◆ デザインが地域おこしに与えるプラスとマイナス
木曽福島の木彫り看板がまちの一体感を高めている
長い間、長野県木曽福島市を経由して山の中の山荘を定期的に訪れている。長野県の中でも西側の国道19号線の沿線のまちは、昔の街道の宿場町が多く風情はあるのだが、山を越えた西側の伊那などの地域に比べて都市的なアメニティの整備が遅れている。高速道路で東京都結ばれている地域に比べて交通の便が悪いことが大きい。
19号線沿いには奈良井宿や妻籠、馬籠と行った,昔の街並みが保存整備されていることで観光客を集めているが、木曽福島はそれらのまちに比べて街並みには歴史を感じさせる統一感は感じさせない。
今年の夏、あらためてまちを歩くと、木彫りのユニークな看板があちこちの店舗に掲示されていて驚いた。若い人が始めたような新しい店だけでなく、木工品の老舗や旅館、飲食店でも飾られていて、まちの一体感を作っている。地域の木工技術がユーモラスな絵柄に反映されていて、作ったような古めかしさはなく新しいまちの個性を作っている。
いつか、じっくり調べてまとめておきたい。
スタイリッシュなデザインショップにバブルの亡霊が彷徨う
伊奈地区に本社がある伊那食品工業㈱(塚越英弘社長、長野県伊那市)は、2022年3月18日(金)に本社所在のかんてんぱぱガーデン内に新施設「monterina(モンテリイナ)」をオープンした
。「コンセプトは“おいしい出会いのある食のセレクトショップ”。生活に彩りを添える生活雑貨がそろうデザインプロダクトショップや、全国の美味しいものが集まるマルシェショップ、南信州の地酒「今錦」を試飲できる米澤酒造の直営店、さらに、長野県内の人気店がプロデュースするサンドイッチやスイーツを楽しめるカフェ&ベーカリーがオープン。買い物をはじめ、ランチやカフェタイムなどに気軽に立ち寄りたくなる新スポット」
http://okashi.info/news/4118
https://www.kantenpp.co.jp/garden/#buy
鉄骨作り地上2階建て、敷地面積8083㎡、1・2階延床面積合計約701坪、店舗面積1階約201坪、2階約164坪。
駐車場台数は80台(その他、かんてんぱぱガーデン内に700台、すべて無料)。
年末年始を除き年中無休、営業時間は9:30~18:00(季節変動あり)。
全国の美味しい物を集めたマルシェショップには全国の美味しい物が集められていますが、何故ここに集めるのか?疑問です。あるいは軽井沢であれば成立するのかも知れない。デザインでセレクトされた商品群はオープン当初は見事にコーディネートされていますが、今後、季節に応じて入れ替えしなければいけませんし、ハムソーセージを含む食品についてはおそらく賞味期限までに売り切ることはできない。・・・バブルの時期に地方でもこのような「おしゃれな店」がいくつもできたが、今は見る影もない。そういった案件に手を染めたことあるので、後ろめたくて目を覆いたくなった。
正直に評価すると「やっちまったな」としか言い様がない。視察に行かれるなら、早いほうがいいだろう。1年間ぐらいが賞味期限。テラスからの眺望はすばらしいのでカフェだけでも見る価値はある。
伊奈食品は優良企業である。地方のお殿様が「デザイナー」にまどわされたのだろう。
(2022年8月25日)