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2013年archive
2013年archive
株式会社ANALOG   場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク 
  エリアマーケティング・商業開発・まちづくり 

   (sano@analog-corp.com
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 ■システムがサービスをするわけではない
 
 定型的なクレームへの対応は素早いが
 ちょっとした気遣いが出来ないユニクロのサービス


 ある百貨店の方がユニクロのクレーム対応サービスを絶賛していました。電話でのクレーム対応の処理が取り替えに行った店頭の店頭のスタッフにきちんと伝わって.すぐに商品交換してくれたというものです。百貨店では出来ないと・・・・・おそらく、定型的なクレーム対応のシステムが構築されているのでしょう。
 商品もクレームがあれば全部交換した方がやりとりをして補修等に時間をかけるより、「コスト」が低いのでしょう。扱っている商品も工業製品ですから一定の割合で不良品がでることは利益計画の中で折り込まれています。

 そのユニクロの店頭で、全くユーザーフレンドリーで無い応対をされました。支払いにもたついて小銭を出す前にレジを処理してしまい、端数の小銭での支払いを拒否するのです。打ち直しが出来ないのであれば,せめて、おつりの小銭を両替してと頼んでも、出来ないと断るのです。おそらく、現在のキャッシュレジターは店員が不正出来ないように、入金したお金を直接扱えないようになっているのですね。・・・・預かったお金を入れると、釣り銭だけがでてくるようになっています。(先日イオンの食品SMで同じようなことを頼むと、わざわざ鍵をあけてお釣りを出してくれました)

 彼らの「サービス」は店頭のオペレーションの効率化の為の改善であって,決してお客の為では無いのです。ユニクロの考え方では全部自動販売機で売ることが理想なのでしょう。

 日本一の規模は日本一のサービスを生まない

 ある業務代行サービス会社にアンケートの入力をお願いしました。自分で入力したら5人日ぐらいの業務量で、慣れたオペレーターなら2人日の作業です。

 その会社では、預かってから10営業日、アンケートのホチキス止めをいったん外してスキャナーでの読み取り工程が別途必要だというのです。
 費用は、まあ安い方だったのですが、「少し得意分野と違うことを頼んでしまったね」とやんわりとクレームをいれたところ「当社の入力センターは日本一の規模です」と少し見当違いの、お返事が返ってきました。
 サービス業の本来のありかたについて議論するのも面倒なので、そのまま承りましたが,他社より「優れた」システムや大きな設備が優れたサービスを生み出すわけではありません。

 スキャナーでスキャンして、中国とは言いませんが、どこかの地方に入力専門のデータセンターがあるのでしょうね。大量のデータ入力ではそのやり方が効率的なのでしょうが、ちょとした急ぎ仕事への対応には大きなシステムは融通が利かないので、向かないのです。
 お値段はまあまあ安くてうれしいのですが、ぼろぼろになった調査票を見て考え込んでしまいました。

 印刷でも、プリントパックのようなシステム化された格安印刷業者に頼んだ方が安くて早い作業がほとんどですが、小さな町の印刷屋さんに無理を聞いてもらう方がスムーズに業務が進むことがあるでしょう。

 システム化することによって実現するサービスは「プロ」がほとんど介在しなくても事業が回るように出来ています。そのため、少し定型的な事を離れた対応は最悪になります。

 いかなる事業でも「プロ」による「人的なファクター」が介在しないと質の高いサービスは実現できないものだなあと考えています。

                                        (2013年12月25日)
 ■大阪城3Dマッピング〜目標入場者数50万人
 
 ハウステンボス「 ハウステンボス「光の王国」を大阪で 天下一の光の芸術祭
  「大阪城3Dマッピング スーパーイルミネーション スーパーイルミネーション」

      開催期間:平成25年12月14日〜平成26年2月16日

 http://www.tenka1hikari.jp/index.html#rel=1 へのリンク

 入場料をとるそうです。平日1,600円。休日休前日2,000円。平均1,800円×目標有料入場者数50万人で9億円の売上ですね。

 税金を使わないで民間の力で、集客する試みが成功すればいいですね。
 
 ネットで映像を拝見しましたが、大阪商工会議所の提案にあったような「大阪城の歴史」は全く関係なく、対象は「大阪城」である必然性はありません。ハウステンボスの「城」で行っている興業を大阪に持ってきたものですね。そのためか、大阪人の誇りである「大阪城」への「敬意」は感じられません。
 〜二条城での七夕のプロジェクションマッピングはもう少し、対象に「敬意」がありました。
 やってみることはいいのでしょうが一過性のイベントで終わりそうですね。

 ちなみに、東京のカレッタ汐留の3Dマッピングは無料

http://www.caretta.jp/index.html へのリンク

プロジェクションマッピングのイベントは東京駅や横浜、京都二条城でも開催されていました。
東京駅は人が集まりすぎて今年は中止されているようです。

http://dgmayo.com/2013/07/18/projection-mapping-tokyo/ へのリンク


 事例を調べても、お金を取っているところは少ないです。

 無料のイルミネーションイベントで、神戸ルミナリエ340万人。大阪光のルネサンス300万人。なので目標とする有料入場者50万人は,どうなのでしょう。

 今回は、運営主体に実績がありますので、大コケすることは無いと思います。大阪へのツアーが増えればいいのですが・・・・。

 
                                   (2013年12月18日)
 ■「縮退する郊外」と泉北高速鉄道売却問題
 
 コストカットを主眼とした都市施設・社会基盤の再配置だけでは未来は見えない

 全国的に人口は縮小していくことが前提となって、都市施設の再配置が進んでいるといわれています。公益施設(図書館、スポーツ施設、文化ホール、学校)などの転用・売却や指定管理者制度の導入や、交通需要の見込めない都市計画道路のみ直し、維持管理費用のかさむ橋梁などのメンテナンス対象の間引きなどは着実に進んでいるといわれています。(最近は国土強靱化とかオリンピックに向けた道路整備などで公共工事関連が活発化しています。〜資材や職人不足だけでなく工事の交通整理用の警備員さんも不足していると言います。にも関わらず、業界の現場は”一過性の景気”と冷めた空気が漂っています。)

 これらの縮減政策が、都市の将来ビジョンを描き出す、都市計画部局では無く、コストダウンを計画する行政改革部局が主体となっていることがいろいろな意味でマイナスになっていると考えます。
 
 右肩上がりの時代では無いので、行政コストのカットは必要ですが、都市のビジョン無しで、「高く売れそうな資産」を売却することは一時的なメリットはあっても、都市の維持発展にマイナスになることも少なくありません。

「土地総合研究」2013年秋号の東大 瀬田准教授の「縮減する郊外でマクロとミクロの土地利用を考える」という論文が関西の郊外都市を事例として取りあげておられます。

 泉北高速鉄道売却の否決というニュースとあわせて、考えさせられることが多いです。

 民営化は間違ってないとしても、地域住民の便益(運賃の値下げ)や将来の都市のビジョンについて公的なセクターがもっとコミットを強める必要があります。

 政治家ばかりで無く,、研究者、民間機関や,行政機関を含めた闊達な議論がなくなっているのが寂しいですね。

 自治体の職員の「シンクタンク」機能が劣化しています。過剰な「政治主導」「公務員叩き」に萎縮してしまっているのでしょうか?
                                       (2013年12月17日)

 ■Jフロントリテイリングは「百貨店事業」の本社を移転するべきだ
 
 百貨店業界から一歩飛び抜けたJフロントリテイリング

 一時、「拡百貨店」とか「脱百貨店」とか言う「言葉」が百貨店業界で話題になったことがあります。それから時代が過ぎて、百貨店業界の枠を超えて新しい小売業として飛び抜けているのは、大丸と松坂屋が合体したJフロントリテイリングでしょう。

 パルコの買収で都市型の商業集積のフォーマットの完成へ一歩近づいたといえましょう。梅田百貨店戦争でも伊勢丹・三越と阪急阪神の間に「埋没する」かとも言われていましたが、それなりの存在感を維持しています。(もし、カードとお金さえあれば、一番利用するかも知れない百貨店です)

 今年の夏以降、東京郊外、名古屋、大阪の街をしらみつぶしに歩く機会がありました。そこで感じたのは、流通グループとしてJフロントが東京に本社をおくことはよしとしても、大丸、松坂屋は本社を関西、名古屋に戻すべきだという確信です。

 百貨店は地域にかえるべき

 これから東京とそれ以外の都市の格差はますます拡大していきます。その中で「東京」の尺度で「地域」の百貨店を運営することは極めて危険です。梅田での三越・伊勢丹の惨敗を教訓とすべきでしょう。

 ブランドが浸透していない首都圏で「松坂屋」「大丸」の店舗を拡大することも大きなリスクですし、肝心の地元でも地域と「乖離」することも心配です。

 グループの中の一事業部門である百貨店の本社機能はそれぞれの地元に戻すことが、生き残る途でしょう。東京の大丸の食料品以外の収益力はいかがですか?

 身の丈に合わない「販促経費」の罠

 今回、もうひとつ気がついたことがあります。面積も、売上規模もさほど大きくない「商業施設」でやたらりっぱな販促物(定期刊行物、イベント、キャラクター?)を散見することです。
 費用対効果を考えると、本職の小売業では絶対にここまでお金をかけない「販促」が結構横行しています。「えーまだこんなことやってんの」という感想を持ちました。

 オーナーが自治体(外郭団体)だったり、異業種の大企業(マスコミとか)だったりする施設に多いようです。「利用者」はそれほど広域には拡がらないので、そのお金を「顧客」情報管理に使った方がいいと思うのですが・・・・。

 世の中にはまだまだ「削るべき無駄」が残っていますね。

                                   (2013年12月12日)
 ■何故その都市は衰退するか?
 
 何故隣り合った駅の乗降客数が違うのか?

 東京の中央線、小金井市の「武藏小金井」駅の乗降客数は1日12万人、そのお隣の「東小金井」駅の乗降客数は5.3万人です。

 周辺人口も似たようなものですし、大学も同じように隣接しています。地形も同じように見えます。

 ある人に「何故、乗降客数が違うのか?」というとてもプリミティブな問いかけを受けました。実際は、駅前の大型商施設の集積は圧倒的に武藏小金井市の方が多く、バス路線も武蔵小金井とお隣の武蔵野市の「武藏境」駅を中心に運行されていて、「東小金井」駅はエアポケットのようになっています。・・・まあその現実から見ると乗降客数に差がついていて当然なのですが、あらたまって、その差がついた理由を問われると少し考えてしまいます。

 その答えは歴史的な交流軸に遡れば見えてきました。

 中央線が出来る以前、多摩の村と江戸を結ぶ主要幹線は青梅街道でした。また幕府によって整備された甲州街道は甲州と江戸を結ぶ広域の幹線軸でした。

 小金井市の武蔵小金井駅はその東西の幹線を南北に結ぶ、小金井街道に面しています.小金井街道は武蔵国の中心であった府中につながります。沿線沿いに寺社も多く、人の流れが歴史的に形成されていました。東小金井駅は1964年に開設された請願駅です。小金井市の東地域はバス路線も少ないので,コミュニティバスが運行されています。

 現在、東小金井駅ではJR東日本の中央ラインモールプロジェクトの一環として、高架下の開発が進められています。

JR東日本八王子支社は十四日、JR東小金井駅(小金井市梶野町)の高架下に来年一月下旬、商業施設「nonowa(ノノワ)東小金井」をオープンする、と発表した。三鷹−立川駅間の連続高架化で生まれたスペースを活用する。
 nonowaは、武蔵野に「人の輪」「環境の環(わ)」「心の和」が生まれることを願う意味を込めたブランド名。開業は、西国分寺駅、武蔵境駅に続き三カ所目になる。
 nonowa東小金井は駅舎と一体型の施設で、駅舎や通路を除く二千四百平方メートルにスーパーや菓子店、フードコートや雑貨店など二十一店舗が入居する。開業に合わせて駅西側にはSuica専用の改札(午前七〜午後十時)を新設。駅東側の既存の改札前には、駅の周辺施設や市内の観光名所、イベントの総合案内所も設ける。
 来夏には施設東側の高架下に店舗面積五百四十平方メートルの別館もオープン。肉、魚、野菜、調味料などの食品を売る専門店街にする。
 施設西側には来年四月、自転車駐輪場に隣接する高架下に保育園を開業。定員は六十人の計画で都の認証保育所の申請を予定している。
(東京新聞)
http://www.jreast.co.jp/hachioji/info/20131114/20131114_info_01.pdf へのリンク

 「衰退する」都市

 竹村公太郎先生はCRIの連載でもおなじみですが、PHP文庫で「日本史の謎は地形で解ける」という本を刊行されています。

 興味深い「謎解き」がたくさん盛り込まれていますが、その中で「交流軸にある都市は繁栄する」という説が紹介されています。
 交流軸から外れて衰退した都市として、「奈良」がとりあげられています。かつての関西の地形では。河内地方は河内湖という湖でした。シルクロードを経由した文明の終着点は、河内湖経由で「奈良」の都にありました。
 地形図はhttp://kouwan.pa.kkr.mlit.go.jp/kankyo-db/intro/detail_p07.html へのリンク

 平安時代には、都は京都に移りましたし、河内湖は土砂の堆積で沼地になっていました。
 奈良は交流軸から取り残されたのです。

 逆に,取り残されたからこそ、残っている資源も沢山あります。

 「交流軸」から考えると、新東名の沿線の開発や駅ビルのありかたなど色々な開発のありかたに考えが、拡がっていきます。なかなか面白い本ですからぜひご覧下さい。

                                         (2013年12月10日)
 ■「文化や生き方に共感を持たれる街を育みたい」〜JR博多シティの慧眼
 
 JR新幹線駅ビル「JR博多シティ」の3年目の売り上げは前年比103%

 JR博多シティは専門店街「アミュプラザ」と「博多阪急」専門店で構成されています。初年度は「アミュプラザ」が目標300億円に対して356億円。「博多阪急」は目標370億円に対して380億円と好調なスタートを切りました。
 2年目は「アミュプラザ」342億円と売上を落としています。物販は前年を超えたのですが、飲食が80%と開業時の一時的な需要を継続させられなかたようです。

 業界紙での取材に、来年3月の「博多デイトス」との一体化や2016年の博多郵便局隣接ビルの買収で構成にでるときの目標として「文化や生き方に共感を持たれるエリアになっていないので、そういう街を一緒に育んでいきたい」とエリアのブランディングを進めることが語られています。

 駅ビルの開発ではともすれば立地の優位性背景にその時点で「有力なテナント」を誘致することだけが主なテーマになることも多いだけに、,まっとう視点だなと感心しました。

 梅田や新宿、名古屋駅のJR系の「駅ビル開発」で「文化」という言葉を聞いたことがありません。「乗降客数が桁違いなのでそんなことを考える必要は無い」と思っているのでしょうか?

 JR博多駅前 2016年春に「丸井」進出

 博多駅前の郵便局の建て替えの核テナントとして丸井が1万4千平米で出店します。2016年3月のオープンを目指しています。1時間圏の人口が400万人。1日の乗降客数は36万人。
 地下鉄の延伸でさらに集客力が向上することを期待しての出店です。

 大阪駅前の郵便局の建て替えはストップしていますが、やはり核店舗は「丸井」なのでしょうか、Jフロントがからめば「パルコ」という可能性もあります。 西梅田に新規での開発なると核店舗が無いと厳しいです。 

 そういえば「バーニーズ」がセブン&アイホールディングスの傘下にはいりました。伊勢丹のイメージが強かったのですが・・・・高くて購入できませんが、梅田にも来て欲しいですね。

                                         (2013年12月5日)
■OTSの売却で取り残されていく「泉北ニュータウン」〜誰が沿線価値を維持するのか
 
 物流施設への投資熱が過熱状態

 最近の不動産投資を見ていると、物流センターへの投資がこの2〜3年急速に加熱しています。翌日配達、当日配達が当たり前になってきていることで配送センターを都市部近くに集約する動きが強まっているからです。不動産の開発情報紙を読んでいても、工場やショッピングセンターより物流センターのニュースが圧倒的に多いですね。

 大阪府都市開発(OTK)売却先が米国の投資ファンドになりそう

 茨木市と東大阪市に大きな物流センターを所有する,大阪府都市開発は泉北ニュータウンを走る泉北高速鉄道の運営会社です。
 その株式の売却先は相互乗り入れしている南海電気鉄道が有力と見られていましたが、入札の結果米国の投資ファンド「ローンスター」に与えられました。もちろん、お目当ては物流用地です。

 あきらかに鉄道を運営して沿線から持続的に収益をあげるという農耕型のビジネスは考えていない会社です。東京の西武でも株主の当時会社は「不採算路線」の廃止を要求していたと報道されています。
 ローンスターの提示額は781億円。南海の提示額は720億円。たかだか60億円の差で沿線住民の未来を売り渡すというのはいかがなものでしょう。
 人口減少社会の中で鉄道会社は運賃収入だけでは採算がとれません。沿線での不動産事業、生活ザービス事業、小売業などで収益を確保しているのが現状です。

 泉北ニュータウンの未来は?

 高齢化、人口減少が続く泉北ニュータウンは平成42年には人口は四分の三になります。府北部の千里ニュータウンは国土軸に近く、住宅地としても高い評価を得ていますが、住宅の5割が老朽化の進む公的賃貸住宅である泉北ニュータウンは住宅環境は良くても街の資産価値はなかなかあがらないのが課題です。

 今回の売却益は「大阪府北部の開発に使う」というのも議会で問題になっているそうです。いわゆる「都構想」に反対していた竹山市長に対する堺市長選へのあからさまな意趣返し・・・と勘ぐる声も少なくないようです。

 もちろん、売却益を「投資効果の高い地域に重点的に振り向けるという」考え方は間違っていないでしょう。いわゆる「大阪都」とと広域行機構に権限を集中すると、重点的にされる地域とそうでない地域ははっきりと分かれてきます。かつて明治維新のあと「奈良県」は「堺県」として大阪圏の一部でした。」その時に大阪に比べて,奈良への行政の予算の振り分けがあまりにも低かったので、いまだにそれがトラウマになり、関西広域連合へ参加していません。
 南北格差はますます広がりそうですね。

 
 都市の経営の観点からも、その場所から離れられない「鉄道会社」が知恵を絞る方が地域にとってプラスになる事は間違いありません。

                                          (2013年11月28日)


結局,南海電鉄に売却することが決まりました。

 ■名古屋が消滅する日〜関西は戦略を立て直す必要がある

 リニア新幹線による東京ベッドタウン化と五摂家の崩壊

 かつて、「偉大なる田舎」と呼ばれて、都市として巨大化しながらその地域性を強力に保持していた「名古屋」が大きく変貌を遂げようとしています。
 
 その「排他性」の象徴ともいえる名古屋財界を牛耳っていた「五摂家」は,今やみるかげもありません。中部電力、松坂屋、東海銀行、東邦ガス、名古屋鉄道のうち松坂屋は大丸と一緒に「Jフロントリテイリング」として東京に本社を移し、東海銀行も三菱東京UFJ銀行となり、名古屋はホームグランドではありません。
 旧来の繁華街、栄ではなく名古屋駅前に拠点のある、JR東海やトヨタ自動車の存在感が高まり、繁華街でも名駅周辺の元気が目立ちます。地元百貨店として4Mとよばれた「丸栄」「松坂屋」「三越」「名鉄」の牙城であったはずなのですが、「JR東海島屋」に大きく市場を侵食されています。
 
 グローバル化というより東京化がかなり進行してきています。

 以前御紹介しましたが、地元の大学の先生がリニア新幹線の開通で「東京のベッドタウン化」がすすむと(肯定的に)語っておられましたが、ある意味で東京の支配下というと大げさですが強い影響力を受ける地域になる事は間違いありません。

 今元気のいいJR東海は東京都のあいだに人を動かしてなんぼの企業ですし、中部電力も電力供給で首都圏市場進出を計画しています。地元で無ければ・・・という企業はだんだん少なくなっていきます。

 東京オリンピックを契機に今後ますます,東京への投資が集中していくことでしょう。

 新幹線の開通でストロー現象がおきると指摘する識者も少なくありません。確かに,名古屋から東京へ移動する目的はあっても、東京から名古屋に移動する目的や理由はあまり想像できません。


名駅への企業や店舗の集中はリニア新幹線で東京につながるための布石です。

 実は名古屋にもいいところ、好きなところは沢山あるのですが、発信力が弱いので東京に圧倒されることは目に見えています。

 人口減少社会の中での東京の生き残りの悪あがきがオリンピック誘致

 地方分権のながれが政権交代の中で一気に後退しています。東京オリンピックによる東京への集中投資で、人や投資を東京に集めようという意図が露骨です。実際、東京での仕事の引きあいが関西の業者にもかなりきているようです。・・・・オリンピックが終わればどうなるのかを考えればかなりリスキーなのですが。
 カジノを日本につくるとしたらTPPで大きな痛みを被る,北海道か沖縄である事は自明であるのに「お台場」に誘致したい人が多いようです。

 リニアが大阪に来るまでの間に、関西の経済圏の一体化と海外との直接交流の強化を急ぐ必要があります。そのためには大阪のトップは各圏域の利害を調整する必要があるでしょう。

 あれほど、地域性が強くて良くも悪くも個性のあった名古屋が消滅しようとしているのを見ると強い危機感を覚えます。

                                          (2013年11月20日)
 9月
本格的な再開に向けての予告編  

 HPの更新に使っているウィンドウズVISTAのマシンが反乱を起こして動かなくなりました

 現在、新しいOSのパソコンに移行するか、反乱を鎮圧するかで検討中です。

 随分更新の間隔が空いてしまいましたが、ネタ切れになったわけではありません。
 近い将来の再開に向けて、東京の多摩を歩いて考えた事を予告編として掲載します。


1.ウォルマートは西友をどうしたいのか?

駅前に立地する古い西友は店舗も狭く、老朽化しており、確かに扱いは難しい店舗です。
店舗の設備には一切投資しないで、食料品の24時間営業を行っている店は、何かの罰ゲームをやらされているとしか見えません。
 隣の長崎屋は「メガドンキホーテ」に業態転換し,それなりに地元のヤンキーファミリー の人気を集めています。

 何故、ウォルマートはスクラップも、投資もしないで営業を続けているのでしょうか?

2.八王子はリトル新宿

八王子は、一応学生街のはずです。その駅前は、学生街の雰囲気では無く、けばけばしく、どぎつい看板が林立するあまり品の良くない街並みです。(関西人の私が言うのも何ですが)

 ユーミンの出身地である聖地八王子を始めてじっくり見て、少し落胆しました。・・・この街は「山梨県」の強い影響下にあるのですね。確かに、「甲州街道」は山梨に通じているのですが。意外に近い。

3.伊勢丹ミラーは失敗?

 伊勢丹が積極的に出店しているというコスメの専門店ですが、お客さんが全く入っていませんでした。新聞では好調と伝えられていましたが、本当のところはどうなんでしょう。

 首都圏、では圧倒的に強いはずのブランド力の神通力は無いのでしょうか?

 小型店、専門店がうまくいかないのなら、JR大阪三越伊勢丹がルクアに併合されたとしても、うまくいかないという最悪のケースを想像してしまいます。私は京都を旗艦店として、三越伊勢丹の関西圏はJR駅に小型店を展開するしか無いと勝手に構想していたのですが・・・・。

                                       (2013年9月8日)
 7月
■築港赤レンガ倉庫は取り壊しで活用へ〜外壁保存が条件

 大阪築港地区の赤レンガ倉庫 取り壊して活用

 天保山の築港地区の赤レンガ倉庫は住友倉庫によって大正12年(1923年)に建設された大阪市内に残る数少ないレンガ倉庫です。1998年に大阪市が住友倉庫から6億円で購入し、「芸術家村」を作る構想がありました。
 隣接した「海岸通りギャラリーCASO」は住友倉庫が1968年に竣工した鉄骨造倉庫を再生したた現代美術の展示ギャラリーです。
http://www.caso-gallery.jp/ へのリンク

 一帯は国際的な文化芸術の交流拠点として整備される構想で、安藤忠雄設計の人工地盤、、親水空間が2006年までに整備されました。

 延べ面積が7,200uとなる赤レンガ倉庫は、イベントなどで利用されていましたが耐震性がたりないため、立ち入り禁止とされ活用が検討されてきました。

 検討の結果、赤レンガ倉庫は建て直しを認めることになりました。620メートルの外壁の内、半分弱の280メートルを残し、屋根も現在の形を残すことが条件付けられています。

 保存も議論されていましたが1棟2億円の耐震補強費がネックになったといわれています。

 海遊館に隣接した「旧サントリーミュージアム」も「大阪文化館」と改称され、ワンピース展やツタンカーメン展で集客しています。

 現代アートの集積での街イメージ作りは、すぐに成果も上がらないので、行政の熱も冷めてしまったのでしょうね。国際的な基準でのセンスが必要ですしね。

 「集客施設」として大型レストランかブライダル関連の企業が手を挙げるのでしょうか?8月末にも定期借地での利用企業を公募します。

 ウォーターフロント地区全体での「現実的」でかつ「夢のある開発構想を再構築しないと、ばらばらと、手を付けられるところから虫食いで開発していくのはあまり好ましいやりかたではありません。

 「アートでの街づくり」の錦の御旗を降ろしてしまうと、あまりいい結果にならないと思うのですが・・・。

                            (2013年07月23日)
■「街コン」と「まちなかバル」生き残るのはどっちだ

 街コンの発祥の地は宇都宮市

 街ぐるみの合コンイベントである「街コン」がスタートしたのは2004年に宇都宮市で開催された「宮コン」だと言われています。地方都市の中心市街地は郊外の大型モールなどにおされて元気が無かったのですが、若者を集めるイベントとして、飲食店が連係して特別メニューを提供し、「出会い」の場を作るイベントで、大きなモノでは3,000人の参加者があると言われています。2011年には地域活性化の起爆剤として大ブームになり全国に広まりました。

 あちこちに乱立したのと、結構トラブルもあって、昨年頃からブームは終わったともいわれています。「飲食街の活性化」「地域活性化」という趣旨と、「出会い」に対してお金を払っている?参加者の意識のずれが大きいのでしょうね。

 「まちなかバル」の発祥の地は函館市

 バルはスペインの庶民に愛用されている飲食店で朝食から、夜の居酒屋利用まで、食事だけで無くコミュニケーションの場として活用されています。
 2004年2月に函館市の市街地の飲食店を街ごとバルに見立てた食べ飲み歩きイベント「函館西部地区バル街」が開催されました。

 参加する飲食店がドリンクとフードが一緒になったバルメニューを提供し、バルのガイドブックを参考に参加者が食べ歩くイベントです。
 街コンと違うのは独身男女だけで無く、ファミリーやおじさん、おばさんも参加できることです。

 近畿財務局のレポートで関西での「まちなかバル」の火付け役となった「伊丹まちなかバル」の事例が紹介されています。

 伊丹市では中心市街地活性化の一環として日本酒イベントの「酒樽夜市」や、商店街での100円均一イベント「100円商店街」などを展開していました。2010年10月に「清酒発祥の地」伊丹市として「酒文化があふれるまちなか」をテーマにし「伊丹まちなかバル」をスタートさせました。予想以上の来場者とイベント後のリピーターの多さに、現在年に2回のペースで開催が続いています。

 2013年5月の第8回目のバルには107店舗、1万人の来場者が参加しました。同時に開催された「伊丹オトラクな一日」イベントで街の中では100人のミュージシャンが」演奏をしており、料理と音楽の両方が楽しめる事で魅力がアップします。

 試しにちょっと検索しただけで、関西でも数多くのバルが開催されていることがわかります。地域の特性を活かした街ぐるみのイベントは、大型ショッピングモールには無い街の魅力を発見させてくれます。

                               (2013年07月19日)
■中高年が主役になってきたコンビニ〜50才代の利用が増える

 コンビニ利用が増えたのは20代と50代で多い

 性別では女性が増えていて、20歳代の女性では51.2%と半数強が「増えている」と答えています。スイーツなどの女性向けの商品が強化されていることの影響でしょう。50代の女性では「スーパーと同じPB商品があるから」という回答が多く、ちょっとした買い足しなどに活用されていることがわかります。今後シニアの利用が増えてきたときにセブン&アイの強みが発揮されそうです。(その意味でイオングループは「ピーコック」よりもコンビニチェーンの買収を急ぐべきだったと思います・・・これは、以前も指摘したとおりです)

 コンビニ利用機会は通勤通学途中


 自宅から、わざわざ出かける比率が少ないことは注目点です。もちろん、日本全国地域によって違いますが、周辺の居住者数では無く、人の流れの中でどのポイントにあるかが重要になります。
 利用されている商品もおにぎり、弁当、サンドイッチと言った食事に加えて、嗜好品として女性にはスイーツ、デザート、男性には缶コーヒー、タバコが利用されています。

 大阪市交通局の売店の運営をコンビニが受託していますが、コンビニの売れ筋上位をそのまま持ち込んでいることがわかります。立地はいいので、それなりに「利益は上がっているのでしょうが、利用者の立場では、スピード感が遅いのと雑誌・新聞の品揃えが劣化したことが不満です。

 エキナカの専門店ならともかく、キオスクでわざわざスイーツ・菓子パンを求める人はどれだけいるのか?駅の売店の雑誌で鉄道沿線の民度が図れると言われていました・・・それだけ利用者のニーズに敏感に対応していたという事です。今の売店は運営者の都合によるシステムの押しつけになっています。

 
 創生期には10代から20代の独身者を主な顧客としていたコンビニエンスストアは、かつての利用者のライフステージ変化への対応によって、利用を復活させたことと共に、20才代の新しい世代の利用者の獲得にも成功しています。
 基本的な「食事」の提供とともに嗜好品である「ケーキ・デザート」の開発に注力され、いつも新しい商品(情報)が提供されているからです。
                          
                                    (2013年07月18日)
図ー年代別コンビニ利用頻度と利用の増加
図1
図ーコンビニ利用機会
図2
図ーコンビニで利用する商品(全体、男女別)
図3


(マルハニチロホールディングス コンビニエンスストア利用実態調査2013)
全国1000sのコンビニを週回以上利用している人対象
コンビニの利用頻度については対象者抽出用の事前調査 N=3675
■三越鹿児島店撤退後の「マルヤガーデンズ」24ヶ月連続増収
 
 地域コミュニティの中心となる「マルヤガーデンズ」

 2010年4月、撤退した鹿児島三越の後をうけて開業したファッションビル「マルヤガーデンズ」は、
セレクトショップ、専門店の導入だけで無く、1ヶ月平均40企画と言われるイベントの開催でコミュニティの核になっています。

 http://www.maruya-gardens.com/ へのリンク

 テナントの入れ替えなど改装にも積極的で、2011年7月から2013年6月まで24ヶ月連続で増収を達成しています。

 地元百貨店の山形屋の野暮ったい店舗に、以前の三越の社員は「楽勝だと思った」といわれています。鹿児島三越の前の地元百貨店の丸屋時代の売上げ100億円を、一時は190億円まで延ばしましたが、最後は98億円と丸屋時代を下回る売り下で終わりました。
 最後は「スイーツガーデン」(フードテーマパーク)を設置するなど頑張りましたが力つきたようです。


 新しい店はカード会員を開拓し、イベントを継続するなど、顧客づくりに注力したことが成功につながりました。

 新幹線の開通による地元商業施設の危機感が協力してイベント開催する機運が固まったことも、回遊性を向上させることでプラスに働いています。

 姫路ヤマトヤシキ シニアプロジェクト

 駅ビルが開業し、若い人向けの商業機能が強化された姫路市の老舗百貨店「ヤマトヤシキ」はシニア層の顧客ニーズ対応を強化し、利用頻度を高めてもらうための「シニアプロジェクト」を開始しています。
 5階に「ユザワヤ」を導入、65歳以上を対象にお得な「シニアお買い物券」を発行しています。


 注目したいのは外商顧客向けの取扱商品を増やしたことで、「通販商品」や「家電製品」を開始しています。シニアといっても高齢化がかなり進んでいますので、来店できない人や、若い人のようにネットも利用できないので、このサービスはいい着眼点だと思います。

 来店の楽しみと、安心できる購買代行業の両方のサービスがシニアに対して必要になります。

                                           (2013年07月17日)
■駅ビルと百貨店の基本的な出発点の違い

 駅ビルの強みは利便性

 時間をかけずに買い物を楽しみたい+何が流行しているか見つけたいといったお洒落なコンビニエンス性が駅ビルの利用目的です。

 百貨店が提供するプチ贅沢や気分転換の要素は弱くなっています。人の流れが多すぎたり、環境に制約があるので仕方が無い側面もあります。
 JR大阪三越伊勢丹は駅ビルのルクアが中心になって「再構築」されるようです。(JR西日本の株主総会を報道する記事より)もし、JR西日本が百貨店業態をかかえる意味があると判断するなら、
 百貨店の強みを活かした新しい店舗のフォーマットをつくっていく必要があります。

 うめきた先行開発区域グランフロント大阪開業の影響

 ディアモール大阪、HEPファイブのダメージが相変わらず大きいようです。客層ターゲットの違う阪急三番街は堅調です。

 ルクアは入場者数は伸びているはずですが、全館の伸びは低調。グランフロント大阪のショップ&レストランは飲食店が多いので、その影響を直接的に受けています。HEPファイブも飲食店のダメージが大きいですね。新しい店の利用が一巡したら影響は収まるでしょうね。

 何度もいいますが、グランフロント大阪には「目的地」「用がある場所」がないので、何もしないでいるとわざわざ訪れる人は徐々に減っていきます。

 観光客については来年、あべのハルカスができたら人の流れは変わってしまうでしょう。

 今のうちに何か仕込んでおいた方がいいでしょう。

                                         (2013年07月16日)

図ースポット別買い物目的
図4
「買いもの幸福度調査」三菱地所・サイモン株式会社  2013年6月 
          首都圏在住の20〜40台の女性500人を対象にした調査)

図ー主要ファッションビル商況(6月)
図5
(繊研新聞2013年7月16日)
■買いもの幸福度調査に見る「百貨店業態」に残された価値

 あなたの「百貨店」は今でも流行を発信していますか?

