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株式会社ANALOG   場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク 
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   (sano@analog-corp.com
■ETC特割の効果とマイナス面

 ETC特割でゴールデンウィークで遠方からの集客効果があったのは33.5%

 月刊レジャー産業資料8月号で「検証ETC特需」という特集が組まれています。その中で紹介されているアンケートで、「ETC休日特割」に伴い遠方からの集客効果があったかと全国の主要なレジャー集客施設に聴取しています。
 「非常に増えた」5.2%、「やや増えた」28.3%をあわせて、増えた施設は33.5%となっています。「ほとんど変わらない」が過半数の53.2%。減ったとの回答は13.3%となります。

 ゴールデンウィークはもともと人出が多い時期ですし、駐車場や施設規模のキャパシティが限られているので伸びしろ自体が少なかったのかもしれません。

 経営効率からは、繁閑差が大きくなるより足元商圏のリピーターが重要

 ETC特割の影響で休日に需要が偏り、平日の集客が前年に比べて減少している施設もあるそうです。繁忙時と閑散時の差が大きすぎると人員配置や設備面でロスが大きいので、好ましくありません。
 「大型レジャー施設でも基本は足元商圏。1回でも多くリピートしてくれた方が経営効率はいい」という声もあります。商業でもレジャーでも基本は足元商圏です。

 昨日の選挙で政権が変わったことで、2年間かけて高速道路の無料化が進みそうです。休平日をとわない政策で利用の平準化が進みそうです。(また業務用の車両の高速料金が無くなれば、産地直送品のコストが下がります)

 特に、高速道路を中心に移動距離ではなく移動時間で商圏を考え直すと「足元商圏」とそれに次ぐ「一次商圏」の設定範囲が変わってきます。
都市部では無料になっても、渋滞がマイナスになりますが、地方の高速道路は普段はがらがらなので無料になる効果はプラスに出てくるでしょうね。

                                                                 (2009年8月31日)
 
■地方に逸品があるのは食べ物だけではない

 そこにしかないもの そこにしかない理由

 食品に関しては、風土との密接な関わりが認知されてきました。地域独自の美味しいモノは、その場所に行って食べるか、ネットで取り寄せるかしかないということですね。

 福井県は眼鏡の産地として知られています。そこに「田中眼鏡本補」というオーダーの専門店があり、眼鏡デザイナー、兵井伊佐男氏のフレームでレンズの形状も選べる眼鏡を販売しています。
 たまたま其処を取材に訪れた知人がつくったのを見せてもらい、強烈な物欲にとらわれました。

 店主のこだわりもかなり強くて、その為わざわざ眼鏡をつくるためだけに福井を訪れる人も多いといいます。フレームとレンズ込みで6万円。けして安くはないですが、東京だったら10万は超えるはずです。ツープライスショップの眼鏡は直ぐにだめになります。(ニトリの家具、ユニクロの服のように)
 デザイナーも生産地に近いからフレームの実験がしやすいのだと思います。

福井市 田中眼鏡本舗のhpはこちら  フラッシュが多くて閉口しますが、スタイリッシュではあります
http://www.t-honpo.com/ へのリンク

 お客さんがすくないからこそ丁寧に応対できる

 鳥取の「万年筆博士」については、ある人に教えていただいてからずっと気になっていました。月に20本しか生産でき無い為、わざわざこの店を訪ねてオーダーするお客様相手に「売ってからつくる」スタイルを貫けるのでしょう。「一生モノでなく二生モノ」という考え方はこれからの社会で増えていく価値観だと思います。

http://www.asahi.com/kansai/kokoro/yomimono/OSK200807180010.html へのリンク

http://www.fp-hakase.com/ へのリンク



                                                  (2009年8月28日)
■「水都おおさか2009」

 まったりとした「地蔵盆」的な手作り感あふれるイベントです。お忙しい方はせめて写真でお楽しみください。

                                                          (2009年8月27日)
      
■長谷工総研「CRI」9月号に関西復権を考える12 「京都」と「奈良」歴史文化活用からその先への展開へ  を寄稿いたしました
http://www.youtube.com/watch?v=4KRD8e20fBo&eurl=http%3A%2F%2Fd%2Ehatena%2Ene%2Ejp%2FTomoMachi%2F&feature=player_embedded へのリンク

 CRIの記事でも触れた過激なイルカ保護団体のドキュメンタリー映画の予告編です。和歌山県太地町と豪州の都市の姉妹都市が縁切りされました。イルカ漁によってイルカショーのイルカが捕獲されます。インテリの白人に人気のある観光スポット京都の「京都水族館」でイルカショーはやはりまずいでしょうね。         (2009年8月27日)


■大阪の百貨店のイメージ調査から見たジェイーアール大阪三越伊勢丹の想定ポジショニング

伊勢丹ブランドが阪急ブランドと正面対決

 「流行に敏感」「新しい情報が手に入る」は阪急百貨店が他を圧倒しています。「伊勢丹」ブランドでこのあたりのイメージに重点を置いてくるものと思われます。百貨店の中では高感度ではありますが、阪急百貨店の強みは西宮阪急の開店時にもみられたように、同時におばちゃん向けのべたな商品も揃えていて、「中流層の店」といわれるバランスの良さにあります。伊勢丹には流行感度を追うあまりブレーキが効かない傾向もありますので、商圏にあわせたさじ加減が難しいところです。


 若い年代で流行感度の高い層は「NU茶屋町」「イーマ」と競合します。年配の層では「ハービス」の海外ブランドとの競合になります。40〜50歳代のアッパーミドル層を阪急百貨店と伊勢丹、大丸が取り合う形になります。大丸は神戸、京都、芦屋、梅田とそれぞれの地域に拠点があるだけに総合力で強みを発揮します。

高級イメージがどこまで必要か?
 
 高級イメージでは旧三越の評価が高いことが注目されます。世の中に進物は「虎屋のようかんでないと駄目」というような超コンサバ層が存在する限り「三越」ブランドは一定の力を発揮すると思います。ただし、若い層には三越は認知されていませんからあくまでも60代以上の年代での強みになります。

 三越、伊勢丹ともに日本を代表する素晴らしい百貨店ですが、中型店、小型店はすべて失敗しています。大阪店がどっちつかずの中途半端な店であると、かなり厳しいでしょう。
 自らの独善性については全く反省しないで、関西の排他性を業績低迷の原因に責任転嫁をして大阪から撤退した、旧西武(そごう)グループの轍をふむことになります。 

 逆に阪急や大丸も東京では成功していません。百貨店は地場産業なのですから、地道に実績を積み上げることです。
                                                          (2009年8月26日)
図−1 大阪の百貨店イメージ比較    (大阪市内通勤者対象の調査  なにわ考現学05)


