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株式会社ANALOG   場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク 
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■2016年の仕事の現場で考えた事

この1年間、仕事の現場の中で考えていた事を近況報告がわりに書き留めておきます。

5つのお話をいたします。実際の仕事に即したものですが、ストレートには触れられませんので少しぼかした話になる部分はご容赦下さい。

1.まちづくり計画~コンテンツ形成を持続する為の「核」になるものとは」

2.事業者誘致のアプローチ~「ホテル事業」に参入する異業種の狙い

3.店頭調査の現場から~「現場力」の低下をくいとめるために

4.ビジネスとしての「食」と自分が食べたい「食」のギャップ

5.100年続くお客様との関係~中古再流通の促進が市場を再活性化する


1.まちづくり計画~コンテンツ形成を持続する為の「核」になるものとは

 

「まちづくり」の基本構想をお手伝いする事が増えています。

大事なポイントは「持続させるための仕組み」です。

補助金等を活用して「見栄えのいい成功事例」を真似した一過性のイベントを仕掛けることは簡単です。人を継続して呼び込むためには、継続して発信するコンテンツの「源泉」が必要です。例えば「歴史文化」、テーマパークだと「ディズニーキャラクターとその物語世界観」等。ここにしかない「源泉」があれば、切り口を変えて、あるいは深める事で新しい「情報」を発信できます。

 

 エリアの活性化で「図書館」が注目されています。私設図書館である「まちなか図書館」や民間図書館を運営しているNPO情報ステーションの事例を分析すると、図書館に集めた「本」の持つ「情報の集積力」が人を集める源泉になっていることがわかります。どんな「本」が集積されているかで、どんな「人」が集まるかが変わります。「本」が人を選び「人」が「本」を選ぶことで「文化」が生まれ集客の核になっていきます。~図書館では無く本屋ですが代官山のTUTAYA書店がわかりやすい事例かも知れません。

 ありがちなまちづくりの失敗は「頭数」を集めることしか考えていない事です。

2.事業者誘致のアプローチ~「ホテル事業」に参入する異業種の狙い

 地域開発計画の中で事業者誘致(物販・サービスの商業テナント、ホテル、医療関係、工場研究所等、商業中心ですが立地に依って多岐にわたります。)のお手伝いをすることが増えています。

  不動産開発事業として昔は安定性の高い「オフィス」や,収益力の高い「商業」が中心でしたが、最近は「物流施設」「ホテル」への投資意欲が高まっています。

 「ホテル」も関西では京都、大阪の都心部に立地需要が集中しています。京都では外資系のラグジュアリーホテルが話題ですが、一般的には投資コストの井低いゲストハウスやカプセルホテルの建設が目立ちます。宿泊特化型であれば運営コストを絞れますので、住宅系のデベロッパーなどの不動産系の事業者だけで無く、旅行サービスや情報出版社、ネットカフェなどからの参入も多くなっています。需要は拡大していますし、銀行の融資も降りやすいので市場の拡大を目の当たりにしている業種のかたがチャンスだと考えているのだと思います。

 今は規制緩和の流れにありますが,オフィスビルをコンバージョンした物件など「消防法」をクリアしているかどうか不明な物もありますので、どこかで火事が起きればグレーゾーンの物件への取り締まりが確実に強化されるでしょう。そんなに先の話ではないでしょう。

ホテル事業に参入するなら本気で人材育成するとともに、消防法は遵守しましょうね。

 3.店頭調査の現場から~「現場力」の低下をくいとめるために

 

大型複合施設の来街者調査(面接アンケート、計測調査)を久しぶりに企画実施から集計分析まで行いました。昔は毎年12月に梅田の某地下街の調査を10年間、毎年行っていましたが、久しぶりの現場仕事で体力と神経を極限まで使う心地よさを思い出しました。

 当該業務は無事に終了しましたが、現場仕事を終えた後に後日他の施設で行われていた来街者調査の現場の様子が気になって仕方がありませんでした。

 面接アンケートの調査員は沢山いるのですが、中々うまくいかないのか立ち話の私語を始め出しました。協力率は低下しているので大変だとは思いますが、来街者アンケートは声をかけないと調査は進みません。基本的に断られたら機械的に次の肩に声をかける「リズム」が大事なのです。自分の調査の余韻が身体に残っているのか、思わず調査員さんに私語を止めて声かけをするように指導しそうになりました。

 次の日、調査が進まなかったせいか、調査員の数が増やされていましたが、相変わらずの状況で私語をするグループが増えただけでした。おそらく現場管理者は1日の回収数という結果だけを見て「対策」をとったのでしょうね。管理者は現場に立たないとだめです。

 

4.ビジネスとしての「食」と自分が食べたい「食」のギャップ

 「食」に関する業務は開業以来多くのウェートを占めています。商品開発、業態開発、レストラン立地環境調査、商業施設の飲食街の基本構想等々。基本的に食べることが好きなのかも知れません。TVでも活躍されている藤本先生が一家をなす職人シェフを呼んで開催されていた「食のスペシャルセミナー」では食に関する講義を聴きながら試食をするという贅沢な経験もさせていただきました。また店頭で精米するお米の販売からおにぎりの販売で有名百貨店からルミネの最先端の店ニューマンにも出店されている米業界の風雲児「菊太屋」の東井太郎社長にも多くのことを学びました。

 

 その為か「話題になっている店舗」、雑誌やWEBで評判の店というのもストレートに受け止めることができません。

 商業施設のレストラン街を考える時には、まず、ナショナルチェーンの有名店、次にカジュアルダイニングなどの若手事業家が「ビジネスモデル」を作り上げた話題店、海外話題店の日本初進出などをラインナップとして考えるでしょうね。リーシングしやすいから。

 しかし、その中に自分がお金を払って食べたい店はどれだけあるのか?と考えると悩みますよね。「食べ物」を食べているのでは無く、「話題=情報」を食べているようなものですからね。

 もちろん「情報」を食べていると割り切ってお金を払うのはありですが、それだけでは続かないですからね。

 5.100年続くお客様との関係~中古再流通の促進が市場を再活性化する

 

天然木家具の中古再生使用を創造するためのお手伝いを8年近く続けていました。市場調査(アンケート、グループインタビュー)、展示会計画、検討専門委員会事務局運営、補助金活用の事務作業等々。

今年、成果の集大成を200枚のレポートにまとめて一旦区切りをつけました。後は天の時、人の和、などの機会を見て次に前に進める機会を待つのみです。

これほど長期にわたってひとつのテーマを追ってきたのは(百貨店を除いて)珍しいことです。良い勉強になりましたし次のステップで出来ることの準備も必要です。同業者では大手の「大塚家具」が中古家具再生事業を始めて好調なようです。環境配慮といった側面でも「エシカルな消費」が様々な分野で次の新しいビジネスのチャンスになりそうです。「シェアリングエコノミー」の可能性に注目ですね。

                                                                   (12月27日) 2016年の1年間の総括 再掲

 ■物販と飲食の融合で未来は開けるか
 
 売場面積の25%をレストランにする「バーンズ&ノーブル」(書店)の狙いは?

 アメリカの流通事情を紹介されておられるWEBサイトで、アメリカの大手書店「バーンズ&ノーブル」が11月22日に店舗面積の25%をカジュアルダイニングやフルサービスのレストランとした「バーンズ&ノーブルキッチン」を開業させたと伝えています。珈琲や軽食などの喫茶コーナーでは無く地ビールやワインも提供するカジュアルダイニ本格的なフルサービスのレストランで、価格帯もややお高めだそうです。
 サイン会やワインティスティング、ライブコンサート、著者を交えた食事会などのイベントで活用していくようです。

 実店舗はアマゾンのキンドルの影響で売上を落としています。実店舗への集客のために「食」に注目したのでしょうね。また単に「食」で集客するだけでなく、食を中心とした場所でのイベントでの活用が大事なポイントです。

 スーパーマーケットでもレストランを店内に導入した「グローサラント」(グローサリーとレストランの複合語)が注目されています。レストランの調理場をデリと共有していて惣菜も販売していることがポイントです。シェアが常駐している店もあるようです。ニューヨークの高級グルメスーパーでは随分前からそういった仕組みはありましたが,地方でチェーン展開しているスーパーマーケットで実践しているということが新しいポイントかも知れません。日本でもたびたび提案しましたし、真似していた店もあったように思いますが、続かないんですよね。

 日本でも真似するところがでてくるでしょうね。書店では無いですが、逆に物販や飲食の集客のために「図書館」「書籍」を利用しているケースは少なくないです。
(この情報はほとんど「激しくウォルマートなアメリカ小売り業ブログ」さんの記事の引用です。興味のある方は検索してみて下さい)

 物販と食の連携

 アパレルメーカーのジュンは来年春から「サロン・アダム・エ・ロペ」でしょくをきるいき食を切り口としや提案を強めます。実力派シェフを迎えて,ショップで提供する食品やメニューを開発したり、ECや卸販売、イベントのプロデュースに乗り出すそうです。新プロジェクト「フードラボ」の始動です。
 開発したスイーツの販売やオリジナル食品と雑貨を組み合わせたギフトセットの開発、飲食店のスタッフ向けのユニフォームの提案などで販路開拓に活かします。ファッションと食の連携ですね。さすがに店内にレストランとまではいかないようですが、雑貨の品ぞろえの中でオリジナルの食品を活用しようということでしょうか。

 「本と暮らしと食卓」

 インテリア雑貨店「ジョージス」を運営するウェルカムはグループ会社の「ディーン&デルーカジャパン」と経営統合し生活雑貨、服飾雑貨、アパレル、ステーショナリーに加えて新たに「書籍」を導入さらに食物販とカフェのノウハウも一体化した「本と暮らしと食卓」をテーマにしたコト提案を強めていくようです。

 ※「ディ-ン&デルーカ」はアメリカのデリカ店

 書店業界は不況にあえいでいますが他業態からは引っ張りだこですね。本といえば「代官山TUTAYA」について社長の増田さんが売上好調とWEBサイトでの取材に応えておられました。本だけで無く雑貨やカフェの品揃えに特徴があり、利用する有名人も度々目撃されています。確かに面白い店ですよね。ただ少し引っかかります。
 TUTAYAが運営し賛否両論を読んでいる佐賀県武雄市の図書館で特に問題になっているのが、本の分類です。探すのも大変だし,在庫管理メンテナンスもも大変そうです.。法則性の無いユニークな分類基準が原因です。それは一方で個性であったり面白さでもあるのですが…。いっそ、ドンキホーテやビレッジバンガードのようにMDを属人的なものと割り切り、担当者に全責任を委ねるという方法であれば続けられます。「TUTAYA代官山」を全国展開はできないでしょう。立地ごとのカスタマイズが必要な業態ですし、人的資源が足りないのです。

 百貨店のオーバーゾーニング、売場を超えた商品編集でも続かないのは在庫の管理、補充がややこしいのと、分類が共有化できないからです。(日本でMDがトップクラスの百貨店でも、オリジナル商品の売場の在庫がバックヤードで山積みになっていたそうです~特に雑貨は基本的に買取ですからね)

 見た目が面白い、あるいはユーザーの感覚にあった品揃えは,最初設定するのは「面白く」かつ「楽しいですが」、それを365日継続する。在庫を管理し売れ残りを処分しながら利益をあげる仕組みが伴わないと継続しないのです。

 アパレルと雑貨、食料品などうまくコーディネートされてれば素敵な売場になりますが、それを多店舗展開したり続けて行くには恐ろしい労力が必要です。それでも「やる」という覚悟が必要です。

 「それは続けられるか」
 「それは利益をあげられるか」
 「それはお客様のニーズにあっているか」(価格を含めて)

 何度も自問した方がいいでしょう。おそらくこの記事で紹介した「面白そうな取り組み」はほとんど続かないと思います。

 たとえば、飲食店でお客様に喜んでいただき利益を出し続けることがどんなに大変か?(新しい取り組みをしている某カジュアルダイニングを視察してランチを食べましたが味は???でした)
                                                                                  (12月21日)

 
 ■困惑を呼ぶ「千里セルシー」店じまいの動き
 
 「千里セルシー」半数閉店へ 12月20日(朝日新聞)

 千里ニュータウンの中心である千里中央地区の「千里セルシー」での店舗閉店の動きが,朝日新聞に掲載され話題になっています。地元では随分前からテナント店舗の閉店のお知らせが話題になっていました。どう変わるのか、いつ変わるのかの情報が全く無く、「タワーマンションになるのでは」といった噂が飛び交っていました。朝日新聞の取材でも「誰が」、「何を考えているのか」が、明らかにならないのは不気味ですね。

 1972年の建築で老朽化が進み、千里中央地区も「よみうり文化センター」の建替などで新しい競合が出現するので、「建て替え計画」「リニューアル計画」があってもおかしくは無いのですが、管理運営を行っている「阪急阪神ビルマネジメント」も登記上の所有者である「三井住友信託銀行」も何も知らされていないという秘密主義は,憶測と困惑を呼びます。対テナントの交渉を有利に進めるために契約ぎれの店舗を閉鎖して、スラム化させて徐々に契約解除を進めるやり方は地元住民や行政の反発を呼ぶでしょう。この施設は開発当初から民間の所有なので、計画を公表することであまり制約を受けたくないのかも知れません。東京のファンドが主体なので、地元との関係性はあまり重視していないようですね。その延長で考えると、用途は商業・サービス系と言うより、今の時点で収益率が高い「ホテル」または駅ウエ立地鉄板のの「タワーマンション」なのでしょうね。

 とはいえ、この敷地は隣接する「せんちゅうパル」(1991年まで(財)大阪府千里センター~1991年以降(株)ザイマックスが所有/運営)と敷地や建物の躯体が入り組んでいるので行政を交えた調整が必要になってくるはずです。いつまでも水面下の活動では無理があるでしょう。

 地元、豊中市は「千里中央地区活性化ビジョン」を策定していますが、そこでも「千里セルシー」についてはあまり踏み込んで触れていないので、もともと意思疎通がうまくいっていなかったのかも知れません。

 「千里レジャーセンター」として生まれた「千里セルシー」

 ローマのコロッセオを模したといわれる「千里セルシー」はその広場でアイドルや氷川きよしクラスの歌手がイベントを行うことで有名です。今回の報道でもアイドルのファンの反応が高かったことからもある種の「聖地」だった事がわかります。

 1972年、ニュータウン中央地区のレジャー施設の設置に際して阪急グループ、映画関係、総合商社、ゼネコンなど6社からの提案がありました。当時はボーリングブームでボーリングをメインとした提案が多かったようです。

 最終的にゼネコンのフジタ工業を中心としたグループの提案が採用されました。下図のフロアマップにあるように、ボーリング場を中心に
6F 展望レストラン,屋上庭園
5F スカッシュ、ホール(200席)
4F 文化教室、アスレチッククラブ
3F 子供遊園地(セルシーランド)、屋外プール
2F ワールドスナック、ビューティサロン
1F バザータウン、自動車ショールーム、インドアゴルフ場
B1F レストラン、パチンコ、映画館、サウナ、麻雀、サロン、クラブ
など大アミューズメントゾーンだったことが偲ばれます。延床面積は5万㎡に及びます。

 1977年にはボーリングブームが終わり、空いたスペースをダイエー千里中央店が埋めます。4,000㎡ほどの中型店ですが売上効率はトップクラスだったこともあります。

 2001年にフジタ工業グループから (株)オーエスディー銀座ビルに売却され、大改装が行われました。中華料理店を集めたフードテーマパーク「千里中華街」が開業したのは2002年です。その間、所有者が替わり、不動産小口証券化され2007年には「千里中華街」も閉店します。

 商業統計でみると「セルシー」の売上は97年の104億円から、2002年には77億円、2004年には74億円。2007年には73億円となっていますから、投資の効果は無かったのでしょう。

 「セルシー広場」は民間の所有だからこそ柔軟にイベントが開催されてきたので、高い評価を得てきました。千里中央のシンボルとも言える空間なので、どのような用途転換がなされるにしてもぜひ、残して欲しいものです。

 できるなら「せんちゅうパル」と一体化して「西宮ガーデンズ」のようなSCにできれば不動産価値があがるのですが…。

                                                                                   (12月21日)
 

表ーセルシー開発年表
年表セルシー開業当時のフロアマップ
 ■「ネーミングライツ」入札が不調な理由
 
 ネーミングライツ(公共施設への命名権の販売)の誤算

 
もともと企業は広告料としてのコストパフォーマンスを考えて命名権料を支払います。いくつかのニュースで自治体の公共施設の命名権料の入札が不調と伝えられていますが、もともとはTVで中継されたりニュースになるプロスポーツ施設だからこそ、年間数億円の命名権料を支払っても元がとれます。施設への直接的な集客だけでは数億はだせません。(甲子園球場のスコアボード横の広告看板でも年間2,100万円程度です)

 自治体が公共施設のネーミングライツについて、「プロスポーツの十分の一の集客数があるから数千万円の価値はあるだろう」と考えるのはあきらかな思い違いです。

 公共施設のネーミングライツの相場は、県立体育館クラスで300万円(滋賀県立体育館)、文化施設で1,000万円(立川市市民会館、山形県民会館)、公園で数十万(滋賀県民の森)程度です。

 ネーミングライツの導入のデメリットはいくつかあります
・公共施設の公共性への信頼感が薄れる
・スポンサーに不祥事が発生した場合のイメージダウン
・契約者変更時の名称認知の混乱
・景気動向に左右されスポンサーが決まらないことmoaru

 千葉マリンスタジアムもスポンサーの都合で「QVC」が途中で契約を解除、「ZOZOタウン」に入れ変わったという事例もあります。

 そのリスクを負ってまでネーミングライツを導入するかどうかは、自治体の判断になりますが、民間の力を取り入れていますよというアピールのためのポーズに重点があるように思います。

                                                                                (12月20日) 

市立吹田サッカースタジアムもクラブワールドカップや天皇杯決勝などTVでの露出が増えているのでパナソニックに命名権料を早くうれば良かったのにと思いますね。


ネーミングライツについては「まちづくりに図書館が果たす役割をシェアリングエコノミーから考える」(都市研究センター)と「仮称長野市民文化芸術会館運営体制検討委員会資料」を参考にさせていただきました。
 ■うぬぼれている程に満足度が高くない観光地はどこ
 難波・心斎橋は地域の住民が思っているほど観光客に満足されていない

 
JTBの全国調査によると、大阪の「難波・心斎橋」、「梅田」は地元の人間が想像しているほど観光客の満足度は高くありません。観光地、都市の中でも満足度が低く、同じような都市部の「浅草・上野」や「神戸」 に比べても低くなっており,観光客の満足度は5割を切っています。
 「梅田」は」地元民にとっても観光地としてのイメージは無いのですが、「難波心斎橋」は観光客で賑わっている大阪の名所という自負心が地元の人間にも強いだけに」ショッキングな結果ですね。

 考えられる理由としては外国人観光客が多い事で国内の観光客が敬遠している?という可能性がありますが、もともと観光客でなりたっていたエリアですから、その原因はもっと根深い所にあるように思います。

 当社のイメージ調査でも地元民の「心斎橋」が好きという比率は低下しています。

 大阪のシンボルとして難波・心斎橋がTVなどのマスメディアに取り上げられることが多いので、「観光客」のおすすめと考える人が多いのだろうと思います。そう思い込んでいても実際の満足度は低い。
 当たり前の話として、自分達が「好き」で無いような魅力の無いエリアが「観光客」に満足してもらえるかどうかを考える必要があるでしょう。…国内の観光客だけでなく、海外の観光客にもやがて飽きられるだろうと考えた方がいいでしょう。

                                                                                     (12月19日)
 図  住民の考える観光客の満足度(縦軸)×観光客の満足度(横軸)
 分布


JTB地域インデックス調査 2016年 全国の主要観光地,都市への消費者のイメージ満足度調査  JTB総合研究所の「住んでよし、訪れてよしは実現しているか」より
データを拾いだし当社で作図したものです

図-2 地元民 好きな街 推移
グラフ 「新なにわ考現学2014」analog  2005年以前は「なにわ考現学」より 大阪通勤者調査
 ■プランタン銀座の退場と「OLファッション」の終焉

 今月末銀座の「プランタン銀座」は無くなります

 ダイエーが百貨店業態挑戦の為に作られた会社がプランタンでした。1号店が開店したのは1981年神戸三宮。プランタンの社長は元三越の田辺寿氏でした。三越では岡田茂氏がワンマンとして君臨し、坂倉芳明氏(西武百貨店へ)など人材の流出が続いていた時期です。1982年に岡田氏は役員会で解任されます。

 1984年に銀座に開店したプランタン銀座はプランタンの中で唯一成功した店と言われていました。2002年にダーエーの経営悪化で地主である読売新聞に株式が売却され、その3割が三越伊勢丹の所有となり経営者は三越伊勢丹から送り込まれていました。それ以降ピーク時の2006年には250億円の売上がありましたが、2016年2月期には150億円まで落ち込んでいました。

 20代の働く女性のファッションに強みを持ち、店舗面積が狭い分ターゲットを絞り込んだMDで地域の中で強い存在感がありました。バレンタインのチョコも強かったはずです。

 近年、マルイやルミネと入った競合店が銀座地区に開業。OLの通勤服として「コンサバ寄り」のファッションが強かったプランタンはOLファッションのカジュアル化に伴い強みを失っていきます。

 ユニクロ、ニトリの導入でプランタンは個性を失った

 2012年にユニクロの女性専門店を導入、2015年にはニトリもテナントとして導入しました。8~15万の中価格帯のソファを充実させたニトリは好調ですが、プランタン(仏)の求める高級路線、ファッション路線との乖離で契約が打ち切られることになりました。

 来年3月には隣接するビルと揃えた「マロニエゲート」として再スタートします。9割が賃貸テナントとなるため従業員を100人削減し,40人体制で臨むようです。

 店舗としてはインバウンド需要対応という構想もあったようですが、最近の市場変化で方針は変わったと言います。衣料品売り上げを8割から5割に縮小し、化粧品、雑貨の比率を5割にあげるといいます。コト消費への対応としてヨガが出来るイベント広場、イートインスペースをつくるそうです。

 これは、あまり良くないパターンの改装ですね。うそでも期待感を持たせる再スタートにしないと。

 恐竜は鳥へと進化して種を残しました。百貨店の撤収、業態転換で一番の悩みは従業員の処遇です。100人も首を切るのならもっと思い切った業態転換を考えることも出来たでしょうに。

                                                                                     (12月15日)

 19日の朝日新聞で「ニトリ」が取り上げられていました。丁度ニトリにフォーカスを絞った記事を掲載する予定でしたが取りやめます。百貨店内で「ニトリ」を導入する動きが加速しています。「家具」「日用品」は坪効率が悪いので百貨店が切り捨ててきたアイテムです。百貨店はかつては「家電製品」や「実用衣料」「書籍」「おもちゃ」も取り扱っていたのですが、どんどん無くなってきています。
 「家具」は都心から離れた別館や「催事」での販売に移行していましたが最近は「家具」の「催事」も無くなってしまいました。ただ、都心での「家具インテリア」を見たいという需要はあります。
 今回のプランタンは業態が変わるのですが、「百貨店」の中に「ニトリ」を取り込むと言うことは少し無理があります。「ユニクロ」がファッション性を高めて価格をあげようとして失敗したように「ニトリ」の顧客が「ニトリ」に求めるものは低価格の利便性です。不動産事業としては家賃を払ってもらえればそれでOKなのですが、「百貨店」ないしは「百貨店の看板で行う不動産事業」では、「顧客像」及び「顧客が求める価値」の見極めが重要になります。

 ニトリサイドに立って考えると郊外で「ニトリモール」を運営しているように都心でも「ニトリビル」を運営し、ニトリの顧客にあわせたMDで統一した方が効率はあがります。

                                                                                  (12月19日)


 ■宿泊施設の需給の逼迫と参入事業者について
 
 これから伸びるアジア系外国人の宿泊需要?

