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株式会社ANALOG   場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク 
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■鰻谷丼池の残念な開発〜県事務所の風格

コンペ提案は政党の公約のようなものなのか?

 東心斎橋の鰻谷丼池筋に某県の県事務所がありました。その事務所の建て替えにあったってコンペが行われました。東心斎橋と言えばかつては大人のおしゃれな街として落ち着いたバーやブティックの路面店が建ち並ぶ街でした。近年、道頓堀〜宗右衛門町の風俗化に代表される街の劣化が北上し、安物の飲食店、「元気な居酒屋」などが増えた「残念な街」になりつつあっただけにその結果が大きく注目されていました。

 結果として関西の大手設計事務所を中心に、最近元気のいい「大手一流不動産会社」、「老舗百貨店」の連合体が入賞しました。考えられる最高の組み合わせに街の復興の期待がかかります。私は別件で、2日間ほどこの近くでフィルドワークをしていましたが、このポイントが変わると街は変わると確信を持っていました。

 竣工が大きく遅れ、先日完成した姿を見ると、コンペ提案と大きく異なった建物が建っていました。百貨店の姿はなく、真っ赤なアクセントがある意味印象的な外観の建物のテナントとしてとして1件だけビューティサロンが大きな看板を出しています。

 それなりに大変な事情があっただろうと拝察されますし、他人の資産の運用にケチをつける気はありません。
 最近はコンペ提案は政党の公約の様なものになっているのだなと・・・・

(コンペ審査基準 抜粋)
建物の外観・デザインは、県の所有地に建設される施設であり、かつ県の業務拠点(大阪事務所)が入居するのにふさわしい風格を有しているか。

施設内容・構成は、県の業務拠点(大阪事務所)が入居するのにふさわしいもので、かつ近隣商店街と相乗効果が生じるよう十分に配慮されているか。

一旦衰退が始まった街は止めることができないのか

 そんなことよりも危機感を感じさせるのは、一旦劣化したし始めた街は、自治体+公共事業に強い大手設計事務所+元気のいい一流不動産会社+老舗百貨店という、がちがちに固い企業の組み合わせでもとどめることができなかったという事実です。
 見事に周辺に同化した施設になっています。ミナミの劣化を「外国人オーナー」による目先の利益追求の結果だとする議論がありますが、それが嘘であることがわかります。変の意味での「賑わい」のある街はその「賑わい」によって劣化していきます。
 現金商売、水商売、安っぽい飲食店、そして風俗、パチスロ等々。これらは大阪の庶民の持つ、下町の親しみやすい賑わいとは似て非なるものです。

 シャッター通りといわれるほど寂れた方がまだ再生の可能性がありそうです。

 御堂筋から心斎橋は大丸を中心に良くなる要素が沢山あります。昔、ここで遊んだ人が戻ってくるようないい街になる為には、東心斎橋はこのままでは駄目です。
                                                             (2009年7月31日)

■「日本食」の魅力が外国人観光客を惹きつける

国別に違う観光目的

 日本への観光目的は国によって大きく違います。欧米では歴史文化への関心が強く、アジアではショッピング、温泉への関心が強くなっています。共通しているのは「日本食」への関心の高さです。2006年度の調査では19.4%だったのが、2008年度では37.0%にまで高まっています。(全体)

 ミシュランガイドでも日本での☆の数の多さが話題になっていました。関西版の刊行も関西人はあまり相手にしないでしょうが、観光客が押し寄せる可能性があります。

 下の図に掲載していない中国人では「日本食」は5位で21%です。まだ、日本食が口に合わないのかも知れません。食に関してはプライドが高いのかも知れません。

 食は風土と密接な関わりを持ちます。リピーターとしてもう一度来訪していただくためにも食の満足度を高めていかなければいけません。
日本の中でも食べることにどん欲な関西でこそ「日本食」の楽しみを味わっていただけるように思います。観光客向けの英文のパンフレットでは総花的なあたりさわりのない扱いですが、旅行者も意識した関西の日本食の情報発信が必要でしょう。
 ぐるなびは広告ですし、いわゆるタウンガイドは何故かあまり役に立ちませんし、情報誌は新しい店しか取り上げません。使い勝手の良い情報源が全くないのが現状です。


                                                             (2009年7月30日)
図ー訪日外国人観光客の観光目的
  

  

国際観光振興機構「JNTO訪日外国客訪問地調査2008」
天神祭も終わり水辺が気持ちのいい季節になりました。「水都大阪2009」は8月22日からなんですって?え〜夏が終わるやん。

    
■集積の規模でしか価値判断できない人達〜梅田があぶない

利便性が高い梅田〜集積すればますます利便性が悪くなる

 店舗の売上げを推計する方法として古くから使われているもに「ハフモデル」があります。売場面積の大きさと競合店への距離をベースに各居住区からの吸引率を算出するのが基本的な考え方です。基本的に規模がすべての考え方です。

 郊外のショッピングセンターの売上予測では実用的な精度を持っています。結構予測があたります。
 都心の商業集積ではあまり役に立ちません。

 2011年前後に梅田に大型店が集積する事によって、梅田が独り勝ちになると考えている人はいませんか?それは間違いです。少なくとも百貨店に関して言えば、数年の内に4店の内1つは「ビックカメラ」(のようなもの)になります。
 ヨドバシ梅田が成功したのは梅田にないものを持ってきたからです。百貨店の発想と行動パターンでは必ず同質化競争を起こして、体力の無いところから倒れます。

 今まで、はっきりと地域一番店と違うやり方2番店戦略を徹底し成功した百貨店は「阪神百貨店」しかありません。圧倒的な戦力(ヒト、モノ、カネ)の差がある「阪急」に対してある程度互角に戦える売場もあったのは、トップに2番店としての覚悟があったからです。

 プライドの高い老舗百貨店には絶対にそれは出来ません。従って、同質化競争が強まり、利用者にとっては全く便利ではない商業集積が増えることになります。

 梅田のウィークポイントは若い世代による「おしゃれな街」としての評価です。

 心斎橋を中心とした南船場〜堀江に伸びしろがある

 おしゃれな人が多いとか、新しいファッションが発見できるイメージの高い堀江、南船場ですが、ビジネス面では中々厳しです。ただ、御堂筋心斎橋が利便性とファッション性のバランスがとれていることに注目されます。

 大丸による旧心斎橋そごうの買収は大丸にとっては価格的に高い買い物だと思いますが、地域にとっては大きなプラスです。旧そごう経営陣には地域のポテンシャルが見えていなかたようですが、大丸がやろうとしている若い人向けの低価格ファッションは来街者の選択肢を広げます。阪神なんば線の開業で神戸方面からの来客が見込める堀江、南船場にとっては心斎橋大丸と御堂筋のブランド路面店と合わせた新しいショッピングエリアが形成できます。若い子が多いですし、わざわざ出かけたくなる魅力があります。

  2011年の開業当初は影響があったようですが、3ヶ月経って落ち着いてきています。

 外国人向けの観光地化した心斎橋筋商店街も一部利用できるかも知れません。

 梅田は周縁部の魅力を掘り起こしていかないと集積することによって衰退が始まっていくことになります。

                                                           (2009年7月29日)

図ー1 「買い物に便利な街」

図ー2 「おしゃれな人が多い街」

図ー3 新しいファッションが発見できる街


「なにわ考現学05」より(大阪市内通勤者を対象にしたアンケート調査)


■生産者の思いと流通事業者の思い

 イオンの12%は高いか安いか

 23日の記事で農家の方のブログから事例として、イオンモールの場所貸しの価格がイオン12%、農協3%がとるという農家の方のぼやきを紹介いたしました。ある人にご指摘いただいたのですが、合計15%というのは催事販売の場所貸しとしては決して高くないようです。駅構内とか百貨店の催事販売で売上金額の2割ぐらいですから、むしろイオンとしては安めの設定なのだと思います。
 農家の方の不満は品だしを手伝ってくれないとか、一緒に売ろうとしてくれないという事に対する不満ですが、流通に対する理解がないため不信感があるのだと思います。

 地方産品流通の課題

 地方に埋もれたいい品物を発掘して流通させようという宿題をずっと抱えているのですが、地方の生産事業者との意識の齟齬がまだまだあります。ある方のところには地方の良い品物の持ち込みがあるようですが、流通マージンとして1割を出すことも法外だという意識があるようです。ロットが大きいものではなくロットが小さいことに値打ちがあるものだけに既存のビジネスベースには乗りにくいところがあります。

