「無印良品」「GAP」のアウトレットですから、この調査の対象となった近隣の住民は普段使いでも利用しているということでしょう。

 倉敷のアウトレットが岡山の百貨店に影響しているように、京都駅前の百貨店やイオンモールへの影響は大きいのでは無いかと思います。

 自動車の利用率は低下傾向にありますし、ガソリン価格があがると影響は大きいとは言え、ユックリと買い物が出来て、レジャーとしても楽しめる高速道路立地は一定の存在感を持つ続けるでしょう。

 一旦駐車場に入れると出しにくいのが難点ですが、滋賀県の観光スポット(長浜や工場跡のアトリエ)や日帰り温泉と連携できれば、京阪神からの1日のドライブコースとして楽しめるでしょう。

                                                 (2010年07月05日)
■「LCC」新時代目的地サイドの対応

 北海道新千歳空港 年間100万人気簿の上乗せ効果

 昨日開業した、成田と新千歳空港を結ぶジェットスタージャパンの運賃は4,590円からです。昨日は早速欠航便が出るなど運航面の不安定さはあるものの、この料金で東京と札幌が結ばれるのであれば、新しい需要が生まれます。

 日帰りや週末旅行が増えるでしょうし、家族で移動しても移動コストが削減できるので、ファミリーレジャーの誘致にも効果が出てきます。

 3月に先行して関空からピーチ・アビエーションのLCCが就航していますが、関西からの宿泊客が1割増えたそうです。

 今まではツアーや団体旅行で利用する人が主流でしたが、インターネットで申し込む個人客のウェートが高まれば観光のスタイルも変わってきます。有名観光位置を巡る周遊型?(昭和30年代のスタイル)から体験ツアーや星の管掌ツアー、地元グルメと温浴施設に特徴を持たせた「スパ」などが新しいお客さんを待ち構えています。

 成田経由や関空経由の海外観光客も増えていくでしょう。北海道だけでなく沖縄や九州といった従来のゴールデンルートから離れたエリアにもチャンスが生まれてきます。

 特に国内線は移動時間も短いのでLCCで充分と考える人は確実に増えていくでしょう。

                                          (2012年08月04日)

 上海〜佐賀が3000円だそうです。これはすごいですね。ちょっとこわいけど。
■無印良品とURの団地リノベーションでの協働

 UR団地が無印良品と協働で古い団地を改装

 戦後の高度成期に公団の団地はLDKスタイルの導入による食寝分離など日本の住宅文化を変えてきました。かつては公団の新規申し込みや空き家の募集はかなり高い倍率がありそのための代行業者がいたぐらいですが、最近は改装し、WEB環境を整備してもなかなか埋まらない状況のようです。

 基本的には居室が狭く、水回りにも余裕が無い、古い団地では洗濯機を置く洗濯パンさえおけないという事に加え犬や猫などのペット飼育禁止という時代遅れの管理規定がネックになっていると感じます。(団地とはかなり長くすみましたしそれなりに良いところも理解しているのですが・・・・)

 今回無印良品とパートナーを組むのは「リノベーション」ということで予算は200万円前後と聞いています。
あまり過大な期待は出来ませんが、内装のデザインに無印良品のセンスが活かされるといいですね。

 候補となっている団地は比較的立地が良くて、少ないコストでも人気を集めそうな物件です。ただ、面積が狭いことから単身者あるいは夫婦の世帯が多いと思われるので、ペット飼育の解禁が必要だと思います。小型室内犬の家庭内での位置づけが大きく変わっていることに目を向けるべきでしょう。

 今回対象とならなかった深刻に入居者離れが進んでいる団地は、大規模な建て替えしか再生の途は無いのかも知れません。

                                       (2012年07月02日)

(ニュースリリース)

この度、独立行政法人都市再生機構西日本支社(支社:大阪府大阪市 理事・支社長:糟谷明人)(以下、「UR西日本支社」という。)とムジ・ネット株式会社(本社:東京都豊島区 代表取締役社長:松井忠三)は、団地リノベーションの共同企画「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」を発足いたします。

 UR西日本支社は、現在、近畿2府4県を中心に444団地約21万2千戸の賃貸住宅を管理しています。1955年に日本住宅公団として発足以来、安全・安心な住環境を確保しつつ、高度多様化するお客様のニーズに応えるべく、住宅性能の向上や多様なソフトサービスを提供するなど様々な付加価値の創造に取り組んでいます。
 一方、ムジ・ネット株式会社は、無印良品事業を行っている株式会社良品計画の子会社として、「木の家」「窓の家」「朝の家」の3商品をラインナップした長期優良住宅認定仕様の「無印良品の家」注文住宅の事業を推進しております。
 両社は、それぞれがもつブランドイメージに共感し、共同で団地リノベーションに取り組むこととし、その合意の証として、連携協定を締結しました。

 日本の暮らしのスタンダードを追求してきたUR西日本支社と、「生活美学の専門店」を目指している無印良品とが、「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」を立ち上げ、WEB上でお客様とのコミュニケーションを行いながら、現代の多様化した日本の暮らしに、新たな賃貸リノベーションのスタンダードを発信していきます。
 具体的には、「新千里西町」(大阪府豊中市)、「泉北茶山台二丁」(大阪府堺市)、「リバーサイドしろきた」(大阪府大阪市)の3団地において、2012年秋以降に5プランのリノベーションモデルを実際の住宅で見ていただける予定です。
 この3団地は、昭和40年代から50年代に郊外ニュータウンや市街地で供給され、日本の住宅のスタンダードのひとつとも言える住宅団地です。今回のプロジェクトでは、現代の壊して作るリノベーションから、壊し過ぎず、作り過ぎないリノベーションを目指します。いろいろな家族が長く心地良く住まうことができる賃貸リノベーションの提案は、新たな価値を創造し、日本の住宅市場にも大きなインパクトを与えるものと考えています。
 すでに、WEB上のコミュニケーションが始まっており、多くのご意見をいただいています。これらの意見を踏まえ、新たな賃貸リノベーションのかたちができる過程をすべてWEB上で公開していきます。

最後に、無印良品及びUR西日本支社の「団地リノベーションプロジェクト」ページを、以下にご案内いたします。

■無印良品ページ
http://www.muji.net/ie/lifestyle/project_danchi/

■UR西日本支社ページ
http://www.ur-net.go.jp/kansai/muji

 
(参考)物件概要

(1)団地名:新千里西町/管理開始:昭和41年/管理戸数:534戸/所在:大阪府豊中市/その他:千里ニュータウン内
(2)団地名:泉北茶山台二丁/管理開始:昭和46年/管理戸数:1,225戸/所在:大阪府堺市/その他:泉北ニュータウン内
(3)団地名:リバーサイドしろきた/管理開始:昭和54年/管理戸数:859戸/所在:大阪府大阪市/その他:梅田バス20分
 
 6月
■好調なアウトレット売上のなかで鮮明になる外国人観光客の重み

 りんくうプレミアムアウトレットの一人負け

 チェルシージャパンの運営するアウトレットセンターの12年3月期の売上が発表されました。昨年増床した「土岐」「あみ」の両店は20%以上の伸び。震災で被災し休業していた仙台の泉は6月からの再開にも関わらず、1.4%の伸びを示しています。復興需要が追い風になったようです。

 その中でマイナスになったのは関西国際空港の向かいに位置する「りんくう」です。立地からも外国人観光客のウェートが高いのですが、インバウンドの減少が直撃しています。
 直接の被災地ではないのですが、周遊コースの一端なので仕方が無いのでしょう。東京〜大阪だけでは無い九州や沖縄、中四国、北陸を結ぶ観光ルートの開発が必要です。

 立地の問題もありますが、外国人観光客の重みがはっきりとあらわれた数字です。

                                        (2012年06月29日)
図ーチェルシージャパンのアウトレット8施設売上
図64
(繊研新聞 2012年6月28日)
■駅チカ立地店舗の集客ノウハウ

 「たまたま来店客」を引きつけるポイント

 27日の繊研新聞に「エチカフィット銀座」のファッション店の事例で、流動客の多い立地での集客ノウハウを紹介しています。駅ナカ立地や、高速道路のSAなどのように目的を持って来店するお客様では無く、たまたま来店されるお客様をいかにひきつけるか各社の工夫が見られます。

 「ザ・ステーションストア・ユナイテッドアローズ」

 入り口にウェア、アクセサリー、傘など緊急ニーズの雑貨を集積。お菓子も置いて選ぶ楽しさを増やす。

 「ローリーズファームプラス」

 雑貨とウェアの比率を7:3として雑貨の比重を高める。イニシャル刺繍や誕生石アクセサリーセットなどギフト 需要を強化。

 「マリカフリッカー」(ポイント)

 靴とバッグを6:4の比率とし、定番便利グッズは常にある状態を維持する。ギフト対応のパーツアクセサリーも
 品揃え。

 「フランフラン・ザ・ポスト」

 飲み物や、お菓子の販売を入り口付近で行う、。シーズンギフトのコーナー、コンビニエンスのコーナーなどで 女性の日常利用を掴む。近隣のフランフラン店舗への導入と情報発信を行う。


 ファッション系の企業でも試着など接客に時間が取られる商品よりカジュアルなウェアと雑貨が中心になっているようです。機動的に売場を変えて変化を付けるために可変什器を導入する店舗も多くなっています。


 ある企業のオーナーは駅の店舗への出店コストを「看板代」と語っておられました。
 
 ブランドの中心的な店舗をどこにどのような形で設置するか、そして駅チカ店舗からどう関連づけて誘導するかが重要なポイントとなります。・・・もちろん駅チカ店舗は坪あたりの売上も高いので、しっかりと利益を確保する必要もあります。


                                               (2012年06月27日)
■時間消費施設の効果〜みなとみらい21地区の来街者増

 就業者という基礎票に時間消費型施設での広域集客

 駅などの人が定期的に集まるトラフィックチャネルが注目されていますが、駅から少し離れた商業集積である「横浜みなとみらい21」の好調を報じる記事をベースに「非ターミナル立地」における集客のポイントを考えて見たいと思います。うめきたや神戸ハーバーランド改装のヒントになればうれしいです。

 ベースとなる就業者数が7.9万人。これが基本的な売上となります。ウォーターフロント立地の魅力でカップルの来街者が中心だったのですが、最近はファミリー層を中心に幅広い年代を集めています。

 集客施設としては「シネコン」「横浜美術館」「横浜みなと博物館」「アンパンマンこどもミュージアム」に加え、2011年9月には「カップヌードル美術館」がオープン。7月10日には個人のコレクターとして有名は原氏の「原鉄道模型博物館」が開業します。

 エリア内の商業集積は1,000億円を超える規模で、高級感のある「ランドマークプラザ」、ヤングからファミリーまでのカジュアル対応ができる「クィーンズスクエア」「クィーンズイースト」など幅広い品揃えで偏りが無い。運営者が異なっていてもエリア全体で共同イベント、施設間交流が活発なのも特徴です。


 イオンによって立て直しが図られる「神戸ハーバーランド」や梅田周辺の回遊動線から少し離れる「うめきた」の開発にとって参考にすべき点があります。

                                           (2012年06月26日)
■限りなく馬鹿っぽいIPADのビジネスアプリ〜ここにブルーオーシャンがあるのかな?

 薄利多売システムからは新しいモノは生まれないのか?

 どんな世界でも90%はクズなのでしょうがipadのアプリはかなり程度の低いモノが多いのは何故でしょう。英語版ではもっと違う世界が開けているのかも知れませんが、日本語版、日本語化されたアプリ(ソフトウェア)はこれでもかというぐらいレベルの低いモノが並んでいます。

 特にビジネスアプリ、そして電子書籍化されたビジネス本はコンビニに並んでいるような安っぽい自己啓発本の類が目立ちます。基本がスマホのユーザーなので「本を読む習慣」のあるユーザーは少数派なのかも知れません。
 自炊と呼ばれる自分で本を裁断してスキャンするしか方法が無いのかも知れません。


 スマホのユーザーやタブレット端末のユーザーが増えているので、ちゃんとした電子書籍を揃えたアプリを提供すれば支持されると思うのですが・・・・。

 「紀伊国屋」のアプリなら大丈夫かと思ったのですが・・・・残念でした。

 基本的に無料ないしは価格の低いアプリが多いので平均的な質があがらないのでしょう。PCのソフトやPSPや3DSのソフトより「安い」ものを沢山売るというマーケットなのでしょうね。

 スマホやタブレットのユーザーは画面を見ている時間は長いのですが、あまりその中に深く入り込まない、深く入り込めるものを求めていない印象があります。

 本を持ち運ぶのは重いので、外出先で本が切れたら困るという活字中毒者向けの電子書籍が望まれます。青空文庫にもいいコンテンツはありますが社会科学系の本がない等、分野が偏っています。

                                                    (2012年06月25日)
■顔の見える地域密着が中小小売業の生き残る道

 差異化のための顧客ロイヤリティ

 信金中央金庫 地域・中小企業研究所が「産業企業情報」2012年3月30日号で地域密着によって顧客のお気に入りブランドとなる事で顧客や仕入れ先をファンやサポーターにしている小売業の事例を紹介しています。

 「一期家一笑」(愛知県豊橋市) 食品スーパー

 売場面積80坪の「超ローカルスーパー」。八百屋から始まったスーパーです。大型スーパー4店とコンビニとの競合の中で、商圏を小さく設定し、商品を調達する農家やメーカーも地元にこだわっている。インストアの惣菜に特徴があり、食品メーカーの提供する決まった食材・レシピ・調味料の物では無く、素材は地元産、家庭の味付けで調味料も料理によって使い分けています。素材が健康志向というのも魅力です。
 大手チェーンストアの出来たて惣菜はメーカーのパッケージによる工業製品あるいは、生鮮の残り物の活用ですから気合いの入り方が違います。 ベーカリーや和菓子、日配品も地元の企業の物です。

 商圏は半径500m、世帯数2,000戸。、人口3,000人の狭域商圏です。来店客は1日600人。客単価は1,500円。従業員26人(パートアルバイト22人)で年商3億円といいます。

 店頭だけで無く、学校や保育園、老人ホームなどへの食材の卸、冠婚葬祭などでの弁当や食材宅配のサービスを行っています。

 来店客の7割の顔と名前がわかるということで家庭の冷蔵庫代わりに活用されています。


 その他、こだわりの品揃えと親身の対応が強みの酒類販売店「有限会社 蔵家」(東京都町田市)〜ワインに注力し差別化、。料理教室や顧客を自宅に招くパーティーの開催、ワイン教室など顧客との関係作りに注力している。や地域顧客に密着し強みを創出する鮮魚販売店「浜喜屋」(東京都府中市)〜加工されたフィレであはなく魚丸ごと仕入れて無駄なく理容。高密度訪問営業でファンを獲得する家電量販店「峯田電器」(山形県山辺町)などが紹介されています。

http://www.scbri.jp/PDFsangyoukigyou/scb79h23F11.pdf へのリンク


 超地域密着マーケティングのススメ(明日香出版社)

 2007年の発行ですから少し古い本ですが、明日香出版から観光されている「超地域密着マーケティングのススメ」(平岡智秀)は和歌山県有田市の水道工事会社の経営者が書かれた地域密着マーケティングの実践の紹介です。

 ここで書かれている顧客との関係作りは閉じられた地域の店だけに有効なのでは無く、WEBや新聞通販の通販事業の成功のポイントにも共通しています。

 大型店、特に百貨店にとって全く無縁の話ではないと考えています。百貨店は小さな商店の集積であるという側面もあるでしょう。もともとチェーンストアとは成り立ちが異なります。

http://hiraokatomohide.com/ へのリンク

                                        (2012年06月22日)
■ガソリンスタンド空白地帯の影響

 ガソリンスタンドの倒産増加〜帝国データバンク

 6月8日に帝国データバンクが発表したレポートで、ガソリンスタンドの倒産が2011年度には56件と前年度に比べ14.3%増加していると発表しています。自動車保有台数2007年をピークに4年連続で減少し、それ以来倒産件数は高い水準で増加しているようです。縮小する市場の中で価格競争が激化、また「危険物の帰省に関する規則」の改正により40年以上前に埋められた貯蓄用地下タンクの回収の義務づけによる負担が経営を圧迫していると指摘しています。(40年も経って腐食の恐れがあるタンクの補修は当たり前の指導だと思いますが)タンクは2013年の1月末までに改修する必要があります。

 ハイブリッド車の普及やガソリン車の燃費向上がガソリンスタンドの売上のマイナス要因ともなり、今後事業継続を断念する業者が増加し、「ガソリンスタンド空白地帯」はさらに増加すると結んでいます。

 時代の要請である「省エネルギー」の実践がエネルギー供給業者の目先の利益と相反するというのは、電力業界と似ています。エネルギー供給事業者は事業構造を変えていかないといけない時期なのでしょう。

 「ガソリンスタンド空白地帯」はどこに生まれる?

 買い物施設の空白地帯については「フードデザート」として研究も進み、いくつか対策が取られています。それでは「ガソリンスタンド空白地帯」はどこに生まれるのでしょうか?
 人口が減少している、中山間地域や九州の高速道路(140kmの間ガソリンスタンドが無いとネットで検索されました)などが頭に浮かびます。

  中山間地域は生活の足であるだけに影響は深刻です。GSが灯油やプロパンガスなどを宅配しているケースが多いので最寄りのGSが10km以上離れてしまうとかなり厳しい影響を受けます。

 首都大学東京の調査では地域住民のGSへのアクセシビリティの悪い地域は山間部だけで無く平野部市街地の外縁にも存在するといいます。フードデザートと構造は同じです。
(「ガソリンスタンドのアクセシビリティ評価と施設撤退の影響評価〜岩手県を分析対象として」首都大学東京讃岐亮、吉川徹)

 都心部では自動車を使わなくても生活できますし、近隣の移動は電気自動車に置き換わっていくでしょう。地方都市でクルマ離れが進むとしても、、自動車が生活の必需品である事は間違いないので、採算は取りにくいでしょうが対策が必要です。

                                            (2012年06月21日)
■一等地に「何がある」かで都市の格が決まる

 ただの「レトロなビル」にしか見えない?

 1996年に大阪府立府立中央図書館が東大阪に開館してから、中之島図書館はビジネスサービスに特化した図書館としてサービスを提供してきました、かつては府立文化情報センターや大阪商工会議所内にビジネスに特化した図書館があったのですが経費がかかるために集約整理され、大阪の中心部でビジネス資料や大阪についてのを揃えているのは中之島図書館かジェトロの図書館ぐらいしか見当たりません。

  インターネットで多くの資料を閲覧できるようになったとはいえ、一次資料や年鑑類、専門雑誌などを調べる事が出来るのは重要なビジネスのインフラです。
 これは都心部の一等地だから必要な機能です。市長も知事も「知識文化産業」を集積することに熱意が無いように思います。

 大阪市立中央図書館もいい図書館ですが、西長堀という場所は都心から離れています。東大阪の中央図書館も同じです。

 機能の代替という意味だけなら「うめきた」に公共の文化、ビジネス情報センターを設置するならそれでOKなのですが・・・・・・。 


 重要文化財の活用法

 今回、知事と市長は大阪府立中之島図書館を廃止し,民間に活用させる方針を発表しました。
 重要文化財である「レトロなビル」は図書館として作られた建物で、「結婚式場」「飲食店」「ホテル」などに使うためにはかなり内装をいじらなければなりません。

 学校、教室など文化系で収益性の低い活用が中心になるでしょう。建物の文化財としての公共性から、宗教団体や会員制クラブなどのクローズなな専有にはなじまないでしょう。・・・寄贈した住友家のご先祖はどう思うでしょうね。

 文化施設は集客施設で有り、観光の魅力をつくる資源です。(今の中之島図書館は不十分にしても)図書館と一体となった建築物だからこそ「価値」があります。

 人工的な思いつきの名物作りより「独自の資源」を活かすための投資をしたほうがずっと効果的です。

 つくづく、マーケティングのセンスが悪いなと思います。

                                                (2012年06月20日)
■国際会議という情報発信〜震災の影響で東京は減少

 アジアの情報交流拠点はシンガポール〜アメリカの都市が誘致に熱心で無い理由は

 国際会議が開催される都市は国際的な情報交流拠点であると言えます。国ではアメリカ合衆国の開催件数が多いのですが、沢山の都市に分散しているために都市別では上位にランクインしていません。国際会議でなくても国内の会議や展示会だけで結構賑わっているのであえて、都市レベルで国際会議を誘致していないのだと思います。ラスベガスはカジノで有名ですが、ゴルフ場、ホテル、ショッピング施設が完備しコンベンションを誘致することで街は潤っています。ただの博打だけの街ではありません。

 アジアではマカオのカジノが派手ですが、同じようにラスベガス資本が経営していてエンタテイメントも揃っていますが、顧客は博打好きの中国人が中心で、国際会議を誘致できる機能は揃っていません。

 大阪市にカジノを誘致しようという話がありますが、大阪港に規模の小さい物を創ったとしても雇用を創出するほどのインパクトはありません。しょぼいカジノであればパチ屋と変わりません。〜求人誌ではパチ屋サンの求人が目立つように、サービス現場で求人はあっても求職者は少ないコトの意味を考える必要があります。韓国でもソウル済州島にカジノはありますが、目を見張る経済波及効果があるとは聞いていません。谷岡一郎先生どうなんでしょう。(※大阪商業大学の学長「カジノ研究」の第一人者)

 10大名物といい、カジノ構想のような初歩的な瑕疵のある議論を大阪市では大まじめにやっているようです。、ワンマン社長にものが言えない駄目な中小企業の役員会のようですね。民間企業の駄目なところを真似してはいけないですよ。(正直であると、取締役事業本部長から平社員に降格されますけどね)

 今週開催される大規模国際会議

 東京では10月12〜14日に世銀総会が開催され2万人が集まります。10月の29日から〜11月の1日には大阪市内で金融業者の国際会議「再ボス」が開かれ、8千人の参加が見込まれます。

 東京は低迷しているホテルの稼働率が昨年に比べて大幅に改善し4月は82.3%でした(+41.8ポイント)。国際会議も大幅に減っていたので、是非とも成功させたい会議でしょう。

 大阪は東京に比べてホテルの数が少ないののと震災の為首都圏を避けた利用者がいたため,稼働率は88.9%と10ヶ月連続で前年比を上回っています。
 今後、うめきた、あべのハルカス、なんばと国際クラスの大型ホテルが開業します。国際会議や展示会の環境を整えて、京阪神で連携して誘致をはかる必要があります。

 大阪は国際的に知名度が低いのですが、世界陸上で多くのお客さんが来阪した時、街の中(大阪市民)がうきたっている感触を実感しました。

 大阪名物は人工的につくるものではなく、異国人が発見して親しんでくれることで、自分たちに気がつかない自分たちの魅力を発見できるものです。

                                           (2012年06月19日)
図ー国際会議開催件数(2010年〜2011年)
図65
UIA(国際団体連合)調べ日本政府観光局発表
■「大阪10大名物」は今

 堺屋太一さんの真骨頂〜キャッチフレーズとしての「大阪の10大名物」

 大阪府市統合会議の議事録はWEB上で公開されています。おそらく都合の悪いことは編集されていると推測しますが、それでも生々しいやりとりを知ることが出来ます。

 今年1月に大阪府市特別顧問の堺屋太一氏が提案した「大阪10大名物」づくりはそれなりに新聞記事になり,今回は「AERA」でも取り上げていただきました。「団塊世代」の命名者で有りキャッチフレーズづくりにたけた堺屋太一特別顧問ならではの仕事でしょう。

堺屋顧問の提案書
http://www.pref.osaka.jp/attach/15336/00091285/04.pdf へのリンク 

 現状、大阪府にも大阪市にもお金はありませんから、自前で出来る事業でないので、いくら事業採算計画は検証済みと顧問が力説しても世間の受け止め方は」半信半疑でした。

 お上の力に頼らずに民間の力で「まちづくり」を行ってきた大阪の伝統もあるのですが、関西に限らず,自社や業界の利益を離れて地域や幸に将来を語れる経営者が絶滅してしまったので、あまり期待はできません。
(何かと風当たりの強い電力会社のトップも善し悪しは別にして自分の言葉で大阪の未来を語っていました)

 10大名物の提示の仕方はうまいのですが正直言って,中身はともなっていません。内容もだいぶ変わってしまいました。詳しくは本日発売の「AERA」をご御一読下さい。

 似たような趣旨の検討が続く、府市統合本部の議論からスタートした「大阪府市都市魅力戦略会議 」の提言は座長がこの問題の第一人者である橋爪先生である非常に丹念に議論検討されていますが、あまりマスコミで話題にならないのと対照的です。

http://www.pref.osaka.jp/toshimiryoku/toshimiryokusennryak/daisankaitoshimiryok.html へのリンク

 議事録の議論を追っていると橋下市長は「独裁者」というよりも、改革の野心が有り、外部の専門家(マッキンゼー等の本来数千万円の料金をとって一般論を講義してくれる経営コンサルタントなど)を集めて「意識改革」をはかろうとするが、生え抜きの社員がついてこれない中小企業の社長に見えます。

 しかも、オーナー経営者ならまだしも、市長はいずれ退場することがわかっているので、部下が本気になれないとしても無理はありません。

 あらゆる分野で今まで通りのやり方では立ちゆかないとわかっているので期待されて市長になられたのですから、将来について借り物の言葉で無く,自分の言葉で語られることを期待します。(マッキンゼーみたいな賢そうな〜中身の無い〜言葉で無くていいですからね)

                                                   (2012年06月18日)
■入店客を利用客にできる店舗

 入店客数に対する売上金額が違う大丸神戸店と大丸梅田店

 入店客数に対する売上金額を比較すると、大丸梅田店と大丸神戸店の違いが興味深いですね。他店に比べても高い効率を示す大丸神戸店に比べて、大丸梅田店は郊外店の水準より低くなっています。よく見ると「好調」と報道されている博多阪急はもっと低いようです・・・。店長の手腕が問われます。

 ここまで違うと「百貨店」とはいっても違う業態と考えて顧客戦略をたてる必要がありそうです。同じやり方で顧客化するのではないですよね。Jフロントリテイリンググループの「上野松坂屋」のリニューアル責任者ににグループの専門店集積の運営会社「大丸コム開発」の社長)が兼任されるそうです。都市型SCを確立するのであれば梅田大丸にもテナント管理ノウハウをもつ企業が深く関わるべきでしょう。

 売上効率が高い「千里阪急」を何故強化しないのか?

 阪急阪神グループの郊外店の中で、面積あたりの売上が高いのは「千里阪急」です。入店客1人あたりの売上では「川西阪急」が突出していますが、長い間、高い坪効率を維持しています。新社長が手がけた「西宮阪急」が郊外店では最も入り上げが大きいのですが、商圏のポテンシャルの高さに恵まれているとは言え、「効率」は決して良くはありません。

 11月の阪急梅田本店の全面開業をにらんで、今年度の業績予想で本店17.1%増、西宮阪急1.4%増と予測されていますが、千里阪急を始め、他の郊外店や阪神梅田本店はマイナスの予想です。
 JR梅田で競合する大丸梅田店やJR大阪三越伊勢丹との競合も気になりますが、自社店舗への影響も気になるところです。

                                            (2012年06月15日)
図ー入店客1人あたりの2011年度売上 (円)
図66
図ー売場面積あたりの2011年度売上(万円)
図67
各社 決算説明資料より作成
■立地と売場面積、売上高の相関〜梅田の百貨店の売上高から

 立地によって売場面積の劣勢はカバーできる

 京阪神を中心に決算報告で入店客数と売上を公表している百貨店の店舗を比較しました。

 阪神梅田本店、大丸梅田店、博多阪急は駅に近く人の流れの導線上に立地しているために、売場面積の割に多くの入店客を集めています。工事中の阪急梅田本店も同様なのですが、この店は本店として流動者だけでない集客力があります。
 入店客数では466万人と阪神梅田本店の460万人を抜いてエリアの中でトップになりました。売上高は617億円と阪神の923億円に差を付けられています。集客の為にテナントの比率が高く、かつJRに家賃を支払う必要があるので利益額はさらに低くなります。とはいえ、百貨店だけではない小売業の競争の中で、人を集めることは出発点として必要なステップです。

 顧客作りが進んでいる阪急、大丸の3店

 阪急本店、大丸心斎橋店、大丸京都店、大丸神戸店は入店客数に比べて売上金額が高くなっています。伝統的な老舗百貨店に多いパターンですが、流動客にたよるのではなく自店の顧客をしっかりと掴んでいる証拠です。
  逆に阪神百貨店は食料品が強いように流動客をうまく利用者にする販売力を持っています。阪急百貨店もまた立地を活かして流動客から売上を獲得しています。長い間、阪急、阪神が切磋琢磨して競い合ってきた成果でしょう。
 大丸梅田店はその中で苦労してきたので、あえて効率を落としても自店にお客様を引き込む戦略を選択しました。私は比較的厳しめの評価をしてきましたが、本来の百貨店の売場の魅力とテナントゾーンとの不協和は無く,今でも好きな店の一つではあります。(買わないですけどね)

 JR大阪三越伊勢丹はあきらかに、阪神、阪急タイプでは無く路面店の非ターミナル立地型の百貨店を創ってしまっているのです。正直にその路線を進めて、当面の売上を作る仕掛けを怠ったのが誤算だったのでしょう。

 ちなみに好調がうたわれている博多阪急ですが、入店客数の割に売上が取れていません。西宮阪急もそうです。新しい社長がてがけた開発なので嘘でも「成功」させなければいけないのだと思いますが、まだまだ気を抜けない状況です。立地は悪くないので、継続した販促とMD改革が必要です。

                                       (2012年06月14日)
図ー2011年度の各店売場面積と入店客数(右軸:千人)
図68
図ー2011年度の各店売上高(百万円)と入店客数(右軸:千人)
図69

各社 決算説明資料より作成
■大阪のファッションビルの5月商戦〜駅ビル開業の影響が落ち着いたあと

 大阪ステーションシティ開業1年後ファッションビルの売上げは

 ルクアの5月の売上げは開業景気がおさまって2割減だといわれています。大阪市内で売上を回復しているのは阪急三番街の飲食と物販、エストの飲食、ディアモール大阪の物販(面積として飲食はそれほど多くないです)です。イーマは微減ですがHEPファイブの不調が目立ちます。
 ディアモールはメンズ、レディス複合店が27%増と伸びを牽引したといわれています。
 阪急阪神のリーシング部隊が開業を控えた「うめきた」に集中していると聞きますので、HEPファイブのてこ入れが手薄になっているのかも知れません。
 百貨店の工事で回遊動線の影響もあるのでしょうか?

 なんばシティは増床の反動で伸び率は落としています。心斎橋オーパ、クリスタ長堀など心斎橋勢が好調ですし、梅田商圏の影響が強い京橋の京阪モールも伸びています。
 天王寺ミオはキューズモール開業の時は相乗効果があったので、その反動で売上を落としています。

                                              (2012年06月13日)
図ー大阪市内ファッションビル 5月の売上前年比
図70
■百貨店は儲かる事業ではないですが

 JR大阪三越伊勢丹は失敗なのか?

 JR大阪三越伊勢丹の初年度の売上は334億円だと発表されています。経営母体であるJR西日本の発表では百貨店事業は68億円の赤字となっています。もちろん開設初年度なので初期費用の影響はあるでしょうがショッピングセンターは黒字ですから、全体の足をひっぱているようにも見えます。

 ただ、運輸業の売上収益の伸びはとても大きいようです。もちろんその他の営業努力もありますが、JR大阪ステーションシティの百貨店、ショッピングセンターの開業が大きく寄与しています。

 京都駅のJR京都伊勢丹の開業初年度は309億円の売上でした。その後徐々に売上を伸ばして500億円台で大きな存在感を示すに至っています。
 「伊勢丹」のコアなファンは最初はこれぐらいのボリュームなのだと思います。カード顧客を増やしていけば徐々に底力を発揮してくるタイプの店舗なのです。これから変に間違えて、「価格対応」」にだけ振れてしまうと失敗するでしょうけれどね。
 経営の母体がJR西日本だからこそ、相乗効果も享受でき、我慢が出来るのです(本体にも影響が出てきたようでさすがにそうはいかなくなっているようです)

 当初、三越は今のヨドバシカメラの立地に土地を購入して出店する予定でした。もしそうなっていたら大変な事になっていたでしょうね。

 データを見ると、鉄道会社にとって、大きな収益源は運輸業と,不動産業であることがわかります。但し、将来を考えると人口減少社会のン中でそれだけには依存できません。

 ホテルや物販飲食、沿線住民へのサービス業などの収益源化を急ぐ必要があります。

 ショッピングセンターに百貨店が誘致されてもすぐに退店するケースが多いのは、デベロッパーがSCにとっての百貨店の位置づけの認識が無いからです。決してすぐに儲かる事業ではないのですが、それでも入居させたい狙いがあるかどうかです。

                                          (2012年06月12日)

図ーJR西日本営業収益(売上)の前年比較
図71
図−JR西日本営業利益の前年比較
図72
図-JR西日本営業利益の伸び
図73
JR西日本の資料より
■開業効果が一段落した梅田の百貨店のこれから

 5月の梅田の百貨店の売上げ
 
 開業効果が一巡し、5月のゴールデンウィークの時期、梅田の主要百貨店は前年比の売上を落としています。

 大丸梅田店は2.8%の減少の97.2%。増床効果が一段落したと報道されています。
 JR大阪三越伊勢丹は3割減の28億円。百貨店では無いですが、一体となっているファッションビル「ルクア」は2割減の30億円だったそうです。

 阪急百貨店は12.1%マイナスの87.9%・・・増床工事で売場面積を減らしています。阪神は5.6%プラス105.6%でした。大丸梅田店に取られていた食品の売上げが回復したのでしょうか?