図ー2 高級なイメージの百貨店「阪急」と「三越」の年代別比較




■隠れたプレイヤー交代〜サプライチェーンの仕組みが変わる

 流通機構の謎2009

 OEM(相手先の企画に基づいた相手先ブランドによる製造)はかなり一般化してきています。特に最近は小売業による低価格プライベートブランドの強化が進んでいるので、身近に感じられるようになりました。100円の第3のビールを国内メーカーが製造しているということがニュースにもなっていました。
 
 最近はODM(企画から商品開発までを請け負う)力をいれる商社が増えてきています。バングラデシュやベトナムで開発した提携工場の生産力を活かして、商社が企画した商品を生産して小売店に売り込むというものです。まとめて大きなロットで発注できない小さい小売店や、商品企画力のない店でも値頃感のある新しい感覚の商品を揃えることが可能になります。商社が持つトレンドについての情報力を商品の形で提供しているといえます。

 アパレルメーカーは海外での生産管理にノウハウを持ちません、これからは創造性、トレンドの発進力のないアパレルメーカーは競争力を失っていくことでしょう。

 テレビショッピングなどの通販事業も商社のコーディネート力によって支えられています。(総合商社でも財閥系の大手はリテール事業は苦手なように思えます)

 かつて、問屋不要論が席巻し、仲介業者のコストは不要なコストだと考えられていた時期がありました。メーカーと消費者をできるだけ短いルーとでつなぐことで価格破壊が実現すると信じられていました。価格対応と消費者ニーズへの対応を考えたときに、川上から川下までの情報を把握しているところの力が強くなってきています。

 産直業者が近郊の農家を押さえる

 野菜の流通では配送費コストが大きなウェートを占めます。単価の高いモノや流通ルートができあがっているモノは別にして、産直野菜を安く提供するには都市近郊の農家からの商品調達が必要になります。
 最近、農家を回った人に聞いた話ですが、近郊ではもう生産物はほとんど売り先が決まっているそうです。農協だけでなく大手小売店の直接買い付けも多いということです。農協も「商品化」についてのアイデァを持たないと取り残されていくでしょう。

 家庭菜園に毛の生えた規模の農家の有機野菜を集荷し、流通する仕組みなどまだまだ隙間が残されています。

 カタログギフトを支える専業ギフト会社

 カタログから自由に商品を選べるカタログギフトを比較的早い時期に始めたのは銀座の文具店「伊東屋」です。また、70年代の初めにシャディが始めたという説もあります。いずれにしても当時、百貨店にも提案したのですが中々実現しませんでした。

 利益のとれる商品と、原価の高い見せ筋の商品をミックスしうまく利益を確保するところにノウハウがあるようです。又、カタログは贈答機会に応じていくつかの組み合わせパターンを設定するのが普通です。
 商品の品揃え、物流管理、受注情報の管理などは専業者ならではのノウハウがあり、大手流通小売業のカタログギフトの多くは専業者への委託していると言われています。

 小売業が仕入れるモノ

 このように見てくると、店頭販売を中心とする小売業が仕入れるのは、単に商品だけではなく、「仕組み」であることがわかります。そして今強いと言われている小売業はその「仕組み」を自前でつくりあげている企業であるといえましょう。

                                                        (2009年8月25日)

■トップを取り巻く交友関係の質が企業の明暗をわける?〜サントリーミュージアム撤収の背景

 インフォーマルなコミュニティの重要性

 企業の大小に関わらずトップの回りには色々な人が集まってくるようですが、組織のトップに立てば、ある意味孤独な決断を迫られることが多いため、特に自分にとって気持ちのいいことを言ってくれる人を回りに置くことが多いようです。

 サントリーの先代の社長佐治さんはその意味で偏りが無く、多彩なジャンルの人との交友が拡がっていたように思えます。安藤忠雄さんが自由にサントリーミュージアムを設計できたのも、直接トップとの交流があったからでしょう。関西では圧倒的に世間が狭いだけに学者や文化人など異分野の才能との交流も深まっていったモノと思います。

 よく事例にだされるのは、京都大学でユニークな研究が生まれるのは、狭い京都市内で飲みに行くと必然的に他の分野の学者とのインフォーマルな交流が生まれ、自由な発想が拡がるためであるというものです。

 よく、関西の企業が東京へ移転するときに「情報量」が違うということを根拠に上げます。確かに情報感度の高い人、積極的に人とのつながりを広げるひとにはチャンスが多いのだと思います。異質な人との交流を避ける人は意外に多いです。人に会う機会が多いだけに、自分にとってわかりやすい、心地よい人とだけお付き合いすればよくなります。東京では知人の数は増えても人脈は拡がらないように思います。

 関西で異業種交流会を行っていた企画会社が東京へ本社を移して、東京で異業種交流会を開催すると「人の集まりが全く違う」とはしゃいで喜んでいましたが、ひとつも仕事に繋げられずに投資が嵩んで会社をつぶしてしまいました。残念ですね。
 大阪から東京へ本社機能を移した百貨店が情報量を活かして格段に強くなったかというと・・・どうなんでしょう私にはわかりません。

 小さな街だから異質な人達とのインフォーマルなコミュニティが活かせる

 そういった意味で小さい街、地方都市であればこそ様々な業種や職種との人とのインフォーマルなコミュニティが生きてくるように思います。学閥というのも高校レベルで分かれます。地方ではエリートがいく高校は大抵ひとつかふたつですしね。その同窓生から拡がる人脈は大きく拡がっていきます。

 サントリーミュージアムの閉鎖について

 先代が地域貢献をイメージした時に、多分、不特定多数の地域住民を想像したのではなくて、地元の友達をびっくりさせてやろうという気持ちが強かったのだと思います。(企業メセナのモチベーションなんてそんなものです)

 入場者数65万人はミュージムとして少ない人数ではありません。海遊館の入場者数が200万人ですから結構な数の回遊があるということです。「周辺に商業施設が整備されなかった」というコメントがありましたが、もともと周辺には開発用地はほとんどないことは当初からわかっていたはずです。赤字というならば東京の「サントリーミュージム」「サントリーホール」はいったいどれほどの赤字ですんでいるのか、どの新聞も報道していません。(かつてあった「西武美術館」は文化度の高い東京では今も続いていますか?大阪だから駄目だという論調はあまりにも予断にみちていませんか?)