 ダイレクトマーケティングとプロモーションの場としての催事販売

 地方生産者が自分自身の思いを大事にしながら生産し続けるためにはWEB等のダイレクト販売が中心になると思います。ただし、広く知っていただくためには催事販売あるいは百貨店のWEBサイトでの限定販売を使うべきです。多少利益率が低下しても、マス広告を打てない小規模の生産者が良質のお客様に認知していただく為には広告費と割り切ってでも活用すべきです。

 流通事業者も品数限定、季節限定の商品を差別化商品として求めています。百貨店をメディアとして割り切ればまだまだ利用価値はあります。
                                    (2009年7月28日)
■梅田周辺の大型店の動向とこれからの変化

大阪駅北ビルのインパクト

 2011年開業予定のJR大阪駅北ビルは三越伊勢丹で550億円、専門店で300億円(推計)の売上を目標としています。ヨドバシ梅田は今までに無い需用を獲得できたのでエリア売上を1200億円ONできたましたが、「百貨店、専門店ビルの需要」は例え集積効果で他地域から吸引できたとしても、ほとんどは既存の商業施設との限られたパイの食い合いになります。

 昨日の商圏図に明らかなように、鉄道沿線の商圏が基本ですから、大丸梅田店とジェイアール三越伊勢丹が基本商圏を奪い合う形になります。これは誰もが分かる自明の理なので、それを織り込んだ両店の戦略が注目されます。

 中国や韓国などの訪日外国人の需要は期待できても、富裕層の個人客は百貨店の売上げに寄与したとしても団体客はまた違った需要になり、今の百貨店では難しいと思います。・・・高級レストランでも中国人の団体客は傍若無人の振る舞いをする(まるで関西人のように?)ので敬遠されています。ミシュランに掲載されるのも善し悪しだねと話題になっています。

好むと好まざるに関わらず国際化の進む関西

 万博公園のエキスポランド跡地へのパラマウントリゾート計画や中央郵便局跡地のオリエンタルランドの劇場はあきらかにアジアの観光客をターゲットにしています。交流人口の増加は歓迎すべき事ですが、地域として何で収益を上げるかをよく考えて準備する必要があります。
 心斎橋筋は観光客で賑わっていますが、街としては劣化しています。観光客で食べていながら、自分たちの生活は頑固に守っている京都人の知恵を学ぶ必要があります。
                                                             (2009年7月27日)

 

図ー梅田周辺の大型店と開発計画



■百貨店にとって商圏とは何か

 大阪梅田の2011年問題

 2011年のジェイアール大阪三越伊勢丹の開業と阪急、大丸、島屋、近鉄などの市内の百貨店が増床します。単純に積み上げると売場面積が3割増加する計算になります。百貨店以外にも郵便局跡地のビルや富国生命ビル、梅田北ヤードの商業ゾーンなど多くの開発が同時に進んでいきます。

  私の持論では集中した立地に出店することは長い目で見たときには得策ではないと考えていますが、それでも多くの「元気のいい」企業は集中した立地に出店することにメリットを感じることは間違いありません。東アジア、特に個人旅行が解禁された中国の富裕層は今後の大事なお客様になります。ビジターにとってまとまったエリアで選択できることは大きなメリットです。観光客が便利になることはいいことでしょうね。

 とはいえビジターの動向には波があります。(現に、東京の外資系ラグジュアリーホテルには閑古鳥が鳴いています)足元の商圏の顧客をどれだけつかんでいるかが基礎体力を表す指標になります。

 

 大阪の百貨店の商圏

 島屋
 南大阪、東大阪が中心で近鉄と商圏が重なります。阪神なんば線の開業で今後は、阪神間からの集客に期待したいところです。東京の感覚で言えばもう少し広域からの集客があってもいいはずだと思われるでしょうが、店舗の立地している「なんば」の街のポテンシャルが変化して、百貨店の今までの客層が楽しめる街ではなくなってきています。増床によってどこまで街機能を充実させるかが楽しみです。

 大丸心斎橋店
 大阪のキタの住民が行動する南限が心斎橋と言われています。特にシェアが高いエリアがない分、商圏は薄く広く拡がっています。通行客でなく、大丸のファン層が利用している店になっていれば関西では貴重な「非ターミナル型百貨店」としてユニークな存在になります。心斎橋そごうの買収は(ちょっと高い買い物だったとはいえ)店の独自性を強めるチャンスです。

 阪急梅田店
 北摂、阪神間の肥沃な商圏を押さえていることがよくわかります。エリア外のブランド力・知名度がないので、地方の富裕層や外国人客をしっかりとつかめば、盤石となるのだと思います。三越や伊勢丹の知名度は田舎では高いはずですから・・・。従来、立地の良さで放っておいてもお客様やお取引先が集まってきていたので、ブランド力がないことに案外無自覚なようです。

 梅田大丸
 JR沿線の利用者が多いようです。ジェイアール大阪三越伊勢丹の商圏とそのまま重なるはずです。好きなお店なので頑張って欲しいものです。

 近鉄
 足元商圏の利用者が特に多いです。ベビー子供服が多いなど、都心型のSCのようにも思えます。阿倍野には東急ハンズ、イトーヨーカドーが開店しますので集積力は高まります。MIOという駅ビルもあるので、案外2011年問題の余波をくわない地域かも知れません。
                                                        (2009年7月24日)










    
    1990年に朝日新聞社が実施した百貨店来店客調査のデータから当社が独自に加工したものです。
    
■イオングループもアウトレット参入とか〜プロパー商品は誰が売るのか?
 
 イオンレイクタウン(埼玉県越谷市)隣接地に2010年秋開業予定

 景気後退化の消費不振の中でも、アウトレット施設の集客力は衰えていません。三井不動産とチエルシージャパンの2強が市場を制しているアウトレットモールに、あらたにイオンが参入の計画を持っているようです。日本最大規模のSC「イオンレイクタウン」の隣接した土地に計画しているもので、2010年秋か、2011年の春に開業が予定されています。

 大型SCの出店を抑制し小型SMに集中しているイオンですが、大型店でもローコストで建築運営できれば採算に合うと判断したようです。

 農家の取引条件ではイオンよりアウトレットに軍配

 イオンでも地元野菜の取り扱いに注力しています。地元農協と組んで地元農家の産物のコーナーを自前の売場とは別に設置しています。地元農家は、イオンには12%、農協には3%のロイヤリティを支払います。朝届けた商品は自分たちで陳列し、陳列しきれない分はバックヤードにストックします。陳列商品の補充はイオンのスタッフが行う約束ですが、それが中々守られていないようです。毎月2回のお客様感謝デーには5%の割引協力の依頼があります。農家にしてみれば売ることに協力してくれなくて要求ばかりがあるという感覚なのでしょう。

 そのイオンの近くにオープンしたアウトレットの対応は違います。自宅まで納品のお願いにきて、生産者の写真をとってPOPをつくります。納品のときに放送で案内してくれる上に商品の選別にも注文をつけてきます。品切れになれば農家の携帯をならして収穫の催促をしてくるそうです。
http://blogs.yahoo.co.jp/tabe/54419474.html へのリンク

 「売る」ための意気込みが違いますよね。農協があいだに入るのが良くないのかも知れませんが。組織が大きくなると商売の感覚が鈍くなってくるように思います。

i イオングループ野菜生産に参入

 昨日、イオングループが野菜の生産に参入することを発表しました。

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090722/biz0907222155016-n1.htm へのリンク

 阪急百貨店も泉南でグリーンファームとおいう有機野菜の農場をやっていましたが、農業が好きな人がやらないとサラリーマンでは厳しいかもしれません。
                                                          (2009年7月23日)
■パラマウントリゾートは大阪を救うのか

 不甲斐ないガンバ大阪がスタジアム構想を遠ざける

 7月11日、ガンバ大阪は新スタジアム建設構想の現状について発表しました。基本的に寄付金で建設し行政に寄付する形を考えているようです。行政が建設資金を負担してくれる時代でもないですし仕方がないですね。建設場所は万博敷地内としています。(エキスポランド跡といわれています)サッカー専用の屋根つきスタジアムで、収容人員は32,000人。建設費は150億円と試算されています。30億円はファンの寄付、100億円は地域企業、スポンサー企業の寄付、20億円は行政の助成金と想定しています。

  この不景気で企業の財布は厳しいでしょうが、サポーターはお金を出してもいいと考えていました。その盛り上がりに水をさしたのはACLの敗退と、その後のガンバ大阪の不甲斐ない試合ぶりでした。

 平城遷都1300年祭の総事業費は100億円です。京都の水族館の事業費は65億円。屋根がなければ100億円で建設できるとはいえサッカー専用スタジアムは厳しいのかも知れません。(ちなみに京都水族館が計画されている梅小路公園にも京都パープルサンガのスタジアムをという夢があったそうです)

 パラマウントリゾート大阪の投資額1250億円

 7月16日に発表されたパラマウントリゾート大阪は万博公園、エキスポランド跡地40万uに計画されているものです。映画を題材にしたアトラクションでUSJ(1,600億円)と同規模で年間1,000万人を集めるそうです。(USJで年間870万人ですが)
 計画を発表したのは投資会社でこれからお金を集めるのでしょうが・・・・大阪のポテンシャルが投資家にどれだけ評価してもらえるかがポイントになるでしょう。

 パラマウントのソフトではスタートレック、インディジョーンズ、13日の金曜日などでしょうか?

