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■急回復した中国からの観光客〜ビジネスとして避けて通れない中国対応

 夏休みには意外に海外旅行者が多かった?

 7月に発表されたJTBの予測では、今年の夏休みの日本からの海外旅行者は5.8%の減少と伝えられていました。テレビなどの報道もそのようなトーンでまとめられていましたが、日本政府観光局(JNTO)の発表によると、8月の出国日本人は前年同月比2.2%増の151.8万人と4ヶ月ぶりに増加したようです。燃油サーチャージの廃止や円高が景気後退による落ち込みをカバーしたということです。
 一度減少とすり込まれた印象がずっとすり込まれているので、随分意外に感じられます。・・・・先入観というのはこわいですね。

 訪日外国人は全体で減少〜その中で中国人の訪日客が2桁増の伸び

 日本を訪れる外国人について、この8月は前年同月比8.4%のマイナス。韓国からの訪日客が191,000人と2割減に対し、中国からの観光客が17%増の109,100人と増加しています。台湾からは114,800人と3.7%の減少です。
 アメリカ、カナダ、フランスからの訪日客も増えていますが、それぞれ58,000人、13,400人、13,900人と人数で見るとアジアからの訪日客のウェートの高さがわかります。(それぞれ1ヶ月間の訪日客数)

 昔からつながりの深い韓国・台湾だけでなく、渡航の自由化が進む中国からの訪日客は今後とも増加することが予測されます。

 銀聯カードなど中国のクレジットカードの導入など、中国対応は部分的に進んでいますが、まだまだ街全体として、どのように受け入れるか、受け入れのインフラは整っていません。

 中国人観光客の多いミナミでは中国人を対象にしたフリーペーパー・タウンガイドMAPが設置されています。「走遍大阪」(WEB版は無いようなので、パルコとかミナミの店舗でお探しください)。
 どんな店がどんな風に広告を出しているか、試行錯誤の途中でしょうが、見るだけでも面白いですよ。

                                                                      (2009年9月30日)
■小売業に拡がるリユース、リサイクルの流れ〜売るためのエコ

 販促手法としての下取りセール

 販売不振に苦しむ大型小売店各社の下取りセールが活発になっています。この夏以降の事例では
・大丸・松坂屋「ゆかたリサイクル回収キャンペーン」ゆかた1着で1,000円の呉服売り場買い物券
・西武・そごう「靴・」婦人服下取りセール」1品525円の割引券
・東急百貨店「紳士スーツ下取り」1着につき1,000円の買い物券
・小田急百貨店「衣料品、靴、バッグの下取りセール」特定の売場だけでなく、ファッション関連の全製品購入時に使える1,000円相当の割引券
・丸井「ブーツ、ビジネス靴、ブルゾン、コート」など回収1点につき1,000円相当のクーポン

 回収された品物は海外の難民に贈られるか破棄されるのが大半ですが、一部ブックオフの子会社が引き取って販売すると言うことです。中古品の市場も形成されていますのでリユースされるケースも一部あるのでしょう。自分自身が」捨てられないのである意味での免罪符のようなものなのかもしれません。
 単に割引ではなく、罪悪感なく「整理」できるところがポイントなのでしょう。

 腕時計を下取りして環境運動に寄付

 色々なデータを調べてみても「環境問題」には総論賛成でも、具体的な負担増には二の足を踏むのが消費者心理です。それでも、どこか気になっている事は確かで、「お得感」と「エコ」がセットになると財布のひもがゆるみます。
 パルコの子会社「ヌーブ・エイ」では腕時計の下取りを始め、1個につきその店舗で使える2,000円分のクーポンと交換します。引き取った時計は地球環境保全を目指す運動「MOTTAINAIキャンペーン」に寄付し、フリーマケットで販売、収益金をアフリカの植林活動に役立てるそうです。
 使えない下取り品は電池を外して廃棄処理。現在流通している大量生産の商品は、ほとんどが再生不能か、再生に大きなコストがかかるものばかりです。おそらく大半が破棄に回るはずです。

 エコな一点物

 資源再生という観点からは、手の込んだ細工をほどこした再生というのが見た目にわかりやすくスノッブな感じがします。古新聞から手提げ袋をつくる四万十町の「四万十とおわ」、ジーンズから腰掛けスツールを製作する名古屋市の「NOyes」、海図から便箋をつくる横浜市の「エクスポート」など・・・・

 家具の再生をうたっているお店もありますが、ほとんど一から作り直すような手間をかけています。これは
「愛着」を保存するコストですね。

 リサイクルのおすみつき

 ユニクロでもフリース素材の再生などのアピールはありましたが、指定された素材を使った商品を何年後でも回収し、再利用するシステム「エコログリサイクル」は国際的な取り組みです。

 http://moura.jp/ecologue/about/index.html#hh_all_in へのリンク

 94年にドイツで始まったこのシステムをファッション業界で初めて取り入れたのがファッション専門店の「バーニーズジャヤパン」。下取りセールの考え方をさらにおしすすめて、回収後どのように再利用されるかもわかるシステムでよりエコロジーを実感できるファッション提案をするそうです。

http://woman.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=20090928ax020n1 へのリンク

どのように実感できるかは記事ではよくわからないのですが、ちゃんとリサイクルしているよという認証が得られるのでしょうね。


エコだけでは売れませんが、売るためにはエコの要素を取り入れることが必要で、それは生産段階からの対応が求められています。

                                                        (2009年9月29日)

■小さい百貨店、地方の百貨店だからこそ変われる

 「グループ力を活かした新百貨店モデル」に取り組む「かつての大型百貨店」の頂点

 西武池袋店と言えば、かつて70〜80年代は日本の百貨店業界をリードする大型百貨店でした。生活文化提案の情報発信、海外の新しいブランドの紹介、そして「食品館」において関東の百貨店としては初めて市場的な対面販売を導入するなど、百貨店の革新をリードしていました。