 企業経営として判断するなら、文化施設関係はすべて官に寄付し、施設運営からは手を引くのが正しいのだと思います。

 サントリーは先般「サントリー不易流行研究所」から改名した「サントリー次世代研究所」を閉鎖したばかりです。大阪からの撤収は一見企業の合理的な判断と見えますが、トップとして「友達が多い場所で自慢できることがしたい」という動機からの撤収であると考えられます。大阪には自慢したい友達がいないのでしょう。多分。残念ですねとても。

 お客様とか地域住民という目に見えない相手より、具体的に目に見える友達の反応を重視してしまう。経済界に限らず2代目、3代目のリーダーがそれで失敗している事例が相次いでいます。

 もしカルロスゴーンのようにプロのマネージャーが撤収を指揮するととしたら、「大阪では文化施設は成立しない」というような地元にマイナスになるメッセージは極力避けるでしょう。世界的な建築家安藤忠雄の作品を大阪に寄付するというストーリーで物事をすすめるでしょう。そうでなければ、今後大阪の飲み屋では「アサヒ」や「サッポロ」のビールを指名する人が多くなってしまうからです。

 広告上手といわれてきたサントリーですが、トップの回りでちやほやしてくれる人が増えてくると、顧客の気持ちが見えなくなってきているのでしょうね。グローバル戦略で成功されることを祈ります。

                                                    (2009年8月24日)
■家庭内で急がれる環境対策〜遠い国のシロクマの問題ではない

 都市の粗大ゴミの2割は家具

 都市で排出される粗大ゴミの2割は「家具」です。(98年東京都調べ)家具の耐用年数は5年、長くても10年と言い切る人もいます。住宅では100年住宅、200年住宅という言葉が定着しています。住宅と同じ理屈で100年かけて育った木を使ってつくった家具は本来100年持つと言われています。

 国内の家具の需要はピーク時の半分でしょうか、出荷額が減少する中で輸入家具の比率が高まっています。中国やタイから輸入される安価な家具の材料の多くは、カンボジア、、ラオス、ミャンマーで違法伐採された木材です。

 森林資源の違法伐採も大きな問題ですが、地球環境というマクロな危機でなく直接的に影響を与えるのは、ホームセンターや大型安売りチェーンで販売されている安い家具からは大量のホルムアルデヒドやVOCが排出され続けていることです。

 小さなカラーボックスは床材2畳分の表面積がある

 住宅、住宅建材では現在厳しい規制がかかっている化学物質の放散ですが、家具業界では野放しになっていると言っていい状態です。国内ではもう生産されなくなったホルムアルデヒドの放散量が多い合板やボド類がアジア諸国ではまだ生産されています。安い家具を高密度高断熱の室内に置くと、空気が汚染されてしまいます。一部国産家具メーカーが「室内環境配慮マーク」を始めていましたが、全く話題にはなりませんでした。
 海外の大型家具店の進出で業界は安売り一色となっています。安くてデザイン性の高い商品も、その生産履歴や素材は明らかではありません。

 確かに購買時に消費者は「価格」を最重視するのかも知れません。それでも、中国の食材の不安が騒がれた時期から、少し価格が高くても国産材を選ぶ消費者が増えてきました。

 家具に関しても、何らかのきっかけで変わると思います。住宅業界の変化が必ず影響を与えます。
その時に○トリがいち早く、安くて環境によい家具を出すことができれば強くなると思います。

                                                          (2009年8月21日)

■利益をあげる仕組みと「納得がいくまでの商談」

 最終的に利益を出せる仕組みを持つところが残る

 ウォルマートの店頭では欠品がでても当たり前のように放置されているという記事が昨日出ていました。欠品をなくすために在庫を抱えることで企業の利益が圧迫されるので、ロジスティックスのロスをなくすためには合理的な考え方なのだそうです。

 価格競争の泥沼の中でも、単に他の店より安いモノを提供するだけではいずれ価格が横並びになり体力勝負の消耗戦となります。

 100円ショップのダイソーや回転寿司などでは原価率の高い商品と、儲かる商品をどのようにミックスするかで利益をコントロールしています。原価率の高い商品でお客様をびっくりさせる、「エーこの商品が」100円」と思わせて、原価率の低い商品を沢山買わせて儲けるのだそうです。同じような仕組みは結婚式の引き出物などで増えているカタログギフトの世界でもあるようです。表面的にその仕組みを真似しても、利益をあげる商品の組み合わせがうまくいかなければ、原価率の高い商品ばかりでて儲からないそうです。

 以前もご紹介したエピソードで、魚屋さんの経営するお寿司屋さんは儲かるが、お米やさんの経営するお寿司屋さんは儲からないという事例もそれにあてはまります。食材をいかにうまく活用しロスをなくすか?数円単位の利益の積み上げが明暗を分けることになります。

 イオンが進めている小型食品スーパーは、その点で不安が残ります。小型店では生鮮のバックヤードを持ったり、惣菜をインストアで調理するだけの人員体制がとれないからです。生鮮のロスをなくすには惣菜への加工が必須です。機動性を持たない店舗は利益を残しにくくなります。

 元気のいい店の利益を出す仕組み

 家電ディスカウンターは売り切る力を背景にメーカーへの値引き要求を強めています。その商談は、数人のバイヤーで担当者を取り囲む非常にシビアなモノだといわれています。大阪で何かと話題の「スーパー玉出」の社長も安さの秘訣を「納得いくまでの商談」だと語っています。(誰が納得するまで?)1円セールの商品は1日2万個売れるのだそうです。(それで、売上はなんぼやねん?)これはメーカーに取ってのチャンスだそうです。

 かつてのダイエーなども創業当時は業界秩序を乱すやんちゃな商売をしていましたが、規模が大きくなるとそのスタイルは続きません。社員も堅気のサラリーマンになってきますしね。

  ユニクロも初期支払い代金の踏み倒しなどの評判がありましたが、最近は次のステップへと抜け出した感があります。

 誰かがツケをはらう安売り家具

 外資系のイケアや北海道発のニトリの家具は驚異的な安さです。製造工程でのリスク負担とコスト管理を徹底し、価格とデザインで業界を席巻しています。家具業界は原価管理もできない遅れた業界なので、きちんとやれば他社を圧倒できます。ただ、どちらも製品は使い捨て仕様です。10年〜20年のレンジで考えると価格は決して安くはありません。ライフサイクルコストを考えたときにそのコストを負担するのは一体誰でしょう?

 お金を払ってくれる人を蔑ろにする商売は続かない

 冒頭のウォルマートにしても目先の価格だけで消費者をだませると考えるディスカウンターも、詰まるところ、自社の都合、自社の利益を最優先し、お金を払ってくれる人のことを考えてはいません。歴史的に見ればそのような企業が長く続いた試しはありません。
                                                              (2009年8月20日)
■無風地帯に始まった生鮮食品の戦いの行方

 競争の無かった千里中央地区

 大阪府の副都心、千里中央地区は開発されて40年近くなりますが、つい最近まで、商業施設の競争は制限されていて無風地帯であったエリアです。生鮮食品に関しては「阪急百貨店」「千里大丸プラザ(大丸ピーコック)」「ダイエー」の3店しか無く、ダイエー千里中央店はグループの中でも稼ぎ頭でした。

 ニュータウンの中央センターの位置づけなのですが、地区センターの商業がどんどん駄目になっていくなかで、日常の買い物の選択肢はきわめて限られたもになっていました。選べないのです。
 確かにニュータウン周辺部には箕面マーケットパークヴィソラ(カルフール)やイオン伊丹などの大型ショッピングセンターが開発されていましたが、食料品の買い物には不便です。