 伊勢丹の社員さん(東京新宿限定以外は俯いて目を逸らしそうですね。

 首都圏の20〜40歳台の女性を対象に三菱地所・サイモン(旧チェルシージャパン)が行った調査で、他の業態を押さえて百貨店がトップになっている「買いもの目的」です。決して中高年対象の調査ではありませんよ。断然トップなのは「プチ贅沢をする」という目的です。「気分転換」というのもトップにあげられています。(図−2)

 一方、「楽しい気持ちになる」という評価(図−1)は「アウトレットモール」や「駅ビル」「SC」より低い評価です。1回の平均買いもの金額も「アウトレットモール」や「路面店などのブランドショップ」の6〜7割です。

 「自分の欲しいものを探す」時は「オンラインショップ」を利用することが多いようです。

 百貨店の主要なターゲットは60代以上になってしまっています。メインの客様に対応しつつ、、若い世代のお客様でも評価いただいている特徴をどうやって伸ばしていくかが生き残りの途です。

 人減らしと、価格訴求(ユニクロや無印良品を導入する)ことばかりに目を奪われると、未来は見えてきません。

                                  (2013年07月12日)
図−1スポット別「楽しい気持ち」評価と買いもの予算
図6
図−2 スポット別買いもの目的
図7

(「買いもの幸福度調査」三菱地所・サイモン株式会社  2013年6月 
          首都圏在住の20〜40台の女性500人を対象にした調査)

http://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M102139/201307083151/_prw_OR1fl_0547GgVB.pdf へのリンク
■韓流テーマパークの成算〜マルハンは破綻したフェスティバルゲートを超えられるか

 「フェスティバルゲート」〜開業時には800万人を超える来場者があった都市型遊園地

 1997年、新世界と愛隣地区に隣接した、大阪市交通局のバスの車庫跡地に「フェスティバルゲート」は誕生しました。総工費500億円、総面積1.4ha、店舗面積5,700m2。
 約380台収容の駐車場や、約120台収容の駐輪場も設けられていた施設は経営破綻の末、2009年にたったの8億円(入札予定価格、実際には12億円で落札)でたたき売られました。〜坪28万円ですね

 入札したのはパチンコの「マルハン」です。当初は、総事業費55億円を掛けて2階建ての新たなビルを建設し、ボウリング場を中心にしたスポーツアミューズメント施設『ツーテン・ゲート』(仮称)として、2013年までのオープンを目指していたそうです。(契約上5年間はパチンコ店の出店は禁じられている)。

 スカイツリーの影響で「通天閣」を訪れる観光客も増えていますし、愛隣地区のドヤも最近は外国人観光客に宿泊利用されるなど地域のイメージも少しづつ変わってきたと言います。

 日雇い労働者も高齢化し、仕事も、建設関係は東北の復興事業、工場は愛知や九州での派遣労働に変わってきているので、寄せ場としてもかつての「活気」はありません。

 2013年7月9日に、4階建ての「韓流テーマパーク」(仮称)を2014年秋に開業させると発表しました。

 「マルハン大阪韓流PROJECT」


 マルハンはパチンコ事業以外の事業の拡大を目指しており、、ゴルフ場の「太平洋クラブ」のスポンサーになり、東京では松竹などと「株式会社TOKYO六区シティ」を設立し、浅草に複合商業ビル「マルハン松竹六区タワー」を2014年に開業します。

 フェスティバルゲート跡地は更地になっており今年の秋から着工し、2014年秋の開業を予定しています。

 物販、飲食、食品、、多目的ホールの4つのエリアで構成され、物販では韓流スターのプロデュースしたファッションブランドや関連グッズのショップが入ります。

 飲食には韓国食文化を集積し、韓流スタープロデュースによる話題のレストランや素材にこだわった本格的なメニューが提供されます。
 食品ゾーンは韓国輸入食材のスーパーマーケットが導入されます。
 多目的ホール(仮称:KPOPホール)ではK−POPのコンサート、韓国で話題のパフォーマンスショーなど韓国エンターテイメントの為の多目的ホールになります。1,000台近い駐車場も整備されるとのことです。

 韓流スターのコンサートは今でも人気が高いのですが、常設するとしたらここなのでしょうか?南港ATCの中にも何年か前に韓流スターのショップがありました。今はどうなんでしょう。

 一世をを風靡した「冬ソナ」ヨン様のレストランが東京のどこかにあったそうですが、いつの間にか閉店していたそうです。(タレントショップでしょう要するに・・一時の話題だけです)
 確かに、ファンはいるのでしょうが、大阪では鶴橋とか桃谷のなどの在日韓国人・朝鮮人の多く住むエリアにつくるのが本来の筋でしょう。東京の新大久保のように・・・・。「観光客」だけでなく在日の同胞にも支持され、利用される施設で無いと永くは続かないです。

 日本橋の中国商品の総合店舗「上海新天地」では中国の食材やCDなどを在日中国人が買い求めに来ています。

 大阪には沢山の在日韓国人・朝鮮人が生活しています。鶴橋で若い在日の青年に話を聞いたことがありますが、ソウルには行ったことも無いし、韓国の文化にあまり関心が無いようでした。
 韓国内の出身地域の問題もあるかもしれませんが、観光でスポットライトのあたる「韓流」と「日本での暮らし」には大きな溝があります。

 韓流にはベースになる熱狂的なファンはいるのでしょう。(先日の京セラドームでの、イオンモールにまではみだしたコンサートのファンの数でわかります)但し、これだけの規模の施設に投資し継続的に収益を上げられるほどのポテンシャルはありませんし、今後の拡がりも期待しにくいでしょう。

 中国人団体観光客ならば、買いものは直接ソウルへ行くでしょう。

 5年後にはパチンコ屋が導入され、韓国では禁止されている「パチンコ」目的で来日する韓国人観光客のメッカになっているのかも知れません。ま、ある種の「カジノ」ですから市長も大歓迎・・・なんでしょうね?

 年間来場者数は300万人目標とされています。

 そういえば、道頓堀劇場も結局は本業のパチンコ・パチスロ屋サンにおさまりましたね。

                             (2013年07月11日)

 東京浅草の「マルハン松竹ロックタワー」は8階建てのうち1〜3階がパチ屋です。マルハンの社長も「パチンコを楽しみに来る海外の観光客もおり、今後、さらに海外の人を取り込んでいきたい」と明言しています。(週刊ダイヤモンド7月10日号)

 大阪市交通局の保有していた公共資産の跡地は、最終的にはパチ屋になる事が間違いないようです。 
なんだか、やりきれない思いです。       
                        (2013年07月17日)
■目先の利益の最大化によって失うモノ〜大阪市内のホテルを事例に

 宴会の量は地域一番ホテルの目安

 ながらく大阪でトップのホテルと見なされていた「リーガロイヤルホテル」はその歴史とともに「宴会場」の規模と、そこで行われる宴会の質で断然他を引き離していました(図−1)

 ある程度の格を持つシティホテルは、売上げの中で「宿泊」の構成比が低く「宴会」「飲食」の比率が高くなっています。(図−2)

 ただ、利益率に着目すると宿泊の利益率が高いので、最近開業する外資系の高級ホテルは室数は少なくても宿泊を中止においています。

 大規模なコンベンションを獲得するためには、客室数は数百以上は必要になります。(昔はジャンボジェット1機分が必要と表現されていました)

 その意味で大阪市内では「リーガロイヤルホテル」「帝国ホテル大阪」「ホテルニューオータニ大阪」あたらいがそれに該当します。
 「ハイアットリー-ジェンシー大阪」は南港という立地なので宴会のシェアは少ないのですが、本来のコスモスクエア計画が実現していれば「インテック大阪」(展示場)にも近いので。もっと本領を発揮していたでしょう。

 こういった背景があって「リーガロイヤルホテル」が7,800円で客室を提供しているという日経の記事が引っかかったのです。

 ホテルの格付けの変動

 JDパワーズという外資系のCSコンサルタントがホテルの宿泊客満足度調査を毎年発表しています。
 価格帯別に調査されていて1泊35,000円以上の部門では「ザ・リッツ・カールトン」が799ポイント(1000ポイント満点)で1位。2位が「帝国ホテル」777ポイント、3位は「ハイアットリージェンシー」723ポイントと続きます。

 その次のランク15,000〜35,000円部門では、関西にもあるホテルでは「ヒルトン」が714ポイントで3位。「ホテルグランヴィア」が695ポイントで4位。「ホテル日航」とならんで「リーガロイヤルホテル」が692ポイントで5位となっています。

 詳細はJDパワーズ「2012年日本ホテル顧客満足度調査」で検索してみて下さい。

 ブランディングの失敗

 リーガロイヤルホテルはウェストウイングの老朽化が価格破壊の理由でしょう。団体用にだけディスカウントして売れば目立たなかったのに、ネットで売って少しでも利益にしようと考えたのだと推測されます。売上げの中心は宿泊ではないのですから割り切ればよかったのです。(ホテルオークラはこの間まで稼働率50%でもネットで安売りしていませんでした)

 結婚式は儲からないので最近まで力を抜いていたホテルも多かったのですが、専業のハウスウェディング業者が利益をあげているのをみて再度注力するホテルが増えています。

 ハウスウェディングの会場は平日の昼間、アイドルタイムは施設を閉めています。(サービススタッフは派遣)そのことで「コストダウン」をはかり、演出や付帯サービスでしっかり稼いでいます。

 これをフル稼働させないといけないと考えると「不要なコスト」が発生します。ホテルの発想ではできない着眼点です。

 もちろん、施設に投資したので夜は別業態の二毛作、、三毛作で稼ぐのが正解という業種もありますが。ブランド価値=評判が生命線のホテルでは致命傷です。

 リーガロリヤルホテルは古くて狭い客室を、安く市場に流してフル稼働させることを善と考えたために、ブランド価値を喪失したのです。

 昨日にも述べた、活気がある=元気であるという単純な思考では大阪の都市の資産はいかせないという事実にもつながる事例です。

                             (2013年07月10日)
図−1 大阪市内主要ホテルの価格帯と室数、最大の宴会場の規模
図8
図−2 大阪市内主要ホテルの売上げ構成比
図9

 ホテル年鑑2009 オータパブリケーションズからANALOG社作成

■炎暑の大阪の街ネタ〜アメリカ村の行列は・・・

 エッグスンシングス心斎橋店 6月21日オープン

 2010年に原宿に進出して以来、生クリームを山盛りにしたパンケーキが人気で行列が出来ているハワイアンカジュアルレストラン「エッグスン シングス」心斎橋店が6月21日にアメリカ村にオープンしていました。たまたま通りかかったのですが、今時珍しい、昼間からの長蛇の列に思わず、何に並んでるか確かめると・・・・なんだ。パンケーキでした。

 この前見たアメリカ村の行列はマクドナルドのメガマック発売の無料?ぶるまいでした。(派遣切りが話題になった時期でしたから、「マック、派遣切りされた派遣労働者への炊き出し・・・」と酷い言い方もされていました)。

 タイーガーコペンハーゲンはレジ待ちの行列が2階まで

 昨年開業して話題になって居たデンマーク発の雑貨店「タイガーコペンハーゲン」は品物は十分に揃っていますが、店内のレジ待ちに長蛇の列です。すごく売れているかレジの手際が悪いか、どちらかでしょう。列は2階の売り場にまで並んでいます。

 品揃えは・・・・最近の100円ショップもかなりおしゃれな品揃えになってきましたが、やはり北欧のデザイン力には及びません。センスのいい商品も揃っています。といってもほとんどあってもなくてもいい商品なので買った後は後悔してゴミになりそうです。

 心斎橋でかつて行列が出来ていたハーゲンダッツのあったあたりに6月1日にオープンしたH&M系の「ウィークディ」はモード系をうたっていたわりに無難な商品が多い店です。今ひとつです。

 大阪はビフの街?に

 大阪の主要な通りの広告規制を緩和し、電飾広告や、ラッピング広告を解禁するようです。「規制緩和」であれば広告を審査する役所の機関がうまれ役所の仕事が増えます。
 「規制廃止」であれば無秩序な看板が並び御堂筋が香港や道頓堀のような街並みになるということです。

 すでに整備が進んだ三休橋筋には新世界の串カツ屋の品の無い「でかい看板」が掲げられ、「政治家」のポスターを大々的に掲げた居酒屋が店を出しています。・・・・人によってはこれを「活気」とか「賑わい」とか呼ぶのでしょうね。静かな四ツ橋筋にも「巨大な看板」を掲げる自転車屋が開業し,周辺から浮きまくっています。

 これで、今後大阪にカジノが建設されるのであれば「大阪」はバックトゥザフィーチャー2のビフが金で支配する悪夢のような未来の街(といっても1985年という設定ですが)になるでしょう。

 尊敬する有識者の先生が描いた「美しいビジョン」の下には、何を「活気」、何を「活力」と考えるかという点で基本的な間違った強い思い込みが伺えます。
 「大阪の元気」について中身をしっかりと議論する必要があります。過疎地の町おこしではないのですからね。

  ルクアの社長がJR出身の山口氏に交替

 JR大阪駅の駅ビルの社長にJR創造本部の副本部長をつとめておられた山口正人氏が就任しました。開業以来陣頭指揮をとっていた中山社長は引退されました。

 伊勢丹出身で、JR京都伊勢丹の社長から転職された中山氏の退職により、JR大阪三越伊勢丹の再生はルクアとの連係が欠かせないだけに、JR西日本が主導していくことになるのでしょう。

 うめきた先行開発区域グランフロント大阪の開業で、来場者が増えても売上げにはつながっていない大阪ステーションシティの再構築にはあまり時間をかけられないので、組織を固めて早く動く必要があります。2015年春に改装オープン・・・て来年はどうするんでしょう。

(今秋にJRと伊勢丹で合意し、来年早々に工事に入るということです。1年かけての改装といことはかなり大きな工事になるのでしょう)
                                          (2013年07月09日)   
■首都圏のホテル稼働率は改善傾向〜京阪神では神戸が厳しい

 稼働率はホテルの人気の目安にはならない?

 週刊ホテルレストランが全国の267ホテルを対象に客室稼働率の調査を行っています。調査対象ホテルは地域の上級ホテルです。地域でまとめられた稼働率は,その地域のホテル需要を推計する目安になります。

 毎月、調査地対象ホテルの一部についてホテル別に稼働率が掲載されています。
 個別のホテルの業績は客室稼働率だけでは判断できない側面があります。上位クラスのホテルの売上げでは客室からの売上げが2割程度です。

 東京の「ホテルオークラ」の昨年11月の稼働率が50.2%、「ホテルニューオータニ」が45.2%だったりします。ただ、7月2日の記事でも触れた「ネットエージェント」によるプロモーションが急速に普及しており、「ホテルオークラ」の稼働率が50%を超えたのは「ネットエージェント」によるプロモ-ション効果だといわれています。

 もちろん、ネットでの販売は価格訴求や安売りばかりではなく、館内の施設・サービスを活用した「商品企画」によって個人客を呼び込むのですが、どうしても「お得感」が最後の決め手になります。

 客室をその日に売り切りたいという、また価格を下げれば売り切れるという実績が、リーガロイヤルホテルの旧館の7,800円という販売価格につながります。ただし、その落ちぶれ感は宴会や会合のセールスにとってはプラスばかりではないでしょう。

 神戸は宿泊のポテンシャルが低い?
 
 神戸市は観光都市というイメージでとられがちですが、客室稼働率の側面からは大阪市や京都市に大きく差を付けられています。大阪にあまりにも「近すぎるせいでしょうか?

 同じように大阪に近い京都市にはインバウンド、学生団体というベースがあります。

 京都には来年2月に「ザ・リッツ・カールトン京都」が開業します。個人客中心の134室のコンパクトなスケールのホテルです。飲食施設、スパ、プールが備わった、都市型リゾート施設になりそうです。
 神戸にはホテルオークラ以外、あまり全国的に知名度のあるホテルは存在しません。また老舗ホテルも残っていません。地元の人にとっての「特別の場所」が無いのです。

 神戸市の起死回生にはまだまだ課題が多そうです。

                                         (2013年07月08日)
図ー2012年ホテル稼働率
図10
(週刊ホテルレストラン 2013年3月8日号)全国267ホテルへの定期的な調査による
■急速に変わる市場といつの間にか変わってしまった市場

 死亡者は増えても「売上げ」は縮小する葬儀業界〜再生の鍵は?

 毎年、件数が増えていながら,売上げ規模が縮小しているのが葬儀業界です。2011年には1兆4,145億円で前年比6%の減少となっています。

 葬儀のうち415を占めるのは「式典進行・設営・葬具」で5,859億円。その次に多いのが返礼品17%で2,385億円。生花、1,869億円(ちなみに花卉小売市場は1兆260億円 2012年矢野経済研究所 同調査での生花店から葬儀業者への出荷ベースでの葬儀花市場は1,132億円〜葬儀業者の粗利は4割ですね)
 飲食費用が1,758億円です。

 葬儀業界では葬儀の小規模化の進展が著しいのです。背景には高齢化による出席者の減少、宗教離れと地域コミュニティの希薄化などがあげられています。友人や連絡先のリストが紙媒体からデジタル管理になり、配偶者が連れ合いのネットワークを見ることが出来ない・・・というやや強引な理由もあげられています。(特定サービス産業実態調査)デジタル管理している位の人なら,エンディングノートを書いていそうですよね。

 家族葬などの小規模葬儀から、1日で通夜、葬儀、初七日をすべて終わらせる葬儀へのニーズも高まっています。宗教儀式をともなわない、火葬場での「直葬」を選ぶ人も増えています。

 「葬儀」は誰のためにあるのか、と原点に返れば、「儀式」の要素は最低限に抑えて、ご遺体の「処理」はシステマティックにすませることでコストダウンをはかり、一番悲しんでいる人の心のケアに重点を置いたビジネスへと転換する必要があります。もともと「儀式」は喪主が「死」「喪失」を受け入れるための手順なので、会社や地域へのプレゼンテーションの要素が薄まってきた以上、今までと違った視点でのアプローチが必要です。

 宗教者にかわるカウンセリングプログラムや、法事に変わる新しい人生に向かう医療、介護、資産管理の総合サービスの提供が葬儀業の中核事業になるでしょう。

 事業免許が不要なので、ご遺体の衛生管理を徹底したローコストの基本サービスと、付加価値の高い飲食、生花などの非日常の装飾、喪主に寄り添うカウンセリングサービスが収益源となっていくことでしょう。お金をかけたくない、かけられないひとはローコストの基本サービスでお見送りを終えることも可能になります。数字から見てもこの流れは止められないモノです。

 20年間で様変わりした木製家具を巡る状況

 TPPで農産物の関税が撤廃されようとしています。先に関税が撤廃された国内の林業業界は壊滅状態にあります。その中で生き残る途を考える材料になりそうな統計数字を御紹介します。

 1993年の国内の製材所の出荷数を見れば、米材を中心とした外材が国産材を圧倒しています。ところが、2010年になると木材の需要も大きく縮小していますが、外材の落ち込みが国産材より大きく、出荷額は国産材が外材を上回っています。(家具は壊滅ですね、植林されている杉やヒノキは家具には適さないのです)

 ひとつは原木で無く、合板などに加工された木材の輸入が増えたことと、家具であればニトリなどのように生産を海外に移転していることがあげられます。生産国も加工した付加価値の高いモノを輸出した方が富が得られます。
 たまたま、木材、家具を調べていてこのような統計を見つけました。アパレルなどでも同じような傾向がでているのでしょうね。(日米繊維交渉が紛糾したのは随分昔の話になりましたね)

 経済産業省の「我が国製造業における「空洞化の現状」というレポートでは、製造業の工場の海外進出は海外での需要に対応する生産増のためのもので、国内需要に対応する国内工場の業務を海外に流出させるものではないと結論づけていました。どうなんでしょう?

 国内市場はこれから縮小していきます。労働集約型の加工作業は海外ですませたものが「安く」入ってきます。これからもTPPにより拡大するでしょう。

 農業をどのように生き残れる産業にするかは喫緊の課題です。木材の輸入で減少のもう一つの理由は乱伐で資源が枯渇し輸出を制限しているということもあります。あれほどありふれた素材であった「ラワン」はもうありません。ニトリの家具は生育の早い「ゴムの木」で作られていますが、生育が早い分、劣化も早いのです。

 農産物で生き残るのは、生産と,商品企画と、流通が消費者に近いところで緊密に連携する形になるでしょう。伊勢丹がオイシックスと提携したことには必然性があるのです。

 国産材は樹種的にも価格でも壊滅してもおかしくないのですが、それでも地域で守りたい,守らなければならないと考える人が多いので命脈を保っているといえましょう。決して良い状態ではないのですが。


 葬儀業界にしても、農林業にしてもそれまで手がかかって儲けが少ないと思われていた「ニッチ」な市場で本気で食べていく覚悟で事業の再構築が必要です。

                                          (2013年7月5日)
図ー葬儀業務の年間売上高(特定サービス産業実態調査)
図11

図ー葬儀業の業務種類別内訳
図12

20年間で様変わりした市場 木材,木家具の材料

図-材種別用途別製材出荷量(全体)
図13
図-材種別用途別製材出荷量(家具)
図14
(木材需給報告書 農林水産省)
■伊勢丹松戸店「新しい地域百貨店のビジネスモデル」

 新しい地域百貨店のビジネスモデル

 三越伊勢丹グループの3年計画では次のように発表されています。

■地域ニーズにあわせた領域の強化

これまでの衣料品を中心とした商品展開を見直し、「食・住・遊・美・学」などの生活全般への幅広い領域にわたって、お客さまの購買意識や生活関心度などのエリア別の地域特性を十分に踏まえた対応を図ります。

■“ハイブリッド型”店舗化

お客さまのニーズへお応えし、よりいっそうご来店いただくために、これまでの既存店舗運営モ
デルに加え、新たに百貨店と専門店の組み合わせによるハイブリッド型店舗化を進め、相乗効果を
発揮させていきます。

■店舗の独自性強化

自主企画商品の拡充や、店舗間セントラルコントロールの仕組みである「ユニットショップ」の
導入など、三越伊勢丹のグループ力を活かしたMDのコンテンツ充実化を図るとともに、地域のお
客さまのニーズにきめ細やかにお応えできるサービスメニューの拡充や、販売インフラの整備、教
育の強化などを通じた販売力の強化により、店舗の独自性にいっそう磨きをかけていきます。

                        (三越伊勢丹ホールディングス 報道資料 6月5日より)

 伊勢丹松戸店は33,109uで214億円の売上の店です。今年の秋に、上記の考え方に基づいたリモデルが実施されます。

 地域ニーズに合わせた領域強化としては子どもの遊び場の新設による"子育てファミリー支援”として「ボーネルンドあそびのせかいを設置、「ボーネルンド」のショップと親子の室内遊び場「KID−O−KID」からなる複合施設です。松戸市や聖徳大学と協働で店内で様々なイベントが実施されます。
 千葉県ではまだまだ「室内遊び場」というのいうのが、母親の安心につながり強くアピールするのかも知れませんね。

 ハイブリッド型店舗としては百貨店と専門店の融合店舗。百貨店の自主運営部分と専門店部分を共通のコンセプトに基づきフロア内に効果的に配置し
イベント等で連係し、相乗効果でお客様の回遊性を高めます。

 具体的には書籍は「ジュンク堂」、文具は「丸善文具」、アウトドアは「好日山荘」が導入されます。

 商圏のニーズに応えるための専門店導入であって、効率の低い売場を出来るだけ高く貸して、かつ人員を減らして見かけの利益を生みだそうと言う「数字合わせ」からの発想ではないようです。(もちろん、そんな発想の企業は百貨店業界の中には存在しませんが)

 従業員数が506人と、スリム化が進んだ大丸、松坂屋の二倍の体制ですが、専門店の導入でスリムになる人員をどの業務に向けるのか?伊勢丹の場合ですと自主運営売場の充実が想定されます。

 あくまでも地域ニーズへの対応を出発点にした再構築である事が注目ポイントでしょう。

 具体的なフロアプランの発表が楽しみです。

                                     (2013年07月04日)
■松坂屋銀座店の百貨店としての再生は無いだろう

 6月30日88年の営業に「一旦幕を下ろす」松坂屋銀座店

 銀座有楽町には地域の核になる5万u以上の大型百貨店は存在しません。松屋銀座店が最大で41,806uです。閉店した松坂屋銀座店は2.5万uで4番店でした。

 この地域は地域のブランド力が高く、専門店、他の大型専門店とあわせて、銀座全体が大きなショッピングセンター・ライフスタイルセンターと想像すればわかりやすいでしょう。(本当は逆なんですけれどね。ショッピングセンターが街を目指しているという意味で)

 報道で銀座最古の百貨店が惜しまれて閉店というトーンで扱われていましたが、さて地元の人にとってはどうなんでしょう。関西発の島屋が日本橋が本店の東京の店と認知されているのに比べると、名古屋の店の支店・・・という「評価」だったのではないかと思います。

 再開発されたあとの商業施設は5万平米ということですが、jフロントリテイリングは「松坂屋」の再出店は言明していません。

 地元のお客様の愛着が薄い(商品券のシェアにもあらわれています)ことと、Jフロントリテイリングの特徴である従業員数の絞り込みから考えると「百貨店業態」での出店はありえないと思います。

 銀座の百貨店というステータスにこだわるなら「百貨店」もありでしょうが、jフロントグループの経験値では「高級品」の「大型専門店群」の一体運営は難しいと思います。

 グループ会社の「パルコ」のノウハウが中心になった店になるでしょう。

                                           (2013年07月03日)
図ー銀座・有楽町地区の百貨店 品目別売上げシェア  売場面積シェア(2011年)
図15

図ー銀座有楽町の百貨店 売場面積と従業員数
図16

(百貨店調査年鑑2012年 ストアーズ社 より作成)
■「市場が価格を決める」事がいつも正しいとは限らない〜リーガロイヤルホテルへの不安

 イールドマネジメントは収益向上につながらないという最近の論調

 Yield/Revenue managementはアメリカンエアラインやユナイテッドエアラインなどの航空会社により
収益を最大化(最適化)するために初めて導入されたビジネス戦略である。

その後、ホテル、レンタカー、そしてレストランでも導入された。広義にはイールドマネジメントは
正しい在庫を正しいお客さまに正しい時に正しい料金で販売することと定義されている。


 1980年頃から流行ったイールドマネジメントは、ホテル業界では客室はその日に売れないと機会損失してしまう性質があるために稼働率を上げる手段として急速に普及しました。インターネットの普及が市場に合わせた「価格」変動をさらに大きなモノにしています。

 限られた設備から最大の利益をあげるために極めて有効な手法だと思われていました。

 市場の需要で価格が決まるという仕組みは、現在では「長期的な価格設定では有効では無い」、「ホテルのように競争の激しい市場では、最終的には利益率がゼロになる徹底した割引になってしまう」(東京成徳大学 観光文化学科井上博文氏)という論調が強まっています。

 リーガロイヤルホテルの最低価格は市場の評価なのか?

 6月11日の記事で取り上げた「リーガロイヤルホテル大阪」の最低価格について、当社でもあらためて調査しました。おそらく旧館の古い客室の価格が7,800円なのでしょう。同じリーガロイヤルホテルでもリーガロイヤルザ・プレジデンシャルタワーの方は価格を維持しています。

 立地が不便で、設備が古いことで人気がないので価格を下げざるを得ない・・・ということなのでしょうか?

 旧御三家といわれたラマダホテル(東洋ホテル)は6,000円。ビジネスホテルですが、立地が良く、歴史のある=設備が古いままの新阪急ホテルが6,600円とアパホテルやスーパーホテルといった格安ホテルよりずっと安く止まれます。リーガロイヤルホテルの7,800円というのもスーパーホテルの水準です。

 市場が価格を決めることはある程度、「正しい」ことでしょうが、長期的に考えたときに「どの市場」で戦うかという戦略がなければずるずると後退していきます。

 関西地元の古い住民にとって「リーガロイヤルホテル」は特別なホテルでした。

 リーガロイヤルホテルの大宴会場も、サービス演出も今の感覚からすると「くすんだ」「時代遅れ」の印象がありました。

 イールドマネジメントが直接の原因では無いでしょうが、「価格政策」が前面にでてしまうことが、衰退に拍車をかけるように思います。ブランド価値が無くなると再生のための資源を失います。(これは百貨店業界でも感じることですが)


 「イールドマネジメント/レベニューマネジメント」本来の趣旨は「適切な価格」で「適切なお客様」に提供することなのでしょうが、一度、価格を下げて反応が上がると、価格しか目にみえなくなってしまうのが落とし穴です。
                                            (2013年07月02日)
図ー大阪市内主要ホテルの最低価格(ネット上での調査)
図17
 6月
■「辺境」で求められる百貨店機能

 買い物困難地域での百貨店の移動販売

 本日の繊研新聞の記事で、山陰地区の中山間地域の買い物困難地区へ米子島屋と一畑百貨店(松江の地元百貨店)が移動販売者での巡回販売を始めたという記事が掲載されています。

 コンビニや食品スーパーでは先行事例もありますが、地域コミュニティの支援という事業ですが、百貨店にはまた違ったニーズがあります。
 
 食料品を中心に日用雑貨を含めた500品目を扱っていますが、最も売れているのが「フォション」などのアイスクリーム、次に袋パン、生鮮三品の順で、客単価は1500〜1600円程度ですが、季節の生菓子は完売し、中元の要望もでているそうです。

  地方の高齢者は買い物弱者であっても「百貨店」へのニーズは持っています。地方都市で百貨店が閉店した地域から別の都市の百貨店へのバスツアーが盛況だという報道もありました。

 ポーラ化粧品がバスで仕立てたミニ百貨店を地方に巡回し、成功しているというニュースもよく取り上げられています。ネットを使いこなせれば大抵のものは入手できますが、百貨店で買い物する楽しみはそれ以上の楽しみがあるのでしょう。

  都市部の買い物難民

 中山間地域だけでなく、都市部でも買い物難民が増えています。高齢者になると移動が大変ですし、都心の百貨店では高齢者はターゲットでは無いので、何とかたどり着いても買い物を楽しめない環境になってしまっています。

 近鉄百貨店桃山店の店長に、日時を決めて高齢者施設の入居者の方に開放していると伺ったことがあります。

 「観光施設」」として百貨店を見直してみると可能性が広がります。実際に中国人団体客は観光地として日本の百貨店を訪れています。国内でも買い物目当ての日帰りバスツアーが人気です。
 アウトレットモ-ルも日帰り観光地として利用されています。(神戸市は観光客数にカウントしています)大阪都心部の百貨店でも、地方や高齢者のハレの場として都市観光の拠点になる店があってもいいでしょう。

 何も「ユニクロ」とかそんな感じの「勢いのある」専門店を導入して「坪あたりの売上げ数値を稼ぐ」(利益には結びつきませんが)ばかりが能では無いでしょう。

                                            (2013年06月28日)
■「JR大阪三越伊勢丹」誤算の研究A

 本店の縮小版で無い魅力作り

 JR大阪三越伊勢丹の売上げ構成比を伊勢丹本店、JR京都伊勢丹と比較したのが下図です。規模や立地が違いますので本店の縮小版では駄目なのですが、どうしても部門のバランスを考えてミニ版を作ってしまいがちです。

  近くにターミナル立地での成功例であるJR京都伊勢丹があるので、そちらとも、併せて比較すると、これから伸ばしていけそうなポイントが浮かび上がってきます。

  本店に比べてターミナル立地である、JR京都伊勢丹では「食堂喫茶」と「食料品」のシェアが高いのが特徴です。JR大阪三越伊勢丹では食堂喫茶はそれなりに存在感がありますが、「食料品」がもっと伸ばせる可能性があります。

 また、本店と比べて雑貨が低くなっています。化粧品や服飾雑貨も食料品とあわせて、強化をすればすぐに効果がでてくるアイテムです。

 本丸は婦人ファッションの強化ですが、強みのある紳士服・洋品とあわせてターミナル立地ならではの「食料品」の強化と、伊勢丹の持つ強みである雑貨を強化すべきでしょう。

 競合店である阪急、大丸、阪神もそれぞれ強み持つアイテムですが、梅田の絶対的な集客力を考えるとそれぞれが分けあっても十分成り立つだけの市場があります。

 なによりも、うめきた先行開発区域グランフロント大阪の開業景気で人は店の前を通っているではないですか・・・・・!

 
 基本的には阪急、阪神、大丸といった地元の百貨店を応援したいのですが、三越伊勢丹はこの地にあって欲しいですし,百貨店の未来のためにも失敗を克服して欲しいと願っています。

                                        (2013年06月27日)
図ー伊勢丹 部門別売上高の比率
図18

(ストアーズ社 百貨店調査年鑑2012より作成)  伊勢丹の強みは雑貨
■「JR大阪三越伊勢丹」誤算の研究@

 2008年の経営統合から始まる混乱

 2005年に株式会社三越が大阪駅新北ビルへの出店を決定して以来、出店の準備は株式会社三越が中心になって進めてきました。2007年には「新店準備室大阪事務所」と「三越大阪ギフトサロン」を梅田近くに開設しています。

 2007年と言えばリーマンショックでの大混乱がありました。その中で、三越と伊勢丹が経営統合し、事業主体が「株式会社ジェイアール西日本伊勢丹」に変更されました。

 「ジェイアール西日本伊勢丹」は伊勢丹とジェイアールが共同で京都伊勢丹を運営するために設立された会社で、この時点で、当プロジェクトに関わるのは三越と伊勢丹とJRの3者になりました。実質的に三越の準備室は組織としては解体されたのでしょうが、組織の慣性というモノがあって、よほど力強く方針転換しない限りなんとなく踏襲されるものが残ります。ネット上の情報ですが、当初の売上げ目標はリーマンショック前の数値がそのまま継承されていたと言います。

 優秀なサラリーマンが複数の会社から集まったときに、お互いに相手の面子を直接つぶさないように穏便にまとめる力学が働くのは良くあることです。衝突しない代わりに協力しない・・・・というのは、3セクの企業でもよくあった話です。

 この時点でゼロベースで見直しをしなければいけなかったのですが、何となくいけるような気がしていたのでしょうね。
 JR京都伊勢丹の成功体験と「伊勢丹」のプライドでしょう。当時本社でもこのプロジェクトを不安視する声もありましたが、本社マターでは無く「JR西日本伊勢丹」はJRとの共同事業だっったので、強くアクションすることが出来なかったのだと思います。

 当初の事業の責任者のあいまいさが結果的西日本の経営を揺るがすほどの不採算事業を産むことになります。
 

 JR京都伊勢丹の成功の背景

 1990年に京都駅に出店したJR京都伊勢丹は3番店としての地位を確立し,ファッション分野では2番店のジャンルもあります。ターミナル立地なので、飲食、食料品にも強みがあります。観光客の利用も多いようです。
 
 立地的に、滋賀県,京都南部と言った今までに開拓されていないブルーオーシャンを押さえたことと、河原町から離れていたので海外ブランド品を導入することが出来たのが勝因です。

 一番店である島屋が、身の回り品(服飾雑貨?)が強いものの婦人ファッションの力が弱いことも幸いしました。
 商品券のシェアが低いことはギフトのストアブランドとしては定着していない証拠ですが、.今後時間をかければ解消できるはずです。

 また、京都人にとって「東京」はある意味いい「鴨」(御しやすいお客さん)なので東京ブランドへの抵抗感がないことも、あるかも知れません。

 大阪では同じ勝ちパターンは通用しません。

 (余談ですが、大丸の人員の絞り込みはすごいですね。利益額で比較するとまた違ったモノが見えるかも知れません。伊勢丹とは違った方向性で百貨店の未来を示しています)

 JR大阪三越伊勢丹の現況

 売上げシェアを比較すると、飲食と紳士ファッションは相対的に検討していますが、肝心の婦人ファッションの強みが活かされていません。

 今後、百貨店売場は縮小し,専門店を導入することが報道されていますが、今のまま縮小版を作ってもさらに悪くなるだけです。売上げ数値を比較してもはっきりとした強みが見えてきません。
 今の時点で他店と比較しても何も得るものはないように思います。

 西日本旅客鉄道(JR西日本)は22日、販売不振が続く百貨店「JR大阪三越伊勢丹」について、今秋にも店舗刷新に向けた概要をまとめる方針を明らかにした。早ければ年明けにも内装工事に着手する。同店は開業から2年連続で売り上げ目標を下回っており、店舗構成の見直しを急いでてこ入れを図る。
 同店は2011年5月に開業。初年度の売上高は目標の550億円を大きく下回る310億円で、12年度も303億円と計画(340億円)に届かなかった。販売不振からJR西日本は12年4〜9月期に188億円の減損損失を計上、店舗構成を抜本的に見直して15年春に改装開業する方針を明らかにしていた。
(日経地方経済面5月23日)

 強いモノ、勝てるモノに集中しないと・・・・。地域一番店となる商品売り場を少しづつ増やすことが必要でしょう。

 ――2012年度も売上高は計画を下回った。
 「初年度の反動が出た面もある。ただ、1年目を総括して様々な面で修正している。食品フロアでは野菜売り場を刷新。人気店も導入した。婦人服も対象年齢を広げるべくブランドを入れ替えた。全体では減収だったが、順調にカード会員の口座数や売上高は伸びている。歳暮や中元も前年を上回るなど、固定客は確実に増えている」
 ――15年春の店舗刷新はどうなる。
 「商品戦略では伊勢丹ならではの商品を置くとともに、他店にある商品もそろえたい。売り場刷新などハード面でも、可能な限り手を入れたい。ただ、開業前の売上高目標550億円を目指すのは難しい。(300億〜400億円台といった)もう少し低い数字で、営業黒字が出せるように経費削減を進める。すでに京都店と催事や販促活動を共同でやるなど効果は出ている」
日経地方経済面5月 3日社長インタビュー

2013年3月期のルクアの売上高は、前の期比5%増の357億円となった。昨年11月に、阪急うめだ本店が増床開業したが、影響を受けなかった。ルクアの月次売上高は昨年12月以降も前年を上回って推移している。百貨店の主要顧客が50歳代なのに対し、ルクアは20歳代が中心で客層がずれている」
 「前期の来店者数は9%減ったのに増収となったのは、カード会員の存在が大きい。会員限定のイベントなどを開いたことで購入品数が増え、客単価は通常客の2倍(約5900円)となった。現在のカード会員数は約25万人に達したが、直近の1年で急増している」
日経地方経済面5月3日 ルクアの中山社長インタビュー

  JR西日本の株主総会では、売り上げが低迷する百貨店「JR大阪三越伊勢丹」の抜本的な再建策を求める声が株主から上がった。
 矢吹静副社長は「共同出資する三越伊勢丹ホールディングスと再生策について協議を重ねている。百貨店と(売り上げが好調なファッションビルの)ルクアを融合した新しいタイプの商業施設を2015年春をめどに開業したい」と答えた
。日経地方経済面 6月22日

 この文面からは今後の改革には「ルクア」が主導権を取ることが伺えます。とはいえ、中山社長が明言しているようにルクアの利用者と百貨店の利用者は全く違う層です。融合はとても困難な課題と言えます。

他店と比較しても今更仕方が無いので、大きく、伊勢丹の強み、三越の強みから残す売場を絞り込む事です。食料品売場については「伊勢丹」のスタイルを意識しすぎです、立地と顧客ニーズにあわせて再編すべきでしょう。野菜と冨澤商店には固定客が着いていますが、動線を含めて再検討できるでしょう。

 一方、阪神百貨店については同記事に下記のコメントが掲載されています。「専門店」の内容によりますが、阪神の社員の人員の縮小は確実に進むことになりそうです。

 H2Oは建て替えを計画中の阪神百貨店梅田本店(大阪市)への専門店導入を検討していることを明らかにした。株主の質問に対し、荒木直也取締役が「店づくりは様々な角度から検討していきたい」と答えた。
 阪急うめだ本店が昨年11月に増床開業して以降、阪神百貨店の売り上げは低迷している。荒木取締役は「強みである食品などを生かして独自性を強め、競争していく」と話した

 
 大阪三越伊勢丹の開業以降の組織の誤算=(優秀なサラリーマン人材による、リーダー不在の紙組織の中での、部分解の積み上げによる合成の誤謬)についで、JR大阪三越のマーケティングの誤算については,又日をあらためて論じることにします。

 トップにリーダーシップが集中しすぎてもサラリーマンは大変つらい思いをしますが、責任の所在が曖昧であると企業は衰退していきます。


                                           (2013年06月26日)
図−京都の三店の売上げシェア(3店合計値に占めるシェア)  2011年  (%)
図19
(ストアーズ社 百貨店調査年鑑2012より作成  各店に支店の合算値を含む 京都でのシェア)

図ー2 梅田4店のシェア比較  (2011年 阪急は改装中です)  4店内でのシェア
図20
(ストアーズ社 百貨店調査年鑑2012より作成)

図ー4店のアイテム詳細シェア比較(2011)  本店は支店などの数値も合算されています
図21
(ストアーズ社 百貨店調査年鑑2012より作成)


なにげに大丸が婦人ファッションのシェアを拡大しています。うふふガールズが功を奏しているのでしょうか?
■価格競争の泥沼から抜け出せなかった「旧」東洋ホテル

 大阪万博に備えて開業した「旧三和グループ」の迎賓館

 梅田から一駅の中津駅で,地下鉄駅から直接つながっている立地の良さは「高級ホテル」と「ビジネスホテル」の間のどっちつかずのイメージがありました。

 1969年、大阪万博の前の年に開業、。三和グループの迎賓館として、客室乗務員の宿泊もかつては「リーガロイヤル、ホテルプラザと並んで御三家と呼ばれていた時期もありました。

 最近の客実稼働率は80%を維持していたようですが、設備の老朽化は隠しようが無く、改装コストを投資できないと判断されて廃業するようです。

 2006年に「ラマダホテル大阪」となり、海外からの誘客を図ったようですが、中国人観光客だのみで客単価は7,000円台にまで低下していました。

 アパホテルや、東横イン、スーパーホテルなどは低価格で営業するために建築コストや人件費などの運営コストを徹底的に抑制しています。
 かつては良質であっても、経年劣化した施設ではそれらの「ファストファッション」のような低価格ホテルに勝てません・・・・。利益が残らないのです。

  547室で「高級ホテル」を運営するのは今の大阪ではかなり厳しいでしょう。全体のホテル稼働率は東京を上回っていますが、客単価は東京に比べ低い水準にあります。
 (というか東京の価格水準が参考にならないともいえます
                                       (2013年06月25日)
■50歳台を巡る攻防〜博多阪急vs博多大丸

  博多阪急2013年度374億円 前期の4%減からやや回復

 昨年は開業景気の反動で4%減と苦戦しましたが、衣料品ブランドの入れ替えや、化粧品売り場の改装で1%増となりました。来期は4%増の390億円を目指すそうです。

 30代後半の子育て層や20代半ばのOL層が顧客の中心で、高い客単価が見込める50歳前後が手薄になっているといいます。
 対策としては「友の会」の拡大(お得な商品券での囲い込みですね)、語学教室やファッションショーのイベント強化そして生活提案による来店を促す仕掛け作りを考えているようです。

 百貨店のプライドを押さえて「低価格品」を増やしていくそうです????