 最近は話題の中心から離れていましたが、今朝の日経流通新聞で、グループ会社のヨークベニマルのノウハウを取り入れて、「さんま1匹100円」とか、「刺身盛り合わせ500円」とかの低価格商品を取り入れたり、セブン&アイのPB商品を取り入れたりして価格対応を強化したと言う記事が掲載されていました。「高級感を演出して店の品格維持に腐心する百貨店では従来の発送になかったもの・・・・」って日頃関西の百貨店を利用している私たちには今更目新しい光景ではありません。新聞記者の勉強不足でしょう。

 食品スーパーのノウハウを導入すれば価格を下げても、良い商品を提供し、収益を上げられる、売場が良くなる事例は「マックスバリュー」が「光洋」と提携して飛躍的に良くなったとか、「阪急アオシス」が「ニッショー」と一緒になり高価格スーパーから価格帯が拡がり良くなったというケースを見ていれば実感できます。
 ただし、食品スーパーに、大手グループのPB商品が導入されるときに、PB商品が前面に出て買い手側の選択肢を狭めるというマイナス面もありますが。

 食品に関しては当たり前の価格が提供されるというプラス面はあっても、イトーヨーカドーの商品であの大型の池袋西武が立ち直れるかというと疑問があります。イトーヨカドーの「ロビンソン百貨店」、ジャスコの「ボンマルシェ」、マイカルの「ダックシティ」、忠実屋の「FAM」などチェーンストが手がけた百貨店で成功した事例は皆無です。失敗理由は「百貨店商品が入らなかったコト」とされています。現在「百貨店商品のブランド」に魅力がなくなってきているのですが。きっと今やっても同じ理由を言うのでしょうね。

 百貨店の課題は高い値入率につきます。
 
 都心の大型旗艦店だからこそ、根本の部分に手をつけられずに「価格対応」の弥縫策に走っているように思えます。本来は店頭販売は百貨店の強みを発揮できる部分に大きく絞り込んだ上で、他の売り方で収益を上げるべきです。GMSだって決して収益の上がる事業ではないですから、店舗の何割かをイトーヨカドーにしたって立ち直れるわけありません。

 百貨店の資源は「顧客」

 かつて、各地域にあった「酒蔵」が地域の経済や社会インフラの中心になっていたそうです。郵便局を寄付したり、地域インフラの整備を率先して行っていたそうです。地方によっては今でも放送局や新聞社の大株主が地域の酒蔵だったりします。
 
 百貨店もある時期までは地域の商業の核としての役割がありました。地域では地元の百貨店への信頼や高いイメージは年配層を中心に、いまでも根強くあります。数多くあった地方百貨店が無くなっていった原因は「流通革命」であったり、「モーターリぜーション」であったと言われています。原因は変化に対応しようとしなかったにつきます。

 大きな企業、大きな店舗ほど変化への対応力が鈍ります。本日の繊研新聞の記事にあるように、競争相手は同業他社やリアル店舗の異業種、そして全く違ったチャネルにまで拡がります。(以前紹介した某百貨店のニュースリリースではブランドの百貨店初導入がニュースになっていました)アパレル会社がテレビ通販で売った商品は1時間で、百貨店1年分の売上を上げています。
 百貨店の取引先が百貨店を見限って来ている今こそ、新しい売り方、新しい商品サービスを展開するチャンスだと考えています。

 都心の大型店は取引先との様々なしがらみが強くお客様とのつながりが薄くなります。逆に地方の小さな百貨店はお客様とのつながりが濃いわりに取引先とのしがらみがありませんので、思い切ったことが出来るはずです。

 かつての都心百貨店の一方の雄であった池袋西武についての報道をみてあらためて考えさせられる事が多くありました。

                                                                   (2009年9月28日)
■「アンリシャルパンティエ」のブランド価値の衰退

 洋菓子ブランドのトップはどこだ

 この秋の、阪神百貨店、阪急百貨店の改装で、今勢いのあるデパ地下スイーツはどこなのかが見えてきました。スイーツは地域ブランドと結びついたところが強く支持されています。阪急での一押しは「HAMON」豊中の「ムッシュマキノ」と川西の「ファクトリーナカタ」と阪急百貨店のコラボレーションショップです。他には堂島ロールの「モンシュシュ」、モロゾフの「チーズケーキ専門店byモロゾフ」などのショップがあげられています。・・・・阪急と組んで大きくなったといわれている「アンリシャルパンティエ」の名前はニュースリリースにはでてきていません。

 阪神百貨店では群馬県高崎市で有名なラスクの店「ガトーフェスタハラダ」の売場に行列が出来ています。他に岡山のフルーツタルトの店「ハナフル」、クラブハリエの「焼きたてバーム」、西宮のフルーツケーキ「アローツリー」同じく、西宮のロールケーキ「ブラザーズ」などが一押しのようです。

 2004年の「2020AIM」誌で阪急百貨店で紹介されている、売上ランキングの1位は「グラマシーニューヨーク」、2位は「アンリシャルパンティエ」、3位はパテシェと組んでつくった「五感」でした。この時点で、トップはすでに「グラマシーニューヨーク」だったのです。

 確かに、露出度の低い、関東ではまだ「アンリシャルパンティエ」のイメージは高いようでしたが、関西ではもう過去のブランドになりつつあります。


 モロゾフがうらやましいのはアンリではなくツマガリ

 偶然、神戸大学大学院のMBAの発表論文を拝見しました。2004年のものです。アンリシャルパンティエとモロゾフを比較してアンリのブランディングを論じたモノです。内容については、評論する立場にないので差し控えさせていただきます。石井淳蔵先生の指導ですから手法や論理構築はそれなりのものなのでしょう。
 ただ、学生さん達の洋菓子業界への知識と感受性は、生活者の実感とかけ離れているので、少し困った展開になっています。

 端的に言ってブランドのポジショニング設定に問題があります。(某百貨店独自調べ?だそうですがこのポジショニング設定は正確ではないと思います)ただ、洋菓子に知識が無く、好きでない人はそのようなポジショニングをすることもあるというひとつのモデルとして参考にはなります。