 USJとの連携で実現すれば楽しいものになるでしょうが・・・・地元の人は投資しないでしょうね。唯一のマストラ大阪モノレールは結構乗車率が高くてピークには裁ききれないでしょうし、万博の外周道路も慢性的な混雑で車で利用したくないルートです。
 アクセスが便利なようで,あまり良くないので本当はテーマパークには不向きです。
 (もし、よければ梅田北ヤードで10年間限定の仮設店舗という線で手を打ってもらえるとありがたいのですが・・・・)

 会議場や高級スパを併設した施設を大阪に造っても、採算がとれるという評価が獲得できれば面白い展開になります。地元はまだまだ半信半疑ですが、投資してくださるものはありがたく頂戴していくべきでしょう。(税金は使わないでくださいね)

 高級スパといえば、先日発表された口コミサイトでの海外旅行者による日本の観光地ランキングでは、大阪市内のトップは「USJ」を押さえて「スパワールド」が上位にランキングされていました。
http://www.zakzak.co.jp/top/200904/t2009042036_all.html へのリンク


 大阪を含む関西の魅力がもっと伝われば、この地域への投資が増えるはずです。観光は大阪を知ってもらう、来てみていただくための重要なツールです、賑わいの中でしっかりと次の飯の種を考えて、世界から投資してもらえるようにならないと。

 (個人的にはガンバ大阪が国際的なクラブになり新スタジアムを満杯にする事を望んでいるのですが・・・・でも高槻は遠いな)

                                                (2009年7月22日)
■「観光資源」を持てあます奈良〜劣化コピーではなくどこにもない資源を活かせ

 観光客数が伸びている「京都」、横ばいの「奈良」

 阪神淡路大震災では直接の影響は無いものの、観光客数減という大きな打撃を受けましたが、「京都市」への観光客数は着実に回復しています。同じような古都として、京都・奈良とセットで語られることの多い「奈良市」への観光客数はその間、横ばい状況でした。先日の阪神なんば線の開通は明るいニューズですが、JR奈良駅前への外資の高級ホテル誘致は暗礁に乗り上げ白紙となってしまいました。

 外国人観光客は伸びている

 全体の観光客数は横ばいですが、外国人観光客の数は増加しています。歴史・文化はどこにもない観光資源なので強い集客力を持っていると考えていいでしょう。宿泊客が少ないので、外資ホテルの誘致をはかったのでしょうが、無理に奈良市内で完結させる必要も無いと思うのですがいかがでしょう。
 宿泊機能を充実させるにしても、遺跡の上に街があるような状況で、大型の建築物は難しいのですから低層で分散型の施設であってはいけないのでしょうか。

 平城京はわずか74年の間しか都ではなかったのですが、それ以前の藤原京や古代王朝は奈良盆地全体に分布しています。長い間徒都であった京都とは又違った古都の魅力がこの街の強みです。
 百貨店の誘致は結果的に失敗に終わりました。奈良そごうも閉店し、今は大型スーパーマーケットです。高級ホテル誘致もデベロッパーが破綻して頓挫しました。まだ、アウトレットモール誘致の計画が残っているそうです・・・・。
 地元の人達は他所にもあるものが欲しい、百貨店やホテルが駅前にないとかっこ悪いという思う人もいるのでしょう。

 遺跡とか文化財のおかげでどこにでもある街にならないで来ました。外国人旅行者が伸びてきているのは、どこにでもある街ではないからだと思います。

 平城遷都1300年祭はまっとうな計画

 平城遷都1300年祭は、関西にいてもまだその正体がよくわからなかったのですが、計画を見ると平城京跡から県内をネットワークする内容で、よくありがちな企業パビリオンが乱立する一過性のものではないようです。当初はパビリオンをいくつも立てる計画もあったようですが、埋蔵文化財のおかげでしごくまっとうなものとなったのかも知れません。

 京都水族館は京都のイメージダウンにならないか?

 京都水族館については、「イルカショー」に少し不安があります。京都への観光客は欧米人が多いのが特徴です。(大阪では外国人観光客の64%がアジア系ですが、京都では3割です)しかも、ビジネスマンというより文化に関心の高い人達が京都を訪れます。
 水族館のイルカショーのイルカは欧米の環境保護団体が残酷と評価している「突き網漁」で捕獲されたものです。シーシェパードなどの環境保護団体は日本では頭のおかしな過激派としか見られていませんが、欧米の知識層には一定の割合で支持されています。

 新しい水族館は建物はかなり環境対策が施されていますが、「イルカショー」に関しては欧米の環境保護団体のターゲットとされる可能性も強いです。今のうちに対策を考えておいた方がいいのではないかと思います。「京都」は国際的によく知られているだけに彼らの格好の宣伝材料になるはずです。〜そのリスクについて、誰も言及していません。
                                                           (2009年7月21日)

図ー1 京都市、奈良市の観光客数の推移(千人)


図ー2 京都市、奈良市の外国人観光客の推移



■逆風の中の船出の準備
 
 大阪梅田の2011年問題

 本当は、景気が悪い時期に計画する方が、足についた堅実な計画が出来るのかも知れません。2011年には景気は回復しているはずですしね・・・・と無邪気にクレーンが沢山立っている様を喜べません。

  阪急梅田本店は1期工事がほぼ完了した南側の建物(2.7万u)を9月3日に開業します。その前に現在営業している北側の建物(4.3万u)を8月30日で休業することになります。食品を3層にするということが話題になっていますね。現状で競争力のある売場面積を減らしたくないのでしょう。
 同じグループである阪神百貨店は8月26日「親しみやすさと値頃感」をテーマに洋菓子やジーンズの売場を広げる改装を行うようです。

 東京のとばっちりで着工が遅れていた郵便局の建て替えも進んでいきそうです。

 かつて梅田に阪急と阪神が2店しかなかった時代に「梅田百貨店戦争」と呼ばれて、3店はなりたたないという見解が大勢を占めていました。結果的に梅田商圏が広がったのか、それなりに共存していました。
 平成12年には大阪市内の大型商業施設の面積は2割増えるそうです。

 パイの拡大には限度がある。売上が伸びなくても収益を上げる仕組みづくりを〜って本気でできますか?

 今やらないと駄目なのは、百貨店が頭を使った商売を始めることです。「売場面積の規模」、「関西初のブランドの数」、「価格」競争力について一度にひとつのことしか考えられないのか?と思えるぐらい、同質的でピントのずれた「戦い」を行っています。

 収益をあげる為に頭を使えば、まだまだ出来ることは沢山あります。

 例えば、2012年以降、どこかの百貨店が撤退し、その後に例えば「ビッグカメラ」とか「ドンキホーテ」が出店したとしましょう。(買収価格は別にして)彼らは必ず単年度の利益は出してくるでしょうね。(その時にこの2社がまだ元気かどうかは知りませんが)

・・・・・例え、人件費が削られても「面白くて」「やりがいのある会社」であるなら人材は活性化しますよ。


                                                    (2009年7月17日)
 
   
■「メトロポリタンライフ」と都心で暮らす事〜「私」は何に属する者なのか

 お祭りに子供達がもどり生活がもどってきている

 大阪市内でも西区は人口の伸び率が高い地域です。一時は存続が危ぶまれていたお祭りの行列も、沢山の子供達で賑わっています。郊外のニュータウンでは小学校の生徒数が減少し、統廃合が進んでいるのとは対照的です。
 
 大阪市内でも食品スーパーの出店が目立ってきています。京都でしたら昔からの商店がまdさまだ健在ですが、大阪市内では小学校や商店街などのインフラが大きく減少していましたら、人がもどってくるにつれ再整備が必要になってきています。