  価格帯の幅を拡げることは必要ですが、「価格競争」を家賃の高い駅ビルで仕掛けることは自分の首を絞めます。食料品惣菜のロックフィールドの事例でも触れましたが、売れ筋っぽいモノを安く売るだけしか無いテナント(例えばユニクロ)を導入すると、既存の優良点の効率を下げますし、また価格訴求テナントの利益額もあがりません。

 例えば博多のキャナルシティや神戸のハーバーランドUMIEなどのようにファストファッションばかりを集積すると、同じようなテナントでも価格訴求しか出来ない企業と、そうでないテナントの優劣がはっきりします。

 単価が低いために単にその売り場の総売上額が下がるというだけでなく、周辺の売場の効率も低下します。

 50歳台は博多大丸の主要顧客

 博多阪急が欲しい50歳台の顧客は博多大丸の主要ターゲットでもあります。博多阪急がこの層を本気でつかまえたいのであれば、「価格競争」より先にやることがあるでしょう。

 規模も違いますから真っ正面からは対決できなくても、お客様に使い分けいただく「強み」を掘り起こすべきでしょう。「価格競争」を選ぶと言うことは、大丸ではなく郊外店との競争になります。

 2012年は駅ビル自体の集客力が落ち込んでいたようです。JRでは駅前広場を活用したイベント開催に活路を見いだしたいようです。アミュプラザ(JR九州の駅ビル)がある鹿児島や長崎では駅前広場のイベントで集客に成功しています。他の駅と違い博多駅は交通が集中する結節点であるだけに県警はイベント開催に難色を示しています。

 
※関係ないですがメモ代わりに・・・

  ハルカス近鉄本店1日10万人超

 13日に開業した「あべのハルカス 近鉄本店」が立替前は平均4.5万人だった来店客数が2倍以上の10万人を超える水準だそうです。まだ高層ビルの展望ルームなどは開業していませんから、これで本格的に開業したらどれだけの人が来店するのでしょうね。
 開業景気の反動はくるでしょうが、日本一の高さのビルという「名物」はしばらく人気を集めるでしょうね。

                               (2013年06月21日
■目に見えない競争力と企業のゴール

 「価格競争力」だけではない強みづくり

 どの百貨店の惣菜売場にもある「ロックフィールド」は同じように「サラダ」を売る店が100円台で売っているポテトサラダを200円台後半〜300円台で販売しています。

 低価格で販売するお店はいくつかありますが、どの百貨店でも一番いい売場を獲得しているのは「RF1」だけです。
  サラダ系の惣菜を洋菓子のように見栄え良く飾り付けたり、パッケージに凝った売場を作ったのはロックフィールドが先駆けです。その売り方は、デパ地下だけで無くコンビニエンスストアや食品スーパーにも影響を与えています。

 ロックフィールドは早い時期から製造部門で、トヨタの生産方式をベンチマーキングし生産段階での効率を向上させたことで知られています。店頭での調理を行わず人件費率を下げると共に、1日に2〜3回の配送で廃棄ロスを最小限に抑えています。

 本来なら、「価格競争」を仕掛ければ競争相手を簡単につぶせる収益率があげられるはずです。この企業はそれを選びません。「健康、環境、安心」を提供し「食育」を推進しています。商品開発にかける手間とコストもしっかりかけて「ブランディング」を戦略的に進めています。

 確かに複数のサラダ店に囲まれた某百貨店の売場の売上げ効率は低いようですが、ほとんどの店では高い効率を上げています。閉店前に他店が大きなマークダウンや、3パック500円と言った売り方をしているときにこの店だけは派手な呼び込みはしていません。というか商品がほとんど無くなっていました。最近販売機会ロスの改善を強化し、商品は増えてきていますが・・・。

 よく比較される「柿安ダイニング」は店頭調理に重点を置いているようで、「柿安ダイニング」では本来まな板の前にいるはずのシェフが売場に立ってカスタマーを観察し外から見て厨房に指示を出しているそうです。(全ての百貨店の厨房施設が良好なモノとは限りませんので出店先は限られていますが・・・)これはこれで一つの見識です。両者は同じような商品を扱っていながら違った「市場」で競争しています。

 商品をまねっこして価格で勝負している企業は、価格競争から抜け出せません。

 「価格を下げる」と価格競争に陥るジレンマ

 経済産業省のレポートで、「価格を相場よりも2割下げた場合、消費者の意思決定における価格の重要度が10ポイント上昇する。企業がシェアを重視して値下げ競争に陥るとさらに安値競争に入るという悪循環が裏付けられる」と分析されています。
 
 「価格競争の」頻度についての国際比較でも、「価格競争があり参加している」企業は、日本で75%、フランス57%、中国55%、ドイツ53%、英国49%、米国48%と紹介されています。

 また別のデータでも輸入価格が上昇する中で、輸出価格の引き上げが出来ていないということが指摘されています。国際的な競争があるにしても、1995年と2011年を比較して、為替要因を除いてドイツでは5%の下落にとどまっているのに対して日本は10〜15%下落しているといいます。

 とにかく「競争」に直面すると「価格」で対応する傾向が強いようです。

 もちろん「市場」の購買力に合わせた価格帯での商品供給は必要ですが、値引きのためのコストダウンでは永遠にコストダウン競争が続きます。

 サムスンの商品はある時期トップダウンでデザインに投資した事がブランドイメージの向上につながったといえます。

 ユニクロのゴールが見えない

 ブラック企業としてやり玉に挙げられる「ユニクロ」ですが、フリースの再生や、進出国での社会貢献など結構社会活動を行っている割に、社員の給料を100万円にコストダウンして、何がしたいのかよく見えません。自社の企業の拡大?それは手段であってもゴールではないですよね。

 かつての松下電器の水道哲学のようにシンプルな、経営者と社員が共有している目標ってあるのかしらん。和民とか楽天でもそうなのですが、そういった理念は不必要と考える経営者が生まれた時代の風潮があるのでしょうね。

 自分自身もある時期、そんな風潮に感化されていたと思いますが、それは持続性のある考え方ではないなと最近考えています。  まあ、一時的に感染するはしかのようなものですね。

                                              (2013年06月20日)
■大阪の観光力

 大阪府の観光資源

 「大阪府」エリア」に限定しても歴史文化資源は少なくはありません。「仁徳天皇陵」(通称)を中心とした古市古墳群や富田林の寺内町、河内長野から高野山に向かう街道、天美温泉、枚方の船宿跡、・・・・それらの多くは高度成長期以降の宅地化の進行の中で埋もれてしまっています。

 保存とか見直しの動きがあっても、その歴史を知らない住民が多すぎて、観光地としての整備より住環境整備が優先されています。(古墳を崩して宅地造成するとかの話題は少なくありません)

 「大阪観光局」のゴールが「大阪」への海外観光客の拡大なのか?関空利用や大阪宿泊など大阪を起点とした海外観光客の拡大なのか?を考えたときに、目標数字から後者である事はあきらかです。

 イベントは必要・・・イベントだけでは効果はない?

 過去に大阪に海外観光客が沢山集まった記憶をたどれば、1970年の大阪万博以降、1995年のAPEC、2007年の世界陸上(失敗という厳しい評価もありましたが)などの国家的なイベント開催時が思い浮かびます。

 あれほど賛否を巻き起こした大阪城のモトクロスもいつの間にか終わっていましたし。(入場者1万人、j2のガンバ大阪の入場者数を下回りましたね)

 水と光のイベントで人を集めるという企画はとてもいいのですが、それだけでは海外の観光客を3倍にすることはできないでしょう。(神戸市のマジックのように、無料イベントルミナリエ来場者やアウトレット来店者を神戸市への観光客とする荒技も、「海外観光客」には応用できません)

 カジノ解禁の勉強不足

 さて、その時の切り札は「カジノ」なのでしょうか。・・・新聞報道ではマカオがラスベガスの4倍の売上げという数字が話題になり、まるで大きな賭場経営が地域経済に効果があるように論じられていますが、「カジノの設置」の本来の趣旨はカジノもある「統合型リゾート」の整備による国際会議や展示会の誘致による地域の活性化なのです。
 ・・・米国でも各地にカジノが存在しても成功しているのは展示場、ショッピングモール、ショービジネスが集積しているラスベガスだけです。寂れたカジノはまるで日本のさびれた競艇場や競輪場のようなものです。

 大阪府・市の議論でもMICEの一部としての「カジノ」の議論はされていても、有識者は「カジノ」単体での経済効果は論じていないはずです。

 例えば、ソウルのシェラトンウォーカーヒルホテルにはカジノがありますが、誰もカジノ目当てでソウルに旅行しませんよね。というかカジノの存在を知らないでしょう。

 さて、日本でカジノを解禁するとしたら、本音では賭場開帳の利権が欲しい人はいるとしても、国内での設置では「統合型リゾート」構築のパーツとして議論されてきています。

 数百室規模の国際級のホテルがあるのは東京か大阪ですが、ゴルフ場等のリゾート施設が展開できる敷地を確保できるのは「北海道」か「沖縄」あるいは「東北」になります。お台場や南港では規模が小さすぎます。

 冒頭の大阪の観光資源についての議論と同じで、沢山の人が「生活」している場所には設置できない機能です。リゾート感が全然ないですからね。

 大阪に海外観光客を呼び込むには

 基本的には、ビジネスでの来訪者を増やすことと、海外留学生を受け入れる機能の強化がベースになります。そのうえで、都市型の観光施設(買い物や安全なナイトレジャー)の受け入れ体制を強化することです。 国際クラスの高級ホテルが集中し、そこそこ稼働率を上げているので、ベースは整ってきているといえましょう。

 箕面観光ホテル7月に改装開業

 大阪府下の温泉地はあまり集積は無いのですが、(新しいスーパー銭湯は別)色々ともめていた箕面観光ホテルが大江戸温泉物語の手によって再生され7月27日に「大江戸温泉物語箕面観光ホテル」として開業します。
 和室を増やし、バイキングレストランを併設します。温浴施設部門だった「箕面温泉スパーガーデン」は10月上旬に改装オープン。一体運営されます。

 お台場の大江戸温泉物語は外国人客も少なくないので、意外にこの温泉も外国人観光客に人気を呼ぶかも知れません。
 宝塚温泉、有馬温泉に近いイメージの都市近郊リゾート感が残っていますしね。

                                        (2013年06月18日)
■大阪観光局は早い時期に関西観光局に進化する必要性がある

 大阪観光局始動

 大阪府と大阪市、経済団体が連係して大阪を観光都市として積極的に売り出す「大阪観光局」が動き出したというニュースが流れています・・・
とりあえずの動きは聞き取り調査と言うことで関空で女性チームが海外旅行者に取材している姿が報道されています・・・・そんなデータは日本政府の観光局が沢山やっている調査なのでわざわざ「やってます」アピールをする必要があるのかとも思いますが、大阪府と市が共同で民間と一緒に動き出しただけでも「成果」であると思いたいです。

 調査結果を活かして、これから国別(中国、韓国、東南アジア、欧米)年齢別に具体的な誘客策を展開するそうです。(政府観光局のデータがあるのですから、屋上に屋根を重ねる調査から始めるのは、スタート時から、これではいかにもお役所仕事という感じがします)

 2012年には200万人の外国人観光客を2016年には450万人、2020年には650万人に引き上げる目標は「円安やLCCの就航」で達成可能だということです。(中国、韓国との関係改善が課題ですね)

 集客の目玉は?

 USJの新しいアトラクション「ハリーポッター」と日本一の高層ビル「あべのハルカス」が終夜客の追い風になるという報道ですが、行政は中之島の中央卸売市場の「食のマーケットリゾート」構想や冬の「大阪・光の饗宴」、大阪府下では世界遺産への登録を目指す「仁徳天皇陵」が集客の目玉としてあげられています・・・・・・・・。

 色々と言われている「道頓堀プール計画」のような誰の目にも見える「わかりやすい瑕疵」はないのですが、あきらかに集客増の実現性は乏しいでしょう。
 例え実現できなければ局長の報酬カットや更迭という「責任を明確にした」外形的な仕組みを取っても、実現の筋道を描けないスタートでは、税金を使わない「道頓堀プール計画」より困った案件です。「責任」は給料を減らす事では無く、死にものぐるいで計画を実現することでのみ果たされます。

 経済団体の方々は、大阪府と大阪市だけでは観光客増は実現できないことはわかっているはずです。神戸、京都を始め、関西広域でプロモーションを進める必要あることは明確です。

 今は、政治的な軋轢があって他都市の反発が予想されますが、夏以降は、関西の都市の関係ははもう少し良い関係になるはずです。早い時期に(政治の思惑を離れて)オール関西で動ける体制をとるべきでしょう。

 民間から出向される「人材」の「本気度」に期待しましょう。

                                      (2013年06月17日)
■神戸の年間観光客数は3,282万人と過去最高へ

 清盛効果?イベント関連の60万人増のうち57万人は清盛関係

 震災後、年間観光客数が震災前を始めて上回ったのは2010年でした。長田での鉄人28号像の完成や、市立博物館、県立美術館の入場者の伸びなど文化施設による誘客ももちろんですが、三田のアウトレットモールのリニューアルも大きく寄与しています。この年の年間観光客数は3,194万人でポートピアが開催された1981年の3.085万人を始めて上回りました。

 12日に発表された2012年の観光客数は3,282万人と過去最高となりました。大型客船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」を始め、過去最多の客船110隻が神戸港に入港しました。国際会議の積極誘致も功を奏したようです。NHK大河ドラマ「平清盛」にあわせた「平清盛ドラマ館・歴史館」の来客数が57万人とイベント客60万人増に貢献したことや、須磨海岸の観光客数の増加なども集客に貢献しています。

 地域別で伸びが大きいのは「西北神」の22.4%増で、三田のアウトレットモールのリニューアルが効いています。神戸三田のプレミアムアウトレットは面積が20%増加し、売上げも16.5%増加しています。(389億円)

 神戸の課題は近隣からの日帰り客が中心で、関東や九州、海外からの宿泊客を獲得できていないことです。
 
                                             (2013年06月14日)
■グランフロント開業後の大阪市内ファッションビルへの影響

 影響が大きかったファッションビルは?

 オフィスに通勤する女性が中心のターゲット層が似通っている「ディアモール大阪」に大きな影響がでています。HEPファイブ、エストはルクア」(6月5日記事参照)と同じく5〜7%の現象であることと比較すると突出しています。(いくつかのテナントを引き抜かれましたしね)

 京阪モールも梅田に通勤するOLさんの利用が多いためか10%以上のマイナスでした。イーマは意外に健闘しています。

 うめきたの今後

 うめきた先行開発区域グランフロント大阪のショップ&レストランとしては開業時に打つ手は打ちましたからあとは街の成熟を待つだけです。(商業施設としては当面打つ手はありません)

 良いニュースが8日に発表されています。厚生労働省の新薬や医療機器の承認の窓口「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構」(PMDA)の関西拠点が10月に開設されることです。医薬品や医療機器開発の迅速化が期待されるもので、関西の財界の悲願でもありました。

 うめきたの産業集積の一つの目玉が確定しました。彩都の「医療基盤研究所」の創薬支援戦略室の開設(5月)とあわせ、関西でのライフサイエンス集積に弾みがつきます。

 東京に出向く負担が関西の企業にとっては馬鹿にならないのです。

 商業施設や高層ビル(本日はあべのハルカスの近鉄百貨店も一部がオープンですね)や、タレント市長さんの言動に比べると地味な話題ですが、関西にとって、しみじみとうれしいニュースでした。

                                       (2013年06月13日

図22

繊研新聞6月13日号より作成

■老舗ホテルのブランド価値は?〜中之島活性化への課題

 高級なホテルイメージの群雄割拠

 かつてバブル経済前の大阪では「ホテルプラザ」と「ロイヤルホテル」(現在のリーガロイヤルホテル)の2強が圧倒的なステイタスを持っていました。1986年に大阪ヒルトンホテルとホテルニューオータニ大阪が進出したときには大阪ホテル戦争と「大阪ホテル戦争」とまでいわれましたが、「リーガロイヤル」のトップの座は揺らぎませんでした。

 1994年に「ハイアットリージェンシー大阪」が南港に開業し、1996年には「帝国ホテル大阪」、1997年には「ザ・リッツカールトン大阪」が開業し、激化する競争の中で、施設の老朽化の改装費用が準備できなかった「ホテルプラザ」が1999年に閉鎖されました。

 下記の図が2005年時点での市内のホテルのイメージ評価です。大阪でのトップブランドは「ザ・リッツカールトン大阪」にとってかわられ、「帝国ホテル大阪」「ヒルトン大阪」もそれぞれの地位を確立しています。
 特に女性層ではシニア世代を別にして、かつて憧れのホテルだった「リーガロイヤルホテル」への支持は揺らいでいます。

 大企業のパーティには強いですし、シニアの男性層には固い支持層が居るのでしょうが、若い女性を集める魅力が薄れています。

 リーガロイヤルホテルは中之島西部地区活性化のためには重要な機能なのですが、このままでは中之島はずっと「堅苦しい」「おっさんのまち」としてイメージが凝り固まってしまいそうですね。
 そんな街並みも都市には必要ですから、意図したモノであればいいのですが・・・・・・

 「大規模」でかつ「高級感のある」ホテルというのは国際会議の誘致などのためには必要ですが、うまく運営していかないと経営的には厳しくなる一方でしょう。
 色々なことが「後手」に回った結果でしょうか。地元老舗ホテルの再生を切望いたします。

                                            (2013年06月11日)
図−大阪市内主要ホテルのイメージ   (2005)
図23
図−高級なイメージのホテル    (2005)
図24
図−結婚式をあげたいホテル   (2005)
図25

出典:(なにわ考現学2005)  大阪市内に通勤する男女を対象。

1989年からほぼ5年おきに大阪市内の施設やエリアのイメージを調査し調査資料
大阪市内通勤者を対象に調査を実施
  89年、94年、99年、05年の4回刊行されていた

 ・・・・そろそろ考古学ではないかと言われそうですね。
 頑張って2013年版を作成しなければ・・・・。
■大阪ホテル戦争の始まり〜埋没するホテルの生き残り策は?

 2万円台後半〜の超高級ホテルの競争が激化
 

 6月5日のインターコンチネンタルホテル大阪の開業は、大阪のホテル戦争の激化を告げています。来春のあべのハルカスにおける「大阪マリオット都ホテル」の開業によって勢力図がどう変わっていくか、注目されます。中之島地区でもいくつか高級ホテルの計画もあります。

 東京のラグジュアリーホテルの5万円台の価格に比べるとずいぶんとお得なのかも知れませんが、一般市民にとっては2万円台の後半は敷居の高い価格です。

 予約サイトなどを使えば安くなるのですが(リーガロイヤル7,500円という日経新聞の記事は、名門ホテルと思い込んでいた地元民にとっては寂しい値段です)稼働率は大阪で3月は87.2%、東京では87.1%ですから結構順調です。

 円安効果も追い風になっているのでしょうが、今後はアジアのビシネス客の呼び込みが課題になります。

 百貨店と違いインバウンド重要が中心なので、ゼロサムゲームではないのですが、一旦、海外の入国者が減ることがあれば、近隣需要の取り合いになります。

  ブライダルを始め、色々なイベント需要や、美容・リラクセーションの商品開発に苦労したこともありましたが、国内の需要獲得は所得格差が広がっているだけに勝ち負けがはっきりするでしょう。

 施設が老朽化したホテルから淘汰されていくのでしょうね。例えブランド力があっても・・・・、地元で愛された「プラザホテル」も再建できずに無くなってしまいましたし。

 大阪のホテル市場についてはいずれまとまった原稿で整理します。

                                          (2013年06月10日)

図 大阪の主要高級ホテルの客室数と宿泊料金
図26
 6月5日の日経新聞の記事に追加しWEBで検索
 リーガロイヤルホテルについては日経の記事そのままですが、客室数が多いので
 安く提供してる部屋もあるのでしょうが、ホテルの「格」のイメージとは少し齟齬がありますね
 地元民にとっては、正直 寂しい現実です。「地元の名門ホテル」だったのに・・・・。

 日経新聞の料金設定の出し方には異議があります。
■イオンモール大坂ドームシティの人波に流されて

 女子トイレの長蛇の列

 大阪ドーム(現在は京セラドーム大阪)にはかつてパドゥという低層の商業施設がありました。5月31日にオープンしたイオンモール大阪ドームシティは、GMSが中心のSCです。飲食店、食料品のテナントが目立ちますが、この周はGMSの空白地帯なので、地域住民は喜んでいると思います。

 4日の夕方に店を見てきました。なんばからのった阪神なんば線は、少しだけくすんだお姉さんで一杯でした。H&Mの袋を持っているので、神戸方面からの買い物帰りかと思いましたが、ドーム前駅で半分ほどの人が降りました。イオンモール・・・そんなに人気なのか?と一瞬思いましたが、どうやらその日はドームで韓流タレント(ヨン様とか超新塾とか東方なんとかとかいったモノだと思います)の公演があったようです。

 イオンモールの飲食店は混雑していましたし、女子トイレは長蛇の列でした。昔あったパドゥはそんなに大きな施設ではなかったので、公演で人があふれてもこんなに売れていませんでした。今から考えると、随分機会損失していたなあと思います。

 日常の集客は?

 イオンモールはイオンのSC部隊では無くイオンリテイル(昔のジャスコ)が運営しているので、中心はGMSです。オーソドックスなGMSの進化形は、どこか懐かしい感じがしますが、街には必要な機能なのでしょう。西区、港区、大正区は空白地帯なのでこの日のような混雑はないにしても堅実に集客できるでしょう。地域のコミュニティの拠点・防災拠点になっていくと思います。

 大阪ガス発祥の地としては少し物足りないですが・・・・ペットと自転車売場はいいと思います。イオン系の「未来屋書店」の品揃えも悪くないです。地味ですが、これから地元に愛される店になってください。

                                        (2013年06月06日)

写真1写真2写真3

H心4写真5写真6
■うめきた先行開発区域グランフロント大阪開業で明暗分かれる百貨店?

 読者をミスリードする新聞の見出し

 百貨店の5月の売上高前年比が発表されています。日経、朝日などの一般紙は「グランフロント大阪」の開業の影響で梅田の百貨店の売上高前年比がダウンしていると報道しています。

 確かに5月の数字だけを見ると大丸、三越伊勢丹が前年比7%ダウンしています。(阪神は別の事情があります)これを持ってグランフロント大阪の影響とミスリードさせる新聞の見出しは勉強不足です。「グランフロント大阪」の売上げの25%は飲食です。またテナントをみても百貨店と競合する店は入っていません。ご自分で買い物をする視点で店をご覧になればいいのです。

 新聞記者の皆さんは、発表資料の数字だけで記事を書いていませんか?

 確かに好調を続けていた「ルクア」は「グランフロント大阪」の影響をもろに受けています。そして、阪急三番街、HEPファイブ等も影響を受けているでしょう。百貨店と「グランフロント大阪」は客層や利用目的が違います。(逆に言えば百貨店が取り切れていない客層です)

 百貨店が前年比を割っているのは「阪急梅田本店」の開業の影響です。例えば大阪三越伊勢丹は1月の売上げ前年比-8%です。

 あえて、影響を語るなら三越伊勢丹、梅田大丸ともに通行者数の増大を購買者に繋げられなかったというポイントのみです。

 百貨店の課題は「うめきた」では無く内部にある

 阪神については下図のように阪急の改装オープン以降前年比を割り続けています。5月はむしろ少しだけ改善しています。
 これは阪急の改装中に阪急の売上げの一部を阪神が確保していたことのい事の反動です。阪神は改築が計画されていますが、阪急とは違う独自の百貨店として攻勢に転ずるべきでしょう。考えられる手段はいくつもあります。

 伊勢丹はエース級の人材を大阪に続々と送り込んでいるそうです・・・・新宿伊勢丹のエースは確かに優秀な方なのでしょうが、崩壊した百貨店を建て直すのには「挫折を知らないエリート」では無理です。

 今、島屋大阪店の評価がミセス層で高くなっています。百貨店らしい百貨店として安心して買い物ができるので客層も良くなっています。(ヤング向けのGOKAIは失敗でしたけれどね)阪急梅田本店は商品政策や売場作りの微調整をする必要があります。他店に比べて景気が良さそうですが、目標数値には到達していないのですから・・・・。
 
 グランフロントは開業景気の観光客が落ち着いた後、オフォイスワーカー向けの商業施設として落ち着いていくことでしょう。オフィスの入居率の改善が至上命題で、商業としてやれることは、ここまでで十分だと思います。逆に、集客力に、あまり過大な期待を持たないことです。

 OBPも最初はデートスポットとして賑わっていましたが、最近はどうでしょう・・・・。

                                       (2013年06月05日)

図ー百貨店売上げ前年比
図21
(日経新聞6月4日)
図ー阪急・阪神売上げ前年比推移

図22
(エイチツーオーリテイリング公表資料)
■北欧のファッション企業は大阪がお好き?〜「モンキ」「ウィークディ」1日オープン

 何故か北欧系のファッションショップは大阪から上陸する


 昨年の「タイガーコペンハーゲン」(デンマークの雑貨)も1号店は大阪でしたね。今月1日大阪戎橋にH&Mの系列企業「モンキ」と「ウィークデイ」の日本1号店が開業しました。

 両ブランドが日本初上陸の場を大阪に選んだのは、都市ではなく立地にフォーカスした結果だという。エネルギー溢れる地元大阪の人々や、世界中からの観光客が行き交う大阪の中心地、道頓堀。その活気に満ちた雰囲気に魅力を感じたという。また、向かいに位置するH&Mとの相乗効果も期待している。 アパレルウェブ.COMの記事より
http://www.apalog.com/report/archive/1825 へのリンク

 「モンキ」はリーズナブルな価格でカラフルな商品が揃う店で2フロア300uで出店します。もともとは日本のストリートファッションに発想をえて開発されたブランドですから北欧からお里帰りしたのかも知れません。

 「ウィークディ」はやや価格帯が高いがモードな雰囲気が特徴の「セレクトショップ」で4階にレディス、5階にデニムとメンズを揃えた450uの店です。

 アベノミクスの風は大阪には全く吹いていません。とはいえ、国内のブラックなデフレファッション店や米国の安物過ぎるカジュアルでは気分が滅入るばかりなので、若いデザイナーが発信するエッジの効いたデザインが楽しみです。

                                           (2013年06月03日)
 5月
■大阪圏の地価動向〜「アベノミクス」と「うめきた」の間で

 地価LOOKレポート2013年第一四半期版発表

 国土交通省のレポートでは「アベノミクス」金融緩和の影響が都市部では地価の上昇として現れてきていることがわかります。

  平成25 年第1四半期(1/1〜4/1)の主要都市・高度利用地150 地区における地価動向は、上昇が80地区(前回51)、横ばいが51地区(前回74)、下落が19 地区(前回25)となり、上昇地区が全体の約53%(前回34%)を占めた。前回からさらに上昇を示す地区が増加し、上昇地区が過半数を超え最多の変動率区分となった。

 一般(財)日本不動産研究所のレポートでは、その地価上昇は全国的に見ると一部の地域に偏った傾向である事が伺えます。

 当面は、(1)「地価LOOKレポート」の調査地区に代表される大都市の高度利用地においては、
投資家目線からの需要が集まり着実な価格上昇を見せながら、(2)その他においては、企業の投資意欲の高まりに応じた実需の回復が見込まれる地域で下げ止まりのタイミングを窺う、といった地価の動向を見せる公算が高い。


 「アベノミクス」の影響は小売業では富裕層の宝飾品など高額商品の売れ行き好調や、輸出産業である自動車産業の立地での専門店、SCの好調に現れていますが、好景気の実感は一部に限定されています。

 テレビなどの報道で好景気がもてはやされているのは、放送局への広告出稿が増えてきていることが原因で、別に政府の圧力などのい「陰謀」では無いようです。

 さて大阪圏では4月の「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」を控えて地価動向がどのようにレポートされているのでしょうか?

 京都はホテルの土地需要が旺盛?

 京都駅前ではホテル事業者の土地需要が旺盛らしいです。土地条件による地価の差が大きく、市の中心部へと開ける駅前である北側ではシティホテルの需要が多くて、坪600〜700万円。駅裏になっている駅の南側ではビジネスホテルの需要が強く、坪200〜300万円程度と大きく地価水準の差が現れているようです。

 河原町では「BAL」が建替中で2015年4月に1.1万uで再開します。京都で最も古い、当時は最先端のファッションビルで、大阪心斎橋にも「「心斎橋BAL」の店舗を出店していたこともありました。
 地価は横ばいとの見通しです。・・・渡橋や海外からの集客が見込める駅前のホテル以外はあまり景気のいい話はないですね。

 梅田、西梅田は「将来」は「やや上昇」・・・・「やや」って?