神戸大学MBAによるアンリシャルパンティエなど洋菓子ブランドのポジショニング
http://mba.kobe-u.ac.jp/life/minipro/2005/materials/team6.pdf へのリンク

 マスマーケットを対象とした「モロゾフ」の会長がうらやましがっていた企業は「アンリシャルパンティエ」のような「本場風」の高級菓子ではなく、甲陽園で地元に工場というか作業場を構える「ツマガリ」の生き方です。(取材で直接そのお話を伺いました)
 本場の味はパリで活躍するパテシェが日本で店を出す時代になれば、「本場風」は色あせます。そして、今、人気を呼んでいるのは地域限定の洋菓子、生産者の顔が見える洋菓子です。

 「アンリシャルパンティエ」はブランド戦略を間違えたようです。(某百貨店の独自調べのブランドマップに惑わされたのでしょうか)

 ・・・・そういえば、同社の新社長は関東地方の某百貨店のご出身ですね。

                                                                          (2009年9月25日)
■ギフト文化とブランディング〜縮小する市場で利益をあげる

 ギフト業界では「コト」ギフトに注目が集まっている

 中元歳暮という習慣がもっと盛んであった頃、儀礼ギフトは社会的地位の高い人のところ(医者、企業の役職者)のところに集中的に集まり、その自宅には1年前、2年前のギフトの在庫が残っていました。欲しいギフトのトップは商品券という調査結果もあり、贈る側は気持ちを込めていても、受け取る側にはその想いは伝わっていなかったようです。欧米ではチップという形で社会的上位の人から下位の人への心遣いを贈る習慣があるのに対し、日本でのギフトの多くは目上の人への貢ぎ物のような形をとっていた文化の違いがあらわれているように思えます。

 ギフト市場は11兆円と試算されていますが、法人ギフト、儀礼的なフォーマルギフトの市場は縮小し、カジュアルギフトが伸びていると言われています。(矢野経済研究所調べ)

 今、ギフトで人気なのは「フリーチョイスギフト」でカタログから好きな商品を選択できるギフトです。さらに業界で注目されているのは「コト」ギフトでエステプランや食事、旅行などを贈る市場に注目が集まっています。これもまたギフトのカジュアル化の流れを反映しています。

 縮小するフォーマルギフト市場にも商機が残っている?

 三越の包装紙、「虎屋」のようかんなどのように、実態ではなく記号が意味を持つ、フォーマルギフトも縮小しているとはいえ、まだ残っています。カジュアルギフトは新しいトレンド対応で目新しいアイデァを盛り込めますが、ファーマルギフトの世界に新しい商品を展開することはできないのでしょうか。

 和洋菓子の「老舗風」の新しいブランドに学ぶ新提案の可能性。「アンリシャルパンティエ」「叶匠寿庵」「たねや」「源吉兆庵」はそれぞれ、老舗でもなんでもありません。ブランディングの巧さによって、老舗風のステイタスを身につけることができました。

 とりあえず、何も考えなくてもこれを選んでおけば間違いないというブランドが必要な市場もまだ残っているという点にも注目が必要です。商品のライフサイクルが長いと投資に対する効果がながく持続していきます。

 ゼロベースで考えて利益をあげていく

 疲弊する地方都市の百貨店がどんどん倒れています。市場が縮小しているにも関わらず、企業が変われないためにどんどん収益構造を悪化させているのです。ただ、百貨店を求める市場は無くなってしまったのかというと、そうでもありません。商圏の縮小、人口の減少による市場の縮小はあっても「百貨店」を期待するニーズは一定規模あります。その市場規模にあわせて企業を変えていくことができない店が無くなっているのでしょう。大抵の店は身の丈に合わない設備投資をして見栄えを都市型百貨店にすれば再生できると誤解した結果であることが多いようです。
 

                                                         (2009年9月24日)
■「プロボノ」という社会貢献のあり方

 「For Good」公共的な善のために

 9月17日の繊研新聞に社会起業家でも、ボランティアでもない社会との新しい関わり方として「プロボノ」とおいう選択肢について紹介されていました。「プロボノ」というのはラテン語で「For Good」公共的な善のためにと言う意味で、専門知識を持つ専門職がその知識やスキルを活かして社会貢献をすることで、英米の弁護士や会計事務所、コンサルティングファームなどでは一般的に使われているそうです。

 お金に換算すると結構な価値になる専門的サービスを、社会貢献に取り組むNPOなどの団体に無償で提供することでスキルを活かした社会貢献を行うものです。確かにビジネスで涵養されたマネジメント能力をNPOや地域興しにとりくむスモールビジネスの現場で活かせればもっとうまく回るのにと思わされるコトは多々あります。実際にそのようなニーズも沢山あります。実際にマッチング活動を行っているNPOのサイトは下記です。

 http://svgt.jp/ へのリンク


 団塊世代リタイア層の社会的活用

 今までお仕事でお世話になってきた諸先輩がリタイアされる時期を迎えて、やはり何らかの専門知識を活かして仕事を続けたいとか、社会貢献したいという気持ちをもたれている方々が多いと実感しています。
 「起業」をすると面白いことはいっぱいあるのですが、中々踏み切れないというのが実態でしょう。ボランティアというのもうまくスキルを活かしたものにつければいいのですが、中々大変です。(参加する方の意識改革が必要・・・とよく女性の方から指摘されます。どいこまでいっても会社員意識が抜けないというか)

 プロジェクトマネジメント、経営計画、マーケティング、広報、ライターなど会社の中で身につけたスキルを必要とする団体は結構多いと思います。上記団体の他にもマッチングを考えている団体は結構あるようです。おそらく、リタイアした跡から始めるのでは駄目で、在職中の一番多忙な時期から社会的な活動を始めなければいけないのではと思います。

                                       (2009年9月18日)
   
■「名前」をチェンジして再生

 「名前隠し」から新しいイメージづくりへ

 以前、AERAの記者の方から住宅開発で「名前隠し」が進んでいるという「お話を伺いました。ある程度イメージのこびりついた街の大型開発で、地名をださずに全く新しい名前で分譲し、成功している事例が沢山出ているということです。特に開発が進む湾岸地区は倉庫街であったり、物流拠点のイメージが強いので、新しい街をつくるというコンセプトで分譲されているのでしょう。