 7月13日、14日の記事でも紹介しましたが、デパ地下型の食品スーパー「阪急オアシス千里中央店」が7月7日に開業し、競争環境に変化がありました。さらに7月24日「せんちゅうパル」(よみうり文化センターの向かい)に、「八百屋モモタロー」と「肉工房千里店」(安売りの路面店)が開業しさらに競争に拍車がかかったように見えました。

 天候不順が出鼻をくじく

 この地区では、時たま行われる野菜の露天が多いに人気を集めています。モモタローは開店当時は沢山の商品を並べて安い価格をつけることで人気を集めていました。30坪程度の面積は広すぎたのかもしれません。沢山の売れ残りを安売りした後、だんだんと商品数が少なくなってきました。在庫がこわいのでしょう。
 そこにきてこの天候不順での野菜等の高騰・・・店頭に並ぶ安い商品はあきらかに質の悪い商品です。悪循環ですね。肉屋さんの肉は値段の安いモノはそれなりの質の肉という相関がはっきり出るモノですからそれなりに売れているとしかいいようがありません。
 寝屋川に本店のある地元では元気のいい店なのでしょう、何故地元の京阪沿線では成功して、千里中央で苦戦するのでしょうか。

 それは千里ニュータウンが高齢化している計画された都市だからです。都市環境は最高です。住民層は所得層で偏りができないようにアフォーダブルな住宅が計画的に配置されています。簡単に言えば、手前どものような貧乏タレからお金持ちまでが住んでいて、かつ、街の高齢化が進んでいる市場と言うことです。ここにディスカウンターとのミスマッチがあります。
 ディスカウンターは若い貧乏タレがたくさん住んでいる街で、毎日沢山売ることで成立する業態なのです。

 お金持ちが絶対に足を踏み入れない店

 近隣の緑が丘とか北緑丘の高級住宅地に住む富裕層は「ダイエー」にさえ足を踏み入れません。(芦屋でダイエーが高級スーパー「イタリアーノ」を出店していたときさえ、地元の人も「あれはダイエー」でしょうと絶対に足を踏み入れませんでした)
 大阪の富裕層は東京の富裕層に比べ「気さく」で「気取らない」と思われがちですが、それは思い違いです。表面と腹の底は違います。

 ・・・・と言うわけで、開店以来生鮮の価格を抑えてかつ、高級感もある「阪急オアシス」が貧乏タレから富裕層までをつかんで、一歩抜け出しています。富裕層だけを相手にしているピーコックは苦戦しているように見えます。
 ただ対面販売での魚コーナーの店員さんが、「店頭で処理を依頼されるのはセールの安い魚ばっかり」とぼやいているのが聞こえてしまうのはいただけませんが。

 その後、価格は以前の中途半端な値付けに戻り、、一方安物の菓子を目玉にするなど残念な店になってしまいました。大丸ピーコックはそれなりに健闘しています。開店時の内容は中々続かないものですね。やれやれ。

                                                (2009年8月19日)
  ■アウトレットモールが伸びている理由

 新しいテナントが無い事に失望する専門家の本末転倒

 郊外ショッピングセンターではアウトレットモールが好調です。りんくうプレミアムアウトレットやマリンピア神戸が売上を伸ばしています。その中で昨年11月に開業した阪急西宮ガーデンズの好調さが注目されます。阪急西宮ガーデンズの年間目標は全体で600億円(阪急200億円、専門店400億円)開業3ヶ月でハイペースでとばしています。(新聞記事)


 阪急西宮ガーデンズ開業時には、「ファッションマーケティング」(?)の大家が「失望もの」と酷評されていました。新しいテナントが少ないことがその判断理由です。関西初とか、日本初のテナントを集めれば新しい、エキサイティングなショッピングセンターができるという思考回路なのでしょう。ファッションの世界の方らしい発想です。

 市場の中で求められているのに、供給されていないサービスや商品を揃えることが一義であって、その結果従来のやり方、従来のテナントと違う新しいアイデアのテナントが入るというのが「マーケティング」の」の発想の筋道です。「新しい(テナント)から新しいというのは同義反復の循環論理です。
 論理より感性を重視するのがファッションですから別にケチをつけるのではないですが、これは本末転倒だなあと思います。

 アウトレットモールが「楽しい」理由

 アウトレットモールは安いから利用されていると考えてるのは短絡的です。それならば「シマムラ」や「ニトリ」はもっと流行るはずです。(今でも”勝ち組”らしいですが)

 ショッピングセンターも百貨店も景気後退の中で、思考停止状態でコストカットに走っています。販促にも、商品にもお金やコストをかけていません。売場が面白いはずがないじゃないですか。
 アウトレットで店を展開している「ブランド」店は商品のデザイン、制作段階で頭を使い、感性を使い、汗を流しています。その結果が商品に結実しています。アイデアのある商品が「適正」?な価格で手にはいるかも知れないからアウトレットモールは人を惹きつけるのです。

 農産物や工業製品の形で「水」を輸入しているといわれています。アイデアを「水」に置き換えると、顧客接点である店頭で水不足に陥っている中で、商品の形で「水」を含んでいる場所に「水」を求める人達が押し寄せている・・・・という図式でしょうか。

                                                          (2009年8月18日)

図ー大阪及び神戸の郊外型SCの売上高と前年比伸び率(核店舗除く専門店のみ)

繊研新聞全国主要SCアンケート2008年より加工
■大阪市内SCの売上と伸び率から今後の地域間競争を考える

 大型SCは飽和状態

 各ターミナルを代表する大型SCは飽和状態にあるのでしょうか、その伸び率は止まっており、景気後退の中での伸び率は減少傾向にあります。その中で天王寺MIOは大型改装もあり減少率が低くなっています。競争が少ない中で存在感を高めています。
 心斎橋OPAは好調です。売上が公表されていないビッグステップの苦戦が伝えられる中、前年比を伸ばしています。旧心斎橋そごうの改装はOPAを意識したものになるのでしょうか。
 阪急三番街も、なんばシティも雑誌で言えば総合誌のように幅広いターゲットを対象にしてきましたが、ゾーン毎に特徴を明確にしたリニューアルを行う時期なのかも知れません。

 業態間競合をにらんだ地域力の競合へ

 2011年問題と言われる商業の」競合激化の中で、百貨店、専門店ビルという業態だけでなく、大型店の中でも例えばヨドバシカメラや東急ハンズと言った異なった業態の集積状況や、路面店や小さな店舗の集積状況などを総合的に考えて地域力を評価する必要があります。
 今のところ百貨店業界の人は百貨店にし関心がないようです、せいぜい専門店ビルまでにしか関心が拡がらないので、地域のポテンシャルを偏った形でしか判断できません。
 街の流動者の日常生活のニーズ対応や、外国人観光客のニーズ対応(深追いして依存しすぎると火傷をしますが、ある程度の対応をしないと取り残されてしまいます〜好調なSCである成田のターミナルビルやアウトレットは中国人の富裕層をつかんでいます)
 これらも含めた街としての魅力作り、プロモーションが求められています。

                                                           (2009年8月17日)
図ー大阪市内主要SC売上高と前年比伸び率

繊研新聞全国主要SCアンケート2008年より加工  ※ビッグステップ数値は当社推計
■ネットで完結する「小宇宙」の住民達〜PRの作法

 WEB2.0はどこに消えたのか?