 神戸大丸が好調

 一方4月に食品フロアを大改装した神戸大丸は10.5%増と高い伸び率を示しています。高級デリカの「DEAN&DELUCA」や九州の「茅乃屋」(出汁パックや明太子など九州地元食材の人気店です)などユニークな店を導入したのが功を奏しています。

 大阪でも、島屋大阪店は2.9%のプラス。(宝飾品、婦人雑貨、食品などの増加)大丸心斎橋店も2.2%のプラスだったそうです。

 商業施設は生き物なので常に手を入れていかないと好調さに安住はできません。

 11月の阪急梅田本店のフル開業で、梅田の商業施設がどう変わっていくのか注目されます。

 阪神は昨年不調でしたが3月以降、復調傾向を示しています。大きな改装も無いのですが、堅実ですね。JR大阪三越伊勢丹は厳しい状況ですが、カード顧客を増やしていけば、中長期的には回復できると思いますが、ルクアの勢いが止まったときの対策が難しいですね。(現状は2割減でもまだまだ強いのですが)駅構内の商業施設開業で利用者の取り合いになるかもしれませんね。

                                                (2012年06月11日)

 サイトをアップした後の夕方、久しぶりにルクアを見に行きました。夕方の人の流れは店の外の通路を流れて、店内は閑散としています。3Fのイエナやエディフィス・・・(昔、ディアモールで馴染みのあった店ですが)もお客様より店舗スタッフが多い状況でした。
 丁度セール前の時期だったことと、もともと月曜日はお客様が少ないのだそうですが、また3階以上はあまり人が流れないのだとも聞きましたが、すぐ隣に毎日通っている人がいるのに、館内に入ってこないのは何故でしょう。  流動者を相手にした商売で無いのであれば、「うめきた」や「ディアモール」にも勝機がありそうです。
■「大阪の10大名物」提案が盛り上がらない理由〜トップダウンの弊害

 「驚くような発想」なのか「ぱっとしない思いつき」なのか

 大阪府市統合本部の特別顧問堺屋太一氏が提案した「10大名物創り」は、橋下市長が具体的に検討を指示した「道頓堀の2kmプール」が一時的に話題になって以来、あまり盛り上がりを見せていません。

 役人の発想では出来ない「びっくりするようなアイデア」で(かつ行政がお金を使わないで)世界中から観光客を集めようという意図である事はわかります。提案された10のアイデアは正直いって、すでに民間が先行していたり、実現性までの筋道が遠いものなので、「議論」さえ起きていません。(稚拙とまでいわれています)
 例えていえば,ブレーンストーミングの時にこんな「ばかばかしい」(枠を外したという意味です)案でもいいから沢山アイデアを出してねと例示する呼び水のような「練れていない思いつき」といってもいいレベルのものです。
 本来はこれをもとに、それならばもっと奇想天外だけど実現したら面白い・・・というようなアイデァが局内や市民からわき出てこなければいけないのですが・・・・。

 橋下市長は「具体化するように検討」を指示しています。これは間違いです。「こんな風に枠をい外していいから、局内、市民からアイデアを募集しなさい」としておけば、もっと広く市民の議論がわき起こったはずです。もったいない話です。

 尊敬すべき大先輩である堺屋太一先生に具体的な「アイデア」を求めてはいけません。かつて大阪の中心部の船場地区の活性化のために地元の方々が開催した「船場まつり」で、顧問となった堺屋先生が、ご自身がお好きな「女子プロレス」の興業を提案され開催されたことがあります。・・・そのことを楽しい記憶として覚えている市民の存在やそのイベントが地域に与えた素晴らしい影響についての肯定的な評価を・・・私は寡聞にして聞いたことがありません。

 それでも堺屋先生の提起には意義はあると思います。府市統合会議の公開されている議事録を読むと、従来の施策の枠にとらわれてなかなか「はじける」事ができない行政にご担当者と、そのことに苛立っている市長の葛藤が、そのまま記録されていてなかなか味わい深い読みものです。

 橋下市長は巷間に会われているほど「歴史」「文化」を軽視しているわけではない・・・これは橋爪伸也先生を特別顧問に任命していることからもわかります。ただし、文化や芸術については「わからない」のだと思います。「わからない」ので自分が良くわかる「お金」に換算してしか考えられない。

 ガチョウがなぜ「金の卵」を生むかを理解できないのだと思います。市長としては良いこともしているし,悪いこともしている。(勢いに陰りが見えるという報道も2013年春には散見されています)

 評価についてはまだ固まらないのですが、一つだけ言えることは、大阪についての提言とか大阪を中心とした関西についての提言を,民間サイドから今までのように熱心に行う気持ちが薄れてきたことでしょうか・・・・。
 ビシー政権の積極的な協力者と見なされると将来の反動が怖い・・・という感覚の人も少なくないようです。

                                              (2012年06月08日)
 
■関西の工場立地〜2011年は2年ぶりに増加

 工場研究所の立地件数が2年ぶりに増加

 近畿経済産業局が発表している「近畿地区工場立地調査」によると、近畿地区での工場・研究所の立地件数は163件と2年ぶりの増加になり、全国シェアも18.8%と2010年の16.9%からシェアを伸ばしています。
 特に兵庫県は56件と全国でもトップになっています。阪神地域、東播磨地域への立地が多いようです。昨日御紹介した転入者増加にも寄与しているのでしょう。

 関西の大型物流施設が足りない

 関西の基幹産業である電機業界は不調ですが、3月末時点で大型物流施設は空室0の状況です。東日本大震災以後首都圏に偏っていた物流拠点を分散させる動きが強まり、加えてインターネット通販の普及で物流需要が活性化し業界の投資意欲も高まっています。

 フェデックスが2014年春には関空に物流拠点を設けますし、プロロジスは2013年に尼崎にネット通販専用の新しい物流施設を開設します。グッドマンジャパンも2013年秋に堺市に大型物流施設を建設しますがすでに延べ面積の2倍近い引き合いがあります。(日経新聞地方経済面6月7日記事による)

 東北の企業の業績は回復基調にあるようです。今後さらに復興投資が見込めます。農業や水産業についてはまだ厳しい状況が続くでしょうが良い話題です。

 関西にとっても大きなチャンスなのですが,今のチャンスを活かせる環境に無いのがとても残念です。未来に向けた新しいエネルギーへのシフトを先導で来れば国際的な競争力も高まるのですが・・・・

                                                  (2012年06月07日)
■人口の移動に見られる微かな兆候〜東京から転出する0〜9才

 2011年は転入超過となった京阪神

 住民基本台帳移動報告をもとに日本銀行神戸支店が「兵庫県における人口移動の特徴と課題」というレポートを発表されています。
 2011年は大幅な転入超過となっています。兵庫県は増えたり減ったりが続いていたのですが、大阪府と京都府はずっと転出超過が続いていたので大きな変化です。

 兵庫県は中国・四国地方からの転入が多い一方で、東京への転出が多いのですが、2011年は東北の被災3県からの転入が増加し、東京都及び関東地方への転出が減少しています。

 日銀は東日本大震災への避難者の増加と企業の「関西シフト」をその要因と推認しています。

 年齢別に見ると住宅の一次取得者(30〜34才)とその子供(0〜9才)の転入が多く、20〜24才の進学年齢の若者の流出が大きいようです。兵庫県内の大学,専門学校は京都や大阪に比べると少ないですからね。東京はこの年代で転入してくる人達が多いので、人口が増え続けてきました。

 小さな子供抱えた家族が西へ避難してきている。そういった見方もできるはずです。もうひとつ、大阪の教員の応募者数が激減したように,大阪の教育「改革」への行く末への不安があって大阪から兵庫県へ流出する層も少なくは無いと思います。先生志望者も親も「改革」の混乱を避けたのだと思います。(内容の是非は別にして)

 レポートは高齢者の受け入れによる人口増での経済活性化を提言しています。

 関西人だから「アンチ東京」を語るというわけではないのですが、東京の1極集中のベクトルが弱まってきてるように思えます。いまから地方分権の多極的な国土の仕組み作りをおこなっていかないと、ずるずると国全体の活力も衰えていきます。

                                            (2012年06月06日) 
図ー転入超過数(全体)  マイナスは転出増加

図74


図ー転入超過数(0〜9才)  マイナスは転出超過
図75
図ー転入超過数(30〜34才) マイナスは転出超過
図76

住民基本台帳移動報告(総務庁)  日本銀行神戸支店6月5日のレポートよりデータを抽出
■外食産業の市場収縮とテイクアウトの増加

 外食産業市場規模 23兆475億円  料理品小売業5兆7,790億円

 外食産業総合調研究センターが推計した2011年度の外食産業市場規模は、23兆475億円と前年比-1.7%となりました。「料理品小売業」(中食と呼ばれる調理品のテイクアウト)の市場規模は(弁当給食を除くと)6兆2,979億円で1.4%増加しています。〜持ち帰り弁当店や総菜店、テイクアウト主体のファーストフードが含まれていますが、スーパーなどの総合大型小売業の惣菜の売上げや宅配弁当、最近伸びている通販などの数値は含まれているかどうかは不明です。

 減少の主因は東日本大震災による影響とされています。停電時には首都圏の繁華街の店舗が閑散としていた印象が強いのでしょうね。

 団塊世代の退職やテレワークの浸透による都心のビジネスワーカー縮小も影響が大きいとは思います。外食産業の話題もユッケの食中毒や、均一価格のデフレ業態ばかりが話題になり、市場をリードする明るい話題が見当たりません。

 残留放射能や遺伝子組み換え食品など食の安全性への不安も高まっているので、業界としての新しい発想での取り組みが必要です。最近で「当店のお米は国産米を使用しています」という表示を目にすることが多いのですが、お客さんの「安い輸入米」への不安が相当大きいのでしょうね。

 外食倒産のトップは居酒屋

 この時期、帝国データバンクが発表した倒産企業では「居酒屋」が182件、28.1%とトップです。(2011年1〜11月)自粛ムードで宴会需要が減少したと分析されています。
 均一メニューなどの価格競争が激化して体力の無い中小企業が倒れたという側面も無視できません。単価を下げて、メニューも酒も品質を落としていけば、お店離れを加速させていきます。小規模零細業者が倒産の8割を占めています。大手では株式会社「ちゃんと」が倒産しています。

 朝食、宅配などシニア対応強化

 郊外の商業地では、高齢者の御夫婦が一緒に食品を買い物されている姿が目立ちます。やがて、さらに高齢化が進むと市場は大きく変わっていくでしょう。

 当面は団塊世代の本格リタイアに対応した業態開発が進んでいます。モスやガストなどが取り組んでいる朝食メニューの強化は、サマータイム対応もありますが、ゆっっくりと朝食の取れる時間のあるシニア向けの健康メニューが中心です。

 外食大手では宅配弁当や惣菜など「中食事業」の強化が進んでいます。ワタミは宅配弁当事業の空白地帯で会った東北に宅配弁当工場を建設します。東北全県で50億円の売上を目指します。
 コロワイドやリンガーハットはスーパーやコンビニエンスアストアでの惣菜販売事業を強化します。

 10年以上前に高齢社会の中での鉄道事業者の中長期事業戦略策定の中で、外食産業は今後頭打ちになるので、「中食事業」を強化するように提言したことを思い出しました。当時は先行事例も少なく,個別の具体的な事業計画まで踏み込んでいなかったので聞き置かれただけでしたが、データをきちんと分析して原理原則に従って考え抜けば、将来の予測はそんなに間違えたものにはなりませんね。(もちろん、事業化のタイミングは考える必要はありますが)

 郊外都市のスーパー、百貨店に行けば、高齢者のご夫婦が買い物をされている姿をよく拝見いたします。この方々を「幸せ」にすることでお金をいただくにはどうすればいいかと考えると、「宅配事業」一つでも展開内容が変わってくるはずです。価格訴求だけで無い工夫があるはずです。

                                                   (2012年06月05日)

■スマートフォンへの移行は「レコードからCDに変わる」ほどの衝撃・・・モバイルだけで無い影響

 ファッションのネット販売の分野ではスマホの伸びが大きい

 スマートフォンの利用者はまだまだ20%という統計(グーグルの全国調査)がありますが、ユーザーが大人中心でヘビーユーザーが多いので、ケータイの市場だけで無く、PC経由のネット販売のシェアも侵食していく勢いがあります。

 ケータイを中心にファッションのネット販売を行っている企業では、スマホのシェアが今年中にケータイを逆転すると観測しています。スマホの台頭は「レコードからCDに変わった」ほどの衝撃が有り、顧客の開拓方法も全く違うということです。(6月4日繊研新聞)
 具体的にはケータイの場合、ケータイゲーム会社やSNSに大量に広告を投入してアドレスを集めれば良かったのが、スマホの場合顧客にスマホ用アプリをダウンロードしてもらう必要があります。それだけ魅力的なアプリの開発が必要になります。
 動画や音楽も多用できるので、世界観の表現もより多様な手法が使えます。

 パソコン中心のECサイトやカタログ系の通販業者でもモバイル通販でのスマホのシェアは今後大きく伸びると想定されています。AR機能(「拡張現実)を使えばインテリアやファッションをある程度リアリティのあるものとして体感できます。

 実店舗でもスマホの活用で拡がる・・・のかな

 記事はネット販売を論じる中でスマホが扱われていますが、実店舗の販促,顧客づくりの改革に影響が大きいと考えています。
 すでにFacebookなどのSNSはかなり活用されていますが、もっと面白い活用が出来るはずです。

 例えば来店客調査などのマーケティング調査も、従来の紙ベースの面接調査や、調査表をタブレット端末に置き換えただけの調査では無く、お客様を引き込むやり方で、コストを下げてより深い調査が可能なはずです。ポイントはネットだけで無く、リアルな接触を組み合わせることです。

 ただ、アップルストアへいっても、スタッフはお客様の顔を見ないで、スマホやIPADの画面だけを見ながら右往左往しています。まだまだその意味で「対面接客」と「システム」のスマートな融合が実現できている企業少ないのでしょうが。

 WEB上のシステムを組むノウハウに販売のノウハをうまく組み合わせる必要があります。


 例えば、以下のような仕組み。凸版印刷が6月5日に発表したニュースリリースです。

凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)は、デジタルカメラで写した映像にCGやテキストなどの情報を合成して表示するAR(拡張現実)技術を活用した来店誘引プロモーション総合支援サービスの提供を2012年6月上旬から開始します。

 本サービスは、チラシやパンフレットなどの広告・販促物に掲載された商品画像を認識する画像認識ARと、GPSで取得した情報を元に近隣の販売店舗を表示する位置情報認識ARを融合した、まったく新しい来店誘引ARプロモーションサービスです。
 凸版印刷は、来店誘引を促進するARプロモーションの企画から印刷物やデジタルコンテンツなどの広告・販促ツール制作、コンテンツ運用サーバまでをパッケージ化。実店舗でキャンペーンを実施したい流通業界や飲食業界、また商品のプロモーションを行いたいメーカーなどに向けて本サービスを提供していきます。
 具体的には、本サービスの利用者がチラシやパンフレットに記載された特定の商品画像やロゴにスマートフォンのカメラをかざすと、専用のARアプリが認識し、画像や動画音声などスペシャルコンテンツを表示します。さらにGPS機能を利用して位置情報を取得し、利用者の近隣の販売店舗を表示します。
 その店舗で使用できる商品クーポンをスマートフォン上に発行したり、その店舗まで地図アプリを用いて誘引することが可能です。これらの機能により、チラシやパンフレットを使った商品プロモーションに、店舗への誘引を促進し、実購買に結び付ける販促プロモーションを加えた総合支援サービスが可能になります。


                                 (2012年06月04日)

・スマートフォンの普及率は2011年の6%から2012年には20%に急増している
・77%が過去に毎日スマートフォンを利用し、利用内容はメール84%、検索エンジン66%とネットとの接続利用が  多く、1日の内1度は必ずネットに接続する人が82%
・36%がテレビよりスマートフォンが大事と答えている。
・76%が動画を視聴しており,1日に1回以上動画を利用する人は16%
・買い物寺に商品の情報を確認するためにスマートフォンを持参する人は24%
・利用者層は35〜44才(34%)、25〜34才(29%)と大人が中心
 (2012年 グーグル スマートフォン利用状況調査)

http://www.ourmobileplanet.com/ja/downloads/ へのリンク
■駅ビルの優位性はどこまで持続するのか?〜JR西日本の商業施設売上高

 JR西日本グループの商業移設 売上を牽引したのはルクア

 2011年のJR西日本グループの駅ビルの売上数値が本日の繊研新聞に掲載されています。グループ全体としてはルクアが開業したことで、前年同期比18%のプラス、衣料品では32%プラスでしたが、ルクアを除くと全体で1.3%減、衣料品は2.5%の減でした。

 梅田ではルクア、エストが高い売上効率をあげていますし、京都では駅ビルのザ・キューブ、地下街ポルタが健闘しています。

 その他では姫路駅の「プリエ姫路」が競争の空白地帯であった姫路市の中心街で存在感を示しています。昨年3月には食品・飲食中心のごちそう館を開業し、来年春以降に新しい駅ビルを開業します。延べ床31,000uでファッションを中心にした物販、飲食、サービスで構成されます。

 駅ビルの売上効率
 
 大阪市内の商業施設の売上効率が月坪30万円前後であるなかで、これらの駅ビルは月坪40万円を超えています。

 かつては阪急三番街やヒルトンプラザも40〜50万円の高い効率を上げていましたが、市場の変化(ヒルトンプラザ)や梅田駅の工事に伴う人の流れの変化(阪急三番街)などの要因で効率を落としています。

 商業施設は数年単位でリニューアルしていかなければ飽きられます。新しい競争相手が出現すれば、多くのお客様が離れてしまいます。百貨店であればカード等によるファン作りで固定客をつなぎ止めていけますが、ターミナルの利便性で利用するお客様のウェートが高い店は固定客プラス常に新しい顧客獲得が求められます。
 力のあるテナントが新しいScに引き抜かれて業績ダウンというケースも多いので、顧客作りはテナントとの共同作業でテナント任せにしないことです。

 ルクアのような駅ビルは構造的に環境面を含めたリニューアルが簡単にはできません。開業景気が落ち着き、うめきたや阪急百貨店といった新しい施設が開業したときにその真価が問われます。

                                             (2012年06月01日)
 
図ーJR西日本の商業施設の月坪売上と大阪の主要商業施設の比較
図77

表ーJR西日本グループ商業施設2011年度売上高〜他施設及び10年前との比較
図78
(繊研新聞等の公表記事)
 
 5月
■フェデックス関空の貨物集約拠点発表〜東西の温度差あらわに

 フェデックス関西国際空港にあらたな物流拠点

 航空貨物大手ののフェデックス(米)は2014年をめどに、関西国際空港に北東アジア発着の中継拠点となる物流施設を設ける事を発表しました。現在修36便運行している関空の貨物便を週70〜80便に倍増するそうです。24時間利用できることが条件で、韓国の仁川と競り合った結果選ばれました。
(仁川は米国との距離がネックになったといわれています。朝鮮半島の有事のリスクも考えられますしね)

 フェデックスの物流拠点は中国の広州白雲空港が中心で関空はこれを補完する役割を担います。

 このビッグニュースを新聞検索してみると、全国版では日経新聞の25日の夕刊と、26日の朝刊にそれぞれ262文字と、102文字の記事が出ていますが、続報は無く、30日の近畿版で1091文字の詳しい記事が掲載されています。あくまでもローカルニュースなのでしょうね。
 仁川に競り勝って北東アジアの物流拠点となることは関西ローカルだけで無く、日本全体にとって大きな意味を持つとは考えていないのでしょう。

 LCCの就航で過去最高の便数を更新する旅客便に比べて、関空の貨物便の取扱量は2000年のピークから275減少しています。この機会に検疫、通関の簡素化などの規制緩和が進めば、関空の使い勝手は大きく改善されます。

 関空とアジアのつながりが深まっている

 このゴールデンウィークの関空からの出国者数の7割がアジア方面でした。韓国のLCCであるイースター航空がソウル便を毎日2往復、ジェットスターアジア航空は台北経由シンガポール便を毎日2往復運航しています。LCC以外でも中国の航空会社の乗り入れが増えていて、現在中国国内の20の都市とつながっています。

 国内線で人気を集めているLCCピーチアビエーションも5月8日から関空〜仁川線を就航させました。日本のLCCが国際線を就航させるのは初めてだそうです。

 1日1往復から7月には3往復に増便します。さらに、7月には関空〜香港線、9月には関空〜台北線を就航させ、今後アジアの路線網を拡充する予定です。関空とアジアをつなぐ旅客便は今夏ダイヤ(3〜10月)で週546便と過去最高を更新しています。今後国際線の8割近くがアジア路線になるといいます。

 関空アクセス便の計画は

 現在、新大阪駅から関空まではJRの特急が50分で結んでいます。大阪府し統合本部では新大阪〜十三(阪急)〜うめきた〜西梅田〜なんば(四つ橋線)〜関空(南海)を直結するルートを提起しています。

 レール幅の不統一(南海のみ狭軌)や架線の問題(地下鉄はパンタグラフを使っていない)、西梅田の地下の鉄道路線の集中など課題も多く指摘されていますが、国土交通省の案「なにわ筋線」を含めて、新大阪、うめきたと関空を高速でつなぐアクセスは大事な課題です。

 バブル時代の都市開発の負の遺産が問題になっていますが、それぞれの計画が繋がっていないことが最大の課題だったと思います。昨日、国土交通省は「関空とJR大阪駅がリニアモーターカーか新幹線で結ばれ所要時間が10分になれば関空の旅客数が年間600万人増える」との予測を発表しました。

 この時期の発表の意図はなんでしょうか?

 なにわ筋線の事業費は1,800億円〜3,200億円ともいわれています。東京都がオリンピック招致に積み上げた基金4,000億円と比べてどうでしょう。オリンピックのように都民も望んでいない、一過性のイベントに浪費するのはもう止めたいですね。

 中四国、北陸にかけて広い範囲で持続的な経済波及効果が見込めるはずです。

 あわせてリニア新幹線が大阪まで開通すると、(計画通りであれば)奈良県内から新幹線、うめきた、関空のアクセスが改善され、学研都市が活きてきます。

 関空アクセスの完成は、ハコモノの無駄遣いではなく、将来に残す資産となる「平成の御堂筋づくり」といえるでしょう。(御堂筋設置当時は、こんな広い道路で飛行場でもつくるのかと大不評でした)

                                                  (2012年05月30日)
■街のスケール感の違いを知った上で商業施設のニュースを読む

 スカイツリーのあるまちの京成押上駅の乗降客数は19万人弱

 乗り換え客数の違いがあるので単純には比較できませんが、関西では京橋、阪神梅田、近鉄阿部野橋駅よりも乗降客数が多い駅です。

 大阪市内で第2のターミナルである難波駅よりも、北千住、高田馬場、町田の乗降客数が多くなっています。それだけ沢山の人が流動している中では、商売の手法も違ってきます。

 関西を含めて東京以外の都市では、東京の商業施設は参考になってもそのまま真似をしてもうまくはいきません。

 小さい市場の中でのオールターゲット対応とともに、自店のお客様を育てる店としての原理原則の両立が求められます。京都大丸で「うふふガールズ」を導入したために外商のお客様が逃げてしまったという教訓があります。

 三越伊勢丹が大阪で苦戦しているのは、市場の規模を読み違えたからです。関西で三越伊勢丹のファンになるお客様の規模は現在の売上相当なのです。

 彼らが間違えているのは、その中で自社のファンを育てていく視点では無く、スーツ2着いくらの、均一セールで挽回しようとしたことです。自社のファンになる層が均一セールのスーツを選ぶ層と重なると考えているのでしょうか?

 東京のビジネス感覚は特殊である事を自覚しないまま、完全に落とし穴にはまり込んでしまったようです。

                                             (2012年05月29日)
図ー私鉄駅の1日の乗降客数比較
図79
概ね2008年を中心にまとめておられるWEBサイトからデータをお借りしました
調査方法や時期について各社での違いがありますので、あくまでも参考としてご覧下さい

■「ノマドワーカー」へのもう一つの視点〜地方を目指す起業家

 インターネット環境の整備が働き方を変える

 かつて、姫路の山奥からグリーンビジネスを発信しようという事業計画を考えていたことがありましたが、通信回線が未整備なため、色々なアイデアが実現できませんでした。
 
 4月1日の日経新聞の電子版で「若者起業家、地方を目指す」という記事で、あえて地方から企業を行う若者が紹介されていました。

 ネット販売サイトの構築を行うITベンチャーは200坪ほどのオフィスで60人が働きます。ワンフロアで仕切りの無い真新しい200坪のオフィスはJR宮崎駅の駅前に立地しています。

メリットは
 ・事務所の維持費が安い
 ・社員の生活費も安いし通勤時間も短い
 ・遠隔地なので取引先に呼び出されることが無い
 ・人材の定着率が高い(特にSEは一般的には定着率が低い)

 徳島に立地し、四国や九州の地場産品のネット販売を行っている会社は築80年の古民家の2階オフィスを構えています。産地へ出張するには東京より近いといいます。

 都市の最大の魅力である人との交流はSNSが補完してくれるといいます。スカイプのビデオ通話を使えばテレビ会議も簡便に出来ます。

 仕事に併せて最適の場所で働くことが出来る・・・こういった考え方を「ノマドワーキング」と考えれば、ファッションとしての「ノマドワーク」(カフェでエアーマックを使って仕事しているノマドな俺格好いい・・・・的な)と違った変革が進みます。

 ユーザーからみれば、ネットを経由したサービス(印刷や通販での購入)はスピードが勝負なので、田舎で働くから「のんびりできる」というモノでは無いように思います。

 震災以降の働き方の変化と、補完すべき都市機能

 震災以降、大企業でも自宅でのテレワークを認める動きが加速しています。自社だけのサマータイムの導入で執務時間をずらしている企業もあります。
 一斉に同じ場所で就業するという工場の慣習をホワイトカラーにまで持ち込むのは間違っているのでしょう。(工場でやる3時のラジオ体操を事務所でも実施しているメーカーも、事務部門ではなんとなく気恥ずかしそうに無視されていますしね)


 テレワークを妨げるのは「一見無駄」な雑談が出来ないことだと思います。 流行り物のノマドワーカー達もなんとなく「寂しい」のでカフェ空間でネットワークを求めるのでしょう。
 ツィッターやSNSがその代用品になっているとは思いますが、結構すぐに場が荒れてしまいます。ミクシーやフェスブックは逆に気を場に空気をあらさないように遣いすぎてかえってストレスがたまります。

 顔をつきあわせて、ある程度の機密情報を共有して話せるサロン的な機能が必要なのでしょうね。今の「コワーキングスペース」(ノマドワーカー向けのフリーアクセスのオープンなワーキングスペース)では情報漏洩が心配です。

                                            (2012年05月28日)
■集まる人を対象にしたトラフィックチャンネルと人が集まる郊外立地

 ファッション業界で注目されるトラフィックチャンネル

 新東名のSA・PAでのファッション販売の好調が伝えられます。空港、駅、高速道路などトラフィックチャンネルと呼ばれる販路が業界で注目されています。

 「買い物目的ではないが、移動の際に多くの人が必ず通る立地に出店した方がビジネスになる」という仮説を持つ企業が増えています。接点の無かった顧客を取り込むチャンスであるということでしょう。今の所、雑貨や小物、試着の入らない軽衣料が中心です。

 ファッション企業は「ツンデレ戦略」というか入り口の敷居を高くし、顧客になった人には濃密な接触をすることで「付加価値」を演出してきましたが、市場が縮小していく中ではそのやり方が定着するのを待っていられないのでしょうね。かといって、あまりにも敷居を下げると「迎合」しているように取られますし、価格競争に巻き込まれてしまいます。

 利用者をリピーターにしてさらにファンへと関係を深めていくための戦略が必要になります。そのやり方は一つでは無いでしょう。

 5月25日の繊研新聞でパルの駅ナカ市場の出店基準が紹介されています。

 「乗降客数が8万人以上。。小型店であっても通行量があれば売上は取れる。店舗面積は16.5u〜33uまで対応できる。1店の売上げ1億円として,首都圏を中心に100〜150億円取れないか,考えている」
 同じ紙面で紹介されている、PAに出店していた玉屋の実績は61uで最低で年間1.5億というのと比べると。コンスタントに人が集まる分効率が高いのでしょう。

 JR西日本JR大阪駅に「駅マルシェ大阪」を10月にオープン

  JR大阪駅のかつて「ギャレ大阪」の本館があった空間に営業面積4,500uの商業施設「エキマルシェ大阪」がこの10月に開業します。

 グルメゾーン(惣菜、スイーツ、ベーカリー、高品質スーパー)1,600u
 飲食ゾーン (カジュアルグルメ、軽食ゾーン)約1、000u
 ファッションゾーン(カジュアル衣料、雑貨店) 1,200u

 施設に直結する改札口も設けられます。中之島、堂島方面から大阪駅への人の流れをつかまえようという事でしょう。大阪駅のJR三越伊勢丹の食料品売場によってはまた厳しい競争相手が生まれます。

 2013年春のうめきた先行開発地域の開業によって駅前広場を通じて三越伊勢丹への地価1階へのアクセスが完成しますが、駅への通路や阪急梅田への通路、うめきたの商業ゾーンなどとの競争もあるので、環境が劇的に改善されるわけでは無いと見ています。人の流れの変化に注目したいところです。

 山の手のスローなファッションエリア? 

 自動的に人が集まるわけでは無いですが、環境や住民層などが特化したエリアのユニークな店舗にもスポットライトがあてられています。

 当社の立地する靫公園、京町堀エリアもそうですが、大阪の郊外住宅地、箕面市の繊維団地、小野原住宅地が繊研新聞で紹介されています。

 小野原は戸建て分譲中心の住宅地で関西学院のインターナショナルスクールがあり、新興の高級住宅地といえます。まちづくりのルールがしっかりとしており、道路環境が改善されて有名ケーキ店だけでなくセレクトショップが集積してきています。

 ちなみに大阪モノレールの終点の彩都地区は医療関係、研究者の住宅が多く、茨木市内で一番レベルの高い公立小学校があるといわれています。現在、商業施設にに見るべきものはありませんが、新名神のIC、SAができると、安威川ダムの周辺整備とあわせてこの一帯は大きく変わる可能性があります。(きちんと街並みが整備されればですが)

 箕面の船場地区は繊維関係の物流倉庫が減ってきておりマンション開発も進んでいます。空き倉庫やビルを改装した店が集まってきており話題になっています。
 まちづくりの観点からは、新御堂沿いに大型のパチンコパーラーができてしまったのは残念ですが、国立循環器センターの移転も噂されており、こちらもまだまだ変わっていく可能性は大きいのです。

 千里ニュータウンの周辺地区は昔からの高級住宅地である、東豊中、緑ヶ丘といったエリアや新興の小野原といった良質な市場を抱えています。

 交通の要である千里中央地区がいまひとつぱっとしないのは、長年のしがらみをひきずる商業者の怠慢でしょう。セルジーは運営者が民間企業になってからはイベントに熱心でビッグネームを集めていますが、平日は高齢者ばかりの街です。

 先日ローカルのテレビ番組で「千里中央」を芸人が案内するという番組がありましたが、新しい店がなく、かといって古くから長く親しまれている地元密着の店も無いので番組作りに苦労しているのが伺えました。

 新しい集客が期待されたヤマダ電機も平日は閑散としています。ニュータウン自身が高齢化と人口減でやせ細っている上に、人が集まるのでそこそこ商売が出来ることからの事業者のやる気の無さが街を蝕んでいます。
 将来、北大阪急行が千里中央から北進し、箕面市まで延伸したら、この街は衰弱していくでしょうね。豊中市にとっても吹田市にとっても市の中心部とは考えられていないエアポケットですしね。



                                          (2012年05月25日)
■新歌舞伎座跡地は結婚式場?〜ベルコが購入

 新歌舞伎座跡地は御堂筋の南の出発点

 キタに対してミナミが「伝統文化」のイメージを保持していたのはは、村野藤吾設計の桃山風の新歌舞伎座のイメージの影響が強かったのかもしれません。新歌舞伎座は上六に移転し、御堂筋の南端という一等地なだけに、跡地の利用が注目されていましたが、このほど土地購入者が明らかになりました。

 2,200uの敷地は、今年3月20日に冠婚葬祭のベルコ(西宮市)に数十億円で購入されました。(建物にはもう資産的な価値もないので、土地の値段ですね)

 読売新聞の報道では「結婚式場とホテル、同社の本社機能を備えた複合ビル」を計画しているといわれています。

 島屋、丸井などが向かい合うこのエリアは御堂筋の南のシンボルゾーンなので、大阪市としても駅前広場の整備と併せて意見交換をして欲しいところです。

 新歌舞伎座裏からなんば西へ

 新歌舞伎座が跡地が重要なの、大阪市が支援の打ち切りを表明している「OCAT」ビルのある湊町地区との回遊動線になるからです。

 湊町再開発も当初の構想とは違ってきましたが、オフォイスビルや大型書店、ホテルなどが整備され開けてきました。なんばとの回遊を良好にするためには旧新歌舞伎座裏のダークなエリアを封印する必要があります。

 数年後といわれているあたら施設の開業後の変化に注目が集まっています。

 大阪ミナミでは心斎橋筋商店街に「トミーヒルフィガー」「ジャーナルスタンダード」「ベルシュカ」などの大型店が出店し、大型店の集積が強まっています。
 なんばでも大阪球場跡地から南の開発が進むなか、堀江からアメリカ村に繋がる西への面的な回遊の拡がりが街の深みをつくります。

 キタの「うめきた」のようにまとまった土地があるわけでは無いので、余計に拠点となるポイントの開発で周辺に影響がにじみ出すのを待つ手法が必要になります。

 とあえず土地購入者が「マル○ン」や「キ○ーナ」といったパチンコパーラーでなくてよかったですね。パーラーを必要としているひとがいますし、健全なビジネスを志向していることは理解していますが、パチンコでは波及効果がよろしくないのが困ります。

 旧新歌舞伎座関係の土地利用で、立地周辺の写真撮影にいってもらったアルバイトの学生が、怖いお兄さんに怒鳴りつけられ,追いかけられたこともありました。(事故が無くて良かった)・・・色々と変遷がありましたが、千日前のその土地は見事に巨大パチンコパーラーとなっています。

                                    (2012年05月24日)
 
■大阪市には「文化」もある〜4月に開業した2つの拠点

 4月27日「 Zeepなんば」開業

 南港から難波へ移転してきたライブハウス「Zepp Namba(OSAKA)」(ゼップ難波)ですが、「延べ床面積は約3400平方メートルで、大阪・南港で8日に閉鎖したライブハウス「Zepp Osaka」よりも15%多い約2500人を収容でき、年間70万人以上の動員を目指す」(産経新聞)のだそうです。

 4月6日「オリックス劇場」オープン

 大阪厚生年金会館として親しまれてきたホールですが、土地を購入したオリックス不動産の英断で、マンションだけで無く。、ホールも改装し「オリックス劇場」としてオープンしました。2,400席のキャパシティは関西では数少ない規模で、フェスティバルホールが工事中(2013年4月10日オープン)なのでファンからも興行主からも要望が強いハコでした。

 オリックス不動産は「大阪ひびきの街」として周辺地域の認知度をあげると発表しています。

 フェスティバルホールを運営する朝日新聞社といい,オリックス不動産といい関西では民間の力で「文化」を守る気概が強いことは誇りとすべきでしょう。道頓堀にプールをつくるお金があるならもっと地道な文化振興に力を入れるのが官の仕事でしょう。(プールには税金はつかわないそうですが)
  オリックス劇場がある大阪市西区は最近、「大阪のニューヨーク」と、もてはやす人もいるようですが(嘘?)、若い人も増えてきています。西区の靫公園では先日もこのようなイベントが開催されました。
http://rosefesta.com/program_m.html へのリンク


 靫公園「バラ祭」は回を重ね定着してきました。関係者のご尽力に敬意を表します。
 秋に開かれるコンサートでは超ビッグゲストと交渉中らしいです。(小田和正さんでした)

                                               (2012年05月23日)
■東京スカイツリー開業と各地方のニュース

 初日20万人、年間3,200万人を集める東京スカイツリー

 1年間で3,200万人の集客というのは東京ディズニーランド級といわれています。

 ・東京ディズニーランド        2、537万人(2010)
 ・ユニバーサルスタジオジャパン   632万人(2009)
 ・イオンレイクタウン          4,100万人(2010)
 ・なんばパークス           2,816万人(2010)
 ・阪急うめだ本店           3,769万人(2010)

 有料施設のディズニーランドよりは「なんばパークス」や「あべのキューズモール」(2,700万人 2011年)に近いイメージがあります。観光客が主体になるので消費の構造は違います。

 昨日は「金冠日食」一色だった新聞やテレビのニュースも,今日は「東京スカイツリー」一色なのでしょうね。
日経新聞の地方版を検索してみると千葉県とか栃木県など、首都圏でも東側で関心が強いように見えます。

 23日の朝日新聞の記事で「東京一人勝ち」といおう見出しが出ていました。よく読むと「はとバス」の方の願望であるようでした。見出しだけで新聞を読み人はミスリードされます。正確には「東京一人勝ち」か? とすべきでしたね。  

 そんな5月22日の地方版のニュースを拾いだしてみると・・・・。

 函館では20115年の新幹線開業に向けて勉強会

 2010年10月の東北新幹線森までの全線開業は震災で水を差されましたが、開業後も低調だった東北への関心を強める(東京人のルーツを思い出させる)効果はあったのかも知れません。地方と大都市の関係を見直す契機にしなければなりません。

 宮城県が昨日発表した2011年の観光統計によると、県内の宿泊者数は5%増の842万人。復旧、復興に従事する人の宿泊が増え、観光客は30%減の4,319万人と大幅に落ち込んでいます。秋頃には徐々に観光客が回復し、15%減にまで戻しています。