 確かに、「大阪ビジネスパーク」(OBP)も当初は呼称だけでもずいぶんと新鮮なイメージがありました。
 古い地名を残すのは大事で、愛着を持っている人が多いエリアであれば、かならず活かしていくべきでしょうが、名前が変わるだけでリフレッシュする効果もばかにはできません。一時流行った企業のCIも広告代理店の儲けの種という裏がばれて下火になりましたが、本当は結構効果も会ったと思います。

 手垢のついた言葉をチェンジすることでプロジェクトに対する周りの目が変わる

 手垢のついたコンセプトはいつしか、人の耳を引かなくなってしまいます。たまたま所要で琵琶湖湖岸へでかけたのですが、以前は欲得がらみで出かけていたのでこの環境でどう儲けてやろうかとしか考えなかったのですが、単純に風景、環境はいいな・・・と感じました。「ウォーターフロント開発」という手垢のついた流行言葉の色眼鏡をはずしてしまえば、気持ちいい空間です。そういえば「水都大阪2009」も水辺空間とか、リバーフロントとか称していますが、「ウォーターフロント」とは誰も呼びませんね。

 そのような意味でそろそろ「RENAME」しコンセプトを一新した方がいいと思えるのは「梅田北ヤード開発」でしょうか。新しい街のビジョンもでてきているのですから、そろそろ国際的にも通用する新しい「名前」をつけていけばいかがでしょうか?(一旦、今までの投資を損金にしてしまい、一から出なおせばベストですが)

 その後「うめきた」が愛称に決まりました。先行開発地域は「グランフロント大阪」・・・て何語ですか?フランスと英国のハイブリッドですね。海外に売るにはもう一工夫が必要でしたね。国際的に通用しなくてもガラパゴスでいいもん・・ですか。  2010年8月に追記

                                             (2009年9月17日)
■「予期しないつまずき」から再生したシニアコミュニティ「いきいき」の世界

 雑誌を中心としたシニアのコミュニティ「いきいき」

 「いきいき」と言う雑誌をご存じですか。店頭には並んでいませんが、50歳以上の女性を対象とした健康や趣味、生き方をテーマにした会員制の定期購読紙で、一時は43万部まで発行されていました。その出版元の「ユーリーグ」は日野原重明氏の「生き方上手」というベストセラーを出版し、シニア女性に大きな支持を得ていました。生活カタログ誌「ふくふく」での通信販売や読者をうまく動員するイベントの開催など、読者同士のコミュニティ作りをうまくつかってビジネスにしていたユニークな企業でした。趣味を同じくするシニア女性のコミュニティをつくれば、手堅いリピーターとなって収益の上がる商売になります。
 旅行業では近畿日本ツーリストから生まれた「クラブツーツーリズム」がそのパターンで成功しています。

 突然の経営破綻・・・「派手好きの社長」が原因か?

 この3月そのユーリーグが経営破綻したと聞いたときには我が耳を疑いました。サプライムローン破綻の影響を受けない「固い商売」「固いターゲット」に見えていたからです。
 破綻の原因は通信販売部門の商品在庫やシステム投資といった本業に関わることだけでなく、代表の積極的な投資(本業以外の株式投資)の含み損、多額の借入金の返済がネックになったようです。

 幸いその後、本業(出版業、通信販売業)についてはスポンサーも見つかり、発行が続けられているようです。(この会社には、クラブツーリズムも出資されています)

 仲間作り、コトづくりで肥沃な市場をがっちりつかむ

 シニアマーケティングについて、ずいぶんスタディしましたがやはり、男性より女性の購買力、消費力が圧倒的です。シニア女性にいかに楽しんでいただいて、その結果としてお客様になっていただくか・・・仲間作り、イベントづくりが鍵になります。いきいきの編集長には以前取材したことも」ありますので、稿をあらためてそのポイントをお伝えいたします。

                                                         (2009年9月16日)


■「ジャパネットたかた」に学ぶ百貨店生き残りのみち

 百貨店でパソコンを売る

 ずっと以前に、某百貨店の方に百貨店の売場でパソコンを売る方法についてお話を伺いました。初心者がすべて自分で学んでできるわけではありませんので、機種の選定から接続設定、周辺機器の接続まできちんと説明して販売すれば、百貨店でパソコンを購入する人は一定存在するという事です。
 メーカーとかプロバイダー、通信業者などの色がついていないという安心感があるのだと思います。回りに、知識のある人がいれば色々相談に乗ってもらいながら選べるのですが、そうでなければ家電量販店では中々選ぶことができません。
 そういったお客さんはシニアの方が多いのだと思いますが、若いからと言ってパソコンの知識があるわけではないので、友達がいないとか、上京したばかりで回りに知り合いが少ないとかいった若い人にもニーズはあるのではないかと思います。
 昔は、ファッションについても初心者は百貨店んで揃えるのが無難であり、安心を提供していました。今はもう、ユニクロで選べばお安いですし、そこそこ安心なので百貨店で選ばなくなっただけです。

 「ジャパネットたかた」が売っているモノ

 テレビを活用した通信販売でのびている「ジャパネットたかた」は大型液晶テレビ、デジタルカメラ、ノートパソコン、ビデオカメラなどを販売しています。大型家電量販店へいけば沢山の商品から選択できるにも関わらず、ジャパネットたかた出購入する人が多いのは、「モノをモノとして提案しない。その人の生活をいかに豊にするかを考えている」という社長の理念にあります。知識のある人間はついスペックと新しさで商品の優劣をつけてしまいます。
 沢山の商品から選ぶときにどんな使い方ができるか、どんな風に生活を楽しくするかという視点での提案は知識のある人間ほどできないという盲点があります。