 関西では「梅田一人勝ち」という人も居ますが、地価動向としては「将来」「やや上昇」と慎重な表現が使われています。投資家の関心はあるようですが、「アベノミクス効果」は「やや」にとどまっています。

 「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」の影響は西梅田地区の商業施設には現れていますが、茶屋町地区は「若年層をターゲット」とした梅田地区では希少な「路面店」が集積するなど、比較的影響が少なかったようです。(この地区の大型複合物件が売りに出されているそうです。市場にお金があふれている今なら高く売れるとふんでいるんでしょうね)

 賃貸仲介業者は西梅田の商業施設は苦戦すると予測しています。

 「うめきた〜グランフロント大阪」の来場者数が多いと報道されていますが、この施設には「時間消費型機能」が排除されているので ,ただ短時間滞在する見学者を数えても仕方がありません。
 企業のショールームはいずれ飽きられます。美術館や劇場がないのは仕方ないとして、シネコンや大型書店と言った時間をすごせものが全くないので、デートにも使えません。・・・・
 
 阿倍野は「ハルカス効果」で今後に期待感

 あべのハルカスへの期待で阿倍野地区の地価は上昇が期待されています。「やや」がつかない上昇です。
 店舗サービス系の賃料水準は1階で坪5万円。中層階で坪2万円といい数字ですね。

 堺はシャープショックで「横ばい」

 堺市の中心は御堂筋線沿線へとシフトしています。海沿いの堺駅にあったイトーヨーカドー-堺店は2011年に閉店しています。市役所のある堺東駅周辺は合同庁舎の建設が進んでいますが、官公庁の集約はあまり効果が見込まれていません。

 駅前の「市民会館を移転させるホール」を含んだ再開発計画は立ち消えになりましたし、既存店舗の廃業も進んでいます。シャープの向上の従業員が多く住んでいたワンルームマンションの空室率が激増しているといいます。当初期待されていた関連企業の進出も期待外れでした。

 良いニュースとしては、永らくゴーストタウン化していた旧ダイエージョルノ」の再々開発が進んでいることぐらいです。
 堺市は、南海高野線堺駅前にある再開発ビル「ジョルノビル」の建て替え事業となる堺東駅南地区市街地再開発事業の都市計画手続きを進めている。3月に開く公聴会を経て再開発事業決定と地区計画・高度利用地区変更の都市計画案を作成し、5月の都市計画決定を目指す。市は道路やペデストリアンデッキなどの公共施設整備の基本設計費2453万円を2013年度予算案に計上している。再開発ビルの整備には会社施行を適用する考えで、都市計画決定後に地権者で構成する再開発会社を設立し、事業計画の作成作業に着手する。13年度中の施行計画の認可、14年度の権利変換計画認可を予定し、15年度の工事着工、17年度の完成を見込んでいる。
【24階4.6万uジョルノビル 13年度に基本設計】
 計画では、ジョルノビル(堺区三国ヶ丘御幸通152)を現地で再々開発する。建て替え後の規模は、地下1階地上24階建て延べ約4万6000uを見込む。公共施設部分は、府道大阪和泉泉南線や市道堺東駅前西広場線、堺東駅三国ケ丘線、三国ケ丘御幸通南三国ケ丘1号線の各道路のほか、ビルと市役所前市民広場を接続する歩行者デッキも整備する。
 地区計画の変更では、容積率を現行の800%から900%に引き上げる。高度利用地区は廃止する。
 現ビルは、1981年に堺東駅前地区市街地再開発組合がSRC造地下4階地上8階建て延べ3万8618uの規模で建設した。建て替えに向けては2009年度から地権者で構成する建替推進検討委員会で検討を進めてきた。
 昨年10月に再開発事業を適用して建て替えることを決議し、同12月に市に事業の手続き開始を要請していた。委員会ではコンサルタント業務をアール・アイ・エーに委託している

 建設通信新聞 2013年2月13日

 高層階はマンションになり低層部を商業施設で利用するようです。

 あとは大阪市との境界である鉄砲町にイオンモールが出店しますが、一時は堺駅と堺東駅をLRTで繋ごうという構想もあったのですが、堺駅はシャープの誤算で、堺東駅は地盤沈下の進行で、どちらの駅も拠点性を無くしてしまいました。

 「横ばい」と表記されていますが「衰退」の匂いがただよったレポートでした。これで「大阪都」に併合されれば「堺」は名実共に消滅してしまうでしょうね。

                                   (2013年05月30日)

堺市は阪堺線の沿線が面白いです。歴史資源も有り、美味しい食べ物屋さんが残っています。わざわざ出かける値打ちがあります。


■外見は似ていてもルーツが違うと別業態

 コンビニのミニサイズと新聞売店からの拡張

 大阪市の地下鉄売店が民間業者に変わってから、随分不自由な思いをしています。夜になると販売員が奥に引っ込んでいて、呼びかけてもでてこないとか、新聞雑誌の種類が激減し、エルゴラを置いていないとか・・・・・改悪であっても、改善されたとは思えなかったのです。

 最近思い当たったのはポプラやファミリーマートといった事業者は、あくまでもミニサイズのコンビニエンスストアを運営しているので、新聞雑誌はおまけでしか無いのです。万引きし放題のレイアウトなのはその為でしょう。
 お菓子や、パン、おにぎり、ドリンクの扱いが中心になっています。

 もともと駅売店は、新聞とタバコの販売からスタートしています。。お客さんのニーズにあわせて扱い商品を拡げた結果、小さなよろず屋さんのようになってきました。坪あたりの売上げ、1人あたりの売上げはとても高く、販売員のおばちゃんはほとんど後方業務をしなくても販売に専念できるオペレーションが確立されています。

 新規参入をしたコンビニは、「新聞雑誌」や「タバコ類」は長期的に売上げが低迷していく衰退商品だと判断したのでしょう。おじさんしか利用しない店は「駄目だ」と評価したんでしょうね。

 働くおじさんは減少していきますし、若い子はタバコはもちろん、雑誌や夕刊紙は読まないですからね。マーケット全体で見ればそれは正解です。

 ただし、地下鉄の売店という立地ではまだまだ絶対数は多いのです。

 ある程度の規模がある売店ならコンビニかもいいでしょう。ただ、店舗規模の小さい店では逆効果です。そのあたりの業態の使い分けの柔軟さがなければ失敗すると思います。やたら自販機や冷蔵ケースが増えて電気代がかかっていそうですしね。

 同じように駅売店とみえていてもコンビニがルーツの店と、KIOSKがルーツの店では収益の考え方や運営の仕方が違っているのだという・・・・・考えれば当たり前のことなのですが。

 ルーツが違っていて表面が似ている店

 他の事例でもあります。

 百貨店の洋惣菜でサラダをうっていても、洋食屋さんがルーツの「RF1」と、マヨネーズ屋さんがルーツの「サラパラ」と、お肉屋さんがルーツの「柿安ダイニング」では展開が違います。

 ファッション専門学校でも、裁縫学校がルーツの学校と、デザイン専門学校のアパレルデザイン科では教える内容や学生の作品の「ぶっ飛び」具合が違います。

 まだまだ何かありそうですね。気がついたら追加していきます。

                                       (2013年05月28日)
■イオンモール大阪ドームシティ5月31日グランドオープン〜防災対応型スマートイオン

 大阪ドームシティの拠点性が高まる

  大阪市西区のドームシティについては色々とお世話になったことも有り、開発の行方を心配していました。地域のコミュニティ、防災拠点となる「防災対応型スマートイオン」である「イオンモール大阪ドームシティ」として5月31日にグランドオープンします。
  ショッピングセンターというよりイオンと120の専門店というパターンで、イオンリテールが運営します。敷地面積28,000u。イオンが18,000u。専門店が16,000u。(GUが入店していますが、ユニクロや無印良品、シネコンは入っていません)  目標売上げは公開されていませんが70億円位ですかね。

 商圏は半径3km。20万世帯、36万人の市場です。西区と大正区、港区が中心商圏でしょう。阪神なんば線が大阪の西部の人を運んでくれることでしょう。

 コミュニティの拠点として若いファミリー層が愛用して下さるでしょうが、この商圏はシニアの比率も高いので開業後の客層に注目したいところです。

詳細はこちらへ
http://www.aeon.info/news/2013_1/pdf/130430R_1.pdf へのリンク
                                        (2013年05月24日)
■食品メーカーの海外進出

 欧州は活発、米国は国内市場で収益をあげる

 日本の食品メーカーではキッコーマンの海外売上高比率が45%。営業利益では69%と意外に成功しています。海外に7つの生産拠点を持ち、100カ国以上で愛用されています醤油を使う習慣の無い国に売り込んでいるのは「食文化」を売り込んでいる事業ですね。

 もう一つ、関西を捨てて東京に拠点を移した日清食品の海外売上げより、大阪に本社を持つエースコックの方がはるかに海外売上げ率が高いことです。・・・東京拠点はあくまでもドメスティックなビジネスの中心で、グローバル市場を相手にするには、関西を「捨てて」移転する意味が無いということでしょうね。
 国内で優位にあると海外へあまり出て行きたくないのでしょうね。(今まではね)



                                         (2013年05月24日)
図23

三井物産戦略研究所レポート2013年5.22より作成
■競争から抜け出す利益を生む仕組み〜どの百貨店にも入っているあの店の秘密

 どの百貨店にもある店

 通常、百貨店はテナントに強気です。特に食料品の場合、競合店にも出店してると、退店するか、自分の店から出て行くかを迫ります。(私はメリーチョコレートの社長さんからそれを直接伺いました)

 サラダや揚げ物というありふれたメニューが中心で有りながら、どこの百貨店にも入っているのがロック・フィールドです。競争相手はほとんど見当たりません。柿安ダイニングがありますが、RF1抜きで柿安だけ入っている店はありませんよね。惣菜の売上げ規模も大きく違います。

 ある時期にギフトをやめて(現在は一部でありますが)デイリー惣菜に特化したロック・フィールドは百貨店の食料品売場には欠かせない存在になっています。

 この企業の特長は原材料の生産(委託)から製造、物流、販売まで一貫して行う、食のSPAであることです。通常の高級惣菜は店頭で職人が最後の仕上げをします。ロック・フィールドでは販売はアルバイト・パートで対応できる仕組みになっています。一方食材のこだわりや、メニュー開発は他の企業を圧倒しています。コストをかける部門が類似企業と異なっています。

 店頭に見えない仕組み

 惣菜で収益を残すためには「廃棄ロス」を「以下に抑えるかがポイントになります。精度の高い販売予測と発注が欠かせません。同社は通常は2日前と言われている発注も2日前に行います。商品のパック詰め作業も自社工場で行い、1日に3回店頭へ配送します。(10年前の記事では1日2回と報道されていましたが、今は1日3回になっています)配送コストはあがりますが、商品の鮮度があがり、店員の店頭での作業も圧縮され人件費が圧縮できます。(10〜15%減らしたそうです)

 店頭での品切れの機会ロスも減らされますし、廃棄ロスが少なくなります。

 それでも廃棄ロスは5%で計上されています。以前、某社の事業計画を立てたときの指標では9%と設定しました。主原料の野菜は当日の売り切りが必要ですから、これは驚異的です。(ある程度ロスが無いとないと販売機会損失につながりますのでこれが限度でしょうか)

 製造の機械化によるコストダウンにも取り組んでいます。・・・その割にお安くないですよね。おそらくコストを商品開発や原材料費にかけているのでしょう。コストダウンして安売りするのならレストランの「サイゼリア」のような、無機的な感じになってしまうのですが・・・・・・。

 競争相手が現れないのはコストのかけかたのメリハリからもたらされる商品力なのでしょう。大手GMSのバイヤーだったらよく似たものを、安く作らせることはできるでしょうが、RF1に勝てる売場は作れないでしょうね。

 たびたび、ネタにするダイエーのフーディアムも、発想を変えれば、惣菜に強い新しい業態を作れたのかも知れません。スーパー玉出の弁当や路面販売に対抗した価格の弁当で戦おうというのは大きな勘違いです。

                                             (2013年05月22日)
■老舗旅館の台湾進出〜サービスのビジネスモデルは輸出できるか

 台湾加賀屋開業2年

 台北から30分ほど北に立地する北投(ペイトウ))温泉は日本占領時代に開発された台湾でも有数の温泉地です。街の雰囲気も日本の温泉地に近い雰囲気があります。

 2011年に石川県の老舗温泉「加賀屋」地元のデベロッパー日勝生との合弁で「日勝生加賀屋」を設立しました。(加賀屋はFC契約で運営を担当しています)

 日本のサービス産業のなかでも老舗旅館のサービスはマニュアル化もしにくい特異なものです。
 
 富山大学の岸本寿生教授が台湾加賀屋の開業2年目の状況をレポートされています。(世界経済評論)お客さんは72%が台湾、20%が日本人客だそうです。接待や記念日に利用されリピート率が高いようです。香港から50回以上来られているヘビーユーザーもおられるようです。
 金沢の芸者さんのイベントや平日プランの導入など稼働率をあげる対策をとるなかで、和風旅館に対するニーズも定着しているとのことです。

 台湾は比較的に親日的な方が多く、高齢者は日本語を話します。利用者はそういったシニアばかりでもないようです。
 サービスはマニュアル化できますが、お客様の次の要求を言葉や行動の前に感じ取る「おもてなし」が定着しているのは興味深いと思います。

 開業時にこだわったのは建物、料理、客室係の3つ。建物は加賀屋を建てた設計会社と大林組の現地法人が担当しています。料理人は現地に日本料理店が多い事から採用には困らなかったようですが、素材の3割は日本から空輸しています。食器は全部日本からの持ち込みになりました。

 「仲居」という概念が無い中の求人は大変だったようで、日本語を理解する20〜30台の高学歴女性を採用し、日本で数ヶ月の研修を行ったそうです。

 北投温泉には外見的には日本風の旅館もありますが、その多くは水着着用の台湾式だったりします。大浴場の造りやメンテナンスもかなり日本の水準とは違っていたようです。
(テレビで紹介されていたスーパー銭湯の中国進出ををを紹介した番組でも、日本と中国の入浴習慣の違いが紹介されていましたね)
 
 サービス産業の海外輸出は、これからも増えていくのでしょうね。そのプロセスで当たり前のように、毎日こなしている仕事の意味や価値を再発見することが出来そうです。

                                    (2013年05月21日)
 オープン時の様子
http://www.taipeinavi.com/special/5031717 へのリンク
■LCCによる活性化効果

 ピーチが関西にもたらしたもの

 昨年3月に関西国際空港にピーチ・アビエーションが就航しました。国内線で片道3,000円からと言う破格の安さで「空飛ぶ電車」として潜在的な需要層を掘り起こしたと評価されています。
 近畿財務局が17日に発表したレポートによると、以下のポイントが指摘されています

・利用客層は20〜30台の若い女性が若干多いが、幅広い層で利用されている
・関空の外国人旅客は353万人から371万人に増加〜5%程度だったLCCのシェアが18%弱に
・韓国、香港、台湾などからの個人客が増えている
・国内便もJRやJAL,ANAの利用者を奪っているのでは無く「新たな需要」を獲得している
  〜例えば帰省回数の増加、単身赴任先への家族全員での訪問など・・・

 新たな人の動きの創出で良い影響が出てきているようです。
  
 平均搭乗率は76%。韓国、台湾、香港などの国際線は8割近くになります。ソウル線で3割、台北線で5割、香港線で6割が外国人利用者になります。海外で積極的な宣伝活動はしていなくて、これですから、しっかりとPRすると今後の開拓余地はありそうです。

 影響を受けたのは新規参入航空会社 スカイマークの撤退

 ピーチはANAの系列です。LCCの影響を受けたのはスカイマークなどの新規参入組です。スカイマークは関空〜札幌、那覇便から撤退しました。
 搭乗率は4割まで低迷したそうです。ピーチが3000円台から提供している那覇便で1万円の特別割引運賃で対抗しましたが、機内サービスを充実させるJAL,ANAと格安航空会社の間で特長を出せずに終わりました。

 航空業界でも2極分化が進行しています。単に貧富の差では無く、ビジネスと家族旅行のように目的に応じた使い分けができるように選択肢が増えたという風に読むべきでしょう。

                                              (2013年05月20日)

■百貨店の業態開発の取り組み〜「シンクス」「オトカリテ」の成算は?

図24

阪急梅田は2012年11月開業 梅田大丸は2012年4月に全館開業
各社決算資料より作成
■クールクールクールビズ〜国別スーツ着用率

 亜熱帯だから夏のスーツ着用は不合理?

 といった理屈と「省エネ推進」という大義名分のおかげで、夏のドレスコードは大きく緩和されてきています。・・・確かに楽ですしね。もうもどれない。

 ただ、ビジネスシーンでのスーツ着用率は気候とは関係ないようです。少し前のロイターの調査ではインドやトルコ、サウジアラビア、南アフリカと言った。何となく日本より暑そうな国でスーツの着用率が高く、スウェーデン、カナダ、ハンガリーといった日本より寒そうな国で「短パン」の着用が認められています。

 文化なのでしょうね。日本より熱く開放的に思える、インドネシア、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、トルコで短パンNGというのも意外な気もします。

  グローバル人材は単に語学力だけでなく、異文化への理解力が求められます。都知事や大臣の皆さんはTOIEC750点以上の語学力と国際文化の常識テストが必要という事を産業競争力会議で提起ください。日本経済にあたえるマイナスの影響を排除する必要があります。

                                       (2013年05月16日)
図ー国別のビジネスでのスーツ着用率と短パン許容率
図25
ロイタートムソン  2010年調査
■「コンヴィヴィアル」という理念が不良ビルのスクラップ補助金に矮小化された同友会の大阪の不動産価値向上の提言

 「コンヴィヴィアル」な街「大大阪」?


 関西経済同友会は5月7日に   コンヴィヴィアルな街「大大阪」を目指して〜大阪の不動産価値を高めるために〜という提言を発表しています。
 1920年代の大阪は日本一の人口を誇る都市で、商業や繊維産業が栄えて、官の強いリーダーシップで都市計画が進められ、住んで働いて歩いて楽しい「コンヴィヴィアル」(生き生き楽しい)街だったので、ヒト、モノ、カネが世界中から集まった・・・・。大大阪を再生の為の、不動産価値をあげる提言が趣旨です。
詳細は下記サイトでご覧下さい
http://www.kansaidoyukai.or.jp/tabid/313/Default.aspx へのリンク

 あえて、一般にはなじみのない「コンヴィヴィアル」という概念を提示していて「生き生きとして分け隔ての無い共生」というすばらしいゴー-ルを提示していたにも拘わらず、新聞報道では提言の一部である老朽化したビルのスクラップに補助金をだすという施策提案だけがクローズアップされていました。なんだか議論が矮小化されて、供給量を減らすことで賃料を維持しましょうと主張しているように受け取られていますね。

 タイトルにあえて馴染みの無い言葉をキャッチで入れるのならその概念を中心にありたい街の姿を展開していかないと、一部の「わかりやす部分」だけが切り取られてしまいます。

 提言の内容は、まあまあよく出来ていますが、伝え方、言葉の選び方を間違えましたね。大手広告代理店もメンバーに入っているのですからそのあたりはきちんとチェックする必要があるでしょう。

                                      (2013年05月15日)

 理念についてお題目だと棚上げにされてしまうことが多いですね。例えば、大阪のグレートリセットについても基本的な考え方が浸透しない中で政治家の面白おかしい言動だけが広まってしまうとか。

 大事なことはシンプルな「わかりやすいこと」だけを伝えるのではなく、複雑でややこしいことをわかりやすく伝えることです。
■「大衆化」のジレンマ〜失速したラグジュアリーブランド

 減速を始めたルィヴィトン

 ラグジュアリーブランド(ヴィトン、グッチ、エルメス)の12年度は増収増益だそうですが、中国市場の原則に伴い、その伸び率は鈍化しています。全体の伸び率が縮小し、市場が成熟している中で誰もが持っている「「モノグラム」商品に富裕層が魅力を感じなくなっている事が背景にあります。
 グッチの売れ筋はロゴの無い商品が好調で、ルイヴィトンは売上げの三分の二を占めるモノグラムより、ロゴのつかないレザーバッグを強化し高級化を進めます。

 日本でもかってはラグジュアリーブランドのロゴが大きく入ったバッグがあつこちで見られましたが、今はもうセンスの無いお母さんが入学式、卒業式で身につけるぐらいで、ファッション感度の高い地域ではロゴ入りのバッグは見かけません。

 エルメスは店舗で同じ商品を見たり、同じ商品を持っている人がいないように半年ごとに5万品目のうち3万品目を入れ替える施策をとって中国で成功しています。

 世界に誇るグローバルブランドである「ユニクロ」も現地の若い人にとってはどこにでもある「いけてない」ブランドだといわれています。

 沢山売るためには「大衆化」市場を掴むことは欠かせませんが、陳腐化も早いため、ブランドの鮮度管理が必要です。神戸のUMIEにはファストファッションの大型店が並んでいますが、比較して見るとあらためて、それぞれの商品のチープさが際立ちます。(新店オールドネービーのことです)

 日本への観光客誘致も中国人の団体客頼みから個人旅行者の開拓にシフトしています。ある意味、中国政府の団体旅行規制がプラスに働いたとも言えます。心斎橋、なんばの商業施設が始めた「みんなdeミナミ」キャンペーンも、中国の団体客で賑わっていたら逆に共同販促が進まなかったかもしれません。

 それにしてもルィヴィトンは神戸そごうの1階店舗がコメ兵と並んで、まるで同じ百貨店に入っているかのように見えている状態を早期に解消しなければだめでしょう。

                                       (2013年05月14日)
■破綻した3セク事業を2次破綻させないために〜Aをモデルとした事業再生フロー

 別に誰かに頼まれたわけでも無いですし、公開されている資料をもとに読み込んだだけですが。民間から社長を公募したことで話題になっている。大阪市のバブルの遺産、ウォーター-フロント開発の
「A」について事業再生のフローをまとめました。

 「つぶせない」(つぶすと300億前後の支払いが発生する)ので補助金はカットしても別の形で税金が使われています。橋下市長は民間出身の社長に思い切った抜本的な改革を求めておられるのだと思います。

 「A」はイベント開催で「動員」をアピールしています。ただ、それは収益にはどこまでつながっているか不明です。「仕事をしているフリ」で危機から目をそらしているのは企業の末期的状況として共通する現象です。
 思い当たる節は「役所」だけでなく「民間企業」でもあるはずです。抜本的な方針転換、イノベーションを指導できるのはサラリーマン経営者で無く「オーナー感覚」を持った責任を負う経営者だけです。

 この検討チャートが、全国で色々な「3セク事業」の立て直しに携わっている方々の参考になればと願います。

 著作権フリーですが、株式会社ANALOGのクレジットは表記下さいね。


ATC業務フロー.pdf へのリンク
 

                                        (2013年05月13日)
■ゴールデンウィーク商戦補足

 人の流れは増えたというのに

 うめきた先行開発区域グランフロント大阪にはゴールデンウィーク期間中に367万人の来場者があったそうです。人の流れはJR大阪駅のルクアとJR大阪三越伊勢丹の間を抜けて、うめきたに向かいます。
 JR大阪三越伊勢丹の入店客数は2%増、ルクアの入店客数は8%増だったようです。一方、ルクアの売上げは6%減です。(JR大阪三越伊勢丹は未公表)意外に入店客数増の恩恵は少なく、売上げにはつながっていないというのが実態です。

 同じ駅ビルの大丸梅田店では客数が2%減、売上高は4%減と集客の恩恵はなかったようです。
百貨店とは」とはとは客層が違いますし、来街目的も違いますからね・・・・。

 4月19日にオープンした「梅田オーパ」は30万人の来館がありましたが売上げは予算未達だと言います。

 その他のSCでも「梅田への来街は増えたのに、来館者数は減った」という施設が多かったようです。

                                             (2013年05月10日)
■家族としてのペット〜多頭飼いが増える

  NO PET NO LIFE

 何らかのぺっとっを買っている世帯が36.9%だそうです。(一般社団法人ペットフード協会)昨年10月現在で犬が1,153.4万匹、猫が974.8万匹飼われています。

 今年3月に公益財団法人地方経済総合研究所が九州で調べた調査では、ペットを飼っている世帯で犬を飼っている割合が52%、ねこを飼っている割合が33.2%なのですが、それぞれで複数の犬を飼っている人が2割、複数の猫を飼っている人が46.5%と5割弱となります。(ちなみに魚類が24.7%で飼育率3位になります)

 確かに猫を飼っている人は2匹以上飼っている人が多いですよね。
 散歩していると複数の犬を散歩させている人を結構見かけますので、犬の多頭飼いも増えてきているのかも知れません。

 家族同然の犬ですが、サービスの利用率も高くなってきています。今後、健康管理や介護サービス、葬祭関連の市場はもっと伸びていくと見ています。

                              (2013年05月09日)
図ー犬に関する利用サービス
図26

2013年 3月九州在住のペットを飼育する男女732人 公益財団法人地方経済総合研究所
■全国のゴールデンウィークの状況〜グランフロント大阪は突出しているのか?

 今年のゴールデンウィークの特徴
 「アベノミクス効果」の円安のためと日程の関係で海外旅行が減少しています。LCCのピーチでさえ国内線の好調と比較し国際線の日本人客は少なく、香港線は7〜8割が現地客だったそうです。
 北海道をのぞいて天候に恵まれて、近場ですごす観光客で賑わっています。九州沖縄では「アベノミクス効果」で高級リゾートの客単価が若干あがったようですが、韓国との観光船は客が減少し、駅ビルの来場者も減少しています。JR九州の利用者も減少している状況では「アベノミクス効果」と見出しを付けるのは、好景気気分をサポートしたいという記者の意図に反し、安部さんの政策のマイナスイメージを強めることになるでしょう。

今年は伊勢神宮と出雲大社が遷宮の時期なので人気を集めています。

 商戦動向

 首都圏の商業施設は堅調。「遠出をせず、通常通りの休日スタイル」のお客様が多かったようです。気温が低かったことも有り夏物の本格化はまだまだです。百貨店は客単価の減少を客数が補っているといいます。洋服よりも服飾雑貨の売れ行きが好調です。

 全般的に安く、ただでも楽しめる施設、イベントの賑わいが目立ちます。「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」の367万人は突出しています。もともと梅田地区の流動者数は多い上に、京阪神以外の観光客も多かったようです。

 ただ、購買にはつながらないので客単価800円ともいわれています。(新聞報道)

 流動者が増えて阪急百貨店は売上げ6割増です。店内案内も沢山持っていく人が多い.つまり新しいお客さんが多かったと言います。JR大阪三越伊勢丹やルクアも来店客数は増えていますが、さて売上げはどうだったのでしょうか?

                                   (2013年05月08日)

図27
日本経済新聞5月8日地方経済面から作成
■うめきた先行開発区域グランフロント大阪来場者数は想定以上

  周辺施設にも波及効果

 初年度で2500万人の人出を見込んでいましたから、4月26日の開業から5月6日までの10日間で366万人の人出というのは集客に関しては順調な滑り出しと言えましょう。隣接する「ヨドバシカメラ梅田店」は「想像以上の波及効果」だそうですし、や「大阪ステーションシティ」も昨年同期1割増の来場者です。
 少し離れたディアモール大阪では集客が1割減となっていますが、想定(2〜3割減)よりは影響は少なかったようです。

 ディアモールはそれでも毎日通る通路なので、対策はとれなくはないです。ポジショニング的に厳しいのはイーマ、ブリーゼブリーゼだと思います。ルクアの影響もありましたが、今回一段と競争が激しくなりました。

 JR三越伊勢丹の社長のコメントでは「少なくとも人の流れではプラス」と前向きにとらえた発言がありました。(ただ、前を通っていても店内に入る人は少ないようですが)、カード会員などの固定客は増えているようです。営業黒字を出せようにと経費削減を進めています。

 ルクアは「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」と客層がバッティングするのですが、25万人のカード会員を武器に物販につながるイベントに力を入れていくそうです。

 売上高は29日までで12.5億円と発表されています。年間目標の400億円から考えると、やや低い感じがします。このペースだと320億円にも届かないのではないかと思います。

 地下1,000台の駐輪場の意味

 この施設は駐輪場を多く整備しているのが特徴です。最初の90分間は無料、以後24時間ごとに150円です。オープンスペースが多いが故の対策です。御堂筋でも不法駐輪が課題になっています。都心居住が進む中で、市内の移動で自転車を使う人が多くなっています。
 御堂筋でも自転車道整備が語られているように、この機会に自転車と都市のつき合い方を再考する必要があります。

                                             (2013年05月07日)            
「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」について7日の朝日夕刊には客単価800円と報道されていました。今の所、無料でも楽しめる観光地なのでしょうね。
■物々交換がこれからブレイク

 都市部に拡がる「交換の輪」 ポトラッチ経済の予兆

 フリマとは又違った動きとして「物々交換」の動きが都市部に拡がっています。(なんと日経新聞の5月1日の名古屋夕刊の中部特集の記事です)
 大阪梅田で開催されている「xChange」 おしゃれな洋服交換会では着なくなっ洋服を持ち寄って、好きな服を持って帰れるポトラッチが行われています。

自分ではもう着ない服や履かない靴だけど「誰かが欲しいかもしれない」ファッション・アイテムを持ち寄りましょう。
アイテムには、そのモノにまつわる思い出や次の方へメッセージを「エピソード・タグ」に1つ1つ丁寧に書いて付けて来てね。
会場で自分のアイテムのディスプレイが終わったら、参加者それぞれが好きな服を持って帰れる、というシンプルな仕組み。

クローゼットの整理ができて社会貢献にもなる、人とのつながりというあたたかさも体感できる楽しいパーティーにアタナも参加してみよう!
全国各地で様々な方々によって開催されていますのでお近くの会場を探してみてね。

http://letsxchange.jp/ へのリンク


 対価を求めるのでは無く、自分にも社会にも無駄が少なく快適という「考え方が今時の若い女性に受けるのだとか。

 古着の買取サイトもありますが、自分の好きな服を安く買いたたかれると腹が立つので売らないというお嬢さんもいます。フリマやオークションに出すと「1円でも高く売ろうとする嫌らしい自分が出てしまう」ので嫌だそうです。

 いくらアベノミクスバブルを煽ってもおどりませんね若い人達は・・・・。

 ツィッター上で「欲しい」「あげる」情報を交換するサイトもあります。
http://www.livlis.com/ へのリンク


利用してやろうという「業者」が入り込むと荒れるでしょうが、なんだか欧米の若い人達みたいな感覚ですね。

 自分の好きなモノの価値がわかってもらえたら嬉しい。喜んでもらえたら嬉しい。交換が貨幣から離れたところで回り出すのは、為替相場や、海外の投資家の思惑で乱高下する会社の業績や給料のありかた。貨幣制度や金融システムへの不信感が拡がっているのだと思います。

 「アベノミクス」はひとつのギャンブルですから失敗すれば確実にハイパーインフレになります。かつてのアルゼンチンのように物々交換・相互扶助で生活必需品を流通できるように、いまから準備を始めとく必要がありますね。

                                  (2013年05月02日)
■姫路駅ビル開業に地元百貨店は

4月30日JR姫路駅に駅ビル「ビオレ」オープン

 地上6階地下1階建ての同ビル。延べ床面積は3万1000平方メートルで、JR西日本の関連会社「神戸SC開発」(神戸市東灘区)が運営する商業施設「ピオレ姫路」が入居する。ピオレの店舗面積は1万3000平方メートル。テナントでは、姫路初出店となる「東急ハンズ」をはじめとする119店がお目見え(姫路経済新聞)
http://himeji.keizai.biz/headline/894/ へのリンク
年間売上げ165億円を想定(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201304/0005934873.shtml へのリンク
ピオレ姫路(本館)は、20代から30代の女性を中心に、男性やファミリー層まで幅広いお客様をターゲットに新しいライフスタイルを提案するファッションビルであり、姫路市初出店のテナントが全体の7割を占めています。
 新駅ビルの開業に合わせ、既存の「プリエ」「プリエごちそう館」「プリエおみやげ館」は、それぞれ、「ピオレ姫路ヤング館」「ピオレ姫路ごちそう館」「ピオレ姫路おみやげ館」と名称をピオレに統一し、一体的なショッピングセンター「ピオレ姫路」として運営してまいります。また、「ピオレ姫路ヤング館」はピオレ姫路(本館)の開業に合わせて、リニューアルを実施します。
 これにより、全体として、総店舗数約200店舗、総店舗面積約23,000平方メートル、衣料品をはじめとするファッション関連から、書籍、美容、サービス、食品、おみやげまで、多種多様な商品がそろったショッピングセンター「ピオレ姫路」が誕生することになり、JR姫路駅が魅力的な商業空間を兼ね備えた駅として生まれ変わります。 (JR西日本プレスリリース)

http://www.westjr.co.jp/press/article/2013/02/page_3320.html へのリンク

 目玉は東急ハンズの導入でしょうか?地元百貨店の山陽百貨店には「ロフト」が導入されていますし、ヤマトヤシキには「ユザワヤ」(手工芸品)が導入されました。専門店の導入で対抗する作戦です。
姫路市長は「若者はビオレ、中高年は商店街という協力体制で大阪などへの顧客流出を食い止める」というお考えのようです。

 イオン系の専門店ビル「姫路フォーラス」の立場がありません。ジャスコ創業者の1人の出身地だというのに・・・・。

 姫路は兵庫県第2の都市としてポテンシャルはあったのですが、なかなか商業者の評価が低くて、今まで出店に消極的でした。駅ビルで流れが変わるかも知れませんね。

                                      (2013年05月01日)
 
 4月
■巨大空間は人気が無くなると寂しい〜グランフロント大阪開業

 話題沸騰のうめきた先行開発区域グランフロント大阪

 このゴールデンウィークはアベノミクス円安で海外にでかけられない関西人が沢山訪問して賑わうでしょうね。テレビでもずっとこの施設の紹介をしていました。
 26日の開業時に少しだけ拝見いたしましたが、面白いテナントも入っていて、楽しいですよ。
 
ただ・・・一番奥のアトリウム空間は人が賑わっているときはいいのですが、落ち着いてくるとかなり寂しい空間になりそうです。ショールーム等が集積していますが,人がここまで足を運ぶ目的となる機能・施設が弱いのです。(近くの梅田に通勤する若い人に聞いても"遠い”のでいかない・・・というコメントでした

 ターミナル梅田に隣接している事で楽観視する人も少なくないでしょうが、少し,動線から外れると人は流れません。現実にこの日、沢山の人が前を通っていても三越伊勢丹の店内は恐ろしいほどがらがらでした。
 ルクアは阪急への動線なのでまだ人がいますが、圧倒的に店外の通路を歩く人が多いのです。

 どういうわけか建築家は大アトリウムが好きです。大アトリウムで人が継続的に賑わっている事例をご存じでしたら教えて下さい。もっとも。このアトリウムのあるのは商業ゾーンではないのでしょう。オィスワーカーのアメニティ確保のためのアトリウムなのでしょう。

 グランフロントの内容についてはじっくり見ていないので講評は差し控えます。1ヶ月後の人の流れを見てご判断されるといいでしょう。かんじんなのは商業で無くオフィスゾーンです。核店舗もないですし、商業の力だけでは街作りは完成しません。

 外部の建物デザインに関して「建築オタク」の人達のサイトでの評判はさんざんですね。・・・もっとあたたかく見守ってあげましょうよ。

                                        (2013年04月30日)
               駅前広場には緑がありません
写真11写真12写真13
                 巨大アトリウムには閑散時の寂しさが、つきまといます
写真14写真15写真16写真17
マネキンは実は本物の人間です       前を沢山人が通っていてもJR大阪三越伊勢丹は・・・・閑そうでした
ルクア1ルクア2写真18写真19

撮影:4月26日 開業日  17:30〜19:00
■セールスサポートのIT化について  等

 販売現場のIT化の夢と現実

 例えば、洋服のコーディネートやインテリアの提案などのシミュレーションやカラーコーディネイトの提案にタブレット端末を使うという使い方はあるのでしょうか。
 まだ販売現場にはタブレット棚末が十分に行き渡っていませんから検索して調べてみてもITの活用はPOPの制作やデジタルサイネージに限られているようです。さもなければいきなりビッグデータの分析というジャンルで,収集した膨大な顧客データを「集計分析」するという話題がヒットします。
 
 オートバックスがタブレット端末で在庫チェックや顧客履歴をもとに接客サービスを向上という記事がありましたが300店舗に1000台ですから店舗3台?ですね。昔のパソコンのように、まだ店頭では使いこなせていないようです。ハードだけの問題では無いです。アップルストアに行ったときに、案内からカウンターの係員までずっとアイフォーンやスマホの画面をみていてお客さんの顔を見ていない風景に寒気を覚えた事があります。

 最近は食事中でも電車の中でもみんなスマホの画面を見ているので、そのこと自体をいまさらとがめることは諦めていますが、接客というのはお客さんの情報をインプットする最大の接点ですので、アップルのあのような接客はありえないとおもうだけです。

 店頭で必要なサポートは、在庫状況の確認、目の前の顧客の購買履歴に対応した提案、店頭に並べていない類似商品の提案などネットでは提供されていても店頭では不足している情報サービスです。それに加えて店頭ならではの人の言葉による提案、やお客様との関係作りができればベストです。

 お客様の顔をみない商業者がいくらビッグデータをこねくり回しても無駄でしかありません。店頭でも販促でもお客様と対面するためのツールを情報技術が提供しなければだめです。

                                               (2013年04月26日)
■百貨店は不要なのか?〜消える店と増える店

 追い込まれる?地方百貨店

 仕入れ先からの選別、従業員の削減、改装投資の見送りという三重苦の中で、地方百貨店が苦境に陥っているといわれています。1月末に西武沼津(跡地は食料品・医療の複合施設)、呉そごうが閉店。神戸の大丸新長田店も閉店しました。(跡地は西友が入るそうです)

 百貨店の投資は都心部の旗艦店に集中しています。地方店、郊外店は専門店の導入で自前店舗のコストを抑える方向に動いています。Jフロントがパルコを傘下に収めたのは専門店運営のノウハウが欲しかったからです。
 
 一方、イトーヨカドーの百貨店業態「ロビンソン百貨店」の小田原店、春日部店がそれぞれ西武百貨店として3月1日に改装オープンしました。

 百貨店業態が衰退している?地方百貨店は将来が無いのであれば専門店への業態転換が筋でしょう。(近年、西武・そごうがますますイトーヨーカドー化、してきていますが)GMS、デベロッパーにとって百貨店業態は「魅力」のある業態なのでしょうね。

 かつて、イオンが三越の買収に興味を示していました。その昔は勢いの良かったダイエーも島屋を買収しようとしていましたね。

 百貨店サイドからから高級食品スーパー、専門店街の取り込みを図るより、他業態が「百貨店」を含んだ複合商施設を構築する方がハードルが低いのですが、GMSは悉く失敗しています。(プランタン、ボンベルタ、ロビンソン、等)その理由はいずれゆっっくりと解き明かしたいと思います。

 JR大阪三越伊勢丹の再生案

 伊勢丹にとって一番すっきりするのが三越を切り離してイオンに売却することですが,今更それもできないでしょう。関西ではJR西日本と切れるわけにもいきません。

 以前、触れたように、百貨店の強い要素「高級化粧品」「シニア」「ギフト」「デパ地下グルメ」を切り離して小型店舗をJR西日本の主要店舗で展開するしかありません。採用した人員をそちらに振り向けて、大阪の店舗は縮小し専門店の比率を高め、JR京都伊勢丹を旗艦店にすることです。

 ここで撤収すると西武・そごうのように関西市場では、後退戦を戦うことになります。三宮、天王寺、奈良などにフルスペックの百貨店を出店する事はできませんが、百貨店顧客はそのエリアに必ずいます。

 うめきたの開業で人の流れがどう変わるか?でしょうが、最初から一番流れの悪い場所に配置したストアプランの間違いです。縮小した上で「関西人よこれが百貨店だ」という気概のある売場をつくって下さい。
 
                          (2013年04月25日)
■PA立地でもリピーター〜ネオパーサ清水のファッション店

 「ネオパーサ清水」開業1年〜順調に売上げを伸ばす

 昨年新東名高速道路パーキングエリアに開業した商業施設「ネオパーサ清水」の売上げが順調なようです。年間売上げが20億円。土日は20〜30台のファミリー層で賑わうなど若い世代に支持されています。
  高速道路外の駐車場「ぷらっとパーク」からの来館者は7〜9%です。ファッションは売上げの20〜30%を占めますが、固定客が多いようです。

 ファッション店舗はUAの「ザ・ハイウェイストア・ユナイテッドアローズ」、「FR・フリーズショップドライブイン」。「ハートダンスプラス」、「クシタニパフォーマンスストア」(バイクウェア)の4店。
 バイクウェアが好調なのは想像できますが、雑貨だけで無くTシャツなども売れていて固定客が多いようです。

 高速道路立地でのファッション需要も意外に可能性がありそうです。セールが効くようですがアウトレットアウトレットのイメージを嫌ってセールは抑制するようです。
繊研新聞4月24日より
                                            (2013年04月24日)


 世界同一賃金発言が波紋を呼んでいるユニクロの柳井社長ですが、国内的には不評ですが、特にアジアの野心にあふれた若い人達に希望を与えるメッセージでしょうね。ある時期、日本の若者に能力だけで「正当に評価される外資系企業」という幻想があったように、優秀な人材をあつめるインパクトはあるでしょう。

 ブラック企業という評判もありますが、あの規模になってしまうと経営者の思いを伝えるのに一番簡単なのはシンプルなメッセージを徹底させることです。それが末端に行くと脱法的な圧迫を末端の人間にあたえるという構図なのだと思います。

 もちろん、そのような組織設計は間違っていますし、あの会社の商品はいつまでたっても、包装資材を服の形に成形しているだけのものです。ロゴや広告は外部の人材をお金でひっぱってこれますが、人材、組織設計は「企業の器」=トップの器量の範囲でしか変われません。

 急成長したひずみですし、「成長」する(数字を伸ばす)しか求心力をたもてない企業です。

 同じように一代で急成長した企業でも、会社が駄目になったあとも「元ダイエー」とか「元リクルート」とかいう人はあちこちで活躍されています。組織がどうこう言うより、違いは創業者が人に仕事を任せることが出来たかどうかなのでしょうね。良くも悪くも・・・・。

 優秀な人材を集めても「元ユニクロ」ということで敬意をはらわれる人材がどれだけ輩出できるでしょうね。
 
■大阪のあれはどうなっているか?