 神戸のホテル市場についてのデータです。現状、日本人観光客が中心です。2030年に向けて大阪市、京都市ではアジア系外国人の宿泊需要が伸びると予測(日本政策投資銀行)されていますが、神戸市は伸びても200万人泊で不足室数もそれほど多くありません。(図-4)

 アジア系の観光客数が増加するという予測の基礎は、高所得層の増加が訪日観光客を増加させるという読みです。

 新規参入者の参入障壁とは

 11月10日の京都のホテルについての記事でも触れましたが、多業種からの参入が目立ちます。

 出版社(リーフ)や旅行会社(フリープラス、ホワイトベアファミリー)、住デベロッパーや輸入車販売会社(八光自動車)、ネットカフェ(自遊空間)、レストラン事業者等々。
 特に「ゲストハウス」業態は完全に把握出来ないほど増えています。東京では小田急電鉄がホステル業態に興味を示しているようですね。

 国土交通省が三大都市圏でホテルなどの宿泊設備の整備のための低利融資を実施しています。銀行も融資先を拡げるために積極的です。

 「ホテル」への投資は、回収に時間がかかるのでかつては長期の資金運用を行う「生保」の独壇場でした。現在は、オフィスや住宅より「利回り」が良くなっています。需給バランスの影響でしょう。参入障壁もだんだんハードルが低くなっています。

 フルサービスのホテル事業は「人材」の育成に時間がかかります。ホテルマンは流動性が高いとは言え、急激に店舗は増やせません。最近のホテルは宿泊特化型が中心なので、社員のスキルの幅は限定されます。スーパーホテルのような業態であれば「ワンオペ」が可能です。チェックイン、チェックアウトは自動ですし、リネンや清掃、警備はアウトソーシングで対応出来ます。
 同じようなホテルでも「帝国ホテル」やかつての「リーガロイヤルホテル」のようなサービスが価値であるようなホテルとは同じように見えて別の物です。オートクチュール(注文服)・プレタポルテ(高級既製服)とユニクロほど違います。

 「百貨店」や「シティホテル」にかつてあった、緊張感とわくわく感は「豊かさ」とも表現されるもので、それは失われつつあるものなのでしょう。

                                                                                        (12月14日)
図-1 延べ宿泊数推定(2015年)   千人泊                   図-2 延べ宿泊数推定(2030年)  千人泊
 161162
 図-3 客室数需給ギャップ推定(2015年)   室                 図-4 客室数需給ギャップ推定(2030年)  室
 163164
  ※プラスが過剰マイナスが不足

 「関西4都市宿泊施設業界調査」日本政策投資銀行関西支店 2016年8月 より
                                           
 ■神戸に外資系ホテルが集まらない理由は?

 理由は単純に考えて、年間宿泊者数が京都の半分、大阪の三分の一という市場ボリュームが少ない事に原因があるのです。大阪に近すぎるというのもデメリットなのかも知れません。団体客が好きな買物スポットも無かったですからね。これからは団体で無く個人客中心になるので,神戸の巻き返しに期待したいところです。歴史文化を持った奈良の方を外資系のホテルは立地として選ぶのでしょう。

 神戸と言えば、「六甲山ホテル」を阪急阪神ホテルシステムズは八光自動車に売りました。近代化産業遺産なのですがね。ちなみに「六甲オリエンタルホテル」は2007年に閉鎖されています。鉄道会社はビジネスホテルは得意ですが、リゾートホテルの経営は又別のノウハウが必要なのでしょう。京阪電鉄の「ロテルド比叡」も星野リゾートが運営するようになっています。

 横浜が外資系ホテルに人気なのは、大きな展示場もありますし、地価の上がった東京に比べて開発の余地があったのかもlしれません。
 
 関西は京都、大阪、神戸がそれぞれの個性で輝くことで、首都圏と違った魅力が醸し出されます。神戸には頑張って欲しいものです。

 ~本当にポドルスキー(ドイツ代表)をとれたらいいですね。

                                                                (12月13日)
 表ー神戸市のホテル開発計画 2017年以降
 神戸ホテル計画
 ■大阪のホテル開発動向~多様な業種からの参入は市場を変えるのか?

 大阪市内でのホテル建設は今年から来年にかけてピークになるとピークを迎えます。ずっと以前から注目されていた中之島の京阪電鉄の開発や南堀江の住友倉庫の開発は動きがありませんが、特に異業種からの参入の動きが活発です。何故でしょう?

 インバウンド需要に対応するホテル開発の舞台は、地代があがりすぎた「なんば・心斎橋」から「日本橋」へと戦場を移しています。カプセルホテル、ホステル業態などのエコノミーな宿泊施設が、IT企業や住宅関係の不動産会社によって開発されています。フットワークのいい企業に対して銀行の融資が後押ししているのだと思います。(ただ、これはバブルの時の構図に似ていますね。銀行が資金を貸したがる時には注意が必要です)

 2018年以降、オリンピックに向けて(といっても関西はあまり関係ないですが)ヨドバシタワーの1,000室のホテルやJR西日本の400室のホテルなど大手資本による大型開発が進みます。また御堂筋にオービックのビルのホテルや南御堂のエクセル東急などの好立地のホテルが開業します。

 大阪万博はまだまだ実現性は不明です。カジノリゾートも基本的に施設内のホテルで完結するので、今以上の宿泊客のONはないでしょう。とはいえ今は不足している状況ですから、ある程度のキャパシティ拡大は必要だと思います。ただし、今来ていただいているお客様に何度もリピートしていただける工夫がないと飽きられます。

 その意味でユニバーサル・スタジオ・ジャパンの誘致は大成功でしたね。旅行者に人気の「大阪城」のパークマネジメントも頑張って欲しいですね。真田丸が終わった後も…。
                                                                                   (12月12日)

 南港の大阪府庁に某ホテル企業が関心を示しているそうです。高層タワーはやはりホテルが一番使い勝手がいいのでしょうね。手を上げているのはホテル出店に熱心なのはあのグループでしょうか…。

 
 図ー大阪市内 2016年に開業したホテルと今後開業予定のホテル

 ホテル開発マップ大阪

表ー大阪市内 2016年に開業したホテルと今後開業予定のホテル
大阪ホテル開発
※12月12日にアップした表を13日にアップデートしました 分布図は未修正です
新聞雑誌の報道を元に(株)analogで作成
 ■「成功事例」を正しく読み取る作法
 
 「地方創生」の「成功事例」から学ぶためのあなたの色眼鏡の外し方~広告代理店的なあまりにも広告代理店的な

 当社では「B級グルメ」や「ゆるキャラ」のような広告代理店が好きそうな「一過性の賑やかし」による「まちおこし」「地域活性化」について一貫して警鐘を鳴らしてきました。(というても誰が聞いているねん)地方創生はブームなのか、国の補助金が沢山投入されている「新しい公共事業」(但しバラマキ型の)所為なのか、ITCの活用やタレントの活用、イベントの活用等々「ITゼネコン」(カルテルを来んだ大手IT企業さん)と広告代理店さんが一体となって沢山の「成功事例」が世の中にあふれています。

 新しい「IT」の バズワード(流行語)を聞かされると、大手企業のトップや行政のトップも、よくわからないけれど凄いことだと勘違いして財布のひもが緩むようです。(今回のDNAの「キュレーションサイト」の不始末に関するマッキンゼー南場社長の「記者会見を聞いて、ITの有力企業〈実態はゲーム配信業者)のマッキンゼー出身の社長でさえ「良くわかっていない事業」〈詐欺ですけれどね)にGOを出したことは衝撃的でした。私たちはこの経歴、業界の人ならわかっているだろうと言う「認知バイアス」にとらわれています。特に「IT系」の流行語には要注意です。小売り業でセブン&アイズの会長が首になったのも「オムニチャネル」が成果を上げなかったからだと見ています。息子さんが「ITゼネコン」の人だったと思います。〈具体的な企業はうろおぼえです)

 東欧経済新報社から発行されている「地方創生大全」〈木下斉)は自行の実践者の立場から地方創生の「成功事例」の構造を説きあかした好著です。
 まちづくりや地方活性化について調査する時、大手シンクタンクでは無く零細シンクタンクである当社は、予算的に実際の取材は叶わないので官公庁のまとめられる「成功事例集」をまとめることが多いです。〈現場が大好きなので、本当は現場に入り込みたいのですが)この本では批判される側なのですが肯ける点も多いのです。ご自分達の失敗事例はあまり触れておられませんがね。(いけずやね)

 役所がまとめたり雑誌やムック形式でまとめられる「成功事例集」ではどうも話がキレイすぎる、うますぎると感じる事が多いので参考にする時に気をつけているポイントがあります。

1.読む人は自分の見たいモノを見る~自分が欲しい結論を「成功事例」に求めてはいけない
2.役所は「本能的」に自分達のお手柄をクローズアップしたがる~罪悪等という糾弾モードでは無く、基本的な行動パターンとして,解釈の前提としておく
3.何が「成功」化の基準を自分で設定して精査する~本来はお金や集客数といった数値化できるものですが数値化できない「成果」も検証する
                                 変な数値目標の設定は却って本当のことを見えなくします。
4.「流行もの」は簡単に意図を伝えるには役に立つが、あくまでも一時的に利用できる期間限定の効果と自覚されているかどうかを読み取る
          単に流行り物に弱いお調子者の人ばかりで無く、組織の中で多くの人の合意形成のために仕方なく流行り物を引用する人も少なくないようです
   

 とりあえず以上の4つのポイントですが、気が向けば具体的な事例に即して続きをまとめていきます。

                                                                                            (12月9日)
 ■TOKYOジャイアンツタウン~ボールパークという新しい集客施設
  
 ボールパークの楽しみ

 東京都稲城市に観客席にに天然芝席やテラス、デッキを設置し食事やBBQを楽しめるようにした球場が2023年3月に完成予定で建設されます。商業施設も設置されるようです。京王線のよみうりランド駅の近くでゴルフ場や遊園地(よみうりランド)も隣接しています。

 読売巨人軍(東京都千代田区大手町1-7-1 代表取締役社長・久保博)は、読売ジャイアンツ球場(神奈川県川崎市多摩区菅仙谷)に隣接する東京都稲城市に4万1900平方メートルの土地を取得し、ファーム専用球場を新設します。稲城市の南山東部土地区画整理組合(森俊勇理事長)と当球団で24日、土地売買予約契約を締結しました。新ファーム球場は、天然芝の観客席やテラス席、デッキ席など備え、新たに商業施設も併設し、野球観戦だけでなく都民の憩いの場としてお楽しみいただける「TOKYO GIANTS TOWN(仮称)」とする構想です。組合による造成工事の本格開始はこれからです。新球場の建設着工は関係機関との協議を踏まえ2021年3月末、完成は2023年3月末を目指します。新球場が完成した時は、現在の読売ジャイアンツ球場は、主に3軍のグラウンドとして使用していきます。(読売巨人軍公式サイトより)

 ファーム専用とは言え人気球団の選手の生の練習や試合を観戦しながらバーベキューができるというのは、ファミリーにとっては新しいレジャーになります。宮城を中心にしたまちづくり「ボールパーク」は日本各地で新しい動きを起こしています。

 広島カープの本拠地「マツダスタジアム」はクッションやバーベキュー席等の多彩な観客席で有名です。ボールパーク構想の下、球場周辺の商業施設開発も一体となって進められていてボールパークの魁となっています。
 現在横浜スタジアム、福岡の「ホークスタウンモール」の再開発、北海道日本ハムファイターズの本拠地移転先についても商業施設が併設され、それぞれの形でボールパークを目指して開発が進んでいます。数万人の観客が一度に集まると商業施設としてはうれしい反面、困った事も少なからずあります。急いで帰宅されるとお金を落としてもらう時間がない。1日ゆっくりと楽しんでもらうのが理想です。

 一軍の試合がメインであると、大量の集客をいかにさばくかという課題がありますが、2軍で試合や練習であればトップチームほどの混乱はありません。

 グランピング(贅沢キャンプ)などアウトドアレジャーが注目されています。のんびりとキャンプしながら「一流の選手」の練習や試合を楽しめる。休日の過ごし方としては悪くない選択肢ですね。
 どんなサービスを提供して、どうお金を消費してもらうかは立地や観客層によって異なりますが、プロスポーツの観客をまちづくりに取り込むのは面白い手法です。

 サッカーのJ3リーグのように、独立リーグとNPBの2軍チームとのリーグ戦を開催し、独立リーグを解雇された元プロ野球選手の再挑戦の場とするとか…真剣勝負のコンテンツはいくつか開発出来るのではないでしょうか。

                                                                      (12月7日)
 ■百貨店生き残りの為には「非百貨店事業」の収益強化が必須~がんばれ阪神百貨店
 
 「窮地三越伊勢丹」?不動産事業には似合わないイメージ


  日経MJの記事をみてびっくりしました。国内の百貨店ではおそらくナンバーワンの実力を持つ「三越伊勢丹」の旗艦店新宿伊勢丹本店の売上げが前年比4.7%減だというのです。新宿高島屋がほぼ横ばいだったのと比べて、落ち込みが顕著ですね。2013年の改装でブランド別の売場を編集し通路を増やして売場面積を15%減らしたことで顧客に戸惑いが見られるようです。「ファッション性が高いが値段も高い商品が多く手が出ない」と,他店に流れているようです。
 三越伊勢丹の売上げの2割を占める旗艦店の不振はグループ全体に大きなダメージを与えます。「ファッションで評価いただけるように再チャレンジ」という事で改装計画を前倒しして再チャレンジするそうです。
 海外でも,シンガポールでは髙島屋は東神開発と一体となったショッピングセンター開発で売上を578億円稼ぎ日系百貨店の「優等生」と言われているのに対し,伊勢丹の店舗は遅れをとっています。

 百貨店の中で古くからショッピングセンター開発を行っている「東神開発」をグループに持つ髙島屋は強みを持っています。三越伊勢丹HDの百貨店事業の割合は92%、大丸・松坂屋を経営するJフロントリテイリングは66%(パルコの買収が大きいですね)、髙島屋が88%。髙島屋の百貨店事業の利益は5割弱と不動産事業が支えています。これはイオングループがGMSでなくSC事業のイオンモールで稼いでいるのに似ていますね。

 三越伊勢丹グループは新宿のアルタや名古屋のラシックなどの個店はありますが不動産事業としてはあまり実績はありません。ブライダル、飲食事業などで外部とのR典型を深めるそうですが今後顧客のニーズが非物販に拡大していく中で、不動産運営事業が弱いのは致命的かも知れません。

 セブン&アイホールディングスはSC運営の「モール・エスシー開発」を「セブン&アイクリエイトリンク」に変更し不動産開発事業を加えました。GMSや百貨店の老朽店舗を再開発しマンションや医療機関、老人ホームや託児所と食品スーパーを組み合わせた形に転換するそうです。

 阪神百貨店の生き残り

 ある時期4つの百貨店が妍を競っていた梅田ですが、ルクアイーレの改装で三越伊勢丹のカラーがますます薄まって行きそうです。「百貨店市場」が確実に縮小いていく中で残った3店の中でも現在建て替え中の阪神百貨店がどのような店舗になるのか注目されます。
 
 2006年に阪急電鉄と阪神電鉄が統合して阪急阪神ホイールディングスが誕生しました。百貨店も2007年に持ち株会社をつくり、2008年に百貨店は合併しました。エイチ・ツー・オーリテイリング(株)は合併した(株)阪急阪神百貨店だけでなく阪急オアシスや阪急ニッショーストアなどを傘下にいれた流通グループとなりました。最近ではイズミヤの経営統合や関西スーパーとの提携で流通小売り業の幅を拡大しています。先般の西武百貨店、そごうの店舗買収によりセブン&アイとの連携も強化されます。

 阪神百貨店は食料品売場に強みがありますし、阪急百貨店が意図的に縮小している大衆性のある価格帯の商品に強みがありました。京王百貨店と同じくシニアに強いのも特徴です。改装後もその路線は継承されるでしょう。

 ただ、改装前の床面積で、投資を回収できる売上を確保できるかどうかは難しいでしょう。耐震補強でやりくりするという範囲であれば全く問題はなかったのですが…。非オフィスの床で百貨店ではない商業、その他不動産事業の運営で収益を上げる体制をつくるべきでしょうね。
 阪急阪神グループ内にPM事業を行っている企業はありますが、あまり拡がっていませんしね。阪急阪神百貨店グループとしても不動産事業に本格的に取り組む必要があります。今、元気のいいJRとは違った不動産開発が出来ると思います。

 阪神百貨店の社員さんは、かつてディアモール大阪を運営されていましたしね。

 三越伊勢丹、大丸松坂屋、阪急などトップクラスの百貨店さんが不動産事業については、今ひとつ強みを発揮できないのは、何か共通の理由があるように思います。
                                                                                           
                                                                                            (12月6日)
 
 ■京都線と神戸線~鉄道のカラーの違い
 
 神戸線と京都線 イメージの違い

 「おしゃれな住民が多い」イメージが強いのは圧倒的に阪急神戸線です。JR神戸線も同じJRの京都線に比べて「おしゃれな住民が多い」イメージが高いのですが、「庶民的なイメージのある街」でもポイントが高くなっています。JR京都線にいたっては利便性評価や利用率は高いのですが、際だった個性はありません。
 阪急京都線についてもあまり個性はありません。阪急が沿線サービスを充実させて深耕していくと戦略を立てていますが、神戸線、宝塚線が中心で京都沿線での動きはいまひとつです。駅ビルや高架下の開発も遅れています。
 JRに関して言えば吹田の操車場跡地の開発が進めば岸辺駅、吹田駅中心に駅周辺は様変わりするはずです。阪急は系列の百貨店が京都から撤退して以来、京都方面に拠点がありませんでした。高槻西武を買い取ったことでグループとして商圏戦略の再構築を図るのだろうと思いますが、神戸線沿線の「ホーム」アドバンテージに比べて,京都線沿線でのアウェイ感は否めません。ここしばらく周辺を歩き回ってJRの方に駅周辺のパワーを感じます。(図-1,2)

 JR利用者の特性とイメージ

 JR西日本のハウスエージェンシーJR西日本コミュニケージョンズが公開している媒体資料に鉄道や駅利用者の構成比が掲載されています。

 JR京都線は30~50歳代の男性、男性勤め人が多く、逆に女性10~40歳台の比率が低くなっています。(図-3)イメージとしては「目的地に早く着く」「利便性がある」という評価が高くなっています。

 JR神戸線は女性10~40歳代や男性10~20歳代の比率が高く、男性30~50歳代の比率が低くなっています。(図-3)沿線のカラーが違っていて面白いですね。イメージでも「目的地に早く着く」「利便性がある」に加えて「都会的」というイメージが2割以上あります。

 大阪、京都、三ノ宮(神戸)の駅の利用者の構成比も鉄道沿線と似た傾向があります。(図-4)女性はJR京都線、JR京都駅をあまり利用しないようです。京阪電鉄や阪急電鉄のデータがあれば面白いのですが、JRはその早さと国土幹線(新幹線)との連絡でビジネスマの利用を獲得していますが、買物や遊びの「自由移動」では運賃の安い私鉄に流れている…とも考えられます。

 関西でマーケティングをやってきた経験で言えば神戸の人も京都の人も「大阪」の悪口をいいます。とはいえ、神戸というか「阪神間」の人は大阪・梅田周辺に遊びに来ることも多いのです。ところが京都の人は同じような時間距離でも大阪まで遊びに来ることはあまりありません。そこははっきり違います。更に言えば、京都市内でも三条、四条で遊んでも「京都駅周辺」には足を伸ばしません。京都人の行動範囲は極めて狭くてかつ頑固です。だからこそ、関西で圧倒的な知名度の「阪急」でもアウェイなのです。

 JR沿線には草津から高槻,吹田までハイテク企業が多く「研究職」の比率も高かったりします。JR京都伊勢丹の成功を支えたのはそれらの新住民です。
:
 阪急が京都線沿線をドミナントにしたいなら「ホーム」でのやり方を踏襲するのでは間違ってしまうでしょうね。

 天王寺と大阪駅


 同じJコミのデータで大阪駅と天王寺駅の利用者層を比較して見ました。(図-5)ああ、やはり天王寺は「高校生」と「老人」のまちだなとあらためて実感させられます。

                                                          (12月10日)

元データに興味のある人は「JR西日本の路線と駅」でググれば媒体資料が公開されています。
 図-1 阪急京都線と神戸線の沿線イメージ比較      図-2 JR京都線と神戸線沿線イメージ比較
 165166「新なにわ考現学2014」 (株)analog


図-3 JR京都線、神戸線利用者構成比                       図-4 JR大阪駅、京都駅、神戸駅利用者構成比
 167168
図-5 JR大阪駅、天王寺駅利用者構成比
 169(2013年関西圏移動者調査 JR東日本企画・JR西日本コミュニケージョンズ)

 ■注目していたSCのその後の状況について
 
 ①「グランツリー武蔵小杉」(川崎市) 2014年11月開業

 セブン&アイの前会長の息子さんが責任者と言うことでグループの総力を結集して完成したSCでした。開業後の評判では、先行する「武蔵小杉東急スクエア」(13年4月)、「ららテラス武蔵小杉」(14年4月)の評判が良く、グランツリーのGMSは空回りしているという声を聞きました。駅周辺の高層マンション群は若い世代を呼び込んでいますが、価格が高いためにローン負担も大きく、「良い物を見極める目を持ちファッション感度も高い居住者が多い」というものの支出にはシビアなのかも知れません。
 昨年の売上は「東急スクエア」は145.3億円。「ららテラス」は78億円。「グランツリー」は266.7億円と推計されます。駅ビル(アトレ、ルミネ)と比べれば効率は悪いですが、郊外立地のSCとしては悪くはありません。(良くもないですが)

 グランツリーは3.7万㎡の規模で「ビームス」「トゥモローランド」などの都市型ファッションや「西武」の小型版を導入するなど、ややハイレベルなターゲット設定なので競合の中ではすぐに成果が出にくい構造になっています。屋上の子供広場はいい狙いですし、これからお客さんも定着していくと思います。
 新聞記事でははっきり失敗とは書かれていませんがやはり厳しいのは、調査をしないで一見で見たときの「かっこよさ」と ビジネスとしての事業計画のギャップでしょうね。JR大阪三越伊勢丹の開業時に絶賛されたファッションコンサルタントの小島先生のことを少し、茶化したことを反省したいと思います。おそらく誰もが陥りやすい錯誤です。
マーケットリサーチは大事ですね。

 「高額なタワーマンション群の居住者は年収の7倍のローンの支払いでおしゃれをする余裕が無い」というのが定説ですが、おそらく、西武そごうというテナントの選択が間違っているのだと思います。

 ②「アトレ恵比寿西館」 2016年4月

 飲食と食物販が中心の店です。「シェイクシャック」(ハンバーガーレストラン)、成城石井の新業態ワインバー、「ディン・タイ・フォン」(台湾料理 小籠包)などが順調と言うことです。食物販は成城石井、ディーン&デルーカ、恵比寿君嶋屋、ル・グルニエ・ア・パンなど多様な選択肢が提供されています。「デパ地下」の時代は終わったのでしょうね(大阪限定の状況かな?)。

 半径3km圏の比率が55%(ポイントカード顧客)と地元比率が高いのが特徴です。売上は計画を上回っているそうです。

 ③「モリパークアウトドアビレッジ」(昭島市)

 近隣に「ららぽーと立川立飛」が開業し、開業2年目の売上は前年比3%減だったそうです。アウトドアスポーツに特化した集積なので、あまり影響は無いだろうと見ていたのですが、冬場の集客に課題がある事の改善など集客イベントに注力するようです。夏場は10%以上の売上アップで盛り返しているそうです。

 東京の「山」の入り口に当たる立地ですからキャンプやクライミング、トレッキング、カヌーなど愛好者を集める要素は沢山ありそうです。隣接する「モリタウン」に京王百貨店の小型店が出店し、エリアとしての集客が強化され、初心者も集まってくるでしょう。隣接するモリタウンは半径3km圏の足元商圏の幅広い層に支持されています。立川の更に奥で、ここは東京なのかと思える雰囲気のある街ですが。

 ④「エキスポシティ」(吹田市)

 開業1年の集客数は2,400万人と目標の1,700万人を上回っています。開業前に心配された周辺道路の渋滞もいまのところ大きな問題を起こしてはいません。多くの集客施設が複合しておりショッピング以外での来店者が多いのが特徴です。商圏は吹田、豊中、茨木の6市、10km圏。週末は20km圏に拡大するそうです。来るまでの来場者が6割、その他が4割になっています。飲食や食物販は好調ですが、ファッション特に高感度な店が期待値に達していないようです。売上げが未発表ということは「悪い」のでしょうね。

 「ニフレル」が入館者数200万人と本家の海遊館に迫る勢いです。当初は消極的だった吹田スタジアムとの連動にも力を入れていくそうで、これからの伸びしろに期待できます。飲食も夜が稼げていませんし、まだまだ打つ手はあります。

 千里中央の千里阪急も少しMDを修正しただけで売上を伸ばしていますし、この商圏のポテンシャルはまだまだ開拓の余地があります。~7月に完成した日本一の観覧車は多くの人を集めています。
 大阪有数のターミナルである梅田駅からシャトルバスを運行しています。ここの商業はアウトレットではありませんが、観光施設としては認知率をもっとあげるために有効でしょう。

 平日及び夜間の市場を開拓するなら、下図の3km圏及び、大阪モノレール沿線の「彩都」、大規模住宅開発が進む千里丘などの足元商圏の強化が必要でしょう。
2010年の国勢調査で3km圏人口が26万人。 西宮北口の34万人には及びませんが、KUZUHAモールのある京阪樟葉17万人より多く、千里中央の27万人と引けを取りません。「彩都」や「千里丘」は若い世代が多いので、シニアが多く混在する千里中央よりターゲットは絞りやすいのです。

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                                                                                    (11月17日)
 ■ホテルのブランド価値と客室単価
 