 名古屋では2027年のリニア開業をにらんで街づくりの議論

 21日、中部経済連と名古屋市の河村市長が懇談し、名古屋駅周辺や栄地区のまちづくり、名古屋城天守閣の木造復元などについて話し合われたようです。「リニア開業を見据えたまちづくりのグランドデザインを早期に描くべきだ。この2〜3年が勝負だ」という意見が強いようです。以前は東京の郊外都市という意見もありましたが、震災以後は東京のバックアップ機能を誘致するという意識がでてきているのかも知れません(その報道はありませんので憶測です)。
 東京都の石原都知事は東京のバックアップは首都圏内でという持論を持っているようですが、客観的に見ると、仙台か名古屋あたりが都市基盤の充実と時間距離的にもバックアップ拠点としては適当です。だと考えると有力なのは、地理的にも仙台ではなく名古屋でしょうね。

 関空の外国人旅行客最多

 4月の関空の外国人旅行客は前年同月の2.6倍の37万9,320人となり、4月としては過去最高となりました。また国内線の旅行客もLCCのピーチやスカイマークの運航で7ヶ月連続の上昇です。
 関西は首都圏を意識するのでは無く、アジアに繋がっていく道を選ばないと先の展望が開けないと思います。

 この半世紀関西の文化人や経済界は東京に対して「不当に虐げられた恨み」をぬぐいきれなかったのですが。もう、東京への対抗心、ルサンチマンを糧にするのはやめたほうがいいという空気もうまれてきています。

 「東京スカイツリー」に対する関西人の興味はあまりなく、意外に冷めているのがそのあらわれです。水族館もすみだより京都の方が大きいですしね。

                                         (2012年05月22日)
■この春開業施設は好スタート

 新東名「ネオパーサ」は7施設全体でGWに300万人の集客

 4月14日に開業した新東名高速道路のサービスエリア、パーキングエリアの商業施設「ネオパーサ」の7施設(駿河湾沼津上下、清水、静岡上下、浜松上下)はファッションショップを入店させたり、それぞれのテーマを持たせた環境デザインなどユニークな取り組みが注目されました。

 「想定以上の盛況でかなり幅広い客層を掴んだ」という結果でゴールデンウィーク期間中の入館者は300万人となりました。道路をテーマパークとして繋ごうというコンセプトであり、旅行会社がサービスエリアを巡るツアーを実施し、25,000人が参加したといいます。
 高速道路を使わない外部からの来場者も1割を占めています。例えば沼津では沼津駅からのシャトルバスを運行していましたし、一般道から来館できる駐車場「ぷらっとパーク」も各施設に整備されています。

 地場産品の店舗とファッション関連のショップが好調だったようです。


 4月18日開業 「東急プラザ表参道」は幅広い客層を集めている

 後流伝ウィーク9日間で32万人の来館者を集めた「東急プラザ表参道原宿」は年間売上げ目標90億円へのい到達ペースを上回っています。客層は当初想定より高く、40代以上もかなり訪れているようです。街との回遊が多く、飲食や屋上のテラスの利用も多いといいます。

 (開業1か月の来館者は86万人で11億円の売上があったそうです)

 4月26日開業「渋谷ヒカリエ」は4月26日〜5月13日で220万人の来館者

 渋谷のターミナル立地で商業施設の目標が180億円の施設ですから単純に比較できませんが、1日単純平均12.2万人と「東急プラザ表参道」の3.5万人を大きく上回っています(ちなみにネオパーサは7施設合計で1日平均30万人という計算になります)。
 商業施設の「シンクス」(目標180億円)は売上が予算比60%増と好調です。

 4月19日開業「「ダイバーシティ東京プラザ」は100万人の集客

 ゴールデンウィーク期間中は都内近県からのファミリー客が多く、「菓子メーカーのアンテナショップ」や巨大なガンダムの立像が人気を集めていました。お台場に遊びに来る人が多かったのでしょうね。

 内容を見る限り、常設のイベント会場のような構成なので、夏休み以後の秋冬の集客が課題ですね。

 明日はいよいよ東京スカイツリーの開業です。楽しみですね。

                                           (2012年05月21日)
■鉄道会社が始めたホームコンビニエンスサービス「東急ベル」

 鉄道会社の地域密着サービス

 東急電鉄が6月1日から、新業態であるホーム・コンビニエンスサービス「東急ベル」をスタートさせます。サービスコンセプトは「玄関先でつながる、リビングでつながる」として「家ナカ」での商品やサービスの購入をお手伝いするサービスです。

 基盤となる宅配網は、駅や店舗など東急グループ施設を物流拠点として活用し、東急沿線17市区を中心とした宅配網を構築します。

 ベルキャストがキーマンで、宅配によるお客様との交流や注文受け付けを行い、東急グループを中心とした提携事業者からの手数料収入が収益源となります。

 提供する商品は

・ 肉・野菜・魚の生鮮品、水・米・酒などの食品、生活雑貨、育児・介護用品、ペットフードなどの日用品
・ デパ地下食品、地方名産品、本・雑誌などの趣味嗜好品
・ 暮らし全般のサービス(例:健康・子育て・介護・住まい・安全・通信・金融等)

などです。

 鉄道各社では社内では同じような事業が検討の俎上にのぼっているはずです。東急の動向を見て一気に普及するかも知れません。

 「ポータルサイト」事業が伸びない理由

 スーパーやマンション管理会社や新聞販売店などの顧客接点を持つ事業者が、窓口を集約して顧客に提供する仕組みをつくってもなかなかうまくいかないのは、、収益の上がる事業分野、ターゲットに対してはもうすでにWEB販売が普及しているという点です。

 WEB通販では価格競争が常態なので、価格でまけてしまう。しかも、アスクルや楽天になれてしまうと、翌日到着が、感覚として当たり前になってしまいスピードでも勝てないからです。
 差別化できる強みをどこに持つかが課題です。

 あるチェーンSMの社長が店舗で宅配サービスを委託する業者のコストをばかりを気にしているのをみて、少し違うなと感じました。「接点」を「コスト」として考える限り折角のサービスが活かされません。その店舗は同じ地域で展開している同じグループの百貨店との連携もまったく無くて、何てもったいないことだろうと思います。

 今回の、東急ベルのポイントは「ベルキャスト」がどこまで顧客に食い込めるかでしょう。東急グループの結束力がためされます。

                                           (2012年05月18日)
■ホテル西洋銀座の閉館〜2極化するホテル業界の競争の中で無くなっていくもの

 2013年5月「ホテル西洋銀座」閉館

 1987年開業ですから、丁度バブルの時代を駆け抜けてきたホテルと言えます。77室と小規模ながら高品質なサービスを提供していて、国内外の富裕層、有名アーティストにもファンが多かったといいます。かつて輝きを放った「西武セゾングループ」の遺産の一つです。オーナー企業でなければつくれなかったホテルです。

 直営の映画館「銀座テアトルシネマ」、劇場「ル テアトル銀座 by PARCO」も同時に営業を終了します。最近の稼働率は震災前を上回っていました。ビルの建て替えのあおりをうけたのでしょう。バブル期の事業としては珍しく持続性のある事業でした。ツインで6万円台という宿泊価格は、最近東京に増えている外資系のラグジュアリーホテルと比べても決して高くはありません。

 京都の老舗旅館のような日本風の高品質なサービスは他に無い魅力だったのだと思います。

 二極化するホテル業界

 ホテル業界は、グローバルに展開するラグジュアリーホテルと、システムを構築して最小限のサービスで稼働率をあげ、利益を確保するビジネス特化ホテルに二極化しています。
 機会損失を最小限にし、収益を確保するには国内外のネットワークやWEBの活用が欠かせません。資本力が無いと勝ち残れない業界となっています。その中で小規模のホテルが生き残るには、固定客、口コミをベースにリピーターをつかむしかないのですが、「効率的に利益をあげる」事に価値観を持つ企業では維持は厳しいでしょうね。

 外資系のラグジュアリーホテル「シャングリ・ラ東京」の2011年の稼働率が56%だったっと3月20日に発表されました。震災後の休業と東京電力の原子力発電所の事故が影響したそうです。震災発生直前は70%を超えていたそうです。日経の調べでは1月の東京のホテルの稼働率は68.5%rと前年より2.2ポイント減少しています。
(同時期の大阪のホテル稼働率は74.4%.前年を5.4ポイント上回っています)
 ちなみにホテル西洋銀座の最近の稼働率は80.6%です。

 本当に何事も無かったのか?

 「震災から早く立ち直った」といいたい気持ちは良く理解できます。4月24日の日経産業新聞に掲載されているホテル投資の外国人コンサルタントのインタビューでは「訪日客の回復 予想以上 高級ホテルには進出余地」というタイトルが掲げられています。
 「震災の影響で遠のいていた訪日外国人の客死は戻りつつ有り、回復は予想以上だ.今後も経済成長が続く中国などから訪日客は増えていくことが期待できる。レジャー目的以外の外国人はまだ戻ってきていないが、今年の夏休みからは復調してくる可能性がある。あと半年ぐらいで日本への外国人の客足は震災以前の水準に完全回復するのではないか」

 投資コンサルタントの立場が語らせるポジショントークだと考えていいでしょう。期待に基づいた希望的観測が多く含まれています。首都圏のラグジュアリーホテルは客観的に考えて同質競合の飽和状態です。

 首都圏の直下型震災の不安、東京電力原子力発電所事故の影響への不安など、考えている以上に深刻な状況です。
 
 新聞の見出しだけで判断しないで、時系列の統計データと個別の事例収集を続けて、今後の市場を自分の頭で読み取っていくべきでしょう。現実を見てビジネスの判断を行うべきです。

 東京のラグジュアリーホテルの市場が今後も縮小していくのであれば、同質化競争と一線を引き、バブル崩壊後も生き延びてきた「ホテル西洋銀座」のビジネスモデルこそが、生き残っている強さを持ちます。

                                             (2012年05月17日)
■京都水族館の出足は好調〜水族館のカジュアル化

  開業時には最大2時間の行列ができた京都水族館

 オリックス不動産が京都に開業した京都水族館は延べ床面積が11,000uと内陸型の水族館としては国内最大をうたっています。
 池袋のサンシャイン水族館が7,765u、エプソン品川アクアスタジアムが11,690u、すみだ水族館は7,800uです。
 海遊館が27,350u、神戸市立須磨水族館15、448uですから中規模の水族館と言えます。

 計画時には「公有地の提供の可否」や「生物多様性の維持」の観点から市民の反対もあったのですが、「イルカショー」が知的な生き物の虐待として国際的な非難を浴びないか危惧していましたが、今の所は極端な非難は聞こえてきていません。イルカショーについては「イルカ」がまだ慣れていないのでいうことを聞かないという・・・それもひとつの味わいであるという意見がネットにあらわれていました。

 開業時には2時間待ちの行列が出来ていたそうです。4月上旬時点で30万人を突破し、ゴールデンウィーク期間は営業時間を延長して対応したので、初年度の年間目標200万人は突破するでしょう。
 通常秋から冬にかけて来館者数は減少しますが、秋は京都の観光シーズンですし、冬も又館内は寒くないのでコンスタントに人を集めるでしょう。

 集客施設としての水族館

 入館料が2000円で、年間パスポートが4000円とかなりお得に設定されているので、リピーターが増えるでしょうね。通常期間の営業時間が9:00〜17:00というのはどうなんでしょう。民営で都市型立地にしては少し疑問です。京都駅が近いとは言え徒歩15分なので会社帰りに頻繁に立ち寄るのは難しいとは言え、短すぎるでしょう。
 大阪港の海遊館は9:30〜20:00の営業で、夜は昼とは違った客層を集めていました。今後、リピーターを増やすためには色々なイベントや付帯施設で収益を確保し、魅力をアップする追加投資を行う必要があります。

 今月開業する「すみだ水族館」や池袋の「サンシャイン水族館」などのように商業施設に付帯したモノでは無いので純粋に教育施設としての機能に特化させようとしているのでしょうか?

 お台場の「アクアシティお台場」のイベントホールに、14日、小型水族館「リゾートアクアリウム」が設置されます。サンシャイン水族館が監修しています。水の入れ替えをしなくていい仕組みが開発されて、中小型のカジュアルな水族館がこれからも増えていくのでしょう。

 開発時の経緯もあるのでしょうが、京都水族館だけの単体での維持は厳しくなっていくでしょうね。京都観光を支える京阪神からの日帰り観光客を集客できるかどうかが鍵でしょう。神戸、大阪はそれぞれ地元の水族館があるせいか、京都水族館はあまり話題にはなっていません。

                                       (2012年05月16日)
■阪急にフォションが並ぶ日〜ブランドは資産である事をもう一度考える

 ブランド偏重は悪なのか?

 関西に進出する東京の百貨店は「ブランド」を前面に出すことをかっこ悪いと考えているようです。かつては各百貨店が独自のブランド、海外と提携したブランドを前面に出していて、大事に育ててきました。JR大阪三越伊勢丹には「ハロッズ」の食料品は見当たりません。あるのかも知れませんがあまり印象に残りません。・・・そのかわり何故か阪急百貨店にハロッズのファッションのショップが出店しています。

 食品の分野でも以前は、海外の食料品店やデパートの商品と提携した売場が数多くあったように思います。中元歳暮のギフト市場が縮小したせいもあるのでしょうが,最近あまりオリジナルブランドには力を入れていないように思います。

 その中で島屋によって、大切に育てられてきたのがフランスの食料品店「フォション」,イタリアの食料品店「ペック」,ドイツの肉惣菜の「ダルマイヤー」です。


 年3店のペースで自社以外の百貨店に出店

 今まで門外不出であったこれらの食料品ブランドが外販の強化に乗り出すそうです。将来的に自社店舗以外の売上を5割にまで高めて収益源とするそうです。
 この10月には梅田の阪急に300品目を扱う販売店を出店します。今年の夏には都内の大型百貨店にも出店するようです。

 今まで、自由が丘に路面店があっったものの、自社の店舗や共同仕入れ機構である「ハイランドグループ」に出店を限定し、大切に守ってきたブランドを外部に出店するのは大きな戦略転換といわれています。
 島屋の出店店数鵜が今後伸びない中、成長を続けるには活路を見いだす必要があったのでしょう。

 それでも、今、出店の引き合いがあるような「ブランド価値」を保持しているのは、長年、大切に育ててきた成果でしょう。もっと手っ取り早くお金にする機会もあったでしょうに「保守的」であった企業体質がブランドの価値を維持してきたのかも知れません。

 これからの「ブランド管理」に注目したいところです。保守的である事を嫌うファッション感度の高い「伊勢丹」が長期的なブランド育成より感度の高い「場」を自店の「ブランド」とする事と対照的なスタイルだなと思います。

                                                (2012年05月15日)
■東京スカイツリーの波及効果

 墨田区の経済波及効果

 建設投資の1,320億円に対して、総合効果として1497億円が見込まれています。タワーへの来場者年間522万人。街区への来場者2086万人。あわせて年間2,638万人の来訪者が想定されています。
 消費金額は年間787億円。経済効果は880億円といわれています。
 全国では1746億円の効果が見込まれています・。全国の効果は少し?ですが、地元墨田区では来場客の増加に御大きな期待が寄せられていることがわかります。

 浅草では駅ビルがリニューアル

 タワーの玄関口になる最寄りのターミナルである浅草駅では東武鉄道が駅ビルを」リニューアルしています。外観をネオルネッサンス様式に近づけて、待合室や外国人旅行センターを移設したそうです。「浅草楽天地」(阪急阪神グループ)では浅草東宝館と楽天地浅草ボウルを建て替える「浅草再開発」を実施し、全国各地の物産品を集めた商業施設と客室数300のリッチモンドホテルが入居する複合ビルとする計画です。

 またTOCはROX3を建て替えて物販、飲食、フットサルコートなどの地域交流型複合施設とする予定です。

 浅草は興行界では「松竹」の牙城といわれており、銀座有楽町の「東宝」と対比されていましたが、今回は松竹の動きは表に出てきていません。

 錦糸町駅ビルも改装

 錦糸町駅ビルの「テルミナ」は昨年3月に全面改装済みですが、東京都東部で最大級のSC「オリナス」は開業後初の全面改装を行い、5月17日にグランドオープンします。6年前の開業時のOL対象の店から、ヤングファミリーを主体にした施設に変わるそうです。

 「東京ソラマチ」は37,000uの地域とつながったショッピングセンター

 商業施設だけでは無く、オフィス、水族館、教育関連施設、ドームシアターが配置される「東京スカイツリータウン」の商業施設「東京ソラマチ」は単なる駅ビルでは無く郊外のSC的な要素も取り入れて「新下町流」の商店街のような賑わいを目指します。312店のテナントは都内最大級です。

 地域の魅力、地元との連携を重視しているそうです。タワーだけではあっという間に通り過ぎてしまわれるので、地元でユックリと楽しんでいただく仕掛けが大事です。

 観光消費で大きなモノは

 今年、東京で開業した商業施設は「観光客」を意識したモノが多いように感じます。

 観光客の消費23.8兆円の中で、宿泊や移動を除いてみれば、「観光関連の商品の購入」が7兆6,200億円と最も多いのですが、「観光関連のサービス支出」2,260億円。「非観光商品の購入」200億円、「非観光サービスへの支出」5,210億円とサービス支出の高さが目立ちます。内容は吟味する必要がありますが、サービスという人を介した人への支出のウェートが高いように感じられます。

 簡単には断言できないかも知れませんが、観光客対象の商売の付加価値(人的サービス)について考える材料となりそうです。

                                        (2012年05月14日)
■ゴールデンウィークの観光は回復基調

 関西のゴールデンウィークは昨年を上回る活況

 昨年は、震災のダメージが比較的少なかった関西ですが、今年は昨年を上回る活況であったようです。
 JR西日本の利用者は11%増加(223万人)し、話題のLCC「ピーチ・ビエーション」の搭乗率も90%を超えていると報道されています。
 JR新幹線の九州までの「みずほ」「さくら」は前年比55%増ということですから、開業景気を超えています。18万人が利用したということです。

 ピーチは関空から札幌、福岡など4路線を運行していますがGW期間中は3万6千人弱が利用しています。全日空は国内線30万4,730人、国際線1万7,540人そしてJALは国内線18万5,858人、国際線2万5,837人ですからピーチの存在感は結構高いモノがあります。

 大河ドラマ平清盛の視聴率は低迷しているとはいえ、ゆかりの地である広島県厳島神社は21万5,590人の観光客を集め18%増加しています。

 開業ラッシュの東京は観光客数を持ち直している

 昨年は震災の影響で自粛ムードに沈んでいた東京は、JRの利用率が昨年に比べて22%増加しています。(1031万人)東北新幹線は昨年の2.5倍、2010年に比べても38%増加しています。森までの開通効果がようやく現れてきています。

 東京ディズニーリゾートは2010年の水準に回復しています。開業施設が多い東京への観光客が回復してきています。ホテルの稼働率が過去10年で最高ともいわれています。(ホテルニューオータニ)

 4月19日オープンの「ダイバーシティ東京プラザ」は100万人突破、4月26日開業の「渋谷ヒカリエ」は150万人と沢山の人を集めています。一方、天候不順のためか百貨店はいまひとつだったとか、八景島シーパラダイスが不調であったという報道もあります。

 東北復興に観光で応援

 東北の観光地は復調傾向にあるようです。岩手県の平泉は世界遺産に登録されたことも有り、昨年同期の8倍の37万5千人が訪れています。2010年と比べても15%増だということです。

 フラガールで有名なスパリゾートハワイアンズは5万5093人と2010年に比べて3%増です。首都圏からの家族客が9割回復しているそうです。

 「被災地ツアー」(?)も好調だそうです。ボランティアが休みを利用して被災地に入る動きも活発だったそうです。

 なんとか応援したい気持ちが観光という形であらわれているのでしょう。

 外国人観光客は中国人は戻っていますが、欧米からの観光客はまだまだもどらないようです。円高も続いていますから敢えて、原発事故のあった日本には足がむかないのでしょうね。海外からの観光客が戻るのは2013年と想定されています。

                                        (2012年05月09日)
                       
■伊勢丹の誤算〜京都と大阪では何が違っていたのか?

 JR大阪三越伊勢丹の誤算

 開業から1年が経ち、新聞各紙で大阪ステーションシティの1年間の成果の総括が行われています。当初の目標売上550億円を大幅に下回り、310億円となったJR大阪三越伊勢丹の不振に話題が集まっています。

 新聞各紙の分析によると「割高イメージ」「ブランド名が前面に出ていない=上質なイメージが大阪にはあわない」「商品陳列量が少ない」といったことが要因としてあげられています。
 言外に「大阪人は安物買い=けち」「品が悪くても沢山の商品を並べる、こてこての自己主張の強い売場が好き」といった関西、とりわけ大阪に対する偏見を感じるのは気のせいでしょうか?

 大阪三越伊勢丹がこれらを真にうける限り浮上は望めません。

 三越は大阪市内や枚方、神戸でながく営業を続けていましたし、伊勢丹も京都駅では成功をおさめています。関西の商圏を全く知らないわけではないはずです。価格や陳列は確かにミスマッチではあるのかも知れませんが、西部が主導した旧「そごう心斎橋店」ほど、的外れな店ではありません。

 京都で成功した伊勢丹が梅田でうまくいかない理由

 JR京都伊勢丹が成功した理由を考えてみましょう。

@JR沿線である大津、草津、高槻な競合店が弱い(草津近鉄、西武)商圏を制圧できたこと
AJR京都駅周辺に強力な競合店が隣接していなかったこと
B通勤客、観光客などの導線上に店舗があり、駅自体が観光スポットとしてのランドマーク性があったこと
C京都市内の大型百貨店がどちらかといえば中高年を対象としたオーソドックスな百貨店であり、客層が伊勢
  丹とかぶらなかったこと

などがあげられます。

 立地もポジショニングもブルーオーシャンだったのですね。もちろん、お店の地道な努力があればこその成果ですが。

 ちなみに京都人は大阪人よりずっと始末屋さんで経済観念が発達していますから、「価格」に対する意識は相当強いですよ。

 梅田のJR三越伊勢丹が期待外れな理由

@導線から外れている
  おそらく百貨店の集客力を期待してあえてこのハズレに持ってきたのでしょうが、ルクアが人の流れの集中 ポイントにあるのと比較してあきらかに外れた場所にあります。
 梅田大丸に隣接しているとは言え、あきらかにいきどまりにあります。例えば毎日のお客様を相手にする食料 品売場の導線を比べて下さい。三越伊勢丹は最初から集約を放棄しているか思える配置です。

 梅田大丸の中でさえ、少し主導線から離れた惣菜売場は回遊の誘導に苦戦しています。
 
 伊勢丹、三越の本店はわざわざ来店するお客様が多いため、導線にあまりにも無頓着です。
 自らの店の魅力を過信しすぎていましたね。こんな悪い場所を選ぶとは・・・・。

A販促が下手

  伊勢丹はハウスカードのお客様=伊勢丹顧客によって支えられています。折込チラシでふりの客を集めるよ
 りも顔が顔がわかっている「顧客」に共感を得るダイレクトメールでの販促が得意です。その分、折込チラシや
 販促イベントは下手です。東京では新聞広告もあまり重視されていませんから新聞広告も下手です。

  以前、「ようかん」のイベントについて指摘したことがあります。伊勢丹の販促はお客さんが何を求めていて、 何を訴えれば関心を引くのか・・・あまり興味が無いように感じます。

 梅田の阪急阪神、梅田大丸はお互いにしのぎを削ってきただけに、販促、イベントは力の入れ方が違います 三越も伊勢丹もあえて東京では「時代遅れ」になった販促手法はとりたくないのでしょうね。プライドにかけて 
 も。

B価格設定が東京感覚

 東京という市場は、日本の中では特別です。「何故か可処分所得の高い」若い層が多いのです。良いモノで 
 あればびっくりするような価格設定でも売れます。

 関西に限らず、東京以外の日本ではそういった層は少ないのです。旧来型の富裕層は地元の百貨店の外商
 がしっかりと押さえています。

 価格というとバーゲン商品を集めたセール・・となってしまいますが、安物が欲しいわけではないのです。どこ
 にでもある商品なら既に所有している大丸やペルソナ(阪急阪神)のカードが使える店で買います。カジュア
 ルウェアは百貨店では買いません。

 三越伊勢丹の課題はまず「ファン層」を増やしていくことです。センスが良くてこなれた価格の商品がある店と
 いうイメージを定着させる必要があります。「割高イメージ」が問題なのでは無く、東京で「割高」な商売になれ
 ているのが課題なのです。

 反応が思わしくないと外部環境「市場」を貶めるという悪循環が始まります。かつて、大阪に進出してきた「S武」や 「S友」「IY堂」の担当者からそんな言葉を沢山聞かされました。市場を軽蔑しているとそれは必ず売場に現れ
 ます。

 市場に素直に向き合えないのならば、中国やインドネシア等の海外に進出しても、うまくはいかないですよ。
ンここを乗り切ればぐっと強い企業になります。
                                         (2012年05月08日)
■「株式会社」は信用できない?

 株式会社より有限会社の方が信用される?

 世間話のレベルでの会話の中で「株式会社より.有限会社の方が信用度が高い」と語る「事情通」のかたがおられました。その理由は「株式会社は最近簡単につくれるようになっているが、有限会社は会社法改正以前の創立である。最近やくざがフロント企業として株式会社をつくっているので信用されない・・・」というもっともらしいけれども底浅い根拠でした。同じような理屈で「社団法人」にするなら「NPO法人」の方が信頼度が高いという説もありました。最近、「一般社団法人」が簡単な届け出で創れるようになったことが背景にあります。

 そういった説を真に受ける人はまあ「裏話的なネタ」と受け取っているだけでしょうが、本気でそのようなことを考えて「いかに信頼できる風な団体にするか・・・ということに腐心している人は何だかあやしいですね。
(こんな発想を「セルフブランディング」といいます)

 最近に流行のノマドワーカー(定住しない労働者・)がバーチャルオフィスとして格好いい地名のオフィスの名前借りること(名義を貸してくれる業者はいます)を本気で頭のいい戦略と考えているということを知り、上記のことを思い出しました。

 昔、確かに東京の「青山」に事務所を構えることが格好いいという時代もありましたが、その当時青山にオフィスを持たれていた方は、は必死にそこの事務所を維持されていました。

 第一印象で評価が決まる?

 最初に名刺交換したときの雰囲気や、態度、名刺の中の住所でうける第一印象はその人の最初の評価を大きく左右するかも知れません。

 それでも「信用」というのは簡単に築けるモノではありません。ひとつひとつの約束を守ること、きちんと支払うモノを支払うこと・・・ちいさなことの積み重ねで少ずつ獲得するしかないものです。

 5年間少しずつ信頼して下さるお客様が増えてきた慶びを知るものにとって、「有限会社」の見た目の信頼度が「株式会社」より高いかどうかなど、正直どうでもいい話です。
 「株式会社」であろうが「有限会社」であろうが「合資会社」であろうが「合名会社」であろうが「LLP」であろうが関係ないはずです。逆にそんなことばかりを気にする人はあまり信頼されない・・・。

                                             (2012年05月07日)
■大阪市内の商業施設のこれからの開業予定

 開業ラッシュの第2弾の始まり
 
 今年は「渋谷ヒカリエ」「東急プラザ表参道」など東京都心の新しい商業施設が話題です。震災以後の沈んだ雰囲気を払拭してくれるといいのですが。

 昨年は、4月の大丸梅田店増床オープンとあべのキューズモールの開業。5月の三越伊勢丹・ルクアの開業。など大阪市内の新しい商業スポットに話題が集まっていました。

 既報の通り、大阪市内中心部で1100億円の売上の上乗せが得られたようです。

 4月27日には阿倍野キューズモールの売上が正式に発表されました。450億円と(繊研新聞の推計430億円を上回る実績でした)目標を13%上回る数値でした。来館者数も2,700万人と目標を59%上回っています。同時期にリニューアルした「なんばシティ」は286億円と7.6%増。「なんばパークス」は260億円と5.5%の減少でした。27日には「zeep大阪」が近くに移転するので両施設とも数%の売上増を見込んでいます。(sankei bizより)

 6月には近鉄百貨店阿倍野店の「あべのHOOP」が新店を導入し、60億円の売上に8億円オンする計画です。

 11月下旬には阪急百貨店梅田本店が全館開業します。売上目標は2130億円と11年見込額の900億円増を見込んでいます。

 来年(2013年)春にはうめきた先行開発地域「グランフロント大阪」の商業施設が開業します。延べ床は8万u。売場面積は4万uクラスでルクアの2倍の規模です。

 2014年には近鉄百貨店を核にした「あべのハルカス」が開業します。

 今後の変化

 大阪市内はあきらかにオーバーストア状態になります。昨年の開業ラッシュ前に、某経済団体が試算したような周辺の京都や神戸からの吸引というような減少はおこりませんでした。(京都や神戸地区の百貨店の売上げは変わっていません)地域内の需要の食い合いになります。

 競争が激しくなることである程度パイは膨らむでしょうが、中心部の商業施設で何らかの形で「淘汰」が進むのかもしれません。あまり変なものにリプレースされると街が死んでしまいますので、開業ラッシュはあまりよろこんでばかりはいられません。各社頑張っていただきたいものです。

                                                (2012年05月01日)
 
 4月
■開業後パイは拡大した?〜大阪市中心部1100億円上乗せ

 大阪市の開業ラッシュから1年 2010年の売上に1100億円プラス

 大阪地区の百貨店の2011年度の売上高は5,931億円(7店)で2010年度の6店体制に比べて、383億円上回っています。京都や神戸地区の百貨店の売上げ動向も全国と変わらないので、パイは拡大しています。

 ファッションビルでは、ルクアが350億円。キューズモールが430億円。それに対して既存のファッションビルの売上げは2011年度は1641億円。10年度と比べて82億円減少している。市内中心部に関しては700億円のの上乗せになっているようです。
 ファッションビルの中で影響を受けたのは「婦人ヤング」「キャリアゾーン」。「メンズは好調」「平日の落ち込み幅は少ない」といわれています。阪急三番街は来街者が増えて飲食部門の実績が上回っているようです。

 郊外地区の影響は少ないといわれています。

                                             (2012年04月27日)
■地方都市にビジネスチャンスは戻るのか?
  
 4月19日 「丸亀町グリーン」開業

 香川県高松市の中心市街地の再開発。丸亀町商店街の「丸亀町グリーン」が19日に開業しました。

「中心市街地の再生には街中居住者の増加が不可欠。商業施設では無く、様々な機能を備えた”街”にした」と丸亀町グリーンの社長は語っている。
 商業ゾーンは15,900u。売上げ目標は60億円。入館者数は400万人を見込んでいる。

 ユナイテッドアローズの会長の重松氏は「地方都市にもビジネスチャンスはある。特に新しいことに挑戦する再開発事業には可能性を感じる。買い場も郊外から中心市街地に戻りつつある。今後は大型店だけでなくレディスやメンズの単独店であれば10〜20万人都市で出店対象に入る」と語っている。
 高松市の人口は42万人弱。従来のユナイテッドアローズ・グリーンレーベルリラクシング」は100万人都市を出店の目安としていた。この路線変更の背景は興味深いものがあります。

 郊外SCの限界

 規模で圧倒してきた大型郊外SCに翳りが見えてきています。地方都市でも、そこで満足できない商品をWEB通販で購入する層が増えています。お客様の目が肥えてきているのです。
 駅ビル開発が進むことも衰退の後押しをします。

 さらに、クルマ離れのトレンドが地方都市にも影響を与えています。

                                    (2012年04月25日)
■クルマ社会のこれから〜多様化するクルマ生活

 不良資産化するマンションの共同駐車場

 東京23区内の世帯における乗用車保有率は2007年の50.85から2011年には36.8%と急激に低下しています。マンションの共同駐車場でも稼働率が下がると駐車場収入が少なくなり、管理費、修繕積立金に影響を与えます。機械式駐車場の場合、定期的な入れ替えのコストも馬鹿になりません。

 若者のクルマ離れが語られていますが、クルマ離れは若者だけでは無いようです。

 とはいえ、顕著にその傾向が現れているのは東京23区内だけで、その他の地域の乗用車保有率は横ばいです。

 まちの都市度に比例する乗用車保有率

 都市度という言葉が適当かどうかわかりませんが、田舎になれば成る程,複数の乗用車を持ち通勤通学に使用しているという傾向ははっきりしています。

 意外にレジャー目的で利用する人は都市部に多いのです・・・・というか必需品では無いのでレジャーで利用する人しか都市で乗用車を持たないということでしょうね。

 買い物の利用は都市部とそうで無い地域で違いがありません。

 商業施設のあり方を考えるときに、だから都市でも駐車場対応を・・・とは考えません。逆に地方であっても、クルマで利用する買い物とは違った商業が成り立つはずである。何故ならば都市でもまたクルマで利用するものとそうでない店が共存しているのだから・・・と考えてしまいます。

 もちろん市場ボリュームは全く違うのですが、通勤通学のクルマ利用と買い物のクルマ利用が相関していないということから考え方としては無理はありません。

 蓄電池としてのクルマ

 震災直後の電力不足の時には、電気が足りないのに「電気自動車」なんてという空気もありましたが。電力不足は電気が貯めておけない(足りないのはピーク時だけ)という認識が広まってからは、蓄電池としての活用に注目が集まっています。(東京で足りていないわけが無い、夜の時間帯の電気を消していたのがあやまった政策でしたね)

 充電場所が無い事が難点でしたが、家庭用電源の利用屋急速に普及すると見られる電気ステーションの普及で,移動距離の短い都市部では電気自動車が多くなってくるかも知れません。

 集合住宅ではカーシェアリングの対象として電気自動車をおいて非常用電源として共用部分の電源確保に活用できます。駐車場を減らしてもいいですからね。


 クルマとの付き合い方はこれからますます多様化していきます。

                                           (2012年04月20日)
図ー乗用車の使用用途
図80
図ー乗用車の保有率
図81

(2011年 乗用車市場動向調査  2012年3月 日本自動車工業会)

■ソニーの凋落と「コト」から「モノ」への逆流

 ソニーの凋落

  ソニーの業績が悪いということは、決算数字を見なくても、新しい商品を見てもわくわくしなくなった事を見ればわかります。ソフト部門出身の会長、社長のも、ものづくりへの執念が希薄になっていたことが原因でしょう。
 かつて週末にソウルにアルバイトに出かけていた日本人技術者による日本の技術や製造ノウハウの流出だけでなく、根本的に見た目のかっこよさでも、サムスンに追い抜かれています。

 世の中の風潮が、ものづくりよりソフトウェアの方が付加価値が高いという考え方が主流でしたから、経済新聞を読んで時流に乗ったのかもしれません。

 アップルはソフトウェアの会社では無い

 よく対比されるアップルは、自社での生産設備は持っていませんが、ソフトウェアの会社ではありません。成毛さんのインタビューを呼んで納得しました。
「プラスチックで覆われたPCや携帯電話が出回っているなか、削り出しのアルミを使ったアップル製品はやはり人目を惹く。持ったときの重さだったり、感触だったり、ハードウェアという文字通りの“ハード”な感触は素晴らしいと思います」(wired business 4/17)

 ジョブスはカリグラフィーを学んでいた事もあるので、アップルの画面は書体も格好いいものでした。

 モノからコトへの注意点

 もちろん、ものいづくりの観点だけで無くデザインや様々なソフトが重要である事はいうまでもありません。これらの産業は間違いなく成長していく産業です。

 ただし、メーカーや百貨店といった異業種が参入してその「基幹部分」を置き換えられるかというとそうではないと考えています。

 阪急百貨店が西宮阪急で成功した「コト」重視を梅田でも展開します。どうなっていくのでしょう。

 都心の百貨店やファッションビルの中の「多目的スペース」の成功事例をあまり数多く知らないので、今後に注目したいと思います。ルクアの多目的スペースも有効利用されていないそうですしね。

                                              (2012年04月19日)
■阪急梅田本店のグランドオープンの内容が発表〜2012年11月下旬

 売上げ目標1,900億円 メンズ館を含むと2,130億円の巨艦店舗

 売上でいうと伊勢丹新宿店、三越日本橋店をやや下回りますが、とてつもない規模です。2012年11月下旬に間に合ったようですが売場面積は当初発表の84,000uから80,000uに絞られています。

 ストアコンセプトの「暮らしの劇場、阪急梅田本店」を体現するのは9階から12階の吹き抜け(吹き抜けが好きですね・・・神戸では失敗したのですが・・物販で無いので悪影響は無いと思いますが)高さ16mの祝祭広場で映像のアートビジョンを設置し、エンタテイメントや期間限定のマーケットが繰り広げられます。

 9階には「阪急梅田ホール」408席の多目的ホール、「阪急梅田ギャラリー」600uのギャラリースペース、「アートステージ」など生活文化情報を発信する空間施設が拡がります。

 物販の売場面積は旧本店比1.2倍 

 8万uという数字が一人歩きしていましたが、物販の売場面積は旧本店の54、000u(非物販7,000u)から1.2倍の64,000uです。非物販面積が16,000uと旧本店比2.3倍になっています。

 テナントでの大型専門店の導入とか、「博多シスターズ」のようなヤングファッションゾーンの設定という手法はとらないようですね。・・・阪神の建て替えもありますからグループ全体の戦略的な展開なのかも知れません・・・・・・・・・きっとね。

 大丸の「うふふガールズ」のような店は心斎橋のような別館ならまだしも、店内に配置すると上顧客(シニア)がよりつかなくなるという弊害もあるようです。阪急梅田本店はプレスリリースを見る限り、格調高い店になりそうです。JR三越伊勢丹が思ったよりも苦戦しているので、少し安心したのかも知れません。
 情報リテイラーですからコンテンツ次第で評価が決まるのですが、商品構成は手堅く、無難な仕上がりです。


 阿倍野近鉄の方は百貨店の枠にとらわれずに、色々チャレンジした面白い店になるかもしれません。

                                       (2012年04月18日)
■経済新聞を読むと見えなくなる世界

 企業のトップに未来が見えているのだろうか?