 旧サントリーミュージアムはオリックス不動産が落札

 2010年に閉館し、大阪市に寄贈されたサントリーミュージアムですが、貸出先の入札を行った結果「オリックス不動産が月額166.6万円の賃借料で落札しました。大規模改修のあと、イベントや展示が行われる施設として活用されます。故佐治敬三氏の遺産のようなものですね。
 海遊館に隣接していて海が近い環境で、安藤忠雄先生の設計ですから・・・お値打ちと言えばお値打ちですが、かつて営業していた人は使い勝手がとても悪いとおっしゃっていました。海遊館は2014年度には売却の方針が決定(昨年4月)しています.近鉄への売却が24日に発表されました。当初の予定通りですね。

  オリックス不動産が昨年3月京都に開業した京都水族館は初年度目標200万人ですが、7月の時点で100万人を超えていたので、目標クリアは確実でしょう。コンパクトな都市型水族館ですがリピーター確保が鍵です。イルカショーについて心配されていた国際的な動物虐待の非難は回避されています。

 USJ隣接市有地は東京の不動産会社に売却

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに隣接した市有地6,600uは東京の特定目的会社「ワンダー・トリアングルム」に20億円で売却されました。2015年に「28階建てのホテル、商業施設を建設し年間160万人の集客を目指します。USJは2016年にハリーポッターをテーマにしたアトラクションを新設し、1100万人の集客を見込んでいますから、楽勝?ですね。

 万博記念公園は大阪府に返還
 
  自然文化園や日本庭園などの緑地部分は「当面」見送られるようです。南側では三井不動産の複合商業施設やガンバ大阪の新スタジアム建設が進んでいます。それらの施設の地代を公園の管理費に充てると言うことです。

 御堂筋大阪市へ移管

 4月から御堂筋が国道のまま大阪市へ移管されました。側道は歩道の拡幅、自転車専用道として活用されそうです。段階的に実験されていくでしょう。

  沿道の建物の高さ制限については規制緩和の方針が発表されています。

専門部会による規制緩和の最終案では、御堂筋の淀屋橋―本町(約1・1キロ)の間のビルの低層部の高さは、現状と同じ地上50メートルで統一すると決定。一方で軒先を低層部より後退させた高層部については、50メートルと後退分を合わせた2倍の高さまで認めることにした。軒先の後退分が20メートルなら、ビルの高さは140メートルまで可能となる。容積率も最大1300%まで認める。

 ただ、御堂筋一帯の上空は大阪(伊丹)空港への航空機の進入路で、航空法で規制を受けている。実際に建築できるビルの高さは200メートル程度になる。(朝日新聞3月20日)


 住宅用との緩和までは表面化していませんが、今年度中にまとめられる緩和案には反映されているかも知れません。放置自転車が課題となっていますからまず、格好いい自転車の使い方が定着する様な街で無いと、悪い意味での生活感がダダ漏れになる街になりますよ。

                                           (2013年04月23日)

 26日に開業するうめきた先行開発区域グランフロント大阪ですが、賑わう梅田の中でJR大阪三越伊勢丹では「対象顧客に商圏、商品、サービス。この4つを変えないと大きく変わったと来店客に感じてもらえない」ということで2015年春に、一部売場に外部専門店を導入する計画を発表しているそうです。

 梅田がオーバーストアであるとは私には信じられません。例えば阪急百貨店の食料品売場。先日も少しごちそう感のあるローストビーフを探して回りましたが、どこにも置いていませんでした。
 神戸大丸のディーン&デルーカでみかけた米沢牛のローストビーフのようなものを、お使い物用に買う気で探したのですが・・・・特にこの店は肉の品揃えがいまひとつだったのですが、改装後も変わっていません。
(よく探すと松阪牛のローストビーフの売場がありました。失礼いたしました。ただし、配置が?この場所にこの価格の商品が・・・?という場所でした。探してみて下さい)

 これは単なる一例。阪急に限った話ではありません。梅田には菓子作り用品原料もありませんし、DIY用品も揃っていません。冨澤商店も東急ハンズも品揃えが中途半端です。

 梅田では全ての店が幕の内弁当のように総花的で「売れ筋」をつまみ食いしているだけです。その意味で、自ら「トレンドをつくる「伊勢丹」には期待していたのですが。何だか、さらに悪くなりそうな嫌な予感がします。
                                                  (4月24日 追記)
■中国人観光客個人客を掴むには

 中国の旅行市場は個人旅行客中心に

 中国政府の観光局にあたるあたる部門が発表したレポートでは、2012年の海外旅行者のうち、個人旅行客が70%をしめたといいます。個人客の人気は香港がトップで、マカオ、プーケット、モルディブ、ソウル、バリ、シンガポール、台北と続いており日本では東京がようやく9位にランクインしています。

 昨年は9月以降尖閣問題によって訪日客が大きく減少していますが、通念では37.1%ノプラスでした。団体客は中国の旅行社を通じてビザ申請を行う必要があり、政府の指導で旅行社が扱いを自粛すると急減します。政治にコントロールされる部分が大きいのです。
 個人旅行者は、在中国の日本大使館でビザを受け取れますから、落ち込みは少なく、我々の企業努力や、政府のビザ発給要件の緩和策で誘致が可能なのです。

 福岡県の上海事務所のレポートでは上記事実を指摘した上で、福岡への誘致策を提案しています。その中で、上海〜〜佐賀の春秋航空の運賃が片道3,000円で1時間半というのはびっくりしました。

 関空にもLCCは乗り入れています。市内の外国語表記はまだまだですし、ビジネス対象として団体客にばかり注目していたのではないかと思います。中国人観光客に対する誘致対策を考え直す必要があります。

 中冷地熱〜センセーショナルな報道に惑わされてはいけない

 尖閣問題で日中関係は冷え切って対日感情は最悪だと思い込んでいますが、公式発言はたてまえとして、中国のある程度以上の階層は冷静です。中央政府は建前で話しても地方政府は地元で雇用を生み出している日本企業を支援しています。自動車でも性能や安全性では日本車を評価している・・・ともいわれます。

 竹島問題で不協和音があったあった日韓関係でも、日本人観光客の激減((北朝鮮の脅迫もありますが)に誘致策を要望する声があがっているそうです。

 うめきたのスタートダッシュを推進するためにも、中国人の富裕層をしっかりと掴むことが関西にとって最優先事項だと思います。国内のパイを分けあうだけでは先細りです。

                                           (2013年04月22日)
■神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール開業

 日本で4番目のアンパンマンミュージアム

体験型テーマパーク「神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール」が19日正午、神戸市中央区の神戸ハーバーランドで開業した。親子ら2500人が列をつくり、正午現在で入館2時間半待ちの人気ぶり。記念式典には原作者のやなせたかしさん(94)も出席した。

 横浜などに続き全国4カ所目で、西日本初。遊園地「モザイクガーデン」の跡地に建ち、有料のミュージアムと無料のモールがある。西日本一帯からの集客を想定し、ミュージアム入館者は年間60万人を目指す。
(神戸新聞)

施設概要

(1) 施設規模 延床面積 約5,600平方メートル
1階 ショッピングモール 2階 ミュージアム 3階 事務所
(2) 運営事業体 
神戸アンパンマンミュージアム&モール有限責任事業組合
(3) オープン 平成25年4月19日(金)
(4) 集客目標 来場者目標200万人(うち有料来場者60万人)

 当日は、やなせたかし先生もおいでになっていたのですね。並んででも入場してくれば良かったです。

 UMIEはこの立地にあっている


 H&M、ZARA、OLDNAVY、ユニクロ、GU、GAP、コムサが並ぶと壮観ですね。何故シマムラと西松屋、ハニーズがないのかとも思います。洋服の質はまあ、値段なりですが、小さい子どものいるファミリーやお金が無い若いこに買いやすい施設です。(OLDNAVYは遠目にも安物満開の残念なショップです。欲しいと思った商品はZARAにありましたが、欲しいものは決してお安くないです・・・・)
 
神戸阪急も頑張っていたのですが、やはりこの立地・商圏では今の形がベストでしょう。イオンモールのパワーが発揮されています。商圏である北区や西区からファミリー層を集めるでしょうね。
 
百貨店の立地では無かったのです。早々と撤退した「西武」は利口でしたね。そういえば、西武・そごうの関西旗艦店三宮の神戸そごうの1階にはルィヴィトンのショップの隣にブランド品買取の「コメ兵」が仲良く並んでいます。
(もちろんそごうのテナントでは無く新館のビルのオーナーが誘致したテナントなのですが、大きくロフトとでている看板の下にコメ兵を見たときはびっくりしました。よくヴィトンが退店しませんでしたね)
神戸そごう

                                            (2013年04月19日)     
ちびっこたちで大賑わいの「神戸アンパンマンミュージアム&モール」
umieumie2umie3中高年にもアンパンマン人気?

UMIEには活きのいいファストファッションが大集合
umie4umie5ロタンダ

コメ兵とヴィトンのお店が並ぶ「神戸そごう」ならでは珍風景・・・
神戸そごう神戸そごう2写真22
※神戸そごうの1階にはリィヴィトンのショップとブランド品買取の「コメ兵」が仲良く並んでいます。
 (そごうのテナントではありませんが,そう見えます)


 神戸そごうではならではの合理性でしょうか。そごうカードをつくるとセブン&アイのPBのお菓子がもらえます。安くておいしい。)

 「たらればで」すが、もしあの震災が無ければ「ダイエー」は延命し、そごうのドル箱であった「神戸そごう」はいまでも一番店で有り続けたのでしょうか?
■「グランフロント大阪」経済波及効果は1,120億円〜りそな総合研究所

 初年度経済波及効果は1,120億円、2年目以降は1,271億円

 うめきた先行開発区域グランフロント大阪の開業が近づいてきました。りそな総合研究所が17日に関西にもたらされる経済波及効果について発表しました。「関西最後の一等地」には4月26日に商業施設、オフィス、研究施設が、6月5日にはホテル(インターコンチネンタルホテル大阪)、8月には住宅が開業します。

 これらの施設によって生み出される売上げや、オフィスの賃料収入、これらに誘発された所得が押し上げる消費を合算すると1,120億円になるそうです。

 ナレッジキャピタルが生み出すあらたな価値や、周辺の地価上昇は含まれていないそうですから、実際の効果はもっと大きく膨らむのでしょうね。そうあって欲しいものだと思います。

 中華系の富裕層をつかめ

 うめきたの高級マンションの購入者は中国人が多いともいわれています。尖閣問題で中国からの団体旅行は激減していますが、代わりの存在感を高めているアジアの観光客は台湾、香港、シンガポール、マレーシア、ベトナム等では富は華僑が握っていることが多いのです。

 近年、中国をバッシングする気分が蔓延していますが、食の安全や大気汚染などについては中国に住む人自身が不安に思っています。(本土の富裕層は地方政府の役人が多いのがネックですが、生活拠点を大阪に持たせるインフラ整備も重要です)

 心斎橋などミナミはアジアからの観光客に依存している部分が大きいのですが、団体客から個人旅行客・富裕層にターゲットを絞るべきでしょう。

 うめきた先行開発区域グランフロント大阪の成功も、)経済波及効果の実現もアジアの投資家、学生、富裕層を呼び込む事で「富」が創造されます。ターゲットをはっきり絞ることで戦略が具体化されます。
 例えば、大阪の場合は安い労働力としての留学生はいらないと明確に打ち出すべきでしょう。

                                               (2013年04月18日
■「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」は良質な街になるが新しい需要は生むのか

 うめきた先行開発区域グランフロント開業に向けた周辺施設の対策

 ルクア:1万5000円分の買い物をした人に1,000円の商品券を配る販促キャンペーン
      (先着1,000〜2,000人)26日から30日まで。
 大丸梅田店:開店30周年キャンペーン
     http://www.daimaru.co.jp/umedamise/monoawase/ へのリンク
     「ニッポンのものあわせ」靴や文具のクリエーター40人の実演販売

 阪急梅田本店:「初夏の北海道物産大会」
 JR大阪三越伊勢丹:「開店2周年記念祭抽選会」

  日経新聞4月16日号の記事の見出し「グランフロント26日開業、周辺施設、集客へ先手」というほどたいした催事ではありませんね。ゴールデンウィークの普通のイベントであるような気がします。

 ただし、ターゲット層が重なる「ルクア」の危機感が強いことはよくわかります。カードの有無に拘わらずキャッシュバックするのは新施設を観光に来るお客さんの取り込みを意図したものでしょう。

 記事の中で「従来梅田に足を運ばなかった層の取り込みを期待する声も聞かれる」として「あべのマーケットパークキューズモール」が天王寺周辺に人を呼んだ事例をあげていますが〜これは誤解です。

 あべの・天王寺になかった機能(専門店、スーパー)が今まで通り過ぎていた通過客を利用者にしただけです。「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」では従来無かった良質な商業空間によって梅田の人の回遊動線をかえて、滞留時間を増加させることでの需要は創造しますが、あらたな商業機能もないので、新しいお客様を呼び込む事は厳しいです。(開店当初は別でしょうが)

 開店後の好成績はうれしい予想違いです。都市観光的な観光客だけで無く、しっかりと顧客を掴んでいるテナント及び店長を集約させた阪急阪神グループの底力です。

 いくつかのレポートにもある「ハフモデル」的(引力モデル)な発想で「規模が大きくなれば吸引力が高まる」という「迷信」にとらわれたコメントです。

 規制緩和だけでは新しい需要は生まない

 建築家の団体や市政のブレーンの反対にも拘わらず、御堂筋の高さ規制が撤廃されますが、いまのところ建て替えの動きは無いようです。オフィスビルの供給過剰が背景にあります。業界でも「梅田のようなオフィス需要があるかどうかは疑問符がつく」といわれているようです。

 景観という資産を毀損してまで規制を緩和して、最終的には「住宅」を容認して低層部はオフィス商業、高層部に住宅ということになるでしょうが、御堂筋を少し入れば住宅はいくらでも建っています。規制を緩和するのはいいですが、あとは「民間の判断」では無責任でしょう。

  心斎橋筋商店街が景観協定を発効して、地域の資産価値を守ろうとしているように、御堂筋も民間のステークホルダーの議論を先行させて、民間の要請に応じて「規制緩和」を判断するべきでしたね。あきらかに順序が逆です。

                                           (2013年04月17日)
■「宅配事業参入の落とし穴」から適正商圏と立地評価を考える

 「宅配事業参入の落とし穴」

 みずほコーポレート銀行が2月に発表したレポートで「外食産業における宅配事業拡大に向けた提言」を行っています。その中で宅配事業の魅力の高さと同時に「交通事故」リスクが指摘されています。一般的に外食産業が」宅配事業を行った場合の年間の事故率(事故件数/配達車両数)は30%だと言うことです。人身事故ばかりでは無く軽微な接触も含んでいるのでしょうが、業界大手のドミノピザでさえ保険の割り増し料率が200%になって経営を圧迫するほどであったそうです。

 中小事業者の中には任意保険には加入していない業者もすくなくないようです。

 ハードソフト面での対策で事故率を10%にまで減少させた例もありますが、それでも事故はついて回ります。

 配達時間の競争と配達エリアの拡大で配達担当者に余裕がなくなっているのでしょうね。

 ドミノピザでは事故が多い背景として以下の4点をあげています。

 @低年齢(学生中心)=運転暦が少ない・危険、恐怖感がない(知らない)
 A社会人経験が少ない=人間的成熟度(運転モラル)が低い
 B二輪・三輪車両は四輪と比較して不安定車両(転びやすい)である
 C事故審議基準が高い(手押し中倒しても自損事故扱い)

 同社の場合配達エリアは原則として半径2.5km圏だそうです。

 ケータリングの場合時間が経つと味が落ちるのですが、みずほのレポートでは味の落ちないメニューや、電子レンジであたたためる一手間など味の質の確保を対策としてあげています。

 コンビニ業界でも宅配事業が始まっています。コンビニの店舗の商圏が400〜500m圏です。デリバリーエリアもその程度の範囲に限定すればリスク要因を押さえてやコストが圧縮できます。

 事業が成立する立地が限定されるので、立地分析が重要になりますし、「同じサービスを全てのエリアで展開できない」ことの説明が必要でしょう。
 配達エリアを拡大すれば売上げがある程度拡大することがわかっているだけに難しい判断なのですが・・・・。

                                        (2013年04月16日)
■高野山開山1200年(2015年)に向けた高野街道の整備(河内長野市)

 「いにしえの道復活プロジェクト」が高野街道の結節点で整備される
 
河内長野市は大阪府と和歌山県の境界にあります。現在の河内長野市駅で、かつての高野街道の3本の道が合流します。京都石清水八幡宮から高野山に向かう東高野街道、堺大小路を起点とする西高野街道、大阪市平野区を起点とする中高野街道の3本です。

  河内長野で合流した街道は宿場町三日市をへて天見温泉〜から紀見峠を超えて和歌山県橋本市にいたります。橋本から学文路までは紀ノ川沿いの街道道ですが、その先は山道になりハイキングコースになります。

 橋本駅からは南海電鉄の「天空」にのって極楽橋に向かい、極楽橋からケーブルカーで高野山にのぼります。

  河内長野市は「高野街道にぎわい・街並み再生プラン(いにしえの道復活プロジェクト)」として河内長野駅から三日市までの街道の景観整備や休憩施設の整備に取り組んでいます。
http://www.nantoeri.or.jp/research/pdf/chiiki01/201304.pdf へのリンク

 いわゆる「パワースポット」ブームもあり、高野山は地元のシニア層だけで無く、広く観光客を集める吸引力があります。高野山開山1200年に向けて南海電鉄も力を入れていますが、なんば駅から鉄道だけで無く、沿線を歩く楽しみを定着させればリピーターが確保できるでしょう。

 上記のコースは1日では歩けません。コースを区切って何回かに分けて踏破させる仕組みをつくるだけで何度も訪れる楽しみができるでしょう。

                                          (2013年04月15日)
■ガルパンでまちづくり〜マニアックなモノだからこそ届く?

 ガールズ&パンツアー 深夜枠アニメのポピュラリティ

 女子高校生が第2次大戦の戦車で戦うという設定の深夜枠アニメ「ガールズ&パンツアー」。「ガルパン」に注目したいと思います。

http://girls-und-panzer.jp/ へのリンク
 
 舞台となった大洗町が,アニメの中での「優勝記念セール」を実際に実施します。
http://www.oarai-info.jp/girls-und-panzer/index.htm へのリンク

 同じように深夜枠で人気だったアニメ「侵略イカ娘」ではここまでのことは無かったと思います。アニメの舞台の聖地巡礼は最近のブームと言えますが、まだ放送が終わったばかりなのにこの盛り上がりは何なのでしょう。

 例えばアニメでも「ハルヒ」や「けいおん」だと女子高校生に萌える世代に限定されるでしょうが、「戦車」が幅広い世代の「萌え」を引き起こしたのでしょうか?

 NHK朝ドラの「あまちゃん」で岩手県がイベントを行うのとはより広く親しまれるというポピュラリティのレベルが違うのですが、マニアックなコンテンツがどこまで広く届くのか興味深いポイントです。

 もちろん、このイベントの手際の良さは制作開始時からの広告代理店の仕掛けだとは思いますが。地元の人達を賛同させるプロセスが興味深いです。

 シビックプライドと「情的資本」

 まちづくりの愛着醸成は企業のモチベーションアップにも通じる考え方です。

 「B−1グランプリ」がホルモン&焼きぞばコンテストになってしまって陳腐化した事や、「スポーツのまちづくり」「スイーツのまちづくり」などと比較して見たいと思います。少し落ち着いて、考えをまとめます。

                                           (2013年04月12日)
■4月の開業施設〜半信半疑の景気回復の中での船出

 10日イタリア・フェニーチェ歌劇場の日本公演でこけら落とし

 改築した大阪中之島のフェスティバルホールのこけら落としが10日にありました。大阪市内にはこの規模のホールが少ないので、プロモーターも困っています。行政主導で無く、民間がこれだけのホールを維持するのは素晴らしいことだと思います。昨日の記事にもあるように海外の観光客をリピーターとして惹きつけるのは、歴史や文化芸術です。本来は税金を使っても十分リターンがある事業だと思います。大阪市もしっかりバックアップしてくださいね。開業おめでとうございます。

 4月には関西に、いくつかの商業施設が開業します。

 4月13日 H&M心斎橋

 関西の旗艦店として3,000uでオープンします。以前心斎橋パルコのあった場所です。パルコの「ゼロゲート事業」(都心型中低層商業施設の展開)の一環です。(今日内覧会なので明日あたり報道されるでしょう

 4月18日 エキモ天王寺

 大阪市の地下鉄天王寺駅にエキモ天王寺が開業します。614uで年間18億円の売上げ目標が設定されています。来年の阿倍野ハルカスの全面開業を前に6月13日には近鉄百貨店阿倍野ハルカス店が開業します。

 4月19日 神戸ハーバーランド「ウミエ」、梅田OPA開業

 神戸ハーバーランドの「ウミエ」は19日に開業です。アンパンマンミュ-ジアムも開業しますね。H&Mやオールドネイビー等の出店が話題になっています。神戸市西部の足元商圏をしっかり掴むことになるでしょう。
 京都の中心が御所で、大阪の中心が商人の街船場地区だとすると神戸の中心は「港」だと考えています。震災以来観光客と港湾の扱い量が戻ってきません。
 神戸港は大阪港との連携を深め、空港は関空や伊丹と連係しなければいけないのですが、大阪サイドから「大阪都に併合する」というニュアンスの政治家発言があると、警戒してまた閉じてしまいます。多分、その政治家の発言の真意はより連携を深めるということが主旨なのだと思いますが・・・。

 旧阪急イングスのビルのオーナーはヤンマーからABCマートに変わっています。そこにオープンするのが、OPA梅田です。梅田初の「H&M」の出店が話題です。梅田OPAは地下1〜2階の3,200uで30億円の売上げを見込んでいます。(それと比べると前述のエキナカ施設はとても売場効率が高いのですね)1〜2階は「ABCマート」。1〜3階に別に「H&M」が2,000uで出店します。

 4月20日 パルコゼロゲート道頓堀「FOREVER21」開業

 道頓堀と心斎橋の交差点に開業します。道頓堀の治安回復に良い効果があればいいのですが。

 中国との関係を早く修復して観光客が戻ってきて欲しいところでしょうね。道頓堀では7月末に角座が再開します。国立文楽劇場もいい劇場ですが、もし、道頓堀でも文楽の公演を行えれば、フェスティバルホールとは又違った文化資源になります。文楽は世界的な名物です。

 4月26日 「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」開業

 関西発のお店も沢山あります。今までのキタに無かったお散歩を楽しめる空間が生まれます。東京の大型開発のようなバブリーなお店は少ないですが、粒の揃ったお店が集まっています。運営が阪急ですから開業後の店舗のメンテナンスも安心できそうです。(いきなりダイソーとかドンキが並ぶことはないでしょう)

 JR大阪三越伊勢丹とルクアにとっては導線的にプラスになってもダメージが大きいとも言われています。梅田の大型店で駅直結の優位性を活かしているのは阪神だけだと思います。(阪神と地下鉄の駅から一番便利です)JRのエキマルシェがそれに次ぎます。・・・・・そろそろJR大阪三越伊勢丹が本気を見せてくれるのではないかと期待しています。(100円均一市ではだめですよ)こんなもんではないはずです。

 連休明けには結論が出るでしょう。
                                                  (2013年04月11日)
■韓国、台湾からの訪日観光客が増加〜リピーターの目的は多様化

 中国本土からの観光客が激減し韓国、台湾、香港が伸びる〜2月の訪日観光客

 震災の影響から回復基調にあった中国からの観光客ですが、尖閣諸島のトラブルで一気に減少しています。一方、円安の効果か韓国、台湾、香港からの訪日観光客が増えています。リピーターや個人客が増加しており、訪問先や訪問目的も多様化しているようです。

 買い物意欲満々の弾丸ツアーの団体客も、ある意味ありがたいのでしょうが、いい印象を持っていただけるかとか地元にかえって悪い影響を残す(楽して売れることからの手抜きぐせとか)ので、この機会に中国人のリピーターづくりに知恵を絞ることが大事でしょう。

 日本を訪問したことのアル韓国人、台湾人を対象にJTB総合研究所が行った調査では、来日回数が増えるほど個人旅行が多くなり、東京以外の地域で宿泊する人が多くなります。

 韓国では大阪、京都、奈良などの関西と札幌、千葉。台湾では横浜、箱根、河口湖が増えているそうです。
 観光目的も「日本食を楽しむ」「温泉に入る」から「歴史文化を楽しむ」「都市観光」「美術館や博物館に行く」などが増えているようです。

 食事場所もお仕着せで無く歩いて見つけるが多く「お寿司」「ラーメン」「和食」が人気なようです。個人客向けのタウンマップ、観光ガイドをもっと充実させて情報発信していく必要がありそうです。

  詳しくは「JTB総合研究所」「韓国、台湾からの訪日旅行に関する調査」で検索してレポートをレポートをご覧下さい。

 それにしても関西では「神戸市」の影が薄いですね。歴史文化の資源がうまく繋がらないということでしょうか。姫路城や奈良とのつながりを活かしてアピールすることも必要なのでしょうね。

                                             (2013年04月10日)


図ー訪日観光客数推移
図31
(政府観光局)
■スイーツによるまちづくり〜別腹がつくるお試し体験

 地域活性化のための資源とは

 一般財団法人地域活性化センターが発行する「月刊地域づくり」4月号でスイーツによるまちづくりが特集されています。巻頭で甲南大学の西村先生が経営資源として「ヒト、モノ、カネ、情報」つまりスキルの高い優秀な人材、優れた技術力や魅力・ブランド力を有した商品・サービス、財政的・資金的基盤、有効な情報に加えて、「情的資本」つまりセルフモチベーションが重要と論じています。

 人間が本来有している他者愛に基づく自発的な社会貢献好意や自己発露行為などの自発的なモチベーションが組織運営成功のための基礎資源として重要だというモノです。

 地域活性化には地域資源と、パッションあふれる人材と、社会的価値の創出が必要と提起し、スイーツによる地域活性化の有効性は、スイーツに関わる人材の情熱、製造小売業が多い事による地域密着性などに由来していると論じています。また、スイーツのイメージが「いい」ことも重要です。

 確かに、パティシエはラーメン店の職人と同じくらいキャラクターが強調されていることが多いようです。狭い商圏で長く続けていると家族の思い出と結びついて深く愛着が根付きます。
 地域資源は果物、野菜、乳製品、お酒など色々なモノが使えるのも強みと言えるでしょう。

 西宮市「洋菓子遊園会」は倍率20倍

 事例として紹介されている西宮市の「洋菓子遊園会」は2000年からスタートし、西宮市内の有名洋菓子店がコラボレーションしたイベントです。
 コース形式で有名洋菓子店のスイーツを楽しめるとあって200名の定員に対して20倍を超える応募があるそうです。関東からも応募があるイベントで、西宮市民が西宮市を自慢するときに紹介したい名産品として32%の人が「洋菓子」をあげるようになりました。(1位は60%の日本酒です)

http://www.n-cci.or.jp/project2/pdf/2012yougashi.pdf へのリンク

 阪神間モダニズムとして生活文化にプライドを持っている街です。洋菓子は地域イメージにもフィットしますね。
                                       (2013年04月08日)

 地下鉄の売店が民営化されて以来、ピーク時の行列が目立ちます。職人的な早業で捌くおばちゃんのかわりにぼーっとしたバイトさんがPOSレジを売っているからでしょう。民営化で利益を得るのは賃料をとれる大阪市と好立地に出店したコンビニでしょう。売場効率は悪くなっても両者とも十分利益が出るのでしょう。
 
利用者が不便を受け入れれば運賃が下がるのであれば、あえて不利益を甘受するのが市民の義務でしょう。売店は使わなければいいのですから・・・地下鉄の初乗り運賃の値下げは来年4月からになりました。当初20円引きというお話でしたが10円引きだそうです。
 
 竹中平蔵さんはいまだに「規制緩和」と「公営インフラ事業の民営化」が成長戦略だと言い張っています。このケースを見ても、それらは新しい需要を生み出すのでは無く、「富」の行き先の付け替えに過ぎないことがわかります。

 それでもユーザーにメリットがあればいいのですが、ユーザーの利便性を削り取る構図が見えてきました。

 「経済学者」は「経済」についての「持論」を学者同士お互いに議論するだけで、事実から学ばないのだとを再認識しました。その際、持論の基盤になる哲学の部分が竹中先生の場合あまりにも貧相です。経済学者にあまり過大な期待をしてはいけません。

 もちろん、規制緩和が新しい需要を生む分野もありますが、何もかもまとめて解決する魔法だと考えると間違えます。
■「空気」から「勢い」の支配へ〜「ヤンキー」の元気は長続きしない

 「空気」から「勢い」へ・・・による不確実性

 日本社会では理屈や議論では無く「空気」がものごとを決めると言われていました。最初にその論を提起した山本七平の「空気の研究」は元日本代表監督の岡田氏のバイブルとしても知られています。

 対立の表面化を避けて、コンセンサスをとる知恵であると同時に、理屈や筋道の立たない決定や、責任の所在をあいまいにする元凶ともいわれています。

 近年はヤンキー的な「勢い」が場の空気を支配する風潮が目立っています。行き詰まりを感じた中で、「元気」であることが突破口になると感じられるのでしょうか?

 アイドルでも「モモくろ」や「ゴールデンボンバーズ」が人気を集め、食ビジネスでもやたら勢いだけいい「ラーメン屋」や「焼き鳥・ホルモン」「韓国料理」系の勢いが目立ちます。

 現在の報道が伝える「好況」も日銀総裁の「勢い」に惑わされているといえます。問題は「アベノミクス」の勢いがどこまで続くのか、将来にどう影響するかです。つけは今の若い世代に回ります。

 百貨店の業績が伸びていると報道される中で体質改善をどうすすめるかが課題です。

 高値を更新する百貨店株

 バブル経済前に「百貨店危機」が論じられていたのですが、バブル経済が百貨店の改革を遅らせてしまいました。もともと、感と度胸とはったりで成り立っていたファッションが中心の店舗ですから、「戦略」は苦手な業界です。

  本日の日経QUICKで高島屋株が先週末に比べ9.2%高、三越伊勢丹、jフロントも4〜5%高と高値を更新しています。株高による資産効果で高額品の売上げが好調なのと、百貨店が保有する土地を狙った海外投資家からの買いもあるようです。(大丸心斎橋店は美味しいえさですね)

 もともと円は高すぎた、株が安すぎたのでそれが適正な水準に戻っただけという見方は一般的ですが、アベノミクスの効果については手放しで礼賛するのでは無く、慎重な経済レポートが少なくありません。

 煽るの事で部数を伸ばしたい一般週刊誌や財テク雑誌は別にして、市場は意外に冷静です。ただ、「勢い」があると思考停止になってしまう風潮(自分自身を含めて)があるので判断をあやまらないように意識的考にえて行動する必要があります。

 「景気がよくなる」と消費税は予定通りあがります。確実なことは、エコカー減税や家電エコポイントのあとのように消費は大きくシュリンクします。インフレは貨幣価値を下げる政策なので、富裕層には貨幣を、貴金属や高級車にして資産目減りのリスクを回避しようという意識が働いています。節約ムードに飽きてきたという側面もあります。

 百貨店業界はデフレの厳しい時代に建てた長期戦力を一時的な(かなり短期間だと思います)好況ムードの中で粛々と実行していく事が大事です。
 (11日の繊研新聞で島屋の鈴木社長も全く同じような見解を表明されていました。実務家の見方はそうなると思います。)
 
 百貨店のような効率の悪い業態は、保有資産があってこそ成り立ちます。有効活用されない資産が百貨店の競争力を支えているのです。・・・・逆説的ですけれどね。

 イオンがピーコックを買収した背景にはjフロントとの連携を強めてグループ化したい意図があると解説した記事を読みました。セブンアンドアイが西武・そごうを吸収したイメージがあるのでしょうね。

 セブンアンドアイの強みはコンビニエンスストアです。PB食品のセブンアンドアイプレミアムが強いのもセブンイレブンがあればこそです。イオンが今からM&Aするなら百貨店では無くコンビニエンスストアでしょう。東京に土地を保有しない百貨店の不動産の含み資産など限られています。ブランド力は地域限定のものですしね・・・あの伊勢丹でさえそうでしょう。

 とはいえ、GMSにとって百貨店はやはり魅力があるようです。
                                     (2013年04月08日)
■大阪市内のその他の街の動向〜地価LOOKレポートから
(国土交通省の地価LOOKレポート2012年の10月〜12月報告より)
 
 あべのハルカスへの期待に需要が高まる阿倍野地区

 2014年のあべのハルカスの開業に向けて商業サービス系の賃料は上がっているようです。裏通りの古いビルでも新しい若い事業者が参入してくる期待があります。

 商業サービス系の賃料は1階で坪5万円、中層階で坪2万円前後と強気です。2011年開業した阿倍野キューズモールは依然活況で来店者数も8%増加しているそうです。今年4月には地下鉄構内の商業施設もオープンします。4月に供用される阿倍野交差点の歩道橋が天王寺駅と阿倍野の回遊性を高めると期待されています。
 オフィスも立地条件の良いモノは堅調です。

 OBPは災害対応力はあるものの梅田の引き抜き圧力にさらされ

 パナソニックのショールームがうめきた先行開発区域グランフロント大阪に移転するため、パンソニック関連のオフィスがごっそり抜けました。かつては大阪一の景観で人気を集めていましたが、アクセスに課題が有り少し低調です。上町台地にあるため、津波や、浸水リスクが少ない〜(逆に言うと中之島や梅田の一部は浸水の被害についてはリスキーなのですが)事をアピールすれば需要を取り込めるとみられていますが、住宅機能を取り込んだうめきたに比べオフィス系だけの単機能な街なので周辺から孤立しています。府庁周辺や大阪城とのつながりを深めていけば、再興の可能性もひらけます。

 心斎橋・なんばは中国との関係改善に期待?