 たかが、お祭りと思われるかも知れませんが、こどもを通じて新住民と旧来の住民が交流する貴重なイベントです。東京の江東区のように急激に住宅が増えてしまうと行政側のインフラ整備も大変ですし、住民の交流もなく、単に郊外住宅地を物理的に「都心」に移転させただけ・・・という結果になっています。

 かつて都心に住むというのは単身者や子供のいないカップルが多く、他人と関わりたくない、ムラ社会的な人間関係からとき離れたいという価値観を持っていた人が多かったように思います。特に地方から都会に出てきた人が多かった「団塊世代」で目立っていたように思います。

 メトロポリタンライフから郊外生活へ

 大都会での自由な暮らしのイメージは「メトロポリタンライフ」と呼べそうです。野心のある若い人が「村のしがらみ」を離れて大都会へ出て一旗揚げてやろうというのは昔からあるものです。団塊世代の若い時期はそれが国策で誘導されて、量も多く大量発生したことに特徴があります。

 大阪市内は大大阪時代に、工業都市大阪の環境悪化に耐えかねてお金持ちが「郊外住宅」に移動しました。団塊世代が家庭を形成する時期に開発されたのが千里ニュータウンや泉北ニュータウンなどのニュータウンでした。

 ニュータウンの高齢化と、コミュニティに足場を築けない戦後生まれのシニア層

 郊外住宅地、特に計画的につくられたニュータウンでの高齢化が進んでいます。環境の良い住宅地の大きな一戸建てにお年寄りだけですまれているケースが増えています。子供が少なくなった地域では地域の夏のイベントも中止になっていると聞きます。

 シニアの相互扶助と生きがい作りの全国的なNPO団体である「NALC」と永くおつきあいさせていただいています。団塊世代がリタイアするときに、社会意識が強いはずだったこの世代の会員が大きく増えるだろうと期待してたのですが、思ったより入会者数が少なかったそうです。

 数が多くて、群れるのが好きなわりに、会社といった利益共同体以外に主体的に参加するのが苦手なんではないかと言う仮説を持っています。(特に男性)

  この世代が自由な時間とお金をつかって社会参加する。自分の生活の場所に根ざしたコミュニティ作りを行うように誘導していくことが次の世代の為にも必要なことではないかと考えます。大きな話をするばかりでなく、その場その場での責任を果たすことで世の中を少しでもよくするお手本とならなければいけないでしょう。

                                          (2009年7月17日)


   御霊神社夏祭り 西船場獅子請の行列 

■ビジネス街の風景が変わっていく〜人口減少社会を楽しんで暮らすには

 都市交通手段として見直される自転車とパーキングビジネス

 大阪市内は比較的平坦な道が多く自転車の移動は快適です。特に東西の「通り」は歩道の幅も広く、歩行者との共存が可能です。大阪市内でも自転車で移動する人が目立って増えてきました。都心居住が進んでいる事も背景にあるようですが、やはり不況下で節約志向が高まっているようです。

 時間貸し駐車場の稼働率が落ちてきているようです。ガソリン価格はありかわらず高い為、通勤や行楽にマイカーを活用する事を控えたり不況で、工事用車が減少していることが背景にあります。宅配便の会社もオフィス街に荷さばき場を設置しているケースが増えていますしね。

 そんな中で大手の駐車場会社があいついで、駐輪場運営に乗り出しています。駅周辺の不法駐輪は相変わらずの状況です。健康やお金の節約のために、自転車通勤を始める人が増えたり、企業が交通費削減のために営業マンに自転車を利用させるケースが増えていますので、駐輪場のニーズは高まる一方です。
 名古屋の支店者レンタル外車では法人需要が昨年に比べて5割アップしているそうです。(自動車道路で街が組み立てられているようなあの名古屋でさえです)

 シリコンバレーがグリーンバレーに

 アメリカ西海岸のシリコンバレーでは環境ベンチャーが集積し、グリーンバレーに変身中といわれています。通勤もマイカーでなくバスなどが推奨されている中で、「自転車通勤デー」が開催され、約20万人が移転者通勤したといわれています。「環境にも財布にも健康にもいい。自転車通勤はアメリカの抱える問題を一度に解決できる」そうです。
 もともとアメリカでの自転車人気を支えている地域で、自転車レーンが多く、鉄道に持ち込める制度もあるだけに簡単にシフトできる素地があります。

  ベルギーなどの欧州の都市でも自転車と都市がうまく調和している事例をみるたびにうらやましくてなりません。日本の都市でも東京や大阪の梅田地区といった高密度に集積した都市(アジアに多いのですが)では、アクロバティックな運転をするメッセンジャー以外は自転車を活用することは躊躇されます。

 幸い、人口密度が低い京町堀では自転車もペットも共生しています。(今日は御霊神社の行列も通る予定です)

 ペットとお仕事

 大阪市で賃貸マンションを手がける「エブリペット」者はペットと遺書に自宅にいるような環境で仕事が出来るオフィスの賃貸を始めたようです。

http://www.every-pet.com/kawaramachi/index.html へのリンク

1階にはペットコンシェルジュ!も常駐しているそうです。

 高密度に働く高密度に暮らす理由を棚卸しする

 さて、私たちは「容積率アップ」を無条件に資産価値向上に結びつけてぬか喜びする傾向があります。何故高密度になオフィスが望ましいのか、何故高密度な住宅が望ましいのか・・・・・数字しか見ないファンドマネージャーの視点以外の理由付けを考える必要があります。必然性は投資金額の回収だけ、しかも効率をおいかけると「街の使い勝手が損なわれる」というばかばかしいビットフォールから早く抜け出すことが必要です。

 もちろん高密度活用はそれだけで悪というわけではありません。都市計画のプロとしての「建築家」が自らの見識で答えを出す必要があります。素人は高層ビルが建つことをそれだけで喜ぶことができるでしょうが、プロにはプロとしての理路があるはずです。私は不幸なことに、いまだに投資した金の回収以外の理念を聞いたことがありません。

                                                  (2009年7月16日)
自転車用パーキング  中之島の公園工事
■住宅事情が消費行動を左右する

 住空間の制約が消費行動の枠を決める

 マーケティングの分類では例えば性別や年代別、といった人口統計学的な要因や可処分所得、ライフスタイルといった要素が消費行動を決めるという事が常識とされています。ある分野の消費についてはそれらの人に属する要素ではなく住空間の制約が消費行動を左右することを見落としてはいけません。

 関西でも郊外にはまだ農家が残っています。土地はもともと所有していますから結構大きな一戸建てを建てられます。住居は広いので必ず壁面には絵画が飾られています。フローの収入の多寡やご本人の価値観ライフスタイルに関わらず、壁を埋めるための(しかもご近所に見せるための高そうな)絵画の需要が生まれます。〜それは老舗百貨店の美術部の大切な収入源であったりします。

 都会に住んでいて、センスが良くて、それなりに収入が高い女性でも、都心のいい場所にマンションを購入または借りることが出来たとしてもその壁面は限られています。西武百貨店でデビッドホックニーの版画を購入しても飾る場所にはとても苦労する事になります。

 インテリア・家具ほど理想と現実のギャップが大きいジャンルはありません。まず、大きさの制約があります。首尾良く一部でも理想の空間を作っても、生活する事で毎日生まれるこまごまとしたジャンクが、理想のインテリアを破壊していきます。

 「オール電化住宅」が売っているのは生活感のないキッチンの幻である

 オール電化住宅というものが一部の層に人気を集めています。今まで持っている鍋や釜が使えない事や、調理に忙しい時間にコンロ、グリルをフル回転させてオーブンを使うと「ヒューズが飛んでしまう」=電気器具が全部ストップしてしまう・・・といったあきらかな不便さ(電磁波の恐怖の話はひとまずおいておいて)にも関わらずシェアをあげているのは、安心安全といった表面上の大義名分ではなく、電化キッチンの持つ「生活感の希薄さ」が何となくおしゃれな印象を与えているからです。

 実際レンジでチンするか、湯を沸かす以外に使わないキッチンであれば「電化キッチン」で十分ですしね。

 シャルドネホームは田舎で売れている

 高級天然家具のメーカー「シャルドネ」は住宅事業にも力を入れています。天然木、天然塗料でデザイン性の高いオーダー家具の販売から、その家具をいれる器である「住宅」へ事業を広げるのは利にかなっています。衣食足りて次に求めるのは住空間の充実ですから、住んでみたいと考える人も多いのではないかと思います。