 大阪梅田の開発の前に、経済団体の調査で百貨店のトップに先行きの見通しについて取材していました。
 コメントは一部しか紹介されていませんが、多くのトップは業界の未来について、きちんとした定見を持っていない事が伺える内容でした。答えは顧客接点にしか無いのに、経済新聞の記事や、新地のクラブで出会った銀行の頭取の言葉とかの方を盲信するのですよね・・・。

 リクルートワークス研究所が各企業の人事部のトップに組織や人事課題の近未来に関するアンケートを発表しています。29人ではありますが、専門家の未来予測を集めて未来を予測するデルファイ法は昔よくやった手法です。同じ質問を回答状況を提示しながら繰り返し聞いていく方法ですが・・・・無難なところに集約されていく効果?がありました。

 さて、企業人事部のトップの回答(下記にリンクを張っておきます)を見ていると、あきらかな矛盾があらわれています。

 「専門性を重視したプロフェッショナル人事制度の導入が進む」97%、「新卒採用に占める外国人の割合が大幅に増える」79%、「日本国内と海外現地法人の人事制度の一体化が進む」86%と多くの人が回答しているにも係わらず・・・「新卒一括採用は継続される」59%とはどういう理屈でつながるのでしょうか????

 新卒一括採用制度があるのは日本だけですし、東大の新入学年度は国際標準の9月になるにも係わらず、新卒一括採用が堅持される理由がわからない?

 このような回答になった理由は、経済新聞は「グローバル化」「プロフェショナル人材」「女性の活用」などについては大きく取り上げるのですが「新卒一括採用」についての議論はほとんど取り上げていないからです。

 新聞で取り上げられない世の中の動きは「無いもの」ではありません。(だからといっててネットの世界に真実があるというわけでもないのですが)

 自分の頭で考える習慣を持たないと、これからの経営トップはつとまらないなあ・・・と考えたときに、この調査の予測で「ローパフォーマーの代謝を促す制度が進む」86%と考えている人事部トップの方にお聞きしたい。代謝されるのはどのような人材でしょうか?


「組織や人事課題の近未来に関するアンケート」リクルートワークス研究所
http://www.works-i.com/taidan/images/anke_all.pdf へのリンク

                                     〈2012年04月18日)
■東急プラザ東急プラザ表参道原宿〜明日開業

 「東急プラザ」ブランドを新しく再生

 1961年に開業した「自由が丘東急プラザ」(現在は自由が丘東急ビル)以来、東急不動産の都市型ショッピングセンターのブランド名となっていた「東急プラザ」の最新店が明日、神宮前交差点に「東急プラザ表参道原宿」として開業します。111,850uに27店。来館者数400万人、売上90億円を目指します。

 マークも一新し、東急プラザの旗艦店の役割を持たせるそうです。ヤングから大人まで幅広い層の客層を取り込み、ファッションとカルチャーの発信に力を入れます。

 原宿地区の商業規模は1,000億円ともいわれています。他のエリアよりもファッション比率が高い。街自体が昔から格好いい街でしたからね。

 H&Mなどのファストファッショや既存店舗とは異なった店舗構で、平日は地元客や近隣の働く層や学生を掘り起こすとはいうモノの海外客を含んだ広域商圏が期待されています。

 アジアの富裕層もリピーターになってくると買い物環境も洗練されたものを求めるようになるでしょうから、新たな魅力を提供する良い舞台装置になることと期待しています。

                                               (2012年04月17日)
■名古屋駅周辺の2015年問題

 2015年名駅新ビル完成

 名古屋中央郵便局跡地に建設される「名駅1丁目計画」は延べ床17万9,000uにオフィス、商業施設、郵便局、バスターミナルが入居します。ビルの2階でJR名古屋駅とつなぐ歩行者デッキが設置され、地下では地下鉄や名鉄、近鉄の駅につながる地下通路と接続されます。

 2015年秋には三菱地所が「ダイナゴヤビルヂング」に建て替えが完成します。

 2016年には松坂屋名古屋店跡の名古屋ターミナルビルが完成します。ヨドバシやジェイアール名古屋高島屋
が入居しこのビルの地下に2027年に開通するリニアの駅が設置されるといわれています。
 
 2017年には東和不動産の「第2豊田ビル」が完成します。

 名古屋駅から南に1kmの地点にある「ささしまライブ24計画」では大学や放送局の入居が決まっており、名古屋駅から近くの交差点まで300メートルの地下道を整備するといいます。
 地下道というのが名古屋らしいですね。(自動車道優先)とはいえ車社会といわれている名古屋で駅周辺の歩行者の回遊が促進され、歩いて街を回る人が増えてくるのでしょうか?

 オフォイス街から街へ

 名古屋駅周辺はオフィスが集積していて予備校はあるものの「たまり場」となる空間は少なかった街です。条件的には交通の要所は人が集まる条件が揃っているはずです。

 東京の丸の内がオフォイス一辺倒の街から商業施設の整備などで休日も楽しめる街になったように、名古屋駅も総合的な楽しみのある街に変身中です。
 有力企業とデベロッパーで「名古屋駅前地区まち作り協議会」がまちづくり連携の協議に入っています。

 サラリーマンが集まって協議すると、無難な総花的な案になりがちです(はっきりいって面白くない)が、決まった方針を実現する推進力はあるので、この街の動きを若い人達がうまく利用していければ面白い変化がうまれるでしょう。

                                 (2012年04月16日)
■高速道路立地の商業施設の可能性〜清水パーキングエリア「ネオパーサ清水」

 新東名商業ブランド「ネオパーサ」

 ネオパーサとは新東名高速道路のSA・PAで展開される大型商業施設のブランド名です。駿河湾沼津、静岡、浜松の上下線のSA6カ所と、14日に新しく開通する清水のPAの合計13カ所です。
 それぞれに個性豊かな特徴、コンセプトを持ち、そのものが目的地になることを狙っています。新東名のSA・PAは高速道路の外側から利用できる駐車場も整備されており、地元の利用も促進されています。「テーマパークのようにネオパーサそのものが目的地となる事を考えている」(中部高速道路)そうです。

 ネオパーサ浜松は「楽器の街」ピアノをイメージした概観や館内のミュージックスポットが特徴です。ネオパーサ静岡は「くるまライフ」でガレージをモチーフにした外観。車やバイクの展示販売や、バイクウェア用品・アパレル・・セレクト雑貨を揃えています。ネオパーク駿河湾沼津は海を見渡せる唯一のエリアで「リゾートマインド」をテーマに地中海の港町を思わせる外観デザインです。オーシャンビューのレストラン・フードコートが売り物です。

 14日開業「ネオパーサ清水」

 14日に新東名御殿場JCT〜三ヶ日JCTが開通します。その開通に併せて清水PAに「ネオパーサ清水」が開業します。「ハートフルオアシス」をコンセプトに、地元名産品ととともにファッション小売業が集積しているのが注目されます。

 「クシタニパフォーマンス ストア」  バイクウェア専門店がバイクウェアに加えてアパレルも展開します。
 「レムソンズ」(ビームス) アメリカンダイナーと共に雑貨やオリジナルグッズも取りそろえます。
 「ハートダンス+」(玉屋)車内や旅行先で使えるアクセサリーや雑貨アイテムを揃えます。
 「ザ・ハイウェイストア・ユナテッドアローズ」ファッション、コンビニエンス、ギフトをテーマにドライブや旅を楽しむ
    為のウェアや服飾雑貨を展開。フレンチトースト専門店も併設します。165u。
 「FRフリーズショップ・ドライブイン」雑貨のキャスキッドソンとフリーズショップのアパレル雑貨とお菓子の店です。
  (サンエーインターナショナル)

 「トラフィックチャンネル」を有望な新規販路と見て参入する動きはセレクトショップから婦人服専門店チェーン、大手アパレルにも拡がっています。

                                           (2012年04月12日)

 14日の開業はテレビなどでも大きく取り上げられていました。ルートが直線であるため時間短縮が見込まれ、物流施設の立地が進んでいるようです。県の助成金も工場だけで無く物流施設にまで拡大しています。観光産業の注目しており、SA巡りのプランも発売されています。・・・・道路がテーマパークになるが本当に実現するのかも知れません。

■民営化が進む大阪の事業

 海遊館ようやく民営化へ

 2007年にも、海遊館を株主で水族館事業のノウハウがある近鉄に売却する話が進んでいました。当時の平松市長は議会の反対を抑えきれずに株の売却を撤回しました。
 海遊館自体は2010年度は56億円の売上があり純利益は5億円と、バブルの時に乱立した3セク事業の中では優良企業です。

 大規模な改装や増床などの投資が必要なのですが、今までは見送られてきたので、民間のノウハウを駆使して魅力アップをはかることが期待されます。隣接する商業施設「天保山マーケットプレース」も民間の商業者が運営から外されてから、あまり芳しくない状況です。商業施設は特に改装投資が必要なので仕方が無いのですが・・・。

 大阪市は現在25%の出資比率3%程度に圧縮し、市のOBの役員就任を2人から1人に減らす方向で検討するようです。3%で1人出すのかという疑問もあるでしょうが、公設民営の公共性を担保するために、大阪市の代表は必要でしょう。(OBでなく非常勤で現役職員の方がいいと思いますが)

 逆に民間のサントリーから寄贈された「サントリーミュージアム」はどうするんでしょうね。建物自体が作品なので、使いにくいともっぱらの評判ですが・・・。バブルの時期に建てられた民間のキリンプラザ(高松伸先生の作品)や鰻谷のチルドレンミュージアム(若林弘幸先生の作品)はもう、とっくに取り壊されています。更地にして第2海遊館にするという選択肢もありだと思います。
 (サントリーミュージアムは2013年にオリックス不動産に運営委託されることに決まりました)

 大阪地下街完全民営化へ

 ホワイティ梅田やなんばナンナンなど市内5カ所の地下街を管理する大阪地下街は、全株式を売却し完全民営化をはかります。売上高441億円の収益率の高い事業ですが、民間の商業者が運営すればもっと利益率が高くなると期待されます。地下街の設備の補修はコストがかかるので安い買い物ではないでね。

 大阪城ホールも株式の売却が決まっていますが、完全民営化ではないようです。

 海洋博物館「なにわの海の時空館」は2013年春に閉館することが検討されています。年間10万人の来場者が今でもあるということですが・・・。(結局引き受け手は無かったようです)

 、大阪府も市も税収が落ち込んでいて、賃金カットとともに、資産売却で補填しなければもたないのだと思います。

                                               (2012年04月11日)
■今、衣料品が売れる理由

 家電エコポイントがなくなり衣料品が売れる

 第一生命経済研究所が6日に発表したレポートで、衣料品の消費復調には家電エコポイントやエコカー減税といった消費刺激策の終了が耐久消費財に向けられていた消費から衣料品などの他の分野の消費にシフトしている為だと分析しています。

 確かに財布の大きさは変わりませんか理屈としては筋が通っています。

 家計調査の分析で家電ンエコポイントの対象であった「冷蔵庫」「エアコン」「薄型テレビ」の消費金額と逆相関の関係が強いのは(=伸びると減少する)項目として「室内装飾品」「衣料品」「保健医療サービス」などだそうです。衣料品の中でも子供服や男性用の衣料品が節約される傾向はデータにもあらわれているようです。

 もともと衣料品などの半耐久消費財は所得弾性値が高く、所得環境の影響を受け安いといわれています。お金が無くなると節約の対象になりやすいということですね。

 家電エコポイントやエコカー減税は消費全体を刺激する効果は無い

 対象業界の救済策として効果はあったのでしょうが、エコポイントで消費が集中した分、メーカーが過剰な設備投資に苦しんでいるのを見ていると、あまり健全な姿ではありません。

 衣料品は消費サイクルがある

 経済的な側面で耐久消費財からファッションにシフトしているだけでなく、心理的な側面からも我慢疲れや気分一新を求めて新しい衣料品を購入する時期でもあります。物理的にも耐用年数が過ぎた服を」着替えるタイミングなのでしょう。

 ファッション業界からもこのタイミングを逃さずに思い切って消費を喚起する働きかけが必要です。どうしてもデフレマインドから抜け出せない店からは買いたくならないネガティブなメッセージが発信されています。

                                    
 (2012年04月10日)
■名古屋に犬が多い理由

 人口に比べると犬の登録数が多い名古屋市

 名古屋市は犬の登録数が飛び抜けて多くなっています。(データが無い東京23区や人口の多い横浜市を除く)

 地元の大学の先生は、名古屋は大都市であるわりに一戸建てが多いことと自動車の普及率の高さをあげています。確かに、今まで飼われていた中型犬や、大型犬は戸建てで無いと飼えませんし、賃貸住宅ではほとんど駄目でした。最近ブームの小型犬はマンションで飼っている人が多いので、図の中の登録申請数=2010年に登録申請した犬の頭数で見ると大阪市が名古屋市を逆転しています。

 もう一つの理由は普段車を運転しているので、運動不足解消に犬の散歩をしているというモノですが、こちらはあまり信憑性はありません。

 震災の被災地でも沢山の犬が保護されています。犬が人にとってなくてなならないパートナーとなっている世相を反映し、簡単には処分されないで保護されているといいます。

                                        (2012年04月09日)

 名古屋市の持ち家率や戸建て率を比較してみました。決して比率は高くないのですが、戸建て居住世帯数は確かに多いようです。同じように犬の登録数が多い横浜市や.札幌市でも戸建て居住世帯数が多い傾向が見られます。
 そうすると今度は京阪神の中で最も戸建て世帯数が少ない神戸で犬の登録数が多くて、戸建て世帯の多い京都で犬の登録数が少ないという謎が浮かび上がってきます。

 京都人=超しぶちん説が裏付けられたのでしょうか?町屋の狭い住戸では犬が飼いにくいということでしょうか?京都の町で犬を見かけることは少な・・・様な気がしてきました。さて・・・・。

                                      (2012年04月10日)

犬を飼っていると寝たきり老人にならない比率が高まるのだそうです・・・。ほんとなの?
図ー犬の登録数 2010年
図82
(2010年 衛生行政 報告 厚生労働省)
図ー持ち家率
図83
                         (2005年 国勢調査)
図ー戸建て世帯
図84
 (2005年 国勢調査)
■震災リスクで見直される国土軸の複線〜新東明 静岡県内の開通

 新東名 御殿場〜三が日間4月14日開通 大動脈の複線化

 中日本高速道路は新東名高速道路の静岡県内 御殿場〜三が日間の162kmの4月14日に開通することを発表しました。神奈川県部分を含めた全線開通は2020年ですが、震災後のリスク管理の議論の中で、国土軸が複線化することは大きな意味があります。

 なにしろ、東名高速は一部では海にせり出すように走っていますから、東海地震の時には通行不能になります。新東名は内陸部を走るため、津波のリスクは縮小します。

 道路の構造もカーブや坂が少なくなり、トラックの燃費が10%安くなります。渋滞の緩和も期待されています。

 かつては無駄の象徴ともいわれていた道路の予算も(消費税の税収増をあてこんで?)復活傾向にあるといいます。震災を教訓に国土機能を分散するためには、地方を結ぶインフラ整備、地方の経済活性化が必要です。

 中山間地域がフロンティアになる?

 内陸部を結ぶ高速道路で、中山間地の産業誘致・育成に期待が高まっています。観光面でも工場や農地の協力を得て参加型の観光の誘客に期待が集まります。
 「観光の選択肢が拡がるのは大変良いこと。新東名自体をひとつの大きなテーマパークと考えた方がいい」と語るのは地元で温泉レジャー施設を運営している「時之栖」の社長。 

 静岡県では伊豆の観光客が400万人減少しているのですが、富士市や静岡市の近辺が増えて県全体では600万人増加しています。

 伊豆に頼らない観光集客が強化される必要があります。道路自体をテーマパークにするという発想は面白い着眼点ですね。

 新名神全線開通へ

 関西では凍結されていた新名神の大津〜城陽、八幡〜高槻間の着工が決まりました。大津と神戸を結び、大阪府内では高槻や茨木の内陸部を通ります。

http://www.asahi.com/politics/update/0402/TKY201204010436.html へのリンク

 大阪は北部の端っこを通るだけのように見えますが、大津や神戸との連携や北部で開発されているプロジェクトの大きな推進力になります。渋滞の緩和と、観光等の活性化に期待できます。

                                                  (2012年04月06日)
■城を中心とした街の顔作り〜浜松セントラルパーク構想
 駅前から人を動かせ

 浜松市は静岡県西部の中核都市です。駅周辺の中心市街地から撤退する店が多く、郊外の大型モールに押され気味だといわれています。大丸の進出計画もありましたが中止になり、大型専門店ビルも経営不振が噂されています。
 昨年11月の遠鉄百貨店新館開業から2ヶ月後地元の静岡県西部地域しんきん経済研究所が西部地域の住民を対象に「買い物動向調査」を行いました。
 遠鉄百貨店開業の効果は限定的で駅周辺への人の回遊にはつながらなかったようです。「市街地全体が賑わっている」1.7%、「浜松駅前の一部だけが賑わっている」35.5%で、「以前と変わらない」29.1%、「ますます寂しくなった」7.4%と厳しい結果が出ています。さらに「浜松駅周辺に出かけていないのでわからない」26.2%と最初から利用していない人が多いのが問題です。

 浜松駅周辺では、若者より中高年の支出が減少しています。

http://shinkinkeizai.jp/economy/pdf/20120223.pdf へのリンク

 浜松セントラルパーク構想

 浜松市については安藤忠雄さんが「都市の中心が無くて散漫な印象を受ける」と語っています。現在、浜松城を中心に一体の20万平米をセントラルパークとして整備し、市立美術館や公立の小中高一貫校を配置する計画があります。
 浜松城は徳川家康の出世城とされ、歴史ブームを追い風に2011年度の入場者数は15万人超と過去最高でした。天守閣の移転をすすめ、城への視界を遮る市庁舎の移転を含めて今年前半に基本構想が発表される予定です。
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/lifeindex/life/greening/central/index.htm へのリンク
http://www.at-s.com/news/detail/100103311.html へのリンク

 宿敵徳川家康に対して大阪城は?

 大阪人にとって宿敵である徳川家康の城が整備されていくのに対し、秀吉の大阪城の周辺整備計画はどうなっているのでしょうか。  府庁移転後の建物を美術館にするとか・・噂はありましたが・・・。

 例え、元の大阪城は焼けてしまい、徳川の建てた大阪城をベースにしたコンクリート造りの建物であっても、大阪城はの景観市民に愛されています。通天閣+新世界+かに道楽の大阪ではないもうひとつの美しい大阪のシンボルなのでうまく活用して欲しいものです。

                                                 (2012年04月05日)
■ヨーロッパの日本食人気

 フランスで今後伸びるエスニック食品は日本とインド

 フランスではエスニック食品がブームで、中華を中心としたアジア食品、メキシコ食品、インド食品が人気が高いそうです。現地の大手調査会社の予想では2011年以降伸びが予想されるモノとして、日本食品とインド食品をあげています。
 最近はフランスでもK−POPなどの韓国文化に熱狂する若者が増えて、韓国食品の勢いがあるようです。

 パリのレストランで提供されるメニューは「すし・焼き鳥・刺身」に集中していましたが、最近は居酒屋、持ち帰りたこ焼き屋、串揚げ、うどん、ラーメン店など多様な業種がオープンしています。

 英国ではうどん、和菓子が注目

 ロンドンで「すし」が日常食として定着しています。英国の市場は「ヘルシー」「ローカロリー」「オーガニック」がキーワードで日本食にはヘルシーというイメージがあり人気を呼んでいます。
 すし以外では和菓子の「源吉兆庵」がどら焼きなどで人気を集めクリスマスシーズンには過去最高の売上を記録しています。
 その他「讃岐うどん店」「日本式カレー店」が人気で、スーパーでは「カツカレー調理セット」が販売されているそうです。
 アジア系食品の中で日本食は「高品質」「高級品」というイメージが定着しているようです。


 EUの輸入規制で食材の調達が滞っても「日本食」は人気

 フランスや英国では比較的東京電力原子力発電所事故による放射能汚染での影響は少なかったようですが、ドイツやオーストリアなどでは日本の食材の輸入規制が影響し、日本食品の購入を控える動きもあったようす。

 ウィーンでは「すし」が人気で中国、韓国系の飲食店でも「すし」が提供されているそうです。(どんなお寿司なんでしょうね)

 ドイツでも「すし」は定着してますが(経営はタイ人やベトナム人が多いようです)高級な日本食店に行くのは「日本通」に限られているようです。一般市民にも原発事故のその後を気にかけている人が多いようなので、厳密な検査と正確な情報発信が必要です。

 ベルギーでは健康、ダイエットブームで日本食では「抹茶」と「しらたき」(?)が人気だそうです。ベルギーのダイエット本で「しらたきの炒め物」が掲載されて以来の人気で1日に150パック売れた店もあります。
 フレンチレストランの関係舎が餃子の皮【日本食か?)鰻、きざみゆず、ひじき、抹茶などを購入しているといいます。
 巻物セットや手巻き寿司セットも好評で、海苔、具材、すし酢を購入し自分で作るといいます。


 原発事故以後「日本食レストラン」が相次いで閉鎖されているという話も拡がりましたが、閉店する店もあったようですが、欧州危機や円高の影響の方が強いのかも知れません。

 ジェトロのレポート「欧州の日本食品市場、震災から1年後の現状」から御紹介しましたが、その他にもデンマークへのアンデルセン(パン屋)の進出などの紹介も有り、面白く読みました。

 それぞれの国によって「原発事故」への反応も違いますし、ヨーロッパの中でも食の習慣や文化違いがあるの で、日本食の浸透についてひとくくりでは語れないようです。

 ただ、日本食の持つ「ヘルシー」イメージは欧米では大きな武器です。そして、欧米でも今後の韓国との競合が気になります。

 クールジャパンでのアジアへの日本食への売り方についても戦略を練り直していく必要があります。
「モノ」(農水産物)自体を売り込むにはまだ時間がかかるので、現地の素材を活かした「日本食」のソフトを売っていくことが先行するのでは無いでしょうか?

 欧州の日本食品市場、震災から11年後の現状  ジェトロ

http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000911/eu_jp_food.pdf へのリンク
                                            (2012年04月04日)

 そういえば、アメリカでは日本のジェトロは諜報機関の一種と見られているようですね。
■大阪ステーションシティ JR大阪三越伊勢丹は下方修正した目標も未達

大阪ステーションシティ 合計売上650億円

 JR大阪三越伊勢丹は、当初目標の550億円の売上を350億円に下方修正しましたが、その目標を下回る310億円の売上となりました。入店客数は当初の目標3,000万人に対して2,830万人という結果でした。

 専門店街のルクアは、当初目標の250億円を上方修正した320億円からさらに上積みした340億9,700万円と百貨店を逆転しました。入店客数も当初目標の1900万人から最終的に4074万人となりました。

 百貨店について700億円とお見立てされたコンサルタントもいましたが、当社の予測通り(というかほとんどの地元の専門家の予想通り)ルクアの一人がちともいえる結果になりました。

 商品構成以前の問題として通常の導線から外れた店に人を呼び込む工夫が無かったことが大きな敗因です。ただし、伊勢丹は伊勢丹好きの顧客に対しては抜群のロイヤリティを誇りますから、今後定着して行くに従ってその力を発揮するでしょう。(小倉のように撤退しない限り)逆に、ルクアは導線に恵まれているので入館者が多いのですが、以前から指摘しているように店舗間の連携がないので、その入館者をルクアの顧客にはできていません。うめきたが開業し、周辺の店舗が改装したときに真価が問われます。


                                    (2012年04月03日)
■クールジャパン〜受け入れられた分野は?
 ファッション、コンテンツに手応え

 クール・ジャパン海外推進事業は、シンガポールではファッション、コンテンツ、食の3つの事業が展開されました。ファッションは原宿ファッションをオーチャードストリートの百貨店とネット販売を実験。1,800万円の売り上げ目標に対して2,000万円【卸価格)の成果があがったということです。橋頭堡を築くための第一歩ですから売上金額よりもファン層の拡大と4各国4件あった出店要請の成果が大事です。

 価格面で日本から送ると高いモノになるので、生産地の中国から直送することでコストを抑制できたそうです。ファッションはモノでは無くコンテンツなのですね。出店要請はシンガポールだけで無く、マレーシア、インドネシア、台湾からあったそうで、今後インドネシア、タイへの拡大をすすめていくようです。

 コンテンツはアニメ関連グッズと音楽

 東南アジアでは韓国発のコンテンツに圧倒されている中で、アニメと音楽のコンテンツを売り込むイベントとアンテナショップで売り込んでいます。アニメフェスティバルアジアは5万人の目標に対し8万人の来場者。アンテナショップは7200人の目標に対し7500人が訪れました。
 BtoBのマッチングが210万円の目標に対して4,630万円と大きく伸ばしています。潜在ニーズが高いことが伺えます。音楽に関してはDVD等のパッケージ販売はあまり大きな市場では無くライブが収益源となる市場だそうです。日本のバンドの公演数も増えてきているようです。
 アニメフェスティバルはマレーシア、インドネシア、タイ、フィリピンで開催していきます。

 食べて応援は不発

 食文化の浸透は時間がかかります。復興イベントやシェフのデモンストレーションなどを開催したようですが、1,095万円の売上げ目標に対して、105万円の成果、来客数目標が6,090人に対して700名と大きく見込みが外れています。

 東南アジアの人々は震災に対する深い哀しみは共有してくれていますし、多くの支援をいただいています。食の楽しみ方の習慣の違いや、マス層とVIP層の食空間の楽しみ方のギャップなど固有の市場に対する理解が足りなかったという点もあるでしょうが、東北の食材を「食べて応援」というコンセプトはやはり、今のタイミングでは間違っているのでしょう。

 震災後は日本の食品の輸入規制がかかっていた欧州では、放射線検査などの徹底や日本企業の以下以外生産品などの提供により日本食市場は大きなダメージは受けていません。


 東京電力の原子発電所の事故を収束させて、食の安全安心の検査体制への信頼を確保してから、食べていただくアピールをする手順が必要でしょう。それは「風評被害」だという理屈を説くことでは、相手に楽しんでもらえ無いのです。参加した「シェフ」には料理人としての心構えができていないといえましょう。

                                             (2012年04月02日)

その後政権交代の結果「クールジャパン」はますます迷走しているようです。
 
 3月
■工場見学に高まる関心〜プロセスを見せる意味

 工場見学の経験者は6割

 テレビ番組などで工場の生産過程を見せる機会が増えているためでしょうか?産業観光のの一環として「工場見学」(戸川純じゃないですよ)に関心が集まっています。

 JTBの調査では工場見学の経験者は約6割。酒類・飲料工場が74%、お菓子調味料などの食品工場が48%と飛び抜けています。見学後の試食、試飲のお楽しみがあるせいでしょうか?一番身近な工業製品という事でしょう。
 酒造メーカーがミュージアムをつくったり、スイーツシップやレストランを運営したりといった事例は身近にもよく見かけます。消費財はエンドユーザーに近いのでメーカー側にも直接的なメリットがあります。

 お土産や試食より製造過程が魅力

 実際に見学をした人の感想を聞いてみると、試飲や試食をおさえあて「製造過程」が面白かった」という声がトップです。

 日常馴染みのある飲料や,食料品、自動車に次いで「小規模な町の工場や手仕事の工房」の見学にもニーズがあります。その体験に何を期待しているかといえば「そこでしか見られないすぐれた技術や伝統の技を見たい」54%,「モノが作られていく過程を見ることが出来る」54%,「職人さんから話が聞ける」31%です。


 酒蔵のスイーツ工房、家具店の見せて体験させる工房などの仕掛けをお手伝いしていて、消費の現場では単に大量生産品を安く買うだけで無い楽しみがあるという事を実感しています。

 少し大きな仕組みとして。工場団地に観光の要素を取り入れて計画するとか、農場にレストラン、食品工場を取り入れてオーダーメイド対応を売り物にするとか、仕掛けの工夫が考えられます。

                                                              (2012年03月30日)
図−1 見学をしたことのある工場 N=4608
図85

図−2 実際に工場を見学した感想 N=4608
図86

(JTB WEBアンケート たびQ  2012年3月29日)
■1人前になるということ〜技能系正社員が一人前になるには

 単独で仕事が出来て一人前

 労働政策研究・研修機構が「ものづくり現場の中核を担う技能者の育成の現状と課題に関する調査」を発表しました。
ものづくり企業で一人前とされるのは、基本的には「単独で仕事をこなせるレベル」なのですが、企業の規模で違いがあるのは小さな企業では「部下や後輩に指示や助言をしながら仕事をさせられる」というチーフクラスのスキルが必要とされる割合が高いことです。

 大きな企業であれば組織がしっかりしていて役割が明確なので、裁量範囲が大きくないともいえそうです。決められた範囲の仕事をこなせたら一応,一人前と見てもらえるのでshじょうね。1,000人以上の企業では、約4.4年で一人前と全体より短い期間で一人前とされます。

 一人前について

 ものづくり企業ではありませんが、零細企業給与を決めるための「職務要件」をこねくり回していた時期があります。誰もが納得出来る基準でオープンに評価される・・・事は大事ではあるのですが、定型業務では無い零細企業では各自の仕事を横に並べて「評価」するのはとても困難なことです。そういうことにあまり興味の無いトップは人事コンサル会社に丸投げしようとしたりします。


  評価とか報酬にフェアネスを求めるのはいいのですが、「正しい評価」を求める間は、本当は一人前ではないのだろいうな・・・と最近思います。必要な事は「正しい評価」かどうかよりも、トップマネジメントが真剣に部下の仕事を「見ている」という姿勢と公正さなのだと思います。それがなければ「一人前になった人材」はその企業から離れていきます。

                                                        (2012年03月29日)

図ー技能系正社員の一人前の水準
図87
図ー一人前になるまでの平均年数
図88

(独立行政法人 労働政策研究・研修機構  2012年03月28日発表)
■念願の日本一?あべのハルカス近鉄百貨店開業前倒し

 あべのハルカス 近鉄百貨店は2013年夏に前倒し開業

  日本国内で一番高いビルは1993年に開業した「横浜ランドマークタワー」で296.33mです。その次に高いのがネーミングライツ売り出しで話題になっている泉佐野市の「りんくうゲートタワービル」で256.1m、その後塵を拝してしまったのが大阪市南港にある「WTCビル」です。府と市が張り合って高さを競い合ったというという逸話は今となっては笑い話のようなものです。

 あべのハルカスは300mと国内で最も高いビルとなります。全面開業は2014年ですが、近鉄百貨店が先行して2013年夏に開業するようです。梅田の阪急百貨店本店は2013年にずれ込むだろうと噂されていましたが、2012年の11月に開業するようですから早期の陣取り合戦に参入する狙いでしょう。10万平米の売場面積に1日12万人の来館者を見込んでいます。

 オフォイス部分も6割埋まっているという事で,完成すれば台風の目になるかもしれません。

 スカイツリー634m 関西に高いタワーが建たない理由

 東京地区内で話題のスカイツリーは5月22日に開業します.関西のタワーは100m台と高くない理由として、生駒山や摩耶山の山頂にあるでんぱとうでカバーできるので平地に高い電波塔が必要ないのだということです。大阪府下南部には平野が拡がっていて,電波塔もぽつんと建っていますが、電波の障害になる高い建物があまりないことも不要な理由かも知れません。

 放送局からの使用料収入が入らない展望台だけの高いタワーは採算に合わないそうです。

 高層ビルとか高い塔にはマニアの方がいてデータを集約されているサイトも多いですね。
 
 高いところに登りたい人の気持ちがわからないので、スカイツリーも上海の風景のコピーに見えて仕方が無いのですが・・・。

 近鉄の日本一は2001年のバファローズ最期の挑戦ではたせなかった悲願なので、感慨深いものがあります。

                                                (2012年03月28日)
(あべのハルカス 商業施設の概要)

・百貨店全面開業時  10万u  隣接する別館「hoop」「&」を合計すると12万8,000uとなる。

 百貨店コンセプト=「新しいモノ、コト、ヒトとのい出会い」
 ターゲット=フルライン、フルターゲット
         主力のアクティブシニア層+40〜50代ミセス,OL  さらにヤング、子育てファミリー

・専門店=名古屋の近鉄パッセの進化形をイメージした専門店100店舗(1万u)
       他にキャラクターショップ、家具、文具店などを導入     百貨店:専門店の比率は6:4
・時間消費型施設として日本最大級のレストラン街(42店舗 1万u)子供向け屋外遊戯施設、料理教室と連携した台所用品売場など設定
・その他、NPOや大学の活動スペース、旅行サロン、お稽古カフェなど
                                                        (3月29日 繊研新聞 より)
■半信半疑の日本経済回復〜日経平均株価の上昇

 日本経済は緩やかな拡大基調へと観測する投資会社

 投資ファンドである、日興アセットマネジメントが発表した日本経済のこれからの動向は穏やかな回復基調にあるとしています。日経平均株価は上昇にある好位置にあるそうです。

 「国内外の景気回復期待や、日本銀行による追加の金融緩和およびそれに伴なう円安の進展などを追い風に、日本株式は堅調な推移を続けている。足元の日経平均株価は約1年ぶりの高値水日経平均株価と価格帯別累積売買高水準となっており、相場の基調の強さがうかがえる。また、価格帯別累積売買高から見ると、最近の上昇によって、日経平均株価は更なる上昇に向けて好ましい位置に来たことがわかる。」

 景気全般としては、昨年10月から12月の四半期の実質GDPはマイナスとなったものの、設備投資が増加に転じていること,個人消費が堅調なことに加えて,アメリカの景気回復基調そしてこれから本格化する復興需要など先行きの見通しは明るいとしています。欧州危機が未解決なことや中国のバブルの動向など不安要因はありそうですが、タイの洪水によって落ち込んだ生産の回復がはずみになって生産に躍動感がでています。
 震災により手控えられておいた設備投資が実行されたことも上向きの気分を増幅しているようです。超円高が普通の円高に回復したことも好影響を与えています。

 海外の景況はアメリカだけで無く、中国やドイツなどでも改善傾向にあるといいます。また、 国内の雇用情勢も復興関連を中心に求人増が続いている為改善傾向にあるようです。