 梅田や阿倍野との競争はおさまり、店舗の賃料は横ばいで推移しています。金融緩和の影響で不動産の物件取得意欲が高い地域です。このエリアでは中国人観光客の減少が響いているようですが、心斎橋筋商店街及び御堂筋の1階賃料は高水準を横ばいを維持しているそうです。

 中国との関係改善が見通せないと地価回復の足かせとなります。


  船場のオフィスはまだまだ空室率が高い事が常態化

 地価は横ばいとはいうものの、オフィス賃料は募集賃料で7,000円(共益費込み)、成約賃料で5,000円と底値で落ち着いています。ある意味お得ともいえます。店舗は飲食店、ドラッグストアが中心で賃料負担力の低い業態です。
 こんな環境の中で、工夫を凝らして稼働率を高めているビルもいくつかあります。マンションの適地があれば高く売れるそうです。ただ、ここに住んでも犬を散歩させる場所が少ないのが難点です。

 かつてはシャッター通りと言われて閑散としていたエリアですが、歩いてみるとかなり良くなってきている手応えがあります。賃料水準が低いうちに、新しいアイデアを持った若い感覚の人を集める必要性があります。近代建築のスタンプラリーなど、面白そうな立地としては注目されてきています。

                                     (2013年04月05日)
■道頓堀開削400周年〜歓楽街浄化と道頓堀プール計画

 水辺を楽しむ〜安全な歓楽街へ

 歓楽街と言うからには、少し危ない雰囲気もあり、アウトローな世界との境界領域があるのは当たり前かも知れませんが、少し前のミナミはそれが行きすぎていました。由緒ある宗右衛門町に風俗案内所が建ち並び黒服の客引きが跋扈するダークな世界が千日前から北上し、道頓堀、から鰻谷まで拡がっていました。
宗右衛門町


 グリコの看板やかに道楽、などの道頓堀の風景は大阪の観光名所なので、多くの人が訪れますが、路上で被害に遭う旅行者が多く、地元の人間は近寄らないエリアになっていました。
 道頓堀の親水空間の環境整備はされていますが、(本日、久しぶりにタウンウォッチングに立ち寄りましたが大阪府警が何かの事件の現場検証をしていました)まだまだ風情を取り戻すにはいたっていません。

 明るいニュースとしては松竹が7月末に「松竹角座」を再開することです。かつては道頓堀5座といわれるお芝居の街だったのですが、今は大阪松竹座だけになっていたので、いくつきあの劇場が競い合うことでエンタテイメントの厚みがでてくることでしょう。

 実際に街を歩いていると、うどん屋の「今井」の社長が「道頓堀プール」という際物を利用してでも、嗤いものになっても、何とか地域を活性化しようという気持ちが痛いほどわかります。街を浄化するパトロールなどの地道な取り組みだけではマスコミは取り上げてはくれません。「開削400周年博覧会」(「また博覧会かよ」・・・とはいいますまい)といったイベントに注目を集めるためには目玉が必要なのでしょう。

 ただ、その目玉があまりにも稚拙でチープな構想なのが残念です。何度も言いますが、もう少し、本当らしいほら話を聞かせて下さい。
道頓堀

 船場大会議は大阪国の議会のようだった

 3月20日に「船場げんきの会」取材の「船場フォーラム」を傍聴していました。地元の方々の「これまでの10年とこれからのまちづくりを楽しむ」というテーマの「船場大会議」を拝聴していて・・・これは何かに似ているとずっと考えていたのですが、ひそかに「大阪国」を継承していたとおいう設定の「プリンセストヨトミ」だと思い当たりました。
 (万城目学氏のフィクションでは豊臣家に忠誠を誓う大阪国民という設定でしたが、別に秀吉には全く思いいれはありません)商人が自治都市を形成していた堺や平野、京都伏見から集められた商人達が作った「船場」での商人達が自治都市を再現しているのだと思い当たったのです。大阪の表向きのトップはマスコミが大好きなあの人ですが、船場大会議ではあの人や行政の影はありませんでした。
 (ちなみに行政から中央区長が参加されていましたが、謙虚で思慮深いご発言をされておられました。別に行政を敵視するわけではありません)

  お上を当てにしない自分たちのまちことは自分たちで決めていこうという「精神」には希望があります。景観協定をまとめ心斎橋筋商店街や、劣悪な状況から地道に街を浄化していこうとするミナミ歓楽街浄化推進協議会の活動は、最悪の環境にある大阪、そして日本の未来を繋いでいく気がします。

                                    (2013年04月04日)
■高架下の野菜工場〜安心安全が価値になる

 野菜工場ビジネスが拡がっている

 関西での野菜工場といえば、阪急百貨店の関連会社が運営する泉南グリーンファームが有名です。葉物の軟弱野菜は消費地に近いことが有利になります。天候に左右されないですし工場生産では農薬投与が抑制できるので、意識的に工場産の野菜を選ぶ人も多くなってきています。

 阪神電鉄では高架下スペースで未使用の空間が1万uあるといわれています。

 その有効活用の一環として、昨年1月、大物〜杭瀬間の高架下に「阪神野菜栽培所」を開設しています。93.4uの栽培面積で1日に300株、グリーンレタスを収穫しています。

 33日間で出荷できるそうです。基本的に温度管理と水にまぜた薬液の基準値を真面目に守ることがポイントなので規則を守る鉄道マンにぴったりな業務だと言います。

 現在はグリーンリーフレタスだけですが、将来的にはハーブや葉物野菜に拡げていくようです。

 野菜工場は大坂府立大学の植物工場研究センターが自動化などのコストダウンの研究で有名です。大阪では農家数は減少していますが、巨大な消費地を持っていますので、都市型農業がこれからの都市再生の狙い目かも知れません。

 露地物だと廃棄物が30%になりますが、水耕栽培ではわずか3%といいます。

 今後、日本の旧来型農業は農業は壊滅するでしょう。米国産の農産物は遺伝子組み換えやポストハーベストの不安があります。中国産の価格の安い野菜は水質、土壌汚染の不安が根強くあります。身近なところでの目に見える食料品の生産はますます普及していくでしょう。
(種子の生産についての情報公開も必要ですが・・・・)

 大阪東信金が野菜工場のノウハウ提供

 東大阪、八尾を営業エリアとする東大阪信金は、空き工場対策として野菜工場の導入支援を始めています。事業資金の提供と共に設備や栽培ノウハウの提供も行います。経営者の高齢化による廃業や工場の海外移転などによって空き工場が増えている中、葉物野菜や果物を水耕栽培する実験農場を設けて採算性も検証したそうです。

 東大阪は農業は多くないですが、八尾は結構農業も盛んで八尾牛蒡などの特産品もあります。物流機能は強いので、東大阪の工場での野菜作りはいい着眼点です。

                                        (2013年04月03日)

図ー販売目的で作付けした農産物の作付け面積(a)
図32

(農業センサス2011)
■マイクロ投資ファンドの可能性〜阪神高架下「ソダッテ阪神」

 阪神電鉄高架下の開発「ソダッテ阪神新在家編」は5月に開業

 阪神電鉄はその9割が高架か地下を走っています。出屋敷駅は神戸市灘区にあり、震災によって大きな被害を受けています。古くからのコミュニティが分断されながら、便利な立地なので新しい住民も増えています。駅周辺500mの夜間人口は1.4万人。昼間人口は1.5万人と住宅地と働く場所の両方の顔を持っています。向上を背景とした下町と新しい住宅が混在しています。

プロジェクトのホームページでは次のように記述されています。 

そこで今回のプロジェクトでは、高架下空き区画を活用し、新在家に縁や想いを持つ方々の出店支援を行うことで、地域の人々が集いつながる新たなコミュニティの形成を図り、駅を中心とした地域のにぎわいの創出を目指します。

さらに、地域の方々を中心とするより多くの皆さまに、店舗を応援していただくために個人による少額投資の仕組みである「マイクロ投資」を活用します。

これは、出店者への資金調達の支援だけでなく、出資を通じて、出店者とのつながり新在家を盛り上げる輪を広げることを目的としています。

新在家駅において、マイクロ投資というお客様参加型の仕組みにより新しいチャレンジ溢れるお店が育ち、地域を中心とした人のつながりが育つ。
それが、『ソダッテ阪神沿線 新在家編』です。

http://www.sodatte-hanshinensen.com/about/ へのリンク

 単に高架下の土地有効活用にとどまらず、マイクロ投資ファンドという仕組みで、出店者(ほとんどが地元に関わりのアル人達です)と投資者(おそらく地域に愛着を持つ人々が中心です)のつながりをつくるというポイントが重要です。

 マイクロ投資ファンドとは?

 今回のファンドには下記のミュージックセキュリティという企業が関わっています。
 http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/w_group/siryou/20111216/03.pdf へのリンク

 被災地の応援という事業が注目されます。30代の投資者が多いのが注目されます。今の20〜30代は社会意識も高く真面目である印象を持っています。投資目的が事業を応援したいとか、仕組みに共感しているというのが多いです。
 きちんとした企業が株主になり、利回りも4.3%平均だしています。

 「投資ファンド」というと悪玉イメージが強いですが、このような仕組みを育て上げていけば、「グローバルでない事業」や「グローバルでない人材」も(失礼)夢を持って事業をスタートさせられるベースが出来そうです。

 個人資産を持っている高齢者に、共感を呼んで、納得できる情報を提供していけば色々面白いことが出来そうです。

 応援した気持ちを集められれば、資金だけで無く、サポーターとなる顧客が作れます。チームが不振で今の所、個人献金が伸びないですが、ガンバ大阪のスタジアム建設もサポーターの寄付を集めようと呼びかけることが重要なポイントです。

 道頓堀400周年事業に30億円の寄付を集めるためには

 道頓堀の商店主達が400周年事業の為に寄付を募るそうです。様々な議論を呼んだ、道頓堀プールが2kmから800mに縮小されたとはいえメイン事業であるようです。

 推進1.3mのプールで「シンクロナイズドスイミング」開催と言うだけで、誰も真剣に考えていない案である事がわかります。シンクロには最低3mの水深が必要です。道頓堀を底までさらえても3mです・・・・。「ほら話」でもいいのです。人々が夢を持てるのなら、プールの真ん中で、興行として水上女子プロレスでも実現できればその時の話題にはなるでしょう。ただ、ほら話としてのリアリティがないのは誰も真面目に考えていないからです。

 大阪人であれば道頓堀のお祝いに寄付をしようという人も少なくないでしょう。それをきっかけに「風俗店」や「パチンコ屋」を封じ込めて、安心して遊べる街になるのなら30億円など安い物です。

 その為には「ほら話」にも本当らしいリアリティと実現できたら素敵だなと思わせる「夢」が必要です。これでは30億円は集まりません。(東京都の尖閣諸島購入寄付金獲得の実績は14.7億円)大阪市の税金はいっさい使わないと市長も言明してました。

 
                                          (2013年04月02日)

 
 3月
■心斎橋筋商店街の景観協定という快挙を讃える

 アクセルとブレーキが必要

 ある時期、役所の権益を守るためだけの規制緩和を進めれば何もかもうまくいくという幻想が支持されていたことがありました。その時期には市場の評価に任せれば結果的に自浄作用が働くという気分が蔓延していました。

 歴史の中で意味の無くなった規制は無くしていかないとだめなのでしょうが、それに変わる新しいルール作りをすすめていかないと自由放任では「邪悪」なものがものに流されてしまいます。役所の規制を緩和して、コミュニティの中でのルール作りを強化するという事が必要でしょう。

 利害の異なる人達のあいだでルール作りの出来るコミュニティをつくれるのが「都市」なのだと思います。

 その意味で今回、心斎橋筋商店街が行政の力を借りずに景観協定を結んだのは快挙だと思います。

 毎日新聞の本日の記事を引用させていただくと協定は以下の内容です。

 大阪・ミナミの心斎橋筋商店街(大阪市中央区)が、景観を損なう看板の設置や風俗店の出店を規制する「景観協定」を大阪市に申請し、29日付で認可されることが決まった。市内では初の景観協定で、商店街が結ぶのは全国的にも異例。関係者は「ミナミの伝統的な商店街を守り、キタに負けないう街作りを進めたい」と意気込んでいる。
 対象は、長堀通の南側から宗右衛門町通までの南北約600メートル。土地・建物の所有者と入居者計約400人のうち、85%の約340人が同意した。同意しなかった一部を除き、商店街沿いの4.3ヘクタールが協定区域となる。
 区域内では、風俗店やパチンコ店、ゲームセンターの新規出店▽フラッシュの点滅や映像が動く看板の設置▽壁面の3分の1を超える大型広告の設置??などを禁止。違反すると、商店主らで作る運営委員会が撤去や変更を求め、従わなければ裁判所に提訴できる。
 協定の期間は29日から10年間。既存施設は除かれるが、建物の新築や改修には運営委との協議が必要になる。期間中に協定から脱退することはできず、土地や建物を売却しても効力は変わらない。

 
 今まで、千日前、道頓堀が「猥雑な街」ををどんどん北上させてきていたので、心を痛めていましたが、ようやく「大阪らしさ」を守る動きがでてきたのは素晴らしいと思います。

 商業地だけでなく、御堂筋や船場といった業務エリアでもコミュニティ主導の協定が結ばれれば、企業の流出を抑制し、意欲のアル事業者を集める鍵になることでしょう。

 (例えば当社の立地する西区京町堀では、大通りに面した場所にはコンビニがありますが、街の中にはいっさいありません。これがとても気持ちいいです。必要であれば四ツ橋筋かなにわ筋にでればいいだけです)

                                        (2013年03月29日)
   
■企業本社の移転先
 
前後しますが、昨日の論考の元データです。帝国データバンクさんの発表資料をグラフ化しています。企業の大阪離れは長期的な傾向であり、決して現在の行政トップ責任だけではありません。

 但し、オフォスビル供給量が増加している中で、御堂筋の高さ規制を緩めてしまったのは間違いです。(少なくとも、今のタイミングではありません。在阪の企業でも家電産業が低迷し、かつての繊維産業の名残であるOEM中心の専門商社も円安で傷んでいます。関西ではバッテリー産業や医薬品・ライフサイエンスにこれからの希望がありますが、どちらかといえば工場や研究施設が中心で、都心のオフィスビルの需要には影響が少ないのです。

 逆説的ですが、うめきた先行開発区域グランフロント大阪のオフィスゾーンの契約率が低くても、条件を下げないデベロッパーは立派であると考えるべきでしょう。安くすればいくらでも埋まるでしょうから、やせ我慢をしてでも街の格をまもっています。さすがに日本トップクラスのデベロッパーです。大阪市は補助金をだしてもサポートすべきです。(P&Gも移転を検討したらしいですが、減税の特典のあった三宮を選んだそうです)

 御堂筋といった広い範囲になると、そういった意識の高いオーナーばかりではないので、懸念されるのは、質の低いビジネスホテルや安物のタワーマンションの林立です。すでに市内中心部の高層ビルのいくつかはそんな建物になっています。・・・船場に人が増えても喜べないのはそんな背景があります。

                                   (2013年03月28日)

図ー2012年 転入超過都市上位ランキング
図33

図ー2012年転出超過都市上位ランキング
図34
図ー大阪府からの転出企業の移転先(2011年)
図35


(帝国データバンク)
■阪急三宮駅周辺の変化〜企業の大阪離れの受け皿になるのか?

 阪急電鉄 三宮駅前ビル建て替え報道

 阪神の駅の改装が完成し,JR西日本が駅ビルの計画を発表したばかりの三宮に新しいニュースが発表されました。阪神大震災以後暫定利用されていた阪急三宮駅の東ビルが建て替えられるというモノです。

 三宮周辺では大企業誘致のため、県が法人税を軽減、神戸市が家賃補助を行う動きがあります。うめきた先行開発区域グランフロント大阪などへの対抗処置でもありますが、帝国データバンクが発表している企業の大阪離れの受け皿となるのかも知れません。
 (2013年3月の発表では2012年度の転出超過数は福島県双葉町の-139についで、大阪府大阪市は-105と2位にランクインしています。3位は東京都中央区の-81です。昨年は電力供給の不安という推測もされていましたが、移転先が神戸や京都である事実から、電力は無関係です。
 大阪市からの企業離れは長期的な傾向です。人口が回帰しても企業が減少すれば、例え御堂筋の容積率を緩和しても。、企業が集まらないと安物のビシネスホテルと安物のタワーマンションしか増えないと・・・・いうのは極論でしょうか?産業活性化や企業の事業所を集めるためのビジョンが今までに全く示されないのは何故なんでしょう。)

 阪急電鉄の神戸地下鉄乗り入れ問題

 東京渋谷では5社の鉄道の直通運転が話題になって居ます。東京では相互乗り入れが当たり前なのですがさすがにこれだけの路線が乗り入れる変化は初めてなのでしょう。関西の鉄道は阪神と近鉄の相互乗り入れが阪神なんば線の成功で注目されましたが,それに続くプロジェクトが進んでいません。(なにわ筋線での関空アクセス線構想ぐらいかな)京阪中之島線もどこかで阪神またはJRとつながらないと利用者は増えないでしょう。

 阪急電鉄はかねてより神戸地下鉄とのとの相互乗り入れを計画していました。須磨ニュータウンや西神ニュータウンから梅田に直通特急が走れば、かなり住宅の価値があがります。駅ビルの建て替え計画も地下鉄との連結問題がありなかなか進まなかったようですが、この東ビルの建て替えで一気に進むのではと地元の期待が高まっているようです。

 三宮での環境整備が進めば企業の大阪離れが一層進むことになるでしょう。

 
 東急東横線と副都心線の相互直通運転の影響は,今の所顕在化していないようです。買い物への影響より観光の動きに影響が大きいのでしょう。今後マンションの選択など居住地の移動などが進むと人の行動範囲が変わってくるのでしょうね。

                                     (2013年03月27日)
■大阪に企業を誘致する為の視点〜人材確保の為のカラフルなまちづくり

 器を作っても中身が埋まらないと安モノのホテル・マンションが増えるだけ

 企業誘致を考えるときに、どうしても会社の都合を第一に考えます。交通の便や税制の優遇、人の確保など・・・確かにそれは重要ですが他の地域と差別化し、先端的な成長産業を誘致しようと考えるのであればもっと違った視点が必要です。

 いくら容積率を緩和して高層ビルを大量供給しても中身が埋まらないと、安物のビジネスホテルと安物のマンションが大阪の真ん中にできるだけです。

 (財)日本立地センターの「企業立地」3月号に情報産業の新規事業立地に関する動向調査のレポートが掲載されています。

 国内事業環境の不安要因として上位にあげられているのが「人材不足」です。製造業と違い海外へ移転できる機能には限りがあります。(大企業への調査なので中小ベンチャーの問題意識とは少し違うかも知れませんが)また、機械装置で代替できる工程も少ないので「海外に移転しにくい労働集約型の産業」といえるかもしれません。

 最近、関西に立地した企業の話題と言えば、家電製品の自社開発を強化しているアイリスオーヤマの関西進出です。パナやシャープの退職者を狙っていると言われています。

 京阪神には個性のある大学も残っています。今の大学の就活生は関西でもたびたび上京することを強いられています。その中で、ケータイゲーム大手が開発拠点を大阪にも置くという、企業から関西にアプローチする動きがあります。

 関西は、働く人にとって住みやすいく都市の刺激を受けるカラフルな街をアピール

 大学があり、研究開発機関も整備されているだけで無く、神戸や千里にはインターナショナルスクールもあります。京阪神には古くから外国人のコミュニティがあり、オープンに他の国の文化、風俗を受け入れる素地があります(ありました・・・これからもそうであっって欲しいし)。
  働く人の立場で考えても神戸、京都、大阪の異なった色合いの文化を持つ街が行動範囲となります。日本橋にはオタクカルチャーの専門店が集積しています。

  ロボット産業(最近あまり言わなくなりましたが)を支える技術もありますし、人間型ロボットの所作に「情」を付加するノウハウは「文楽」が持っています。(日本人は特に、人間型ロボットが好きですしね)
 伝統文化を資源として持ち、多様な生活文化を持った関西、大阪はこれからの成長産業を支える「人材」にとって住みやすい街です。

  まるで、うめきたの誘致パンフレットのような文章になってしまうのは、いわゆる「「アベノミクス」とかで、首都圏の桜は開花しているというのに、関西の景気も桜も一向に展望が見えないからです。

 関西の中心的な役割を果たす大阪に、勢いだけで無い、戦略的な視点が必要なのだと思います。

  このままでは大阪、関西は駄目になるばかりです。

 いままで「お上」に頼らずにやってきた大阪の底力を発揮する時が今なのだでしょう。

                               (2013年03月26日)
■阪神百貨店が伊勢丹を抜いて顧客満足度第一位〜日本生産性本部調査

 顧客満足度NO1百貨店は阪神百貨店

 最近インターネット販売やテレビ広告などで「お客様満足度NO1」といったフレーズが乱立しているので、あまりびっくりはしないのですが、調査を行っているのが公益財団法人に日本生産性本部の「サービス産業生産性協議会」なので、ある程度信頼できるな評価であると思います。ちなみに、昨年の1位は伊勢丹でした。

全国の生活者を対象に利用経験が多かった企業についてピックアップし利用者を対象に満足度を調査し、指数化したものであるようです。

 百貨店の中では伊勢丹、小田急、近鉄、西武、そごう、大丸、島屋、東急。東部。阪急、阪神。松坂屋、三越が調査対象に選ばれています。

 阪神百貨店は始めて調査対象となり、百貨店業界ではトップとなりました。小売業では他に「オーケ−」78.4、「セイコーマート」(74.9)などが阪神の74.0を上回っています。

 小売業以外ではでは。「劇団四季」(86.2)や「東京ディズニーリゾート」(85.7)、「オルビス」通信販売(83.6)、「「帝国ホテル」(82.6)などが高くなっています。

  シティホテルは結構上位にランクインするのですが、百貨店は平均値が低くなっています。 指数化の計算式の問題かも知れませんが、百貨店業界が「お客様満足度」を二の次にし始めている兆候なのかも知れません。

                                        (2013年03月25日)
図−小売り系の業種別顧客満足度」上位三分の一
(全国で、店舗の利用者を対象に行った評価)対象企業の上位三分の一をピックアップ
図36



出典:2012年度 JC SI (日本版顧客満足度指数 )
■ピントのずれた新聞社のWEB対応〜新聞は資源を生かし切れていない業界の一つ

 マスコミを「マスゴミ」と呼ぶネットの世界の情報源は新聞テレビなのに

 新聞やテレビなどのこと「マスゴミ」と呼んで侮蔑するネットの世界でも、取り上げられる話題のソースは新聞や、テレビ(それもほとんど国内の)であることが多いのです。

 昔に比べて、企業や官庁のプレスリリースはネットでも同時に公開されていることが多いので、発表者の言葉をそのまま引き写している記事はばかにされても仕方ないですが、現場の記者さんは結構きちんと取材されていることは間違いないです。

 朝日新聞が読者サービスで流しているメールマガジンは、朝の紙面のヘッドラインそのままです。もうそれは読んだのにと思うと・・・スパムメールのように思えます。

 新聞社には使われていない資源が沢山あります。一つは過去の記事のデータベース。これは商売になってきていますが。もうひとつあるのが取材されてながらデスクが没にした記事です。

 取材不足が理由であるなら仕方ないですが、その日の紙面のキャパシティや、その時代の空気(意外と新聞は空気に流されます。その理由はマスコミ論として沢山の研究があります)でデスクや偉い人の判断で紙面に載らなかったニュースです。

 当社のような仕事でも、やはり何度も現場に足を運ばないと事実は見えてきません。訓練を受けた記者が現場で感じ取った記事を、生のままで配信するサービスがあればコストを払っても読みたいと思います。日経新聞はオンライン版で地方経済面を中心に読むのが面白いです。

 
 小売業と同じで「セレクト」する目がずれてしまうと有害ですしか無くなります。

  解説員や論説委員の「持論」は聞きたくも無い(何故、知らないことを知らない.わからないことをわからないと言えないのでしょう?)、毎日新聞や産経新聞の記者さんが社論を離れて報道する記事を読んでみたいと思いませんか。デスクの価値判断が新聞の価値を損なっています。〜もともと一面トップでは無くベタ記事から読む習慣があるせいでそう感じるのでしょうか。

 若い人に日経新聞は薦めない理由

 若いときには、意識的に業界の専門誌や専門雑誌を読むようにしていました。それもできれば異業種の業界紙がおすすめです。人間は身の回りの人の意見に流されます。良くも悪くも、空気を読むことだけは身についていますから。違った「サークル」の人の考え方、常識を知っておくことは有益です。

 日経新聞は経済専門紙といわれています。さほどビジネスに強いわけでもありません。もちろん、個別の記事は敬意を持って拝読させていただいていますが、当社が専門としている流通業に関しては広く浅い知見なのです。
 
 人は、ずべての事柄について自分で考えることは無いです。専門家に見える人、信頼出来そうな人が語る言葉を請け売りすることは多いです。実際、そうしなければ時間が足りないですしね。

 特に若い人が、日経新聞を読んでいれば「経済」のことがわかるような気になることが怖いのです。情報弱者の中高年と話をするときの話題作り、相手の型にはまった思考パターンを読むための参考書として割り切れるならいいのですが、免疫の無い若い人には毒です。(ある程度の社会経験のある人は自分の業界に関する日経の記事を読んで、正確さの度合いをはかり、記事内容の瀬踏みができるのですが・・・)

 例えば、TPPの「経済効果」は3.2兆円と言われています。国論を二分し、農業と医療制度が壊滅するといわれています。一方、某シンクタンクの試算で主婦に置ける女子会消費の経済波及効果が3兆7000億円と算出されています。(もちろん単純に比較は出来ませんが金額で比較するとこうなります)日経新聞の社論はTPP推進一辺倒です。

  TPPがあろうがなかろうが、農業の仕組みや医療制度は変わっていく必要があります。「外圧」で何とかしようというのは行政や政治の怠惰、職務放棄です。いろんな立場の人の生の意見を聞きたいのです。一部ネットが代替していますが。やはり情報の質が劣ります。

 価値観の似通った狭いサークルの中だけで情報や意見が循環しているのはネットの世界もマスコミも同じです。マスコミの方が変わってくれれば質の良い情報が流通するのですが。

                                   (2013年03月22日) 
■船場フォーラム2013〜船場げんきの会へのエール

 船場フォーラム2013

 3月20日にりそな銀行の本店で開催された「船場フォーラム2013 キタとミナミの間でまちづくりを楽しむ」は来年10年を迎える船場元気の会の主催で、地域の企業、地元の学校同窓会、学校関係者、店舗の経営者など多くの人を集め盛況でした。

 冒頭の話題提供として「大阪あそ歩」のプロデューサーである経営企画センターの茶谷さんが「船場歩きから見えてくるもの」というお話をされました。この中で茶谷さんはいくつかの意図的な挑発を仕込んでいたのですが、何だかスルーされてしまったのが残念でした。

 もちろん、わざとですが、例えば今の土地区画を「既定のもとして前提にしているが果たしてそれでいいのか」と。
 「イベントなどで人を集めて満足しているが、継続していない。地方都市の観光振興策では無いはずだ。歴史的に見て大阪は世界的な交易の中心ビジネスセンターだった。アジアの野心のある人がここに来れば成功のチャンスがあるという仕組み作りが必要でないか」
 
とかいった提起で、今の時流である「資産を最大限の収益をあげるように活用しない奴は馬鹿だ・・・という風潮」に便乗したモノではないのですが、そういった議論に対する耐性をつくるための議論の呼び水を意図されていたのだと思います。(丁度、御堂筋の高さ規制の撤廃という愚劣な決定が発表されたばかりですから尚更です)

 高岡先生の「戦後建築も船場の資産」という話題提供も興味深いモノです。近代建築の議論の中で、装飾性が無いのであまり注目されない戦後建築にも注目されるポイントがあるという指摘です。米軍による市街地への空襲で焼け野原になったので京都のように古い街並みがそのまま残らなかったという背景はありますが、近代以前、戦前、戦後の建築物が重層的に積み上がった街の特徴が理解できました。

 船場の変化と都市のブラックホール

 船場については少しだけご縁が有り30年以上継続して観測しています。確かにタワーマンションができて定住人口が増えていますし、日曜や夜間はゴーストタウンだったものがお店も出来て人通りが回復しています。三休橋筋もきれいに整備されました。ただ、いろんなものが流入する中で「邪なモノ」が増えていると強く感じます。

 例えば、三休橋筋に「新世界の串カツ屋」は無かろうと思います。タワーマンションも質の高いモノばかりではないかもしれません。(アパとかね)

 長堀21世紀協会の前の会長成松氏が高級ブランドショップの撤退の理由として「環境の悪化」を指摘されています。地価が安かったの大きなショップを開設したブランドショップはもともと、商業立地としての効率性は低いことも折り込んでいたのですが、店舗前に不法駐輪する自転車の増加や、ファサードに関しての過度な規制にいやけがさして撤退しているそうです。

 橋爪先生の総括にあるように、船場の中の南船場はミナミ圏に組み込まれ、北船場は北エリアの周縁部になってきていて「船場」のエリアが縮小しているのも確かでしょう。

 そのような議論を伺っていて感じたのですが、都市の中心部、東京で言えば「皇居」があり京都で言えば「御所」があります。(名古屋は「名古屋城」でしょうか)
 中心部というのは高度利用されるべき不動産では無く、その都市の中心となる魂となる聖域なのかもしれません。

 その意味で中途半端に高度利用?されて「邪なもの」が跋扈するのもいただけません。

 先述の成松さんも活気が生まれた結果、経営されていた喫茶店の大家さんから追い出されてしまいました。もっと家賃がとれるテナントに置き換えられたのです。

 道修町に本社機能を戻そうとする田辺製薬の社長の「思い」や、行政に依存しないで長く「船場元気の会」を続けている地元民の思いの源泉を探れば「大阪」の求心力が見えてくるのでしょう。
(そうあって欲しいのです)

 行政の都合で、街の区割りをどう決めようと、あまり関係はありません。

                                      (2013年03月21日)

■神戸方面の駅ビルの動き
 
 JR西日本西日本 三宮駅ビルを10年かけて再開発

 JR三ノ宮駅は1日の乗客数が12万人(乗降客でいうと24万人)と同社の中では5番目に多い利用者があります。今の駅ビルは老朽化しており(1981年建築)、三宮の地域の地盤沈下を懸念する地元からも再開発が期待されています。

 (乗車客数のベスト5は大阪駅41万人、京都駅19万人、天王寺駅13万人、京橋駅13万人、神戸駅  12万人です。環状線強化という割に京橋駅がスルーされていますが・・・)

 三宮OPAやホテルも少し陳腐化してきています。神戸市は事業所を都心に立地させると税を減免するなどの誘致策をとっています。P&Gも六甲アイランドから三宮に移転します。神戸商工会議所も今年度三宮の将来構想の策定にかかります。

 阪神三宮駅「スクラ三宮」3月20日オープン

 阪神電車の駅改良工事にあわせて、改札の中と外に駅ナカ商業施設「スクラ三宮」が20日に開業します。1日9.8万人の利用者の中で特に女性を対象に神戸発祥の名店「三宮一貫楼」や駅ナカ初出店の「マザームーンデリ」などが出店します。

 隣接するそごう神戸店も地下入り口に女性用のパンツや普段着の売場を設けます。(昔で言うところの実用衣料ですね・・・ここでいうパンツは下着ではありませんよ)シニアの女性客を中心に集客力を高める方針で、開店80周年を迎える10月をめどに売場構成の見直しを進めています。

 神戸阪急を撤収したエイチツーオーも三宮に百貨店が欲しいところですが、所有する土地が少ないのでなかなか難しいようです。MINT神戸の地下にあった阪神の食料品売場を撤収しましたしね。

 阪神電鉄は尼崎の高架下「AMASTA ASMASEN」のリニューアルも進めています。本日デイリーカナートイズミヤ」が開業します。店舗数を減らして区画を拡げ、ターゲットをシニアから若者、中高年層に引き下げていくようです。

                                      (2013年03月19日)
 
■「アベノミクス」の風が吹かない大阪〜東京風の手法では失敗する

 「うめきた」契約率2割、賃料は4割高

 大阪最後の一等地といわれている「うめきた」ですが、この4月に開業する「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」のオフォイス15万u(大阪市の1.5%)の入居率が2割にとどまっていると報道されています。

 周辺の賃料が月坪1.8万円であるのに対して、2万円台半ばと割高な賃料が敬遠されているといわれています。バブルの時代は3〜4万あるいは5万円という賃料もあったのですが、巷間に会われている「アベノミクス」のバブルも関西には全く恩恵が無いようです。東京の感覚でいうと関西の一等地ですから決して高い価格設定ではないと判断されたのでしょう。

 
 オフィスワーカーが少なくなれば商業施設の経営にも影響が出てきます。今後2〜3年で7〜8割の入居を目指すそうです。何とか頑張って欲しいものです。

 三菱地所では、東京の企業のバックアップオフィスなどの開拓に活路を見いだしているようです。また、個人事業主対象のレンタルオフォイスも設置されるようです。

 「JR大阪三越伊勢丹」業態転換で2015年度には450億円の売上げを目指す

 当初は550億円の売上げ目標でしたが、初年度は310億円。2012年度も340億円の売上げには届かない見通しです。専門店を導入し、ショッピングセンターと組み合わせた施設に業態転換し、2015年度の改装時には450億円の売上げを目指します。

 東京のファッションコンサルが絶賛した百貨店は何故苦戦しているのでしょうか?

 東京でしか成立しないモノの考え方で地方を同じパターンの縮小版で開発しようという考え方自体を変えていかないとだめなのでしょうね。

 時間をかけて、お客様を増やしていく・・・・その間に空間の価値を劣化させずに赤字幅を縮小させる・・その為には一生懸命知恵を絞る必要があります。

                                   (2013年03月18日)

 関西の百貨店が首都圏に進出した場合、確かに大失敗はしていませんが、大成功も出来ていません。(大丸や阪急の方に東京ではブランド価値は無いというと嫌な顔をされますから言わない方がいいです。

 とはいえ、通常は仕事上の付き合いのあり相手にはあまりネガティブな情報は伝えません。聞く方も耳障りのいい言葉を信じてしまいます。伊勢丹には失敗して欲しくなかったので色んな場面で厳しい言い方をしてきましたが、届かなかったようです。

 西武・そごうの蹉跌は自業自得ですし、今の西武であれば関西に無くなっても困りませんが、伊勢丹的なものは関西に必要だと考えるからです。・・・てまだ、無くなるという話ではありませんが)基本的に百貨店は地場産業なのです。

  そごうは神戸にありますし、西武は高槻。八尾にまだ、現存します(一応百貨店なのかな)。大阪三越伊勢丹も閉鎖というニュースはありません。  念のため。
■6次産業化の議論で抜け落ちている視点

 農業の担い手を育てる教育機関が必要なわけ

 TPP参加で日本の農業は壊滅的な打撃を受けます。政府試算でも3兆円減ですから、実際には金銭換算できない損害を含めるとかなりの広範囲の影響が見込めます。

 農業には産業としての体質改善が求められます。野菜工場などの二次産業化は比較的わかりやすい対応です。また地場産品を加工したり、直売所で販売するといった三次産業化も成功事例がいくつかあります。

 大規模な農業は「産業化」できますが小規模な農業の担い手、中山間部や都市近郊での農業の担い手が結構見落とされているポイントです。食の安全・安心を突き詰めて考えれば、そして今後確実にやってくる「通貨の価値」、「通貨の信用」の暴落を考えれば、自給自足や交換経済のウェートが高まってくる事は確実です。

  そこまで大きな話に拡げなくても、、ドイツではクラインガルテン(市民農園)で生産される野菜が国内生産の中で高いシェを占めています。
  安心安全を求めて産直市場に殺到している消費者が、今後家庭菜園や、小規模農園で手作りに励むことはすでに始まっている動きです今後、耕作放棄される農地が大量供給されます。都市部ではクラインガルテンが不動産活用として事業化されています。

 それらの農地で耕作を始める人向けの「農業塾」の需要は今後ますます高まります。専門学校で農業コースをもつ学校もあります。

 農業の産業化といえば大手企業の直営農場ばっかりが話題になりますが、小規模農家開業の為の教育事業が狙い目だと考えています。
 
 小規模農家の人材育成及び事業指導等の教育事業は、大手企業や投資ファンドが目を向けない成長分野だとは思いませんか?