 実際に売れているのは東京や大阪の都心部ではなく、地方であるということです。やはり、都会は地価の高さが住空間の充実のネックになっています。

 マルチハビテーション事業は空き屋対策、新規需要創造の切り札となる

 全国の住宅の12.2%は空き家です。これから人口は減少し、世帯数もやがて減少していきます。
 リタイヤしたシニアは自由になった時間で「都心に住んでみたい」「田舎に住んでみたい」「海外に住んでみたい」などといいた今までできなっかた「経験」を求めています。

 以前ご紹介したテーマパーク型賃貸住宅「株式会社明来」は極端な例としても、デザイナーズマンションには根強い人気があります。
http://akispirit.exblog.jp/i0/ へのリンク

 外国人ビジネスマン向けには高級家具付きの賃貸マンション、サービスアパートメントが存在しています。もう少し一般向けに趣味のいいインテリアがコーディネートされた賃貸住宅があれば、立地によっては一時的に試しに住んでみたいという層が必ずいます。今の生活用具は一式トランクルームに預かって、今の住まいは「移住・住み替え支援機構」に預けて賃貸に出すとかい手法もあります。
 農業にチャレンジしてみたいとか、工房アトリエで暮らしたいとか、自分の今の暮らしを完全にリセットしてチャレンジするには不安があっても一時的に「転職」を楽しめるサポートは面白い事業になるかも知れません。

 リバースモゲージは今ひとつ普及しませんし、いきなりシニア賃貸住宅へ転居というのはまだ若い60歳台にはキツイものがあると思います。今の生活の「生活感」をリセットし、理想の「住空間」に住んでみるというのはエキサイティングな体験になると思います。

 複数の住まいを持つことを総合的にサポートする事で新しい需要が生まれると思います。自分の好みの版画に囲まれて暮らせる(アートレンタル込みの)賃貸住宅というのも成立します。日本人はまだまだインテリアを自分でデザインするセンスは未熟であると思います。デザイナーズマンションを若い人だけの楽しみにするのはもったいないです。

                                                (2009年7月15日)
■デパ地下型のスーパー、その他

 阪急オアシス千里中央店についての補足

 エイチツーオーリテイリングの新型店舗の実験店のようです。生鮮食品の量り売りや料理教室のスペースを取っています。対面販売を大幅に導入しているのが特徴で、このスタイルの店舗をグループの百貨店、具体的には来年3月に開業する阪神百貨店御影店にも導入するようです。
 売場面積は900uで売上げ目標は15億円だそうです。(日経 地方経済面 7月8日より)

 実験店ならば昨日述べた瑕疵を解消してフルラインで展開して欲しいものです。競合する千里阪急は中食や洋生菓子、イベント販売中心にならざるを得ないでしょうが・・・。阪急オアシスの目標値15億円のうち5億円は新しいマンション開発の新規需要を獲得したとしても、10億円は千里阪急の食料品の売上げを取り合うことになります。

 周辺地区、でつい先日開店したばかりのディグラフォート千里中央の1階の大丸ピーコック千里中央 1,349uは距離にして500mしか離れていません。心なしか店頭の商品量を絞り込んできています。売上が伸びないときには、在庫を減らして利益率を確保したいところですが、店舗の魅力が低下していくと言う悪循環が始まってきたようです。万が一、撤退となれば、マンション群の資産価値も低下してしまいますので、困ったことになりそうです。〜よく考えれば、立て直しの方法はあります。

 高層マンションの住民にとって見れば低層階に商業施設が付帯しているのは利便性確保のために不可欠となってきています。かつては「下駄履きマンション」といわれ、都心部以外ではあまり見られなかった形ですが。

 どのような商業施設を入れるのか?開発の評価が決まってしまうこともあります。その為に、大型開発を行うデベロッパーは商業関連の企画、PM企業をグループに取り込む動きがありました。複合機能のあり方をもう一度見直す時期が来ているように思います。

 北海道物産展にそろそろ飽きているとの声が・・・

 百貨店の食品催事のエースはなんと言っても北海道物産展です。今年の秋は新宿の京王、小田急、伊勢丹で9月の頭に三つどもえの戦いになると言うことです。通常、お互いに日程をずらして開催するのですが、今年の秋は、昨年のサブプライムショックの影響で売り下が急減した時期に当たります。今までは前年割れもやむなしという雰囲気がありましたが、この時期以降は前年割れは許されない時期になります。

 経済が落ち込んでいる北海道からの売り込みも激しいようです。安易な拡大に質の低下を懸念する声もあげられています。
消費が縮小する中で今までと同じ購買意欲を刺激できるかは不透明という事です。

 人気の花畑牧場の生キャラメルは相変わらずの奪い合いですが、ネットで通販を始めている企業も出てきていますので、定番商品を集積するだけでない集客の工夫が求められています。               



                                                         (2009年7月14日)
■百貨店と高級食品スーパーの棲み分けの方向性?

 デイリー食料品を重視する百貨店

 百貨店の売場は基本的に取引先企業が運営するショップの集積と考えていいでしょう。「自主編集売場」が繰り返される永遠の課題であるように、自社でコントロールされている売場はごくわずかであるといえます。食料品売場も例外ではなく、「デパ地下」ブームで話題を呼んだ洋菓子にしても、すべて外部の業者の企画した商品です。
 一部の百貨店では生鮮などの売場を直営で運営し特徴をつけていますが、それは例外的なものであると言っていいでしょう。
 日配品やグロサリーなどの売場は関連会社のスーパーマーケットが運営しているケースも多いのです。大丸でしたら大丸ピーコック、阪急でしたら阪急オアシス、西武でしたらザ・ガーデン自由が丘など、運営者が表に出ているところもありますが、そうでないところもあります。

 かつては百貨店の食料品は手みやげ品、ギフトが中心でした。有名店のお菓子を揃えておけば良かったのですが、最近は惣菜、ワイン・酒、生鮮食料品、その他日常の食料品の品揃えが大事になってきています。
 景気の変動に左右されない日常の食料品がその百貨店らしい切り口で提供される必要があります。東京では80年代の西武百貨店の食品館が先駆けですし、大阪では梅田でしのぎを削る阪急と阪神の食料品売場の競争が百貨店の食料品売場の概念を変えてきました。

 千里中央での食品戦争(千里阪急、阪急オアシス、千里大丸プラザ)

 2009年7月7日。千里中央の高層マンション「ザ・千里タワー」の1階部分に阪急オアシスがオープンしました。
 阪急オアシスはかつては高級スーパーをめざしながらも今ひとつ「いかり」や「成城石井」に比べて高額ではあるが、質の高さが伝わりにくい、物足りない店舗でしたが、ニッショーストア等と合併し新しい会社になり変わりました。価格の幅も拡がり、こだわった食材も揃っているというバランスのとれた店舗になっています。新しい店は空間的な高級感もあり買い物客で賑わっています。

 千里中央には阪急百貨店の郊外店の優等生である千里阪急が立地しています。食料品は売上全体の約4割であるとはいえ、年間75億円売り上げています。ちなみに「北花田阪急」は52億円(55%)、「宝塚阪急」は63億円(60%)、「大丸山科」は41億(71.3%)です。京阪百貨店は全体で255億円(枚方、くずは、京阪モール等を含む)。売上の45%が食料品です。

 千里にはピーコックストアの旗艦店「千里大丸プラザ」があり、食料品中心にシフトしているダイエーの稼ぎ頭でもある「千里中央店」もあります。ダイエーは別にしてアッパークラスの食料品の競争は一気に激しいものになりました。

 棲み分けできるか?