 海外投資家の日本株の買越額についても今年に入って回復していると指摘しています。同社の資料で面白い傾向がでています。東証一部銘柄の経常利益の合計はリーマンショック前(2003年〜2007年)は過去最高益を更新していました。それは2000年のITバブル期よりも多く、89年前後のバブル期よりも多かったのです。リーマンショック後の2008年には大きく落ち込みましたが、落ち込んだといわれる2011年の予想数値はそれでもバブル期やITバブル期よりも多かったのです。・・・・今、バブルの時ほど景気の良い実感はありませんよね。

 東証一部上場企業の経常利益は回復しても、その恩恵は実感されない・・・・悪くなったときはダメージが直撃するので,恩恵があったのだなあと思うのですがね。

 震災、タイの洪水、欧州危機で落ち込んだ分が上乗せされ、景気は上向きに見えています。その為、投資会社は慎重な言い回しながら先行きの見通しをポジティブに語っています。(まあ、それが商売ですからね)

 これで消費税の増税は加速するでしょうね。零細企業にとっては社会保険料と決算後の消費税納税はこたえます。例え一時的に景気が上昇しても下降局面になると、持ちこたえられない中小企業が多くなるでしょうね。

                                                            (2012年03月27日)
■福岡に起こりつつあるミニバブルの予兆

 不動産へ流れ始めた資金の動き

 本日の日本経済新聞地方経済面では、福岡でファンドによる不動産投資が活発化していて、ミニバブルの予兆があるとささやかれているそうです。天神の商業ビル「VIORO」がREITに101億円で買収されたそうですが、その利回りが4.7%と大阪梅田並みの低水準だったことが話題になっているそうです。

 利回りが高いということは人気が無いということを示しています。リーマンショック後福岡の不動産市況では8〜9%の水準にまであがっていたのですが、今が買い時と考えるプレイヤーが増えると利回りが低くても売れるのです。

 九州新幹線が開通し、福岡駅の商業施設が話題になっているので集客力が高まっています。「福岡は東京以外の分散投資がを考えたときに選ばれる街」といわれていまうし、東日本は少しリスキーなので福岡に集中しているのかも知れません。(これから東北はは狙い目だとは思いますが)

 東京のファンドが開発型のSPC設立に乗り出すらしいという噂が飛び交い、リーマンショック前のファンドバブルの時の雰囲気に似てきたという地元の声が紹介されています。

 博多リバレインの専門店街「イニミニマニモ」18億円で東神開発が完全取得

 島屋の専門店運営会社東神開発が、信託受益権を折半していたリートの持ち分を買取、、近く大規模改装するようです。03年に比べ稼働率が71.9%となり3割減の売上も、「大規模改装すれば集客の回復が見込める」と判断し、完全取得を決めたようです。
  博多駅への進出に意欲を示していた島屋さんの執念でしょうか。

 「イニミマニモ」はかつての「スーパーブランドシティ」です。大丸で一時代を築いた長沢氏の遺産ですね。向いにあった福岡玉屋があったり、昔は賑わいのあった地域ですので、何とか再生して欲しいと思います。

                                                     (2012年03月26日)
■関西への企業拠点誘致の決め手は自前の電源確保

 震災後の変化

 昨年の震災以後、東京の企業が一時的に関西に拠点を移す動きがあったようですが、現在は落ち着いているようです。原子力発電所の稼働が停止したための電力不安だという説もありますが、真偽の程は定かではありません.一時のパニック状態から落ち着いて、一時的な避難からじっくりと先を考えた立地戦略の検討に入っているのだと思います。

 首都圏の震災のリスクを背景に、日本生協連合会は物流拠点を関東だけで無く,関西にも設けます。またビル管理会社の拠点も関東と関西に設けるという動きが報道されています。
 顕著なのはサーバーを設置するデータセンターの分散化です。データセンターがストップしてしまうと企業活動が立ちゆかなくなります。

 一昨日の日経産業新聞では都市型データセンターに特化した京阪神ビルの事例が紹介されています。地価が安い大阪市内では東京の四分の一のコストでデータセンターが建設できるといいます。中心部の都心立地ならシステムエンジニアも通勤しやすいですし、ニーズは高いようです。同社が西心斎橋に建設したビルでは」、免震構造を採用し,地価の燃料タンクには防水壁を張り巡らしています。
 電力不足に備えて、非常用のガスタービン発電機を増強しています。(これに限らず、オフィスビルに発電装置を設置する動きは最近目立っています)

 うめきたを中心とした大規模オフィスビル開発のため。、市内のビル賃料は低下しています。だからこそデータセンターが市内で成立するのです。同社のビルには将来オフォイスビルにも転用できるように窓がついています。

 工場の電力半減

 生産設備でも「無駄取り」といって電気使用量の節約の動きはありますが、石川県小松市の「コマツ」の工場では生産設備の小型化、稼働率の見直しなどで生産応力を落とさず、電力使用量を半減する動きがあります。海外への移転もいいのですが、国内工場は老朽化しておりエネルギー効率も悪いのです。きちんと調べると信じられないほど無駄なエネルギーを使っていた・・・そうです。

 原子力発電所は24時間稼働させなければ電気が無駄になるので高い稼働率が必要でした。そのため、オール電化住宅や産業用の電力料金のディスカウントなどいで無駄に電力を使ってもエンドユーザーの負担が増えないようなしくみになっていたので、これから電力コストが高くなると省エネルギーの技術開発や設備投資が活発になります。CO2排出量も削減されていきます。

 エネルギーも大量に供給することでコストを下げる(?)仕組みから、限られた物を賢く配分することでコストダウンする仕組みに変わっていきます。

 ちまちまとした工夫は日本人にとって得意な分野であるような気がします。(昨日テレビで放映されていたオーダータイムを秒単位で削減して利益率を上げるという日本マクドナルドのやり方は本国のアメリカではとてもできないでしょうね・・・・。そこで稼いだ日本マクドナルドの利益は従業員に還元されなくて本国に送金されるのですが・・・)

 震災で壊れた東北の工場が最新設備で再建されると東北の工場の生産性は飛躍的に高まるはずです。国土の機能分散もすすむでしょうし、これから先は悪いことばかりでは無いよ・・・と思いたいですね

                                           (2012年03月23日)
■輸入食品でよく利用されるのは「小麦製品」「果物」「牛肉」「魚介類」等

 おいしいからという理由で購入されているのは菓子類、乳製品等

 購入率の低い輸入食品は「米」、「米加工品」、「キノコ」などです。購入率が比較的高い「肉類」では購入理由として味よりも価格のウェートが圧倒的に高くなっています。

 美味しいからという理由で購入されているのは「菓子類」「乳製品」「酒類」「飲料」「小麦製品」「茶葉」です。

 輸入食品を購入しないという人は「安全性に問題がある」という理由が多いのですが、一方で「積極的な理由は無い」という回答も多くなっています。今後、国内の食料品の安全性への不安が高まり、かつTPPが批准され関税が撤廃されると,雪崩を打って輸入食品のシェアが高まる可能性があります。

 輸入品のお米を個運yつうしている人は少ないのですが、価格だけで無く、おいしいからという理由も多いというポイントは注目されます。

 (日本政策金融公庫 平成23年度第2回消費動向調査よりデータを引用)

                                                             (2012年03月22日)  

図ー輸入食品の購入経験               図ー輸入食品の購入理由
図91
日本政策金融公庫 20〜70才代の全国の男女2,000人調査(2012年1月1日〜20日)
  
■回転寿司のネタ「マグロ好きの関東人」〜均質化してきたといわれながらも保守的な食の好み

 回転寿司の人気ネタ 関東はマグロ、関西はぶり

 お正月のごちそう食材でも関西は「ぶり」で関東は「サケ」や「マグロ」であったりします。回転寿司のネタについては、「イカ」も東と西で好
みが分かれるようです。食については産地への近接性で何を消費するかがわかれます。

 家計調査で支出を見ると、関東と関西の差が大きいのは「魚介の漬け物」(いったい何?フナ寿司のようなものでしょうか?「くさや」ですね多分)とか「たらこ」「干しあじ」「魚介の缶詰」などが関東で家計支出が高くなっています。
 「あじの干物」は関東では当たり前に日常食ですが、関西の食卓では出現頻度は少ないですね。

 関西で消費金額高いのは「ぶり」の他に「鯛」「いか」「たこ」「えび」「かに」などです。「揚げかまぼこ」も結構、差があります。

 ファーストフードに近い回転寿司でさえ、地域の好みの差は結構大きいなのですね。

                                                (2012年03月21日)
図ー普段多く食べている回転寿司のネタ 2012年 マルハニチロホールディングス調べ
図92
図ー1世帯あたり年間の品目別支出  家計調査2010年 総務庁調べ

図93

■心斎橋筋商店街にデザインルールを

 銀座商店街への出店者必携の「銀座デザインルール」

 現在発行中の「大阪人」〜大阪の名所今昔を見て、心斎橋筋商店街の劣化ぶりにため息が出ます。東京の銀座に比べて「庶民的」とか「親しみやすさ」は大阪の街の特徴なのですが、「コテコテ」とか「猥雑さ」というのは千日前あたりに封印されていたものが道頓堀を侵食し心斎橋筋まで同質化してきています。

 心斎橋筋で「元気がある」のは「余所者」であり地元から生まれた、地元に根をはやしたものではありません。新しい物ものを受け入れることは街にとってプラスではあるのですが、街のルールを示しておかないと、かたちのない資産が食いつぶされるばかりです。

 東京銀座にも外資系のファストファッションの出店が盛んですが、銀座商店街は出店時のデザインルールを明示しています。

 何もかも東京の真似をする必要はありませんが、この姿勢は学ぶべきでしょう。

 昔お会いした心斎橋筋商店街のオーナーさんは結構プライドを持っていたのですが・・・・・。
(2013年には心斎橋で景観協定が結ばれました。地道な努力の結果です。快挙をたたえて、失礼をお詫びいたします)
 
銀座デザインの方向性

色彩
「ファサードの色彩が個性的である事は良いのですが、周囲との不調和をうむ、際立ちすぎる色の使用や組み合わせは避けて下さい」

スケール感・デザイン
「特に歩行者にとって歩きやすい快適なスケール感に配慮して下さい」

照明
「明るすぎる物。点滅の激しいもの、信号色と紛れがちなものは望ましくありません.照明の色味・照度・輝度などへの配慮を行って下さい」

銀座ならではのデザイン
「地域らしさを考慮し、銀座でしか見られないデザインの工夫をお願いします」

匂い
「好みの差が激しい匂いをまくような自己アピールは控えなければなりません」

業種・用途について
「パチンコ、カラオケ、納骨堂、ギャンブル場外チケット売場、ディスコなどの進出はひかえていただくようお願いしています」
 ディスコ?って

建物ファサード

「通りを歩く人に対して閉鎖的、威圧的、拒絶的にならず、楽しく歩けるような開口部、壁面、ショーウンドウの作り方が望まれます」

                                          (2012年03月19日)
■開業後1年間の現状〜大阪駅、博多駅、あべの
 
 集客装置と店舗MDのミスマッチが売れない原因

好調を伝えられるルクアは「平日の昼はベビーカーを押す若い母親や、40代、50代の女性客が多く、8階のコスメゾーンや生活文化雑貨が集客装置になる9階が集客装置になりシャワー効果をを生み出している」と報道されています。

 目標を上回っていると好意的な評価が多いようですが、集客には成功していてもそれに見合う売上とは思えません。平日に集まる若い母親やシニアミセスが飲食や雑貨小物以外に購入できる店はありますか?先日の記事に書いたように書店やホールのお客様とファッション店のお客様は全く、違います。

 集客は手段であって目標ではありません。専門店ビルは初年度にアドバンテージをとっておかないと「うめきた」の開業や、周辺施設のリニューアルでその勢いは失われます。逆に三越伊勢丹は初年度は悪くても伊勢丹のファンを固めていけば、阪急、阪神とは違った存在感を高める事が出来ると見ています。

 新聞記事はバックミラーです。過去に起きたことを正確に映し出してくれます。これから起きることは新聞には載っていません。たとえ日経新聞を読んでも先のことはわかりません。(14日に書いたガイアの夜明けの間抜けなコンテンツを見てもわかります。新聞というメディアの持っている本来の特性から今の勢いをはやし立てることしかできない宿命があるのです)

                                            (2012年03月16日)

表ー開業1年間の見通し
図94
 維研新聞3月16日号記事をもとに他は当社調べ
■京阪神の中で肥沃な市場はどこなのか?

 芦屋、西宮、宝塚の課税所得が高い

 関西では、やは芦屋、西宮、宝塚などの阪神間が飛び抜けています。その他では、箕面市、豊中市、吹田市の北摂地域と奈良県の生駒市が高くなっています。
京都府精華町が高いのは学研都市の影響でしょうか。

 このあたりのエリアは百貨店が商圏としておさえているエリアです。逆にいえば、このエリアを商圏にしていない郊外百貨店は苦しいと思います。業態転換が必要でしょうね。JR大阪三越伊勢丹が苦戦しているのは、この地域を競合の阪急、大丸がしっかりとおさえているからです。

 課税所得としては捕捉されにくい自営業者を加えた指数として、労働人口に占める「役員」+「雇用者のいる事業主」の比率の分布を見ていくと、京都市内の東山、中京、下京、北、上京、左京区などの市内中心部がクローズアップされます。
 大阪市内でも、中央区、天王寺区、西区などが飛び抜けています。阿倍野区、福島区も順当に上位にランクインします。

 市内では決して豊かだとは思われていない、東成区、生野区、浪速区でも人を雇ってビシネスをしている人は多いようです。単純に課税所得だけでは市場として豊かであるかどうかは識別できません。

                                                        (2012年03月16日)
 

図ー納税者1人あたり課税所得(2009年)
図95

図ー労働人口に占める「役員」「人を雇っている事業者」の比率(2005)国勢調査
図96



■顧客満足度上位企業応50社にランクインしていない有名企業の事情

 百貨店でランクインしているのは伊勢丹、阪神、大丸

 かつてのトップ企業「三越」や老舗の「島屋」が上位にランクしていません。幅広い年代に聴取した調査では支持率が薄まるのかも知れません。高齢者中心に聞くと高い満足度があるはずなのですが・・・・。

 ホテルは群雄割拠

 ホテルでは「帝国ホテル」がトップです。「スーパーホテル」や「ドーミーイン」といったビシネス特化ホテルの満足度も高いようです。ビジネスホテルで積極的に多店舗展開しているあのホテルは、経営者のキャラクターの奇抜さだけでなく、立て付けが悪くて室内外の音が丸聞こえという評判も評価を下げるポイントでしょう。
  ラグシュアリーな外資系ホテルはおそらく、利用者自体が少ないのでしょう。

 通信販売系の企業が上位に

 今回、あらためて通信販売,WEB通販の企業の高評価を再認識させられました。オルビスについでアマゾンが上位にランクインしています。有名な巨大ショッピングサイトは50社にランクインしていません。一度購入するとしつこくメールが送られてくるので、私は拒否リストにいれています。「関西の芸人」にも似た、頭の悪そうな押しの強さ一点張りがこの企業の強みでも有り、弱みでもあります。
(ちなみにカード会社の評価ではJCBやVISAを押さえて楽天カードがトップです。楽天リサーチを使って調査したのでは無いでしょうね)


 プロ野球の球団も「北海道日本ハムファイターズ」「阪神タイガース」「福岡ダイエーホークス」がランクインしているものの、あの球界の盟主は影も形もありません。宅配便では「ヤマト」が入っていてもあの企業は入っていません。売上高と満足度が必ずしもリンクしていないということですね。不満を感じながら利用しているお客様は将来逃げていきます。残念ながらランクインしていない企業は、一層精進されることを望みます。
 そういえば銀行などもまったく姿が見えませんね。
                                               (2012年03月15日)

図ー顧客満足度上位50社
図97

2012年1月全国のインターネットモニター  31,300人から各企業の利用者に聴取
サービス産業生産性協議会の調査による
■京都水族館3月14日開業

 水族館オープンを報道する記事

 内陸にある水族館としては国内最大級の京都水族館(京都市下京区)が14日、オープンした。イルカやペンギン、オオサンショウウオなど約250種、1万5千匹を九つのゾーンに分けて展示。開館前に約1千人が列をつくった。

 JR京都駅から西へ約1キロにあり、延べ床面積は約1万1千平方メートル。運営するオリックス不動産は、環境をテーマにしたワークショップなどの催しも企画しており、初年度で200万人の来場者を目指す。通常の営業時間は午前9時〜午後5時。問い合わせは同館(075・354・3130)へ。
  朝日新聞

 内陸の水族館としては国内最大級の京都水族館が14日、下京区の梅小路公園にオープンした。開館前から大勢の来場者が入り口に並び、初日は約8500人が訪れた。見学した人からは「海から遠い京都市で大きな海洋生物が見られるのはうれしい」と新施設を歓迎する声が上がっていた。(横田加奈)
 開館に先立ち、玄関前で記念式典があり、門川大作京都市長が「歴史あふれる京都で自然との共生が学べる新施設が誕生した。来館を通じて、多くの人に命の大切さを感じてもらえれば」とあいさつし、関係者でテープカットした。
 水族館前には開場を待ちきれない1000人超の人が列をなし、定刻を10分繰り上げての開館となった。
 250種1万5000点を展示するが、やはり最も多くの歓声を集めたのは、屋外プールでのイルカパフォーマンス。イルカが大きく口を開けて泳ぎ、どのように歯が並んでいるかを観客に見せたり、飼育員の合図に合わせて4頭が息のあったジャンプを披露したりするたび、観客から大きな拍手がわき起こった。
 子どもを連れて訪れた左京区の主婦吉田歩さん(31)は「近くに魅力的な施設ができてうれしい。子どもが楽しめる仕掛けもたくさんある」と話し、長男の琉聖君(6)は「ペンギンもかわいかった」と喜んでいた。
 鴨川に生息することで知られるオオサンショウウオを展示するコーナーでは、オオサンショウウオの体臭と香辛料の山椒(サンショ)の匂いを嗅ぎ比べられる装置を用意。来館者は楽しみながら名前の由来が山椒にあるという豆知識を学んだ。また、アザラシのいるチューブ型水槽なども人気だった。
 施設を運営するオリックス不動産(東京)の山谷佳之社長は「初日から本当に大勢の人にお越しいただいた。川の上流から下流、そして海まで、様々な水生生物について関心を深めてもらえれば」と話した
。  読売新聞

 内陸型の水族館としては池袋のサンシャイン国際水族館 5,700u 70.7万人(09年)、エプソン品川アクアスタジアム 11,690u 82.23万人(09年)、があります。東京スカイツリータウンには京都水族館と同じオリックス不動産が運営する「すみだ水族館」が開業します。

 『すみだ水族館』は、お客さまが展示やアクティビティを通して、“水中風景の美しさ”と“生命の躍動”を体感することで「感動」を覚え、新しい「発見」をし、安らぎと新たな活力が生まれる施設、好奇心や「知識」への欲求が刺激され、生命と環境の関係を学ぶきっかけを作る施設を目指しています。そして、エンターテイメントと教育的要素を併せ持つ水族館の特性を生かし、その新しい可能性を探るような展示やアクティビティを展開し、新たな価値を提供してまいります。

【『すみだ水族館』施設概要】
施設名称 すみだ水族館 (英語表記/SUMIDA AQUARIUM)
オープン予定 2012年5月22日
所在地 東京都墨田区押上一丁目1番2号

開設場所 東京スカイツリータウンR」西街区 5〜6階
延床面積 7,140u
総水量 約700t


 京都水族館は、地元での反対運動などのしこりは残るでしょうが、地域に愛される水族館になって欲しいと願います。京都には大阪神戸からの日帰り観光客が多いのですが、広域からの集客は難しいかも知れません。
 年間パスポートはお得ですからデートスポットになるでしょうね。


                                                    (2012年03月15日)
■昨日の「ガイアの夜明〜活況海外品ネット通販」に見るあぶない誤解

 素人がいきなり始める商売に群がる怪しい誘い

 昨日の「ガイアの夜明け〜活況海外品ネット通販」は円高を利用して海外品を輸入してネット通販で儲けましょうという趣旨の番組だったと思います。その事例として財閥系の企業グループの互助会に通販事業が取り上げられていました。このような大企業の社員ネットワークを相手にした通販は結構利益があがっていました。職員に対して市価より安く提供できればある意味、入れ食いで商品がさばけていたのです。
 
 その事業の責任者は元金融機関の為替ディーラーの方。その領域ではプロだったのでしょうが流通・小売業でははっきりいって素人です。

 売上不振を回復するために楽○市場に出店し、WEB通販に乗り出します。ところが地味すぎて売れない・・・・。そこで楽○のコンサルタントを受けてページを改善したら売上が激増したというお話でした。・・・・・・販売ページは楽○を始めとしたWEB通販では定番となって居る煽り満載のページ構成・・・。
 その決まり切ったパターンは。、例えばこんな風にネタにもなっています。

 http://portal.nifty.com/kiji/120123152930_1.htm

 そして、価格訴求。大幅な割引訴求。確かに一時的に注文は増えますけれどね。私が今までに取材したケースでは、ネットのランキングの上位に来る事業者だけが売れるので、価格のディスカウントを求められ続け、体力が続かなくて楽○市場からは撤退したという話が多かったのですが。そのままですね。すれていない財閥企業のプライドだけは高い素人が翻弄されているようで、とても気の毒で不快な映像でした。

 中国買い付けツアーの落とし穴

 同じ番組で、個人でWEB通販を始めとうとする人を対象にし中国で雑貨を直接買いつけるツアーが紹介されていました。オリジナル商品もOEM生産してくれるそうです。これも問題が多い内容です。

 中国で商品開発をしている商社マンによると、今の時点で中国で商品を製造をあらたにお願いするのは無理だそうです。また、近年改善されたとはいえ製造品の歩留まり率は悪く、日本の工場の感覚で考えるとOEM商品は不良品の山になる可能性が高い。検品や管理を行う商社がはいらなで個人仕入れとなるとそのあたりはもっとルーズになるようです。

 買い付けとはいいながら、おそらく沢山の商品を仕入れているつもりで小売価格で買い取りしているのだと思います。たしかにそれでも国内の価格よりは安いのですが、「買い付けツアー」とか「OEM生産」とかいう表現は極めて誤解を招きます。

 極端に言えば脱サラをしたい素人相手の怪しい商売でといっていいでしょう。

 もちろん、これらのシステムで成功する人はいるでしょう。もともと商売の感覚があり、幸運にめぐまれた人は・・・。

 日本で最高の経済新聞がバックに着いたテレビ番組なのですから、もう少し誤解をまねかない表現をしないといけません。

 (世の中でだましやすい人種はプライドが高くて、儲けたいという欲望があからさまに強い人ですね)

                                                              (2012年03月14日)
■梅田・難波・難波百貨店戦争の余波?〜郊外店、地方店の動き

 大阪周辺店のサバイバル

 新聞の地方経済面(日経2012年2月24日)に梅田・難波の百貨店競争余波という記事が掲載されていました。
別に梅田.難波の「百貨店」の影響ばかりでは無いと思いますが、小売店が変わっていく、ひとつの節目の時期なのでしょう。

・「近鉄枚方店 閉店(2月末)」   かつては三越がありサティが元気だった枚方駅周辺のポテンシャルが落ちています。
 沿線の「くずはモール」の改装が響いているのでしょう。
・「近鉄桔梗が丘店 百貨店からの業態転換」食料品は近商ストアに移管し専門店のテナントを導入。婦人服、婦人用品だけに縮小するよう
 です。他社の郊外の小型店はこの形に変わっていくでしょう(系列の食品スーパー+専門店テナント)。百貨店の名前で利益を取れる小規 模な売場をブランド化できるかどうかで、その先の生き残りが問われます。
・「近鉄草津店の一部に外部テナント誘致」
・「ヤマトヤシキ加古川店が東急ハンズの期間限定小型店を導入」236u、3,000品目を揃えて、5月31日まで展開。
  東急ハンズはこれで市場調査をすませて、競合の姫路駅ビルに出店します。
・「大丸山科店バレンタインや母の日などに期間限定で地元の菓子店に出店させる」
 欠けている商品やサービスをテナントで埋めるのはいまや珍しいことではありません。単に場所貸しでの賃料稼ぎでは無く、百貨店ならではのノウハウ(?)でテナントとともに「売る」姿勢が必要です。

 京都・神戸は地元らしさで独自色

 大丸神戸店は「旧外国人居留地」の路面店に「DIESEL」(イタリアの高額カジュアルブランド)を2月25日に開業しました。店内の食料品売場には洋風の食材を集めた売り場を新設し、和洋菓子売場には神戸の人気パティシェのブランドを強化し、神戸らしさを強めます。
 神戸ハーバーランドの神戸阪急は昨日閉店しました。

 京都では島屋が伝統産業関連企業と共同開発した商品を全フロアで展開する催事を6月上旬に開催します。大丸では主要顧客である60才代の女性を対象とした「マダムセレクション」をオープン。椅子やテーブルを設置し、買い物の合間にくつろぎやすくしたそうです。(おそらく本当の主要顧客は60才代では無く70才代ですね・・・・)
 大丸のケースは「京都らしさ」都は関係ないですが、地元のお客様をしっかり掴もうということでしょうね。

 大阪の郊外の新金岡に立地する「しんかなCITY」がこの3月で閉鎖されます。15,787uとちょっとした規模で最期の時期の売上は15.3億円だったそうです。地下鉄御堂筋線の南端が大阪市内のあびこから堺市の中百舌鳥まで延伸された4年後の1992年に開業した、南海電鉄が経営する専門店ビルです。中百舌鳥は副都心として「そごう」と「西武」が出店あらそいをしていました。堺市内では南海本線堺駅に「西武」出店の噂もありました。南海電鉄も沿線に専門店街「CITY」の展開を計画していました。

 建物だけは立派なのですが・・・撤退はやむを得ないでしょう。難波駅周辺への集中投資が必要ですし、沿線の人口は高齢化し市場は縮小していますから。
 沿線の北花田のイオンモール(北花田阪急)開業の影響もあるのかもしれません。

                                                         (2012年03月12日)
■地元客の利用が多い「セントレジスホテル」

 稼働率7割逆風の開業1年

 大阪市中央区本町に2010年10月に開業した「セントレジスホテル大阪」はアメリカのスターウッドホテル&リゾートの最高級ランクのホテルです。客室は160室。外国人観光客や富裕層を顧客層としており、1泊69,000円からの宿泊料金額は日本国内としては最高レベル。最上階にあるロイヤルスイートの広さは197m2で1泊80万円だそうです。
 船場地区には国際クラスのホテルがなかったので、地域の核として期待していました。

 開業後1年の昨年10月の新聞インタビューでは、稼働率は目標の8割に達していなくて7割。外国人客の割合は1割、半数が近畿2府4県で3割が関東のお客様だそうです。

「半数が近畿2府4県からで、残りの3割が関東方面。地元に愛されるホテルを目指す意味で関西の利用客が多いことを歓迎しないわけではないが、人口や客単価の面から考えても関東方面の客を増やしたいし、増える余地はあると考えている」(産経新聞2011/10/5)

 地元客、間際の予約などが増えて客単価が下がっており、売上は開業前の想定を下回っています。(ネットで調べると最低1人、9,500円からなのでラグジュアリーホテルとしてはお得ですね)

「開業直後はメディアへのPRが中心となっていたが、現在は人員も不足がちだった東京の営業部門を増員し、東京都内の企業などへ直接アプローチして販売を強化している。ホテル内を見学してもらう視察ツアーなども実施し、雰囲気を体験してもらう機会も設けている。あとは宿泊客の口コミで評判が広がるよう、サービスの質などを実感してもらうしかない。それには、一人ずつ顧客のニーズ(要望)などを理解し、それに見合ったサービスするというセントレジスらしさが必要。宿泊客のほとんどがスタッフと顔見知りで、家に帰ってくるという感覚で当ホテルを利用してもらう。それが理想だ」(産経新聞2011/10/5)

 このクラスのホテルは東京でも経営は大変だと思います。アジアのラグジュアリーホテルに比べて決して高くないですし、設備もそれに見合った、ものですからアジアの富裕層が最優先のターゲットではないかと思います。(中国人の団体客はだめですが)

 ホテル内だけで完結するのでは無く、心斎橋やなんばの商業地や、奈良や高野山、神戸にも直結しているので魅力はあると思います。

 稼働率を上げるための安売りは可能な限りやめたほうがいいでしょう。

                                                    (2012年03月09日)
■ルクアからお客様をとりもどす方法

 見せかけの賑わいが有効な業種とそうでない業種

 トップページのコメントにも書きましたが、大阪駅のルクア9階のルクアホールで販売イベントを行っても全く売れないそうです。かなりお安くしても人が会場にはいらない・・・・。書店が入っていて、フロアでは人が回っているのに客層が違うのでしょう。人が多いからといって自社のお客様が多いとは限らないのです。(余談ですが、繊研新聞が選ぶ「百貨店賞」に選ばれた梅田大丸は「ポケモンオーサカ」が子供達、「ABCクッキングスタジオ」が主婦層?本当に?パウダールームがOL層を集めるなど幅広い世代の入店増につながる施策が評価されたとのこと・・・・・梅田大丸の課題はこれらの集客施設で集めた人達を自店のお客様にできるかどうかです。確かに入店客は増えました・・・・さてそれからは?)

 ルクアのファッションが売れているのはそれなりの規模を持ったセレクトショップが自社の顧客を集めて売っているように、それぞれの店の顧客の中ぐらいの固まりが集まっていて、全体が大きく見えているのです。雑貨や飲食は人が集まればある程度売上が確保できます。
 テナントも話題性があり人が集まる施設で条件があえばそちらを優先して出店します。又、お客様も、ものを買うかどうかは別にして、賑やかな方に流れます。

 駅から回遊させるには

 人が来街する「目的」施設・機能の性格を見極めることです。専門学校、オフィス、病院、住宅・・・これらを訪れる客層がベーシックな顧客になります。加えて、その客層に応じた特徴のある施設を配置できればいいでしょう。
 街として回遊させるなら路面店ならではの特徴を活かすべきでしょう。大きく余裕のある空間をとれる店舗、ターゲット層以外の買わないお客様がまぎれこまないノイズの少ない商業集積、ターゲットの世代が起業できるインキュベーションショップ、ゆっくりすごせるカフェ、工房等々、駅の閉鎖空間の中ではできない事を、路面でも地下街でもいいのですが、中くらいか小さい固まりに絞り込んだ街区を配置することです。

うめきた先行開発区域グランフロント大阪は大阪はほぼそんな施設になっています  2013年5月補足

 別にターゲットはヤングだけでは無いのです。例えば、阪急三番街は駅ビルであっって、幅広い利用客がいます。エレベーターでつながる阪急17番街がある事で、相乗効果で阪神間のおばちゃんに支持されていました。阪急17番街のサンモトヤマ(輸入服飾雑貨)や伊達(西班牙珈琲)などが入った狭いフロアは阪神間の文化のエッセンスが集約され、少し離れているがいったいとなった阪急三番街にもその匂いを降り注いでいました。

 今は誰も語らないこの関係は西梅田のハービスの開業で終わったようにも思えますが、いまでもその残り香があります。

 ルクアに決定的に欠けているのは「文化」なのです。

  (続く・・・かも)

                                                           (2012年03月08日)
■駅ビルに集まった人を周辺施設が吸引するための対策

 人の流れをの変化予測する視点

 以前、大阪駅の開発前に「ハフモデル」で影響度合いを評価したレポートが発表されていました。「ハフモデル」については店舗の魅力を床面積だけで測っていいのかとか、駐車場の台を織り込むべきとか、業態の魅力度を反映すべきとか様々な批判がありますが、郊外店同士の商圏の境界線を求めるには結構役立つ道具です。
 地図情報システムのおまけにもなっていてメッシュデータを使った簡便な方法が沢山出回っているのは、数式を使っていてなんとなくもっともらしい解釈が出来るからでしょう。

 都心の徒歩圏内の店舗間の吸引力の比較に「ハフモデル」が使えないかと考える人もいるようです。
 特に都心の店舗の狭いエリア(徒歩圏)の中での人の流れの変化は、単独の店舗の床面積では説明できない要素が多すぎます。精緻にモデル化使用とすれするほど「鉛筆をなめて」補正しなければいけない羽目になると断言するのは・・・かつて湊町で悪戦苦闘してものにならなかった苦い経験からです。

 都心に来街する人は大きく2つに分けられます。「用事があって来街する人」と「用事が無くて来街する人」です。用事が無い人も実は「暇つぶし」とか「買い物の下見」「遊び」とかいった目的はあります。

 かつての繁華街は「用事が無い」人も楽しめる場所でした。百貨店もそうですね、平日の閉店時間も早かったですし、OLさんが会社帰りには利用できないでわざわざ休日に利用するといった「用事があって」忙しい人向けの店では無かったのです。

 もちろん遊びで来街する人や、わざわざ出かける購買行動(アウトレットとか)は残っていますただし、今の都心部の人の動きは「用事がある」場所間を人が移動し、その移動の導線上で買い物を楽しむというスタイルです。だから駅ビルの力が強くなっているのです。

 駅ビルに集まった人を周辺の商業施設が吸引するまたは駅ビルに取られた顧客を奪い返すには・・・

 J博多駅でも周辺の既存の商業施設は集客の恩恵にあずかっていないようです(昨日の記事参照)。大阪梅田ではJRステーションシティの集客力が周辺施設にも影響を与えているといいます。

 周辺施設が駅ビルから顧客をどう奪い返すか・・・梅田の事例で少し考えてみましょう。(読者サービス週間です)

 ポイントは5つ

 1.基本的に駅は目的地では無い(流動者は駅を経由して何かの用事のある場所へ移動します)
 2.駅は基本的には長時間の滞留を望まない(昔に比べて改善はされましたが限られたスペースを有効に使うためには早い回転が必要) 
 3.大阪の場合「JR」の駅には色がついていない〜機能以外のイメージがない あるいは駅の中でしかイメージを拡げられない
 4.施設の顧客では無くテナントの客である
    有力テナントは「今の勢い」で出店場所を選択している=勢いに翳りがでれば他の差別化提案で引き抜ける
 5.駅空間は不特定多数の人が入り乱れる空間です(だからダサイ人を排除する伊勢丹のようなお店は苦戦します)

 これらのポイントをベースに「ルクア」対策を考えてみましょう。(続く)

                                                         (2011年03月06日)
■地方都市の最近の変化〜地価動向報へのコメント
 
 土地勘のある地方都市の最近の動向をレポートからおさらいしてみました

 ポイントは

  ・中心市街地に動きが戻っている(富山、金沢)
  ・不動産としての評価と小売業のポテンシャルは必ずしも連動していない〜賃料が上がってもその立地が将来伸びるとは限らない
  ・立場が違うと事実の見え方が異なるので、その方の立場視点を考慮して多様な視点からの情報収集が必要

といったところでしょうか。
図98

地価LOOKアップレポート 地方都市板からの抽出
主要都市における高度利用地地価動向報告〜平成23年第4四半期〜

                                                                 (2012年03月05日)
■JR博多シティ開業1年目は目標を大きく上回る売上げ

 開業1年間で想定の1.5倍5340万人の来館

 昨年3月3日に開業したJR博多シティは「博多阪急」380億円(目標比3%増)、「アミュプラザ博多」356億円(目標比19%増),地下飲食街14億円の合計750億円の売上を上げました。

 「アミュプラザ博多」の売上構成比は衣料品身の回り品33%、東急ハンズを含む雑貨30%、飲食食品33%と飲食街が好調だったようです。来店客の8割が女性。20代26%、30代20%、40代17%、50代14%、その他23%ろ若い年代が中心とは言え幅広い年代層を集めています。
 博多阪急は食品が27%、雑貨・身の回り品が24%のシェアで衣料品はヤングの支持はあったものの苦戦と伝えられています。全体的に売上げ好調とはいうものの博多大丸、岩田屋などの地元百貨店の牙城を崩すまでにはいたっていないようです。2年目の今年が勝負でしょうね。