 ホテル業界誌「週刊ホテルレストラン」(オータパブリケーションズ)がまとめた客室単価について京阪神のホテルを比較すると、ホテルのブランド・知名度・イメージと
必ずしも相関関係 にないことに気がつきます。

 客室数の多いホテルで建築年次の旧いホテルはどうしても単価は下がります。「ブランド価値を守るため」に単価を下げないと売り逃してしまい、取れるはずの利益を取り逃してしまうからです。大阪の迎賓館と言われていた「リーガロイヤルホテル大阪」は婚礼等では強みを持っていますが、客室単価は低くなっています。立地的に、最近の外国人観光客は繁華街に近い立地を選択することも多いのでしょう。巨大なホテルがラグジュアリー感を維持するのも大変な時代なのでしょう。
 (図は2014年の数値ですから,それ以降客室稼働率は改善されているはずです)

 ただし、ラスベガスをモデルにしてIR(カジノを含む統合型リゾート)を本当に進めるなら、宿泊だけに特化したホテルではなく,、コンベンション、展示会、ショーを一体となって提供するホテルが必要になります。~どうしてもカジノにだけに焦点があたりますが、それだけでは地域の活性化にはつながらないのです。

 地域で言うと、京都のホテルは高単価を維持している事がはっきりとわかります。大阪以上に供給が需要を下回っていたのでしょう。10日の記事にあるように京都ではホテルの建設ラッシュが進んでいます。
 京阪神一体となった「IR」構想を合意できれば誘致がポジティブに効果をうみだすでしょうが、博打だけではあまり効果はないでしょう。

                                                                                   (11月14日)
 図ー京阪神のホテル 客室数×1日1室当たりの実質客単価(ADR) 2014年
 1611縦軸 客単価  横軸客室数 客室数が多いほど単価は下がる

 週刊ホテルレストランより アンケートのため外資系のラグジュアリーホテル(ヒルトン、セントレジスホテル、リッツカールトンは無回答)
1日1室当たり単価=宿泊売上高*(客室数×稼働率)

 ■京都ホテル事情~ラグジュアリーホテルだけでない新規参入者
 
 京都のラグジュアリーホテルブーム

 10月15日東山三十三間堂の近くに「フォーシーズンズホテル京都」が開業しました。800年の歴史がある平家ゆかりの庭園「積翠園」が売り物で、最高級の部屋は1泊120万円だそうです。

 「かつては市内には五つ星ホテルはひとつもなかった」と門川市長は語ります。市内は建築制限が厳しく、宿泊業界も排他的だった新規参入者を拒む空気が合ったからだと思います。図に今年から今後の市内のホテル計画をまとめています。ビシネスホテルも多いですが、スモールラグジュアリーホテルが多く計画されているのがわかります。「旅館」の跡地や不動産会社に買収された旅館の新規事業なども目立ちます。
 小学校の跡地やNTTなどの事業者の跡地がホテルとして再開発されるケースも目立ちます。

 外資系のラグジュアリーホテルは2014年に「ザ・リッツカールトン京都」(鴨川沿い)、2015年に「翠鳳ラグシュアリーコレクションホテル京都」、が開業しています。今後2019年には「パークハイアット京都」が開業します。2017年には北区金閣寺の北にアマンリゾーツが「紙屋川庭園ホテルプロジェクト」を開業させるそうです。
                                http://bb-building.net/tatemono/kyoto/k130.html へのリンク

 既存のホテル「リーガロイヤルホテル京都」「プリンスホテル」なども大規模改装を果たし客単価アップを目指しています。

 新規参入者

 ホテル不足の中で新規参入者の姿も目立ちます。

 もともと宿泊機能のある複合カフェで一部のフロアをカプセルホテルに改装する動きもあります。「自遊空間」では京都市内でカプセルホテルをスタートさせます。京都市内ではありませんがJR大津駅の駅ビルではバルにバービが飲食店に併設して60室のカプセルホテルを設置しています。ブックカフェやバーベキューテラスも併設され駅ビルとしては異色の施設になっています。

 京都市内ではオフィスビルをカプセルホテルにコンバージョンする動きもあるようです。

 地域情報紙リーフを発行しているリーフパブリケーションは2013年に中京区で「京都姉小路別邸」(7室)を開業、稼働率95%と好調です。11月6日には「ヴィラ三条室町・京都」(12室)を開業しました。これらは一泊4~10万円のスモールラグジュアリーホテルですが、今後民家を改装した簡易宿泊所なども開業していくそうです。

 不動産業者ではマンションのコスモイニシアやサンケイビル、大和システムなどがホテル事業に参入しています。

 今後外国人観光客がどこまで増加するか?円高のリスクもあり先は読めませんが、多くの事業者が参入しています。京都市は「上質な宿泊施設」に限り住居専用地域に特例で認める方針を打ち出しているので、参入は止まらないかも知れません。

 京阪電鉄の新事業

 比叡山のオーベルジュ「ロテルド比叡」を星野リゾートに委託しリブランドを図った京阪電鉄ですが、三条に計画しているホテルは「BIOーSTYLE」事業の一部門でオーガニックカフェ、リラクゼーション事業が目玉になっています。新規事業の一つとして自社内に運営企業をとりこんでいる覚悟はさすがです。インバウンドが落ち着いても地元客を確実にとらえることでしょう。不動産事業としての採算性とライフスタイル事業の採算性は別の物差しが必要です。(もちろん赤字は駄目ですが)

 投資金額とオペレーションコストだけで判断すると「逆境」に弱い事業になります。追い風が吹いているホテル事業だからこそ、コアコンピタンスが問われます。

                                                                                    (11月10日)
 図ー2016年以降の京都市内でのホテル開業予定MAP
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表 2016年以降の京都市内でのホテル開業予定

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 ■「グルメ番組」の凋落の予感
 
 「食べ物」に関する業界は不況にも強いはずでした。このところ、野菜や魚の価格がとてつもなく高騰している中で、何を食べればいいのか混迷を極めています。「無限ピーマン」や「無限もやし」といった超節約メニューが話題になる中で、「グルメ芸人」さんが自らのこだわりの食体験からここの店はいい仕事をしていると絶品料理を紹介しても、食欲をそそられなくなってきました。京都の老舗料理店を芸人さんが後輩芸人を連れて行って紹介する番組をみても美味しそうに見えません。
 「僻みでしょうか」いいえそれよりも現実との接点がなさ過ぎて、自分の食生活との距離感がはかれないのです。くだんの芸人さんが「一流」ではなく「二流クラス」(失礼)なのもその距離感の混乱の原因かもしれません。二流の芸人さんが進める「名店」はB級グルメならともかく、ハイエンドの店の場合その価値を下げる役割しか果たしません。

 私の感覚はごく一般的なマイノリティ(凡人)の感覚である自信があります。もはや鉄板の安全パイである「グルメ番組」も放送業界の切り札にはならなくなってしまうでしょう。デパ地下が凋落したように「手の届くちょっとした贅沢」が存在できなくなってきたのだろうと思います。
                                                                                       (11月9日)
  ■雑貨化する「食物販」と迷走する「デパ地下」
 最近のファッションビル、駅ビルの改装では「雑貨」「食物販」「コスメ」が目玉となる事が多いようです。「最近のデパ地下を見ても、目新しいブランドもなければ感動もない」と語ったのは渋谷シンクスを運営する東急百貨店の営業統括部長です。9月に改装した渋谷シンクスではシンクスの特色である「ザッカ+ビューティー」のフィルターのかかった「食物販」が導入されています。(繊研10月4日記事)グルテンフリーの菓子など「モダンウェルネス」をテーマにしたデリ&グロサリー「エルカフェ」や寝かせ玄米を使用した惣菜、グロサリーを扱う「いろは」やスーパーフードを取り入れたベーグル店、豆乳ジェラート店など美と健康を前面に出した共同開発のシンクスオンリー業態や、ケーキ焼き菓子店で名入れサービスのハンカチを販売するなど、雑貨と食物販の融合を打ち出しています。
 心斎橋OPAでは9月の改装でレディスカジュアルのフロアを食物販のフロアに入れ替えました。「アパレルでの集客が難しくなっており客層の幅を拡げることが必要」だということです。

 かつては「デパ地下」をリードしていた関西に百貨店の食料品売場は、さほど目新しい動きは見あたりません。食品メーカーと協業したNBをランクアップしたブランドづくりの他は「催事」だのみの売場になっています。

 雑貨と+食品が結びつくということは「食」のシーンもライフスタイルと密接に密接に結びついてきているということです。
 かつて冗談まじりに、「あんたの言う高感度なマーケットリーダー層に売る大根とはどんなものなのか?}と聞かれたことがありましたが、まさに生鮮食品にいたらうまで、ライフシーンを想定し、かつ適正な価格で商品を提供するきめの細かさが求められています。
                                                            (11月7日)


 雑貨店のイメージが強い「無印良品」から「バターチキンカレー」というヒット商品がうまれましたよね。「アクタス」もスモークオイルや桃のピクルスを製品化し、ジビエリ料理の缶詰やブイヤベースの缶詰などの展開を強化するそうです。

 アトレ恵比寿も4月に開業した西館の飲食、食物販が好調だといいます。たまたま改装後に利用する機会があり、成城石井や総菜店が充実していて、デパ地下よりもカジュアルでかつ買いやすいのに感心た覚えがあります。

 駅ビルと言えば大阪駅。梅田周辺ではJR大阪駅の駅マルシェの食料品が買いやすくて充実しています。ルクアイーレは食料品、飲食に百貨店の悪い要素が残っていますし、(バルはいいですけれどね)、阪神は改装中のためか、かつての勢いがありませんし、阪急は色々と課題が多すぎて、でなんともコメントしようがありません。
 今となっては梅田大丸にかろうじてデパ地下の雰囲気が残ります。

 梅田であれば、「ハービス」あるいは「Nu茶屋町」であれば特徴のある食料品売場がつくれそうです。

                                                            (11月8日)
 ■70年大阪万博のレガシー
 
 自動車でもホラー映画でも無い「レガシー」

 最近「レガシー」という言葉をよく聞きます。キャサリンロスが出ていたホラー映画でもスバルの自動車でもありません。IT業界では時代に合わない古くさいシステムのことを「レガシー~」と否定的なニュアンスで呼ぶようですが、通常は「遺産」といった意味で使われます。

 オリンピックで「レガシー」という概念が使われ出したのは2002年のIOC総会です。1998年にソルトレイクシティへのオリンピック誘致に関する買収疑惑を発端に「オリンピック競技のよい遺産(レガし-)を開催都市並びに開催国に残すことを推進する」という言葉がオリンピック憲章に盛り込まれました。
 IOCの定義では「レガシー」とは「長期に渡る、特にポジティブな影響」と定義されています。よくある「経済波及効果」と違ってスポーツ振興や利便性などの生活に与える影響が考慮されていることです。「スポーツ」「社会」「環境」「都市」「経済」の5分野への効果を開催都市が立候補する段階から言及することが、2012年の開催と市決定プロセス(ロンドンオリンピック)から求められています。~(株式会社三菱総合研究所のサイトの記事をベースにまとめています)

 「レガシー」はプラスのものばかりでなく、「負の遺産」も含まれています。

 2000年のアテネ五輪、2004年の北京五輪などで競技関連施設が無用の長物となって「廃墟」になっている映像が良くネットでも紹介されていますね。

 2012年のロンドンオリンピックのレガシーについてはポジティブなレガシーが多かった(東ロンドン地区の再生、土壌洗浄が進んだ、観光客増加というレポートもありますし、スポーツ振興や持続的な経済効果がないという否定的なレポートもあります。目に見えない物は図れないので広い意味での「レガシー」 に関しては判断ができません。
 1964年の東京オリンピックのレガシーとしては「東海道新幹線」「首都高速道路」「体育の日」などの有形の物が有名なレガシーです。当時、戦後の復興を果たして、国際的に「国威発揚」が行われたという無形の物もあるでしょう。(オリンピックの本来の精神とは違いますが)
 外国からのお客様に向けて、公共マナーが格段に良くなった(ゴミをちらかさない等)変化もありますが、昔の東京を懐かしむ人は「まちごろし」が行われたと嘆く声もすくなくありません。昔の東京は知りませんが、確かに「日本橋」に覆い被さる高速道路は無粋であるとは思います。

 70年大阪万博のレガシー

 さて、現在万博開催の立候補が話題になって居る大阪です。誰が金を出すねんとか「カジノ」を作るための万博開催かとか、地元での盛り上がりはこれからなのでしょうが、国が積極的なので、可能性はあるかもしれません。(オリンピックの時は国はすごく冷ややかでしたからね)

 70年万博については形のあるものとしては「国立民族学博物館」「太陽の塔」「万博公園」「北大阪急行」(江坂から千里中央まで)などがあげられるが、ある世代にとって大阪万博はモノがけでないレガシーを残しています。330haの敷地で6,422万人が集まった博覧会は、1990年の花博(140ha、2,312万人)、2005年の「愛・地球博」(名古屋 173ha、2,204万人)、そして計画されている2025万博(160ha)に比べて規模も大きかったのですが、実施段階で始めて大阪にクリエィティブな人材が集結したイベントであったことが後々まで資産となっています。(経済効果はすぐに萎んでしまいましたが)

 吹田サッカースタジアム(昨年までは万博記念競技場)に本拠を置く「ガンバ大阪」は何故、「ガンバ吹田」ではないのでしょう。オームタウン名を名乗るのが普通です。浦和レッズは埼玉レッズではありませんよね。

 大阪万博は吹田万博ではありませんでした。Jリーグ発足時には関西のチームはわずかひとつでした。ガンバ大阪のホームタウンは、大阪そして関西だったのです。当時誰も違和感を感じなかったといいます。

 (今ならセレサポから異議が出るのでしょうが)

 万博会場となった千里丘陵は「千里市」とよばれるぐらい、新しい「都市」として注目されていました。全国各地から流入した人が初期の千里ニュータウンの居住者に多かったのです。

 大阪だけで無く、関西人の気持ちがひとつにになったのが大阪万博だったといえます。日頃、仲が良いとはいえない京阪神のある年代は「大阪万博」に共通の思いがあります。

 もし2025年に大阪万博を行うならオール関西が夢を持てるように、イベント内容とともに、どんなレガシーを残すのかをもっと方って下さいね。今のままだと「カジノ」しか残らないという声がマスメディの中でも散見されます。よろしくないですね。

                                                                           (10月20日)
 ■百貨店は地域に依存した業態であることを再認識させる「そごう西武」の店舗売却
 
 百貨店のブランド力は影響圏が限られる

 当社の持論ですけれどね。

 今回西武・そごうを傘下に置くセブン&アイホールディングスが、「神戸そごう」「高槻西武」「西神そごう」の3店舗を阪急、阪神を経営するエイチツーオーリテイリングに売却することが報道されました。

 西武が破綻したそごうを経営統合した2003年の時点では「弱者連合」と陰口がたたかれていました。採算の取れない地方店舗を精算し、強みのある都心店を中心に再編していればもう少し利益の上がる企業になっていたでしょうね。セブン&アイホールディングスの鈴木会長が旧セゾングループで冷や飯を食わされていた和田某氏をかいかぶってバックアップしたので、リストラが大幅に遅れました。自信家の和田某氏は「心斎橋そごう」への投資で大失敗しましたしね。

 震災で傷手を受けた「神戸そごう」は「大丸神戸店」に一番店の座を奪われます。神戸阪神間では灘、東灘の富裕層は「神戸大丸」、神戸市職員を中心とした中間層は「神戸そごう」と棲み分けられていました。再生された「神戸そごう」は建築構造上、回遊性が悪いことと、神戸市職員への優待販売などの泥臭い営業を怠った(多分一番店だったというプライドと、それだけを真に受けた、地元の事情がわからない本部の指示が間違えた原因なのでしょうね)

 ともあれH2Oにとっては棚からぼた餅の案件でした。弱体化していた神戸商圏と撤退した京都への再アプローチの橋頭堡となる高槻の拠点を手に入れたわけですし、コンビニ最大手のセブンイレブンとの連携は今後に向けての大きな武器になります。

 H2Oの東京の店もセブン&アイに買い取ってもらえばいいのに

 と思っても、買い取りたい店はあまりないでしょうね。…自社のドミナントないであればお客様の認知率も高く、業者さんへのわがままも通るので百貨店の体裁が整いますが、足場が無いところでは難しいのです。京都の伊勢丹が成功したのは、京都南部から滋賀県にかけては百貨店の空白地帯であったことと、観光都市京都の玄関口であり、お取引先も協力してくれたことが大きいでしょう。

 大阪駅では「伊勢丹」ではなく「三越」を前面に出した方が成功の確率は高かったと思います。

 靑森の中三が投資ファンドから地元のMIkに買収され本格的な再建にむかって再スタートしたそうです。買収した企業の社長の「地元愛」という言葉に心が動かされます。姫路の「ヤマトヤシキ」もファンドの投資で再建されつつあります。百貨店は地域の資産ですからね。

                                                                         (10月7日)

 ■カジカフェが桃谷駅に…吹田駅にオープンモールが~JR系の商業開発が面白い
 
 私鉄王国関西の私鉄の商業開発が低調?

 元々JRに比べて多角経営が先行していたこともありめぼしい土地は開発し尽くしていたのかも知れませんが、ここのところ関西の私鉄系の開発事業が低調です。六甲山ホテルも売却されてしまいましたし、六甲山オリエンタルホテルもしまったままですし、今は収益性が高いと思われている東京でのホテル事業への投資が優先されているのかもしれません。もちろん沿線事業での事業は進めていますが、あまり自社のリスクを取っているようにも見えません。

 京阪電鉄は中之島の開発をいつスタートさせるのでしょう。阪急阪神は梅田一番地の阪神百貨店の建て替えや、三宮の駅建て替えがありますし、南海電鉄は南海会館の建て替えなど都心で進んでいるプロジェクトはありますが、あまりわくわくさせるようなニュース性のある情報が伝わってきません。おそらく、インバウンド需要はいずれ沈静化すると言う認識の中で、その次の成長の方向性が見えていないのだと思います。沿線の駅開発も手堅いというか無難なものが多いですね。いつものテナントさんで売場を埋めるので精一杯でしょうか?

 JR系の駅開発が面白い

 その中でJR西日本の駅周辺の開発が目を引きます。JR西日本不動産開発株式会社の駅の商業開発「ビエラ」の奈良では地元の名産品醤油や奈良漬け、柿菓子などのショップ吉野葛のカフェが入っています。大津では地元の近江牛のレストラン、蕎麦、地酒の店とともに、カフェとカプセルホテル、バーベキューテラスの複合業態が出店しています。新しい要素が必ず盛り込まれています。

 8月31日に開業した「ビエラ桃谷」は地元の「イカ焼き」「たこ焼き」が入っているかと思うと、意外な店舗が出店しています。箕面の「カジカフェ」そうあのガンバ大阪で活躍した加地亮さんの奥様が経営している人気カフェが出店しています。本店は多店舗展開しているお店で無く、住宅街の路面店ですからビックリしますね。

 吹田グリーンプレイスは厳選されたテナントのオープンモール

 6月8日にJR西日本開発が社宅の跡地に開業した「吹田グリーンプレイス」は関西では久しぶりのオープンモールです。(ニトリモール枚方が最近開業していましたが駅チカでは珍しい)http://www.suita-greenplace.com/ へのリンク

 テナントは目新しい物では無いですが、阪急オアシスやドンク、収穫祭とともに、うどんのはがくれや、金沢まいもん寿司なども出店しています。厳選されたテナントであると思います。JR吹田駅周辺では吹田サンクスが老朽化して核テナントのダーエーにも元気がありませんし、近くの片山通り商店街はシャッター通りになっているので、商業のポテンシャルはあるのかとも思われましたが、子供連れのファミリーで賑わっています。近隣に大和大学が開業していたのも大きいですね。近くの吹田市民病院が移転するので、周辺の開発も進むかも知れません。(もしも病院の跡地にマンションというのは少し怖いですが)JRの土地もまだまだ多く点在しています。
 
 ここの阪急オアシスはそこそこ品揃えが豊富です。いつものように決して「グルメ」スーパーではないですが、「高額スーパー」の品揃えで攻めています。

 千里中央の阪急オアシスは開店時は勢いがありましたが、改装後も精彩を欠いています。千里中央のよみうり文化センターの跡地でイオンが「グルメスーパー」(成城石井だとうれしいな)を開店したときにはおそらく、阪急オアシス、千里阪急の食品売場はかなり大きな打撃をうけると思います。かつては阪急百貨店の食品売場に沿線のおばちゃんが定期をもって買い出しに来るとまで言われていましたが、現在の阪急(及び系列の阪急オアシスの食料品売場では何だか「食べること」に対する執着心が無いことが店舗に現れているのです。

 「グルメスーパー」千里中央に出店したときには、千里中央の阪急オアシスは系列の「イズミヤ」に業態転換し、千里阪急の食料品売場は食品催事と中元歳暮のギフトに特化した売場に縮小されると見ています。(イズミヤだと生鮮と日配品は良くなります)

 吹田駅周辺の商店街やサンクスを見て、だれがあの立地で「吹田グリーンプレイス」が成立すると想像したでしょうか?それと同じ事で、イオンの突破力で新しい商業集積を作れば十分勝算はあります。

                                                                                      (10月6日)
 ■高齢社会の中で進む沿線資源の掘り起こし~まだまだ鉱脈は眠っている
 
シニアマーケットが活発になるタイミングと落ち込むタイミング~消費の気分

 シニア層は資産を持っている人も多いので、これからはシニアマーケットに取り組むべしと以前所属していた会社では企業向けの研究会を開いていました。団塊世代のリタイアが進む中ではっきりしてきたのは、定期収入が無くなると、保有している資産の運用結果でシニア層の消費行動が変動することです。将来の不安があるので、資産の取り崩しは避けたいので、株価があがると消費行動が活発化し、株価が下がると財布のひもが固くなります。

 資産価値のある不動産は実在するか?

 いわゆる「アベノミクス」というばらまきの中で、株価が上がったことと、円安になって訪日観光客が増加したことで、資産を多く持つ富裕層を中心に高額品が売れたので、百貨店は一息ついていました。市場に供給された資金は企業の需要がないために、東京都などのごく一部の土地の売買に集中し「ミニバブル」の様相をしめしています。
 以前のバブルと違うのは多くの人がいつまでもこの状況が続かないことをうすうす意識しており、「熱気」がないことと、バブルの恩恵がごく一部のエリアに集中していることです。都心でありインバウンド需要の恩恵を受けそうな地域のみ地価が上がっています。その活気に引きづられ、資産運用を目的にした人に貸出先に困っている地方銀行が資金を提供し、不動産取引が活発化しているようにも見えます。ただメディアで紹介されていた30代の男性が購入した資産運用のためのワンルームマンションは駅から遠く、沿線もそれほど良くない物件でした。それでも地方銀行は融資してくれるのですね。銀行と不動産会社の語る「資産価値」は真に受けてはいけません。

 さて、資産価値がある不動産とはどういうものでしょう。賃貸であれば大家さん、分譲であれば管理会社や地域の行政、あるいは開発した業者、鉄道会社がどこまでまちづくりに意識があるのかどうかで決まってきます。

阪急阪神の沿線サービスの拡

 関西では圧倒的な好感度を誇る阪急電鉄が沿線の「空きや問題」をサポートする、「阪急の空き屋サポート」を開始しました。阪急沿線の空き家の、管理サービス、売買仲介、賃貸管理、「民泊による利活用」、その他樹木の剪定や、駐車場による活用などをグループ会社の連携で対応するということです。民泊については外部企業である株式会社「百戦錬磨」(ICTを活用して交流人口を拡大する企業だそうです。http://www.hyakuren.org/company/ へのリンク)を活用します。公認民泊のみの情報提供サービスを行っているようですが、グレゾーンの民泊業者が多いので競争力が発揮できるか心配ですが。
 沿線深耕サービスで言えば、 統合10年目を迎えた阪急阪神ホールディングスですが、沿線で有料の会員制サロンを7カ所オープンしています。2015年4月に株式会社ロイヤルコミュニケーション倶楽部と資本提携してはじめたもので

①充実サポート 旅行や文化教室グルメ等
②やりがいビジネスサポート NPO組織化、ボランティ活動紹介、ビジネス講座等
③困り事サポート ハウスクリーニング、買物代行、買物サポート 入退院時の付き添い等
④介護紹介サポート 介護支援、介護施設の紹介、介護施設の情報提供(有料老人ホーム、サー高住)等

からなります。http://www.hankyu-hanshin.co.jp/file_sys/news/3306.pdf へのリンク


 これらのサービスは本当は「百貨店」が事業領域に取り込んでいかないと駄目なものが多く含まれています。将来的には百貨店が深く関わる必要があると考えています。

 鉄道会社の沿線サービス

 京急電鉄は京王ストアへのマイクロバスでの送迎サービスを拡充しています。京王ストア以外のスーパにも送迎する事が好評です。バスの運転手は系列の京急バスのOBが採用されています。グループ力ですね。他にも移動スーパを多摩地区で行っています。保健師や看護師が同行して健康相談も行います。

 その他の鉄道でも宅配サービスを強化したり、家事サービスを受け付けたりしています。

 従来は駅という交通結節点にお客様が自然に集まってくれることで様々なビズネスを拡げて来られましたが、これからはお客様の所に出向いてお客様を動かすサービスが重要になります。発想を切り替えてグループ事業を再構築する必要があります。

 もちろん、シニアだけで無く、子育て支援等の若い世代を対象したサービス事業もグループ一体となってブラッシュアップしていかなければなりません。グループ一体となって地域にアプローチする仕組みは色々応用可能です。

                                                                                       (10月3日)
 ■大阪万博の請求書~最後は誰が負担するのか?
 