 阪急オアシスの店舗を見ていると、百貨店との棲み分けを意識しているのか、いくつかの瑕疵があります。

 ひとつは「パン」の品揃え、「ベイクドQ」の焼きたて導入しているのですが「食事パン」の品揃えが見劣りします。パスタやオリーブオイルに関してはかなり執拗なまでの品揃えをしているのに比べるとあきらかにバランスを欠きます。フレッシュチーズの品揃え、提供の仕方も同様です。生鮮は価格もこなれていて品揃えも充実しています。特に魚や肉、惣菜は加工プロセスもオープンしています。イオンに吸収されてしまったように見えるKOYOに見劣りしません。

 豆腐などの日配品がPBを中心に揃えられています。生産メーカーにこだわりのある人には物足りないでしょう。

 千里阪急は惣菜やお菓子などのショップはともかく生鮮、特に肉と魚は影響を受けるでしょう。野菜は自社の農場を持つなど力の入った分野なのでそれなりに共存出来そうですが、・・・できるだけ早い売場の再構築が必要でしょう。

 千里地区は住環境は高いレベルにありますが、住民層が偏らないように公営住宅なども計画的に配置された住宅です。阪神間の高級住宅地のように貧富の差がはっきりとわかれた市場ではありません。
 とはいえ大阪府下でも有数の高級住宅地が隣接しているなど「良い商品」への需要も潜在しています。高齢化が進行している事も無視できないファクターです。

 食料品に関しては高級品でもなく、低価格の商品でもない中途半端なものが「安くない価格」で販売されている歪んだ状態が続いていました。商業地区が限定されているので競争がなかったからです。

 「ザ・千里タワー」などの大型開発で新住民が増えることもありこれから変わっていく兆しが見えてきたように思えます。

                                                        (2009年7月13日)

■京都と奈良、古都を売り込むコトのマーケティング

 PRが下手な奈良

 「奈良の人は地域の美味しいモノを知らないし、売り込むのがへた。奈良で地元のモノを売り出しているのは大阪の人」「逆に京都の人達は地元のモノを商売にするのが上手・・・・よそ者が其処に手を出すと排除される」というお話を伺いました。

 2010年には遷都1300年を迎える奈良ですが、大阪への通勤通学が多く、ベッドタウン化しています。住民の12.8%は大阪へ通っています。

 観光客のうち3割弱は大阪人

 京都も奈良も観光客のうち3割弱は大阪人が占めています。奈良市の場合、県内の生駒市などは完全に大阪のベッドタウンですから大阪圏としてのウェートは高まるかも知れません。
 京都で多い兵庫県からの観光客(9.2%)を奈良としては「阪神なんば線」の開通で獲得していきたいところです。

 現在のところ奈良のネックは首都圏からの集客です。

 リニア新幹線が大阪まで開通すると・・・

 現在、長野県内のルートでもめている「リニア新幹線」ですが、いずれ名古屋から大阪まで延伸されるでしょう。その時のルートは、岐阜から奈良を通って新大阪というルートが公表されています。

 奈良と言っても京都との境の学研都市を通過する可能性が強いです。

 大阪との距離感はあまり変わりませんが、奈良にとって首都圏との直通ルートが開けるのは大きなチャンスです。
 大阪、東京便がドル箱の伊丹空港は厳しい状況になるでしょう。橋下知事の主張にあるように関空に集約される可能性もあります。その時には新幹線JR新大阪駅周辺のビルの高さ制限がなくなり、駅周辺の高度利用が加速することになります。

 また、京都も首都圏や海外とのアクセスを改善する必要があります。京都〜梅田北ヤード〜なにわ筋線を経由した関空へのアクセスの強化や京都の南、下の方のリニア新幹線の「奈良駅?」よりのエリア(京田辺市等)にビジネスセンターが形成され、京滋バイパスを通って成長著しい滋賀県エリアにつなぐということが想定されます。

 京都の今の町並みがあまり「開発の波」にさらされることは好ましくないと思う人が多いので、周辺での開発が先行するでしょう。京都府と京都市が連携を深めて「京都」のブランディングをコントロールしていく事は可能でしょう?

 奈良は東京からの集客を増加させるためにも、熊野から高野山との連携したプロモーションを行う必要があります。また京都にまけない「物産展」のコンテンツをまとめあげ、東京の百貨店で催事を行うことも奈良の認知につながるでしょう。

                                                            (2009年7月10日)

表ー京都市と奈良市の比較
(国勢調査、観光統計から加工)
■京都駅周辺の回遊動線の課題

 京都駅周辺のぶつ切りの回遊動線

 2007年8月に開業したビックカメラは駅直結とうたわれていながら、中央改札からかなり歩かなければなりません。京都水族館の予定地である梅小路公園はさらにその先になります。ビックカメラは中央郵便局の向かいとはいえ、かなり「裏道感」の強いうらぶれた通りを歩きます。全国展開しているエコノミーホテルのチェーン店がどういうわけか2店舗並んでいるのも寂しい感じを強めます。伊勢丹とビッグカメラは大きな階段ではっきりと区分されています。

 京都市内の移動はバスが便利なのですが、地元に不案内な旅行者は歩くか、レンタサイクルの方が便利かも知れません。入り組んだわかりにくさも含めて京都の魅力なのかも知れませんが、駅の建物はもう少しつながりが良くてもいいのではないかと思います。2008年に開業した「SUVACO」は駅ナカ施設としてレベルの高い飲食・物販の集積になっています。改札の真ん前で便利です。東京の駅ナカ施設の匂いがします。
 京都人は関西の中で一番東京との「親和性」が高い理由は一度検証しておく必要がありそうです。

 乗降客が多くても中心になれない京都駅周辺

 どの都市でも街の中心は乗降客数の多い駅周辺か、地方では大型ショッピングセンターへと重心が移動しています。京都の場合観光客が多いのと、働く場所が面的に市内全域に分散していたり、古い商店が昔の商売を続けていたりしてることもあり、例えば梅田のように極端に集中することはありません。

 伊勢丹ができて大健闘して売上を伸ばしていますが、周辺に新しい商業施設ができるということもなかったようです。ビックカメラの開店で人の流れが変わるかとも思われましたが、開店後2年たってもあまり変わらないように見えます。


  京都水族館への道程

 京都水族館計画は民間の力で集客施設を造ろうという野心的な計画で、貧乏な京都市にはできないチャレンジです。現在、京都市で慎重な検討が進められていますが、この動線の悪さも一つのネックになります。途中の道は生活感があってある意味楽しいのですが、わくわくさせる非日常性に欠けます。
 大阪海遊館への駅からの動線も通りは当初よりかはかなり改善されています。
 歩くと優に20分はかかる道程なので、何らかの工夫が必要でしょう。

                                                 (2009年7月9日)
 西館をへだて階段  SUVACO     
■「京都水族館」計画に漂う詰めの甘さ

 京都に「水族館」?のサプライズと不安

 京都駅から西へ20分ほど歩いた場所に「梅小路公園」があります。都心には貴重な広大な芝生公園や蒸気機関車館があり、のんびりした場所ですが、広すぎてあまり手入れが行き届いていない緑地です。

 2008年の7月にオリックス不動産株式会社がこの公園の一部を賃借し「京都水族館」(仮称)を提案して話題になっています。敷地面積10,000u、延べ床面積14,000uの規模で2011年開業を予定し、200万人の集客を目論んでいます。

 何で京都に「水族館」という意味ではサプライズのある提案です・・・・・。近年は野生動物保護の観点から、厳しく教育機能が求められる水族館を「民営」で始めようというのは見上げた心意気です。・・・が、事業としての成立性についてはもっとシビアに計算し、ソフト面も練り上げる必要があるように思います。

 発送の「面白さ」というか「珍奇さ」で話題を呼びながら、事業性には当初から「?」があった大阪の「フェスティバルゲート」の二の舞になりそうな予感がします。民営なので京都市民の税金は痛みませんが、オリックスという国内でも数少ない意欲的な投資会社(外資系らしいですが)がダメージを受けると、他の開発にも悪い影響を与えます。やるんだったら成功して欲しいですし、持続できるアイデアがないのなら中止した方がいいと考えています。

 
 集客数200万人実現への道

 京都への観光入れこみ数は年間5,000万人です。日帰り客が3,700万人。就学旅行客が100万人。外国人観光客が94万人。日帰りの観光客である京阪神のリピーターが京都の観光を支えています。何故、京都で水族館なのか?・・・よほどの意味づけがないと1度は利用してもリピーターにはなりません。(大阪の海遊館でも2度目3度目のリピーターがかなりのウェートをしめています)

 「基本は教育施設で地元利用者中心」と地元からの質問に回答しています。地域の学校の教育機能として考えたときに、東山動物園の入場者数年間74万人を大きく超えることができるのでしょうか?ショー的な要素を強めることは一つの手段ですが、今後の地元との約束(教育施設色を強める)や、国際的な野生動物保護の流れから結構障害が多い道のりです。

 国内の水族館の入場者数はトップの「沖縄美ら海水族館」で268万人。2位の「海遊館」で235万人。3位の「名古屋港水族館」で152万人です。内陸型の水族館では「エプソン品川アクアスタジアム」で110万人。「サンシャイン国際水族館」で91万人。確かに開業時の海遊館で400万人を超えたこともありましたから初年度は200万人に近づく入場者数は獲得できるかも知れませんが、おそらく100万人前後で推移すると考えられます。その中で改装投資を続けていくことが求められます。