 福岡都心部への入り込み来街者数が1日29万人から32万人へと増加

 福岡大学が2月29日に発表した調査では、JR博多シティ開業後福岡都心部への平均来街頻度が月1回増加しており、都心部への入り込み人数が増加しています。特に開業前と比べて福岡都市圏外からの来街者の比率が増加し、長崎県、熊本県、中国・四国居住者の来街が増えています。それらの人々は天神では無く博多駅とキャナルシティへの訪問率が高くなっているようです。

 天神と博多間の人の流れでは、天神から博多は1.7万人から3.3万人(1日あたり)と1.6万人の増加になのに対して,博多から天神へは開業前は7.0万人だったのが6.6万人と4千人減少しています。

 それでも天神の滞留者は27.1万人から30.3万人と増加しています。博多滞留者は4.2万人から14.3万人へと10.1万人増加していますが、まだまだ天神には及びません。

 品目別の購入場所の移動

 外出着を天神の百貨店ので購入していた人の11.2%がJR博多シティにスイッチしています。

 日用雑貨を天神の百貨店で購入していた人の18.0%がJR博多シティで購入するようになっています。東急ハンズが強いのでしょうか。

 食品を天神の百貨店んで購入していた人の1割がJR博多シティで購入するようになりました。

 天神の百貨店で外食していた人の22.2%、その他天神地区で外食していた人の1割前後、キャナルシティ博多で外食していた人の25.0%が
 JR博多シティで外食するようになりました。最も開業の影響が大きく現れています。

 〜福岡大学都市空間行動研究所調査から
   http://www.qbic.fukuoka-u.ac.jp/article/2012/20120229ns/20120229ns.pdf へのリンク

 博多阪急が地元に定着するまでにはまだ時間がかかりそうですが、幸先の良いスタートを切ったといえます。


                                                   (2012年03月02日)
■和菓子の消費が多い街は・・・〜歴史のある地方都市のまちづくりの鍵

 和菓子の支出が多いのは大都市圏では無く地方都市

 和菓子の支出の上位にランクインするのは金沢や熊本といった歴史のある城下町が多く.神戸や大阪、東京都はあまり多くありません。かつての藩主が茶道を好んだりするとその伝統が継承されるようです。小京都と呼ばれる街が多いようです。
 和菓子屋は製造小売業が半数以上で、その数は近年増加しています。
 地方都市では人口減少と高齢化に伴い地元の需要が減少傾向にあります。その中で、地元向けの販売にとどまらず、地域の文化や特色を意識下特色ある製品を作り出して、地域外への販売を拡大する動きが目立っています。B級グルメの仕掛けよりやや品が良く、歴史性が活かせるといったイメージでしょうか。

 国土交通省のレポートでは、近江八幡市の「たねや」の取り組み、長野県小布施町の栗菓子の事例(株式会社小布施堂他)、松江の「松江。和菓子モダンプロジェクト」(冷凍和菓子の海外輸出)などの取り組みが紹介されています。
http://www.mlit.go.jp/common/000025671.pdf へのリンク

 ようかん文化とまんじゅう文化

 家計調査年報のデータを図化して気がついたのですが、東京や福井ではようかんへの支出がまんじゅうを上回っているのですが、まんじゅうへの支出が大きくようかんを上回る都市がいくつかあります。鳥取、岡山、和歌山、熊本、高知、長崎、福岡など西日本に多いですね。中国との繋がりが深いとかいったことが影響しているのでしょうか?
 松江とか仙台、盛岡ではようかんやまんじゅう以外の和菓子が多く消費されているのでしょうね。

 かつて京都では上菓子屋(献上菓子)と庶民のおやつであるまんじゅう屋、団子屋がハッキリと区別されていたのですが、江戸では上菓子の制限が無く、や飴が行商で販売され庶民の味として「金鍔」や「団子」、「大福餅」「わらび餅」「さくら餅」などの餅菓子が発達したといいます。餅菓子は確かに東京のもにが美味しいですね。

                                                       (2012年03月01日)

図ー都市別 品目別1世帯あたりの1年間の支出〜和菓子(ようかん+まんじゅう+その他合計)とようかん、まんじゅう
図99
(家計調査年報  2010年) 左の目盛りが合計値
 
 2月
■百貨店がeコマースで生き残るためには

 好きな物を売る「ゾゾタウン」の強み

 インターネット通販の市場規模は2009年に6.6兆円と百貨店に並び、2014年には12兆円とスーパーに匹敵するといわれています。アマゾンジャパンの売上高は3,200億円(20101年 通販新聞推定値)、ゾゾタウンで840億円(東洋経済32月11日)、楽天での流通総額が1兆円を超えた(2月29日繊研新聞)ともいわれています。
  スマホの普及など技術的な進化や、SNSなどのコミュニケーションの仕組みにばかり話題が集中していますが、eコマースで成功するための重要な要素として、東洋経済のインタビューでゾゾタウンの前澤社長が語っている4つのポイント「いい商品を揃えること」「その商品を引き立たせるサイトがある事」「集客のための宣伝サイトがあること」「早くキレイな状態で商品を届ける事」はとても示唆にとんでいます。

 「大手企業がECに進出する場合、すばらしいサイトを作り、大掛かりな広告宣伝を行うが、いい商品が集まらず、売れても物流が立ち上がらない」「中小のECサイトはサイト制作にお金を出せず、商品がひきたたない。広告宣伝にもおかねをかけられない」「いい商品とは売れる商品では無く自分たちが愛情を込められるかどうかを基準にしている。好きじゃないものを売ってもいいサイトを作れないし、いい宣伝広告も行えない」(東洋経済2012年2月11日号)

 百貨店がeコマースで失敗する理由

 最近は百貨店として楽天などに出店するケースも増えていますが、基本的に自社の流通網をいかそうとしたので配送体制が整わなかったように、自社の「資源」をも誤ったことが最大の原因です。サイトのデザインや商品写真の撮影にかかるコストは高く、価格競争力で販売する事も出来ません。

 店頭に並んでいる商品を配送できる様な仕組みになって居ないので、店頭の魅力も活かせていないのです。(店頭の画像を流したとしても、その商品は簡単には購入できないのです)

 各社とも、成功しているのは高級化粧品(値崩れしない)か中元歳暮商品が中心でしょう。

 昔からある百貨店のチラシ通販のように、店頭とは違う商品を販売することになります。画面作成に百貨店基準を適用すると高コストになりますし、本来の百貨店商品はもともと大量に売れるモノでは無いのでコストをかけても利益は残りません。

 それでも地方には大型モールでも満たされないし、商品の少ない地方百貨店でも満たされないニーズはあります。買物情報弱者にとって百貨店の商品選択眼への信頼感はまだまだ高いので、視点を変えて購買代行と考えると「ブランド力」を強みに出来ます。地方のうまいもののお取り寄せなど日常的な利用も含めたロイヤリティの形成は可能だと思います。・・・これは楽天の仕組みに載せる話ではありません。量を追ってはいけないのです。プチ外商と考えて下さい。

  世の田舎の賑やかな話題に惑わされてはいけません。・・・といってもスマホが中高年に普及すれば便利なコミュニケーションツールにはなるでしょうが・・・・。

                                                     (2012年02月29日)  
■老舗の奥義に学ぶ〜〜時代を超えて愛される企業の秘密 東京商工会議所のレポートから

 今、注目される老舗企業の経営哲学

 東京商工会議所中央支部が「時代を超え未来に繋ぐ老舗の奥義」という冊子を今月発表しています。2009年から3年間、の調査研究の集大成と言うべきレポートです。老舗企業の経営者に対するアンケートから企業の永続に必要な経営者の考え方やマネジメントの資質をピックアップして御紹介します。

 ユニクロやニトリ、楽天等と行ったグローバル企業に学ぶことも大事ですが、老舗の行動原理を追求すれば突グロ−バルな競争の中で生き残ることもできるでしょう。今老舗で無い企業でもその取り組みが未来の老舗企業を目指している・・・と思われるお客様が(何故か)多いので私も勉強になります。

原本は下記サイトからダウンロードできます。
http://www.tokyo-cci.or.jp/chuo/synergy/index.html へのリンク

 1.「らしさを生み出す」〜「のれんを大事にする」

 老舗企業の経営理念には、ビジネスに対する一貫した考え方が存在しています。特に老舗企業に特徴的なのは「仕入れ先や顧客との関係作り」「生産や販売の技術」に関する言及が多いことです。また「経営理念の共有化」や「次世代への継承」について強い意志があります。培ってきたブランド(のれん、ロゴ)に価値を置き、商品開発や店作りとの整合性を重視します。生産や販売の維持強化の為の業界活動にも熱心です。

 2.「商いを創る」〜長期的、持続的な競争力をつくりこむ

 商品やサービスに価格以外の魅力を持たせる付加価値作りについては老舗でも老舗で無い企業でも同じ意識を持っています。老舗企業は商品やサービスの細部にまで徹底的にこだわります。
 「素材や原材料の特徴を活かした商品やサービスを提供している」「販売時には会社の歴史や商品の由来なども一緒に伝えている」といった物語による差別化は老舗企業が強みとするところです。

 3.「関係作り」〜顧客作り

 顧客との関係作りは老舗・非老舗共に重視しているポイントです。老舗企業に特徴的なのは、「知識が豊富な顧客、要求が高い顧客から学ぶ機会が多い」という顧客に学ぶ姿勢が老舗企業に特徴的な事です。
 「顧客に対し広告等で会社の歴史、商品の謂われ等を伝えている」といったといった物語性の重視も老舗企業ならではの強みになっています。

 4.地域とのつながり重視

 「地域のブランド力が商売に影響している」「地域価値を高めるためのプロジェクトに参画している」「地域社会の一員として、地域での行事や催事に参加している」といった地域とのつながり重視も老舗企業の特徴です。

 調査対象が東京都中央区といったブランド価値のある立地だからという方もおられるかも知れません。

 2010年に経産省の委託で三菱総合研究所がまとめた「地域経済におけるファミリービジネスに関する調査事業」報告書でも地方の地域経済と結びついたファミリービジネス(その多くは老舗企業です)についてまとめています。地域に根ざさない企業は国際社会の競争でも勝ち残れないでしょう。

 余談ですが、グローバル企業の事例にあげた「ユニクロ」は島根県から生まれた企業です。同じ島根出身の錦織圭のスポンサーになったのは彼がブレイクする直前でした。スポンサーが見つからない錦織に同郷人のよしみで手をさしのべたのが大ヒットとなったわけです。けがが多くひ弱な昨年までの彼を見ていて、計算だけではサポートは決断できなかったでしょうね。

                                                       (2012年02月28日)
■梅田を中心とした関西の動き〜地価ルックアップレポート2011年第4四半期から

 一極集中と言われる「梅田」エリア内の戦い

 梅田エリアの中では「うめきた」の先行開発地域のリーシングが順調なようです。西梅田、茶屋町地区が影響を受けるという見方も強いようですが、今の所は賃料水準は横ばい傾向とのことです。
 24日にはヨドバシ梅田の5〜7階のファッション・専門店ゾーンが改装オープンしました。スポーツゾーンや子供服などが強化されています。梅田周辺ではアウトドア関連のショップが集積しています。駅ビルや百貨店では手薄なゾーンでもあります。

 西梅田地区はオフィスの空き室は解消されたようですが、商業テナントのうめきたからの引き抜きの噂もあるようで、街のコンセプトを再構築してうめきたとは違う魅力を打ち出す必要があります。
 中之島地区のオフィスは稼働率が高いよういです。利便性の高い梅田とは客層が違うのでしょう。西梅田の流動者は堂島、中之島からながれてくいる通勤者です。うめきたは環境は整備されても街の外への拡がりはありません。(本当に公園が整備されればきれいな街になるのでしょうけれどね)

 なんば・心斎橋は賑わいの中でも苦戦の予感?

 心斎橋は観光客がもどってきて賑わいが復活しています。それにもかかわらず、不動産関係者の先行きの見通しは厳しいようです。
 精華小学校の跡地の利用や新歌舞伎座の跡地利用がまだ見えてないのですが、南海電鉄の難波周辺の開発が加速していますから、難波の周縁部は面白くなってくると思うのですが・・・・・。心斎橋筋商店街がファストファッションの大型店が借りてくれて、かつ観光客が多いので、目先のビジネスは成立するので本格的に再生しようという危機感が無いことが不動産関係者の不安につながっているのかも知れません。

 パルコの新店やそのパルコを買収する大丸は頑張っているのですが、それに呼応する動きがもっともっと盛り上がって欲しいものです。

                                         (2012年02月27日)
表ー関西の主な動き
図100
図101
(2011年第4四半期地価ルックアップレポート 国土交通省から抜粋)

http://tochi.mlit.go.jp/wp-content/uploads/2012/02/e29da5c86404b1a16d9a7903b8336a14.pdf へのリンク
■jフロントリテイリングのパルコ買収で思うパルコのDNA

 関西人はすごかった頃のパルコを知らない

 jフロントリテイリングが森ビルの持つパルコの株式を取得するというニュースが流れています。大丸の脱百貨店路線では専門店の展開の自前主義を危惧していたのですが、専門的な会社のノウハウを導入できれば大きく進むことでしょう。百貨店内部の人は優秀であったとしても百貨店内の仕事のスタイルに縛られてヤングの専門店の運営は苦手なのだと思います。〜完全に百貨店の店舗から離れて運営されたビッグステップやディアモール、かつての天保山マーケットプレース等は百貨店の人材で運営して成功していたので、百貨店に近づきすぎない方がいいのかもしれません。
 島屋の「GOKAI」や大丸の「うふふガールズ」は百貨店の組織文化から解放されるのが大変だと思います。三越の旧アルコットやラシックなども、どこいまでいっても百貨店の補完であっったのが伸びない理由です。

 パルコについてはイオンが弱点補強のために株式を取得していました。特に今後の伸ばしていく都心型底上げに期待するだけでなく主力である郊外店舗の改革にも・・・と考えたのがつまずきなのでしょうか?パルコにはその「ノウハウはありません。
 店舗のjフロントであれば、都心の既存店舗との街としての補完関係が構築できますから、よりスムーズにパルコと協力できるでしょう。

 パルコについては専門家の中にはブランンド構成が古いと酷評する人もおられます。首都圏以外では名古屋、広島、福岡と行った競争の少ない地域では大型店を展開していますが、関西ではあまり存在感はありません。関西人はパルコが最も輝いていた70年代、80年代を実感として知らないので、その後の世代にも引き継がれることが無く「ブランド価値」というのは首都圏ほど高くはありません。とはいえパルコは大きな影響を関西にも残しています。

その後パルコは大丸の傘下に入り、ピーコックがイオンに売られました)

  OPA経由で伝わってきたもの

 関西で好調なファッションビルの筆頭に「OPA」があげられます。ダイエーがOPAを始めた頃にパルコの創業者社長であった増田通二氏が招かれてしどうにあたっています。親会社のGMSとは違った企業文化を定着させたのは、はっきりとしたコンセプトを持ち「パルコ文化」をつくりあげた増田氏の功績です。

 OPAで増田氏の薫陶を受けたスタッフが、市内の専門店集積の要職についておられます。パルコのDNAはパルコの形をしていなくても引き継がれています。

 小売業のノウハウでには属人的なものの少なくありません。今後jフロントがパルコを買収しても「のれん」に頼らずに百貨店とは違った文化を尊重しながらノウハウをシステム化していく作業が必要でしょう。

                               (2012年2月24日)

■歴史的建造物宇治電ビル建て替えへ〜関西電力不動産事業で赤字補填

 関西電力の保有不動産開発が活発化

 原子力発電所の停止によるコストアップで「大幅な赤字」に陥るといわれている関西電力が保有する不動産の再開発を拡大するようです。大阪市内の宇治電ビルをこの4月に解体、建て替えて13階建てのオフィスビルにするほか、尼崎市の送電用鉄塔跡地に賃貸住宅を建てたり、電力事業の集約や資材置き場の撤退で生じた土地の有効活用もすすめると報道されています。

 東京電力の原子力発電所の事故で東京電力の経営内容にメスが入り、簡単に値上げができなくなっていることも背景にありそうです。今まででしたら、遊休資産は塩漬けにしていても家庭用の料金は値上げできたのでしょうが、社員の給与水準や保険料の高い負担等とともに、遊休資産の売却を迫られる可能性があります。
 

 関西電力の赤字を補完?

 1月28日付の日本経済新聞によると「電力事業、先行き不透明、関電、不動産で収益補完」という見出しで宇治電ビルの再開発の記事が掲載されています。
 不動産を中心とする生活アメニティ事業の売上は813億円、経常利益は67億円で電力、通信に次ぐ事業規模だそうです。

 関西電力の電気事業の売上は2兆2,935億円,営業利益は1,694億円。通信事業の売上は1,742億円、営業利益は194億円です。(2010年)

 関西電力の赤字は1,181億円(4〜11月)と不動産事業での赤字の補填は大変ですね。MID興産を百数十億円で買収したのもオール電化住宅の促進ツールといわれています。今後、オール電化マンションは売れないでしょうから、本気で不動産事業を行う必要があります。
 うめきたのオフィス開発、千里中央のよみうり文化センターの建て替え、中之島のリーガロイヤルホテルの再開発など大型の再開発への関わりを強めていくことになります。

 企業規模が大きく地域の財界のリーダーではありますが、不動産事業に関しては中堅企業クラスである事を忘れないで精進されることをお勧めいたします。

                                                (2012年02月23日)
■商業開発が街の潜在ポテンシャルを呼び覚ます〜阿倍野の億ション「阿倍野nini」完売

 アベノが動き始める

 アベノ(天王寺・阿倍野ターミナル)は大阪で唯一路面電車が残っている街です。阪堺線は帝塚山の邸宅街を通って堺市の浜寺(かつての船場商人の別荘地)までつないでいます。

 キタ、ミナミに比べてターミナルとして格下のイメージがありますが、足元の住吉区、阿倍野区、天王寺区は文教地区で優良な住宅地が残っています。

 昨年開業した阿倍野キューズタウン(イトーヨーカ堂、シブヤ109、東急ハンズ等)と同じ阿倍野再開発事業の一つである「阿倍野nini」(地上24階、地下2階)の億ションが完売したと話題になっています。(日経新聞2月18日地方経済面)

 「阿倍野nini」はホテルトラスティ、商業施設、インターナショナルスクールで構成される複合施設です。2月14日には草間彌生さんの壁面アートも公開されています。分譲価格最高1億2、500万円のコンドミニアム112戸は完売したそうです。

http://abeno24.com/saikaihatsu.html へのリンク

 商業施設が街を変える

 アベノには5駅7路線が集積し、大阪市立大学医学部や、アベノ辻調(中之島辻学園とはべつの学校)や市立高校なども多くて若者が集まる街でもあります。阿倍野キューズタウンの好調は、足元の優良な商圏と、来街者数のポテンシャルにあります。
 この4月からは近鉄百貨店HOOPの改装が始まります。セレクトショップをさらに増やして若者の吸引を図ると言います。2014年には「あべのハルカス」が開業します。近鉄百貨店がなごやでてがける「パッセ」(原宿、渋谷系のブランドの集積で10代後半から20代前半がターゲット)も入店するそうです。大丸の「うふふガールズ」、島屋の「gokai」のように若い世代の取り込みをはかります。

 これらの所為業界初により2011年に阿倍野区で販売されたマンションは前年比25%アップの469戸で、そのうち9割が成約済みと好調だそうです。平均単価3,969万円は市内の平均3,361万円を600万円ほど上回ります。

 関西の私鉄の中では南海電鉄と京阪電鉄が沿線住民の減少で業績が不振でした。ターミナル開発での収益確保が急がれます。南海電鉄は「なんば」での開発を進めています。

 私が気になるのは京阪電鉄の動向です。沿線のくずはモールの業績は良好ですが、すぐに収益につながらない中之島開発などは企業の事業規模に比べて「大きすぎるテーマ」に資源を傾斜しすぎではないかと危惧します。

 大阪の第4のターミナルである「京橋」について、道路幅の拡幅なども含めた総合的な再開発の構想があったはずです。競合となるJRの駅用地活用も含めて考えると現在の乗降客数に見合ったまちづくりも可能なはずです。現在のポテンシャルのある立地を活かさずに、中長期の課題である中之島西部地区の開発ばかりに重点をおくのは合理的な選択だとは思えません。

                                         (2012年02月22日)
■衰退・縮小する産業団地再生のためのサプライチェーンの再構築

 枚方家具団地の再生に向けての仕込み

 大阪府枚方市の東部にある「枚方家具団地」は戦後枚方市の企業誘致策として「大阪家具コンビナ−ト工場団地 」として生まれました。当初は工業団地として工場の集積だったのですが、産地間競争等によって,工場が減少し,家具の小売店の集積地として知られています。地域内にある家具店は22店舗が連なり、売り場面積は約40,000m2におよぶといいます。

 現在、家具小売り業界はニトリやイケアといった低価格の量産品を販売する店舗に席巻されています。昭和40〜50年代に「婚礼家具」で楽な商売をしてきた成功体験から抜けだせない店は淘汰されてきています。
 生き残り策として「WEB」でのブランド家具の安売りやアウトレット店舗、リサイクルショップの延長での中古家具や等に活路を見いだす店も少なくありません。

 輸入家具や高級ブランド家具も、住宅需要が低迷してくると、市場は縮小してきています。

 枚方家具団地の各店舗も生き残りに必死です。持つ固有の産業基盤とはなんだったのでしょうか?工場が集積していたときには技術交流や原材料の流通などの面で集積のメリットがあったのだと思います。(九州の大川の家具産地では地域の家具工場で共同で配送用のトラックを運用し、物流のコストダウンをはかっているといいます)

 小売店の集積のメリットは顧客にとっての利便性につきると思います。色々な特色のある店を見比べるという事が出来る・・・・。この特徴をいかしてさらにイノベーションを進めるには少し仕掛けが必要です。
 高度成長期には京阪沿線でも人口の伸びが著しく枚方家具団地も賑わったのでしょうが、周辺で新しく伸びているエリアはどこか?どんな人が増えているのか?見極める必要があります。


 ニトリモール出店の脅威

 この地域に近接して「ニトリモール枚方店」が来年出店します。ニトリにビバホーム他専門店や飲食店がオープンモールの形で集積すると思われます。駐車場2,000台の規模は脅威です。このままではひとたまりもなくお客さんを奪われてしまいます。

 現在着手している仕組みづくり

 枚方家具団地内に,昨年から「家具町LAB.」という木工作家を中心とした作家のギャラリーがオープンしています。一般消費者へのアピールと共に、全国の「作家」にこの場所を認知してもらえれば成功です。
 全国的にも無名ですし、関西圏でも徐々に存在感が失われてきている「家具団地」を見直すきっかけになればいいでしょう。近くには大阪工業大学や摂南大学といったといった技術系の大学も有り、ゆくゆくは創造者と大学のコラボレーションの場ともなります。(地域資源を結びつける)

 またこの春には家具団地内の一企業が「家具工房」を開業します。木工作家・職人を育成する「家具塾」、一般市民が木の制作を体験できる「木工教室」、家具塾で育っ作家・職人予備軍がが創作活動ができる「レンタル工房」などが整備されます。(人材育成)

 人材が集まり,育てば、優良な家具の修理再生と販売事業を本格化するそうです。いわゆるリサイクルショップの中古品のような表面的なお色直しでは無く、レストアしてほとんど新品と変わらない商品として安く販売されます。家具として使われる木材は堅い広葉樹が多いのですが,現在天然の広葉樹の伐採は規制されているので、古くてもいい家具につかわれている木材は質の高い物も多いのです。(ニトリの家具はすぐに育つゴムの木でつくられています)アンティークでは無いですが「ビンテージ品」は供給されます。
 大量生産→ゴミとは違ったものの流れが生まれます。

  人が育てば、小ロット生産の家具や、手軽なオーダー品の工場が整備されていきます。

 木の産地などで職人を育てる試みもすでにありますが、この「家具団地」で家具塾が行われる意味はお客様に近い場所での実践だというところです。

 いくつもの家具店がありますから、違った好みのお客様も来街します。木の材料についても特定の産地では無く、お客様の要望に最適な素材が選択できます。これは今までに無い特徴です。

 「家具町工房」は3月13日に枚方市長をお招きして内覧会を行います。3月の24日には開業イベントがあるそうなので広く知られることになります。

 現在、来街されたお客様に街を案内する情報センターもありません。「家具町工房」では各店のパンフレットを常備しそれぞれの店のイベント情報も発信できればいいと各店に交渉中だそうです。

                                     (2012年02月21日)
■本来の強みに回帰する百貨店〜外商に活路?

 好調な春節商戦だが高額品は不振

 中国、台湾から日本を訪れる観光客は回復しているようです。春節の時期で、前年比2割増しと言います。九州、北海道のレジャー、リゾート施設は大きく利用者数を伸ばしています。

 家電量販店での3〜5割の売上増が伝えられています。炊飯器、一眼デジタルカメラ、高級腕時計などが好調です。
 大阪市内の百貨店でも免税店の売上げが伸びていて、島屋大阪店で25%増、大丸心斎橋店でも20%増だったようです。
 但し、」高額消費は低調で「100万円以上の商品を買う人が減った」(松坂屋銀座店)「高級ブランドより家庭用品や子供服が売れた。富裕層の来店も少ない」(三越伊勢丹)という指摘もあります。

 堅調な富裕層の消費意欲に対応した外商強化

 関西の百貨店では「梅田百貨店戦争」ばかりが話題になっていましたが、外商部門が好調(というか強化しているのでしょうね)な店舗が多いようです。

 震災以後落ち込んだ海外ブランド衣料や宝飾品、時計と行った高額品の販売が回復しています。もともとの富裕層の購買意欲は衰えてはいないようです。

図102
 (日本経済新聞 地方経済面 2012年2月2日)

 近鉄奈良店既存顧客層の買い回り重視

 奈良の西大寺駅にある近鉄奈良店(3万平米)は300億円の売上があります。中心客層は50歳以上でこの年代が7割を占めています。創業40周年を迎えて近隣に住む団塊世代の定年退職者の来店が増えています。

 郊外の大型モールの開業によえる影響もあったのですが、減収に下げ止まり傾向が見られ、既存顧客の買い回り率向上を重視するそうです。
 中高年が中心とは言え、「子供服」「アウトドア」売場が好調で、40周年の催事は雑誌「ミセス」企画の物産展や「海洋堂」のフィギュア展などのアクティブなイベントが多いのが目立ちます。シニアとはいえまだ活動的な団塊世代が多いのでしょうね。

 他社では同じような郊外店(シニア中心といっても70代以上の年代でしょうか)でも全く何も手を打たず,食品催事にだけ依存している店もあります。(立地がいいので売上げがあり、優良店とされていますが)「地域の中核店」としての役割を放棄しているのでしょうね。新店にばかり目が奪われますが、優良店ほど改革が必要です。

                                        (2012年02月20日)
■シニア特化からエイジレスへ?京王百貨店の軌道修正

 ポスト団塊世代に重点を移す?

 京王百貨店と言えばシニア層に特化した戦略で成功している百貨店として有名です。百貨店のお客の多くはシニア層なのですが、ターゲットとしてはより若い層の取り入れに熱心です。シニアにとって必要な商品、サービスに絞り込んで展開している店はごく少なかったのです。

 その中で京王百貨店のシニアへの取り組みは,マスコミにもたびたび取り上げられるものでした。

 シニア世代(60歳以上)の年間消費支出が2011年には100兆円を突破し、個人消費全体の44%に達しています。今年から団塊世代800万が65歳を向かえ始め、本格的に大量退職が始まると言われています。

 その中での軌道修正は何故なんでしょう?

 京王百貨店は「新日常生活」というテーマで売上の7割を占める50歳以上の既存顧客のニーズ変化に対応しつつ、40代、50代の新規客を獲得する狙いで、キッチン用品、生活雑貨、「美・癒やし・健康」のアプローチを強化するようです。今後は食分野を強化し「幅広い年代」の需要を掘り起こすそうです。

 分散する消費

 都心の百貨店だからこそターゲットを絞り込めると考えます。ただし、その絞り込みのキーは「年齢」とか「世代」ではないのでしょう。特にシニア世代は個人の「「行動力」「若々しさ」が大きく違います。
 勿論、シニアにも使いやすいユニバーサルデザインや商品の幅、めくばりをは必要でしょうが、「シニア」だからとひとくくりにはできないというのがこの「路線変更」の背景にあります。

 若々しさを求めや,都会での買い物を好む人は「肉体の年齢」がいくつでも都心の百貨店のターゲットになります。

 膨大なシニアの消費は「都心」から「居住地域」「旅行先」さらに通販などを通じて「地方」」分散しているのだと思います。クラブツーリズムなどに代表されるシニア向けのカルチャー+旅行需要や、ポーラ化粧品の出張百貨店バス、地方名産品のお取り寄せなど・・・・顧客接点が分散化しています。都心にまとめて一網打尽ですくい取るという手法は使えないのです。

 それでも、集団行動を好む団塊世代に限定するならば、つかまえる方法はありそうですね。

                                           (2012年02月17日)
■高松「丸亀町グリーン」は4月19日にオープン

 店舗、ホテル、住居が複合した「丸亀町グリーン」が4月19日にオープン

 延べ床面積44,700uにの地下1階、地上13階の建物には、マンション(96戸)、ダイワロイネットホテル(175室)、と60店舗のテナントが入居する商業施設です。一般用駐車場(330台)、駐輪場(680台)、吹き抜け広場(700u)、屋上庭園(900u)も整備されます。

 テナントには「ユナイテッドアローズグリーンレーベル」「アーバンリサーチドアーズ」といったファッションの他に「タワーレコード」や輸入食品を扱う「ジュピターコーヒー」、手芸用品の「ユザワヤ」(ユザワヤは大丸心斎橋店にもテナント入居するらしいですね・・・・教室も一緒に出店するのでしょうか?関西では今ひとつ成功しないのは店と教室をセットにしていないからだと思うのですが)他には高松リビング新聞社がカルチャースクールを出すそうです。
 飲食店は2割程度のようですね。

 中心市街地活性化計画の進捗度

 「丸亀町グリーン」は高松丸亀町商店街の再開発事業です。2007年に完成したA街区は売上が2.5倍になち成果が上がっていると言われています。中心市街地活性化基本計画のフォローアップによれば、歩行者通行量は目標の15万人(休日)に対し、13.9万人(2010年)と下回っています。空き店舗率も目標の14.4%に対して17.5%と厳しいのですが、2006年に比べると改善されつつあります。

 課題なのは年間商品販売額です2006年の1,050億円から2011年には1,100億円を目標としていましたが、2010年には821億円と報告されています。人が増えても大失敗なのでしょうか?・・・・・

 実は商品販売額は「商業統計」の統計値で測るのですが、商業統計が行われていない年次は、毎年売上が集計されている百貨店の販売額の商業統計に占める割合から推計されているのです。

 百貨店販売額は8年連続して前年割れですから、これは「百貨店」の衰退を反映した数字です。再開発の取り組みの評価が判断されるのは商業統計の数値がまとまるのをまたないといけません。

 地方の百貨店の疲弊は深刻ですね

 私は梅田大丸の取り組む「大型テナント」の導入には懐疑的です。集客効果以上に、高い家賃で借りている床の又貸しでは逆ざやになり利益を圧迫すると考えるからです。(集客をプロパーの売場で活用できていうるようにも見えませんしね・・・「表面的な賑わいで」マスコミが「一人勝ち」と持ち上げてくれているうちに対策を講じた方がいいです)郊外店や地方百貨店であるならばニーズに応えるために大型専門店などのテナントを活用する事を積極的に考えた方がいいと思うのですが、いかがでしょう。

                                              (2012年02月16日)
■尾張名古屋共和国構想

 名古屋市市長が発表した尾張名古屋共和国構想

 名古屋市の河村市長が周辺自治体と連携した400万人都市作り「尾張名古屋共和国」構想を発表したそうです。名古屋市が特別市として県の機能・権限を移管し、周辺自治体との連携を図るもので、大阪府と市をまとめて、市区編成を再区分した上で権限委譲を行おうという「大阪都構想」とは逆のベクトルの発想です。

 愛知県に関しては三河、遠州、南信州の連携が議論されているようです。地政学的にはこの連携の方が面白いのですが、テレビで名前を売った市長さん達は「キャッチフレーズ」がお好きなようです。

 http://www.pppnews.org/files/la/2011/LA2011_21_120210.pdf へのリンク

 「大阪都構想」の賞味期限

 橋下徹市長は、」自らの勢いが短期的な物である事を自覚して動いているように思います。報道でも鹿児島県のあぐね市の竹原市長や長野県の田中康夫知事に対しての報道のように、一部の「奇矯なふるまい」を誇張して伝えられているようにも見えます。その意味では損していますね。

 戦おうとしている相手が「機能しなくなった官僚制組織の弊害」であることもわかります。それでも支持できないのは馬鹿をとりまきに集めて「数」が力になると勘違いしていることです。

 ブレーンとしては、優秀な人材が集められているので、尊敬するそのブレーンの方々が思う存分「力」を発揮される事を祈っています。

 府知事として関西州の実現に力を注いで下さっていれば良かったのですが、橋下氏が市長になってからは「あまり「大阪」をチアーアップする気になれません・・・・。「大阪人」も廃刊するようですしね。
 
 なにわ考現学以来の大阪論を卒業し、もう少し広い視野で構想を考えて行きます。今月のCRIでは平清盛が開く瀬戸内経済圏についてまとめました。

 愛知県の三河、遠州、南信州連携の視点も興味深いので一度徹底的に論じてみたいと思います。


                                           (2012年02月15日)

 サントリーの狭間三恵子さんが堺市の副市長に就任されるようです。サントリーの良い企業文化を継承する優秀な方です。ご活躍をお祈りしたいとい思います。おめでとうございます。
■「車社会が中心市街地を衰退させた」とミスリードしたのは誰

 熊本市中心市街地は若者に支持される〜(財)地域流通経済研究所調査から

 熊本市内の歩行者通行量はある地点で2003年に97,000人あったのが2010年には51,000人にまで減少しているそうです。(休平日合計)〜熊本市・熊本商工会議所調査
 地元のシンクタンクの調査では、それでも20代ではでは訪問頻度が増えたという回答が多く,利用率が高いと指摘されています。

http://www.dik.or.jp/pdf/press_1202_shigaichi.pdf へのリンク

 熊本市の中心部はセンスのいい専門店が昔から揃っており,地元百貨店の鶴屋は九州の中でも有力な百貨店の一つです。(流行の品は大阪より早く入ると聞かされました)

 郊外の大型店はそてなりの施設が入っていますが,今の目で見ると魅力は薄い物です。

 何度か仕事で訪れましたが、確かに商店街の賑わいは活気があるものでした。その熊本の中心部でも人は減っているのですね。

 駅、バスターミナル近くに元「岩田屋伊勢丹」あらため「くまもと阪神」あらため「熊本県民百貨店」があります。他の都市のように大きな「駅ビル」は無いので、対立図式は「中心部」対「郊外」といった形になります。

 最近では鹿児島のように「中心部の旧繁華街」対「郊外の大型店」対「駅ビルを中心とした駅の集積」という構図になってきています。

 車社会の幻想

 かつては、日本もアメリカのように車社会が進むので郊外のモールが圧倒的に有利なのだと、アメリカの商業の紹介屋さんが喧伝していました。確かに,地方都市では移動手段は主に車ですし、郊外の大型scには地元の商店街に無い有名ブランドや、大型映画館、新しい飲食店があるので利用者がシフトした時代もありました。

 それは「車社会」が原因では無く、魅力的な施設が集まっていることが原因であったようです。中心市街地が再生するために必要だったのは「駐車場の整備」ではなく、魅力的な商業施設作りへの努力だったのです。

 事業者側の怠惰と、テナント側の立地選定の原則やポリシーの不在(単に、その時に元気そうに見えるところを出店候補地に選ぶ)が中心市街地の衰退に拍車をかけていたように思います。

 先週、ずっと浜松市と静岡市を比較していて浜松市の中心市街地の衰退は郊外ショッピングセンターの乱立が主たる原因ではないのでしょう。

                                   (2012年02月14日)
表−熊本市郊外の大型店
図103
■東京スカイツリーの経済波及効果と東京タワーの苦戦
 
 新タワー建設の経済波及効果は880億円

 墨田区が2008年に行った試算では、東京スカイツリー開業後の経済波及効果は880億円、4,594人の雇用につながると推計されています。来場者数は2096万人。ミュージアム、飲食の利用が多いと見込まれています。

 消費金額が多いのは物販で新タワーと周辺街区と合わせて168.2億円の売上となります。

 今年の新聞記事では観光客数を年間2500万人と想定しています。昨年11月に始まった団体予約ではすでに30万人に達しているといわれています。ただ、展望台に実際に入場できるのは1日14,000人ですから、近くまで行っても展望台に上れない人が続出する可能性もあります。

 東京タワーの衰退

 開業翌年のピーク時(1959年)には490万人の来場者があった東京タワーは、近年300万人程度で推移していました。修学旅行生の予約は東京タワーから東京スカイツリーへとシフトする動きがあるようです。両方を巡るツアーなども企画されていますが、どうなるんでしょうね。
 東京を展望するならゲートブリッジなども眺めが良さそうですが。

 新ゴールデンルート構想?