 「ジャパネットたかた」の購入者はリピーターが7割といわれています。

                                                              (2009年9月15日)
■大きくて強い物が生き残るのなら・・・・・

 包み込み戦略という「不安」

 大きくて強い物が必ず生き残るのなら、この世界はティラノザウルスレックスが今も支配していたはずです。
 かつて「包み込み戦略」という言葉がある種の権威を持っていたことがありました。旧そごうでは地域で一番大きな店をつくれば勝ち残るとばかりに、競合店よりも広い売り場、豊富な商品を備える事で一番店を目指していました。そうなればメーカーも商品を一番店に集めるので必ず勝てるという信仰があったようです。
 今も、信奉者が多い「ランチェスター戦略」でしょうか。

 ひたすらに自分の基準の中で「大きく」「強く」なることだけを考えれば、回りを見る余裕もなく、世の中の変化におびえることもないからでしょうから・・・・。

 環境の変化に対応する速度

 かつて、新しくできた某百貨店のトップが、かつては列車での移動中に、一等の客は食堂車で食事をしていた、今は新幹線のグリーン車の客でも、買ってきた物を自席で食べている。今までの百貨店は食堂車のサービス向上を追求してきたが、これからは自席で食事をするグリーン車の客を相手に商売をしなければいけない・・・となんだかわかったようなわからないようなたとえ話をされていました。

 とにかく環境の変化にいかに素早く対応するか、その中で残す物を何にするのか、捨てる物を何にするのか、走りながら判断する必要があります。何ともしんどい話ですが、それが出来てきた「種」だけが生き残ってこられたのでしょうね。

                                                               (2009年9月14日)

■「百貨店初」に何の意味があるのか?大丸大阪・心斎橋店「北館」11月14日オープン

 ヤングからアラサーまでウィングを拡げたターゲット

 本日の新聞記事で大丸大阪・心斎橋店「北館」のフロア概要が発表されました。379.1億円の取得額を含む420億円の投資で250億円の売上を目標にしています。(私の予想ではもっと大胆に大型専門店を導入すると予想していましたが)ターゲットをヤングからアラサーまでに拡げ、今まで切り捨ててきた子供服や趣味雑貨、スポーツまで品揃えをおこなうというある意味でオーソドックスな、商品としては「百貨店」の枠を超えていない店作りになっています。

 その証拠にニュースリリースには「百貨店初」というキャッチフレーズが沢山並んでいたからです。百貨店初かもしれませんが、「消費者」にとってそれがいったい何の意味があるのでしょうか?

 「関西初」というキャッチも良く意味がわからないものの、メディアによっては見出しに使いやすいと思うのかも知れませんが、「百貨店初」は社内では大事件かも知れませんが世の中的にはたいしたことはありません。完全に思考が内向きです。(かつて、新宿三越にマクドナルドのハンバーガーショップが入店したときは確かに、百貨店初のインパクトはありましたが・・・・)

 「新百貨店モデル」による革新と進化のスタート台

 今回の改装の意味は、社員を増やさずにテナントの従業員で運営する、社員を増やさないというところにあります。大丸は紳士服の「はるやま」との協業など異業種との連携に力を入れています。北館では値入率も駅ビルなみにさげて、いわばデベロッパー型の運営を取り入れていくことに「革新」の意味があります。(お客様には直接関係ないのですが・・・)

 百貨店の品質基準、サービス基準はあきらかに、多くの人にとってオーバースペックになってきています。ただし、そのオーバースペックに安心感、信頼感を持っている人もシニア層を中心に沢山います。従来の顧客を大事にしながら、新しい売り方を導入していかなければいけないところに、多くの百貨店の悩みがあります。

 旧そごうは「不動産業」と揶揄されたように、売場には社員がいませんでした。メーカーの派遣社員が販売していたのです。その意味では社員が売場にいないことに「革新」はありません。

 今回は時間もないこともあり、北館で実験をすることになったのかも知れません。本来は休館の商品も含め、社員が売るべき物、テナントの社員が売るべき物、アルバイトで対応する物、専門的な職能を持つ社員が売る物と仕分けをしていく必要があるでしょう。

 百貨店のしっぽを引きずっていては「エキサイティングな都心型ハイブリッドSC」への道は遠いでしょう。

 今回はたまたま大丸を引き合いに出しましたが、大丸は過去10年間、派手な改装、出店は少ない物の着実に利益をあげる体質をつくってきた百貨店の中でのトップランナーのひとつで、私は高く評価しています。・・・課題は多くの百貨店に共通した物です。

                                                             (2009年9月11日)
■食の嗜好の多様化は「和」をベースに拡がっている
 国際競争力のない?内需主導の「食文化」

 日本人ほど、他国の食文化に好奇心を持ち、日常的な食に取り入れている国民はないのかもしれません。留学で来日する若い子の多くは、普段食べていないものを中々食べようとしません。特に日本のスイーツは特殊な発展をとげているようで、「甘くない」と一口食べてもう口をつけようとしません。
 今のところ、日本のスイーツは内需に支えられているので国際競争力はありません。
 下図は梅田の商業集積の飲食店を業種別に拾い出したモノです。雑食性とはいえ基本は「和」で施設の性格により、カフェスイーツが多いパターンとお酒を出す店が多いパターンに分かれます。
 
 「和」とはいえトンカツや麺類も含んだ数字ですし、和風パスタや、和風カフェも増えてきているので正確に言うと「和」として取り込んだ多様性が日本の外食の特徴なのだといえそうです。

 観光客にとって食事は大きな楽しみです。これあkら海外の観光客を集客するのに、食についてはさらに工夫が必要です。


 モード和食は賛否両論

 一時「モード和食」の店に行列が出来ていました。とても変わった器に少しずつ盛りつけられた料理は、私にはとても美しいとは思えませんでしたが、好きな人も多かったと聞きます。最近はフレンチでも和でも過剰な装飾の流行は下火になったそうです。
 東京でならともかく、関西で流行っていたのは不思議でした。たむらけんじの焼き肉屋のようなものなのでしょうか・・・・。物珍しさを楽しむというのもまた、退廃の域に近づいた消費行動の成熟のあらわれといえそうです。