 最初にハードをよほど考えて作り込むこと、ソフト開発に手間をかけることが必要でしょう。

 単に利便性の高いところに遊休地があるから、不足している施設を造れば収益があがる・・・・という発想でかかると大変なことになります。

                                               ’          (2009年7月8日)
 
■ギフト市場の変化で消費の行方を占う

 中元歳暮は普段取り組めない実験ができる機会

 中元・歳暮の市場規模は7,500〜8,000億円とまだまだ大きな市場です。ただ、実施率では5割を切っており、母の日の55%という実施率に比べて低くなっています。中元・歳暮の贈り先としても両親が一番多いのですから、かつてあった儀礼的な意味あいが薄れ、パーソナルギフトに近い物になってきています。

 中元歳暮は、かつては、タオルや敷物といいた非食品も多かったのですが近年、食品が中心になり、最近は自由に選べるカタログギフトも一般化しています。銀座の文具や伊東屋が始めた頃はとても斬新でしたが、結婚祝いなどを中心にカタログギフト専門の業者も多数存在しています。

 最近では「コトギフト」ということでエステ体験チケットや旅行などが注目を浴びています。モノとサービスをどう組み合わせていけば時めいていただけるか、知恵の絞りどころです。百貨店や大型店では普段の売場で出来ない実験が出来る機会ですから、」単なる話題作りではなく、これからの事業にどう取り組んでいくかの実験室として考える必要があります。

 「欲しいもの」つまり「喜ばれるもの」について、均質性があった時代から、無難な食品中心の時代を経て、もうモノでは喜ばれない時代になっているのでしょう。10年ぐらい前までは中元歳暮時期には「産地直送のお取り寄せ」や趣向を凝らした企画モノが話題をよんでいましたが、最近はあまり話題にもならなくなりました。

 近くで遅れるコンビニからの発送や、送付料割引などの利便性中心の訴求が目立っています。
 贈る側自体に「楽しみ」が無くなってきた中元・歳暮はどんどん廃れていく運命にあるのでしょう。「楽しみ」とはどんなものかを「考えて」それをこれからの事業の柱にしていかなければなりません。

 エンディング市場は静かに縮小していく市場

 2008年の死亡者数は114.3万人。出生者数は109.2万人で、お亡くなりになる方が多い状況が続いています。

 葬儀やその準備、法事などいわゆる「エンディング市場」(不謹慎な言葉ですね)はこれから拡大するというのが通説でした。先日ご紹介したように「直葬」など葬儀関係にお金をかけない傾向がますます強まっており、この周辺で消費されるお金は意外と少ないものになりそうです。

 図ー2の法事仏事関係のギフト市場3,032億円は多いと言えば多いのですが、子供関連、結婚関連のギフトのやりとりに比べて突出しているというわけではありません。家庭内のギフトのやりとりの最大のスポンサーであるおじいちゃん、おばあちゃんが無くなる時、80〜90歳代になるともう自分のことについてはそう派手なやりとりをして欲しくないと考える人も多いようです。資産があるはずと・・・変にかき回すような動きをしても反発されるだけでしょう。


                                          (2009年7月7日)

図ー1ギフト市場規模推計(2008年)    当社推計値  (億円)


図ーギフト市場規模推計(2008年)   当社推計値     (億円)


公開されている贈答率、贈答金額の単価をもとに当社が推計したもの

■「空間消費」の大衆化からファッションビジネスの再生へ

 そこに「居る」(be)事にお金を払う空間消費の誕生

 かつて、ゴージャスな内装や国内にいながらエキゾチックな雰囲気を味わえる商業施設が脚光をあびた時代がありました。美術館型百貨店とか、リゾートのようなホテルのロビー空間、ウォーターフロント・・・そうそうアーバンリゾート(死語)といかいうコンセプトも流行りましたね。ジオフロントなどというほとんど語呂合わせでしかないコンセプトでがっぽりお金を稼いだ人達がいました。バブル期には「カフェバー」という食事も飲み物も中途半端でかつ居心地も悪い飲食業が流行しました。

 それらは「非日常空間」に身を置くことで日常の憂さや貧しさを忘れさせてくれる効果があり、その場所でお茶を飲んだり、買い物をすることを主目的とする消費。つまり「空間消費」と呼ばれていました。

 日常空間を公共の場にずるずるとひきずる〜大衆型空間消費

 今、飲食や買い物自体を目的としないで、何となく時間を過ごす場所としての商業施設が席巻しています。カラオケボックス、ファミリーレストラン、ファーストフードの2階席、複合アミューズメント施設、まんが喫茶、居酒屋、深夜のドンキホーテそしてコンビニ周辺?等々・・・・そこで提供される食事や飲み物は決して美味しい物ではありません。

 その空間は非日常の刺激があるものではなく、どちらかと言えば日常空間の延長であることが多いようです。

 そういった場所で友人と何となく「過ごす」事に対して対価を支払っているという意味で「大衆化された空間消費」がそこにあるといってもいいように思います。

 公共の場に「日常生活」を求めると言う意味では「ケータイ電話」もその為のツールなのかもしれません。

 これからの商業施設の一つの方向性

 一方で、日常生活空間でも洗練された趣味でまとめられたものにあこがれる層も存在します。高級ホテルでも「カフェ店舗」に力を入れる動きがあります。「アロマ」は日常空間を少しでも洗練されたものにしようという趣味ですし、「スイーツ」ブームも食欲と言うより「かわいくて」「幸せな気持ちをもたらすもの」で満たされたいという気持ちが消費を後押ししていると考えています。

 大衆消費の「ずるずる」とこれらの「まったり」は裏表ではありますが、よりセンスのいい物を求める気持ちを喚起しないとファッションビジネスの基礎が崩壊します。これからの日本の産業の国際競争力は広い意味でのファッションビジネスが生み出す付加価値です。

 空間消費でにおいてもファッションビジネスが主導権をとって「ずるずる」ではなく「まったり」消費を創造していく事が必要になります。

                                                  (2009年7月6日)

■景気低迷下の新規開業施設の状況

 東京メトロ副都心線の開業効果

 2008年6月14日に渋谷から新宿、池袋経由で小竹向原を結ぶ地下鉄として開業した東京メトロ副都心線は、事前予測を上回る順調な滑り出しをみせているそうです。

 利用客数は1日平均25.9万人。(予想より5割多いそうです)並行して走るJRの利用客数減は1日8万人弱と予想を1まん3000人回っています。定期券の割合が45%ですから買い物やその他の目的で利用する人が多いのかも知れません。

 池袋駅の利用者9.5万人は予想の倍です。駅の商業施設「エチカ池袋」にの集客力が高いようです。池袋西口の人の流れを増やしている効果があります。

 大阪の地下鉄は駅の構内の自前での活用が遅れています。一部のスペースを民間企業にも貸し出したりする事を始めていますが、市民の資産の活用として、これからもっとやれることがありそうです。

 好調が伝えられる「西宮ガーデンズ」逆風に耐える「イオンレイクタウン」

 昨年開業した大型ショッピングセンター「阪急西宮ガーデンズ」「イオンレイクタウン川口」は開業時にいきなり逆風にさらされました。(その後大型ショッピングセンター計画の多くが凍結、延期されています。)

 昨年11月に開業した「阪急西宮ガーデンズ」は開業半年で売355億円と年間目標の600億円をクリアする勢いです。もともと関西でも豊かな後背地を持つエリアですから目論見通りの展開でしょう。最寄りの阪急西宮北口駅の乗降客数は1日平均9.8万人、オープン前より2万人増えて、梅田、三宮に次ぐ乗降客数となりました。

 イオンレイクタウンについては詳しい数字の発表はありません。隣接する立地にららぽーと三郷が開業予定でIKEAやコストコも開業しています。つくばエクスプレス三郷駅が最寄りの駅・・・・。かなり競合が激しい立地ですね。開業時に面白そうなチャレンジを沢山しておられたので期待していました。頑張って欲しいものです。・・・・とはいうものの、ららぽーと三郷の施設構成も面白そうですね。

 大型のモール開発は終わったともいわれています。街の多様性を維持するための不採算施設の取り組みや、継続的なまちのマネジメントなどやることをきちんとやればその存在意義は無くならないと思うのですが。事業者としての収益管理だけでなく街を発展させる高い視点を持てるデベロッパーがどれだけいるのかが課題だと思います。
 
