株式会社ANALOG 市場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク
エリアマーケティング・商業開発・まちづくり
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■関西市場への「参入障壁」は実在するか? |
かつて、「西武百貨店」が元気に多店舗展開していた頃、大阪市内への出店計画がことごとく「妨害」にあい中心部に出店できないの事を嘆いているという新聞報道がありました。西武は京阪神では郊外には出店していたものの都心部には出店できませんでした。
後に西武とそごうが経営統合し、そごうが心斎橋に出店する際、ボディビルで鍛え上げたマッチョなトップと経営幹部の方々はかつて「妨害された?」と「関西人」に対する怨念と蔑みを隠そうともしなかったそうです。
先日発表された島屋とH2Oリテイリングの経営統合のニュースは長期戦略としての機能補完が実現する、とても強力な組み合わせであると考えています。阪急百貨店本店は「中流層の店」という業界の評価にあるように、日常性からファッションまでバランスのとれた理想的な店舗です。(どういうわけか他のエリアに出店するとバランスが崩れることもありますが)ウィークポイントといえるのが伝統的なエスタブリッシュメントへのブランド力です。今回の島屋との提携でそれが解消されます。
直近の効果としては2011年の「JR三越伊勢丹」のポジションどりが厳しくなります。もし私が出店担当者ならかなり厳しいプレッシャーを感じると思います。前述の企業のトップであれば「関西人」にいじめられている・・・・と思うのかも知れません。
関西市場での「参入障壁」は過大な幻影であると私は思います。もともと、商売の街である大阪では全国各地、あるいは海外からの参入を受け入れるオープンマインドな風土があります。また、大阪以上に「排他的」なイメージのある京都の市場で「JR京都伊勢丹」は定着しています。
心斎橋そごうが失敗しているのは、決して東京資本だからという外部的な理由からではありません。地域の市場についての理解と敬意が不足し、利益をあげる売場が不在であるからです。顧客に指示される売場をつくる限り、「参入障壁」などといったものは成立しません。
縮小する市場の中で生き残るということは、競争相手を「淘汰」するということです。今後の百貨店の生き残りは、勝てるエリアに集中することと、百貨店の空白地帯になっている地方中核都市でも成立するビジネスモデルをつくることだと考えています。
(10月16日) |
■新しいジャンルの「床用途開発」に次のビジネスチャンスがある |
今後、人口世帯数は確実に減少していきます。住宅、オフィス、そいて今後淘汰される商業施設の床を活用する用途を準備していく必要があります。「減築」という概念が注目されていますが、まだま現実的なイメージは一般に普及していません。「コンバージョン」という用途変更についてはかなり知られてきましたが、ひとつひとつ手作りのものとなります。
特に都心部のオフィスビル、商業施設の空きスペースは景気動向によって大量に発生する事が想定されます。前回の不況を受けてカラオケボックスや漫画喫茶などが大量に登場し社会問題となっています。風俗店の案内所なども空き店舗のあとに入居しています。
賃料負担力があっても資産価値を減少させる用途ではなく、共益費程度の賃料で資産価値を下げないもの・・・・料理教室、介護系の施設、リタイア層向けの起業オフィス、同好会的なクラブハウス、託児所、都市型農園・・・今から準備しておくとビジネスチャンスがありそうです。
京都の丸善の店舗を購入したのは「ジャンボカラオケ広場」を展開している東愛産業です。同社は温泉旅館を購入し、食事付き7,800円で提供するビジネスでも成功しています。カラオケボックスも当初の安普請のものから一定のスペースを確保し、若者だけでなくリビングルームの外部化ともいうべきコミュニケーションスペースとしても活用されてきています。当初はディスカウンターとして出発して、アップグレードして都市機能にかかせないものになっていくパターンはかつてのダイエーやユニクロといった物販からサービス業にまで拡がってきています。
リタイアしても完全に仕事から離れるのを嫌うシニア層が増えていますので、売上も賃料もそこそこでいいという割り切りでビジネスが成立する環境が揃ってきています。
とりあえず、土日だけ開業するショップから始めていてはいかがでしょうか。早く不況が来ればいいのにと・・・不況が待ち遠しくありませんか?