 デパ地下では「そうざい」がスイーツ化してきている

 先週オープンした阪急、阪神の地価の売り場を見ていて、スイーツの集積が一層進んでいるのと同時に、総菜売り場の総菜がスイーツのようにかわいらしく趣向を凝らしたモノになってきているのを感じます。
 多くの報道が安売り弁当などに関心を集中させていますが、現場の変化は違った方に「進化」?しているようです。
 素材より加工度の高い商品の方が利益率が高いのです。これから都心店の生鮮食品のウェートは下がっていくのでしょうね。

                                                             (2009年9月10日)









■サービスのモチベーション

 グランメゾンのサービスとイタリアンのサービス

 関西でも有数のグレードの高いフレンチで食事をする機会がありました。さすがに応対は格式を意識した丁寧なものでありました。反面、どこか型どおりでもう一歩踏みこんだアドバイスや、決して安くない食事を楽しんでもらおうという一言がないのが物足りなく感じました。
 たとえて言えば大きな組織の中のサラリーマンがサービススタッフをやっているとでもいいましょうか。減点するポイントはないのですが、サービスをこころから楽しんでいない、「苦役」であるように感じられます。

 少し前に、食事をした複数店舗を展開しているイタリアンのサービススタッフの応対が、料理の説明だけでなく、グループで食事をしていて事情があって食事の進み方が遅い人のお皿を温めなおす申し出をしてくれたり、開店前に店の前を通って除いて事を覚えていて話題にしてくれたり、フレンドリーでかつ、お客のことを考えていることがハッキリとわかる応対だっただけによりそう感じたのかもしれません。少なくともそのスタッフはサービスを楽しんでいました。

 格式なのか、将来が見えているモチベーションなのか

 もちろん、グランメゾンと街場のイタリア料理では基本的な「格式」がちがうので、サービスのあり方は違うという考え方もあります。そのイタリア料理店はその店から独立した人が多く店を構えていることでも知られてています。サービススタッフも将来自分の店をももった時のイメージがはっきりしているから真剣勝負のサービスができるのだと思います。

  もちろん、ホテルマン、グランメゾンのサービススタッフもステップアップして転職する道が開けているのですが、大組織の中をステップアップしていくというサラリーマンに近いキャリアパスとなります。

 百貨店がだめになりつつあるのも、似たような背景を抱えています。

                                                       (2009年9月9日)
■言葉と思考、スピード感のギャップを超えて

 経済合理性だけで動かない生産者の想い

 先日、ある自治体の補助金でとてもいい条件のモノを紹介されました。地元の生産者と加工業者、販売業者が組んで地場産品を商品化するプロジェクトに100%の補助金がでるのですが、締め切りが2週間後に設定されています。

 かねてから、地域産品の企画を相談していたその地域に縁のある方に急いで連絡したのですが、反応ははかばかしくありません。贈答用に使われる果物はロスが大きいのでそれを換金できれば農家はとても助かるはずです。「何故このチャンスを活かさないのか?」少し歯がゆい思いでした。

 長期的には絶対に必要な手だてなのですが、あいにく損お時期は収穫の時期なので、とてもそこまで手や頭が回らないということでした。
 ビジネスの感覚では目の前のチャンスを逃したくないということが何よりも優先しますが、良い商品をキチンと作る毎日の作業を優先するという生産者のペースを理解しないと、一方的な押しつけになってしまうと、多いに反省いたしました。

 反面、農業生産者は結構目先の利益に左右されやすいという傾向はあるのですが・・・・。

 マーケティングとクリエーションのバランス

 地域の産品を使った商品開発に、ある専門学校の学生さんにお願いすることになりました。あらかじめ、オリエンテーションシートが必要とのことなので、ターゲット、プライスライン、チャネル展開、コンセプトなどをまとめたシートを作成し、打ち合わせに臨みました。

 学生を指導する方からは、これでは学生に伝わらないと一蹴されました。もっと素材のイメージであるとか、風土を伝えることが必要で、頭で考えることから入ると萎縮した案しか出てこない・・・なるほど、プロ相手ではなく特に学生相手にはまずクリエーションを拡げる作業をしてもらう必要があります。その先の商品化は私たちプロの仕事なのですから。

 異なる発想、異なる言葉遣い、そして異なるスピード感を持った人々と協業しなければ新しいものが生まれません。それでも、ビジネスベースで考えるとついこちらのペースに引き込もうとしてしまいますが、それは慎まないといけないのだろうと思います。

                                                        (2009年9月8日)
■鈴なりのエスカレーターの光景と林立するクレーンの憂鬱

 鈴なりのエスカレーターに高揚する気分

 先週開業した阪急うめだ本店の賑わいは先週末にはピークに達したといえっます。阪神の改装、梅田大丸のセールとあわせて今のところ数少ない明るい動きだからでしょうか。
 売場面積が狭くなった阪急ではエスカレーターは人の鈴なり状態が続いています。整理にかり出された若手社員にとって、こんな賑わいは初めてではないでしょうか?高揚感のようなものが感じられます。

 昔、パルコを創業した増田氏はエスカレーターをわざと1人用の狭いモノにして、人為的に鈴なり状態をつくったという伝説があります。賑わっている姿を見てさらに人が集まるという理屈です。

 建設クレーンに昂ぶる人々

 高層用の建設クレーンが林立している光景に気持ちが昂ぶる人々は少なくないようです。高層ビルの建築写真を掲載している個人サイトは結構人気を集めていて、役所の人にもファンが多いということです。
 大阪駅ビル、北ヤード開発などプロジェクトが目白押しの梅田地区は格好のウォッチングポイントです。楽しそうですね。

 建物だけが増殖し、中身がいっこうに見えてこないプロジェクトは私にとっては「死の風景」にしか見えません。(バブル経済を経験した多くの同世代の方々は多かれ少なかれ同じ感想を持っているはずです)

 破綻した多くの百貨店は新店出店の投資が負担になっていました。多くのは百貨店は償却が終わった本店の収益で生き延びています。今、その本店の収益でさえ大変な状況です。これからできる新しい店は、投資の回収と共に本店以上の収益力が必要になります。容れ物ではなく中身の検討にもっとしっかりと知恵を絞るべきです。