 東京オリンピックの開催費が3兆円を超えそうだと言われています。収入の想定は5千億円ですから残りは税金でまかなわれることになるのでしょうね。施設整備は7,500億円、大会運営に5千億円、セキュリティに2千億円…あまりにも大きな金額なので金銭感覚がおかしくなりそうです。2兆円かけられたロンドンオリンピックの経済波及効果については賛否がいまだに分かれていますが、恒久的な失業率の改善にはつながっていないようです。経済効果は一時的な建設需要が大半ですからね。

 さて、大阪での万国博覧会開催についてのニュースが多くなってきました。会場建設費1,300億円(29日の日経の報道)について民間と自治体、政府で負担するという提案に関西の財界は冷ややかだと言われています。1970年当時はオーナー企業や創業者の発言力の強い家電業界も元気でしたから、はっきりと協力の声を上げる企業も多かったでしょうが、今は株主に説明する責任がありますからね。費用対効果も高いとは言えないですし。(会場費も当初は1500~1600億円が想定されていました。地盤改良のための土砂の投入費用も含まれていません))

 2025年の会場は夢洲地区中央の100ha、ちなみに北側地区には70haでIR(リゾートを含めたカジノ)を23年に開業したい願望があるようです。地下鉄中央線の延伸の他はバスやマイカーで想定されている三千万人の来場者をさばくそうです。本来はユニバーサルシティ駅からJR桜島線を延伸して大阪駅や新大阪駅に繋ぎたいところですが、1,700億円の事業費は現在盛り込まれていません。運営費800億円は入場料収入でまかなうそうです。東京オリンピックの大盤振る舞いに比べれば可愛い物なので関西にも少しぐらいお金を落としてくれてもいいんじゃないとも思いますが、大阪府・市は東京都に比べるとはるかに貧乏ですし、国も応分の負担を求めてくるでしょうからだれかがツケを払うことになるでしょう。

 懸念される跡地利用は、260ha全体を「IR」用地にするそうで、インフラ整備が完成した暁には海外のカジノ業者がその恩恵を被ることになります。(あれ?カジノ業者はインフラ整備にも資金提供するといってませんでしっけ)

 21世紀になって万国博覧会の意味は変わってきています。大規模な国際イベントを一発勝負で行うよりも対象を絞った国際イベントを既存施設をつかって関西広域で連携して行うことで海外での関西の認識を高めた上で、その集大成としてのビッグイベント(必要であれば)に結びつけていくプロセスが重要です。ネットで情報は拡散しますからいきなり、仮説の箱ものに人を集めるという発想は転換すべきでしょう。(大阪が世界的には全く無名である事は、オリンピック誘致の時に思い知ったでは無いですか)

 今回の立候補に関しては政府も「東京オリンピック後」の景気対策としてバックアップしてくれそうな雰囲気です。かつて名古屋高大阪だかのオリンピック立候補時に「お金はないけど応援するよ」と橋本首相が冷ややかに言い放った時に比べれば追い風でしょう…「『東京オリンピック」であれだけ散財するなら関西にも回してよ、とも思います。とはいえ最後の請求書が回ってくるのはごめんです。

 大阪での万博の開催が「東京オリンピック・パラリンピックのレガシー」らしいです(有識者のコメント)、レガシーって請求書のことでしたっけ?レガシー=遺産ですから親の借金のことかもL知れません。そんな時は、相続放棄がおすすめです。

                                                            (9月29日)
 ■北陸新幹線が生んだ交流人口は今どうなっているのか?
 
 2015年3月14日に開業した北陸新幹線~1年半後の検証

 日本銀行と公益財団法人中部社会経済研究所が1年半を迎えた北陸新幹線の影響についてレポートを発表しています。人の動きに関する指標は開業1年目の反動で対前年の伸び率はマイナスになってきたものの、開業以前と比べれば交流人口は2.4倍に増加しているようです。(鉄道+航空機の利用者数)

 開業1年目の2015年は新幹線+航空機の利用者数は1,074万人と前年比473万人増加。78.6%のプラスです。2年目の2016年になると4月から7月は327万人と前年比10.0%の減少になります。とはいえ2014年の水準135万人と比べると増加していることに変わりはありません。

 宿泊者数で見ると、石川県が最も恩恵を受けています。開業1年目は前年同月比が13~35%増で推移していました。2016年の5月、6月は前年比マイナス2%減、8%減ですが減ですが開業前に比べて月当たり10万人は増加しているようです。
 富山県は開業初年度の2015年4月から11月までは前年同月比15~25%程度伸びていましたが、それ以降は減少が続き、2016年3月以降は11~22%の大幅な減少が見られます。観光客中心の石川県と比べて、ビジネス客が多く、今までは宿泊していたのが、東京から片道2時間12分になったので、日帰り出張が増えたといいます。大阪とは3時間12分圏なのですが、関西が担当していた営業管轄が東京に移管された事もあり、関西からの出張客も減少したようです。
 福井県にはほとんど影響が無かったようです。

 開業にあたって金沢の観光キャンペーンを首都圏で大々的に繰り広げたことも大きいでしょうし、金沢を擁する石川県は能登などの観光資源も豊富です。富山県もいいところなのですが、文化的なストックが無い事が観光客をリピーターにしない要因でしょう。管財から金沢への入れ込み客数も順調に増加しているようです。

 金沢は東京、名古屋、大阪の三大都市圏から2時間半で到達できる距離に有り、学会や会議などの開催地として優位になり、1,000人以上のコンベンションが2015年に55件開催されています。(前年比2倍)
 
交通アクセスが整備され、交流人口が増えても持続するまちと、それが持続しないまちの違い、条件についてよく考えて見る必要があります。

 一方、金沢とイメージがかぶる古都京都はその間も順調に観光客を増やしています。外国人観光客の増加が寄与しているといいますが、京都の底ちからですね。

 観光客の変化について

 北陸の話題から外れますが、朝の通勤時ビジネス街の淀屋橋でサンダル履きの女性が何人か下車されていました。年代の幅が広いので観光客かなと思います。「爆買い」の団体客が減少して個人旅行者が増えていることと「民泊」や「ビジネスホテル利用」が増えているので、観光地で無いエリアにも観光客が多く見られるようになっています。

 決して旅行者にとって楽しいエリアでは無いビジネス街ですし、ゾーニングが崩れるとおもてなしも十分にできません。

 外国人の買物は越境ECサイトで済ませるようになったときに、「買物の利便性」で利用されている大阪がどこまで「個人客」にアピールできるのか考えてしまいます。観光客が離れていったときに、最後は「IR」博打場だのみの集客では大阪の街がますます衰退していきます。

                                                                                   (9月28日)

 JTBなどのサイトでも「リピーター」づくりについての論考が数多く掲載されています。百貨店や、ホテル業界を含めてみなさん当然、わかっているのでしょうが組織の中で前年比の数字に追われている中で最も安直な手段を連発してしまうので、逆にリピーターが育たない。
 ■大阪のこれからの変化~ポスト「爆買い」の国際化戦略
 
 東京はオリンピック一色に動くのでしょうが、イベント後の反動が必ず起こるでしょうね。東京中心のマスコミが苦しくなったときにはまた関西特集を組んで京阪神が注目されます。福岡、または名古屋も面白い都市なのですが、違った個性を持つ京阪神が揃った関西、中でも「キャラクターのたった」大阪を面白おかしく取り上げる定番です。

 2020年のオリンピック前後に進んでいる開発としては、2017年に中之島のフェスティバルタワーウェスト(旧朝日新聞)が完成。コンラッドホテルが入ります。2019年にはJR・大阪外環状鉄道の「大阪ひがし線」が放出~新大阪間の北区間が開業します。地域以外の人にとって地味な話題ですが、新大阪と奈良の繋がりが強くなります。今でも大和路快速が大阪駅まで直通していますが、あまり認識されていません。奈良は国土軸から外れていたため観光ポテンシャルが行かされていませんでしたが、新幹線に繋がるのは飛躍のチャンスです。

 これからの大阪の鉄道は新幹線など他都市へアクセスの利便性によって評価されるでしょう。京阪神のハブである梅田・大阪か国土幹線につながる新大阪か。京阪中之島線が今ひとつ利用者が伸びないのは、京都~大阪はともあれ、神戸方面に繋がっていないからです。(あるいは梅田へ)

 同じ、2019年には梅田のヨドバシに隣接して「ヨドバシ梅田タワー」が開業します。1,000室規模のホテルと商業施設。JR、グランフロント、既存店をつなぐデッキが完成すれば梅田~大阪駅の回遊性は一気に高まります。ホテル間の競争も激しくなりますね。

 ミナミでは大丸心斎橋店新本館が完成します。売場面積が4万㎡に増えます。インバウンド関連は隣接する南館に集約していますので、より大丸らしい店舗になるでしょうね。(大丸の免税売上高は 心斎橋171億円、梅田 39億円、京都21億円、神戸15億円で心斎橋店の依存度が高いのですが、失速たので方向転換は間に合うでしょうね。南館は家具や子供や女性向けのサービスなどその時々で時代対応してきた店です)

 梅田に視点をもどすと阪神の改装が22年のオープン。うめきた2期は26年度末の開業になりそうです。

 2027年には品川~名古屋のリニアが開業し、名古屋市・愛知県が開催するアジア大会が2026年(リニア開業にあわせて、2027年に延期の意向)に開催されますので、損お時期には名古屋が注目されるでしょうから、関西には、オリンピック後の僅かな時期しかスポットライトは当たらないかも知れません。

 外国人観光客にとって高額ブランド品の購入より、生活文化、歴史文化を体験する方向に「観光需要」はシフトしていきます。奈良、和歌山、神戸、近江などまだアピールし切れていないエリアの魅力を加えて、落ち着いて関西を楽しんでもらう方向にシフトできる資源が沢山あります。

 国内であまり注目されていない今が、戦略を整えて「大阪」「関西」の地力をつけていく時期なのだろうと思います。

                                                                                 (9月27日)
 ■遅行指標としての地価~ピークを過ぎたインバウンド需要への過度な期待
 
 インバウンド需要は一息ついたというのが一般的な見方

 百貨店の夏の商戦も低調で都心店舗の業績を落としています。関西への訪日客は伸びてはいますが、お金を使わなくなっています。団体客から個人客にシフトしていると言われています。その中でホテルの高稼働率も一服していると7月1日の日経新聞が報道しています。ビジネスホテルも不調で「民泊」に流れていると記事は分析しています。合法的な「民泊」は適用基準が厳しいので、「グレーゾーン」と呼ばれている非合法な宿泊施設が増加していると言うことでしょう。
 (ホステルといった簡易宿泊施設は最近近くでも目にする機会が増えていますが、Airbnbでは大阪市内の物件が多く紹介されています。アパートやマンションの一室を『宿泊用に提供しています。掲示板ではタワーマンションで部屋を貸し出している住民とのトラブルが報告されています。団体客が減少して個人客が増えると言うことは、いわゆる「民泊」が利用しやすくなるということです。…自分が海外旅行をするときにホテルよりも安くて気軽に利用できるなら「民泊」を選びますよね、多分。

 ということは都心のタワーマンションは底に住む人だけでは無く、オフィスで利用する人や投資目的で賃貸や民泊に「活用」する購入者が多くなると言うことです。

 船場地区に立ち並ぶタワーマンション、高層ホテル

 帝人大阪本社だった堺筋本町のビル跡はJR九州が建設するタワーマンションになるそうです。ホテル用地としても注目されていたそうですが…。本町周辺はビルの解体が進みタワーマンションとホテルの建築が進んでいます。南本町地区は地価上昇率ベスト5に食い込んでいます。(㎡151万円ですから御堂筋よりの立地に比べてお買い得感があるのかもしれません。(御堂筋に近い南船場3丁目で㎡535万円  商業地で府内4位です)

 かつては大阪で一番地価が高いのは梅田1丁目の阪神と阪急の間でしたが、現在はグランフロント大阪南1,320万円がトップで、それに次ぐのが心斎橋宗右衛門町で1,100万円です。その心斎橋でも楽器店が2店、買い取られて取り壊されます。インバウンド関連の施設になるといいます。
 楽器店の集積は心斎橋の魅力の一つしたがいまからホテルを建設してもできあがるころには、ホテル需要は一層シュリンクしているはずです。「爆買い」(人を貶めているようないやな語感ですね)をしてくれた団体客は下火になり、個人客が訪日客の中心になりそうです。
 用地取得価格が高くなり、不動産業者も様子見する傾向にあるようです。そらそうですね。彼らだって馬鹿では無いのですから。

 地価だけ見ると大阪市内も「景気」が良さそうに見えますが、もうインバウンドの特需は終了し、リピーターを確保するという次のステージに移っています。

 その時に、他には無い都市の魅力をつくるのは「どこにでもある賭博場」ではなく、「古い建物」という言葉で表現されるまちの歴史の蓄積です。三木楽器はいい雰囲気の建物でした。まっさらの更地に建てられる「インバウンド施設」は、間違いなくどこにでもあるホテルか免税店なのでしょうね。

 地価の上昇は、日銀がばらまいているお金が行き場を失って集まってきているだけなので、これはいつか来た道です。これで大阪が元気になったとはとても思えません。

 心斎橋では大丸の建て替えが進んでいます。幸か不幸かインバウンドバブルが弾けたので、今からでも計画の再構築はできます。…よかったですね。

 不動産価格であったり、コンサルタントの過去の実績はバックミラーに映った直近の過去の風景です。だれもバックミラーだけを見て車の運転はしません。前を見るのは自分自身の目と先を予測するための考える時間です。日経新聞には明日の記事は掲載されていないのです。

                                                                       (9月21日)
 ■「集客」の経済効果~カジノ、万博、広島カープ もう広告代理店にはだまされないぞ…と思いたい
 
 カジノ業界の低迷とカジノ運営会社の成長戦略

 アジアでカジノを支える富裕層と言えば中国の地方幹部です。カジノ運営大手のサンズチャイナの2016年上半期の売上は前年同期比で12%減の30億ドル、純利益は5億5千ドルと25%の減少でした。8月は少し持ち直して前年同月比1.1%増の2,400億円でしたがピーク時の半分以下だそうです。(日経産業新聞9月15日)

 中国の景気減速や中国政府による版腐敗運動の影響で本土からの富裕層の集客が激減したことが背景にあります。

 サンズはテーマパークやショッピングモールなどの施設に投資、3千室のホテル、1,200人収容の「大型劇場」?、子供向けのアトラクションなどを充実させて、大衆向けのリゾート機能を重視しているようです。

 サンズの次の成長戦略としては韓国や日本などへの進出を考えているようですが…ここに来て東京都などもカジノ(統合型リゾート)の誘致に前向きになってきたので、日本市場で稼げるとみているのでしょうね。(大阪では例のリベンジポルノ大学の先生が旗振りをしていましたが、事件の影響か最近は静かですね)
 日本人の入場に制限を設けるといわれていますが、事業会社の立場で言えば日本人から設けようという算段をしているでしょうね。当たり前です。
 (あれほど外国人観光客が目立つユニバーサルスタジオジャパンでも、外国人客は1割でしかありません。2016年7月30日産経ニュース それで関西のホテルはもうパンク状態ですよね)

 万博の夢よもう一度

 大阪府では万国博覧会の誘致に積極的です。一方関西の経済団体は「中之島地区での再生医療拠点の整備」には全面的な協力を表明していますが、「統合型リゾート(カジノ)の誘致や万博の誘致については腰が引けています。1970年当時は関西にも多くの元気な企業が存在していましたが、今の関西経済は「持ち寄り散在」(佐治敬三さん)を行うほどの余力も勢いもありません。行政にもお金はありませんし、国は関西に対しては冷酷ですからお金はあまりだしてくれないでしょう。あまり風呂敷を拡げない方がいいでしょうね。(一時の「道頓堀プール騒動」に似ていますね…あ、堺屋太一先生は関西の功労者として敬愛していますよ、もちろん)

 万博公園の再利用というアイデアもあったようですが、サッカーとラグビーとアメフトが同時開催され、エキスポシティへの集客や万博公園の無料開放デーだった先週はもう一杯一杯の集客でしたから、イベントでの集客ではなく、今ある機能を活かすことを考えた方がいいでしょう。

 広島はお金が無くても頑張ってるね

 広島カープ25年ぶりの優勝に沸く広島ですが、サッカーのサンフレッチェ広島といいカープといい、豊富な資金力があるわけでもないし、何度も育成した選手を引き抜かれる目に遭っても成果を出していることに敬意を表したいと思います。
 外国人観光客のトップは米国人、「爆買い」の恩恵はないですが、欧米人が多い観光客は広島の歴史(被爆)やそこかrた立ち直る姿に惹かれて訪れています。「こだわり」や「独自性」は広島共通のDNAだともいわれています。

 さて伊勢志摩サミット効果は?

 伊勢志摩サミットの経済効果は県内で483億円。県外で587億円で1070億円にのぼると試算されています。今後5年間に1,489億円の経済効果見通しがあるようです。県外から観光客が増えることで1,485億円だそうです。

 もともと自然豊かで、歴史的な資源もあり美味しい食材もありますから観光地としてかさ上げ効果がどれだけあるのか不明です。(伊勢エビやあわび松阪牛は美味しいけれど高いし、伊勢うどんは一度食べれば十分堪能できますし、リピートして楽しめるのはできるのは赤福ぐらいなんですがね)

 広告効果を代理店に託して換算したら3,098億円だったそうです。記事の掲載本数や放送時間を集計して計算したそうです。…何が伝わるかが問題なので、伊勢志摩の魅力が本当に伝わったかどうかは疑問です。

 イベントや広告で注目されてなんぼというのは、本当に知られていない地方の村落ならまだしも、一定の知名度とファンのいる地域では逆効果の場合も多いと考えています。広告代理店のいうことをあまり真に受けてはいけませんよ。

                                                                                         (9月15日)
 
 ■三越千葉店、多摩センター店閉店~インバウンド需要の低迷がドミノ式に非採算店舗のスクラップに向かう
 
 、三越千葉店 三越多摩センター店 2017年3月20日に閉店

 三越千葉店と言えば地元百貨店のニューナラヤを三越千葉店として改装するときに少しだけ係わったことがありました。その時の社長は「岡田社長解任騒動」で名をあげた杉田さんでした。東京との微妙な距離感とローカルなマーケットの奥行きなど、関西で言うと和歌山ににたポジションになる都市ですした。とはいえ、その後千葉県はテーマパークや幕張メッセなど首都圏の補完機能が充実し、和歌山と比べるのは随分違うでしょう。(なんでも関西で言うとと比べるのは関西人の悪癖ですね。小池都知事への期待は関西で言うと橋下さんの初期のブームに似ています…)

 三越千葉店は1984年に営業開始。一時は507億円の売上がありましたが、そごう千葉店(1967年に千葉そごうとして開業、1993年には4館体制で日本一の売場面積を誇っていました。旧そごうのシンボル的な店舗といえます。2000年に「そごう」が経営破綻し、2001年には「そごう千葉店」として再スタートを切っています。)の開業や周辺のショッピングセンターの開業で売上を大きく減らしています。

 2015年の「三越千葉店」の売上が126.5億円(24,787㎡)なのに対して、「そごう千葉店」は760億円(69,648㎡)の売上をあげています。

 百貨店顧客が高齢化していることが大きな原因です。特に三越の場合コア顧客が7割を占めています。シニアはお金を持っていても将来不安で消費しません、が財布のひもをゆるめる対策はあります。

 インバウンドの失速によりグループの稼ぎ頭の三越日本橋店、銀座店、新宿伊勢丹の売上げが低下し、赤字店舗を支えきれなくなったと言います。

 好調な時に、ある程度自立できるような改革を行わずに、課題を先延ばししてきたつけでしょう。高齢化の進展も、駅ビル開発も、インバウンド景気が永久に続かないこともわかっていたはずです。

 下図は三越、伊勢丹の郊外店・地方店の売上金額と売る場面席です。多摩センターはいい感じの店でしたが、残炎ですね。私としてはお気に入りの「三越恵比寿店」が存続することを切望します。

 百貨店業界人は本当はインバウンド景気が永続すると思っていたのでしょうか?

 ただいま改造工事中の、大阪市内の、あのお店やこのお店、今からでも遅くないので戦略を再構築するべきです。

                                                                               (9月12日)
 図 伊勢丹三越グループ 郊外店・地方店の売上げ×売場面積
 1614

新聞発表の数値を元に株式会社ANALOGが作成
 ■マクドだけではない…SCへの「ポケモンGO」効果
 
 マクドナルドの「ポケストップ」「ポケモンジム」利用者の15.7%がフードやドリンクを購入

 8月22日に配信された日経ビズネスオンラインの「マック、ポケモンGO特需で示した新たな価値」という記事でマクドナルドが7月の前年同月比売上で26.6%、客数で9.8%伸びたという業績回復の背景として「ポケモンGO」効果をあげています。

 調査会社のマクロミルが「ポケモンGO」を週に1回以上利用するユーザー対象に行ったネット調査で、ドリンクとフード両方を買った9.3%、フードを買った1.9%、ドリンクを買った4.5%を合計して15.7%が利用したというものです。

 マクドの商品が魅力的になったとは思えないですが、店舗に足を運んでもらうだけで、売上回復に繋がるという好例です。

 錦糸町「オリナス」でもポケモンGO効果

 錦糸町のSCオリナスは隣接する「錦糸公園」がポケモンGOの聖地(珍しいポケモンが大量発生)となったこともあり、配信が始まった7月22日から8月31日までの期間は来館者数が前年同期比13%増、売上が5%増になっているそうです。(繊研新聞9月5日)特に飲食店の売上げは16%増です。オリナスは映画館やタワーレコード、タイトー、ゼビオ、ヤマダ電機などが複合したショッピングセンターでゲームユーザーにも親和性が高いということも、あるかも知れません。
 とはいえ、人を集めることは重要なポイントになります。

                                                                                 (9月8日)
 ■「阪急村」の再構築に必要な戦略~業態転換して強大化した「ルクア大阪」
 
 梅田周辺商業施設2015年売上にみる「ルクア大阪」の存在感

 繊研新聞で例年のように専門店ビルの売上が掲載されています。JR大阪三越伊勢丹から「ルクアイーレ」に業態転換し、既存の「ルクア」とあわせて「ルクア大阪」として発表されている売上数字は761億円と全国のTOP5に躍り出ています。梅田商圏の中で大きな存在感を示しています。
 かつて阪急村とよばれた梅田周辺のファッションビルの中で「HEPファイブ」は0.2%の伸び。「NU茶屋町」は-14.3%と精彩を欠いています。阪急三番街は堅調ですが少しづつターゲットの違う「ファッションビル」が配置されていた「まちの楽しさ」の印象はありません。

 阪急系列の商業施設は阪急うめだ本店に集約されてきた感があるます。(スポーツのイングスやかつてのナビオ阪急のターゲットは百貨店が吸収したように見えます)

 ファッションの不況も影響しているのでしょうが、百貨店の中に収まるファッション、駅ビルの中に収まるファッションだけではある意味、先の丸まった無難なものの集積になり創造的な雰囲気はうまれません。

 図-2,図-3は当社データによる2005年と2014年の梅田を中心とした商業施設のポジショニングです。2014年のルクアの存在感(ルクア大阪になる前)は20歳台女性に受け入れられているものの、「HEPファイブ」の持つ突き抜けたポジショニンはありません。(HEPファイブの現状についての評価はともかく)

 阪急がまちのブランディングを考えるなら、エリア内にいろいろな仕掛けをしておかないと、これからは「ヨドバシ」と「ルクア」が席巻するという未来しか想像できません。
それだけではあまり楽しくないとは思いませんか?