                                        (2013年03月15日)
             
■JR西日本中期計画で運輸業以外の収益を4割に

 高槻、甲子園口、膳所で駅ビル開発に投資

 JR西日本が中長期計画2017を発表しました。将来的に運輸事業意外で収益の4割を稼ぐことが目標とされています。4月に姫路駅新駅ビルが開業しますが、三ノ宮駅の開発も検討されています。その他、新大阪駅、天王寺駅、尼崎駅の駅改良のための投資や高槻、甲子園口、膳所などでの新駅ビル開発が明らかになっています。

 沿線外、エリア外での不動産事業

 ビジネスホテルの展開や首都圏、福岡県での不動産投資が掲げられています。これは他の私鉄とも共通する戦略ですね。

 不動産資産の活用

 大阪駅、天王寺駅では駅周辺の用地を活用するようです。京橋駅については言及されていませんが、環状線を強化する中ではこの2つに次ぐターミナルなので、有効に活用して欲しいと思います。

 JR大阪三越伊勢丹については2015年春を目指した店舗刷新が明記されています。うめきた先行開発区域グランフロント大坂ショップ&レストランの開業をプラスにできるような動線の改良は急いだ方がいいと思うのですが、これだけ時間をかけると言うことはかなり抜本的なリニューアルを行うというメッセージなのでしょうね。その間も赤字が膨らむようであれば選択肢はますます限られてきます。

(15日付けの繊研新聞では「百貨店とSCを融合した新タイプの商業施設として改装する」という表現で記事になっています。面子をつぶさないような表現で縮小・撤退の方向性を示唆しています。
 まあいきなり撤収した神戸西武よりはずっとましですが。それまでの間に対症療法的にやれることも沢山あると思います。)

 新たな事業分野へのチャレンジ

 太陽光発電事業、健康関連事業、農業関連事業へのチャレンジが謳われています。本気でやれば、かなり競争力のある資源を持っていますので面白いかも知れません。

 その他注目される施策は大阪環状線を「行ってみたい」「乗ってみたい」線区にブラッシュアップする構想です。地元の人にはわかると思いますが、大阪環状線は東京の山手線と形は似ていますが、全く違った鉄道です。(東京の人はそこを間違えます・・・・弁天町や桜宮など・・・)

 もしこの構想が実現するのであれば「大阪都構想」よりずっとインパクトが有り、大阪を劇的に変えると思います。本気で応援したくなる構想です。

 世間で言うアベノミクスの恩恵は関西の企業には全くまわってこない=(春闘の満額回答が関西だけ低い中)、なんとか大阪、関西を楽しく暮らせる街にしていきたいですものね。

                                             (2013年03月14日)               
■シニアのガソリン生活〜地場野菜の販路開拓と道の駅

 ロングドライブはシニアが中心

 JTB総合研究所が興味深い調査レポートを発表しています。(2013年3月12日)

 過去1年間にドライブに出かけた人は55.2%なのですが、67〜71歳のシニア層では64.7%となっており、各年代で最も高くなっています。ファミリー層が中心の33〜42歳でも58%ですから、いわゆる団塊世代のシニアがリタイア後にドライブに熱心なのが読み取れます。ドライブ時間が5時間以上と長距離なのもシニア層の特徴です。

 時間の自由がきく車での移動の中心は団塊世代なのです。この調査ではありませんが、昨年まで、ある地域の道の駅の利用者を分析していました。道の駅とその近くの温泉(公設)の利用者、リピーターは圧倒的にシニア層でした。そういえば、キャンピングカーの人気が高いのもシニア層です。
 今の自動車メーカーの広告戦略はまったく見当違いだと言うことですね。

 道の駅で人気の地場野菜

 昨年はPAやSAの商業機能の強化が話題になりました。まだまだ施設の方で対応できているモノが少ないので利用率は低いのですが、飲食での利用は定着しています。今後商業施設の利用も増えてくるでしょう。

 道の駅では地場野菜が人気です。関西の某開発地域で地方の野菜を中心とした集積を提案しましたが、あまり反応は良くなかったです。
 研究開発施設や工場、せいぜい物流施設しか想像できないのでしょうね。その地域は国土交通軸が近くなるので、西日本の地域産品の集積というのは悪くないと思うのですが。

 そういえば、大阪北摂の「彩都」に岡山県美作町の物産市場が出店し、人気を集めています。
http://www.saisai-mimasaka.jp/ へのリンク

 1日2便の現地からの配送があり、周辺地区の住民に人気を集めています。同じ岡山県の真庭市も高槻の商店街に同じような店を出店していますが、郊外立地の方が広く人を集客できたもしれませんね。

                              (2013年03月13日)
図ー過去1年間のドライブ実施率とドライブ時間
図37

図ー道の駅.SA/PA利用内容
図38

(2013年 JTB総合研究所 ドライブ旅行に関するアンケート 東京、名古屋、大阪圏4,908S)
■神戸ハーバーランド「umie」4月18日グランドオープン

 バブル再来ムードの中でウォーターフロント開発の負の遺産が蘇るか?

 かつては3600万人を集め、900億円売った事もある神戸ハーバーランド地区ですが。震災の復興が進むにつれ三宮・元町、郊外SCとの競合によって衰退していました。(神戸西武の早々の撤退〜94年〜とダイエーの没落が地域間競争に勝てなかった主因だと思います。)
 孤軍奮闘していた神戸阪急の後を受けてイオンモールが運営を受託しました。

 4月18日にグランドオープンする神戸ハーバーランドumie」は旧神戸阪急、旧ダイエーと神戸モザイクを一体運営するものです。

 「H&M」や「OLDNAVY」「GAP」「ZARA」などのファストファッションや「アーバンリサーチ」などのセレクトショップ、」など大幅な新しいテナントの導入で街は活気づくと思います。

 1500万人の集客で、360億円の売上げを目指します。(ピーク時の夢に踊らない堅実な目標です)

 郊外店のフォーマットなので、北区、西区などの足元からの集約が見込めます。大阪阿倍野のキューズモールのように準都心立地の郊外型SCは競争が少ないので狙い目です。

 折しもバブル再来ムードの中で、バブル期の負の遺産が再生されようとしています。大阪南港のATCも民間出身の社長を向えて再生を期します。加藤社長には、バブルを期待しているムードの中でうまく足場を固めて、期待が萎んだあとに負債が残らないようにうまく舵取りをして欲しいものです。

                                               (2013年03月11日)

 神戸モザイクを運営していた会社が運営から放り出されたのはいいのですが、同じ会社が川西や東京、京都でモザイクと名前がついた商業施設を運営しているのはちょっと妙な感じです。神戸モザイクのネーミングを変えれば良かったのではないでしょうか。
■「jフロントオンライン」が大丸にとって大事な理由

 百貨店のWEB事業が失敗する理由

 5日の論考で「jフロントオンライン」がJFRグループにとって重要という指摘をいたしました。百貨店のWEB通販はことごとく失敗している上に、通販賤業の日本直販のついぎにジャパネットタ○タが危ないらしいと言う業界の噂が飛び交っている中で何故このように考えるか疑問に思われる方も少なくないでしょう。

 百貨店のWEB通販の駄目なところはWEB上で百貨店の売場を再現しようとするところにあります。百貨店の悪いところをわざわざお金をかけて再現するのですから、儲かるはずがありません。

 かといって、アマゾンや楽天と同じ土俵では勝負になりません。この2強の中では、将来的に負け組になるだろ見なされている楽天と組む百貨店もあるぐらいですから、百貨店業界には基本的にビジネスセンスが無いとしか言いようがありません。

 WEBを中心とした通販事業でも最も収益率が高いのは単品通販です。最少ロットである2万点つくって短期間で売り切ることを繰り返す仕組みです。そこには商品企画力とベースとなる固定客のリストが必要ですが・・・。
 

 大丸・松坂屋グループの強み

 何故、jフロントリテイリングにとってJFRオンラインが柱になるかと言えば、西日本では店舗ネットワークが広範囲に拡がっていたことと、それぞれの地域の富裕層の支持率が高いからです。大丸心斎橋店の売上げ上位のお客様には、年に何度か来店してまとめて購入する四国在住のお客様がいるといいます。

 強みであるところの顧客資産を活かせるかどうかがポイントです。地域のオピニオンリーダーからだけの商売であれば外商が訪問すればいいだけですが、地方在住者にとって、東京のカリスマモデルの推薦より、身近なオピニオンリーダーが推薦する商品であれば信頼感が高まります。顧客に対して売るだけで無く、顧客を使って売るという発想が必要です。

 
 今までの百貨店通販とは違った展開がグループの未来を開くかも知れません。

 三越にもその資源はありますがどちらかと言えば伊勢丹が主導権を取っているので、お洒落路線を変えられないでしょう。

 もちろん、伊勢丹新宿本店は日本の百貨店の最高峰といえる素晴らしい店ですし、改装を拝見するのを楽しみにしていますが、(大阪を含めた)田舎でのビジネスには本領を発揮できない・・・のかもです。

                                        (2013年03月08日)
 
■日生球場跡再開発の大阪城周辺地区への影響

 日生球場跡地〜東急不動産 スポーツ施設を中心とした商業開発へ

 2015年(平成27年)の開業を目指して日生球場の跡地3.3万uに東急不動産が商業施設を開業します。大阪市中央区の人口の伸びを見て十分な利用者が見込めると判断したと報道されています。東急スポーツオアシスを中心に低層で物販や飲食も整備する模様です。

 それほど大規模な開発でもないようです。土地は借地になります。
 JR森ノ宮駅高架下に商業施設「ビエラ森ノ宮」が3月1日にオープンしていますが、コーヨーやマツモトキヨシなど近隣対応の小規模なものです。

 大阪城公園の活用については大阪府市ともに意欲がありそうですし、大阪府庁周辺の再開発計画も検討されています。成人病センターも移転しますしね・・・。
 交通局が民営化されれば森ノ宮の検車場の活用も考えられます。とはいえ、まだまだ動き出すには時間がかかりそうです。なので暫定利用ということなのでしょう。その証拠に借地での低層開発です。

 ちなみに、交通局を民営化して商業開発等で収益を支えようという案があるようですが、交通局の持っている土地は意外に収益を有無ポテンシャルがない立地が多いです。住之江のオスカードリームや霞町のフェスティバルゲートなど民間が運営しても大赤字のプロジェクトばかりです。

 中央区人口が増えているとは言え計画地の足元人口は密度が薄いので、大阪城公園の集客力の向上に期待したいところですね。

 この周辺は上町台地で災害に強いエリアです。20年後の大阪の都市構造を考えると、府庁周辺はどんな街がいいのか・・・・面白いですね。

 時代錯誤の「新東京駅構想」

 20年後、30年後のt舗士の姿を考えるとき、2027年には名古屋駅と品川駅がリニアで40分圏となります。名古屋の人々は色々と考えているようですが、その中で知った「新東京駅」構想について・・今の時代には少し違和感を感じざるを得ません。大深度地下の鉄道で成田と羽田を結ぶというのは20世紀であれば「夢」の構想でしたが、日本中、どの都市にもある「洪水」「津波」「「震災」リスクを考えると、どなに強靱な建物で会っても想定外の被害では壊れてしまうという事実です。
 これ以上東京に人工的な構築物、都市機能を集約してどうしようというのでしょう。

 阪神大震災は関西の都市機能が京都、大阪、神戸に分散していたからこそ復興が早かったとは考えないのでしょうか?

 ネットワーク機能を強化して都市機能を分散することが「想定外」の事態に対応できるリスク管理です。

                                             (2013年03月07日)
■ピーコックストア買収 イオンの狙いは
 大都市シフトの足ががかりになるのか?

 ピーコックストアの買収について、イオンサイドは次のようなプレスリリースを発信しています。

当社は現在、3カ年のイオングループ中期経営計画(2011年度〜2013年度)
を推進しています。同計画において、グループ共通戦略のひとつとして、今後も人口
増加が見込まれる都市部での飛躍的な成長をめざす「大都市シフト」を掲げ、首都圏、
中京圏、阪神圏の3大都市圏や政令指定都市など大都市圏を重点エリアと位置付け、
グループ一体となった成長戦略を展開しています。
今回のピーコックストアの完全子会社化は、当社の都市部でのスーパーマーケット
(以下SM)事業展開の強化と百貨店事業を中心に経営資源を集中するJFRの想い
が合致し実現したものです。
当社が重点エリアと位置付ける3大都市圏を中心に82店舗を展開するピーコック
ストアをイオングループに迎えることで、当社の都市部におけるSM事業の展開がさ
らに加速するものと考えています。
今後、輸入食材や付加価値の高い商品の品揃えなどピーコックストアのノウハウを
イオングループのSM各社で生かすとともに、イオンのブランド「トップバリュ」や
電子マネー「WAON」、商品調達機能などイオンのインフラをピーコックストアに活
用するなど、双方の経営資源を有機的に結合しお客さまにとって魅力ある店舗づくり
をすすめてまいります。


 もともとパルコを買収するための資金を持っていたイオンに大丸側からのピーコックストア買収の持ちかけがあったといいます。

 イオンは食品スーパーのコーヨーを傘下に置いていて、大阪淀屋橋に「スタイルコーヨー」などの都市型店舗を出店しています。「ピーコックストア」の魅力と言えばウェイトローズなどの輸入食品と首都圏でのブランド力でしょうか?「ノウハウ」はあまり期待しない方がいいでしょう。「店舗」についても「基本的な出店戦略」があり、それに対する「フォーマット」を持っているわけでも無いように思います。
 その意味でイオンが運営すれば黒字化できる店舗も多いでしょうが、その収益は買収価格には見合わないですし、イオンの「都心戦略の中で「パルコ」の代わりにはなりません。新聞報道にはこれを機会にJフロントとイオンの連係を臭わすようなニュアンスのものもありましたが、今の所はありえないでしょう。

 イオンモール大阪ドームシティ 初夏開業

 工事が進んでいながら、開業日程がアナウンスされていなかった、岩崎の京セラドーム横のイオンモールですが、今年初夏の開業が報道されています。イオンリテールの運営で、イオンと120の専門店からなる25,000uのSCです。駐車場は670台。大阪環状線内側で初めてのイオンが運営するSCです。大型店の空白地帯なのである程度の実績はあげられるでしょうね。

 イオンの都市部戦略では本当は「フォーラス」業態を強化して大阪であれば梅田周辺の一画に出店したかったのでは無いでしょうか?ダイエーの「OPA」や旧マイカルの旧ビブレのように・・・・。

                                          (2013年03月06日)

 
■ピーコックストア売却で注目される大丸郊外店舗の行方

 百貨店に次ぐ事業の柱の売却
 
 かつては奥田会長に「百貨店に次ぐ事業の柱。総合小売業として欠かせない存在」とまで位置づけられていた食品スーパー事業「ピーコックストア」は4月1日付けでイオンに売却されました。

 前身である大丸ピーコックは「高級食品スーパー」の草分けのひとつで、東京の青山や大阪の香里ヶ丘の店は今でも上質の店舗ですし、いい客層がついています。ただその他の店舗は立地によるばらつきが多く、出店戦略には少し疑問がありました。

 首都圏の47店、関西の27店、中部の8店のうちどれだけの店が価値があるのか・・・?赤字化した今年の前でも経常利益は3億円でしたから、イオンにとって割な買い物ともいわれています。

 ただ、イオンが運営すれば、現状の店舗よりは収益が上がる可能性は高いです。ピーコックは「価格競争」に負けたのでは無く立地戦略を間違え、チェーンオペレーションがいかされてないから収益力が低下したのです。
 H2Oリテイリングの阪急オアシスは同じ競争の中で収益を維持しています。ここも、安くないですしね。(ニッショーストアの買収で店舗運営は良くなりました)

 報道では首都圏の出店が遅れているイオンの「大都市シフト」の一環だそうです。

 大丸郊外店のこれから?

 百貨店の郊外店については食料品のウェートが高くなります。これからの生き残り策としては食料品売場+専門店しかないのです。スパイスとして化粧品や自前のファッション売場、デパ地下食品をいれて系列の食品スーパーとテナントで運営し、人件費などの固定費を下げて売上が都心に比べて少なくても収益があげられるようにするのが、唯一の生き残り策です。

 大丸でも須磨店、山科店、新長田店などは食料品の比率が高いなっています。特に須磨店は郊外立地でピーッコックが運営する部門が多いはずです。イオンに売却されたからイオンに委託と言うことはないでしょうから、自前化するのでしょうね。
 大丸は郊外出店には今後、積極的ではなくなるのでしょうね。(新長田は閉店しました.山科はどうするのでしょう)

 首都圏ではお客様に「大丸」ブランドより「大丸ピーコックブランド」のほうが高級ブランドとして定着しています。イオンは店名をかえる方針だそうです。お金で買えない「歴史」「時間をかけて定着させたイメージ」はどこか宙に消えてしまいます。

 Jフロントとしては今後「大丸東京店」「松坂屋銀座店」そして買収した「パルコ」といった都心旗艦店で首都圏を制圧しようということでしょう。

 戦略の選択肢が絞られてきています。日常の食料品という武器を持たずに商圏を制圧できるかどうか。その試金石が千里中央の千里大丸プザのリニューアルです。

 4月26日 千里大丸プラザ改装オープン

 かつては、都市型GMSとして大丸ピーコックの本社部門もあった千里中央の「千里大丸プラザ」は「ファッションSC+スーパーマーケット」として生まれ変わります。地下1階と4階(日用品)5階(ユニクロ等)はピーコックストアの運営。ですが、1〜3階は株式会社大丸コム開発が管理運営する「ナチャラル・カジュアルSERNRIスタイル」をMDコンセプトにしたファッションSCになります。

 ピーコックストアの部分がどうなるのかは買収したイオン次第で変わってしまいますが、今のところ従来のシニア層に加えて20〜30代のファミリー層の取り込みをうたっています。

 大丸コム開発はJフロントリテイリンググループのPMの会社です。大事な収益部門ですがあまり大きな物件を数多く扱ってはいません。改装後の千里大丸プラザが「jフロント色」を残すのか、食料品売場の「イオン」主導になるのか、Jフロント大丸の将来の姿をあらわすでしょう。

 

                                         (2013年03月05日)

3月8日の日本経済新聞では次のようなコメントが紹介されています。

「多店舗化の中で高級スーパーでもなく、低価格に強いわけでもない中途半端な店が増えていた」(大手スーパー幹部)ことがテコ入れの壁になった。
 「ちょっと良いものが欲しい時には、100円バスに乗ってクイーンズ伊勢丹にいく」
 5日午後、大丸ピーコック文京グリーンコート店(東京・文京)で買い物をしていた女性(70)はこう話す

      
■寺社人気ランキング 全国区の人気を集める伊勢神宮、出雲大社

 寺社の人気は地域や信者さんの固定客?

 JTBが行ったWEB調査の結果が発表されています。2013年に訪れたい寺社のトップは歴史的にも全国区の観光の聖地でだった「伊勢神宮」が圧倒的な人気です。今年は式年遷宮の特別な年ですから人気は一層高まるでしょう。
 2位は縁結びの御利益が人気の「出雲大社」。社格も高いですし、2013年(平成25年)5月には御祭神を仮殿から改修が完了した本殿へ再び遷座する「本殿遷座祭」が行われる予定(平成の大遷宮)ですからこちらも人気は高まりそうです。

 寺社の信仰は地域性が高いのでその他の寺社は人気が分散しています。

 歴史のある寺社が多い京都、奈良、大阪の関西の寺社では「清水寺」「伏見稲荷」がランクインしているのみです。伊勢神宮や出雲大社のようなイベントがないこともありますが、観光の目玉としてのアピール不足です。「伝統にあぐらをかいる。民間では考えられない怠慢」という声がどこからか聞こえてきそうです(やれやれ)。

 歴史文化も有り、環境的にも素晴らしい空間が残っていますので、沢山の人に知ってもらいたいものです。我々が海外に旅行したときの観光の目的地に、教会や寺院を選ぶように海外観光客を集約する資源となるはずです。

                                      (2013年03月01日)

図ー今年訪れたい寺社名
図39

(JTB WEBアンケート2013年2月25日 全国3,616人)
 
 2月
■「大阪における百貨店業界の展望」を考える

 百貨店の相次ぐ増床は、大阪商圏内での売上高の奪い合い

 日本一の小売り激戦区大阪梅田について,今後の百貨店売上げ動向を日本政策投資銀行が予測しています。2014年度までは増床効果が見込まれる梅田地区と,阿倍野地区の予測売上高は増加するものの大阪商圏の他の地域では予測売上高は減少する結果で、人口減少化の中で百貨店の相次ぐ増床は,大阪商圏内での売上高の奪い合いになる可能性が示唆されているそうです・・・・・異論はありません。

 予測のベースになっている「ハフモデル」ですが、商業施設規模と住まいから商業集積までのの距離で算出する引力モデルです。大店法の大店法の出店の影響度をはかるために使われていたモノです。
 郊外の大型店同士の競争を分析するには一定の効果がありますが。都市の商業を分析するときにはあまり、過信してはいけません。

 それでもいくつかの予測では「ハフモデル」が中心に扱われています。

 何故「ハフモデル」を過信してはいけないか?

  商業集積の吸引力を売場面積で代用していること。(これについては20年以上前から指摘されていて、大学の先生による研究もすすんでいます)特に,今回の分析は「百貨店業態」に絞っているのはいいのですが、「ルクア」「うめきた先行開発区域グランフロント大阪ショップ&レストラン」を「百貨店」に含めていながら「阪急三番街」「HEPファイブ」「ディアモール大阪」「エスト」などの大型専門店は含めていないことです。

 都市部の商業施設は業態間の区分もあいまいになりますし、その範囲もどこで区切るか?迷うところです。西梅田のブリーゼブリーゼと茶屋町のロフトを一体となった商業集積として扱うのが妥当なのかどうかと言う判断です。郊外のSCであれば境界の区分は明快です。

 また、吸引力の抵抗値となる住居からの「距離」ですが、下記のレポートでは「直線距離」を採用しています。(そうしたい気持ちはわかります。手作業だと大変なんですから)基本は道路の走行距離、または走行時間を使います。都市部の場合は鉄道での移動が無視できません。利用する鉄道路線と百貨店の利用の選択には高い相関があります。従って鉄道路線を無視した「距離設定」には本当は意味が無いのです。

 モデルの分析から導き出された結論自体は、そこそこ妥当なところに落ち着くようになりますが、「数理モデル」といえば内容を知らない素人は無条件に信頼してしまうので、そのあたりについては丁寧な説明が必要です。

「大阪における百貨店業界の展望」〜ハフモデルによる地区別売上高予測 2013年2月
日本政策投資銀行関西支店
http://www.dbj.jp/pdf/investigate/area/kansai/pdf_all/kansai1302_01.pdf へのリンク

「大阪流通業界の近未来予想研究会報告」大阪商工会議所  2010年3月
http://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/press/220330.pdf へのリンク

「新博多駅開業のインパクト」A 日本政策投資銀行 2010年
http://www.dbj.jp/pdf/investigate/area/kyusyu/pdf_all/kyusyu1009_02.pdf へのリンク

 大阪の百貨店の生き残り

 日本政策投資銀行の提言では大阪商圏外から人を呼び込むために「外国人客の呼び込み」「徹底した接客によるリピーター作り」「コミュニティスペースや専門店のテナント導入などハード面での損して得を取れ戦略」などがあげられています。

 日経新聞などによる阪急梅田本店の苦戦を見ると、これからの百貨店事業は「所有」と「経営」と「運営」の分離が進むのだろうと思います。「百貨店」によって周辺の不動産価値があがるJRや鉄道などのデベロッパーによる長期スタンスでの投資。魅力的な商業施設をつくり、かつ収益経費のコントロールを「行う「経営」と,実際にお客さんとのやりとりの中で店舗を「運営」するための人材スキルやキャリアプランは異なります。(人事制度では大丸の制度改革がかなり先行しています)

 いくら立派な店を作って、(偏差値的に)優秀な社員を配置しても、あまり「商売」「商品」が好きで無いのだろうなという人では成果も上がらず、心身を壊す消耗戦になりそうな気がします。

 「やるべきこと」は外部の方々からも有益な指摘をいただいています。ステージはお金をかけさえすればできあがります。仕組みと人の改革ができるかどうかが、これからの生き残りを左右します。


(もちろん、生き残り策はひとつではありません。昔の阪神百貨店のようにワンマン社長のもとでの肉弾戦というのもありです。償却のすんだ単独店舗であれば・・・ね)

                                       (2013年02月27日)
■5年ぶりの広告費の増加?〜市場は依然縮小トレンド

 新聞、テレビ、雑誌の長期的な低迷傾向は止まらない

 電通の広告費調査です。報道では震災前の水準に戻り、5年ぶりに増加傾向という表現で見出しをつくられています。
 時系列で見ると,インターネットが伸びて拡大しているだけで、新聞、雑誌、テレビの長期低迷傾向はかわらないのです。

 新聞テレビにしても「広告」の中身は様変わりしています。通販番組、通販記事が広告の多くを占めています。記事や番組との境目が無い広告で,多くの場合大幅な価格ディスカウントをともない、販売の成果報で歩合制をとっているケースも少なくありません。

 収益構造が完全に変わってきているのです。

 電通などの広告代理店はその環境変化をシビアに受け止めています。広告、販促は収益構造が変わっても適応していけますが、かつての広告費の収益に支えられていたマスコミの「ジャーナリズム」の部分は生き残るための構造改革が必要です。

 百貨店業界や電力を中心としたエネルギー業界とも共通ですが、この業界で働き続ける人は賃金、待遇がゼロベースで見直されても続けていきたいという志を持った人だけで組み立て直すことになります。・・・・それぞれドメスティックな業界なので国際的な競争にさらされていない分・・・そこまではと考える人も多いでしょうが。

                                             (2013年02月22日)
図−媒体別広告費の推移
図40
(電通 日本の広告費2012年)
■「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」を走るバス

 うめぐるバスとレンタサイクルで梅田の回遊を

  うめきた先行開発区域グランフロント大阪を管理・運営するTMO「グランフロント大阪TMO」が、茶屋町から、西梅田、北新地まで梅田エリアを回遊する「うめぐるバス」を走らせるそうです。「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」町の中の11m幅のけやき通りのカフェを眺めながら走るバスになります。梅田地域はビルの中にそれぞれのまちがこもったようで、、オープンな眺めや町歩きの楽しさがなかったので、違った魅力がうまれることでしょう。レンタサイクルも整備されるようです。

 巡回バスは三菱地所が丸の内で成功させています。梅田の一体感づくりに悩んでいた阪急阪神グループにとっても大きなメリットが生まれます。あとは必要なのは外国人にもわかりやすい情報案内システムの整備ですね。

 ナレッジキャピタルの姿は・・・・

 「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」の中核施設とされてきたのが、「ナレッジキャピタル」です。「ロボットシティコア」に変わる大きな旗印はたてられていませんが、具体的な施設内容が見えてきています。

 立体映像を裸眼で見ることが出来る200インチの大型ディスプレー、「ナレッジシアター」での「ロボット演劇」の公演・・・・なんでしょうか、これでドキドキ、ワクワクするかといえばそうでもないです。どんな映像が上映されるかとかえどんな演劇が上演されるか、ロボット演劇の演出をされがするのかといったソフト面での広報が全くない・・・・科学を演出するセンスが古いのです。

 大手前大学は「スイーツラボ」(310u)を設置し、一般向けの教室と共に若いパティシェの研究拠点とするそうです。「スイーツ学専攻」が大学にあるのでその研究拠点だそうです。

 あとは積水ハウスの研究所やパナソニックのショールームはそれぞれに、質の高いモノだと期待していますが、全体として「ナレッジキャピタル」がどういう魅力を持っているかはまだまだ不明です。

 オフィスの成約率は半分以下、周辺が賑わっても「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」の中身が賑わうとは限らない・・・とか日経新聞には酷評されています。

 まだ2ヶ月ありますので,頑張って立て直して欲しいものです。地元のみんなは応援しています。

                                           (2013年02月21日)
■漸次撤退は当面の出血を抑制できるように見えて傷口を深める〜大阪三越伊勢丹2フロア専門店化

 戦力の「漸次投入」「漸次撤退」を選んでしまう組織は弱い

 だらだらと戦力を投入したり、本質的な改革を先送りして縮小していくという企業行動は、意思決定を回避する組織の特徴です。先輩の面子を立てるとか、責任の所在をあいまいにしたいというメカニズムが働く組織では抜本的な改革は難しいでしょう。三越、伊勢丹、JR西日本という大企業の優秀なスタッフでも寄り合い所帯の中ではそのポテンシャルが活かせなかったのだと思います。
 
動線も悪いし、販促チラシの評判も良くないです。「関西市場に高級路線は合わない」というのは単なる負け惜しみです。

 伊勢丹新宿本店は阪急と同じく「アッパーミドル」向けの店ですし、、三越本店の顧客は「都会的」な客層ではないですから西日本の富裕層を呼び込む拠点になれたはずです。これは、初期段階の計画ミスです。
 JR大阪三越伊勢丹への対策は2月14日に述べた方法しか無いはずです。

 三 越伊勢丹ホールディングスが8日発表した2012年4〜12月期連結決算は、経常利益が前年同期比24%減の261億円だった。大阪・梅田の店舗を運営する持ち分法適用会社の不振で営業外損益が悪化した。
 売上高は1%減の9196億円だった。伊勢丹新宿本店が改装に伴い、売り場の一部を閉鎖したことなどが響いた。営業利益は3%減の241億円。首都圏の主な百貨店は良質な素材を使った靴など自主企画商品が好調で、足元の採算は改善傾向にあるが、減収による影響を埋められなかった。
  (中略)「JR大阪三越伊勢丹」の業績が振るわず、三越伊勢丹の営業外損益を80億円程度悪化させたもよう。3月中をメドに共同出資する西日本旅客鉄道(JR西日本)と再建策をまとめる方向で調整している。 (2月9日日本経済新聞)



 阪急は大丈夫?

 阪急百貨店梅田本店の伸び悩みとあわせて、「百貨店業態」の限界を指摘し、梅田の4店の争いを「勝者なき戦争」でと結論づける紙面になっています。

 阪急百貨店が20代女性の20代の女性獲得に苦戦しているのも、ある意味産みの苦しみなのだと思います。20代の女性に取り得ず百貨店に戻ってもららえば、やがて「今まで通りの百貨店客に育ってくれる」と考えている限り先はありません。
 1980年頃からずっと「百貨店の危機」は続いています。バブル経済で一息ついたので先送りになってしまいましたが、今度こそ収益構造から変えていかないと駄目なのです。

 阪急梅田本店は「コト」の強化で変わろうとしていたはずです。イベント広場や売場での「コトコトステージ」を単なる集客のための販促手段と考えている限り将来はないです。

 「劇場」をつくって需要を創造するのは小林一三の流儀で「阪急」らしいのですが、小林一三のような自分自身で宝塚歌劇の脚本を書いてしまえるほどの見識を持ったプロデューサーが不在なので。箱を与えられた現場が咀嚼し切れていない事の方が、「目標数字」を作れないことより深刻な問題だと思います。

                                     (2013年02月20日)
■集中から分散へ〜人口移動の傾向と外国人観光客の観光の多様化

 外国人観光客の急増と中国人観光客のウェート低下

 円安傾向が続く中、外国人観光客の数が急回復していると報道されています。2012年の836万人を2013年には1,000万人にする目標が政府により掲げられています。

 以前は、中国人の団体客のゴールデンルート(東京〜大阪)のツアーが中心でしたが、北海道や長野県のスノーリゾートが雪の無い東南アジアの富裕層に人気を集めたり、韓国に近い鳥取県が韓国向けのいツアー販売に注力したり・・・・受け手やターゲットが多様化しているのが目を引きます。

 台湾や香港からの観光客も増えていると言うことですから、中国本土の格安のパッケージツアーが激減していると解釈すればいいでしょう。量を追うのではなく、富裕層を中心とした個人客、バラエティにとんだツアーなど質への転換をはかる好機でしょう。

 「この状況でも来る中国人観光客を手厚くもてなすことで,満足度を高めて,親日家を増やしたい」と現場の担当者は語ります。

 東京、大阪の一部への集中からより多様な日本が知られることは良い傾向です。

 関西圏の転入超過

 観光から国内の人口移動に視点を転じると、先日発表された人口移動に関する統計で,関西圏が2年連続で転入超過となり、長期の低迷かの変化の兆しが伺えます。

 背景には東日本大震災後の企業の拠点分散があるといいます。IT関連の「DeNA」「グリー」が大阪市に開発拠点を設けたり、アイリスオーヤマ(仙台本社)が白物家電の開発拠点を置く動きが背景と報じられています。(携帯ゲームの開発拠点の設置は急成長業界の慢性的な人材不足がありますし、白物家電は大手家電メーカーの人材をスカウトするのが目的ですから震災とは直接の関係はないのですが・・・・) 
 学制の就職先の地元志向も一因とか。(とはいえ京阪神でさえ、就活生が面接等で上京する頻度は昔に比べて格段に増加しているのですが)

 毎年1〜4万人規模で続いていた首都圏への転出が収まったのは、機能集中の弊害が認識された結果なのでしょう。
 関西の反転攻勢のチャンスである事は間違いありません。観光も,ビジネスも一極集中から分散への流れは、留めることはできません。

 東京、首都圏とは違った特性を持つエリアとして「関西」の可能性もありそうです。

                                              (2013年02月15日)
■深刻な債務超過JR西日本伊勢丹の浮上はなるか?

 JR西日本伊勢丹はJR大阪三越伊勢丹の不振で赤字幅拡大

 2012年9月末時点で88億円の債務超過でしたが、10〜12月も赤字が続き、12月末時点で94億円の債務超過であると発表されています。

 伊勢丹は収益の8割を稼ぎだす新宿本店のリモデルオープンを3月6日に控えています。伊勢丹としての新しい百貨店像が提示されると期待が集まっています。

 伊勢丹、あるいは三越の本来の強みが活かされていれば、ここまで惨憺たる結果とはならなかったでしょう。JR大阪三越伊勢丹をこのままでおいておくと、好調を伝えられていたJR京都伊勢丹の足を引っ張ることになります。(JR西日本伊勢丹がJR京都伊勢丹とJR大阪三越伊勢丹を経営しています)

 不振打開の途は・・・ルクアとの連係?