 インターネットの普及が私たちの生活やビジネススタイルを大きく変えたのは事実です。とはいえ、次から次へわけのわからないアルファベットの略語をつくりだし、「乗り遅れるな」「変わらないと」と脅迫する「オレオレ詐欺」のような輩は害毒をまきちらかすだけです。
 古くは「VAN」「INS」「CRM」「SCM」・・・「WEB2.0」等々。流行モノに弱い上司の説得材料としてはいいのでしょうが、現場のスタッフが使いこなすためにはその意味をキチンと日本語で説明させるべきでしょう。分からないことはちっともはずか恥ずかしい事ではありません。

 さて本日の本題はニュースリリースのお話です。

 メールで配信するニュースリリースはゴミでしかない〜一方的ないいっぱなし情報に価値はない

 最近、マスコミへのニュースリリースをメールで配信するという業者があらわれています。新聞社や雑誌編集部にいちいち郵送で送ったり、記者クラブへ投げ込んだり、知り合いの記者へ送ったりするという手間をかけるのではなく、一斉に沢山の送り先にコストをかけずに送付できるというサービスだそうです。
 かつて、某情報会社がニュースリリースをファクシミリで配信するというサービスを始めようとしていたことが頭に浮かびます。(アイデアだおれで効果が無く失敗しましたが)

 そのニュースはネットのニュースサイトにも送るというところが特徴です。・・・多分、そのようなサービスを考えた人は、リアルな人間関係をつくることがめんどうと考えるタイプの人なんでしょうね。

 PRの仕事をしていて思うのは、やはり直接あって話をするのが一番だということです。一方的に送りつけるだけであると、よほどの情報価値があるものでないと、毎日届く大量の案内の中からピックアップしてもらえないと考えた方がいいでしょう。

 メール配信の合理性はあくまでも送り手側の都合でしかありません。手を変え品を変え注目していただく工夫を無駄としか考えないのでしょう。

 また、ネットを使ったプロモーションでもWEBサイトを構築してもSEO対策をして検索の上位にあがればリアルな集客ができると考えるのは間違いです。他のメディアとの連携、他のメディアに取り上げてもらうためのツールの一つとして考えるのが妥当なところでしょう。ネットの普及とともに、ネットへの幻想は消えて、ビジネスの現場では現実的な活用法を考えるようになってきています。

  いまだにWEB万能の幻想を持っているのは、ネットで完結する小宇宙の住民か、いつもワンテンポ遅れて時代の流行を追う、大企業のトップぐらいのものでしょう。現場はもっと冷静になるべきです。

                                                     (2009年8月14日)
■中之島で一番存在感のあるビルのノブレス・オブリージュ

 安藤忠雄作の中之島の模型でわかること

 現在大阪市役所のロビーに安藤忠雄さんが作成した中之島の建物・将来変化を含めたものが飾られています。このあいだまでサントリーミュージアムで開催されていた「安藤忠雄建築2009」で展示されていたもの一部移したものだそうです。それを見ていて強烈な印象を与えるビルがありました。建物のボリュームが他を圧倒するほどの存在感がある計画です。フェスティバルホールという大阪を代表するホールと新聞社が入る文化の発信拠点となる建物です。

 こうして立体模型で見ないと素人にはピンとこないものですね。

 朝日新聞社が現在建築中の中之島フェスティバルタワーの2棟のビルがそれです。延べ床面積が東西合わせて26万u。これは梅田北ヤードの1期計画の4棟のビルの床面積合計22.5万uを上回ります。(2棟が完成するのは2019年以降ですし、梅田北ヤードも1期計画が2012年以降に完成した後には2期計画がスタートする?でしょうし、1期計画は全体の24haの内の7haに過ぎないので単純に比較できませんが)そのボリューム感の大きさはかなりのものです。

 中之島線とのつながりもいいので、完成によるインパクトはかなり大きいでしょう。民間企業単体開発だけに意思決定も早いでしょう。どのような内容のビルになるか?中之島全体、大阪全体、関西への影響は予想されていた以上に大きなものになるでしょう。

 「水都大阪2009」工事中

 中之島と言えば、「水都大阪2009」ですが、水辺の文化座や、川床などの工事が着々と進んでいます。?22日から10月12日までの開催ということで、色々と経緯があるのでしょうが、事情を知らない物同士では「何で天神祭にあわせへんねん」とか「水辺のイベントを8月末からやるなんてどういうこっちゃ」とかわいわいゆうております。
 そうそうたる大企業が名を連ね、大阪府と大阪市という関西オールスターで行うイベントなだけに「船頭多くしてなんとやら」でしょうか。とまれ・・・本当に楽しみなイベントなので、関係者の方は、大変でしょうが頑張ってください。

 ブリーゼブリーゼの「ル・コントワール・ド・ブノワ」は何故33階に舞上ったか

 西梅田のブリーゼブリーゼの最上階にフレンチの「ル・コントワール・ド・ブノワ」が入居しています。売上は好調らしいですが、お客さんの評判は悪いようです。というのは、もともとビストロとして1階に出店することを計画していたものが、天の声でフレンチなら高層ビルの上層だろう・・・と急遽最上階にあげられたという噂です。
 お値段が高いだけに、グランメゾンを期待した人は高い割にビストロで計画された店舗環境に不満を残し、ビストロ業態と知っている人はそのお値段の高さに不満を残し、2度といくもんかという事になってしまったようです。
 少し前であれば高層ビルの最上階はフレンチという時代もありましたが、今はそんな時代ではありません。眺望より料理を見て欲しいというのが料理人の本当の気持ちです。

 高層階にビュッフェレストランとかならいいかもしれません。業態と客層の想定をキチンと考えることですね。
                                                      (2009年8月13日)

    
■通勤者は大阪キタに楽しみと癒しを求めている

 大人が楽しめるアミューズメント施設は男女ともにニーズが高い

 多くの都市機能が集中しているキタ地区ですが、欲しい移設としてトップにあげられているのは「大人が楽しめるアミューズメント空間」です。男女ともニーズが高く、特に20代の男女でのニーズが高いです。パチンコ屋やカラオケボックスは十分に充足しています。遊園地的なものがイメージされているのでしょうか?ライブやショーが楽しめるエンタテイメント施設へのニーズも高いので、郵便局の跡地にオリエンタルランドが劇場の設置を予定していますが、かなりインパクトがあるかも知れません。
 ちなみに外国人に人気の市内のスポットは、「ポケモンセンター」「サンリオギャラリー」「ジャニーズショップ」「スパワールド」などです。・・・・・・梅田北ヤードをしばらく使わないのであればしばらく「仮設遊園地」(あくまでも仮設です。大失敗したフェスティバルゲートのように恒久施設にしてはいけません)でもつくって人の流れをつくってから計画してもいいでしょう。昔みたいに「博覧会」をやって企業からお金を集めるという時代でもないのですが、何らかのイベントで一般の市民に場所のイメージをつくる必要があるでしょう。