                                                                                         (9月6日)
 
図ー1梅田周辺の商業施設 2015年売上
 1615(繊研新聞記事より)

図ー2市内商業施設のポジショニング(2005年)
 1616
図-3市内商業施設のポジショニング(2014年)
 1617

※「なにわ考現学2005」及び「新なにわ考現学2014」調査の属性別の「一番よく利用する商業施設」
 データをもとにコレスポンデンス分析によってポジショニングMAP化を行った。
 ■八尾西武来年2月で閉店~西武/そごうグループの郊外店、地方店の行方
 
 セブンアンドアイホールディングスは八尾西武と筑波西武を2017年2月を持って閉店すると発表しました。

 西武百貨店、そごうともにバブル期は多店舗展開を行い、地方都市や郊外都市に店舗が多いのですが、関西では1974年の高槻西武(西武タカツキショッピングセンター)、1976年の大津西武(西武大津ショッピングセンター)に次いで1981年に「西武八尾ショッピングセンター」として開業しました。
 2006年に「アリオ八尾」が開業したときに繋がって2核1モールのショッピングセンターとなりました。

 下図にあるように155億円(2015年度)の売上はありますが面積が大きいので非効率店舗としてスクラップされたのでしょうね。

 それぞれの店舗の立地特性と収益構造が違うので,一概にはいえませんが、下図をながめているとセブンアンドアイホールディングスの戦略として、地方立地、郊外立地の百貨店の整理はまだまだ続きそうですね。
 都心店は建て替えても収益が上がる見込みがあるでしょうが、郊外店、地方店ではどうでしょう。本体のGMSでさえ苦戦している中で新しい「収益モデル」が創造できるでしょうか?

 これは西武・そごうだけの課題ではありません。

 関西の優良な郊外店に買い物する気で訪れましたが、最近改装した店舗には見事に「欲しい商品」がありません。近くの競合店、ららぽーとやイオンモールにも無い事はわかっっています。改装の意図が見えません。…電車で15分の本店からのお取り寄せが「3日」という仕組みから変えないといけませんね。

                                                                                        (8月8日)

 図ー西武・そごうグループ 郊外店/地方店の売上と売場面積
 1618
繊研新聞2016年7月16日記事より
 ■堺北花田阪急2017年7月で閉店~年間100億を切る店舗に要注意
 
 堺北花田阪急閉店

 2004年にイオンモールのSC内に出店した「堺北花田阪急」は、2017年7月末で閉店すると発表されました。2007年から2013年まで年間』100億を超える売上を確保し、1億円を超える営業利益をキープしてきた店舗ですが,2014年の消費税増税以後失速、周辺に「ららぽーと和泉」(2014年が開業)し売上は88億円に減少、2億円の営業赤字を出しました。

 2016年には「イオンモール堺鉄砲町」が開業、今後「アリオ」が松原市(商圏の東側)に開業します。2015年の売上は前年比5.3%減です。

 堺市内の「髙島屋堺店」で2.7%減、「ららぽーと和泉」に近い「髙島屋泉北店」で4.7%減ですから確かに競合の影響はあっったのだと思いますが、下図にあるようにグループ内の「千里阪急」「川西阪急」に比べて収益力(坪効率)が低い店なので体力が持たなかったのでしょうね。堺市内の髙島屋2店も競合の影響はあったとはいえ、もともとの売上ベースは高いです。

 「大和川以南にはMDは無い」とも言われていましたが。堺市の中でも、北花田はもともと「百貨店立地」としては適当ではなかったのだと思います。少なくとも「阪急スタイル」では通用しません。よく続けてこられたと敬意を表します。(地元なので)

 気になるのは同じように100億円を切っている店です。前年度からの比較で言えば「大丸須磨店」(5.1%減)、「京阪くずは店」(1.8%減)、「近鉄百貨店生駒店」(1.5%減)…
「京阪くずは店」は京阪電鉄の「KUZUHAモール」の核店舗なので個店の売上だけでは判断できません。

 3セクの開発した「須磨パティオ」の核店舗「大丸須磨店」は「須磨パティオ」と一体となっているので、立て直しにはSC全体のリニューアルが必要でしょう。

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 図ー京阪神の郊外立地百貨店 2015年度の売上と売場面積
 1619
繊研新聞2016年7月16日記事より
 ■薬草茶・健康茶がこれからもっと注目される~大量生産できない価値
 
 地方でだけ愛されている「美味しい食べ物」を全国に流通させる仕組みが作れないか?10年前にそんなことを考えていました。 物流コストと、既存の流通に載せるには生産量が少ないことが障害になりうまくいきませんでした。今はインターネット技術も発達し、流通業の方も売れる商品を探し回っているので催事やイベント販売、地域の物産館で大抵の物は出回っています。

 健康ブームでさまざまなサプリや海外の珍しい食品が人気を集めています。オーガニック系の食材の9割は輸入に頼っているそうです。ところが、日本国内には多数の薬草が存在しています。なかなか流通ルートにのらないのですが、各地方で古くから活用されているものも多く、薬草農家の数も結構多いそうです。全国ルートの流通にのらないとなかんか知られないのです。

 昨年、愛媛県内の商業施設の仕事をお手伝いしたときに、地元の若い農家の手作りの「健康茶」「よもぎ湯」を購入しましたが安くて、はっっきりとした「効能」がありました。(あくまでも個人の見解です)お肌がつるつるになりました。(くどいですが個人の見解です)

 (筒井農園のリンク)
 http://www.tsutsui-nouen.jp/healthytea/ へのリンク

 農家や地域と連携し、地域の薬草を活用したお茶や入浴剤の開発、全国販売を始めているベンチャー企業もあります。ターゲットは28歳から40歳の女性なのでパッケージもおしゃれです。生産者も小規模ですし,地域によって素材も違います。大企業には取り組みにくいのですが、地方創生のテーマとしては有効でしょう。
「伝統茶tabeL」の紹介記事
 http://colocal.jp/news/43209.html へのリンク
「伝統茶tabeL」のホームページ
https://tabeljpn.stores.jp/ へのリンク

 今年は薬草が注目される機会が増えていくように思います。

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 ■高齢化するコンビニエンスストア~20代の頃のユーザーのライフステージ変化?
 
 1976年から1990年頃までのセブンイレブンのキャッチフレーズは「セブンイレブン良い気分!開いててよかった」だといいます。(関西人なのでその頃のことは良くわかりません。~関西にはあまりセブンイレブンは無かったのですよ)

 日本でチェーンストアとしてのコンビニエンスストアが生まれたのは1974年~1975年頃です。初期のローソンはパーティフーズの店でハムの切り売りなどしていた店でした。70年代後半には深夜営業の小さなよろず屋の様な店で、ひからびた弁当や缶麦酒を11時頃に買える店として若者層に多く利用されていたのです。

 下図のセブンイレブンの客層を見ても1989年には10代が27%、20代が35%と過半数を占めます。出店基準でも500メートル圏に単身の若者がどれだけ存在するか?が重視されていました。

 2015年の年齢別構成比を見ると、今や主力は50歳代以上のシニア層である事がわかります。人口構成比が高齢化しているので当然なのでしょうが、おそらくこの世代は若いときにコンビニエンスストアのヘビーユーザーだった層なので、いまでも愛着があるのかも知れません。

 今の若い人のライフスタイル,価値観から考えるとコンビニエンストアは利便性で利用することはあっても、ファーストチョイスではないのでしょうね。深夜営業している店も増えていますし、「ドラッグストア」や「成城石井」などの方に、「欲しい商品」が揃っているのだと思います。

 業界のカリスマ会長が退任してサラリーマン経営者が中心になってきた今、コンビニエンスストアーは今後、街のインフラとして無くてはならない存在であるでしょうが、小売り業としての勢いは衰えていくのかもしれません。利便性は「人」が支えていますが、「人」はこれから減少していく中でサービスを維持できるかどうか?今後に注目したいと思います。

                                                                                          (7月20日)
 上場して勢いのある「LINE」ですが、一度試してみようとトライしたのですが、位置情報は要求されるは、メールアドレスリストが勝手に吸い取られて、大して親しくない人に拡散されるは、全く知らない人から「スマホ変えたの?」とコメントはくるは、プライバシーダダ漏れなのにビックリしました。早々に解約しました。皆さん平気でプライバシーをさらけ出すのですね。「マーケティング」的には美味しい情報なのでしょうがこれは利用者としては駄目でしょう。

 グループ内の連絡には重宝だと言うことですが、取説がないので、直感的に設定するととんでもないことになりそうです。

 図ーセブンイレブン1日1店あたり年齢別の平均客数
 1620セブンアンドアイホールディングス 事業概要2015より
 ■百貨店は新品・中古の枠を超えた価値ある物を提供する業態にかわることで再生できる
 
 百貨店で拡がる不用品改修サービス~そのさきに見える可能性

 百貨店の店頭で不要になった衣料品を回収するサービスを拡げているのは「三越伊勢丹ホールディングス」です。洋服、バッグなど「好みが変わって不要になった」商品を引き取ります。ブックオフの買取子会社「ハグオール」との提携で始めています。今の所、店頭での再販売はやってないようですが、百貨店のお客様は質の良い商品を持っている確率が高いので、「良い」商品を再販できる可能性が高いのです。
 昨年、当社が行った全国の消費者調査でもファッション感度の高いマーケットリーダー層では「中古品」の利用に抵抗が無く積極的です。ビンテージ品感覚なのでしょうね。「エシカル」な消費は今一番先端的なイメージを与えるのです。

 他業態との競争の中で「良質な中古品の販売」は大きな差別化ポイントとなります。アメリカの中古品売買サイト「マテリアルワールド」はファッション通販の「ゾゾタウン」(日本)の出資で同じサイトで新品の通販も始めました。(日経MJ4月4日記事)高級ブランドの中古品サイトで30~40歳代の女性が顧客。1回6万円購入し、年6回利用するそうです。ゾゾタウンは中古品、新品の販売のノウハウは持っています。あえて出資したのは良いお客さんを掴んでいるからでしょうね。

 地方百貨店復活のニュースがぽつぽつ聞こえてきます。(姫路のヤマトヤシキ、山陽百貨店、松山の伊予鉄髙島屋など)やはり百貨店は良いお客さんを掴んでいるのです。

 衣料品補修の「ビッグママ」が好調で5月期の売上が15.7億になりました。今、全国に「受発注システム」の販売を始めています。これはのびていくでしょうね。百貨店でも取り入れていくべきでしょう。「高質な新品販売」「補修」「再生品の販売」さらに、最近伸びている衣料品雑貨の「レンタル」を一体とした形で提供する。百貨店の信用と「上質の顧客ストックから考えて、ゾゾタウンなどのネット販売と十分差別化できます。ユニクロやZARAにはできない事業です。

 おそらく売上金額は縮小するでしょうが、リピーター率は高まり利益率もあがります。人員構成やキャリアプランなども見直す必要があるでしょうが、おそらく百貨店本体が生き残る道はそこにしかないのだと思います。付帯事業として飲食であるとかテナント事業で売上を稼ぐためにも「百貨店本体」の揺るぎない卓越性が求められます。

                                                                                            (7月13日)
 ■「NO PAY NO WORK」時間を安売りしない
  
 オリンピックの通訳を「ボランティア」でまかなおうという動きに批判が集まっています。報酬はもちろん,交通費や宿泊費も自腹で…東京オリンピックならまだしもリオへも自己負担で派遣しようということらしいです。

 今回の通訳活動はあくまでボランティア。ユニホームや活動日の食事は提供されるが、滞在費や渡航費は自己負担になる。宿泊先は大学側が手配したが、渡航費の約30万円は学生が自己負担しなければならないという。派遣期間は最低2週間だが、シフトは6勤1休とタイトなスケジュールだ。懸念されている治安については「大学としては安全について万全を期しますが、基本的には渡航中の身の安全を守るのは自己責任です」と説明している。(ハフィントンポスト7月8日)

 滞在費は個人負担ではないようですが、昔の東京オリンピックや大阪万博の頃なら滅多に会えない「外人さん」と直接話せるという機会を喜ぶ人もいたのですが、本来はきちんと職能をもった通訳を雇用しないといけないところを、安くあげようという魂胆がさもしいということでしょう。招致の「コンサルタント」には大金を払っているのにね。

 ロンドンオリンピックでは7万人の募集に対して24万人の応募があったようです。サッカーの試合もボランティが運営を支えていますから「やりがい詐欺」とまでは言えないでしょうが、「通訳」の職能に対しては敬意をはらって対価を支払うべきだと思います。

 ボランティにはお金という対価を支払えなくても「達成感」や「敬意」をお返しすることをわすれないと「無料の労働力」としか見えなくなってしまうのです。

 当社は「先義後利」を社是にしてというか意義のある仕事なら採算度外視でお手伝いしてきましたが、これでは「仕事」の「価値」を貶めるばかりだと気づきました。発注者は、それになれてしまい「無料サービス」になっている事が、当たり前だと勘違いしてしまうのですね。原点に返ってNO PAY NO WORKを徹底しようと思います。

 とはいえ志があってお金が足りないとか、何が悩み事が見えない経営者の方の御相談のハードルをあげることはありません。最初の御相談は無料です。企画書とお見積もりをお出しして納得できれば、そこから受発注関係がスタートします。お気軽に御相談下さい。(本当は最初の悩み事の整理が一番手間がかかるんですけれどね)

                                                                                            (7月12日) 
 
 ■アーバンアウトドアとグランピング~半ソト空間の楽しみ
 
 グランピングが流行っているといいます。グラピングとはグラマラス(glamorous)とキャンピング(camping)を掛け合わせた造語で海外のリゾートホテルでお風呂やトイレや洗面所も完備した贅沢なキャンプ?でアウトドアを贅沢に楽しめるサービスのことです。バーベキューなどの食事の用意もすべて完備されていてコテージ感覚で楽しめるキャンプは国内でもいくつかのリゾートホテルでサービスが始まっています。
 ショッピングセンター「茅ヶ崎ラスカ」でもグランピングのようなサービス、バーベキューセットを屋外で提供するサービスが人気を集めています。宿泊はできませんがカフェ感覚で利用されているそうです。イオンでもバーベキューコーナーのある店舗がいくつかありますね。手ぶらで言って楽しめることが利用率を高めます。
 ラスカの店も炭火ではなくガスで調理するため火おこしの手間もいりません。食器とか椅子、テーブルもすこしリッチなつくりになっています。

 ワイルドビーチグランピングパーク開業の記事
http://top.tsite.jp/lifestyle/lifetrend/i/28966885/?sc_int=tcore_lifestyle_recommend へのリンク

 「アーバンアウトドア」というのはアウトドアメーカーのスノーピークが始めている新規事業で都市空間の中にアウトドアの快適さを取り入れようというものです。自宅の庭、バルコニー屋上などの「半ソト空間」 でのスタイル提案です。三井不動産レジデンシャルとのコラボではマンションの居室部分と専用庭にシェードをはって連続性を持たせようというものです。食事をしたり、くつろいだり、眠ったり(キャンプ)できる活用が提案されています。マンションの共用部分にも屋内でキャンプ気分が楽しめるインドアパーク、ピザ窯やたき火、水遊びができるようなオープンパークを設置しています。(「パークホームズ立川」 立川といえば昭島のモリパークアウトドアビレッジも近いので都内のアウトドア志向の強い人に人気を集めるのかもしれませんね)

 熊本のように続けて地震が頻発する風景を見ていると、キャンプで快適な生活を実現するスキルを身に着けるのもいいかもと思えてきます。阪神大震災の時もキャンプ用品があって助かったという話も聞いたことがあります。

 住宅会社だけでなく他の異業種とも連携が進んでいるようです。

 アウトドアメーカーの「スノーピーク」が、不動産業や工務店との「Shop in Shop」をスタートさせる。「アウトドアライフを都市の住まいにも取り入れよう」と提案するもので、第一弾は、2015年10月16日(金)に2店舗をオープン。「人生に、野遊びを。」をテーマに、都市生活者の住まいへ向けたアウトドアライフも提案するスノーピーク。「どんな大都市でも、家やベランダ、庭に四季を感じ取る心地良い空間を演出することで、自然指向の生活や『野遊び』をはじめるきっかけになる」と、さまざまな企画を実施。そのうちのひとつが、今回の「Shop in Shop」だ。
 不動産業や工務店の店舗・ショールーム等の一角にスノーピークコーナーを設置し、日常にも取り入れられる製品の説明や販売をする。各店の住宅やリノベーション物件に合わせたライフスタイルパッケージの提案も行う。「スノーピークマイスター」が常駐し、製品の特徴や使用方法、ユーザーからの質問に答えてくれるのもポイント。
第一弾は、神奈川・横浜の「Beat HOUSE」と、茨城・水戸の「エイダイハウジング」内にオープンする。(蔦屋ライフスタイルのWEBサイトから転載しました)

 高価なアウトドア用品がなくても、自宅の猫の額のようなベランダでソト空間を楽しんでいるのでアーバンアウトドアの楽しさは共感できます。たまたま住まいも職場も緑に恵まれた立地でくらしていますが、ソト空間を楽しむとしても、環境的に厳しい場所もあるでしょう。中古住宅のリノベーションにも取り組んでいるようなので、これから増えてくる郊外住宅の空き家の居住者確保にいいかもしれません。…そういえば、URの北野田の団地リノベーションの実験住宅 にリビング空間にアウトアドを取り入れたものがありました。

 それぞれの立地や環境に応じた多様な「アーバンアウトドア」ライフが提案されればいいですね。

                                                                       (7月11日)

 7月12日付けの繊研新聞で「ルミネ新宿」の屋上での「グランピング」(ぜいたくなキャンプ)体験イベントを紹介しています。海外ではセレブを中心に浸透しているグランピングは「自然と一体化したラグジュアリーホテルに,リムジンを貸し切って女子会をするようなノリで楽しむようなキャンプスタイル」なのでSNS映えが良くて「興味を抱いている女子が爆発的に増えている」ようです。「清潔感」「高級感」「やり過ぎのサービス」の三拍子が揃って初めて女性を魅了できるといいます。

 「SNS」映えがするという点がキーなのかも知れませんね。食事でも写真を撮る間に早く食えよと思うような、「セレブみたいな自分さらし」の風潮の中で、手が届くゴージャス感が受けているのでしょうね。
 ■今年の夏休み、外食を控えてもこれに使うお金は抑えられません
 
 消費動向調査では向こう三ヶ月の消費支出のマインドが明らかになります。増やしたいと減らしたいの差をグラフ化したのが下図です。7月9月にかけて「外食費」は減らしたいという人が多く-25%となっています。(マイナスの数値が高いほど減らしたいという人が多くなります)年齢別に見ると60歳代で特に減らしたいという人が多く見られます。

 「遊園地等娯楽費」に関しても全体では-12.5%と縮小 傾向にありますが、30歳代だけは「増やしたい」という人が多くなっています。(図-2)7月~9月は夏休みなので「外食」は倹約するとしても子供達の「遊園地」への支出は削れないのでしょうね。

 消費に関しては明るい見通しは全くない中で、どうしても削りたくない支出です。

                                                                                  (7月6日)
 図-1 7月~9月の外食費 「増加ー減少」率           図-2 7月~9月の遊園地等娯楽費「増加-減少」率
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(内閣府 消費動向調査 6月)
 ■サラリーマン・OLのランチの費用~格差とギャップの先の外食産業のありかた
 
 ランチの格差

 男性の1回あたりの平均金額は587円。女性の平均は674円と男女のギャップが大きくなっています。(図-1)女性の中でも平均金額が高いのは20歳代で762円と唯一700円超えです。40歳代の女性がそれに続き697円となっています。ただしこれはお弁当持参時を除いています。女性の場合昼食回数の5割ぐらいは弁当持参なので、が汚職するとしたら少し張り込むということなのでしょう。※調査は全国データ。東京だけに絞るとまた少し違うでしょうね。
 これは正社員の平均です。パートアルバイトになると男性の平均が495円。女性の平均は510円とより一層節約志向が強まります。ただし、20歳代のパートアルバイトでは平均金額が705円と少しだけリッチなお昼ご飯タイムを過ごしています。30歳代女性のパート・アルバとの昼食代は400円そこそこなので、節約志向が目立っています。

飲み代の格差

 1回あたりの飲み代は男性5,102円。女性は3,915円と男女の差が大きくなっています。パートアルバイトの男性は3,606円、女性は3,700円と男性は大きな差がありますが,女性は正社員とパートアルバイトでは差がありません。

 お小遣いの平均はバブル期の1990年には77,235円(男性平均)あったものの、2016年には37,873円になってしまいましたからお昼ご飯代も倹約対象です。最近急増している非正社員は更にきび良い状況に追い込まれていることがわかります。

 全国調査なので、都市部、特に首都圏ではもう少し単価が高いかも知れません。とはいえ、TV番組で紹介されるような少しリッチなランチの価格帯と現実に消費される金額にも大きな差があります。

 コンビニやスーパーのイートインコーナーでは少しでも安くて美味しいものを食べようとする人出あふれています。外食産業は顧客のセグメントを明確にしていく時期に来ているのでしょうね。
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 図-1 会社員/OLの1回あたりの昼食代平均               図-2 会社員/OLの1回あたりの飲み代平均
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 新生銀行 全国の会社員へのネットアンケート 2016年4月
 ■ワンルームマンションへの規制強化が意味する社会の動き~川口市の条例制定
 
 人口流入が著しい埼玉県川口市ではワンルームマンションへの規制が条例化されます。建築主に対し「ゴミ出しルールの説明」や「一戸一台の駐輪場の設置」が義務づけられます。川口市は東京に隣接しているめ流入者が多く、10年以上転入が転出を上回っているといいます。
 単身者や外国人が居住することが多いのが特徴です。
 通常のマンションでしたら、コミュニティのトラブルは管理組合や管理会社が対応するのですが、ワンルームマンションでは売りっぱなしになっていてクレームが直接行政に持ち込まれるのでしょうね。法的な拘束力の無い指導要綱では無く、条例として法的な規制がかけられました。
 外国人居住者とのトラブルや民泊による非住居利用の増加などを考えると、相続税逃れで資産活用されているアパートやワンルームマンションの「管理責任」はますます強まっていくでしょうね。


 一方東京都心の千代田区では、敷地面積500㎡または延床面積3000㎡以上の建築物に「子育て支援施設」や「食料品店」「災害時の帰宅困難者受け入れ施設」「一般利用できる無料の屋内喫煙所」を一定面積導入するという指導要綱を7月から施行します。
 港区では延床面積3000㎡以上のビルで面積の1割以上を「生活に便利な施設」として保育所やサービス付き高齢者住宅の面積算定を優遇します。
 千代田区も港区も業務地区のイメージがありますが居住人口が増加してきており生活利便施設が不足しているという背景があります。

 人口が増加して困っているという現象は日本国内でも首都圏の一部にのみあらわれている現象です。それにしても「無料の屋内喫煙所」というのは変な条件ですね。よほどニーズが高いのでしょうね。屋外のポケットパークでも喫煙者が集まりすぎて喫煙禁止とするところが増えています。千代田区では、屋外で野放図に喫煙する「野良喫煙者」の徘徊によほど困っているんですね。

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 ■来店客数は多くても売れないアンテナショップ~「とちまるショップ」の課題
 
 アンテナショップの目的は?
 
2012年に東京スカイ敦井-「東京ソラマチ」に開業した栃木県のアンテナショップ「とちまるショップ」が開業5年目を迎えて存続の岐路に立たされています。
 規模は北海道、沖縄に次ぐ規模があります。来店客数も年間160万人とこれらのショップに次ぐ規模です。栃木県はフードバレー構想をもとに食品産業の振興に力を入れています。にもかかわらず売上金額は1億4,800万円と来店客数106万人の新潟県の4億4千万円。規模が三分の一の群馬県の2億円に比べて大きく引き離されています。

 来年の賃貸契約更新にむけて路面店への移転論もでていますが、好立地の路面店ではコストがあがるばかりです。「売り方が下手」「店員の教育が不十分」など県内市町村の声を受けた運営面での改善が急務です。

 東京スカイツリー開業によって線路が繋がる栃木県の観光PRを目的として設置されたアンテナショップです。担当は「産業労働観光部 観光交流課」です。県だけで無く県内の25の市町村の共同設置です。

 栃木県フードバレーの担当は「産業政策課 産業戦略推進室」です。食の産業振興を目指しています。担当部署が違うせいかアンテナショップの文書にフードバレーは触れられていません。店頭での売上は低くても,観光客の誘致、ブランディングそして観光の目玉になる「食」の産業振興に繋がっていれば問題はないのだと思います。

 縦割りの弊害なのでしょうね。

 大阪府・市の都市魅力

 大阪の府と市の境界を超えた都市魅力推進会議の議論が続いています。「観光・都市魅力部会」「国際化戦略部会」「スポーツ部会」の3部会で議論され、大阪を語る代表的な有識者の提言が公開されています。
 それぞれの御提言は専門分野からの深みのあるお話で、これらの議論を積み上げるステップは必要なステップだと思います。(時折、元都知事さんや功労者の思いつきが面白おかしく報道されるときに面白おかしく揶揄されるのですが)地道な積み重ねは重要ですから敬意を表したいと思います。

 それでも、「構想」が「総花的」で「足が地についていない」ように見てしまうのは何故でしょう。それぞれの委員が亡備メモのような意見をいいっぱなしなおは何故でしょう。構想のポンチ絵ばかりが次々提示されていながら、実現の手順が示されていません。確かに、府、市ともに実現のための予算が無い事は多くの人が知っていますが、その中でもぜひ実現したという熱を感じさせないといけないでしょう。(カジノ業者の投資か国の投資をあてにしているのでしょうが、投資したくなる魅力的な絵になっていませんし、観光集客のその先が見えません)

 観光が雇用を生む側面がある事は承知しています。ただ、来訪者の需要だけに頼った売上効果はすぐに沈静化することは最近の百貨店の売上低下げにもあらわれています。「観光」施策であっても地域の産業をどう活性化するかの視点が必須です。例えば、観光で訪れた韓国や中国の優秀な知的人材の青年が大阪で学びたい、働きたいと思ってもらえれば大阪、いや関西の経済は今後とも伸びていくでしょう。パチンコ(またはカジノ)してたこ焼きを食べて、ユニバで遊んでおしまいでは大阪の持続的な発展は見込めません。継続してどのような効果をあげるのか?
 