(10月16日) |
| ■細分化しすぎてもまた見えなくなる 関西という迷宮 |
京都、大阪、神戸の3都市は互いに仲が悪くてお互いの悪口を言い合っているというのが定説になっています。また大阪の中でも北摂などの北の住民は南の街や住民とは違うキャラクターだと見ているといわれています。ふんふん確かにそんなところもあるかも・・・。
大和川(大阪市と堺市、松原市等の境目に東西に流れる川)から南には「百貨店のMDはない」といいはなった人もいましたね。大阪南部でも堺市から見て、岸和田市、貝塚市の住民は「田舎の人」と見なしているようですし。大阪のディープサウスである泉佐野市でも海側の住民は「漁師」が多くて気質が粗っぽいとかいう話もあります。確かに地域の気質の違いは地域差別すれすれの面白い話題ではありますが、その「細分化ごっこ」に入り込むと際限ない迷宮に入ってしまいます。(京都でも北と南では「違う気質?」でしょうし、神戸でも東と西では「違う」とか〜かやくご飯の具をより分けて食べているようなトリビアですね)
何年か前に東京の事業者の「大阪のOLは合理的(ケチ)だからこの価格帯の商品は無理かも知れないが、神戸か京都のOLをターゲットにしていけ成立するのではないか・・・・」という発言を聞いて思わずコーヒーを吹きこぼしました。(関西で一番吝嗇と見なされているのは間違いなく京都人ですから〜東京人は「地域差別ごっこ」でからかわれているのですよ。例えば、京都人がいかに「イケズ」かと脅かされているように・・・・)
これは、テレビなどでの県民気質を面白くとりあげる番組の影響でしょうか?職場の昼休みの雑談ネタとして害がないでしょうが、ステレオタイプにあてはめて地域をわかったような気になるのは、プロが扱うエリアマーケティングではありません。
不況になると「大阪」が注目されるようです。プロ野球も関西勢が頑張っていますしね。また、大阪についての変なイリュージョンが広まるんでしょうね。
大阪の新今宮周辺の日雇い労働者向けの簡易宿舎に外国人旅行客が増えていることが話題になっています。新世界が近いしコテコテの大阪が「受けている」というわけではありません。バックパッカーにとってアジアの安宿に比べて、遙かに安全で清潔だから利用しているだけですから。
(10月10日) |
| ■東京からは日本が見えないB「百貨店の本店力について」 |
東京の百貨店の本店は、どこの店もその店のブランドイメージを象徴する素晴らしいものです。例えば、伊勢丹新宿店の食品フロアなどはお菓子や野菜まで装飾的に陳列されていて、目の保養になります。三越日本橋本店の重厚さは伝統を体感させてくれます。多店舗展開している百貨店でも、3割から4割は本店の売上げだといわれています。
それらの本店では、自分の店が想定している「お客様イメージ」に合わない人は排除しているようにも感じられます。環境、商品、お買い物をされている顧客が一体となってその店の個性を作っています。各社の社員もそのイメージに誇りを持っています。「本店の姿」が「本当の自社の姿である」と・・・。
百貨店の統合が進んでいます。「スケールメリット」が長期的に縮小市場の中の百貨店経営を救うのだそうです。
百貨店が地方や郊外に出店する時に例外なく陥るのが、本当は本店の姿が本物だけれど、このレベルの市場では少し落としたセカンドラインで揃えようとか、安物で売上をカバーしようと、してしまうことです。
「センスがあって経済力のある人」がマーケットリーダーとすると、マーケットリーダーだけでなく「お金はあるけれどセンスに自信がない(隠れた富裕層)」と「センスはあるが経済力がない」この2つの層を確実につかむことが必要なのです。この層を店に招き入れるために、利益率の低い、リビング雑貨や食料品、レストランの役割が重要になります。生活全般の領域を提供することに「百貨店」の魅力があります。生活は「ファッション」と「呉服・宝石・美術」だけで成り立っているわけではありません。
東京にいて、ショーケースのような本店から、利益率、交差比率などの数字だけで判断すると地域の店作りを間違えることになります。
本店の持つブランドイメージ、言い換えると「あこがれのライフスタイルのイメージ」を活かしながら限定商圏で商売を成立させることができた百貨店がこれから生き残っていく事でしょう。「商売」の部分をテナントまかせにするとか、セール販売だけで数字をつくるとかしていると、肝心のマーケットリーダーに愛想をつかされて終わりというケースも少なくありません。
例えば、一番お気に入りの服を着て、髪の毛もセットしたてで、メイクもばっちりの時の姿だけが「本当の自分」で、それ以外は「かりそめの姿」と思っているのでしょうか・・・もう若くないのに。開き直って身だしなみを忘れてしまうのもまた失敗パターンに陥ります。
(10月8日) |
| ■縮小する市場に新規参入のチャンスがあるA「リプレース需要に活路を」 |
世の中は本格的に不景気モードに入ってきました。景気後退という市場縮小にはどのような対策があるでしょうか。実質本位の安売り路線?
生活者の消費性向は抑制され、財布のひもは締まっていますが、この時期に伸びている商品もあります。「電動アシストバイク」、電気のモーターで駆動力を補助するタイプの自転車です。自転車というとディスカウントストアで数千円の商品で、使い捨てに消耗品というイメージが定着していましたが、今は数万円以上する電動アシストバイクが好調です。今まで自動車を使っていた配達業務や、買物時の移動に、自動車に置き換わって利用率が高まっています。原油高の余波といえます。規制が緩和され、駆動力が強まる今後、一層の活用範囲の広まりが予想されます。
低迷を続ける海外ラグジュアリーブランドの中でも「アニヤ・ハインドマーチ」は相対的な割安感の割に高級ブランドとしての認知が高まってきており売上を伸ばしています。
先日、銀座に開店したスウェーデンの「H&M」も安い価格帯のわりにデザイン性が高く(品質に疑問はあるものの)人気を集めています。
経済的に厳しいがデザインセンスや快適さを犠牲にしたくないというニーズは厳然と存在します。ランクでいうと上位のカテゴリーの商品の代替となる魅力があれば今のカテゴリーではやや高めの価格でも「値頃感」を訴えることができます。
前回の不況の時から「100円ショップ」や「ユニクロ」が伸びましたが、原材料費が高騰し、中国製品など外国産の商品への不信感が強まっている中では「低価格」のインパクト訴求ではなくワンランク上のカテゴリーでの「値頃感」に活路がありそうです。
例えば「1,000円のランチ」は通常のサラリーマンには贅沢であっても、ちゃんとしたコース料理にするとか、ビュッフェレストランとすれば割安な感じがしますよね。(10月8日)
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