 女性で強いリラクゼーション施設へのニーズ

 特に女性では「温泉」「サウナ・エステ」へのニーズが高く見られます。美と健康の維持は年代を問わない大きな関心事です。既存の商業施設の中にも意外と少ないですし、街中の路面店は風俗系の施設と区別がつかないほどまちはが劣化しています。
 大阪駅の北側は完全に裏口になっています。計画されている梅田北ヤードは事務所、ショールーム、研究施設が中心で一般の流動者の回遊を排除した形になっています。イメージとしては新宿西口の高層ビル群やOBPのようなものが出来そうです。〜六本木ヒルズのようなテナントビルらしいです。

 消費地に近い事が売り物であり、高い家賃の背景になっています。ショッピングセンターにする必要はありませんが、特に女性の回遊を意識した集客装置を複合しないと先行事例のように味気ないつまらない街になってしまいます。

                                                     (2009年8月12日)
図−大阪キタに欲しい機能(大阪市内通勤者アンケートより)




(なにわ考現学2005)
■2008年SC売上高ランキングに見るSCの課題

 百貨店、GMSだけでなくショッピングセンターも失速

 繊研新聞が毎年実施しているショッピングセンターの売上高アンケートが発表されました。百貨店や,GMSの落ち込みに比べ比較的検討していたショッピングセンターですが上位100施設の売上高は3期ぶりに減少しています。
 前年の売上を上回ったのは三分の一で、昨年6施設あっった2桁増の施設は3施設に半減しています。

 特に落ち込みが激しいのは価格帯の高いラグジュアリーブランドを扱っている施設です。
 ・「成田ターミナルビル」 769億円 -10.1%
 ・「玉川高島屋SC」540億円  -8.9%
 ・「六本木ヒルズ」385億円 -7.2%
 ・「ヒルトンプラザ(イースト・ウェスト)」246億円 -7.2%
 ・「丸ビル」218億円  -9.2%
 ・「セントレア」215億円 -7.8%
 
 国内の景気低迷と海外(中国・韓国等)の観光客の減少が」響いているようです。

 関西で好調なSCは・・・・

 関西で売上を伸ばしているショッピングセンターは
 ・「心斎橋OPA」187億円 +6.6%
 ・「くずはモール」182億円  +0.7%
 ・「マリンピア神戸」172億円 +3.0%
 その他「りんくうプレミアムアウトレット」278億円、「三田プレミアムアウトレット」165億円なども前年のデータが公表されていません
 が好調であると推測されます。

 70年代以前建築の古い駅ビルの改装の動き

 古い駅ビルの中でも立地のいい駅ビルには改装の動きがあります。「八重洲地下街」(65年)、「千葉ペリエ」(63年)、などに改装の予定があります
 関西では郊外の再開発ビル、西武(西友)の撤退した宝塚や西友の撤退した河内長野などの郊外の再開発ビルが再建に苦戦しています。都心では、大阪駅の増築に伴って、「GARE大阪」や「大阪ターミナルビル」に動きがありそうです。ミナミでは島屋の増築に合わせて、「なんばシティ」が改装します。また、近鉄の増床によって阿倍野の専門店も変わります。上本町もまた新歌舞伎座の移転などによって街の変化が想定されます。

 京橋の黄昏

 中之島線開通により沿線に投資を活発化させている京阪電鉄にとって京橋の開発は難しいところがあります。沿線で最大のターミナルではありますが、開発用地が限られており、JR用地や、OBP内の古くなったビルの建て替えなどをにらみながら考えていく必要があります。
 投資としては天満橋のてこ入れ、及び中之島への投資が優先します。沿線外の不動産投資に収益源を求めている背景もあり、京橋への投資の優先順位は低くなります。

 かつては、別会社であり、京阪モールの社長の存在感はかなり強かった事を懐かしく思い出します。中之島や天満橋がどうしても昼間の顔、オフィス街としての一つの顔しかないのに比べて、昼の顔(OBP)や夜の顔を持つ「人間の顔をしたターミナル」であるだけに、キタ対ミナミの競争の中に埋没していくのはとても残念です。
                                                          (2009年8月11日)

■大阪都心での充実要望〜シニア女性は文化を求める

 60才代女性で高い「音楽」「演劇」「美術」機能の充実

 ご紹介しているデータは、大阪市内通勤者対象のものです。従って、都心への通勤という活動のベースがあり、可処分所得を持っている人という前提があります。アクティブな層ですね。それにしても60才代女性の音楽、演劇、美術まどの文化への志向性は高いものがあります。
 団塊世代の学歴が高い女性が多くなってきている所為でしょうか?確かに百貨店の文化催事には高齢女性の来店率が高いですよね。またボランティア団体NALC(ニッポン・アクティブ・ライフ・クラブ)の活動でも女性のパワーはすごいです。
 ちなみに、専業主婦を含めた60才代以上の女性のレジャー活動を「レジャー白書」でチェックしてみると、「文芸創作」「コーラス」「絵を描く」「書道」「お茶」「お花」の活動率が高くなっています。10才代の活動率とパターンが似ています。60才を過ぎると「女学生」に戻るのでしょうか。

 20才台は消費中心、30才代「婚活女性」はアクティブ派、40才代はドラマの観客になる

 20才代の女性はショッピングやグルメ機能を求めています。街では消費者として活発に消費するターゲットになります。この年代は駅ビルとの競争で百貨店が弱い層です。ショッピング、グルメ機能へのニーズが高くなっています。
 30歳代は、スポーツ、音楽、グルメ、ショッピングなど活動が幅広く活発になります。モノ消費だけでなくコト消費が活発になります。その為ニーズでもショッピング機能以外へのニーズが強くなります。40歳代では自分が活動するというより、映画や演劇の観客としてのニーズが中心となります。現実の人生に限界が見えてきた?のでしょうか。

 この調査では、見るだけなのか、自分が活動するのかは明らかではありません。スポーツの中身や音楽や美術のアートの中身をもっとつっこんで知りたいところです。

 ちなみに60才代の男性での「音楽」への充実要望は7.1%とニーズはかなり低くなっています。女性とのギャップは大きいです。女学生に返った60才代女性は夫婦で活動するのではないのでしょうね。
                                                         (2009年8月10日)

図ー大阪都心に求める機能  (大阪市内通勤者へのアンケート調査より)