 集客その後で…
 大阪では、地域的な縦割りの弊害は解消されていますが、本当は担当部門を超えた生き残り策の検討が必要です。「とちまるショップ」の失敗のように部門の縦割りを解消しないとね。例えば、大学や病院・医療の充実が「都市魅力」を高めてくれます。

 どんな人に来て欲しいか?来てもらった人をどのように次に繋げていくのか?集客目的のイメージの共有が必要です。

 ということで「とちまるショップ」にはフードバレー構想のショールームとして茨城県の食品産業の発展に繋がる展示やプロモーションを強化して,頑張って成果を上げて欲しいものです。

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 ■2km圏をターゲットにする「枚方T-SITE」と10km圏が中心商圏の「エキスポシティ」
 
 2015年11月19日開業の「エキスポシティ」は開業半年で1,400万人

 年間の目標は1,700万人でしたから、早々に目標達成ですね。来場者は大阪府6割。(吹田、豊中、茨木など10km圏内が中心です)兵庫県・京都府が2割、その他が2割となっています。エンタテイメント系の施設が目当てなのか、30~40歳代のファミリー層の比率が高いようです。車での来場が5割を占めています。徒歩自転車はわずか1割にとどまっています。
 万博記念公園や吹田スタジアムが隣接しており、一日楽しめます。7月1日には日本一の高さの観覧車「レッドホース・オオサカ・ホイール」が開業します。営業時間が10:00から23:OOなのでスタジアムの試合後にも利用できる施設が増えそうです。今は21:00迄の営業時間の店舗が大半なので不便です。

 既存のららぽーとに比べて「ヤングキャリア層」の比率も高いそうですが、ファッション部門は店舗のばらつきが大きく苦戦しています。
 商圏が広域に拡がるためか土日の売上に集中し平日は苦戦しているそうです。周辺部の居住者も多いですし、所得水準も高いので、MDの見直し、飲食店の強化、営業時間の見直しを行えばもっと売れる店になります。もう少し足元商圏に目を向けるべきでしょう。

 枚方駅前「枚方TーSITE」5月16日開業 ターゲットは半径2km圏

 枚方近鉄の跡地に開業した「スマホ時代の新しい百貨店」食とエンタテイメント、金融を中心にテナントを集めています。TUTAYA創業の地で増田社長のホームグラウンドなので気合いが入っています。「店舗とネット」をアプリで融合させる仕掛けが仕組まれています。顧客情報のデータベースが新しいビジネスチャンスを生むという見込みなのでしょう。レンタルビデオ店「TUTAYA」もレンタルの収益と言うより「金融業」としての利益の上げ方を追求し、利用者のデータベースで収益を上げてきた増田社長らしい戦略があるのでしょうね。

 夏には地下1階に有名専門店が入る食料品売場が開業します。…視察はその後にしようかなと思っています。儲けの仕組みは店頭では見えないようになっていますからね。


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 ■姫路で復活した百貨店~駅ビル開業なのに山陽百貨店、ヤマトヤシキの堅調
 
 兵庫県第2の都市姫路での百貨店の堅調

 姫路城の大修理が完了した姫路市には、2014年5月に駅ビル「ピオレ姫路」(2.3万㎡)が開業しています。姫路市の景況はご多分にもれず良くはありません。市内のの老舗百貨店「ヤマトヤシキ」は4期連続の債務超過で風前の灯火状態にありました。2014年12月に投資ファンド「マイルストーンターンアラウンドマネジメント」に経営再建を委ね改装投資を行った結果、4月21日の改装オープン後来店客が増加し,休眠顧客が戻ってきていると報道されています。(6月23日繊研新聞)もともと老舗なので良いお客さんを持っていたのですが、売上減少の中、改装投資が進まなくてじり貧状態にありました。(その時でも改装したレストランは好調でしたが)今回は地下食料品と1階のカフェ導入、2階の婦人服雑貨・セレクト店の新設など低層階の活性化が中心ですが、他の売場にも波及効果が出てきているようです。駅からは離れていますが比較的元気な商店街の中に有り、駅から姫路城の通り道なので立地は悪くないです。(食料品売場も改装しがいのあるひどさでしたしね)

 駅前の山陽百貨店は20年ぶりに増収を果たしています。観光客の増加、駅ビルからの回遊など追い風に「食料品」2%増、「雑貨」12.6%増と好調です。化粧品は2ケタ増だそうです。(かつては輸入化粧品がなかったそうです。昔は化粧品はヤマトヤシキが強かったはずです)2015年度の売上高は196億1,200万円で前期比0.6%増です。

 2014年5月に開業した駅ビル「ピオレ姫路」(2.3万㎡)は初年度177億円を売上げています。市内で影響を受けたのは「姫路フォーラス」(イオンの専門店ビル)で売上がピーク時の半分になりました。2015年の1月に閉店しました。もともとジャスコ(イオン)の店舗だったビルで増床の余地も無かったようです。

 姫路商圏ではイオンのショッピングモールが郊外に出店し、都心部の商業が地盤沈下したといわれています。その施設は、早くに出来たので、今の基準で見ると狭くて古ぼけたように見えます。少なからず駅ビルの影響を受けていると思います。(イオンは個店の数字を発表しなくなっていますので推測ですが)

 姫路はジャスコ発祥の地のひとつです。イオングループとしてはフォーラスの閉店は残念な結果になってしましました。
(フォーラス業態の2号店だそうです。仙台が1号店。フォーラスでも金沢、大分の店は良い店ですよ。運営はOPAがやっています。イオンは「パルコ」を大丸に買いまけたのが響きましたね)

 「陳腐化する郊外店」の出現で都心対郊外の競争は新たな局面に入ってきたともいえます。百貨店にとってもほんの少しだけ明るい展望が開けたのかも知れません。
山陽百貨店、ヤマトヤシキともに良く知っていた百貨店なので復調はとてもうれしいです。

 (新聞記事では触れていませんが、「姫路城」という強力な集客装置があるのでインバウンド効果も無視できないだろうと思いますが)

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 7月13日の記事で愛媛県松山市の「伊予鉄髙島屋」の好調を伝えています。東急ハンズの導入や化粧品フロアの拡大で1.5倍ペースの伸び率を示しているそうです。
 40~55歳の世代が中心ですが、20~30歳代や男性客も増加しているとか。地方百貨店は改装投資の効果がありそうですね。松山市と言えばフジの運営する「エミフル松山」が郊外型のSCとしてシェアを伸ばしていますが、都心立地でも負けていないですね。   (7月13日)
 ■コインランドリーに集まる注目~デフレ対応の集客装置
 
 コインランドリーが不動産活用、集客装置両面から注目されている

 コインランドリーと言えば単身者の利用が多く、銭湯などの横や単身者の多い地域に多く立地していました。利用はうらぶれた,わびしい気持ちとともに利用したのを覚えています。かつてのコンビニに似ていますね。今はシニアや共働きの主婦、女性の利用が増えてきており、新しい集客装置として注目が集まっています。

 布団や毛布も洗える大型洗濯機も備えたコインランドリーはクリーニング屋さんの需要を浸食しているという意味で家計節約志向のデフレ業態とも考えられます。

 業界大手の「マンマチャオ」は地方の複合商業施設でファミリー層が1日過ごす事に着目。大型複合商業施設への出店を加速しています。

 日経MJの記事(2015年11月11日)であhカレー屋さんやジョイフル本田などのホームセンター、イオンタウンなどが集客のためにコインランドリーを設置している事例を紹介しています。
 
 コインランドリーをFC展開しているエレクトラックスジャヤパンの調査では週1回以上の利用が2割、月に1回以上の利用が3割を占めています。(利用者ベーズ)

 不動産活用としても「エコラックスランドリー」というブランドで高い収益性を武器にコインランドリー店舗を増やしています。24時間サポートなどの運営支援やコンサルティングもセットになっています。

 ユーザーのニーズは「時間節約」にあるのでしょうが、クリーニング店に比べて安い料金、家計を助けるための夫婦共働き増加(それは、本来のあるべき姿ではありますが)などデフレ時の新業態です。そういえばバブル後「コイン洗車場」の立地調査が多かったですね。

 生活が厳しくなると時間の余裕も無くなってきます。その中でも少しでも楽しい時間を過ごせればいいですね。

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エコラックスのホームページ
 http://www.ecolux-laundry.com/owner/ へのリンク

 新聞報道では触れられていませんが、コインランドリーの活況は外国人労働者が増えてきているのも一因かも知れません。
 ■陰りの見える百貨店のインバウンド特需~改革のペースを上げる時期に
 
 百貨店売上げ3ヶ月連続マイナス~免税売上は16.6%減(5月)

 全国の百貨店の5月の売上は5.1%のマイナスです。大阪では-4.7%、名古屋で-5.7%,東京でも-4.5%です。株価の低迷による富裕層の消費意欲低下とインバウンド需要の落ち込みがその原因です。免税品の売上は-16.6%,購買客数は増えていますが、高額品から化粧品などの消耗品にシフトしたことが大きく影響しています。
 中国で高額品への課税が強化されたことや来日される方が所得階層の低そうに拡がっていること、中国当局による規制強化などが背景にあります。

 リピーターが増えている(台湾で8割、韓国で5~6割、中国でも2~3割がリピーターです)消費が物の購入から体験・ことに移っていることも大きいでしょう。

 中国の海外旅行者は年間1億人。日本ではその5%しか獲得していませんから、市場開拓の余地はまだあるといえます。特に「化粧品」「雑貨」などの日用品や「医薬品」は関西にも有力企業が多いので、関西経済にとってはプラスになります。(日銀大阪支店関西におけるインバウンド需要の動向2016年6月参照)

 1,974万人の訪日外国人観光客(2015年)を2020年には4,000万人に?

 2020年の訪日旅客数は2,000万人の目標でしたが,今年3月に4,000万人に引き上げられました。ニッセイ基礎研究所の試算では、2020年の訪日旅客数は2,540万人と推計されています。30%円安が進む(現状では非現実的ですが)として3,172万人となります。(円高が進むと大変なことになりそうです。

 インバウンド需要は今後も重要なウェートを占めますが、オリンピック特需も関西には恩恵はありません。

 特に関西の百貨店は、戦略の練り直しを早い時期に行う必要があります。特に改装中のインバウンドのウェートが高かった「心斎橋大丸」は、改装プランでいくつかの対策を講じておく必要があります。かつて、JR大阪三越伊勢丹はリーマンショック前の売上目標をリーマンショック後も見直さなかったこと(現在も)が敗因ともいわれています。特に投資を伴う物は柔軟に見直すべきでしょう。

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 参考文献
 「訪日外国人旅行客数は増加するのか」ニッセイ基礎研究所 基礎研レター2016-06-16
 「関西におけるインバウンド需要の動向」日本銀行大阪支店 2016年 6月
 「全国百貨店売上高」日本百貨店協会


 6月29日の日経新聞の報道によるとJフロントリテイリングの近畿の主要店舗の3~5月の連結決算は軒並み減収となっています。改築中の心斎橋店が24,2%減なのはしかたないとしても、大丸梅田店が4.3%減、神戸店が4.7%減、京都店も6.3%減となっています。「客数は前年並みだが、海外ブランド品など高額品が大きく落ち込んだ」のが響いて梅田店の免税品売上げは38.5%の落ち込みになっています。  (6月29日)

 ■東京大森ダイシン百貨店の閉店~チェーンストアに負けた小商圏・地域密着スタイル
 
 百貨店とは名前がついていますが、500m圏の需要を100%獲得する,小商圏の地域密着型の総合店(レストラン・食料品・リビング等)です。

 高齢者社会を見据えて社会的弱者に軸足を置いた大手チェーンストアでは出来ない小回りのきく経営、具体的には高齢者向け無料宅配サービス、「大森山王俱楽部」と呼ばれる健康支援サービス、他では扱わない旧製品等の仕入れの継続、山王夏祭りにみられる地域一体となったイベント、自社のポイントカードであるアップルカードの地域への開放等、堅実にリピータを獲得する戦略をとった。この経営手法は、「不況に強い店づくり」のモデルケースとしてマスコミの取材もたびたび受けていた。本館建て替え前は、負の遺産の整理もすすみ、わずかながらも黒字経営に転換していた。(wikiペディア)

 マスコミに取り上げられることが多かったのは、大手チェーンストアがあまりにも席巻しすぎているなかで「地域密着」に共感する人が多かったのだと思います。店舗製作の迷走もあったようですが、決定的なのは店舗の隣に大手チェーンの食品スーパーが開業したことだという指摘もあります。

 メガドンキホーテはバラエティ性×低価格のデフレ業態です。スーパー玉出が店舗を増やす大阪だけではなく東京でさえ、中心部の一部を除いて「デフレ」の中にあるのだなと思います。

 チェーンストアに対抗するには徹底的な小商圏地域密着戦略しかないという考えは変わりませんが、小商圏に大手チェーンが進出してきたときにどう差別化できるかが課題です。高齢者等の社会的弱者にECの利便性をリアル店舗でサポートするとか…うまくいけばすぐに大手がシステム化しそうですね。最後は人と人の関係づくりなのでしょうね。

 閉店を伝える東京新聞の記事
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016050602000052.html へのリンク
メガドンキホーテとして6月30日再生
 http://www.daishin-jp.com/ へのリンク
 そういえば千日前のジュンク堂跡もメガドンキホーテになるらしいですね。
                                                                       (6月17日)
 ■新開業施設「新宿NEW0MAN」と「東急プラザ銀座」~細部に気持ちが漏出する?
 
 新宿駅南エリアの新商業施設「NEWOMAN」は4月15日に2期開業

 評判通り「バスタ」との導線が迷路なのは仕方がありません。ショップを見ると最先端の店が集められています。
 土曜日の昼(6月4日)に拝見し勉強させていただきました。…新宿駅に人があふれているのに人は少ない印象がありました。「あたらしい時代を生きる、すべてのあたらしい女性のために。新しい経験と出会う場所を,私たちは『NEWoMAN』と名付けました」とうことなので、メンズにはあまり見るところがありません。まちづくりを意識しているので「クリニック」「保育所」「屋外広場」や「屋上菜園」が複合しているのがセールスポイントです。菜園は少し小さく感じます。屋上広場は準備中でした。夜に営業するのかしらん。もう少し細部に気をくばらないと……。

 駅ナカエキソとのフードエリアに新しい店が集まっています。大阪の菊太屋のおにぎり屋さんも初出店。ユーハイムのミートパイやルビアンのパンなど関西臭が漂っていますね。

 東急プラザ銀座3月31日数寄屋橋にオープン

 もとは数寄屋橋阪急のあった場所ですね。阪急を追い出してつくられた商業施設です。免税コーナーなどインバウンド需要を強く意識していますが、雑貨などの集客力のある店舗を組み合わせていて、入店客は外国人ばかりではありません。

 「NEWoMAN」が一生懸命最先端を追求しているのに比べて既存のいいものを組み合わせてお洒落にまとめているといえそうです。

 屋上はプールサイドがビアガーデンの準備中ですが壁面緑化された空間のカフェが賑わっていましたし、おいてある椅子が個性的で楽しい。椅子を見に行って下さい。

 ついでに銀座三越の屋上の写真も公開しておきましょう。小さいけれど芝生広場があると小さい子供を連れたお母さんがあつまりますね。

                                                                                (6月6日)

 6月17日の繊研新聞の報道では新宿「Newoman」の出足はまずまずということです。(ということは目標には到達せずと言うことですね)「バスタ新宿」の利用者が取り込めて居らず、駅ナカの飲食で好不調が分かれているようです。購買者は35~49歳が47.6%、30~34歳が15%と狙い通りの30歳代から40歳代の大人の女性を掴んでいると言います。(カード顧客分析)
 目標とする客単価3万円(衣料品)には届かず、18,000円~19,000円が中心だそうです。それでも新宿店より6,000円高いということですが、百貨店客を取り込めていないのでしょうね。「上質本物志向で物の選択眼が優れた女性客」がターゲットだそうです。  (6月17日)

 新宿ニューマンの屋上です。新宿なのに少し寂しい。ある意味穴場。土曜日の昼間なのに準備中ですか?
 ニューマン1  ニューマン2
 こちらは東急プラザ銀座の屋上 人はこちらが多いようです。プールサイドでビアガーデンの準備中。
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(壁面緑化がかっこいいけれど、維持管理は大変そう。来年頃にもう一度見に行こうかな。ふふふ)

ニューオープンではありませんが銀座三越の屋上です。芝生があると小さなお子さん連れが多くなります。屋上遊園地は無いけどね。
 gm1 gm2
 ■「親切な人がいっぱい」の世界~初歩的なトリックでも数撃てばあたる?
 
 今日は、企業経営者にしか届かないだろうDMを御紹介します。

 通常、ファクシミリの回線は外しています。ほとんどダイレクトメールしか届かないのです。

 良く送られてくるのは頼んでいないのに「融資枠」が認定されました。3,000万円、無担保で貸してあげます。利率は年利1%です。という御案内です。

 公庫融資で2.0%台ですし、銀行さんでもよほどの大企業で無い限り1%台では貸してくれないでしょう。今時なんて親切な会社だろう。とよく読んでも「善意」の理由が読めませんでした。連帯保証人についても条件付けていませんし、保証料が先に割り引かれるわけでもなさそうです。TVの銀行ドラマではあんなに融資の稟議書の社内検討に手間をかけているのに……。

 よく読むと、返済が遅れたときに年利10%になると言う文言が味噌でした。おそおらく、こんなに「善意にあふれた」(うさんくさい)融資話に飛びつく企業は、よほdp資金繰りに苦しんでいるはずです。借りたお金は必ず、どこかで返済がとどこおります。その時に、「高利貸し」の正体が立ち現れるのでしょうね。
 レンタルビデオ・CDの収益源も割高な延滞料にあるとも言われているのを思い出しました。

 コンサルなどの士業の事務所に届くのはマッチングの組織入会のご案内です

 新規顧客開拓は個人営業に近い士業の事務所にとって大きな課題です。形のあるものでは無いのでお客様のニーズと提供できるノウハウにギャップがあるかどうか,事前にはわかりにくいものです。

 そんな事務所によく届くのは、こんなことで困っている企業さんがいます。マッチングサイトに登録すれば御紹介しますよ……というメールの御案内です。困り事のある企業は複数の事業者から適当な相談相手を見つけられれますし、士業の事務所にとっては新規開拓につながります。

 企業さんの困り事が具体的で、ああこれならお手伝いできるぞという内容なので、強く心引かれるものがあります。うまく書いてありますね。

 商品の価格比較サイトになれているので、「企業向けサービスにも簡単に比較できるサイトがあれば便利だろうな」という「市場性」も理解できます。

 ただし、これに申し込むと「登録料」「年会費」「情報提供料」が先行して求められ、実際に商談に至るケースは少ないのだろうなと思います。「詐欺である」とはいいませんが、需要と供給のミスマッチがかなり大きいと思います。結果的に「だまされた」と感じる「コンサル」「士業」の方も多いだろうなと思います。「親切な人」が紹介してくれると受け身になるのでは無く、積極的に活用する姿勢が求められます。

 「専門家」「コンサル」の紹介は商工会議所や産業創造館などの公的機関でも行っていますが、紹介者、被紹介者の「満足度」はどうなのでしょう。

 サービスのマッチングは需要はあるでしょうが、事業として持続するためにはいくつかの課題がありそうです。需要と供給のミスマッチがある以上、仕組みの満足度は低いでしょう。だいたい、会ったことも無い、仕事の内容も知らない当社にいきなり参加のアプローチをしてくる時点でおかしいですね。

 当社のポリシーは、基本的には「一見さんお断り」でした。最近、ジャンルの幅を拡げたく感じているので、「ご新規様」も歓迎してます。気軽にお問い合わせ下さい。基本的に対応可能な業務であれば「お断り」はいたしません。価格が合わなければ課題解決の為の業務範囲で調整します。(「親切すぎて胡散臭いなんて」おっしゃらないでくださいね)

                                                                                        (6月1日)
 ■翳りつつある「阪急沿線」ブランド~新なにわ考現学2014
 
 関西では圧倒的に強い「阪急電車」のイメージ

 関西の私鉄沿線のイメージで圧倒的に好感度が高いのは「阪急電鉄」です。中でも神戸線のイメージは群を抜いています。沿線には富裕層も多く住み、いわゆる「神戸マダム」のイメージは阪神間、中でも阪急神戸線の沿線居住者が代表しています。

 「新なにわ考現学」大阪通勤者の街・施設・鉄道イメージ調査でも好きな鉄道のトップは「阪急神戸線」20%です。「阪急宝塚線」9.9%、「阪急京都線」9.4%がそれに続き、阪急電車のイメージは盤石に思えます。

 阪神は60代男性に支持されている。阪急は40~50歳台の女性の好感度の低さが課題

 図-2にあるように「阪神」は60歳台の男性に圧倒的に支持されています。タイガース効果でしょうね。

 阪急について性年齢別に見ると、神戸線は女性の20歳台と60歳台に支持されています。一方京都線、宝塚線は20歳台では好感度が高いモノの、京都線、宝塚線では30歳台以上の支持率が低くなっています。2005年の調査では40歳台にピークがあったのですが、今回は無くなっています。女性60歳台では京都線を好きと答える人がいなくなっています。興味深いトレンドです。

 神戸線は西宮阪急などの開業も有り、イメージを維持していますが、京都線、宝塚線は「JR」や「京阪」のイメージ戦略も浸透してきているのかも知れません。

 かつては調べるのもばからしくなるほど「阪急」ブランドが強かったのですが、どうやらやや翳りが見えてきているようです。

 表面的に見る限り、まだまだ「阪急ブランド」が強い事は間違いないですが、支持者の構造は変化しています。何も手を打たなければ、いずれ逆転することも考えられます。

                                                                                       (5月26日)
 図-1 好きな鉄道 性×年齢別  2005年調査
 グラフ1
図-2 好きな鉄道 性×年齢別 2014年調査
 グラフ2「なにわ考現学2005」及び「新なにわ考現学2014」より
 ■「集客」のその先を考える~スタジアムと周辺商業の幸せな関係のために
 
 イベント終了時の人なみにもまれて

 スタジアムを集客の鍵として都市の少し離れた立地の活性化の鍵にしようという動きがあります。サッカースタジアムでは広島の市内の旧市民球場跡地を推す、サンフレッチェ広島と港湾部の宇品地区で進めたい行政とのあいだで立地選定でもめています。建設費はサポーターや企業の寄付で集められても、土地代や固定資産税まではまかなえない…。土地は行政に提供して欲しいところですが、yはり、しないの良い立地はもう少し高度利用したいのでしょう。宇品は仕事で立地を調べたことがありますが、市内からのアクセスは厳しい、業務地区でも有りイベント時の交通渋滞に課題があります。

 野球では横浜スタジアムも現在の横浜球場を中心に改装し「コミュニティボールパーク」とたい球団側と、「みなとみらい」の先真下埠頭に「横浜ドーム球場」を設置して周辺の賑わいに繋げたい地元財界の間で意見の相違が発生しています。横浜ドーム球場はカジノを含む統合型リゾートの誘致とセットになっています。

 大阪でもかつての平松市長が「うめきた2期計画」にサッカースタジアムの誘致を掲げたことがありました。

 野球とサッカーでは少し客層は違いますが、多いときで数万人の観客が来場するのが「魅力」なのでしょうね。

 ガンバ大阪の吹田スタジアムでの試合終了時の混雑はアクセスがモノレールとバスに限られるので駅の入場制限も有り、大変です。近くのららぽーとも試合終了時には多くの店が閉店しているのであまり恩恵を被っていません。浦和レッズの美園スタジアムも同様です。
 比較的アクセスが多様な京セラドーム大阪(JR大正駅、地下鉄、阪神なんば線、バス)でさえイベント終了時にはJR駅は入場制限されてとがあふれると聴きました。

 一時的な大量集客はあまり「ビジネスチャンス」に繋がらないようです。お祭りの時の「テキ屋さん」は別でしょうが、各スタジアムとも「テキ屋さん」は排除していますからなかなか受け皿にならない。スタジアムに近い商業施設、甲子園球場のららぽーと甲子園、京セラドームのイオン、吹田スタジアムの「ららぽーと」はトイレ利用客や駐車場の混雑で少なからぬデメリットがあるでしょう。

 そういえば神戸ルミナリエも沢山の集客はあっても地元の商店街では不評だそうです。

 スタジアムのある街という対外的な知名度を活かして、地元資源をどう集めていくか、そう考えると広島サッカースタジアム、横浜球場の最適立地は自ずから決まってくるでしょう。スタジアムの集客はおまけと考えて、知名度と人の流れができることを、地元が活用できる選択をするべきだと思います。~何も無いところにポンとたてて、日常的な賑わいができるというものではありません。

 広告屋さん、イベント屋さん、テキ屋さんだけが喜ぶ「集客オンリー」からの脱却

 基本的に職業病なのでしょう、広告屋さん、イベント屋さんは集客数が多い事を目的にする傾向があります。行政の政策評価も数値目標達成を重視するのでぴったりなんでしょうね。…典型的なのは「東京オリンピック」の馬鹿騒ぎともいえます。

 もちろん、イベント開催や集客目標は手段として必要です。…大事なのは一時的に人を集めて,インフラも整備したあとどのように展開し、活用するかです。

 短期的に成果が見えるイベントだけに引きづられては目標を見失います。

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 ■持続的な集客の為に再開発のリデザインを~ORC200の忘れ去られたスカイダイビング体験マシン
 
 2015年12月「中之島漁港」開業~その現在は?