 旅行業界では、外国人観光客の「ゴールデンルート」に対抗して、スカイツリーを起点に栃木県日光市や福島県南会津に伸びる「新ゴールデンルート構想」もあるようです。まず東京電力の原発事故の収束が先決で、応援したい気持ちが前のめりになっているような気がします。

 とはいえ、浅草に集中していた東東京のまちあるきや、伝統工芸体験は新しい魅力になると思えます。
また河川を活用した街巡りは大阪でも見習うべきポイントです。

                                       (2012年02月13日)

図−1 最終来場者数 (千人)
図104
図−2 開業後1年間の消費金額 (億円)
図105
(墨田区の推計 2008年)

■「まちなか」再生と駅の役割〜日本の縮図と言われる静岡県のケース

 しょぼくなってしまった「まちなか」

 静岡県は平均的な日本の市場を繁栄していると言われ,テストマーケティングの場ともなっています。今週、継続的に取り上げている「浜松市」は静岡県最大の都市で、スズキ、ホンダ、ヤマハなどの発祥の地でもありますが、歴史的には繊維産業で栄えた街です。

 かつてあった地元百貨店「松菱」は2001年に経営破綻しました。その後、ロフトを誘致するとか東急ハンズ、松坂屋の誘致などが浮上しましたが、うまくいかず、最終的には大丸が出店する予定でしたが、リーマンショックの後出店中止となりました。テナント企業の評価が厳しかったのと、一部地権者の反対の為といわれています。
 松菱と連携する予定だった「ザザシティ」の中央館の運営会社も昨年経営破綻しました。

 近くにあったファッションビル「サゴー」はかつてはおしゃれな古着や小物のショップが有り買い物客であふれていたそうですが、建物老朽化を理由に今年2月に閉店します。悪循環が続きます。

 浜松の人達は駅周辺を「まち」とか「まちなか」と呼ぶそうです。市街地の衰退の要因としては郊外の大型モールだと言われています。「まちなか」の小売業の経営者にはかつての「賑わい」や「繁栄」の幻影がこびりついているのでしょうね。「地権者」が良い時代の「立地評価」で判断するので、地代が高止まりして新陳代謝が進まないのでしょう。(伝統がある商店街で、賃料負担力の高い現金商売の店が幅をきかせている現象はあちこちで見られます)大丸の誘致もタイミングを逃してしまいました。

 浜松市中心部で活気のあるのは、駅に近い「遠鉄百貨店」とJR浜松駅の駅ビル「メイワン」のみです。その他は個別の路面店で元気な店が点在しています。
 (※繊研新聞2012年1月31日記事と松菱に関するwikの記述をベースにしています)

 郊外大型モールに未来はあるか?

 浜松市の「まちなか」を衰退させた郊外の巨大モールはこの先も安泰なのでしょうか?最近は駅チカ店舗に話題が集まって、面白い事例が見当たりません。出店規制の影響もあるでしょうが、ひとわたり行き渡れば、利用者が飽きてきますし、大きすぎて使い勝手も悪いので、今後店舗の老朽化が進んでくると淘汰される店が増えてくるでしょう。(例えば「姫路リバーシティ」などかなり老朽化が進んでおり初期の店はリニューアルが必要な時期にきています)時代や商圏の変化にあわせたフォーマットづくりが必要です。

 最近、話題を呼んでいるのは駅ビルから駅直結型のモール、大型商業施設です。「テラスモール湘南」はJR辻堂駅に直結していますし、「三井アウトレットパーク倉敷+アリオ倉敷」はJR倉敷駅の駅前です。駅ビル「ルミネ」は有楽町では駅の外に飛び出しています。

 浜松「まちなか」再生のステップ

 かつての街の賑わいを取り戻すには何が必要なのでしょう。ライバルである静岡市の中心部にはパルコやマルイもあり活況を呈しています。おそらく、地域には対抗心が有り、同じような街ができるはずだと考えるはずです。昨日の記事に書いた「不当な評価=先入観」は一度染みつくと払拭は困難を極めます。加えて「かつての栄光」が忘れられない人の自己評価とのギャップは大きいのです。

 まずは、人を集める仕組みを作ることです。大型のモールを誘致できるスペースが無ければ、「大型家電量販店」を誘致するのが、今でしたら定石でしょう。〜行政関係者は駅前に「大型家電量販店」というのに抵抗があるようですが〜大阪駅前、京都駅前、名古屋駅前でも家電量販店が人の流れを変えています。

 旧市街地に関しては大型の店舗の誘致や、ナショナルチェーンの誘致より、若い人の店舗でもの作りとショップの融合)したものなど他に無いものを点在させることです。大事なことは、店舗は個店であっても連動したイベントを定期的開催して情報発信をすることです。
 そして、地域の歴史に根ざした観光施設、観光商業を配置すれば人の流れが出来ます。

 悪循環に陥っている地域にいきなり有名なブランドを誘致することはできません。ただし、事業者は人の動く駅周辺には関心をもつはずですから集客装置は駅周辺に集中させることです。

 これは姫路の行政による駅前再開発にもあてはまります。

 余談ですが、今が盛りの駅ビルは今後、建物が老朽化(商業施設の空間としての賞味期間は短いのです)したり、テナントが陳腐化したときに(駅ビルは良いテナントが入居しているyから売れているのです)どう変えていけるかが鍵です。階高や柱のスパンに制約が有り、用途変更ができるような思い切った改装には不向きです。

                               (2012年02月10日)
■横並び意識と前例踏襲の悪癖に陥っている業界関係者に聞いてはいけない

 百貨店人には百貨店の将来は語れないし、不動産屋さんにはその土地の将来の価値は語れない

 小売業は「立地」の選定が成否を分けます。地域のポテンシャルや、エリア内の人の流れ、導線の現在と将来をチェックすれば出店する店が大きく失敗するか、大きな失敗は避けられるか程度の判定は難しくありません。

 JR大阪三越伊勢丹の「失敗」について事前に予測し公言していた業界関係者(百貨店、不動産事業者、大学の先生、商工会議所)は存在してたでしょうか?・・・ほとんどいません。

 20年以上にわたる梅田の都市研究、百貨店の盛衰の分析、逐次発表される計画の概要を分析した上で、失敗の警告を発信してきました。開店前のテレビ番組でも明言しています。かつて、伊勢丹の優秀なスタッフに学ぶことが多かったので、失敗して欲しくなかったからです。

 業界の内部の人間は「経験」という名の過去の事例と、「業界情報」という名の横並び意識で、先のことは見えていません。過去の事例にしても失敗や成功の原因の分析はされていないので、予測には使えません。

 不動産屋さんも同様です。ある小売店の経営者にが「出店候補地の立地については、地元の不動産屋さんに聞けばわかるので、分析はいらない」と言われたときは・・・どうぞお好きにとしかいえませんでした。

 前例踏襲と横並び意識は駄目なサラリーマンや、役人の悪癖といわれていますが、多くの経営者も同じなのです。

 本日の本題は、浜松市へのテナント企業の評価が何故低いのかという分析です。

 浜松市へのネガティブ評価の要因

 新聞報道によると、浜松市へのテナント企業の評価は静岡市に比べて低いと言います。その背景を考えてみましょう。まず、駅前の商業施設の不振があげられます。昨日の表にあるザザシティは経営者が変わりました。

 人口ボリュームは浜松市の方が多いのですが、2次産業従事者の割合が高いのが特徴です。県庁所在地の都市に比べて2番手の都市は工業都市が多くなります。岡山県の倉敷市、三重県の四日市市、図にはありませんが兵庫県の姫路市も同様です。ファッション系の企業は工業都市というと顧客が少ないという先入観が強いのかも知れません。(行政のお手伝いで姫路市の立地評価を取材したことがありますが、企業の評価は芳しくありませんでした・・・何よりも「知られていない」という事が最大のネックでした。知らない街はイメージだけで評価しがちです)

 浜松市は大型小売店の面積は静岡を上回っています。静岡市がパルコやマルイなどの都心型の店が集中しているのに比べて、圧倒的に郊外店が多いのです。浜松市の売場面積あたりの小売業販売額は低いのですが、人口1人あたりの売上は静岡市を上回っています。

 「浜松市は郊外モールを利用する、車で行動する事を好むブルーカラー中心の市場なので駅前商業は成立しない」というように結論づけられてしまうのでしょうか?

 失敗事例と横並び意識があるので事業者が思いきった判断が出来ないのが駅前が駄目になって居る要因です。同じように郊外店が強い姫路駅のプリエは成功をおさめていますし、昨年出来た倉敷の駅前の新しい集積は岡山の商業を脅かしています。

 事業者には、前例や他社の事例を調査するのは必要ですが、顧客の視点で自分なりの判断材料を集め、リスクをとって意思決定し,その結果をつねに検証し、次に活かすという当たり前の行動が求められます。

 イメージの良くない立地へのテナント誘致には、きちんとしたデータに裏付けられた理論武装と,広報活動が必要になります。


                                        (2012年02月09日)


図106


図107

図108

図109

■人口規模だけではわからない商業立地としてのポテンシャル〜浜松と静岡の比較

 人口78万人の浜松市で百貨店が減少し 人口71万人の静岡市の成長力が注目される

 浜松市内にはかつて3つの百貨店がありました。西武が撤退し、松菱が撤退し、現在では遠鉄百貨店を残すのみです。消滅した百貨店の売上げを遠鉄百貨店が獲得しているかというと実はそうでもありません。

 浜松都心の商業ビルの経営も厳しく、オーナーの交替も頻繁だと言います。確かに郊外に大型モールがいくつか張り付いていますが、それだけが原因ではなさそうです。

 静岡県内の静岡市は人口71万人ですが、松坂屋,伊勢丹、マルイ、パルコが中心部に共存しています。昨年10月には静岡鉄道の駅ビル「セノバ」がオープンし、売上げ目標を180億円と設定しています。

 どちらの都市も東京や名古屋と言った大都市から距離があるので消費の流出はごくわずかです。

 人口規模だけで見ると浜松市が優位ですが、静岡市の商圏は大井川から富士川に及ぶと言われ、150万人商圏だといわれています。集積もあるので逆にテナントの出店意欲も高いようです。改装オープンした遠鉄百貨店もかなり頑張っていますが、駅前商店街の活力が低下し、テナント企業の評価が悪く、百貨店でもメンズのセレクトショップの誘致に失敗したという記事がでています。

 静岡市は御殿場のアウトレットにも近く競争が激しいのですが、それでもテナントの出店意欲が高い・・・。逆に,浜松市は競争がなく無風地帯といってもいいのですが、それが逆に活力を削いでいるのでしょうか?
 かつて大丸の出店計画もありましたが、地元にとっては大丸が出店していた方が良かったのかも知れませんね。

 八王子と立川

 東京でも人口58万人の八王子からは百貨店が次々撤退し、人口18万人の立川では伊勢丹と島屋が店を構えています。交通の要所である事が大きく,商圏ボリュームが違うのでしょうが、ギャップが大きすぎるような気がします。どこかで政策の掛け違いがあったのでしょうね。


 浜松市のケースについては一度時間をかけてその背景を明らかにしたいと思います。

                             (2012年02月08日)
図−1 浜松市の百貨店売上高推移
図110
(しんきん経済研究所)

表−1 静岡市大型店売上高(2011年度決算)
図89(各社 決算資料、繊研新聞)

表−2 浜松市の大型店
図
(当社調べ)
■二トルモールの店作りの狙い

 オープンモールを目指すニトリモール枚方

 1月4日に御紹介したニトリモール東大阪について、似鳥社長が今週の「東洋経済」でインタビューに応えています。

 ・ニトリモール東大阪の店舗構成は土地所有者であった近鉄の要請で,地域住民に必要なSCとして、衣料と  住宅関連、サービスに絞った。食品スーパーを導入しなかったのは商圏が違うから。
 ・本来は箱形のエンクローズドモールではなくテナントの入り口が別々で目的の店まで乗り付けられるオープン モールが理想だが、土地が狭いのであきらめた。

 来年開業予定のニトリモール枚方については土地の面積が広いのでオープンモール型のショッピングセンターにしていくようです。大型のエンクローズドモールは大きすぎて歩き回るのに不便とアメリカの事例を挙げて、これからは日本でも大型SCは駄目になるという見方をされています。

 ニトリの戦略としては、プライスリーダーとして価格を下げることで、「暮らしを豊かにする」という路線は変えないようです。ユニクロもそうですが、この路線を選択した以上、方向転換や、他の選択肢の併用はできないのでしょう。

  大量生産を前提に無理、無駄、ムラを排除して実現した低価格商品は、市場を食い尽くしたあとの行き先が見えていません。

 戦略がシンプルでぶれない・・・・というのは、良いよう事のに聞こえますが、守りに立ったときに変化に弱いともいえます。「ユニクロ」と「ニトリ」ばかりで生活するのも耐えられないですしね。

                                          (2012年02月07日)
■中国若者のファッション嗜好

 韓国メーカーの強み

 日本のものづくりには多くの人がプライドを持っています。日本の市場で評価されるものは世界のどこに行っても評価されるものである・・・・確かにそのような側面はありますし、他に真似の出来ない強みでもあります。

 ガラパゴスと揶揄される国内市場で限定して生き残るという戦略も選択肢としてあるはずです。一方で,海外の市場に出るときに、韓国のメーカーの後塵をハイすることが多いのはなぜでしょう。日本で事業を行っている中国人実業家、宋文洲氏のツィートを拝見していて腑に落ちるところがありました。韓国メーカーはその国の市場で何が必要とされるかを徹底的に研究し、韓国本国では好まれない門おでも大胆に取り入れるというのです。・・・・日本のメーカーはなまじ国内市場があるだけに、国内での成功事例にとらわれて、大胆な対応ができないというのです。パソコンでのNEC「PC98」の事例はわかりやすい事例です。

 パナソニックのOBの方にパナソニックの強みは常にお客様が何を求めているかという原点に立ち返る事だと教えていただきました。今年のパナソニックの赤字は、三洋電機の評価が下がったことや、円高という背景はありますが、世界の中での韓国メーカとの競争を考えると、原点に立ち返るべきなのでしょう。

 ソニーの子会社のゲーム機のボタンに不具合が発生したときに当時の社長が「仕様」だと開き直った故事を考え合わせると日本のもの作りメーカーはマーケットをしっかりと見ることから再スタートすべきなのだと思います。(アメリカの自動車産業が日本市場開放策として、軽自動車規格の撤廃を迫っているという笑い話を他山の石とすべきでしょう)

 いいものをつくれば売れるというプロダクトアウトの姿勢は必要な視点ではありますが、何が「いいもの」なのかについても、しっかりと考えるべきでしょう。景気が悪くなると、研究開発費やマーケティング経費が削られる事が悪循環を呼びます。
 
 (余談ではありますが、何故、日本語のワードプロセッサをどこのメーカもつくらないのでしょう。勿論国内市場しかないのですが、多分、欲しい人は結構沢山います。親指シフトのファンも多いですしね。ポメラでは入力しにくいですしね)

 中国若者のファッション嗜好について

 関西ファッション連合が中国の大学の先生を呼んで講演会を開いたという記事を読みました。

 「中国の若者のネット人口は2億人。オンラインショッピングが人気」
 「上海の若い女性の好む買い物場所は百貨店84%、専門店73%。商品に求める要素は”品質と価格の一致”、"質の高さ”、好みのスタイルは”シンプルでエレガント”74%、"スポーツカジュアル”59%」なのだそうです。
 対象者が110人なので読み取りに注意しないといけませんが、百貨店の支持率が高いのが興味深いところです。

 今は、日本に団体で買い物に来られる中国人の姿しか見えていないのですが、もし中国で本格的に百貨店を展開するとしたら多面的なマーケット調査が必要でしょう。わざわざ日本に来られる人はごく一部の層でしょうから。・・・日本の百貨店は国内での他地域への出店でも自社のスタイルにこだわりが強いので、海外ではなおさらです。
 相手を見下すと、かならず相手にその「悪い感情」が伝わります。

                                             (2012年02月06日)

 
■大阪のそんなに重要でもないニュース


大阪のオタクの聖地 日本橋事情

 電気と趣味のまち大阪・日本橋の地域情報ウェブサイトを運営するデシリットル・ファクトリー(大阪市中央区)は、2011年の日本橋地域の店舗出店動向をまとめた。メード・コスプレ系の出店が後押しし、新規出店60店に対し退店は52店と2年連続増加。ただ、ビル上層階などが増え、路面に面した店舗は減っており「街のにぎわいづくりには課題が残る」としている。
 店舗の立地は、「空中・地下店舗」の出店は21店で退店は9店と12店増。「路面店舗」では、出店が39店で退店は43店と4店減少した。
 メード・コスプレ系の出店が目立ち、飲食関係の出店4店に対し退店は1店。疲労回復などを図るリフレクソロジーといったサービス関係の出店は14店で退店は7店だった。東京・秋葉原からの新規参入の動きがあるという。
 メード・コスプレ系の新規出店のうち「空中・地下店舗」は14店舗と新規出店全体の23%を占め、存在感を示した。同社は「趣味性の高さから、路面店舗ではなくビル上層階の一室で展開できる形態も多い」と指摘。街の店舗数は増加しているものの路面店舗は減っているため「街を訪れる人が日ごろ目にすることの多い空き店舗の解消には直結していない」と分析している。
 大阪日日新聞 2012年2月2日

 あたくを集めても日の当たる場所を嫌がるので、街の活性化にはあまり貢献しないのでしょうか。

 鉄道マニア感涙のイベント万博公園で開催

 西日本最大級の屋外鉄道イベント誕生−。日本万国博覧会記念機構(中井昭夫理事長)と吹田にぎわい観光協会(瀧川紀征理事長)は3月10、11の両日、大阪府吹田市の万博公園で鉄道全般をモチーフにした「万博鉄道まつり」を初めて開く。鉄道ファン垂涎(すいぜん)の数々が出展され、ファンや家族連れなど数万人規模の集客を見込む。初の試みに主催者は、地域に根差した「北摂の風物詩に」と期待を寄せている。
 地域振興のツールとして「鉄道のまち」を目指す同市と、鉄道の魅力をPRしたい各社の意向が一致した。日本で初めて新橋−横浜間に鉄道が開通した10月14日は「鉄道の日」とされ、同様の催しは東京・日比谷公園で開かれる10万人規模の「鉄道フェスティバル」が知られている。「西日本にも(日比谷公園と)同等規模のイベントを」と時季と会場を変えて実現の方向を探ってきた。
 両日には、「世界に一つしかない」という特急列車のヘッドマークや「一般初公開」という運搬されたリニアモーターカーが路線に設置されるまでの映像などを出展。各社がえりすぐりの逸品を持ち寄ってのチャリティーオークションも行われるほか、ミニSLやミニ新幹線が走行するなど、家族連れにもうれしい盛りだくさんの企画が練られている。
 吹田市のほか大阪府や国土交通省、鉄道関連ではJR西日本やJR東海、JR貨物、37社が加盟する関西鉄道協会などが後援。吹田にぎわい観光協会の担当者は「鉄道には子どもから大人まで夢中になれるものがある。一過性のお祭りではなく、スケールアップして次につなげていきたい」とし、地域共生を象徴する一大イベントに育てていきたい考えだ
。   大阪日日新聞 2012年1月30日

 万博公園には鉄道駅はモノレールしか無いのですが・・・・。

 梅田クラブクアトロ4月13日オープン

 昨年9月、心斎橋パルコ閉店と共に営業終了した心斎橋クラブクアトロですが、梅田の太融寺旧「梅田ピカデリーあ」の跡に「梅田クラブクアトロ」として移転オープンします。
 4月13日のこけら落としは、心斎橋クラブクアトロの最終ステージを飾った「EGOーWARAPPIN」。

 ホワイエにはバーカウンターもありアフターイベントも余韻を楽しむバーとして営業するとか。

 梅田にはビルボードプレイズやコマ劇場もありますが、ビルの床面積の割に文化施設が少ないので大歓迎です・・・。

 
                                            (2012年02月03日)
■栄と名駅の攻防〜名古屋での駅と繁華街の綱引き
 松坂屋名古屋店の変身

 名古屋の老舗百貨店「松坂屋名古屋店」が今年春をめどに改装するそうです。昨年は月によっては名古屋駅のJR名古屋高島屋に売上が抜かれるようなこともあり、地元で圧倒的な強みを持っていた総面積86,758uの松坂屋もてこ入れを行う必要が出てきたようです。
 名古屋のマダム層や名古屋嬢と呼ばれるお嬢様層に支持されていた店舗ですが、既存顧客に加えてアラ30やアラ50層を新たなターゲットに設定するということです。

 その目玉が「H&M」とか「ジルスチュアート」とか「うふふガールズ」というのではよくわかりません。30歳前後のヤングアダルト層が「トレンド性はあるものの、つくりがチープな」「H&M」のファッションを喜ぶのでしょうか?本当に?本当に?

 「うふふガールズ」とあわせてヤングを獲るんだというメッセージなら理解できるのですが・・・・。コンセプトと実際の商品がちぐはぐに感じられます。

 名古屋駅前は電気街に

 名古屋駅前には2012年に郵便局跡地の「名古屋クロスタワー」,2015年に「大名古屋ビルディング」の建て替え、2016年には「名古屋駅新ビル」が開業します。「名古屋駅新ビル」にはヨドバシカメラが入店します。旧名鉄ヤング館跡の「ラビ名古屋」とあわせて家電の集積が生まれます。
 名古屋では多くないかも知れませんが、アジアの観光客を呼び込むにも家電の集積は有利に働きます。

 駅前の「近鉄百貨店名古屋店」は109系やモード系を充実させるそうです。対象は18歳前後のピュアヤングだそうです。

 松坂屋名古屋店のある栄地区では「栄スカイル」にユニクロ、「栄ノバ」に、しまむらレディースやアベイルが出店しています。ティーンとファミリー層の集客が期待されています。

 「松坂屋」の「H&M」はメンズやキッズも揃えているので、ファミリ層狙いなのでしょうが、同じようにメンズやキッズのある「GAP」は商品がしっかりしているのに対して「H&M」の縫製は「しまむら」「西松屋」以下という悪い評判ばかり聞くので不思議な感じがします。自分で一度着てごらんになればかがですか?(かつてマルイが月賦百貨店とさげすまれていた頃、当時の社長は自分は丸井の服は着ないとおっしゃったことは有名ですが)

                                             (2012年02月02日)
■「コトを通じてモノを売る」〜西宮阪急の好調

 開業(08年11月)以来売上を伸ばす「西宮阪急」

 百貨店の「郊外店」は期待通りの収益が上がる店が少なく、「食品スーパー」+「専門店テナント」の形に集約されていくだろうといわれています。一方で福岡の岩田屋三越ではサロン型の小型店舗が好調だと伝えられています。「郊外型の百貨店」は、一律に同じパターンの店を出店することはできなくて、立地特性、競合状況によって商品構成、運営形態を変えていきながらかつ「百貨店の匂い」を残すという手のかかるフォーマットとなっています。

 千里阪急が立地する千里ニュータウンのセンター地区では、老夫婦のお買い物が目立ちます。リタイアしたお父さんが奥さんの買い物に同行して行動しています。たぶん、奥さんは迷惑なのかもしれませんが・・・・・。
 百貨店あるいはピーコック、ダイエーなどで食料品を買物しても、そのあと何をするんでしょうか?一応小さな映画館や、アイドルがプロモーションをする広場はあるのですが、「時間消費」というか楽しむ場所がない街です。特に高齢者にとって・・・・。
 千里阪急は阪急阪神の郊外店の中でもトップクラスの売上があるにもかかわらず、その種のイベントは全く行われていません。(どういう意図でしょう)一方08年に開業した西宮阪急では「コトを通じてモノを売る付加価値提案力」の強化を開業以来のテーマとしてきて、2010年度は2ケタ増、2011年度は5.3%増(予定)を達成しているそうです。

 各売り場で「コトコトステージ」と名付けられたミニイベントを開催し、スペシャルウィークの時期には全館一つのテーマでイベントを連動させます。これは、特に平日の売上の底上げに貢献しています。

 平日の客層は午前中はシニア層と赤ちゃん連れのミセスが友人や親と来店。午後はアラフォーの女性がファッションフロアを中心に来店しているとのことで、これらの客層にあわせて各イベントの時間配分を調整するということです。

 同じ「阪急」ブランドの百貨店であってもずいぶん対応が違いますね。西宮北口は確かに商圏内に豊かな顧客が多いのですが,一方でイオンモールやららぽーと甲子園 、さらに三田のアウトレットなど競合環境も厳しい地域です。また梅田都心への時間距離も18分なので厳しいといえば厳しい立地でもあります。
 イベントを継続するのは大変なのですが、「知恵」を出し続けなければ競争に取り残されることになります。

 同じように関西に郊外店の多い,大丸では「新長田店」が好調だといいます。この店の商圏は、はっきりいって下町です。まちづくりのNPOが活発で、「鉄人28号」の等身大モデルの設置など地域ぐるみでの盛りあがりが店舗の好調につながっているのかも知れません。(大丸はその後閉店し西友が代わりに出店することになりました)

 あまり知恵を使わないで、過去の売上だけを見て、数字上売れるモノだけに「選択と集中」を繰り返すと、良い店に,強い店になるかといえばそうではありません。常に考え続けて投資をしないと一度「陳腐化」してしまえば回復は困難です。今は数字が良い千里阪急も今後店の活力は衰退していくでしょう。あきらかに業績の悪い小型店の課題と対策は見えやすいですが、今はまだ良い店の改革は大変です。「新しい店舗」を成功に導いた新社長の「再生」手腕に期待したいところです。

                                                  (2012年02月01日)


 1月
■「中央ラインモール構想」鉄道と街の新しい関係

 高架下の使い方

 鉄道の高架下は,鰻の寝床ののようなかたちになり使い方が限られていました。駐車場、駐輪場、倉庫など、振動や音の問題もあってなかなか有効な使い方がされていません。

  鉄道は街を分断する元凶とされていましたが、東京のJR中央線の高架化によって新たにうまれた全長9km、面積7万uの新たな敷地を地域の自治体や住民と一体になって沿線の価値を上げる仕組みを作っていこうという動きがあります。

 「中央ラインモール構想」と名付けられたそのプロジェクトの推進役としてJR東日本』100%出資の「(株)中央ラインモール」が生まれています。対象となるエリアは「三鷹〜国分寺」と「国立〜立川」間の区間です。


 http://www.jreast.co.jp/investor/gv2020/pdf/p22-23.pdf へのリンク
 
 このエリアは大学の多い文教地区で住民の3割が20〜30歳代という若い地区です。開発コンセプトは「緑×人×街つながる」だそうです。3世代の共生スタイル、大学との連携、子供の成長を見守る街などの可能性が検討されています。

 駅部は歩行者を主役とし、駅南北とそこから街に向かう連続性を意識した賑わい空間を設置。駅間をつなぐ高架下エリアについては樹木を植えて歩行者空間を整備すると共に、人と街、文化の交流と移動を促し,賑わいを演出する・・・・カフェやフランスの朝市(なんでフランス?)保育園などの子育て・生活支援施設の導入があがっているとのこと。

 「当社は町全体の事を考える会社。ものをつくって終わりでは無く,沿線価値の向上を最終目標に新しいこと,色んな事にどんどん挑みたい」と語るのは鈴木社長。・・・・実際の具体化は事業完了の2014年3月以降になるので現在は西国分寺駅構内の商業開発にとり組んでいるとのことです。(商業施設新聞2012年1月17日の記事を参考にしています)

 地元の反応はまだ冷ややか?

 前代未聞の取り組みの為か、地元の反応はまだ冷ややかなようです。駅近くでは「駐輪場の整備」のニーズが高いのですが、、駅から近い良い場所には「商業施設」が配置されると予想されますので、ギャップがあるようです。商業施設がある方が駐輪場だけよりも治安が良くなるのではとも思うのは、「治安の良くない」大阪に住んでいるモノの偏見でしょうか?

 まだ本当の活動が見えていなくて、抽象的なコンセプトとか・・・・「フランスの朝市?」といったイメージワードしか発表されていないので評価はできませんが、トップの意気込みにはエールを送りたいと思います。

 駅間の高架下開発は周辺地域との連携が必要なので、きちんと調査し,意見交換をしていく必要があります。

                                             (2012年01月31日)


■同じテナントで競争するなら差がつくのは「立地」しかないのか?

 アウトレットと競合する岡山一番街

 三井アウトレットパーク倉敷の開業の影響で電車で16分の距離の岡山一番街が影響を受けています。入居するテナント88店の内20店がアウトレットにも出店し、このうち15店の売上げが2割落ち込んでいます。プロパー売場とアウトレットでは品ぞろえも違いますし、都心である岡山から離れているという立地の優位もあります。それでも同じテナントであればお客様は分散します。

 博多駅と天神でも顧客は分散化

 初売り商戦はJR博多駅ビルアミュプラザ博多では計画比28%増と好調であったのに対して天神地区の専門店は売上げを落としています。ソラリアプラザでは博多駅ビルとバッティングしているテナントの落ち込みが激しく、「お客の分散化」が進んでいるというお店のコメントが報道されています。
 
 大阪梅田でもルクアに出店したテナントの既存施設の店舗が売上を落としています。

 百貨店でも同じブランドの商品を並べているのは変わりませんし、同じような客層を狙う「同質化競争」は昔から指摘されていました。それでも百貨店にはまだ伝統や文化など店舗の顔がありますし、独自の売場作りも行われています。

 専門店ビルの場合、売場はテナント任せになりますから,直接講じられる対策は限定されます。その為テナントがバッティングしてしまうと手の打ちようがないのです。かつての百貨店のようにテナントに圧力をかける事も難しくなっています。特にファストファッションはドライに競合店にも出店してきます。

 かつてはパルコのように館としての文化性,イメージ作りに投資する企業もありましたが、競争激化の中で販促予算も限られてきます。

 空間としての楽しさを演出するために、女性ファッションばかりでなく生活雑貨やファッション雑貨、飲食街の構成や習い事教室などテナント構成で差別化をはかろうという動きも目立ちます。

 その際、立地条件はファッション以上に重要になります。どんな人が周りにいるのか、どんな人が通行しているのか、まずその分析から差別化の鍵を導き出す必要があります。通行量のボリュームだけで無く立地の定性的な分析が必要です。

                                       (2012年01月30日)
■震災の影響を織り込んだ将来人口推計

 岩手県、宮城県は震災後も復興に向けて人が集まる

 深刻なのは東京電力の原子力発電所事故の影響が大きい福島県です。試算はあくまでも今のトレンドが継続するという想定の下に行われたものですが、人口の減少傾向に拍車がかかっています。

 千葉、東京も縮小予想

 首都圏では、千葉県から移動する人が多いとは聞いていましたが、このトレンドが続けば大きく減少していきます。東京都は日本全体の人口縮小の中で、震災前は一人勝ちの予想が強かったのですが、日本全体と同じように縮んでいくことが予想されます。直下型地震の可能性が高いということも今後拍車をかけるでしょう。防災対策の面からも、人口があまり集中しない方がやりやすいはずです。
 東京人からみれば「田舎者は田舎に帰れ」という事でしょうね。

 集中のメリットよりデメリットの方が高くなって来ているように思えます。

                                                        (2012年01月27日)
図−1 被災地三県の将来人口推計(上から 岩手県、宮城県、福島県の順)
90
図ー2 首都圏の将来推計人口(上から順に埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)
図111

(社団法人 日本経済研究センターの試算 )
http://www.jcer.or.jp/report/discussion/detail4279.html へのリンク
■その後の九州流通戦争

 正月商戦も博多阪急に軍配

 元日営業を行った博多阪急は正月三が日の1日あたりの来店客数が平均25万人と普段の1.6倍の人出を記録しました。中国地方や南九州から新幹線を利用して訪れる家族連れも多かったといいます。
 天神では岩田屋本店、岩田屋三越は前年並み(?)、博多大丸は売上げが2%減、客数は5%減であったといいます。

 岩田屋三越は昨年の4〜9月期は三越伊勢丹ホールディングス内最悪の32億円の損失を出しています。(ちなみにJR三越伊勢丹は連結会社ではありません)損益分岐点を下げて、店舗の縮小、撤退はしないと明言していますが、戦略としてどうなんでしょう。

 岩田屋三越が地域に出店している「サロン」と呼んでいる小型店は高齢者のニーズに応えて好調だということですです。(ポーラ化粧品が展開しているサロンカーでの高額ファッションの出張販売の好調などからも、かつての外商販売に変わる、高齢富裕層へのアプローチの手法なのかも知れません。

 キャナルシティの次の一手

 正月商戦では、JR博多シティを上回る、1日30万人の人出で賑わったキャナルシティ博多ですが、その原動力になったのは新館「イーストビル」に出店したファストファッションです。核になる「H&M」「ZARA」と対抗する「フォーエバー21」と「ZARA」も天神地区に出店します。又、新宮町には「イケア」も年間400万人の集客を目標に出店します。

 競合激化に対抗し4月には「ラオックス」が国内最大級の「「免税店」を開業します。さらに秋には既存店を含む改装で対抗していきます。

 このように概観してみると博多大丸と、岩田屋三越が大変そうですね。

 博多大丸の原田社長は、東館の地下1階に大型専門店を導入することを考えているようですが、「うふふガールズ」のような若い女性向けのカジュアルファッションの導入は考えていないようです。(業態として標準化にまで至っていないのかな・・・長崎大丸跡地には「うふふガールズ」のうわさはありますが)
 ファストファッションに対抗するのでは無く、市場に抜け落ちている商品群を強化したいとのことです。今年は市場調査に例年以上に力を入れるそうです(百貨店マーケティングの為の市場調査でしたらぜひ、国内唯一の専門会社である当社にご用命ください・・・打倒博多阪急の秘策を伝授いたします)。

 九州の百貨店では山形屋(鹿児島)、鶴屋(熊本)は好調ですが、井筒屋(北九州)は博多開業の影響を受けているようです。

                                                          (2012年01月26日)

■競争の空白地帯だった中四国の動き

 JR広島駅2018年をめどに1.9倍に増床

 現在JR広島駅は「広島新幹線名店街」と駅ビル「アッセ」からなりっています。南北をつなぐ自由通路の完成に伴い.売場面積を9,300u拡大し、19,568uとします。営業時間も午前6時から午前0時までとするそうです。これだけ「駅ビル」が小売業の話題の核になっていながら今まで手つかずだったのが不思議です。
 JR広島駅の1日の乗降客数は約14万人。JR岡山駅で約12万人。JR姫路駅で9.2万人です。
 増床で広域から買い物客を呼び込むという事です。


 マックスバリュー西日本の本社が姫路から広島に移転

 イオングループのマックスバリュー西日本は創業者の一人である二木氏の出身地である姫路から、昨年10月に広島に移転しました。中四国をベースとする「マルナカ」を完全子会社にして、中四国での戦略を強化する為です。イオングループとして、今まで手薄であった中四国の強化の戦略ともいえます。
 