                                                   (2009年9月7日)
    
少しだけ見えてきた梅田の未来〜9月3日阪急うめだ本店T期棟オープン

 阪神をめいっぱい活用した阪急うめだ店の改装

 8月26日の阪神梅田本店の全館改装に引き続き、阪急百貨店うめだ本店の1期棟がオープンしました。投資額は阪神梅田本店に12億円。阪急は建て替え工事全体で600億円。売場面積は阪神が53,000u、阪急はT期棟が27,000u、メンズ館が16,000u、イングス館他が7,000u。阪急合計で50,000uとなります。
 売上げ目標は阪神860億円に対し、阪急は1,330億円・・・・・阪神は2〜3年前は1,100億を売り上げていたのですが。グループで利益をあげられればいいという割り切りというか、セクショナリズムにとらわれない機動力なのでしょうね。

 阪急は一段と売場面積が縮小しますが、紳士服をナビオに出したように、子供服をイングス館に出しています。婦人服のSサイズや食品フロアの一部テナントを阪神へ移転させています。

 JR大阪駅のジェイアール三越伊勢丹の開業までに何とか全館改装を間に合わせて行くため、無風状態の今の内はお客様や社員に不便を強いても、何とかやりくりしていかないと仕方がありません。
  
 阪神らしさは日常性と親しみやすさ

 阪神梅田本店は「暮らしやおしゃれを気軽に楽しみたい、百貨店が大好きな50代と30代の女性」に向けて、日常性と生活感そして、親しみやすさと値頃感、賑わいのある阪神らしさに磨きをかけて、幅広いお客様のニーズにお応えできる百貨店を目指すのだそうです。

 かつて、梅田地区の圧倒的な一番店であった阪急に対抗して、2番店として戦う分野を絞り込み、関西の百貨店の中ではいち早く専門店ブランドを取り込むなどそれなりに健闘してきたのですが、今現在の強みを集約すると、そういうことになるのでしょうね。

 そごう、西武、松坂屋など他の地域ではそれなりに一番店であっった百貨店が大阪商圏では全く歯が立たずに、店頭以外で売上をつくって辻褄を合わせようとしたのに比べ、店頭売上だけで、堂々と2番店の座を守り通したのは立派なことだったと思います。
(逆に言えば、外商が弱いんですけどね)

 バブルの時に新規出店をしていなかっただけに財務的には強かったのですが、長年単独店であっただけに、利益をあげるための社内システムは随分立ち後れていました。この改装で売上は落ちても(この時期ですからね)利益は高い目標が設定されていると思います。

 梅田の未来は・・・

 今回の改装で目を引いたのは、阪急と阪神の回遊導線がバリアフリーになったことです。地下を通じた両店の回遊がずっとスムーズになりました。今後全貌を見せる大阪駅北ビルはどうでしょう?駅という制約があえりますから回遊導線ははっきりって悪いと想像されます。駅ビル内だけで回遊を完結させる覚悟が必要です。

 一方、阪急と阪神は2店で一体となって収益を上げるという「スタンス」が明確になりました。全館完成後、阪神の売り場はまた大きく変わっていくと見ています。食料品も現在、阪急は3フロアですが、このままではないでしょう。その時に、阪神の業態がどうなるのか、心斎橋そごう跡の大丸北館がファッションビル化するその成果を研究する時間もあります。

 阪急の売上げを補完する役割が明確になっただけに、ジェイアール三越伊勢丹、梅田大丸がくさびを打ち込むニッチがますます見えなくなってきました。

                                                 (2009年9月4日)
  
■環境、建物、インフィルそれぞれの持続可能性

 NEXT21居住実験 長寿命住宅と暮らし・エネルギーを考える  の発表会から

 大阪では8月31日の月曜日、東京では9月3日木曜日、大阪ガスさんが94年から居住実験を続けている、実験集合住宅「NEXT21」の実験報告会がありました。

http://www.osakagas.co.jp/rd/next21/ へのリンク

 スケルトンインフィル、構造体と内装が分離できて、通常30年から50年で駄目になってしまう集合住宅を、しっかり100年持つ構造体をつくることで内装を入れ替えてライフステージが変わっても住み継いでいけると言う考え方でつくられた住宅の実験としても先導的な役割を果たしたプロジェクトです。

その中で興深かったのは、京都大学の高田先生が提示されたスケルトン100年の寿命を持つのに対し、300年の寿命持つインフィルもあるという問題提起でした。最近考えている住まいの中の長寿命製品のこと、大量生産の時代が終わった後の消費のあり方などの方向性からも腑に落ちるものがあります。

 生活の質をあげるのは住宅設備のスペックの向上だけではありません。湿度、温度、照度など環境のスペックをあげることはもちろん大事なのですが、数値化されることのない「愛着」が持続可能性を支えることもあるのだと思います。

 団地再生に「抵抗」する気持ちの背景

 ニュータウンが老朽化して再生が始まっています。働き盛りの時に入居した人々が高齢化し、オールドタウンとも揶揄されています。環境が良く、容積率にも余裕があるので事業としては比較的容易なはずなのですが、建て変えに反対する人が少なくありません。

 分譲住宅の場合、スペックが向上し、資産価値があがるのに例えば、容積率アップに頑なに反対したりされます。住まいの回りの環境についても持続性を求めているのでしょうね。

 街は変わっていものなのですが、根こそぎ入れ替えるのではなく、何らかの継続性が環境、建物、内装に必要なのでしょう。高齢者の施設で、昭和の時代の環境を取り入れて患者さんの気持ちのケアに活かしている事例がありました。

 愛着の「総和」が街の魅力

 ひとりひとりの住民の愛着の度合いが高く、かつ愛着を持つ人が多いほど街の持つ「魅力」が高くなっていくのかもしれません。大阪の船場地区などでは地元の小学校、中学校の卒業生の結束が強いので、シャッター通りと言われたこともありますが、街の風格を残しています。