 大阪港のお魚というわけで無く、全国各地の漁港から美味しいお魚をあつめているそうです。水上のレストラン「みなと食堂」は休業中です。冬に開業したのでこれからのシーズンがかき入れ時でしょう。
 平日の昼間というのに3~4組がバーベキュー屋台に集まっておられました。中国人観光客らしいグループもおいでになり、意外に(失礼)お客様もおられました。WEBサイトの写真ほどでは無いです。(意外というのは悪口では無いですよ。よく頑張っているなと感じます))
 周辺にオフィス街があるわけではないので、ビジネスパーソンの日常利用は見込めません。営業時間が18:00までなので夜間利用は見込めません。観光客が対象になるのでしょうが、周辺に回遊できるスポットはあまり整備されていません。実験的な事業なのでしょうが、もう少しスピードをあげて周辺との連携を図るべきでしょう。
(近年の地方創生~まちブランディングブームでも思いますが、補助金があったらい行政が実験のバックアップをしてくれる間にテイクオフしないと持続しませんよ。次から次へとニュースを提供し、協力者をあつめないと……)

 近くの回遊スポットとしては「弁天埠頭」が使われないまま残っています。「廃墟」として面白おかしく取り上げられるケースも多いのですが、この建物のリノベーションあるいは改築によって観光スポットは出来そうです。
 大阪市の記述によると
 昭和58(1983)年3月の時刻表によると、弁天埠頭と高松港とを結ぶ船が3往復と、別府港とを結ぶ船が2往復、合わせて5往復が毎日運航されていました。早朝、高松からの夜行便が到着すると、まだ薄暗い時間に大勢の人が船から降り立ち、大きな荷物を持って弁天町駅へ向かう光景が見られました。
 となっています。人々の「記憶」「体験」というのはベースになる資産です。今はギャラリーがほそぼそと営業していますが、気にしている人は地元でも少なくないです。

 弁天町ORC200は」再活用できないか?

 開業23年になります。ラジオ大阪の本社も移転しているので,イベントなどは積極的に開催しているようです。とはいえイベントが無いときは閑散としています。
 開業当時はフライツアィトというスカイダイビング体験が出来る施設と屋内プールが話題を呼んでいました。23年経つので水回りは大丈夫でしょうか?WEBではプールは通年営業はしていないそうです。

 今はネットで検索しても「フライツアイト」の名前さえ出てきません。ネットでも忘れ去られているのですね。下から風をを吹き上げてスカイダイビング体験が出来る施設が売り物だったのですよ。今でも海外のリゾートの紹介で時々みますけれど。船橋のザウス(人工スキー場)や六甲アイランドの「プールズ」のように忘れられ、思い出す人さえいなくなるのですね。

 確かに寂しいモノの「廃墟」といえるほど寂れてはいないです。もう少し寂れていたら、千葉の施設(ポートスクエア)のようにホテルと商業施設を中国資本に売却し観光客専用施設にできるのですが、USJ、海遊館、大阪城と入った観光拠点にアクセスがいいのが強みです。インバウンド需要は今後どこまで持続するかは不明ですが、新築では無く再利用であれば事業的にペイするでしょう。大阪万博やIRリゾートは今の所期待先行ですが、観光客の勢いがあるうちに「西」「水辺」の観光資源を再発掘しておきたいですね。

 バブル時の遺産をうまく活用できれば良いのですが。

                                                                                     (5月25日)
  中之島漁港                       弁天埠頭  1965年開業~1995年にフェリー廃止   ORC200(弁天町) 今年23周年
  中之島ゲート1弁天埠頭1ORC200
撮影 5月24日
 ■いつか聴いた言葉~クロ現「空中族」を見ていて
 
 都心のタワーマンションはどんな人が買っているのだろう?そんな興味でクローズアップ現代「追跡!タワマン「空中族」~不動産“バブル”の実態に迫る~」を見ました。ネットでも早速いろんな書き込みがありますね。

 東京の都心は「富裕層」や「外国人投資家」ではなく準富裕層とでもいえそうなサラリーマンが、値上げ時に転売を期待して購入しているようです。銀行も貸してくれるのかな。確実な融資先として……「投資」を目的とするなら価格があがりきった今から初めては遅いのです。番組で少しは指摘していましたが、雰囲気的には「投資先としてみんなが注目」という風にとれるような内容でした。

 おどろいたのは、タワーマンションではなく自己資金ぜろで全額銀行融資で5軒、投資用の住宅を購入している「投資家」の中高年です。銀行さんは融資する気満々で5億円の物件をあらたに紹介しています。この風景……四半世紀前にそっくりそのまま見た風景です。あるいはこのあいだの「サブプライムローン」の問題とか。
(多分、この世代は駄目になったらさっさと自己破産するでしょう。銀行マンのほうが大変な目に遭うかも知れません。TVに映っていたR銀行さんは痛い目に遭っていたはずなのに…)

 もうひとつ、若いサラリーマンが投資用に駅から20分のワンルームマンションを購入した事例の紹介です。入居者がいてもローンの差額が発生しますし、家賃水準は下がっていきます。TVの専門家は自己責任だからねとでもいいたげに薄笑いを浮かべて、投資には「夢」があるとおっしゃっていました。

 不動産投資は余裕資金の投資先の一つとしてはありでしょうが、借金をしたり、将来の貯金代わりに自分が住まない物件を購入することはみすみす鴨になることです。

 慶応の金子先生を別にしてアナウンサーも他の出演者もバブルを実体験していないのでしょうか?あの時と同じレトリックで同じような愚行が繰り返されるのは見るに堪えません。  幸か不幸か,東京のごく一部だけのバブルで4年後には確実に終わります。 とはいえ、地方銀行が融資先を求めて東京に事務所を設けているのを見ると、なんだかなあと思います。

                                                        (5月20日)

 今日はなんだか、不景気な話ばかりですね。来週は良いニュースについて論じたいものです。

 農業~若者の就農についてもいろいろ資料を読み込んでいます。知人で就農する人も少なくないですが…続かない。うっっすらとその理由も見えてきたのですが。メディアは表面的な話題性に飛びつきますが、「問題点」はさらっと流している…若い人のワンルームマンション経営についても、あの時代を体感した世代はアラームが発動し、まず相手にしないのですが、なんだかNHKのアナウンサーも含めあまりにもナイーブなので心配になります。

 ■「バナナリパブリック」「オールドネイビー」の日本撤収
 
 オールドネイビーは完全撤収~中国での成長を目指す

 「バナナリパブリック」は何店かは残るようですが、基本的に日本市場では成長を見込めないという判断なのでしょう。
 「ユニクロ」 に負けたとか「ZARA」「H&M」や「Forever 21」といった新興ブランド勢力との競争に苦しんでいるとかいわれています。価格の割に品質が伴わないのでしかたないでしょうね。

 [19日 ロイター] - 米カジュアル衣料大手のギャップ<GPS.N>は19日、海外市場で「オールド・ネイビー」「バナナ・リパブリック」75店舗を閉鎖することを明らかにした。日本ではオールド・ネイビー53店舗をすべて閉鎖するという。北米市場に経営資源を集中させ、業績向上を目指す。
19日米株式市場の時間外取引で、ギャップは4.2%上昇した。
ギャップは声明で「オールド・ネイビーは短期的には、北米や中国市場で成長を目指すことになる」などと説明した。
ギャップは4月30日現在、オールド・ネイビーを北米で1029店舗、アジアで69店舗展開。また、バナナ・リパブリックは北米で607店舗、アジアおよび欧州で61店舗を展開している。
ギャップによると、店舗閉鎖で年商を約2億5000万ドル失うことになるが、税引き前で年2億7500万ドルのコストを節減できる


 バナナリパブリックとは中南米の「バナナ」しか取れないような国の独裁国を揶揄した言葉なのでブランド名として聴いたときはびっくりしました。当初はサファリシャツなどのリゾートカジュアルをイメージした店舗(NY)でしたが、日本に上陸したときはGAPの少し上のカジュアルウェアになっていました。

 オールドネイビーは安物商品が多く、競合する「GU」や「しまむら」「ZARA」には勝てません。アメリカの企業は何故か絶対に本国スタイルを変えませんから余計不利です。

 少し高級ライン?のバナナリパブリックは何店舗かは残るようですが、低価格カジュアルウェアブランドの競争は激しいですね。

                                                                                      (5月20日)

 ■外食不毛の地「千里中央」でオープンした新業態
 
 たびたびここで愚痴っていますが、大阪の副都心「千里中央」周辺は,外食についてはあまり良い店がありません。昔「千里中華街」というフードテーマパークもありましたが、あっという間につぶれてしまいました。

 情報誌に紹介されるのは喫茶店の「カツサンド」ぐらいで、北摂のガイドブックでもエアポケットの空白状態です。

 かつて「ニュータウンが造成されたときの地権者がまだ残っている?のと新しい店にた対しては微妙に賃料が高いのでしょうね。百貨店の飲食店も最近ようやくアフタヌーンティーがはいったぐらいで、かつてあった「別館牡丹園」もとうに無くなっています。

 駅の上のせんちゅうパルにお出しの専門店「だし蔵」の「お茶漬けの店」「すきやきの店」が2015年10月6日にオープンしたときには、びっくりしました。だしの専門T連といえば九州の久原本家 茅乃舎(かやのや)が関西でも店を出店していますが、九州の出汁は鰯にあごを加えたモノで、惜しいのですが,関西風の出汁とは少し違います。

 丁度仕事でいった愛媛の鯛飯もお茶漬け屋のメニューにありますから、各地のだしで味わうご飯が提供されているという店がユニークです。イートインのカウンター席で出汁もブレンドしてくれます。

 実は昨年、別のおうどん屋さんのイートイン業態について考えていたのですが、これは思いいたらなかったので感心しました。

 運営はおうどんの「太鼓亭」でアドバイザーはTVでも活躍されている藤本喜寛先生…うん?日刊現在の紹介記事のライターは曽我さん…むむ。

 藤本、曽我コンビで主催されているフードセミナーでとても良い勉強をさせていただいていました。太鼓亭さんのお話も受講したことがあります。うどんうち実習でしたがわたしはさんざんでした。

 曽我さんには「だしが決め手の関西風味の本」(TBSブリタニカ)という著書があり、バイブルとさせていただいています。藤本先生はフレンチがご専門ですが多才な方です。

 地元千中から新しい店、将来のスタンダードになりそうな「本格的なうまいもの」がうまれたのは、とても喜ばしいことです。

 http://www.kansai-odashi.com/kansaiodashi/ へのリンク

 千中にお立ち寄りの際はぜひお試し下さい。……と紹介できるお店がもっとできればいいのですが。

                                                                (5月18日)

 そういえば 鰹節のにんべんが「日本橋だし場」を展開していましたね。少し前に話題になって居ました。
 鰹節だしは関東の水にあうといいます。大阪では、昆布の神宗も髙島屋のイートインでおにぎりと出し茶漬けのメニューを提供しているようです。
こちらは関西風の昆布だしでしょうね。
 ■都市のマーケティング事業とブランディング~欧州の都市と大阪
 
 ヨーロッパの都市ブランド事業~自治体国際協会ロンドン事務所のレポートより

 ヨーロッパの都市のマーケティングおよび都市ブランド事業についてまとめたレポートが公開されています。大阪にはマーケティング戦略が欠落していると常々考えていましたので、参考のためにまとめておきます。

 ○ロンドン市854万人(GreaterLondonAuthority)  ※大阪府が868万人ですから規模としては大阪府大阪府に近いですね(大阪市255万人)

 32の区と33の地方自治体で構成されています。
 2011年にロンドン市の公式プロモーション団体として「ロンドン・アンド・パートナーズ」を設置。非営利の官民パートナーシップ。今は都市ブランド事業は行っていないようです。さきほどイスラム系の市長が誕生したことがニュースになりましたね。

 ○アムステルダム市 83万人

 アムステルダム市と周辺の16の地方自治体は「アムステルダム都市圏」を設置して協力しています。

 アムステルダム市と12の自治体で「アムステルダム大都市圏」(総人口は250万人~大阪市ぐらいの規模ですね)を形成。地域のプロモーションを目的として。マーケティング業務を行う団体として「アムステルダムマーケティング」が作られています。観光や海外投資誘致業務を行っています。統合的なマーケティング戦略として「愛アムステルダム」の標語を使った都市ブランド発信事業が2004年から実施されています。

 広域の都市の連携が特徴です。

○ベルリン市 356万人 (法律上はベルリン都市州政府)

 ベルリンは一つの都市で州を形成する都市州です。(東京都のようなものでしょうか)

 1994年にベルリン市のマーケティング業務を扱う団体として官民連携の「ベルリンパートナー」が設置されました。2008年からベルリンの都市ブランド発信事業「ベルリンになろう」という標語を使った都市ブランド発信事業を展開しています。中小起業支援、企業の事業拡大支援を強化するために2013年に「ベルリン・パートナー・フォー・ビジネス・アンド・テクノロジー」に改称しました。

 観光マーケティングは1993年設立の「ビジット・ベルリン」が担っています。

 ○コペンハーゲン市 58万人
  1994年デンマーク外務省とのパートナーシップで投資誘致と、企業支援を目的とする「コペンハーゲンキャパシティ」を設置。観光については周辺地域を含む官民パートナーシップ「ワンダフルコペンハーゲン」が1992年に設置されている。

 都市ブランド発信事業としては両団体で「コペンハーゲンフォー-ユー」の標語を使った事業を古なっていましたが、現在、周辺地域とスウェーデンスコーネ県と「グレーターコペンハーゲン」というコンセプトに基づいた地域ブランド発信事業となっています。国を超えた地域ブランディングがすごいですね。

https://stateofgreen.com/jp/profiles/explore-the-green-danish-solutions-within-energy-efficiency/news
/fdi-%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%8C-
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B7%9E%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97 へのリンク

 ※グレーターコペンハーゲンで検索してみて下さい

 グレーターコペンハーゲンは「英紙フィナンシャル・タイムズが発行するfDiインテリジェンス誌が発表した「欧州の未来都市2016/17」番付で
、グレーターコペンハーゲン地域の外国直接投資(FDI)誘致戦略が1位にランキング」されているようです。

その他、」ダブリン市、ストックホルム市、ヘルシンキ市、オスロ市、等の事例が紹介されています。
 http://www.clair.or.jp/j/forum/pub/docs/city_branding2016.pdf へのリンク


 大阪のマーケティング戦略の不在

 大阪を巡っては、議論が前向きに進む雰囲気ではなかったのですが、ようやく議論が出来る「空気」が生まれてきています。

 お隣の神戸市はもともと神戸市株式会社と呼ばれていたように行政のリーダーシップが際立っています。三宮都心への企業誘致や新開地への「落語定席」の官主導での誘致などにもその色合いがでています。

 大阪は行政が強く引っ張るより民間の力をサポートするのが街の気風にあっているのでしょうが、都市としての「マーケティング戦略」が見えてこないので動きがバラバラに感じます。
 
 欧州の事例を見ても、観光と居住促進と企業誘致は一体となったマーケティング戦略の中で展開されています。観光に関しては動きが進み、水辺をいかした「都市ブランドはまとまっていますが、居住促進、企業誘致、産業振興とは別の動きになっています。大変申し上げにくいのですが、「水都大阪」は観光戦略であっても都市マーケティング戦略にはなりません。

 インバウンド景気に支えられている都市商業の実態のように,今の所は「観光」が即効性があうようですが、長期的に見て並行してやるべき事がありそうです。

 都市のブランディングについては地方でもうれつな勢いで変化が始まっています。

 例えば、「副首都」を実現するのはいいとしても「大阪」だけでは受け皿にならないので関西広域連合で検討すべきでしょう。また有識者を集めるなら「準備」をしておかないと思いつきの放言が面おかしく報道されてしまいます。もう「大阪」が嘲りの対象になるのにはうんざりです。
 
                                                                                       (5月18日)
 ■好調なルクア大阪は入店客からのファンづくりが課題
 
 商業施設は街の回遊動線が生命線

 不振のJR大阪三越伊勢丹を改装した「ルクア大阪」(ルクア・ルクアイーレ)の1年目は入館者数7,700万人と好調な滑り出しでした。770億円の売上目標は下回りましたが、761億円は健闘していると言えます。開業当初の目標800億円に向けてはまだま乗り越えないといけないハードルはあります。

 図-1に梅田のSCと百貨店を比較しています。入店客数について、駅ビルであるルクアの入店客数は少し割引して比較する必要はあるでしょう。それでも少し駅から離れる「グランフロント大阪」に比べて1人あたりの客単価は988.3円と883円のグランフロント大阪を上回っています。

 HEPファイブは入店客数は少ないモノの目的客が多いのか客単価は1,351円と両店を上回ります。

 参考のために梅田の百貨店と比較して見ました。
 業態としての百貨店は減速傾向にあると言われていますが、それでも阪急百貨店の客単価は4,455円。改装有の阪神百貨店でも2,040円です。

 ルクアイーレはもともとJR大阪三越伊勢丹という百貨店業態で550億円の売上目標でスタートしています。デベロッパーは最終的には当初の売上目標を達成したいと考えているようですが、現在の客単価では難しいでしょう。

 プラス面は入店客数の増加です。もともとルクアイーレの場所は回遊動線から少し離れていることが最大のネックでした。このように人の流れが出来てしまえば、もともと駅ビルですから安定した流動者が見込めます。ライバルである「グランフロント大阪」の好調も導線的にはプラスです。

 カード会員の獲得など現在力を入れている、,お客様の固定化がこれからの課題です。

 新宿南口の髙島屋タイムズスクエアの「紀伊國屋新宿南口店」も人の流れをつくったところで役割を終えたと言えます。

 人の流れが出来た後には、客単価をあげるのに、少しづつ伊勢丹カラーが強まってくるかもしれません?(もうこりたかな…名古屋駅前の伊勢丹の小型店は好調ですから、今の伊勢丹ショップをすこしづつ拡大してくる可能性はありそうですね。

 特に地方都市では、百貨店業態は「オワコン」だと思われていますが、梅田都心ではまだ闘える可能性はあります。

                                                                                           (5月16日)

 姫路の山陽百貨店、ヤマトヤシキの検討を見れば地方都市でも「百貨店」業態の存在意義は決して無くなっていない事がわかります。「オワコン」なんてとんでもないと…応援しています。
 図ー1 2015年度年間売上げと入店客数             図-2 2015年度入店客1人あたり売上金額
 グラフ3  グラフ4
 SCは5月16日繊研記事  阪急阪神百貨店は決算短信資料より 百貨店入店客はパッサーカウンター計測値
 阪神は改装中
 ■書店が集客の目玉になっていた時代からの変化~紀伊國屋書店新宿南店の縮小
 
 品揃え型の書店はネットに勝てない?

 新宿南口の髙島屋タイムズスクエア内の紀伊國屋書店新宿南口店が6層あった売場を洋書のみに縮小するそうです。新宿には紀伊國屋書店の本店が東口にあります。ホールも併設し新宿の文化をリードしてきた書店です。本店はおそらく無くなりはしないでしょう。ショッピングセンター内の「書店」は集客力が見込まれて、賃料は抑えめになります。この店が開店した頃に某ショッピングセンターの開業の為に出店をサウンドしたことがありますが、オフィス賃料ぐらいの負担力です。アパレルなどのように売上歩合も期待できない固定賃料になります。「東急ハンズ」も賃料としては同じくらいでしたが、今回ハンズは縮小しないのですね。

 昔ほどではないでしょうが「書店」の集客力は衰えていないと思います。南口店は新しいSC開業時に新しい回遊動線をつくるのに大きく寄与したと思います。同じ新宿でも南口から東口の本店までの移動は結構大変ですから、駅利用者にとって便利だったと思います。回遊が定着した現在、駅直結の好立地で6層を固定賃料で続けるか?という店でデベロッパーと賃料設定でギャップが生まれたのでしょう。
 書店の売上げも年々縮小傾向にあるようです。

 書店の後は「ニトリ」が入店しそうですね。…家具店というのもある意味衰退しつつある産業と言われていましたが、SPA業態を確立することで低価格で総合的な品揃えを実現し、賃料の低い郊外では無く、都心に出店するようになりました。

 本についてボリューム、品揃えで差別化をしようとするとネット販売と競合します。同じ商品で勝負ですからね。それでもきちんと分類されていて、意図のある売場づくりがされていれば競争力はあります。ただ。取次が送り込むベストセラーをならべるだけの書店ではいくら規模が大きくても魅力はありません。紀伊國屋新宿南口店についてはしばらく見ていないので評価はできませんが、大型書店でMD力を感じさせる書店は少なくなっています。

 TSUTAYA、ビレッジバンガード型の店舗はSCに適合した進化をとげている

 品揃え型の大型書店に変わって、ショッピングセンターの中の書店として適合しているのは、本と雑貨の融合した業態に進化しているTUTAYA TーSITEやビレッジバンガードです。大きな規模は無理でも1フロアなら集客の装置として導入しやすいと思います。
 実際、本を探していて、ジュンク堂よりもTUTAYAで発見することも少なくないです。

 アメリカでは大型書店はほぼ絶滅しているといいますが、本を発見するのに適しているのは大型書店です。公共図書館の品揃えもだんだん酷くなっている中で、大型の図書館と大型の書店は都心にぜひ残して欲しいものです。

 大阪市内では本町の紀伊國屋書店が探しやすいですが淀屋橋周辺にはまともな書店が皆無です。雑誌とコミックス中心の店はビシネス街に必要なのでしょうか?

 茶屋町のジュンク堂は良い店ですが,回遊導線的にはずれにあります。梅田であれば、せめてうめきたの「ナレッジキャピタル」の一環として「図書館」「大型書店」を設置して欲しいものです。

                                                                                       (5月13日)
 ■「エアトラック」が人気~公園のような存在を目指すテーマ特化型SCの手応え
 
 公園のように利用してもらう「もりのみやキューズモールベース」狙い通りの立ち上がり

 昨年の連休前、4月27日に開業した「もりのみやキューズモール」はかつて日生球場のあった森ノ宮駅近くに立地しています。大阪城公園がすぐ近くなのでランナーを「意識して屋上のランニングトラック(エアトラック)が整備されているのが特徴です。東急スポーツオアシス、フットサルコートやクライミングジムも併設されています。

 クリニックや調剤薬局など健康関連機能やライブラリーやFM局サテライトブース、キッズスペースなどの「まちライブラリー」が導入されるなど物販色が薄いライフスタイルセンターです。

 来場者数は400万にの目標に対して500万人と目標をクリアしています。足元のファミリー層に加え外国人を含む観光客、ランナーなど広域からの集客が実現していることです。大阪城公園は観光地であるとともに市民ランナーの聖地の一つでもあります。うまく資源を活かしていますね。

 「物販中心で無い」ショッピングセンターという試みは注目に値します。

 森ノ宮にある周辺施設との連携として「森ノ宮ピロティホール」来場者への割引特典や大阪城公園と組んで森ノ宮の外国語マップを作成しています。

 「大阪城公園」民間委託の成果は?

 昨年から民間に委託されている「大阪城公園」ですが、周辺の商業施設はあまり充実していません。京橋地区は通勤者、地元利用者には楽しい街ですが、キューズモールのように新しい住民や、広域来街者がゆっくり楽しめる機能が少ないのです。「もりのみやキューズモール」は欠落している機能にジャストフィットしたようです。

 もう1年たっています。大河ドラマ「真田丸」も始まっています。目に見える改革、目に見える変化があまりにも少ないのは何故なのでしょうね?