 JRおおさか東線部分開業(2008年3月)のこれから

 現在は直接市内に乗り入れていないため、あまりその存在感が意識されてませんが、2018年までに新大阪経由で梅田北ヤードに乗り入れる計画が発表されました。東大阪のものづくり企業が国土軸である新幹線やナレッジキャピタルに近くなることはエリアの発展のためには良いことでしょう。現在でも東西線放出駅での乗り換えが便利で、東大阪が意外に近いのですが、ものづくり以外での発進力が弱い?のであまり知られていません。この度お好み焼きのレシピのアイデァ募集をするそうですが、「東大阪で、何でお好み焼きやねん」感は否めません。
■大阪ホテルイメージランキング〜次に来る変化

 2010年夏 スターウッドの最高級ホテル「セントレジス」開業

 路線価の発表がありましたが、大阪の下落率は東京、名古屋ほど上がっていなかった為に、下落率も相対的に低いという皮肉な結果になっています。高級ホテルについても東京では国際級のラグジュアリーホテルが次々と開業していましたが、主な利用客である外国人ビジネスマンが激減しているだけにそのダメージは大きく、利益を稼ぐ代替市場も中々見つけにくいという苦境にあります。

 関西でも神戸に計画されていたホテル計画が半減するなどのダメージはあります幸い、まだ計画中であった為、白紙撤回で済んでいます。

 2010年のセントレジス開業時には景気も回復基調にあるではずですし、大阪のホテル宿泊客は中国、台湾や韓国といったアジアの成長市場お客様が多いので東京とは違った市場が形成されます。

 大阪のホテルのトップは?

 最近はホテルの運営会社が変わる度にホテルブランド名が変わり、いったいどんなレベルのホテルか判別不能のケースが多いのですが、大阪市内のホテルは地元鉄道系が多いの比較的イメージ評価は安定しています。

 かつてはリーガロイヤルホテルとホテルプラザ(99年廃業)の地元の名門ホテルが最高の格式を誇っていましたが、1986年には大阪ヒルトンホテル、ホテルニューオータニ大阪が進出し大阪の御三家としてリーガロイヤルと並んで君臨しました。1996年の帝国ホテル大阪の進出、さらに97年のザ・リッツカールトン大阪の進出でホテルのランキングは大きく変動しました。

 大阪のホテルランキング
                                      (大阪市内通勤者を対象にした調査)
      
(好きなホテルベスト3)

1.ザ・リッツカールトン大阪   22.4% 2.リーガロイヤルホテル    14.1% 3.大阪ヒルトン 12.1%

(料理の美味しいホテルベスト3)

1.リーガロイヤルホテル 17.4% 2.ヒルトン大阪 11.2%  3.ザ・リッツカールトン大阪 10.4%

(結婚式で利用したいホテル)

1.ザ・リッツカールトン大阪   21.3% 2.リーガロイヤルホテル 16.6% 3.帝国ホテル大阪 11.0%

 
フランス料理に関してはザ・リッツカールトンの「ラ・ペ」の評価が高いのですが総合的なイメージはロイヤル、ヒルトンの後塵を拝しています。店舗のバラエティが影響していのかもしれません。東京と客層が違うので、フランス料理のシェフが憧れる「ブルジョア相手のレストラン」というのが関西においては少なくとも洋食では成立しないのかも知れません。
(大阪の有名料理学校の先生が、中々フランス料理の腕をふるう機会がないと嘆いておられたそうです)
 

                                           (2009年7月2日)

図ー大阪ホテルランキング(2005年)


(データ出所:なにわ考現学05)

■景気変動と食シーンの変化

 時代のアドレナリンと激辛ブーム

 30年間の世相と食シーンの変化を眺めていると。社会が大きく前向きに動いていてアドレナリンが沢山でている時代には、激辛ブームとか高級食品ブームとかテンションの高い食品が好まれていることが分かります。
 不況の時期には激安食品だけでなく何かまったりとしたやさしい食品が好まれているようです。

 時代は「野菜」だ

 いつか、パタゴニアのスタッフにこれからの時代のトレンドを急に聞かれたことがあります。その時に口から出まかせ、もとい直感的な洞察で答えたのが「野菜」の時代というコンセプトであります。
 
 地域の「風土」に強く味が左右される点とか、自然なうまみとか、作り手の人柄がそのまま反映される商品への注目とか、その後の大きな時代の流れは「野菜」に向かってゆっくりと確実に進んでいきました。

 いつか又ビールに昂ぶる日

 この30年間に「ビール」は大きくその位置づけを変えてきました。かつてはキリンとかアサヒとかいったメーカー名で呼ばれていたドラフトビール(「加熱処理したビール)が、生の缶ビール、ドライなどを経て一時は毎シーズン5〜6種類の新ブランドが発売されて覚えきれない状態でしたが・・・プレミアムビールのブームも景気後退で発泡酒、第3のビールの前に存在感がありません。お酒を飲まなくなった若い子達は、口当たりの良いチューハイなどへ流れていますし、道路交通法の改正で郊外でお酒を飲むことも少なくなっています。一時流行った「地ビール」も割高なのが敬遠されて下火になっています。

 お父さん達も経済的な理由と健康への配慮で焼酎へ流れてしまったので、ビールへのテンションは下がっています。

 いつかまた、夏の暑い日にいっぱい働いた後に、からからに渇いた体にビールを流し込む昂ぶりが復活する社会は来るのでしょうか。ビールを冷やして飲む習慣がなかった中国の人達は今、そんなビールを飲んでいるのかも知れません。

                                                              (2009年7月1日)

食に関する出来事推移
世相 食の動き
1975年 第2次ベビーブーム 千円ウィスキー
ミニサイズワイン
1976年 ニューファミリー ほっかほか亭1号店
1977年 自立を求める女 焼酎ブーム
マインブロイ・メルツェンビール
冷凍ピザパイ
1978年 結婚しない女
円高・舶来品ブーム
生ビール人気
1979年 第2次石油ショック
高齢化社会が議論に
ワイン、清酒にマイルドブーム
1980年 省エネブーム
冷夏
スポーツドリンク、健康食品、キリンライトビール
ファミリーレストラン
1981年 ポートピア81
カラー大型冷蔵庫カラー商品
家庭用料理ワイン、高級即席麺
1982年 健康ブーム継続 ビタミンブーム、豆乳、プルーン、1分間カップラーメン
1983年 ストレス社会 輸入ビール、天然水、和風アイスクリーム
ライトウィスキー サントリーペンギンズバー
1984年 ニューメディア
INS、キャプテン
美味しい水ブーム、缶入りウーロン茶、
1985年 金妻症候群 覆面ブランド「ピュアモルト」「ニューズビア」
1986年 男女雇用機会均等法 激辛ブーム、麦芽100%ビール、高級アイスクリーム
1987年 ハイグレード商品 1000円の即席麺、自動パン焼き機
1988年 リゾートマンション ドライビール、エスニックブーム
1989年 バブル景気 ナチュラル&ヘルシー志向
大型カップ麺、はちみつレモン、ワインなどイタリアンブーム
1990年 地球環境問題 水不足(ミネラルウォ^ター、家庭用浄水器)
1991年 バブル崩壊 無洗米、ミネラルウォーター、プレミアムアイスクリーム
1992年 不況深刻 値頃感のある商品(特盛り牛丼、もつ鍋、デカビタC)IH炊飯器
1993年 賃金ボーナス減少 食べ放題レストラン、ナタデココ、マグヌードル
生タイプカップ麺、浅漬けの素
1994年 各地で最高気温 平成米騒動(大凶作)、屋台村ブーム
輸入割安食品ブーム、PB商品、ビール
1995年 就職氷河期始まる
1996年 緩やかな景気回復 健康茶、食器洗浄機
1997年 金融不安 オーガニック食品、イタリアン食材、赤ワイン、ベルギーワッフル
1998年 景気後退
携帯の普及率5割を超える
100円ショップ、半額バーガー、
1999年 地域振興券 エスプレッソ
2000年 アウトレットモール
ユニクロ
2001年 小泉ブーム デパ地下、有名店カップ麺、缶チューハイ(氷結果汁)
2002年 道交法改正
サッカーワールドカップ
食品業界偽装
讃岐うどんブーム、ホテイチ
2003年 自由が丘スイーツフォレスト
2004年 冬ソナ 狂牛病 鳥インフルエンザ 伊右衛門 芋焼酎
2005年 第3のビール
2006年 ライブドア騒動 プレミアムビール、高級豆腐
2007年 メガマック、メガ牛丼、食品偽装

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