                                                 (2009年9月3日)
■WEBとリアルのマリアージュのために

 編集のプロが指摘したWEB画面への工夫

 最近、WEB製作を仕事とされる方々にお会いする機会が多くなっています。HPの活用、HPを使ったビジネスについて、新しい手法や、新しいシステムについて沢山の事を語ってくださいます。なるほど、「新しい」手法は沢山あるのだなと感心するのですが、なんだか見にくい、見たくない画面が多いのも事実です。

 先日、紙媒体の編集をされている方がネット画面である工夫をすることで格段サイトが見やすくなったというお話を伺いました。
 このページをご覧ください。(すいません、あつかましくも私を紹介した記事を事例にして)
 http://gourmet.suntory.co.jp/zenkoku/trend/0812.html へのリンク

 画面の文章が2段組になっているでしょう。普通の雑誌では当たり前でも、ネット上ではまず見かけません。(当社のホームページも「ホームページビルダーのテンプレートを使っているので、よう変えられないのですが)
 ちょっとした工夫で、一覧できる情報量が増えて、わかりやすく読みやすい頁になっています。(ちなみにこのサントリーのグルメガイドのページはこの方編集するようになり、格段に閲覧者数が増えたようです。

 プロが馬鹿にして本気にならない中でWEBの影響力はどんどん大きくなる

 文章の配置や写真のレイアウトなど長年蓄積されたグラフィックデザインのノウハウを持ったプロの編集者の多くはWEBに冷淡です。従ってプロのノウハウが新しメディアで活かされることが少ないのです。

 また、WEBデザイナーの多くは、「新しい」技術の流行にはこだわりますが、今まで蓄積された知恵を学ぼうとはしません。結構唯我独尊的な人が多いのですよね。特にシステム系の人はシステムの都合に人を合わせようとさせる傾向が強いので、結果的に手間をかけてつくったシステムが使われないことが多くなります。

 それでも、WEBでの情報収集やWEBでの情報発信はますます増加し、そのウェートを高めています。

 百貨店とWEBの間にも同じようなギャップが

 小売業、販売のプロである百貨店の人とWEBショッピングにも同じようなギャップがあります。今、WEBで売れているのは、ロングテール商品ではなく、みんなが知っている商品を他と比較して安く売るサイトです。WEBクリエーターで販売のプロは、SEOをあげて、他と比較して安い商品を売ることで顧客のメールアドレスを集めることを戦略としています。
 「通販」のヘビーユーザーの名簿を集めるのと同じ理屈ですね。この分野のビジネスはありでしょう。いわばネット上のバッタ屋、ネット上のスーパー玉出、ネット上のアウトレットのようなビジネススタイルです。人のつくった「価値」で安売り商売をするパターンです。

 需要をつくり、新しいブランドを確立し、顧客との関係をつくっていく商売の王道はまだまだネットの世界では実現していません。たまに商売のうまいサイトを見ると元百貨店マンが独立して立ち上げた会社とかだったっりします。

 鳥取に万年筆を作りに行き、福井で眼鏡をオーダーメイドするのは楽しいのですが、もう少しだけ多くの人にその楽しみを分かち合える事が出来るのがWEBだと思うのですが・・・・あまりにもANALOGですか?

 当社にSEO対策のセールスをしてくるのは無駄です

 よく当社に、SEO対策とかそのようなもののセールスのお電話を戴きますがすべてお断りしています。
 このページは私がお顔を存じ上げかつ、お考えが共感できる方に向けて、少しでもお役に立てるように毎日更新しているものです。より、個人的な意味合いの強いお手紙のようなものですから、不特定多数の方にとっては「有害」な内容も含まれているからです。

                                                  (2009年9月2日)
■人が集まる理由と人を集める理由

 リピーターを動員できる集客施設が強い

 いくつかの種類の施設の年間の集客人数を比較してみました。都心のショッピングセンターの集客数が多いのは当然でしょう。郊外でも立地が良くて力のあるショッピングセンターは2000万人前後の人を集めています。このように種類の違う施設を比較するのは無茶なのですが、それでも入場料が必要な東京ディズニーランド、ディズニーシーはトップクラスの集客力を持っています。
 
 もうひとつ以外だったのは箱根温泉の集客数です。(施設と地域を比較してはいけないのですが)他の温泉地に比べて桁違いの集客人数を示しています。

 近い場所のリピーターをしっかりつかんでいるからこそこの数字になっているようです。箱根の2,000万人のうち、7割は日帰り客です。(ちなみに京都市の観光客5,000万人の75%が日帰り客です)

 神戸ルミナリエ 380万人動員には弊害も

 比較した中で、唯一のイベントが神戸ルミナリエです。短期間に380万人を集める動員力はさすがです。復興への祈りをこめて始まったイベントですが、地元ではそろそろその弊害を指摘する声も出始めています。
 百貨店ではこの時期万引きの数は増えるし、買い食いをした人が店の階段で座り込んで食事をするとかで、フェンスを建てて人が回遊できないようにしています。冬場のイルミネーションは各地で盛んになっていますが、ルミナリエの質はやはり圧倒的に高いモノですし、楽しみにしている人も多いと思います。
 とはいえ、ただ人が多いことで終わっているのは、神戸南京町の屋台の賑わいと重なる印象があります。人を集める事が目的となってしまっているように思います。テキ屋の屋台が儲かるだけでは街の成長にはつながりません。

 目的と手段を取り違えてはいけません。

                                                      (2009年9月1日)

 水都大阪2009は手作り感が横溢する親しみやすいイベントではあります。
 大切なの継続することです。市民に川を再認識してもらうことが大事なのです。まあ、あまり話題にならないとか、人が沢山集まらないことは、多分大した問題ではないような気がします。(あんまりお金を使ってませんしね)
   ・・・・何で夏真っ盛りにやらなかったのかな・・・・もう夏も終わりです。

  
図ー年間集客数の比較(2008年)


(月刊レジャー産業資料2009年8月号、販売革新、日経新聞等から収集加工)
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