 龍馬効果からの反動から立ち直るための海外とのつながり

 NHK大河ドラマ「平清盛」への期待が大きい瀬戸内圏ですが、昨年「龍馬」ブームに沸いた高知県は10年度上半期に131万人集めた観光客が、11年上半期には104万人に激減しました。
 高速道路の休日上限の社会実験が終わったことで、関西方面からの観光客も落ち込んでいるようです。

 そんな中で四国の観光のプラス材料とされるのは、高知空港への台湾からのチャーター便の乗り入れと、高松空港と上海を結ぶLCC(格安航空会社)の定期チャーター便の就航です。利用率は84.6%と高く、15日から25日までの間の利用者は14,310人に達しました。
  
 松山〜呉〜広島〜宮島を結ぶ「瀬戸内はいくるーず」は今年春のJR西日本「瀬戸内・松山キャンペーン」につながります。


 四国では四万十町の「海洋堂」のミュージアムも静かな人気を呼んでいます。

 昨年は、大阪梅田、や福岡博多駅に話題が集中しましたが、その間の中四国でもいくつかの動きがでています。瀬戸内経済圏を軸につながるとさらに周辺府県にも動きは拡がっていきます。

                                                                   (2012年01月25日)
■「駅ビル」はオールマイティではない〜倉敷の影響が直撃する岡山駅一番街

 岡山を凌駕する倉敷の巨大商業集積

 昨年11月25日岡山県倉敷市のチボリ公園跡地にイトーヨカドーのSC「アリオ倉敷」(16,500u)が開業しました.その西隣に三井不動産が開発する
「三井アウトレットパーク(MOP)倉敷」(20,000u)が12月1日に開業。2店合わせて36,000u、総駐車台数26,000台の巨大商業集積がJR倉敷駅駅前に出現しました。
 それに先だって「イオンモール倉敷」が10月28日に11,000uの増床を行い、82,000uの規模となりました(倉敷駅からバスで6分)駐車台数は4,700台。

 倉敷から岡山まで電車で17分(320円)、福山まで電車で39分(740円)の距離です。12万u弱の巨大集積は、岡山市の表町(天満屋があります)の大型店5.1万u、岡山駅前の5.3万uを凌駕します。

 1999年に開業した「イオンモール倉敷」は年間来店者数は1,600万人といわれています。増床により2、000万人の来店客数を見込んでいます。「アリオ倉敷」「MOP倉敷」は
両施設で年間800万人の来店客数を見込んでいます。かつての「チボリ公園」の最大集客数が300万人でしたから倉敷への訪問者は大きく増加します。

 倉敷駅前には「天満屋倉敷店」(22,126u)があります。年間来店者数300万人の過半数が50〜60歳代でしたが、ファミリー層や20〜30歳代向けの店を導入して新しい客層をつかまえようとしています。

 開業後の状況は・・・

 「アリオ倉敷」は倉敷市内の地元客中心で駐車場の県内ナンバーは58%を占めています。開業後の売上は計画比3割増と好調です。11月下旬から1月上旬に177万人が来場しました。
「MOP倉敷」も計画比2割増で91万人を集めています。来場客の7割が広島や四国からの来場で駐車場の県内ナンバーは18%でした。
 商圏設定は兵庫県たつの市から香川県、広島市までの378万人。〜中四国はアウトレットの空白地帯といわれています。
 初年度の売上げ目標150〜170億円に向けて好調なスタートをきっています。都心型のアウトレットでブランが思うように集まらなかったのでリピーターが続くかどうかは不安視されていますが、
2店の相乗効果は大きいようです。
 天満屋倉敷店はレストラン街は好調ですが食料品、日用品はイトーヨカドーに売上を取られているようです。

 岡山商圏への影響

 約20km離れた岡山市は危機感を持ってイベントの共同戦線を組むなどしていましたが、年末年始の商戦では大きな影響を受けました。
 広島店を閉めて経営資源を集中する天満屋は売上高で2%、来店客で3%の減少です。ある先生のサイトでは表町は「死臭漂う墓場」と酷評され「数年後には岡山の商店街は消滅するだろう」と予言されています。

 岡山駅周辺では岡山高島屋が11月には8%減。今年になって盛り返しても3〜4%減と深刻です。

 他の地域では圧倒的な強みを見せる駅立地の「岡山一番街」の影響は深刻です。売上は前年同期比6%減。・・・平日の落ち込みが大きいそうです。結構時間距離があるのに、
20〜34才女性は「MOP倉敷」へ流れています.休日では「まずアウトレットへお買い物に行き、お目当ての商品が無かったら岡山一番街に立ち寄る」という行動パターンになり、
来店者のピーク時間帯が午後4〜5時から1時間遅くなっているといいます。

 岡山一番街は今年春をめどに大幅にリニューアルします。「F1層向けアパレルに特化しすぎた店舗構成の見直しを図り、男性も楽しめる生活雑貨の導入や飲食店強化の方策を探る」ということです。
 岡山では自家用車の利用率も高いという事もあるのですが、大阪や福岡、鹿児島などで駅ビルが強みを示しているのをみて、そのパターンをどこにでも当てはめるのは危険だということでしょう。

 着工が始まった兵庫県のJR姫路駅の駅ビルでもその観点での注意が必要です。

                                                                      (2012年01月24日)
■東京日本橋が江戸情緒の街並みに〜デベロッパーが神社再興

 三井不動産が東京都中央区の日本橋室町で江戸情緒あふれる町を再現

 三井本館、三越本店と中央通りをはさんで向かい合っている「室町東地区」は5つの街区の一体開発として三井不動産が開発を進めています。2010年にはオフィスを中心とした複合ビル「コレド室町」が開業し、「日本橋三井ホール」や3,900uの商業施設は1周年で来館者数を500万人以上集めています。

 「コレド室町」の北東部528uの敷地に、1,000年以上の歴史が有りながら,ビル開発で転々としてきた「福徳神社」を再興し、周辺道路を石畳などで環境整備します。
 整備費用は三井不動産が負担し、2014年6月の完成を目指しています。敷地には木を植えて「福徳の森」とします。周辺に少ない緑や広場として憩いの場となることでしょう。
 電柱もすべて地中化され町の外観も土と石版を交互に積み重ねた塀や、庇、縦格子を使用して「江戸の街並み」を再現します。日本橋ならではの老舗や個性的な物販店、飲食店を誘致します。

 丸の内や銀座から3km圏で地域間の競争が激しくなる中、地域資源を活かした差別化の取り組みといえるでしょう。

 オフィス・シネマコンプレックス・商業施設・賃貸住宅が整備される複合施設2014年3月に商業施設オープン
 
 神社に先立って、室町東地区の再開発計画第2弾が「コレド室町」の東地区に隣接してオープンします。地上22階、地下4階で、延べ床面積63,000u。オフィス・シネマコンプレックス・商業施設、賃貸住宅からなる複合施設です。

 9スクリーン、1,800席のシネマコンプレックスと共に整備される商業施設は今までの日本橋になかった「時間消費型」のMDで構成されます。通りの賑わいを創出するモノになるのだそうです。
 賃貸住宅は18〜21階の4フロアに50戸が計画されています。幅広い世代に対応した1BEDから3BEDの間取りプランを持っています。定住人口の増加で日本橋の賑わい創出をはかります。

 三菱の丸の内、三井の日本橋とそれぞれ個性的な街がつくられていて、うらやましいですね。

                                                                       (2012年01月23日)
■来週から春節〜中国人観光客は戻ってくるのか

 今年の春節は1月23日から

 中国本土では旧正月を「春節」と呼んで祝います。玄関に飾り物をしたり、特別な料理を食べたり、帰省や旅行をしたりします。1週間の休みので、昨年は都市の工場から帰省した労働者が帰ってこないのではないかとも心配されていました。

 毎年この時期に日本にも沢山の観光客が訪れます。今年は震災や東京電力の原子力発電所事故の影響がどのように現れるか心配されています。同じように旧正月を祝う韓国では中国人観光客の予約増加が話題になっています。韓流ブームは中国でも根強く,昨年の2倍以上の集客を見込む観光地もあります。修学旅行客の誘致にも熱心です。

今のところ日本のニュースでは予約客にふれたものはありません。


 中国人観光客が2012年に行きたい日本の地域TOP5

 1位:北海道、東京、秋葉原、京都、沖縄、大阪
 2位:箱根、奈良
 3位:どこでもいいから日本に行きたい
 4位:温泉
 5位:富士山
 番外:雪と桜が観たい、岐阜白川郷

(次のページの記事から引用いたしました)中国版のツィッターでのアンケート結果です〜意外(失礼)に奈良が検討しています。瀬戸内も頑張らなければ・・・・。
http://www.webken.or.jp/%E5%BE%AE%E5%8D%9A-weibo-%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%9C%E3%83%BC-%
E6%B4%BB%E7%94%A8%E4%BA%8B%E4%BE%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%91%
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上記サイトには、中国人の生コメントも掲載されているのでご参照下さい

 中国経済の見通し

 今までは,投資によって成長を続けててきた中国経済ですが、政府は成長のエンジンを投資から個人消費に移行させる方針をとっています。輸出の2割を占める欧州経済の減速など外需は縮小していきます。
個人消費の拡大によって成長を持続させる考えです。

 小売業の期待

 震災後初の春節ですが、ここしばらくの観光客の回復基調もあって、小売店の期待は高まっています。
通訳、アテンダントスタッフの配置や5%オフクーポンの配布、変わったところでは心斎橋筋商店街では「着もの姿」の心斎橋トップレディと記念撮影会など工夫を凝らしています。
 23日から本格化する春節商戦の動向に注目したいと思います。

                                                                     (2012年01月20日)
■街の景況感〜中小企業の見る2012年の景気見通し

 大阪は元気か?

 あれだけの大差をつけて当選した橋下市長が、つぎつぎに「改革」に着手しているのですが、街の様子は何故かしらけた風景が漂っています。一昔前なら市役所にを旗ざおが立ち並んで、市政がストップするような自体になったのでしょうが・・・・不思議ですね。市長の政策は正いと思えるモノもありますが、議論無く進んでいくのはあまりいい傾向ではありません。

 行政の政策も今は再編成の時期なのでプロジェクトが動かなくなっています。また、地方都市の地域経済界をリードする電力会社もおとなしくなっています。・・・年に立ち並ぶクレーンの数が少ない=元気がないと東京の人の目には映っているようです。東京は放射線の不安があるものの開発は相変わらず進んでいるようです。
(一方で、住民基本台帳の移動で首都圏から関西や九州圏への転出者が増加しているという指摘もあります)国の予算は来年度、かなり東日本大震災の復興でのために東北地域に集中投下されます。円高や欧州危機などあまり外部環境はよくないです。

 中小企業の見る2012年の経済

 大阪市信用金庫が府下一円の中小企業に聴取したアンケートでは景気の見通しは「悪くなる」と見ている企業が多くなっています。特に,運輸業、サービス業では厳しい見方が強いようです。
 円高、欧州危機と外部要因は悪くなっているのですが、それでも「良くなる」+「横ばい」が過半数を占めているともいえます。直接的な影響を受けない小売業でやや楽観的な見方が強いようです。

 自社の売上げについてみれば、「増加する」+「横ばい」が多く「減少する」と答えた企業は26.8%です。

 環境は厳しいとはいいながら、結構楽観的な見方が強いです。〜実はそこそこ儲かっているのかも知れません。

 消費税率があげられれば,一時的に駆け込み需要が生まれますが、その先は国内消費の縮小と、一層の円高(歳入拡大への期待で円への評価があがるため)でより厳しい状況になるでしょう。

                                                      (2012年01月19日)
 
図−1 景気見通し
図
図−2 自社の売上げ予想
112

図−3 景気の阻害要因
図200

大阪市信用金庫「中小企業における2012年の景気見通し等について」(2012.1.12)
2011年12月上旬時点での調査
■神戸のホテルのオーナーの交替

 神戸ベイシェラトンをホテルニューアワジが買収

 2011年12月1日付で、ソラーレホテルズ&リゾーツが保有していた「神戸ベイシェラトン」(六甲アイランド)をホテルアニューアワジが買収しました。ホテルニューアワジは淡路島を中心に旅館などを展開するホテルで、廃業した名門ホテル、ホテルプラザが運営していた「プラザホテル淡路島」を買収した事業者です。

 ホテル名は変えずに、1年間はそのまま運営し、温泉掘削や一部の客室の改装に5億円を投資する計画のようです。

 六甲アイランドでは「ホテルプラザ神戸」もオーナーの大成建設が売却していたと報道されています。営業は継続していますが、売却先や売却額は明らかにされていないようです。

 ホテルニューオータニ神戸ハーバーランドはホテルマネージメントインターナショナル(神戸)

 ホテルマネージメントインターナショナルは神戸の「ホテルパールシティ神戸」を拠点に全国で48のホテルを運営している会社です。旧ニューオータニが入居していた「神戸ハーバーランドセンタービル」を買収し商業棟(旧西武百貨店〜現在ファミリオ)とオフィスを一体で運営します。

 西神オリエンタルホテルは徳島のタカガワグループが買収

 神戸の西「西神ニュータウン」のセンター地区にある「西神オリエンタルホテル」は17億円で徳島のゴルフ場運営会社「タカガワグループ」に買収されました。
 旧ダイエー系のホテルとして開業しましたがダイエーの経営破綻と共にファンドに買収されていました。
 客室の平均稼働率は72%。テナント収入も2億円あるのでタカガワグループの目指す年間15億円の売上の可能性はあります。

 タカガワグループは中四国/兵庫でゴルフ場を9コース所有しています。


 地元企業によるホテル買収が活発です。淡路島や中四国で展開している観光業者も目立ちます。

 瀬戸内圏の観光開発が進んでいくと,神戸は大きな拠点となります。瀬戸内観光は単なる大河ドラマのあやかり商法を超えて,動き出しそうです。

                                        (2012年01月18日)

 
■「平清盛」経済波及効果〜兵庫県150億円vs広島県202億円

 NHK大河ドラマの経済波及効果

 日本銀行神戸支店が試算した「平清盛」放映による経済波及効果は150億円。観光消費の増加による直接効果は102億円。間接効果が48億円です。中国電力の研究機関「エネルギア研究所」が試算した広島県への経済波及効果は202億円と発表されています。直接効果は128億円。観光客が4.4%増加すると見て、250万人の増加を想定しています。

 ちなみに前回の「江」は滋賀県で観光客が134万人増えて162億円の経済効果があると地元の銀行の試算が昨年2月に発表していました。12月の新聞記事では36億6,000万円と発表されていました。(県内の代表的な観光施設の増加数の実績ですから、単純には比較できませんが・・・・)
 龍馬伝では536億円の経済波及効果があったといわれていますから、主人公の人気の定着度と、その県の観光資源によって効果は異なるのでしょう。単純に先行事例の伸び率を当てはめるのでは予測はできません。

 瀬戸内広域観光ルート

 「平清盛」の史跡は瀬戸内全体に広く分布しています。各史跡を結ぶ広域の回遊ルートを整備しようという動きがあります。近畿、神戸、中国、九州の運輸局が聯家敷いて「瀬戸内クルーズ」の推進を図ります。

 海外の」観光客に向けても東京から京都・大阪というゴールデンルート以外の魅力を訴えようというモノです。

 大河ドラマはひとつのきっかけで、海外観光客の誘致にあたって西日本の役割が高まっていくという流れなのだと思います。観光資源があり、食についても安心感があることが強みでしょう。

                                                 (2012年01月16日)
 
 結局193億円だったそうです

 兵庫県立大政策科学研究所は、昨年のNHK大河ドラマ「平清盛」に伴う神戸市の観光キャンペーン「KOBE de 清盛2012」などで県内に193億円の経済波及効果があったとする試算を発表した。

 「ドラマ館」「歴史館」に計57万人が訪れたことなどをもとに、キャンペーン期間中、市内の清盛関連の観光客が前年の市内の観光客数約3千万人の約5%に相当する約150万人に上ったと推計。宿泊や飲食など1人当たりの消費額を平均1万3500円と見積もり、算出した。

 ドラマは井戸敏三知事が「画面が汚い」と酷評して波紋を呼んだほか、平均視聴率が過去最低を記録するなど低調に終わった。だが、大河ドラマの舞台となった地域では観光客が前年から平均5〜6%増える傾向があり、試算に関わった神戸女子大の小沢康英準教授は「視聴率に関係なく、歴史的な観点という新しい神戸の観光の魅力が市内外の人々の注目を集めた結果では」と分析している。

                                                 2013年2月21日 産経新聞
■専門店の百貨店進出の課題と老舗のブランド価値の維持

 百貨店進出した専門店の誤算

 百貨店の取引形態は大きく、「買取」と「売上げ仕入れ」の2つに集約されるといいます。その中で、返品条件の設定にバリエーションがある・・・・(買取でも返品がある?)というのが従来のパターンでした。

 最近目立っている、「家具」「家電」「紳士服」「総合雑貨」などの専門店の導入は「賃貸借契約」で行われています。百貨店は人件費を削減できて安定した家賃収入が入るので、効率の悪い部門を中心に導入が加速していました。

 ファッションでも大丸の「うふふガールズ」などヤングファッションを中心に従来の百貨店では扱えなかった低価格で「元気のいい」店を導入するのに活用されています。接客、販促とか百貨店の基準との整合でせめぎ合いもあるようですが・・・。(やんちゃすぎるとか)

 テナントサイドでも一部には実績も上げている店があるのですが、多くの店が売上が伸びずに出店に二の足を踏んでいるそうです。都市部百貨店の出店コストに見合う「客単価」「客数」がとれないという事です。テナント側の選別が進むのかも知れません。

 とんでもないセール名の話題

 今年の正月セールで、ある店のとんでもないセール名が海外で物笑いの種になっていました。

  http://t.co/CCT0Z6EM へのリンク

 サイトの文章では大阪、心斎橋の「デパートメントストア」としか書いていないので、一瞬いやな予感がして調べたところインポートのセレクトショップだったので少し安心しました。欧米では大型専門店もデパートメントストアと呼びますから・・・・。百貨店を知る人だったら絶対にありえないとわかるのですが、心斎橋には「大丸」1店しかないのと、「うふふガール」でエヴァ芸人の稲垣早希を広告モデルに起用するなど「チャレンジング」な店なので万が一、テナントさんが勝手に暴走するとかいった可能性も捨てきれませんでした。

 これが例えば伊勢丹だったら絶対にありえない。西武だったらお客さんのクレームでそそくさと中止となったでしょう。

 老舗のブランド価値の維持

 「老舗」についてスタディしているのですが、老舗の条件として200年以上事業を続けている事とか、事業と地域社会が密接に結びついていること・・・・等が興味深いです。和菓子の虎屋は維新の時に天皇について東京へ移転しましたが、これはまあ筋の通った話です。

 大丸、松坂屋はそれぞれのルーツである関西、名古屋から,市場を求めて東京に軸足を移しました。異論はありますが、経営者の判断としてはそれもありでしょう。ただし、東京には東京に根を張った百貨店があります。

 東京の市場を獲得するというよりも、東京を足がかりにしてアジアなどのグローバルな市場に軸足を移したのだと自覚されるべきでしょう。

 今回のセール名については単なるとばっちりで、ネット上で炎上が起きているわけではありません。ただし、心斎橋には百貨店は一つしかないので「大丸」がそんな店だと思い込んでいる人も少なくないでしょう。

 英語でWEB上での情報流通はグローバルに一瞬にして広まります。危機管理を徹底するべきでしょう。この話題は先週頃から広まっていました。対策は取られているでしょうか?
                                             (2012年01月13日)
■鹿児島「マルヤガーデンズ」の好調

 2年目を迎える「マルヤガーデンズ」

 三越鹿児島店が閉鎖された跡に、元々この場所で百貨店を営んでいた「丸屋」がテナントビル「マルヤガーデンズ」を2010年4月にオープンさせました。

 丸屋デパートは1961年に百貨店として開店。1973年に三越と業務提携し、1984年に鹿児島三越となりました。ピーク時(1995年には190億円あった売上が閉店時には98億円まで減少していたそうです。鹿児島では地元百貨店山形屋が強いのと郊外との競合、駅ビルの開店で売上の回復が見込めないと判断されました。

 業態転換し,客層は三越時代の50才以上から30〜40歳代に若返り,男性客も3割のウェートをしめるほどに増えました。

 昨年10月に新店舗を導入してからは前年比2ケタ増のペースを続けています。(「ビューティ&ユースユナイテッドアローズ」「マーガレットハウエル」「トリッペン」)

 http://www.maruya-gardens.com/ へのリンク

 駅ビルとの競合、郊外との競合、地域の地盤沈下など「言い訳」は沢山出来る立地ですが、東京の百貨店が投げ出した立地でも商売のやり方はあるという事でしょう。

                                      (2012年01月12日)
■顧客を持っている強みを活かさなければじり貧〜「心斎橋ナイトクルーズ」

 心斎橋ジリ貧への危機感

 心斎橋の高級ブランド店21店が共同で顧客招待のイベントを開催したそうです。各店100〜500人の顧客を18時から21時に招待し、店内で軽飲食のサービスやカジノゲームを開催しました。参加した店は「レキシア銀座」「フランクミューラー」「ブライトリング」「マックスマーラー」などの高級ブランド店。

 今後顧客となるような客層を中心としたクローズドイベントで,お客さんは「大阪はパーティが少ないので楽しかった」とか好評だったようです。〜詳しくは繊研新聞2012年01月11日記事〜

(イベント事例)
「レキシア銀座/心斎橋店」〜宝塚少年少女合唱団のみにコンサート+軽食 200人
「フランクミューラーウォッチランド大阪」 ルーレットでのカジノゲーム    200人

ダイヤプチネックレスなど各店でプレゼントを用意

 このイベントのポイントは大きく2つ

 このイベントの注目ポイントは、2つあります。ひとつは顧客資源の共有活用。各店がお互いの顧客を共同でもてなして新規顧客開拓に結びつけようとした事です。

 もうひとつはこのイベントの打ち合わせに集まって会議を行ったのは、最初と最後のたった2回だけ、その間の打ち合わせがフェィスブックで行われたことです。提案やその採決はすべてフェィスブック内で共有化されていたということです。

 私自身、ミクシーもフェジスブックも登録しただけで利用しないノンアクティブユーザーなのですが、ミクシーはどちらかといえば若い女性が活用していて、フェィスブックは少し余裕のあるおじさんが中心なのだろうと見ています。
 ミクシーのまったりしたお話は若い子が好きそうで、フェィスブックのつながりが出身校で検索されたりするところが,昔の出身校の同窓生と語り合いたいおじさん向けかなと考えています。

 ビジネスの活用を考えたときに「会議」代わりに使えるのは面白い発見です。

 競争の中で淘汰が進む

 この2〜3年で商業施設の淘汰と・・・・いうより消費者による取捨選択がはっきりします。単に規模が大きいから選ばれるというわけでは無く、いわゆる「梅田の一極集中〜一人がち」とはならないでしょう。

 顧客が見えていて,顧客をしっかり掴んだ店が何とか生き残ることができるでしょう。

 規模の大きさで競争相手を圧倒する「いわゆる包み込み戦略」は過去の遺物です。業態に合った立地選定と顧客への継続した「コト」の仕掛けが明暗をわけます。

                                           (2011年01月11日)
■神戸西エリアの動きに勢いがある

 関西圏へのアジア企業の進出

 関西地区へのアジア企業の進出が活発化しています。大都市で市場が近いことと、大学や産業集積などのインフラが整っている事がアピールポイントです。

 神戸には中国敬金融機関の「中国銀行」やゲノム研究・解析受託の「BGI」(中国)が進出していますし。京都には中国のネット通販大手「エムバウバウ」が日本法人を設立しています。京都リサーチパークに入居する外資系企業は2000年に比べて倍増しているそうです。

 世界的に見て「関西」の認知度は低いのですが、神戸、大阪、京都などはアジアとのつながりも深いので、世界の成長セクターとのつながりを深めていく,足がかりはあります。

 特に今まで注目度が低かった神戸の西エリアの動きに、今後注目したいと思います。

 瀬戸内観光の見直し

 昨年7月に始まった,小豆島〜神戸間のフェリー航路は利用が好調で,地域経済への波及効果が大きいそうです。7〜9月の3ヶ月間で5万3,000人が利用。この期間に小豆島を訪れた79万人の7%を占めます。
 7割が観光客で大阪、神戸からの観光客が増加しています。

 小豆島ではオリーブを使った化粧品や、地元産品の通信販売企業が頑張っています。健康志向でオリーブへの注目が高まっていることも一因だと思います。瀬戸内海が観光資源として注目されています。

 今年の大河ドラマ「平清盛」の放映に合わせ国土交通省でも「瀬戸内広域クルーズツアー」の計画があります。3泊4日で横浜を出発し、2日目は大阪湾クルーズ、3日目に神戸から瀬戸内海の島々を巡り、4日に広島の厳島神社を訪れるコースが検討されています。東京から京都大阪を巡るゴールデンルートに継ぐ中国人観光客の観光ルートとして定着させたいということです。

 姫路駅駅前の動き

 JR姫路駅駅前広場の整備が動き出しています。駅ビルの開発に合わせて姫路城の外堀をイメージしたサンクンガーデンが2013年9月末完成の予定で着工しています。又、姫路城の城郭を額縁にはいった様に眺める「眺望デッキ」と立体横断歩道橋も議会承認後2013年3月下旬までの工期で着工します。

 改修中の姫路城は観光資源としてとても魅力のあるモノです。生野銀山と結ぶ「銀の馬車道」と呼ばれるルートもあって、まだまだ魅力が知られていません。駅前整備をきっかけに,姫路城の改修の完成まで、話題を盛り上げていければ「化ける」と考えています。

                                        (2012年01月10日)
■「芦屋のおばちゃんのブティック」とこれから伸びていく「小商いスモールビジネス」の境界

 小商い・スモールビジネスへの注目

 全国チェーンでシステムを整備しているから出来ることと、小さい商圏でお客様の顔が見えているから出来ることがあります。日本の小売業はこれから大きく2極化していきます。飲食店でも例えばイタリア料理のサイゼリアはシステムを整備した圧倒的な価格競争力がありますが、一方で夫婦でやっている街のイタリア料理店も共存しています。(店のレベルが違うのですが・・・)

 小売店や飲食店だけでなく、若い人が立ち上げた小さな企業も活力があって楽しそうです。〜当社の周辺にそんな企業が多いので余計にそう感じるのかもしれませんが。

 ラグジュアリーマーケットのこれから

 本当の富裕層はそんなに影響を受けていませんが、株や不動産の市況の低迷で「富裕層気分」のあぶく銭を手にした人が少なくなっています。(特に関西は東京とはちがいます)
 中国人観光客が激減してるのでラグジュアリーラインの店舗の店頭はお客さんが少なくて寂しい感じがします。もともと店頭が賑わいすぎると接客も出来ないので、店頭には人が少ないというのが本来の姿なのでしょう。

 若い人がラグジュアリーブランドを購入するという事も少なくなっています。関西という地方マーケットに限っていえば、顧客を掴んでいる百貨店外商が真価を発揮する時期なのですが、梅田の阪急、阪神、伊勢丹はともに富裕層対象の外商はあまり得意ではありません。JR大阪三越伊勢丹が基盤を固めるとしたら三越の外商なのですが、おそらく伊勢丹ご出身の方はあまり「外商」に関心はないのではと推測します。強みを活かせばいいのに・・・。(阪神間の家庭に高島屋の外商が訪問すると歓迎されるそうです。この地域は阪急百貨店が圧倒的に強いとはいえ「物足りない」のだそうです)

 バブル以前のラグジュアリー市場

 バブル期以前の関西のラグジュアリー市場のプレイヤーは百貨店の外商と共に、阪神間に点在する高級専門店の路面店があります。フクハラやサンモトヤマ系のブティックとは違って芦屋のおばちゃんが旦那さんの金で開いている趣味のブティックです。

 自分の好きなモノを集めて並べて、お友達に売っている。・・・あまりビジネスを考えていない分、面白い商品を並べています。(あまり縁の無い世界ですし、お近づきになりたいとは思いませんが、まあ、あってもいいかなというお店です)ある意味スモールビジネスに近い世界ですね。

 外見上は若い人の小商いというか、スモールビジネスに似ているのですが、最大の違いは「芦屋のおばちゃんのブティック」は自己満足の追求を唯一の目的にしていますが、スモールビジネスは顔の見えるお客様の満足を追求しているという点にあります。同じように好きなことを追求していても天地の違いがあります。

 「芦屋のおばちゃんのブティック」的ビジネスはあったほうが楽しいですが、ビジネスベースでのお付き合いは大変でしょうねきっと・・・。

 昔ドームシティのよこにあった「郷ひろみのイタリアンレストラン」も経営はパチンコ屋さんだと聞きました。「ちゃんこダイニング若」は名前貸しとは言えご本人が宣伝されていましたが、郷ひろみの店にご本人が来店されたとは聞いたことがありません。

                                                  (2012年01月06日)
■2011年のホテル業界〜週刊ホテルレストランの総括から

  震災のダメージと欧州危機がホテル業界に与えたダメージ

 ホテル業界の業界誌「週刊ホテルレストラン」が12月号で2011年のホテル業界の総括を行っています。
 ホテル単体での売上規模が100億円を超えるホテルが2010年の32ホテルから16ホテルへと半減してます。東日本大震災、東京電力原発事故が大きなダメージになっています。訪日観光客数も月から夏頃までは大きくダウンしていました。さらに欧州の経済危機に発する円高が追い打ちをかけます。

  フルサービスホテルの衰退

 従来の日本のホテルの特徴は宿、料飲、宴会、婚礼などの複合機能を持ったフルサービス型が主流でしたが、巨大な総合シティホテルの収益構造が悪化し、宿泊特化型のホテルが好調でした。

 特に、従来型の安物のビジネス型だけでなく、付帯施設を絞り込みながら快適性と機能性を兼ね備えた洗練された宿泊型のホテルが登場(ロイヤルパークプラザ福岡、京都)したのが注目されています。

 沖縄と京都に注目

 沖縄はインフラ整備が進み、ホテルの売上効率が上がっています。海外からの観光客も沖縄なら安心ですし、首都圏から避難した人も多いといわれています。
 京都もホテルラッシュでした。ベストウェスタンホテル京都(84室)、アンテルーム京都(61室)が4月に開業。10月にはホテル近鉄京都(368室)、ロイヤルパークホテルザ京都(172室)、絹の湯花伝抄(105室)が開業しています。2014年にはフォーシーズンズホテル京都、ザ・リッツカールトンの開業が予定されています。
 インターナショナルブランドの高級ホテル開業が京都の観光を変えるかもしれません。

 ホテル格付けの必要性

 そろそろ日本にもホテル格付けの必要性があるということで勉強会を立ち上げる動きがあるそうです海外からの訪問者のホテル選定の目安が必要なのでしょう。
 国内客ではSNS、ツィッターやFacebookでの利用者の評価がかなり影響力を持ってきています。WEBの評価サイトにはランキングをあげる工作をする業者が存在します。利用者の参考になるフェアな指標が必要なのでしょうね。

                                              (2012年01月06日)
■神戸の逆襲が始まるか?〜観光客の獲得に向けて

 平清盛に高まる期待

 今年のNHK大河ドラマ「平清盛」にゆかりのある神戸では、市内の大型ホテルが清盛に関連した観光プランを相次いで打ち出して神戸の宿泊観光の増加を図っています。

 観光タクシーや貸し自転車で史跡を散策するプランや、清盛にちなんだ食事付きプラン(平家物語で清盛が食べて平家一門が繁栄したとされるスズキや紅白なますを使った料理だそうです)を提供します。1月下旬には神戸市がネット上で各ホテルのプランを紹介するページを作成してバックアップするそうです。

 また地元のアニメスタジオが清盛のイラストを描いた(アニメ絵の)絵馬を地元三社で販売します。


 観光都市のイメージがある神戸ですが宿泊比率が少なく、日帰りが多いので、これを機会に宿泊比率の向上に繋げたいという事でしょう。

 神戸ハーバーランドの新しい動き

 2009年以来長く放置されていた神戸ハーバーランド「ニューオータニ神戸ハーバーランド」跡地に「クラウンパレスホテル」が3月に開業します。
 神戸市のホテルマネージメントインターナショナルが「神戸ハーバーランドセンタービル」を50億円で購入し、17階建ての旧ホテル棟を23億円かけて回収したものです。(旧「神戸西武」跡は改装し4月にオープン予定です。中国やタイなどのアジアの観光客を意識した飲食店や雑貨店80店で構成します)〜神戸西武跡地にはその後動きはありません。サイゼリアが入店し、イベント会場でフェルメール関連のイベントなどが開催されています。

 ニューオータニ時代は235室あった客室を190室に改装し、単価15,000〜17,000円のミドルクラスのホテルとし、客室稼働率68%以上をめざします。外国人宿泊客を3割と想定だそうですが、商業のコンセプトと合わせるとウェートが高くなり客単価も下がってしまうでしょう。運営会社は全国で48の宿泊施設運営の実績があります。成算はあるのでしょう。

 ハーバーランド「神戸ハーバーランドニッセイビル」は神戸阪急の撤退を受けてイオンモールが運営します。イズミヤが入っている旧ダイエー跡や「モザイク」も含む92,000uの大型SCとなります。テナントは一部入れ替えということです。2013年の開業になります。

 昨年12月17日にハーバーランドと北野地区といった観光地区の間を観光客向けの馬車を走らせる社会実験を行っています。

 観光タクシーや観光バスにレトロデザインを取り入れて来ましたが、さらに一歩進んだ動きです。目抜き通りに馬車が走るとかなり注目されると思います。

 今後、トアロードでの定期運行を目指しているそうですが、成果はどうだったでしょうね。

 姫路駅ビル着工

 神戸からさらに西、兵庫県の西の拠点である姫路のJR姫路駅ビルが昨年末に着工しました。ファッションを中心とした、飲食サービスを含む商業ビルなる予定です。
 駅前の再開発ビルの計画もありl、今後の周辺商業の動きが注目されます。

                                               (2012年01月05日)
■ニトリモール枚方2013年開業〜2011年初出店の東大阪の好調を受けた勢い

 ニトリモール東大阪2011年10月5日開業

 ニトリホールディングスが初めてのモール事業として開業した「ニトリモール東大阪」(東大阪市西岩田)が好調です。年間来場者260万人、年商』80億円を目標にしていますが、開業6日間で12万人弱の入場者数を獲得し、売上は計画を上回っているそうです。敷地面積28,540uに25,044uの売場、駐車台数は1,019台、駐輪台数は1,4317台を確保しています。(駐車場は最初の3時間無料)

 2013年には大阪府枚方市、神奈川県相模原市にニトリモールオープン予定

  枚方市北山1丁目に58,787uと東大阪市の倍の規模の敷地を、相模原市南区大野台には24,609uと東大阪と同じ規模の敷地を確保し2013年には開業予定です。全国で10カ所をめどに開店予定です。
 枚方市は商圏人口60万人と想定されています。昨年12月には近くの松井山手にコストコ京都八幡倉庫店が開業し、開業日にはバスが動かない状態でした。

 第2京阪など広域のアクセスが改善されている地域ですが地域内の道路状況が良くないので開業までに検討が必要ですが、URの開発した団地や京阪電鉄のローズタウンなど住宅開発が進んでいた地域でしたが大きな変動がありそうです。

 好調を伝えられる「くずはモール」も少なくない影響を受けるでしょう。

 すぐ近くの枚方家具団地も少し停滞気味でしたが、新しい店のオープンや家具職人を育てる「家具工房」開設のなど注目される動きが始まっています・・・・(この件については来月記者発表をいたします)

                                              (2012年01月04日)
(ニトリモール東大阪のテナント)

物販は固定賃料、飲食5店は歩率契約
ユニクロ、アベイル、ビバホームが牽引しているとのこと(繊研01/04)

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