 早い段階での収益改善が求められてる中で、打てる手段はJR西日本の商業施設の再編成しかないでしょう。JR西日本の都心部のターミナルは、好調を伝えられる「ルクア」を中心に再編成して、その中にテナントとして「三越伊勢丹」の小型店、中型店を配置していく

 ・・・大阪駅、天王寺駅、新大阪駅、京橋、西宮、三宮、姫路、奈良などに拠点を拡げて「三越」の顧客、「伊勢丹」の顧客を地域の中で掘り起こしていくしか無いでしょう。

 今の時点で「撤退」するという選択は経営的にはベストでも、かつての西武・そごうのように二度と関西には顔をだせなくなります。

 増床または「ルクア」との場所の交換も出来ない以上、大阪店に関しては「戦略的な名誉ある縮小」を行い、大阪駅ビルはルクア主体に運営し、規模を縮小、JR京都伊勢丹を母艦にして、JRのネットワークの強みを活かして関西市場に浸透させていくしかないでしょう。
 
 この機会に、JR西日本の商業施設も東京の「ルミネ」のように一体化した方が経営効率はよくなります。(グループ内の「社長」」のポストは減りますが,企業体質は強くなります)この赤字はJR西日本全体に悪い影響を与えています。小売り事業の思い切った刷新を断行すべきでしょう。

 阪神間には「阪急」では物足りないと考える富裕層がまだ確実に存在します。(阪急はあくまでも中流層の店です)島屋が阪神間に拠点を持てない以上、「三越」ブランドの使い道はまだまだあるのです。

 このやり方では面子がたたないとお考えなら、開店時に売上800億円はいくと「お見立て」されたコンサルタントにアドバイスを求められたらよろしいでしょう。

                                       (2013年02月14日)
■「島屋」包囲網が進行「梅田」、「あべの」だけでない脅威
 今年から来年にかけて大阪南部に大規模ショッピングセンターの開業が相次ぐ

 大阪なんばに拠点を置く島屋大阪店にとって、喫緊の課題は対「梅田」、対「あべの」の百貨店戦争でありました。積極的な増床によって、梅田の影響は最小限に抑えられています。

 今年から来年にかけて大阪南部で開業する大型ショッピングセンターが島屋にボディブローのようなダメージを与える可能性が高いとと見ています。
 大阪南部はダイエーが没落して以来、大型開発の数は少ない地域でした。堺市北花田の「イオンモール」が目立つぐらいでしょうか。南海電鉄の商業開発はあまりうまくいっていないですし、起爆剤として期待された堺東駅前の大規模ホール計画は地元の政治的な駆け引きで頓挫し、駅前の再開発ビルは核テナントがが抜けたゴーストタウンとなっています。

 大阪南部で開発される商業施設は大手のデベロッパーで無く、安売り店を核にしたパワーセンターばかりでした。今年から来年にかけて、イオンと三井不動産の大型ショッピングセンターが相次いで開業します。

 ・(仮称)イオン大阪ドームショッピングセンター(延べ床7.6万u)
  今年の3月末完成予定の看板は出ていますが、開業のアナウンスがどこにもないので実際のオープ
  ンは先になるのでしょう。様々な事情で遅れてきた案件です。阪神なんば線でなんば駅まですぐで
  す。商圏の港区、大正区,西区は大型店の空白地帯です。

 ・イオン堺鉄砲町ショッピングセンター(延べ床面積17万u、店舗面積5万u)2014年10月
  年間来店者数1,400万人と想定されています。
 
 堺市の表玄関である堺東駅周辺はますます寂れていくでしょ
  う。島屋堺店への影響も大きいでしょう。駅前の開発も大型ホールが実現していれば浮上のチャ
  ンスだったのですが、頓挫しました。かつてダイエーが入居していた再開発ビルも、みるかげもあり
  ません。廃墟になるでしょう。

  隣の駅の浅香山に関西大学を誘致したというのに・・堺市は行政のやることがばらばらです。

 ・ららぽーと和泉,コストコ和泉(2014年)17.4万uの敷地に2つの店舗が建設されます
  泉北ニュータウンの西、和泉ニュータウン「トリヴェール和泉」の中にオープンします。ららぽーとは延  べ床18万u。コストコは延べ床1.5万u、駐車台数は2つの施設をあわせて4,330台分整備されます

 泉北高島屋のある泉ヶ丘の2.2倍だそうです。

 島屋大阪店の売上は1179億円、堺店は156億円、泉北店は206億円。泉北店がダメージを受けるとかなり厳しい状況です。ただでさえ来年開業のあべのハルカスに大阪市内と南河内の需要を食われることがわかっているだけに対応の焦点が絞りにくくなっています。

                                           (2013年02月13日)

図ー大阪南部のショッピングセンター開発
図41





■万博が熱くなる?2014年のスタジアムに続き、三井不動産の複合商業施設が2015年に完成

 エキスポランド跡地のコンペは「三井不動産」の複合商業施設に

 パラマウントのテーマパークが進出するとも噂されていた大阪のエキスポランドの跡地に三井不動産の複合商業施設が開設されることがコンペで決まりました。敷地面積17.3万u。延べ床面積31.6万u、店舗面積は9.6万uになります。駐車台数は4,500台。当初構想されていた「テーマパーク」としては狭い敷地ですが,複合商業施設としては十分な規模です。

 隣接して,ガンバ大阪のサッカースタジアムが建設されます。建設は募金で進められ,完成後は吹田市に寄付されますが、できれば運営は一体となって運営されれば採算の取れるスタジアムになるのですが・・・。いずれにせよ、強力な集客装置が万博跡に集結します。


 エンターテイメントとショッピングの融合

 事業はエンターテイメントとショッピングの融合がテーマです。96,000uの店舗面積の55%が物販、10%が飲食、33%がサービスとなります。
 サービス施設としては、水族館が1万u、エデュテイメント施設(キッザニア?)が8,000u、シネコンが5,000u、温浴施設が2,000uで計画されています。

 年間2,000万人の利用を想定、休日は1日6万人の人出を想定しています。日本最大の大観覧車がランドマークになります。

 万博の外周道路は渋滞ポイントで、ガンバ大阪の試合の後はなかなか退場できません。駐車場は必要ですが,集客をクルマに頼るとあぶないでしょう。その意味で、大阪モノレールが主要アクセスになるでしょう。

 モノイレール沿線の彩都の開発に弾みがつくかもしれません。千里中央も乗り換えポイントとしては恩恵を受けるでしょうが、千里阪急、大丸ピーコックといった核店舗に覇気がないので地盤沈下が進むかも知れません。北大阪急行が箕面まで延伸するとただの通過駅になります。


 万博公園には「太陽の塔」という大阪のシンボルがあります。「太陽の塔」を中心に周辺地区が活性化することはとても期待が持てます。

                                         (2013年02月12日)
■リーガロイヤルホテル移転報道と中之島のこれから

 大阪中之島「リーガロイヤルホテル」の移転報道

 中之島の朝日新聞ビルの跡に出来るタワービルは2017年に完成します。外資系のラグジュアリーホテルの誘致が発表されていました。以前のフェスティバルホールのあったビルにはロイヤルホテル系列の「大阪グランドホテル」が入居していました。経営会社は1990年に経営権を取得した株式会社朝日ビルディングで、株式会社ロイヤルホテルが管理運営を受託していました。

 1958年の開業当時は東洋一のホテルとも呼ばれ、フェスティバルホールで演奏会を開いたカラヤンやバーンスタインなど多くの世界的な音楽家や文化人も利用したといいます

 ホールにはホテル機能が必須です。OBPのニューオータニは大阪城ホールのイベント関係者の利用が稼働率を支えているとも・・・イベント関係者は語っておられました・・まあそこまでの事ではないでしょうが。ホールの使い勝手から言えばホテルの併設は必須でしょう。

 4月にオープンするフェスティバルホールの入居するフェスティバルタワーにはホテル機能はありません。東京ほどではありませんが、大阪でも外資系のラグジュアリーホテルが増えてきています。ザ・リッツカールトン大阪、セントレジスホテル、うめきた先行開発区域グランフロント大阪にはインターコンチネンタルホテルが夏に開業しますし、阿倍野ハルカスにはマリオットが開業します。

 かつては大阪の迎賓館だったリーガロイヤルホテルも建物の老朽化もあり、森トラストに土地を売却して2021年をめどに建て替えを計画していました。外資進出の危機感もあったのでしょう。1月16日の産経新聞の報道で朝日新聞のビルに「移転を検討」というニュースが流れました。

 全面移転はあるのか?跡地利用は?

 今のリーガロイヤルホテルの機能を全面的に移転することは規模的に不可能です。ある程度の規模を確保するなら、設計段階から参画する必要があり,早い段階での合意が必要です。

 ある意味、牽制の意味合いが強いように思います。旧グランドホテル規模の宿泊+飲食での出店が現実的な可能性ですが、それでは朝日ビルの立場としては「外資系ラグジュアリーホテル」のコンセプトとかけ離れてしまいます。

 大阪市の近代美術館構想も実現に向かうようですから、現在のリーガロイヤルホテル一体の開発をスピードアップさせる事の方がリーガロイヤルにとっても優先順位が高いはずです。何よりもこの起業の強みは関西財界の会合や大規模宴会を独占している点にあります。帝国ホテルが進出して何年たってもその牙城は崩せていません。

                                           (2013年02月08日)

■首都圏の人口重心の移動〜千葉県離れ

 千葉県の人口減少

 転出超過のトップは千葉県市川市です福島県の都市がランキングの上位を占める中、千葉県松戸市、千葉県浦安市も上位に食い込んでいます。東京都内への通勤圏として震災前は転入者が増えていた地域ですが、震災後あらたに転入してくる人が減少していると言います。

 千葉県の分析では
震災前後の変化の中で目立つこととして、埼玉県との関係があり、これまで転入超過であったものが転出超過に変化していることが挙げられる。千葉県から埼玉県への転出に大きな変化はないものの、埼玉県から千葉県への転入が減少していることが分かる。
この数字を合理的に解釈すると、両県間の転勤が例年並みであったとするならば、埼玉県から千葉県へ転勤された方が震災の影響から千葉県に転居せずに通勤しているといったケースが考えられる
。」として千葉県から人が逃げ出しているという見方をとっていません。

また、震災後、千葉県から関西や東海地域への転出が目立って増えた事実は無いことから、放射線問題を嫌って当該地域へ移動したとは考えにくい。帝国データバンクの調査でも、関西に本社を移転した企業は絶対数が少ない上に震災が理由ではないとのことである。〜一方で、当該地域から千葉県への転入は減少しており、都内への転勤や入学で千葉県へ転居を予定していた方々が、同じ東京通勤・通学圏である埼玉県や神奈川県に流れた可能性がある。

ただし、千葉県からの転出者の絶対数も増加していることは事実です。

 住宅開発の遅れ

 県内でも印西市などでは転入者数が増えています。新規のマンション開発があったためと言われています。復興事業の為にマンション開発が遅れているのかもしれません。逆に言えば需要が見込めないので県内でのマンション建設が先送りされているともいえますが・・・。

 首都圏でも人口の都心回帰が進んでいます。開発される大型マンションは都内でも東部に多いので、エリア的に近い市川や浦安からの移転があったのかもしれません。

 いずれにしても、首都圏において「風評被害」とも呼ばれている「漠然とした不安」が人口重心をより西へと移動させているのだと思います。

                                     (2013年02月06日)
図ー2012年の都市別の転入超過数(住民基本台帳)
図45


図46
(総務省)
■生活防衛の観点からの住まい方、暮らし方の変化〜別荘の定住化と貸し農園

 軽井沢の別荘需要の変化

 (財)日本不動産研究所のレポートによると、「東日本大震災後は、低・中所得者層もいざというと
きの避難所・家族との集合場所を確保する目的や計画停電及び放射性物質の影響を避ける
ための移住目的で低価格の中古別荘を購入する等、別荘需要に変化が生じました」ということです。

 アウトレットモールも賑わっていますし、夏の観光地というけでなく住まいとしての魅力も高い街です。住民基本台帳の人口移動でも、千葉県の街の人口が減少するなど、首都圏の住民の放射性物質への不安は、想像以上のものがありそうです。

 また団塊世代がリタイアした後の住まいとして、東京から離れすぎることをさけて、移住先として東京にも近くて、地価の低い都会的なインフラの整った地域を選択しているということも影響していそうです。

 民営の貸し農園に人気

 首都圏では成城や元麻布と行った都市部で、民間の貸し農園事業が人気です。郊外の郊外の農園では通いにくい、行政の貸し農園は倍率が高いと行った理由もあるのでしょうが、民間事業者だと専門化のサポートが行き届いていてシャワールーム完備といった施設もあります。スポーツ感覚ですね。
 食への不安もありますし、スポーツ感覚で身体を動かしてものを作喜びもあるのでしょうね。

 シニアマーケットも有望ですし、子育て中のお母さんの安心食材の確保という視点でも「貸し農園」関連の事業は面白い展開ができるかもしれません。

                                       (2013年02月05日)

■大阪・日本橋から生まれる起業の芽

 誰に向けたフリーペーパー

 大阪の日本橋地域の出店動向調査を掲載していたので探し出したのですが、これはなかなか面白いフリーペーパーです。視点が不動産屋さんでもないですし、マーケティング会社でも無くて、読者対象も訪問者(日本橋マップが掲載されています)、と独立商人が対象となっているようです。(「for all vistor、cusuttomar,and independent merchant」とサブタイトルが掲げられています)

 場所柄か,お洒落な飲食店やショップの広告をとるためだけの、さもしいフリーペーパーでもないのが,信用できる感じがします。ここで何か始めようとしている人と、利用者の,顧客の距離感が近いのです。ある時期のアメリカ村にも似た感じがします。

 沢山の商業施設が大阪に生まれていますが、その内容は驚きが無く凡庸なものがほとんどです。行政や大資本ができないことを,この街から発信し続けて欲しいなと思います。

 日本橋の今

 大型の家電量販店の後はオタク対象のサービス業が増えているようです。なんサン通りの裏側は「ウラなんば」と呼ばれる個性的な飲食店集積になっているようです。賃料の安い、地下鉄恵美須町近くでの出店が増えていると言います。

 心やさしいオタクを狙った悪質なメイド喫茶が増えているとの新聞報道もありましたが、」2012年にはメイド喫茶が20店増えているそうです。
 セルフブランディングの理論(ノマドの鍋売りのおねーさんが提唱)からすると浪速区は東京の足立区に匹敵するNGエリアだと思うのですが、ノマドワーカーの為の「コワーキングカフェ」もあるんですね。

 梅田を中心とした大規開発のニュースの中では陽の当たらない地域ですが面白いものが生まれる素地はありそうです。(大阪市では天王寺公園〜恵美須町〜日本橋〜なんばを結ぶLRTの構想があり、調査は行われていますが・・・)

                                          (2013年02月01日)

日本橋タブロイドpontab 日本橋地域の出店動向調査掲載
http://shop.nippon-bashi.biz/pontab/9_preview_a4.pdf へのリンク
pontab創刊 プレスリリース
http://shop.nippon-bashi.biz/report/20110120_pressrelease.html へのリンク

 1月
■大阪市立美術館建設にGO

 大阪市立美術館閉館

 1月29日に大阪市長は天王寺の大阪市立美術館を閉館するという方針を発表しました。中之島に建設予定の近代美術館と統合するそうです。中之島の近代美術館用地は、もし美術館を建てないのであれば国に48億円の違約金を支払う必要があります。開設のために集めたコレクションもまとまって公開されていないので200億円ともいわれる建設費を使っても建てたかったのでしょう。

 中之島はミュジーアムアイランドとして文化ゾーンと位置づけられていますので国際美術館、東洋陶磁美術館、フェスティバルホールと並んで核施設になる大事なプロジェクトでもあります。

 一方大阪市立美術館は住友家から寄贈された土地に1936年(昭和11年)に建てられたランドマークです。老朽化が進んでいるとは言え,建物に愛着を持つ人は少なくありません。

 天王寺はあべのハルカスの開業で国際的な観光スポットに変身する可能性があります。天王寺公園の改修の構想や、なんばとつなぐLRT構想も話題になっています。

 海外の観光客は歴史的な観光スポットに興味を持つ傾向があります。天王寺美術館は天王寺公園の風景の中心になっているので、建物の活用をうまく考えて行く必要があります。

                                  (2010年01月30日)

大阪市立美術館の廃止については「保留」だそうです。新しくつくる美術館との統合は変わらないとのことなので、よくわからないのですが、即時「廃館」と言うことではないようです。

 中之島では災害時に浸水する可能性があることや、そのために預けている人が返してくれという可能性があることなどから、近代・現代美術と東洋古美術にすみわけて存続する(もともとの案のような気がします)案も検討されています。(2月19日報道)


■ご当地愛ランキング(じゃらん調査)にみる府県同士の関係性

 ご当地愛が強いのは地域の中心となっている府県

 沖縄、北海道は別格として、九州の中心の福岡、東北の中心の宮城などエリアの核になってきた地域のご当地愛が強いようです。

 首都圏では、神奈川県民が絶対の自信を持っているのに比べ、埼玉は最下位、千葉の順位も低いのは東京へのコンプレックスでしょうか?その東京は意外にご当地愛が低くなっています。

 関西は京都、滋賀、大阪、兵庫とそれぞれのご当地愛が強いのが面白い傾向です。関西広域連合も「上下関係」がつかないのでまとまらないと言えばまとまらないのですが、そこが面白いところです。

 ただ、奈良だけがご当地愛が低い・・・関西広域連合に参加しないのも、大阪への通勤者が多く、大阪に飲み込まれることを危惧しているのです。

 北陸では都市資源からいえば金沢のある石川県民のプライドが高いはずなのですが、富山県が上回ります。ある種のバイタリティは富山県の方があるという印象を持っています。(悪く言えば強引?)

 下位の岡山県とか山形県,岐阜県とか,確かに一般的に印象は薄いですが、地元の方の愛着がこんなに低いのはどうしてでしょうね。

                                      (2013年01月29日)

図ー地元民に効いたご当地への愛着ランキング
図47
(株式会社リクルート 旅行カンパニーじゃらんリサーチセンター  2010年3月調査)
http://www.recruit.jp/news_data/library/pdf/20100330_01.pdf へのリンク
■大阪のターニングポイントとなる高層建築

 大阪を展望する

 1970年代には100mを超す高層ビルはわずか8棟しかありませんでした。1973年に建てられた大阪大林ビルは高さ120mの30階建てで、最上階にフレンチの2つ星レストラン「ルポンドシエル」などがあり、梅田や難波などからの交通の便は悪いのですが、眺望が人気を集めていました。(大林組も本社は東京ですし、大阪本店も今度竣工するダイビル本館に移転します。今後どうなるのでしょうね。「ルポンドシエル」は2007年に向いの旧大林組本社ビルに移転しています。大正の歴史的建築物で風格のある店舗です)
 その他のビルも最上階にはレストランが設置され、眺望を売りに集客していました。昨年開業した「フェスティバルタワー」も展望施設はありませんが、最上階はフレンチ・イタリアンのレストランが入店しています。

 展望施設のある高層ビルは、南港の大阪府庁咲洲庁舎(旧WTCコスモタワー)95年の256mが最も高い場所にあります。市内では梅田スカイビル空中展望台93年173mが屋上ということもあり最も迫力があります。

 最近の高層ビルはタワーマンションが多く、レストランさえ無いのでその眺望は公開されていませんが、2011年に竣工したオリックス本町ビルは展望台が平日は無料で開放されており120mの高さですが雰囲気が良く穴場であると評判がいいです。

 今話題の「うめきた先行開発区域グランフロント大阪」では特に展望施設は無いようです。ただ、梅田スカイビルへのアクセスが良くなれば、梅田スカイビルの展望台に集まる人も多くなるかも知れません。

 来年オープンの「あべのハルカス」は300mの日本最大のビルになります。3層が展望フロアになるので、眺望での集客はかなり意識されているのだと思います。上町台地という大阪市内でも海抜の高い土地にたつ高層ビルなのでかなり、眺望が開けるでしょう。

 足元には市立美術館や天王寺動物園、四天王寺などの文化、歴史資源が豊富にあるので、うまくアピールすれば国際的な「大阪名物」になると思います。

                                    (2013年01月28日)

図ー大阪の高層建築(100m以上)の竣工数推移
図48

(各社HP、個人のWEBサイト、公開資料などから当社集計) 2013年以降は予定を含む
■野球のライバルはサッカーでは無くバスケットボール?

小学生にはサッカーが人気〜中学生になると・・・

 学校の授業以外でのスポーツ実施率を笹川スポーツ財団が調べています。(全国調査)
 小学生にはサッカーが人気で、野球はずっと低いのです。場所が無いのでしょうね、それでもキャッチボールが野球への興味を繋いでいたのですが・・・中学生になるとバスケットボールがトップになります。

 バスケと言えばある意味、最近話題のスポーツですね。学校の部活以外でも多様な活動の場があればあそこまで追い込まれなかっただろうと思うと胸が痛みます。サッカーのようにクラブチームが沢山あれば、別の選択肢も選べたでしょうね。

 BJリーグも地道に活動を浸透させていますが、中学生の人気を支えているのは人気スポーツ漫画の影響だと思われます。

 この世代ではもうバスケットボールは「スラムダンク」ではなく、「黒子のバスケ」です。

                                               (2013年01月22日)
図ーこども・中学生のスポーツ実施率(学校の授業は含まない,部活は含む)
図49

笹川スポーツ財団「こどものスポーツライフデータ」「青少年のスポーツライフデータ」2012より
1年間の活動率  調査は2011年に実施
■「年収の高い人の不思議な習慣」〜生活時間の使い方

 年収の高い人は睡眠時間を削って働いている?

 総務省の社会生活基本調査で、個人の年収別の集計が発表されています。
 グラフ化してみると個人年収の高い人は、睡眠(青い棒グラフ)が少なく、仕事時間(赤い棒グラフ)が反比例しているように見えます。特に400万円までと1,000万円以上の層にその傾向が強く表れています。300万円未満は学生、高齢者、パートの方が多いので時給で働いていることもあり、仕事時間と収入が比例しています。
 300万円から700万円の層は仕事時間が多い割に収入が伸びない・・・割を食っている層なのでしょうね。

 日経新聞を読んでも勝利者にはなれない?テレビ・雑誌・新聞接触時間と年

 テレビで宣伝しているようにNK新聞を読んでいる人は「差を付けて」勝利者になれるのでしょうか?テレビ、ラジオ、新聞を沢山読んだり見たりしている人は年収200万円未満の人です。

 これはおそらく、年金生活の高齢者が多いためでしょう。

 年収1000万円を超えると、マスコミへの接触時間が格段に減少します。

 受け身の情報収集ばかりでは、差がつかないようです。情報を自分で分析する時間を惜しんではいけません。人と同じ情報を持つことは、ある程度のレベルまでは必要ですが、依存しすぎると自分の考えが持てなくなります。新聞、テレビはほどほどにね・・・。

                                         (2013年01月21日9

図-1週間の生活時間(個人年収別)
図50
「社会生活基本調査」(総務省)2011年
■「先行開業」は吉か凶か?中之島フェスティバルプラザ

 「先行開業はライターとしては取り上げにくい・・・」とか

 先日、ある編集者さんと話をしていて、最近開業する施設に良くある一部先行開業というのはメディアとしては取り上げにくい・・・という感想を伺いました。

 事業者としては一刻も早く、商売をスタートさせたい、顧客をつかみたいと気があるのはわかります。反面、新しい施設というインパクトが少し薄れてしまいます。一旦、取り上げた後の全面開業では「ニュスバリュー」の鮮度が弱まってしまいます。

 当社近くの中之島フェスティバルタワーが竣工し、「中之島最大の商業集積ゾーン」といわれる「フェスティバルプラザ」が昨年11月28日に開業しました。
 朝日新聞本社は1月2日に移転し、テナントの入居率も9割を超えて、早速西館の工事に着工、開業を2018年から2017年に前倒しするそうです。

 商業施設が開業すると真っ先に見学に行くのですが、いつでもいけると油断したせいか、本日ようやく拝見いたしました。


 何故、すぐに見に行こうと思えなかったか?

 そして、何故、今までいかなかったのかもう一度考えて見ました。

 建物は美しく、テナントもユニークな店舗が揃っています。ただ、肝心のフェスティバルホールが工事中(4月10日開業)なので工事の人が行き交い、どこが正面入り口かも不明です・・・迷いました。まだ、外に開かれていないのです。

 一言した感想は「トッピングが多くて中身が少ないうどん」といった印象でしょうか。必需品=書籍や食料品、事務用品の面積が少なくて、小粒でぴりりと辛いようなユニークな雑貨が目立ちます。飲食店でもちょっと変わった店舗は多くても毎日食べる店や、テイクアウトで利用できる店が少ないのです。食料品店で輸入食品はあってもカップ麺はローソンしかありません。オフィス通勤者には少し物足りない構成です。

 「中之島最大の商業集積」である強みが活きていません。差別化のためのトッピングが多くても、基本的なベースになる収益を確保しなくても大丈夫なのでしょうか?(というよりは、ここで働く人達にとってうれしい施設構成になっているのでしょうか?まずそれがあって、そこから拡げるべきものです)
 ちょうど「うめきた先行開発地域グランフロント大阪ショップ&レストラン」の店舗構成に感じた印象の逆の感想になりますが・・・・。
 
 わざわざ人を引きつけるだけの魅力をつくるには、集積が薄いのです。

 フェスティバルホールが完成し、西館ができれば全体のバランスがよくなるのだと思います。工事中の今、あわてて開業しない方が良かったのだと思います。少なくともオフィス通勤者向けの利便施設だけ先行する形をとれば良かったのにと思います。

 とはいえ、「ひらまつ」のランチが平日1,800円らしいです。面白い店がならんでいますので、近くの人はぜひ、一度訪れてみて下さいね。

                                              (2013年01月18日)
■うめきた先行開発地域「グランフロント大阪ショップ&レストラン」4月26日オープン

 「グランフロント大阪ショップ&レストラン」は「梅田初、梅田発、梅田最大」がキーワード

 どんなまちになるのか楽しみにしていた「うめきた」の先行開発地域「グランフロント大阪」のショップ&レストランの全容が明らかになりました。

 アローズやビームスなどのセレクトショップの「旗艦店級」の大型店を出店します。面子としてはいつもの面子ですが、1店あたりの面積を周辺の百貨店や駅ビルよりも大きく確保しているということです。

 店舗面積4.4万u(だれか10万uとか言ってた人が居ましたね)、266店で初年度売上高400億円。2、500万人の入店客数を見込んでいます。

 「うめきた」の構想自体、かなり大風呂敷を拡げていたので、関西を代表する街作りを期待していた向きには。やや肩すかし感のあるテナント構成かもしれません。まあ、身の丈に合った商業機能づくりといえましょう。
 商業はわかりやすい街のメッセージです。オフィスや「ナレッジキャピタル」についてもほぼこれから想像できるものだと思います。

 「お散歩が出来るまち」というコンセプトは好ましいものです。これからの街の成熟に期待したいと思います。管理の行き届いた安心してすごせる街として梅田でもユニークなポジションをしめることでしょう。反面、「駅裏開発」に特有の、拡がりに欠けるイメージは残ります。新宿西口もあまり変わらないですしね・・・。

 2期計画を含め、ブロック内で閉鎖的になるのでは無く、周辺地区との繋がりのストーリーをつくっていくことが必要です。

                                      (2013年01月17日)

 うめきた先行開発区域「「グランフロント大阪」に対して、少し厳しい評価をしてしまうのは、アジアを視野に入れたグローバルな拠点となる立地であるのに、「分譲マンションみたい」と評されることもある無国籍なネーミング「グランフロント大阪」(何語やねん)にあらわされるような、ドメスティックな「駅前再開発」を超える感動が十分にみえてこない事に歯がゆさを感じるからです。
 
■ブームに弱い自治体〜B級グルメとワールドカップ

 祭としての賑わいは地域を強くすることに効果は無い

 ワールドカップの事後評価の調査では「国際的なスポーツイベントの開催はメディアへの露出や地域住民の一体感づくりには寄与しているが、地域文化や地域経済、地域のスポーツ活動率の向上に全く寄与していないこ」とがわかります。
 一過性のお祭りのような賑わいは、話題をよんでも一発屋芸人のようなもので、地域を強くすることには役に立たないのです。

 かつては公共交通の整備のために、国際イベントを契機に国の投資が行われました。(税金です)いろいろと発表される「いわゆる経済波及効果」もその多くは「施設建設」への投資が占めています。以前御紹介したロンドンオリンピックでもそうでした。

 ワールドカップキャンプ地の誘致合戦についてある人は「今回の過熱するキャンプ地争奪戦を見ていて感じられるのは、バブル期のリゾート開発ブームでも見られた、自治体の横並びの思考と長期的な皮算用である。そこにはサッカービジネスのことを知らない自治体関係者が企画会社やエージェント(広告代理店)の持ち込んだ経済効果を信じ、とりあえず誘致に名乗りあげたという日本固有の図式が見える」と分析しています。

 いわゆるB級グルメの成功事例も、持続的に効果を上げているのは初期のごくわずかなケースに限られます。狙ってつくった「名物」はいつの間にか消えてしまっています。それでも、 地方によってはとにかく話題になる、一時的にも「賑わう」ことが「目に見える成果」と感じられるのだと思います。これは、ある種の病です。

 宮崎県の「肉巻きおにぎり」屋さんが倒産しましたよね。

 地域資源が格段に充実している大阪や東京といった大都市でも、手っ取り早い「成果」を求めてその症状が進行していると思います。
                                       (2013年01月15日)
図ー開催自治体による2002年FIFAワールドカップの評価

※5段階評価 5が☆の数5つの満点 開催自治体へのアンケート結果
図51

「wカップの事後検証」独立行政法人経済産業研究所2004年から
■2019年は国際スポーツイベントの当たり年

 2019年は国際スポーツイベント ワールドカップの当たり年

 既にラグビーのワールドカップの開催が決まっています。4年に1度開催されるバレーボールのワールドカップもこの年に開催されます。 
 さらに昨年報道されたように女子ワールドカップの開催地に立候補することが決まっています。(2014年に正式決定 ちなみに2015年はカナダで開催されます)ラグビーワールカップに水をさすと森喜朗会長が困惑しているともいわれています。

 楽しみではありますが、なんだか,お腹いっぱいになりそうですね。

 2020年東京都民がやりたければおやりになれば・・・

 その上に翌年に東京オリンピックを開きたい考えている人が居るようです。名古屋や大阪が立候補したときは冷ややかだった「国」もとても力が入っているようですね。

 オリンピック開催には依然,賛否がわかれています。最終的には赤字は税金で国民が負担します。赤字が出ないようなマネジメントは当たり前です。日本国民の気持ちを一つにしたいという趣旨は大変結構ですが

「東京五輪がいやならどうぞ、引きこもっていてください。復興への使命感がある人、世界のアスリートから生きる意味を学びたい人、日本の選手の活躍を眼の前で見つめたい人、やりたい人でやりますから」猪瀬知事のツィートです。こういう考え方の方がトップでは見本人の気持ちを分断するだけでしょう。

 あくまでも都市が主催なので(だからこそ国は、大阪にも名古屋にも冷ややかだったのでしょう)東京都民がやりたいならおやりなればいいのですが、赤字を国に埋めてもらおうとは考えないことです。

                                         (2013年01月10日)

 一時人気のあったラグビーの人気が低迷しているのは、海外のチームに比べ格段に実力が劣ることが判明したからだという説があります。確かに女子サッカーなどはワールドカップの活躍で注目が集まっています。
 とはいえ、やはり海外に比べ格段に実力が落ちるアメリカンフットボールの観客動員数が1万人を超えることと比較すると原因は実力だけでは無いような気がします。
 何故なんでしょうね。
■日経新聞に出足不調と酷評されてしまった阪急梅田店の今後と阪神の建て替え

 前年比48.4%増だった11月に比べ、40.7%と減速気味の阪急梅田店

 H2Oが「堅調に推移している」と発表しているにも関わらず、日経新聞では業界の声を借りて「出足は計画通りとはいえない」と酷評しています。2130億円という売上げ目標のように、2011年の実績を7割上回るというのであれば、実績は確かに厳しい数字です。投資金額の600億円が重くのしかかっています。

 阪神百貨店の売上げ減が12月も続いているのも深刻です。(11月 -11.2%、12月-8.3%)
 
 開店時に指摘したように阪神の食料品売場のめぼしいテナントをごっそり阪急に引き抜きましたし、立地的にも一番影響を受けるポジションなのでやむを得ないでしょう。

 阪神百貨店建て替えに1000億円〜百貨店は縮小か?

 年開けに一斉に報道された阪神百貨店と新阪急ビル一体となった建て替え計画は2014年着工で1000億円の投資となります。190メートルの高層ビルになるそうです。駅の改修を含むとは言え、この大きな投資額からは基本的に儲からない今の百貨店業態はお邪魔虫のような扱いです。

 報道されている関係者の発言では「百貨店も売上高では無く効率を求められる時代になった」ということで売場面積の縮小が示唆されています。地域密着型の商品戦略に磨きをかけて再浮上を目指すようです。

 例えば阪神の立場にたって考えると、再浮上の方策はいつか考えられますが、・・・・・阪急梅田店が決して絶好調では無く、かつ広さを持てあましている状態の中では,百貨店としての展開は制約されるでしょう。手足を縛られた中での再生計画となるでしょう。厳しいですね。

 売場効率とは単に面積を縮小して坪あたりの売上をコントロールするばかりが手段ではありません。伊勢丹が行っているように自主開発の商品を増やして利益率を上げるというのも、その道筋です。

 阪急や大丸がやりたがらない手をかけた自前の品揃えで利益率を上げる事と、専門店テナントの導入での生産性の向上が残された手法です。

 売場効率医至上主義の逆張りであるダイシン百貨店の品揃えだって参考になるでしょう。・・・阪急と同じ土俵では勝負できない事をポジティブにとらえないといけません。何よりも阪神百貨店のファン層、顧客層に何を提供すべきかを考えることが出発点だと思います。

 あらためて見直すと阪急百貨店の食料品売場では特に新しいチャレンジは見当たらないです。既存の成功事例をまとめた「幕の内弁当」路線ですから、差別化の方法はいくらでもあると思います。(いつもいいますが、中流向けの無難さがこの店の強みです)

                                          (2013年01月09日)
■見えないマジョリティ〜そんな奴おらんやろ

 プロスポーツ観客動員数トップはプロ野球ですが2位は・・

 Jリーグでも無く、競馬でも無くぶっちぎりで「ボートレース」(競艇)だそうです。
 一体誰が競艇に熱心に通うのでしょうか?故横山やすし師匠ぐらいしか思い浮かばないのですが・・・。

 ある大学の調査では競馬、競輪、競艇の観戦者の9割が男性が占めています。平均年齢は競馬が52.5才、競輪が70才、競艇は72才だといいます。

 極端に偏在しているのですね。そしてそれらの人達は小市民にとっては見えない存在なのだと思います。街の中にも見えているはずなのにあたかも存在しないように扱われる人々がいますよね。

 もっとも観戦者の多くは「スポーツ」だとは思っていなくて「ギャンブル」だとはっきり認識しているようです。

 種明かしをすると、これら観客動員数のデータのネタ元は日本財団(昔の日本船舶振興会)です。人数はかなり、盛ってあるとは思います。それにしても・・・・。

                                             (2013年01月08日)
(追記)
 ボートレース(競艇)の場合、観客動員数には電話投票、場外舟券場(ボートピア)の購入者も含まれるそうです?・・・・・・・それはもう観客じゃないですね。アッキーニャのファンですか。

 それならばテレビでプロ野球を見ている人も「観客」に含めないと比較になりません。
 
図ープロスポーツの観客動員数
図52
日本プロスポーツ協会加盟団体の年間観客動員数
■今年は「駅裏立地」の動向に注目したい
 
 新年明けましておめでとうございます

 今年は「うめきた先行開発地域グランフロント大阪ショップ&レストラン」が開業します。従来大阪駅の表玄関は南側の阪神やヒルトンに面した方角で、ヨドバシカメラがあるものの北側は「駅裏」とよばれる賑わいには欠けたエリアでした。

 多くの地域で「駅前再開発」は進んでいましたが、「駅裏」地域はエアポケットのようになっているケースが多くみられました。人の流れが,鉄道や駅で分断されてきていたことも大きいのでしょう。

 最近、JRの駅ビル開発が進み、「駅裏」の開発に可能性が生まれてきました。例えば姫路駅の南側、大分駅の西側・・・駅ビルが活性化することで人の動きが活性化していくことでしょう。博多駅や新大阪駅も駅裏立地の活性化が進むかもしれません。

 駅前に比べると、事業にも一工夫が必要ですが、何か面白いことができそうです。

 今年は駅裏立地に注目してスタディをしておきたいと考えています。

 皆様にとって良い1年でありますように。今年もよろしくお願いいたします。

                                                 (2013年01月07日) 
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