 (なにわ考現学05)
■知っていそうで知らなかった関西の小ネタ+梅田の専門店の盲点

 京都に原爆を落とす日

 京都にほとんど空襲がなかったのは、世界的に重要な文化財を保護するために米軍が破壊から救ったという伝説が随分長い間信じられていました。
 そのおおもとは、米軍の設置した「戦争地域に於ける美術的歴史的遺跡の保護・救済に関するアメリカ委員会」は戦争中の文化財保護というより、敗戦国が侵略国に損害賠償として換金できる美術品や歴史的公文書のリストだったといいます。簡単に言えば戦勝国が分捕れる財宝のリストであったようです。

 そのリストの存在があったため、歴史的文化的価値がある京都や奈良、鎌倉が空爆されなかったという誤解がうまれたようです。。

 事実は、京都を原爆投下の最有力都市として温存しておき、その効果測定のために通常爆撃の対象から外されていたということです。

 皮肉なことにその誤解が1950年の「京都国際文化観光都市建設法」につながります。

                                            〜京都大学人文科学研究所報 参照

 関西の夏、特に京都の夏は体が地面に焼き付けられるように暑い日が続きます。もうひとつの歴史世界では本当に焼き付けられていたのかも知れません。

 船場汁伝説

 「船場汁」というのは安い魚の代表である鯖の頭やあらと大根を塩味で味付けした汁物で、船場商人の合理性、けちんぼを象徴する惣菜として認知されています。元々は「煎場汁」が語源で、鶏肉などを煎りつけたものを塩味の汁物にしたものが変化して魚を素材にした汁物となったようです。「煎場(せんば)」が「船場」となったようです。
 どこかで、大阪人はケチだというキャンペーンの材料にされてしまったのでしょうか。確かに鰻の頭の「半助」や「ハモの皮」なども食べますがそれは美味しいからであって、決してドケちなわけではないのです。大津出身で同志社大学卒業の花登函の著作物の印象が強いのでしょうか・・・・・・。

 以前も御紹介しましたが東京の有名大学ご出身のプランナーが、高い価格帯の「飲食店」について、「けちな大阪のOLさんでなく京都や神戸のOLに利用してもらったらいい・・・」とマリーアントワネットばりのご発言をされた背景には、船場汁のように巧妙にすりこまれた「大阪人=ケチ」というパブリックイメージが影響しています。・・・まあ、確かに合理的ではあるのですが・・・それはやっぱりケチかな・・・

 意外に強いミナミの専門店集積

 大阪市内の通勤者に聞いたアンケートで、百貨店以外の商業移設への好感度を聞いたところ、意外にミナミ(なんば心斎橋)の商業集積の名前が上位にランキングされています。「なんばウォーク」(旧虹のまち)が「HEP」より高いなんて・・・・
 これは男女合わせた数字でかつ、50〜60歳代も含んだ調査であることのマジックなのですが、それにしても、梅田の商業集積でこれから新しく、おっさんやシニアを対象にしたべたな小売業をやるところはないでしょうね。そこが、盲点なのですが、分かっていてもやれないでしょう。梅田界隈では、阪神百貨店と駅前ビルでまったりするんでしょうね、おっさん達は。

 だから、面積がいくら増えても梅田はお互いの同質化競争から抜け出せないと言っているのです。

                                                   (2009年8月7日)
 
図ー大阪市内通勤者に聞いた好きな商業施設(百貨店を除く)

(なにわ考現学05)2005年1月調査なのでNU茶屋町は開業していません
■小売店出店計画に見る景気低迷期の小売業サバイバル

不況時には守りの体制

 不況が長引いています。小売業各社も新たな出店は抑制傾向にあり、既存店の改装を優先しています。出店も全国展開と言うよりも地元に出店を集中しているといわれています。

コンビニエンスストア

 タスポ効果が一巡した上に、セブンイレブンへの公正取引委員会の指導などからも客単価減少の傾向は続いていきます。客数は伸びているので生き残りのために出店計画は例年通り積極的です。
 病院や大学、企業内など特殊な立地への展開も今後注目されます。Ampmの買収先がファミリーマートになると業界の力関係が変わってきます。

GMS・スーパー

 低価格を売りにした新業態店の開発が進んでいます。イトーヨカドーはディスカウント業態「ザプライス」への転換を20店ほど進めると言われています。ディスカウント型のスーパーはかつても「ダイクマ」とか「トポス」「Dマート」「コウズ」とありましたが、一時的に話題を呼んでも続かないのですがね。低価格業態は、チラシ特売の廃止、店内作業の最適化、物流の最適化、商品数の絞り込みなどお客様に不便を転嫁して安くしているので、最初のインパクトがなくなると店としてチープなものになります。
 最近の傾向として、都心地区に食品スーパーが出店するケースが増えています。大阪ではライフが積極的です。
 又、高質スーパーをうたう「阪急オアシス」ですが、以前は「高額スーパー」と陰口をたたかれていましたが、最新の千里中央店は品揃えと価格の幅のバランスがとれてきて一皮むけたような気がします。ニッショストアとの統合効果でしょうか。大丸ピーコックが価格の幅を持たせられずに苦戦しているのと対照的です。対面販売をいつまで続けられるか?PB商品の押しつけがうざいとか、課題はありますが、価格対応がとれていてしかもチープな感じがしないいい店舗になっています。

 家電量販店

  2009年度の主要家電量販店の出店計画は前年に比べ14%減といわれています。積極的に店舗展開するケーズ電機が40店出店しますが、出店を抑制している企業も多く2極化しているようです。
 ヨドバシカメラは2009年には出店予定はないようですが2010年には京都の近鉄跡への出店が控えています。

 その他
 ユニクロ、西松屋チェーンの出店意欲は相変わらずです。ユニクロは新宿西口に都内最大店をオープンしましたが、今後都心大型店を積極展開し、3年以内に国内大型店を200店規模にするそうです。ユニクロの内装工事費はかなりお金をかけています。商品は安くてもチープな雰囲気がしないのは照明を始めとした内装によるものです。

 私たちの多くが貧乏であることは間違いないのですが、お店に貧乏人だからこれくらいでいいだろうという扱いをされるのはつくづく情けないものがあります。
 「エコ」も「アート」も「古着」貧乏を情けなくさせない効果があります。やせ我慢は美徳です。

                                                    (2009年8月6日)
2009年度小売業出店計画  (産業タイムズ社)
出店 閉店 純増 店舗数
セブンイレブンジャパン 1,000 720 280 12,578
ファミリーマート 550 350 200 7,604
ローソン 540 460 80 8,682
サークルKサンクス 319 280 39 5,302
セブン&アイホールディングス 12 1 11 342
イオン 10 0 10 569
ライフ 7 0 7 210
コメリ 31 4 27 976
ニトリ 32 6 26 208
ナフコ 15 0 15 251
ヤマダ電機 33 0 33 683
ケーズホールディングス 40 11 29 338
上新電機 8 0 8 174
ビックカメラ 1 0 1 71
ヨドバシカメラ 0 0 0 20
ポイント 88 5 83 634
しまむら 80 0 80 1,631
ファーストリテイリング 99 37 62 875
西松屋チェーン 65 4 61 686
パル 60 30 30 573
ハニーズ 50 40 10 914
ユナイテッドアローズ 22 6 16 184
サザビーリーグ 23 44 -21 348

((「商業施設新聞」 産業タイムズ社記事より加工しました)
■大阪と「アート」」の取り合わせが新鮮〜コムデギャルソン「Six」南船場にオープン

 大阪からアート的な展開を発信

 8月8日コムデギャルソンが南船場丁目の直営店の店舗の2階にアートを発信するスペースを開きます。132uの空間で年4〜5回、テーマを変えてエキシビジョンを展する予定だそうです。アートを発信するというコンセプトで作品を売るわけではないようです。

 初回は「草間彌生」さんの作品で本邦初公開の作品も展示されるそうです。8月8日から11月8日まで、正午から7時までの開館で月曜日はお休みです。

 アートが新鮮  何で大阪でアートやねん

 商業関係のニュースは「低価格」とかいったニュースが多いだけに、「アート」といった切り口が逆に新鮮な感じがします。大阪とメジャーなアートの取り合わせが今までにあまり無かったせいかもしれません。
 
 小売業界が本音むき出しの安売り競争に走っている中で、先日論じた「エコ」「グリーン」とか「アート」といった切り口が次の展開広げる切り口になるのかもしれません。
 草間彌生×川久保玲という取り合わせは特に目新しい物ではないのですが、このような取り合わせが新鮮に感じるのは、時代の気分の振り子に揺り戻しが来ているのかも知れません。(新鮮なのは大阪とのギャップかもしれません。これが東京青山とか京都であれば何となく流してしまうニュースなのですが)

 草間彌生さんは40年間現代アートを続けているけったいなおばさんですが国際的に知られたビッグネームです。
http://www.yayoi-kusama.jp/j/information/index.html へのリンク
 アートを活用したまち作り・・・というのはよくあるパターンなのですが、中々拡がりに欠けて難しいところがあります。
世界的にメジャーなお2人の組み合わせは、海外への発進力があります。

 ユニクロの失速に見られる潮目の変わり時

 不況下に売上を伸ばしてきたユニクロが失速しました。まだまだ消費に回すお金はないものの、安物を売る価格競争に飽きてきた気配がします。DCブランドが復活するとは思いませんが(ヨージヤマモトも身売りしますしね)、何か個性の強い物を求める気持ちが高まってくるように思います。短絡的にアートが売れるとは思いませんがね。はっきりと色のついていて人に認められる物(大阪のおばちゃん流の独りよがりではありませんが)が見直されると考えています。中古品が定着しているのもひとつの流れです。
                                                                  (2009年8月5日)

■都心居住が進んでも繁華街周辺の住イメージはまだ低い

 繁華街に近すぎず遠すぎず南堀江・北堀江に人気

 大阪市内通勤者へのアンケートで明らかになった住んでみたい街のトップは南堀江・北堀江地区です。環境がよいイメージがあってかつ都心の繁華街に近利便性も高いところが人気を集めています。逆に都心繁華街に近すぎると住んでみたくない街のイメージが強まります。
 都心居住が再び一般化し、通勤時間のロスを嫌う層が増えてきています。
 アンケートに設定された地名で分譲されているタワーマンションも多いのですが、地名だけでは住んでみたいという憧れをかき立てるまでのステータスは無いように感じます。(下記アンケートは5年前なので変化はあるはずです)

 「中之島」には今後のブランド力の向上の可能性が感じられます。緑も少しずつ定着してきて、イベン開催で徐々になじみも出てきています。飲食店は周辺にいい店があるのですが、生活利便施設の整備がまだまだなのがネックといえるでしょう。

                                                         (2009年8月4日)

図ー住まいとしての大阪市内の街イメージ


なにわ考現学2005より   
■これからはグリーンが利益を生む

ウォルマートとパタゴニアの連携〜あのウォルマートでさえ

 ウォルマートといえば、大量生産品を低価格で販売することで地域の商業者をたたきつぶしてきた「悪の帝国」のイメージが強い企業です。現在世界で2番目に大きい企業で、この会社を上回る経済規模の店は世界に10カ国しかないといいいます。
 一方パタゴニアはアウトドアを愛好する社長が創設した、環境に飼う別の配慮を払う自由な気風の会社であることで有名です。対極的なイメージにあるこの2つの会社が「環境配慮」と「持続可能性なビジネス」への共同の取り組みを進めています。

(パタゴニアとはこんな企業です)
http://www.patagonia.com/web/jp/home/index.jsp?OPTION=HOME_PAGE&assetid=6297&slc=jp_JP&sct=JP&src=rps_go018703


 パタゴニアのシュナイダー会長はウォルマートの幹部を前に次の2つの話をしたそうです。
「これからは商品を買ってくれるだけでなく、製品一つ一つについて社会的、環境的な監査をしなければならない」
「扱う全製品について、どのように環境に影響を与え二酸化炭素を排出しているかのついてグレードを数字で出す必要がある」
 そして、パタゴニアは「衣類に関するグレーディングマニュアル」をウォルマートと一緒に作成し、それぞれの商品がどのような影響を与えているか消費者に分かるようにすると言う協力を始めていきます。

 ジュエネレーションXのニーズに応えて

 アメリカの世代区分で言うジェネレーションX(75年〜89年生まれ)の価値観・行動基準は「環境に配慮した商品を欲し」かつ「広告を信用しない」事に特徴があります。オーガニック食品を愛用し、各企業の建前と本音を厳しく見抜く世代であるといわれています。
 パタゴニアもウォルマートも過去最高益を記録した数少ない企業です。その経済力を活かし、政府の行動をまたず、本気で変革を起こそうとしていると言うことです。

 「市場」が企業の行動基準を変革し、世の中を変えていく・・・・と言うことでしょうか。

 パタゴニアには日本支社長に一度講演会においで戴いたことがあります。出席者の大企業の方々は皆さん、パタゴニアの企業風土に憧れを持ったまなざしを向けておられました。(組織で苦労されているんですよね)
 ただ、この会社(日本では)悪名高い「シーシェパード」=実力行使をいとわない環境保護団体のスポンサーなんですよね。

 パタゴニアとウォルマートの組み合わせは「善意」を動機とする世界支配というアメリカ人らしい行動原理が透けて見えます。
 
 とはいえ、「環境対策」はこれからの企業にとって重要な行動基準になることは間違いないです。エコとかロハスとかという言葉の浸透には目を見張るものがあります。あの強欲なウォルマートでさえ・・・と言うことです。
  そう「持続可能性」(サスティナビリティ)の言葉の説明がいらなくなったのはついこの10年間のあいだです。

 10月にサスティナビリティをテーマにしたショップがオープンします

 この10月に大阪の某地区で「サスティナビリティ」を前面に出したある業態(食関連ではありません)の店舗がオープンします。オーナーさんとプロジェクトチームで1年かけて準備したものです。詳しい内容は順次お伝えしていきます。
                                                            (2009年8月3日)
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