 ああしたら。こうしたらというアイデアは一杯あります、何故やらないのか?そのあたりウラの事情はわかりません。
 民間が運営したから劇的に変わるというものでもないようですね。

                                                                                       (5月12日)

 大手広告代理店が絡んだ案件はつい、おちょくりたくなってしまいますが、真面目な話、折角民間企業の運営が実現したのですから、なんとかこの大事な資源を使って活性化して欲しいものです。

 公園内施設内に国の法的な規制も有り、うまくいかない事も少なくないのだと思います。

 中之島漁港の「みなと食堂」が休業中なのも法的規制によるものだということです。

 御相談下されば「10万人の盆踊り」よりは少しは効果のあるアイデアは絞り出せると思っているので、じれったくて仕方ありません。

 堺屋太一先生は心底、尊敬していますが、「道頓堀プール計画」が出た時は「誰かとめてやらないと」と寄稿した原稿が没になった「空気」がありました。今回はさすがに産経新聞さんでさえ疑問を呈されています。少し「空気」は変わってきたみたいです。いいか悪いか、議論できることはとても良いことだと思います。

http://www.sankei.com/west/news/160217/wst1602170024-n2.html へのリンク
 ■演歌は死ぬのか?~シニアの聴く音楽は
 
 演歌議連?古典芸能化する演歌・歌謡曲

 若者の関心が低い演歌や歌謡曲の復権を後押ししようと、自民党の二階俊博総務会長ら超党派の有志議員が23日、議員連盟の設立総会を国会内で開いた。議連には民主党の高木義明国対委員長や公明党の漆原良夫中央幹事会長、共産党の穀田恵二国対委員長ら各党の幹部も名を連ねた。設立総会には50人超が出席し、歌手の杉良太郎さん、瀬川瑛子さん、山本譲二さんのほか、タレントのコロッケさんも駆け付けた。(毎日新聞3月24日)

 シニア層は演歌・歌謡曲派なのか?

 団塊世代がシニア層に突入し、中高年だから「演歌・歌謡曲」好きという図式が崩れています。60歳台の層でさえ、普段よく聴く音楽ジャンルは「演歌・歌謡曲」よりも「クラシック」「日本のポップス」「海外のポップス」「ジャズ」などの方がよく聴かれているようです。

 テレビ番組で音楽番組が少なくなっていることも影響しているかも知れません。「演歌・歌謡曲」の支持層は音楽自体には関心が無くて,普段自発的にアクセスするより、テレビ等で耳で覚えて,なじんでいくという受け身のプロセスを経るからです。

 クラシックやジャズは好んで音楽を聴くそうでしょうね。日本製のポップスは生活の中で自然と耳に入るということで、なじんでいるのだと思います。

 日本製ポップスと歌謡曲の境界はあいまいなのでシニアだけで無く若い世代にもアピールできそうですが、コアな演歌は若い層には受け入れられることはないでしょう。シニアだけに絞ったメディアとかシニアだけに絞ったドラマの主題歌(なんていうのが成立するのでしょうか?)で浸透させれば、演歌でも売れそうな気がします。

 そういえば「ガイアの夜明け」というシニア向けに絞ったとしか思えないドキュメンタリーの主題歌「地上の星」は、中高年の皆様の愛唱歌ですね。

                                                                       (5月10日)
 図ーシニア層が普段よく聴く音楽ジャンル ※普段音楽をよく聴く人での% 50歳台で42.8%,60歳台では46.9%が無関心層なので調査対象外
 グラフ5
一般社団法人日本レコード協会「2015年音楽メディアユーザー実態調査」より
 
 ■「ニトリモール枚方」4月20日開業~専門家が評価しない新しくない新店舗の怖さ
 
 ニトリの運営する「ニトリモール枚方」は業界人の評価は高くない

 4月20日。ニトリの開発する「ニトリモール枚方」が枚方市北山1丁目、国道1号線沿いにオープンしました。お客様の店舗が近くの枚方家具団地内にあるので、影響を心配していましたが、今の所影響は全くないようです。

 以前に大手SCデベロッパーの開発担当の方にお話を伺ったときも「ニトリモール」についてはあまり歯牙にかけておられませんでした。開業後の評判も専門家筋ではあまり評判は良くないようです。目新しい店舗や新しいサービスなど目を引く新しさが無いせいでしょうか?周辺地区は枚方市の中でもアッパークラスの居住者が住む地域ですが,地域特性への対応も無いようです。

 基本的にはパワーセンター業態といえるでしょう。4つの大型専門店を中心に食や雑貨などの店舗を集積しています。「コーナン」「ヤマダ電機」「スーパースポーツゼビオ」「ニトリ」の核がオープンモールでに、「フレンドマート平和堂」「アカチャンホンポ」「ジーユー」などがエンクローズドモールなっています。55店舗が58,558㎡の敷地で商業施設は4万㎡。最近の大型SCに比べるとコンパクトですが、1,800台の駐車場は無料。駐輪場も500台整備されています。(近隣のフィレオ枚方は駐車場930台で無料です)

 注目ポイントは国道1号線と17号線からのアクセスです。交通量の多い基幹道路ですが専用のレーンが設定されています。

 飲食は充実していますが、(9店舗+フードコート11店)シネコンや時間消費型の仕掛けはあまりないです。…面白くないかもしれませんが、建物のつくりや運営はローコストなのだと思います。総投資額は150億円。年間1,000万人の来場者を見込み、売上目標は150~200億円だそうです。

 「港北東急SC」が4万㎡で,209億円。「ららぽーと磐田」が5万㎡で224億円。「くずはモール」は72,000㎡で470億円です。(2014年度繊研調べ)「ニトリモール枚方」の目標はすごく高い目標ではありませんが、そこそこの売上をあげる必要があります。

 こにおショッピングセンターは前述のように新しい話題が無いので専門家、業界人の評価は悪いのですが、意外ににそこそこ稼ぐのではないかと見ています。周辺地域は江エアポケットのように競合が少ないのと、入庫のしやすさが広域の集客を導くと考えるからです。世の中、再びデフレモードに切り替わっていますしね。
 ニトリは新宿高島屋タイムズスクエアの紀伊國屋書店あとに入店するようです。にとり「侮りがたし」ですね。

 枚方駅前に「枚方T-SITE」5月16日開業、

 枚方駅前にはかつて三越)(2005年閉店)、枚方近鉄、京阪百貨店枚方店の3つにお百貨店がありました。2012年に閉店した「枚方近鉄」の跡地に「枚方T-SITE」の建設が進められています。

 枚方市駅前の日常のライフスタイル提案を実現する商業施設」を目指し、「TSUTAYA」などを運営する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社」が代官山・湘南に続く関西初の「T-SITE」として計画。本の持つ提案力を活かした「憧れ」をテーマとする生活提案型複合施設だそうです

 ■計画地* 大阪府枚方市岡東町758
 ■敷地面積 約823坪 (2,723㎡)
 ■延床面積 約4,900坪 (16,180㎡)
 ■建物規模 地下1階 地上9階建て
 ■店舗数* 約40店舗
 ■建物用途 商業
 ■開業予定 2016年5月16日(月)*予定

 約15万冊の品ぞろえの「枚方蔦屋書店」をコアに、新たな生活提案の場を提供する「ライフスタイル百貨店」を目指します。蔦屋書店のほかには、コスメ、ファッション、カフェ、レストラン、銀行など、枚方T-SITEは全部で約40店舗のテナントで構成される商業施設です

 http://hirakata.tsite.jp/ へのリンク

 イメージ図を見る限りオープンでモダンな建物で枚方のランドマークになりそうですね。早速TVでも取り上げられています。

 ただ、本や洋服は外光があたると日焼けして商品価値が無くなるので、建物の見栄えのためにガラス張りを多用するのはどうかと思います。

 利用者や野次馬としては「枚方TSITE」や「KUZUHAモール」の方が面白いし楽しいのですが、以外に「ニトリモール」のような地味な店が実利を確保することもありがちなので、楽しい店でかつそこそこに稼いでくださいね。

                                                                                (5月09日)
 
 どちらにしても私の愛する百貨店はこんな議論の対象にもならなくなりましたね。大阪の百貨店の4月の売上は「阪急梅田本店」は増加ですが、その他は軒並みダウン(工事中とかもありますが)です。

 淡路島の味付け海苔「大江のり」が、千里阪急では売価740円を超えますが、向かいの「ピー-コックストア」では600円で売っています。この違いは何でしょうね。百貨店は近隣競合店の「価格調査」をやらないのでしょうか?何だか,他の商品も馬鹿髙くなっていそうな気がします。
 競合するアイテムだけでも価格調査をすればいいのに。…「大江のり」美味しいですね。もったいないから食べるときは、1回3枚までと決めています。
 
 ■インバウンド需要の恩恵にあずかれないあの業界
 
 週刊ダイヤモンドの調査では,日本で一番嫌われている県は「大阪府」だということです。
 http://diamond.jp/articles/-/90188 へのリンク

 理由としては…「言葉遣いが怖い」(静岡出身の40代サービス業女性)や、「やかましい感じ」(神奈川出身の50代製造業男性)大阪人が嫌いということのようです。一体「誰が」そんなイメージを「大阪」から発信しているんでしょうね。昨年の朝ドラの「朝がきた」の登場人物にはそんなキャラクターは一人も見当たらないので不思議ですね、
 「大阪人と称して」汚い言葉をはく人がどこかにいるのかもしれません。「発信力」も諸刃の剣ですね。

 さて、インバウンド(…といっても主に中国人観光客ですが)需要が無ければ大変なことになってしまう大阪の経済ですが、あまりインバウンド需要の恩恵を被っていない業界があります。「競輪」「競馬」「競艇」などの公営ギャンブルと「パチンコ業界」です。

 まず、パチンコ。パチスロについて言えば、ルールが複雑化しすぎて初心者にははすぐに遊べない難点があります。しかも日本国内のガラパゴスギャンブルですから、わざわざ日本に観光にきてはまることはハードルが高いのです。中国人は短期間に買い物をしなければいけないのでパチンコ(カジノに比べると換金率は低い)に時間を使えません。今後、旅行者がリピーターになっていき日本での体験を楽しむようになる(品物は帰りの空港で高い関税を取られるようになりますしね)時に、日本伝統のギャンブルであるパチンコ・パチスロがクローズアップされる…のでしょうか?
 パチンコが禁止された韓国から福岡にパチンコをするために来日する韓国人はいますが、中国人は家族で行動するので、大人だけがパチンコ屋にいりびたるわけにはいかないでしょう。しかも店の多言語対応はおくれていますし、外国語で案内できるスタッフも不在です。
 パチンコ・パチスロで外国人観光客を集めるのはたくさんハードルがありますね。パチンコ業界はこの10年間に遊戯人口が半減して1,100万人になっています。1995年には40兆あった売上高は24兆円に縮小しています。
 昔は外回り営業マンの時間つぶしや、毎日必ず退社後に立ち寄る勤め人、休講のあいだいに時間つぶしをする大学生などが多くいましたが、スマホで無料の時間つぶしを楽しんでいるのでしょうか。

 それでは公営ギャンブルはどうでしょう。1995年にピークを迎え4兆円の売上のあった「中央競馬」は2013年には2.4兆円。その他の公営競技は1991年がピークです。「地方競馬」は9,683億円が3,553億円。「ボートレース」は2.2兆円が9,475億円。「競輪」は1.95兆円が6,063億円。「オートレース」は3,497億円が687億円と瀕死の状態です。※推計値は大和総研による

 サラリーマンの平均給与との相関が高く、サラリーマンの給与水準が下がり、人口が減少すれば自然に売上は縮小します。

 外国人観光客が気軽に楽しめるような雰囲気もありませんしね。

 さて、「カジノ誘致」…もとい「IR構想」で外国人観光客は飛躍的に拡大するのでしょうか?少なくとも「カジノ」だけでは集客は難しいでしょう。アジアのカジノ構想との競争は熾烈です。今公認されている公営ギャンブルで「観光客」も楽しめる環境づくりを行って実績を示して見られてはいかがでしょうか?

 日本人の利用も認める方向のようですが、日本人の利用は思ったほど多くはないかもしれません。ギャンブルは種類を問わず「はまる人」と「はまらない人」に2極分化します。カジノは上品なギャンブルだから抑制的に楽しめる…というのはあきらかな、うそです。

 将来を棒に振ったスポーツ選手が沢山いるではないですか。

 国内の公営ギャンブルや宝くじ、パチンコは労力や投資の割にリターンが少ないので、海外からの参加や購入にも魅力はないでしょう。

 
                                                                                  (5月6日)
 ■わかっていても止められない習慣~「文明国」の奇妙な悪癖
 
 前回の東京オリンピックの時は国民の8割が喫煙者だった

 この半世紀、喫煙者数は激減しています。1965年には喫煙率は男女合計で82.3%でした。街の中どこでもいたばこは吸い放題であちこちに吸い殻が散らかっていました。お金のない人はその吸い殻を集めて,紙で巻いて吸っていました。日本でたばこが普及したのは江戸時代。家康にタバコの苗が献上されたそうです。当時は薬として扱われていました。

 喫煙率は80年代になって7割を切ります。禁煙車両があらわれたのがこのころです。だんだん喫煙者の形見がせまくなってきましたが、このころはまだ多数派なのでタバコをさける人が片隅においやられたような時代です。

 90年代になって鉄道での禁煙・分煙が進み喫煙者が5割を切ります。現在、喫煙者は寒さに震えて外部階段や駐車場の喫煙スペースで肩をよせあってたばこを吸っています。そこまでして吸いたいのか?とも思います。オフィスでの喫煙に関しては80年代から90年代¥に社内ルールの設定で苦労した覚えがあります。昔からの喫煙者に「っては「なんで今更」という思いはあったでしょうが、副流煙はあきらかに他人に迷惑をかけるものなのであきらめてもらうしか無いです。(同じように習慣性があって健康に好ましくない面がある飲酒習慣はこの間減少はしていません。飲酒で人生を台無しにした人は身の回りにもいますが、基本は自己責任ですからね。20代の男性の飲酒習慣率は減少しています。…この調査時点ではゆとり世代の回答ではないですよ。念のため。)

 2014年で30.3%。かなり減ったように思えますが、国際的に見れば喫煙率は高い方です。ロシアや中国、韓国では喫煙者が多いのですが、以外にもフランス(喫煙者が多いイメージがあったのですが)イギリス、米国の方が喫煙率は低いのです。(男性の数値なので男女合計では又違うでしょうが)
 
 「欧米の先進国」の方が健康に気をつける人が多いのでしょうか?

 やめられない習慣

 煙草や飲酒の害は知られていますが、塩や砂糖についても過剰な摂取は健康を害します。特に砂糖は清涼飲料水などで知らないうちに大量摂取することが多いのです。図-4の1あたり砂糖消費量をご覧下さい。アメリカ人の甘いもの好きについては何度も御紹介しましたが、スイスやニュジーランド、カナダの砂糖消費量は半端ではありません。

 「甘いものは別腹」などと入ってる場合ではありません。習慣性があり血糖値をあげることが血管などの障害につながります。子供から大人まで性別を問わずに依存症をみちびくものなので、ほどほどに楽しむレベルにとどめないと大変なことになります。

 断酒や禁煙については依存症対策への社会的取り組みがありますが、砂糖についてはそのような取り組みはあまりききません。いつか煙草のように抑制のきいたお付き合いができるでしょうか?それともこの砂糖への依存症からは抜け出せないままなのでしょうか。

                                                                                 (4月27日)


 再放送していた古畑任三郎ですが、出演者の喫煙のシーンが多いのが時代を感じさせます。1994年の放映ですから喫煙者は59%。いました。会話のアクセントや心理描写などに便利な小道具です。その頃は喫煙者が多数派だったのです。(「風立ちぬ」でいろいろ言われていましたが。戦前であればさらに普通だったのでしょうね。時代背景が感じられて面白いと思いました。


 昔はOKでしたが、今はNGとなっている事柄として例えば「セクハラ」や「ミスコン」もあるでしょう。「東大美女図鑑」の大学生と一緒に旅行できるというHISのキャンペーンが中止になって話題になって居ます。つい先日は世田谷区の施設で、幼女声かけ写真集(街頭で声をかけて撮影した幼女・少女の写真集)の展示会が開催され物議を醸していました。

 「東大美女図鑑」や「声かけ写真集」がどのようなサイトで販売されているかを調べれば、撮影者の意図(欲望)はあからさまに読み取れます。

 少し前にルミネのネット上のセクハラムービーが話題になっていました。おそらくこれらの当事者は「何が問題かわからない」のだと思います。化石のようなセクハラオヤジだけでなく,おそらくその場にたちあった若い女性も深く「気持ち悪さ」を感じない「場の空気」が存在するのだと思います。これは「邪悪な意図」によって作られたモノと言うより「閉じた場」の中で、世間の大勢と疎意手「気持ち悪い」と判断されるという感覚が麻痺しているのだと思います。

 もちろん世間の空気が「絶対的な正義」とは限りませんし、あえてその空気に抵抗するというスタンスはありでしょう。気になるのは物議を醸している人が全く「犯意」がなく、「無邪気」であることです。

 「東大美女図鑑」に関して言えば、有名女子大学では読者モデルNGとか大学名掲載NGという大学も少なくありません。ブランディングの一環なのでしょう。その意味で「東京大学」は「美女図鑑」とか「クイズ王」とか「勝つことがニュースになる大学野球」とか「らしくないこと」で大学名が使われる事にルーズですね。
 「○○大学美女図鑑」は私学であればNGマターです。
 図ー1喫煙率の推移
 
 グラフ6(日本たばこ産業・旧日本専売公社)
図ー2飲酒習慣者率の推移
 グラフ7

図-3 主要国喫煙率(男性)  2012年OECD調べ       図-4 主要国1人あたり砂糖消費量(2010年)
 グラフ8     グラフ9
 ■「猿楽町」の謎
  旧い町名復活の動きが盛んです。金沢市や高岡市、長野市などではいったん名前を変えられた町名を,旧い町名に戻し始めています。地元への愛着が高まり,地域の歴史につながる感覚が住民の一体感を形成するのでしょうか。

 東京でも「猿楽町」「三崎町」を「神田猿楽町」「神田三崎町」に戻すという報道がありました。こちらは「神田~」という地名を重ねるのがポイントでしょうね。1947年に神田区と麹町区が合区したときに「神田~町」と地名に付けたようです。「神田」は律令期に神社の田であったことに由来するようです。

 最初記事を見たときに「猿楽町」…渋谷の?あもあたりも神田なのかなと思い違いしました。千代田区神田の猿楽町と渋谷の猿楽町は別の街ですし、地名の由来も異なるようです。

 渋谷区の猿楽町の地名の由来は諸説あるようです。

(渋谷区のHP)
 鎌倉時代に、源頼朝がこの地で猿楽を催し、その道具を埋めたから、と言われています。
また、ここが風景の良い所だったので、昔、長者が宴を行い心のウサを晴らしたので「去ヶ苦」と言われ、後に「猿楽」と記すようになった、とも伝えられています。
いずれにしろ、猿楽塚という塚が地名の由来です。
(猿楽神社の由来)
 古よりこの地に南北に並ぶ2基の古墳があり、北側に位置する大型墳を猿楽塚と呼称している。この名称は江戸時代の文献「江戸砂子」「江戸名所図会」等に見られ、我苦を去るという意味から、別名を去我塚と称したとも言われている。6~7世紀の古墳時代末期の円墳と推定され、都市化その他の理由により渋谷区内の高塚古墳がほとんど煙滅したなかで、唯一現存する大変貴重な存在であり、昭和51年3月16日に渋谷区指定文化財第5号に指定された。

 古墳時代の塚ですから頼朝説は怪しいですね。

 神田猿楽町の地名ははっきりしています。

 町名は、慶長頃に現・神田神保町一~二丁目から西神田一~二丁目にかけて猿楽師・観世大夫一団の屋敷があったことに由来する。屋敷は万治2年(1659年)の神田川工事の折に移転したという。「猿」の俗称「エテ」より「エテガク丁」とも呼ばれた。

「猿楽」は現在の「能楽」のベースになったものです。猿回しではありませんよ。

 職業集団の居住がもとになっった地名は各地に残っていますが、wikで見る限り、「猿楽町」は東京のこの2つの他には「広島市」だけのようです。

                                                                   (4月26日)

 「猿楽」と聞いて猿回しを連想した人は誰ですか?そんなあなたに朗報です。新世界の通天閣のスタジオで「通天閣猿回し劇場」しの定期公演が決定しました。毎週猿回しが見られるようになります。

http://www.nisukekikaku.com/ へのリンク

 ■ルクアイーレ年間売上げ761億円~目標値770億円には届かないが旧JR大阪三越伊勢丹の売上げに110億円の上乗せ

 2015年4月に開業したルクアイーレと 既存のルクアを合計した年間売上げが761億円と発表されました。目標としていた770億円には届かないものの、旧JR大阪三越伊勢丹とルクアを合わせた651億円(2013年度)と比べて110億円の上乗せです。

 30~40歳台の客層が拡大し、カード会員が30万人弱から39万人へ10万人増えたそうです。

 開業当時はルクア250億円、JR大阪三越伊勢丹550億円の合計800億円を目標としていました。2014年の見直し作業を始めた時点でも800億円を目標にしていました。2016年度は引き続き770億円を目標しますが,将来的には800億円を目指すそうです。

 消費が消費が低迷している現況では大健闘といえるでしょう。

 百貨店業態はインバウンド景気で弥縫されていますが、かなりパワーが落ちています。恵比寿の駅ビル「アトレ」に並ぶ総菜屋さんのラインナップを見ると、デパ地下ももう差別化ポイントにもならないと感じます。関西でも大阪駅や新大阪駅の構内の店舗はデパ地下のシェアを確実に奪うモノでしょう。

 百貨店は市場にあわせて規模を縮小しなければいけなくなるのかもしれません。名古屋駅前のビル内の伊勢丹の小型店は好調だと聞きます。

 市場によって解は異なるのだと思います。一律の打開策はないのです。合併で大きくなった百貨店のホールディングスは多様な手駒を持っておく必要があるのだと思います。MD開発に加えて,市場を読み最適なレンジを行うマーケティング力が問われます。

 あの伊勢丹ですら,MD力だけでは大阪で惨敗したのですから。

                                                                       (4月12日)
 ■丼池(どぶいけ)繊維会館リニューアル他~気になるサイト
 
 丼池(どぶいけ)と読みます

 大阪市中央区、船場(せんば)の繊維問屋街。三休橋(さんきゅうばし)筋と心斎橋筋の間の細長い南北の地域。地名は、付近に芦間(あしま)の池というどぶ池があったからである。第二次世界大戦前の高級家具商が空襲で全焼し、戦後、本町(ほんまち)の繊維問屋街が延長し、小売りも手がける繊維の現金問屋が密集して全国にその名を知られた。(小学館 日本大百科全書)

 船場地区についてはその地盤沈下を憂う人達の様々な動きがあります。三休橋筋の沿道が整備されてきれいな町並みになったのもその一環ですね。その船場で親しまれていた「丼池(どぶいけ)繊維会館」のリノベーションが完成したようです。

 浪速のかつての繊維問屋街の一角、大阪・本町の「丼池(どぶいけ)繊維会館」(大阪市中央区)がリノベーション改装を終え3月30日、内覧会を行った。
同ビルは1922(大正11)年に「愛国貯蓄銀行」の店舗として建設された。その後、様々な経緯を経て、丼池筋に携わる人たちが出資して会館として運営してきた、地域の人たちにとっては愛着深い同ビル。
地域活動の中でビルの活用方法について話題が持ち上がり、今回のリノベーションに至ったという。今回、これまで鋼製サイディングで覆われていた外壁が約20年ぶりに懐かしい元のタイル張りの姿を取り戻した。
これを機に、新たなクリエイターやデザイナーが出入りすることで、服飾雑貨の街・丼池に新風を吹き込み活性化を図っていきたい-と関係者は期待を込め話している。

(大阪エリアニュース)

 サイトはここです。

http://dobukan.com/ へのリンク

 なかなかおしゃれに仕上がっていますね。2014年に完成しているOSkビル(大阪繊維共同販売所)とともに、船場地域に若い(心を持った人)に集まってもらえるプロジェクトだと思います。

 皆さん注目してくださいね。大阪のごちゃごちゃしたまちの中にも,お洒落な空間もありますよ。(先日、「代官山」を歩きましたが、イメージほど洗練された場所ばかりではありませんでした。地域ブランドをうまく活用していますね。「どぶいけ」…がおしゃれなイメージになればいいですね)

 欲しいものがありそうなショップサイト

 ウェブでのマーケティングは、少々暑苦しいほどうざいのですが、購買意欲をかき立てるサイトは少ないですね。その中で、ゆっくり見ると欲しいものが見つかりそうなサイトがありました。

 「密買東京」というサイトです。(別にアフィリエイト広告ではありません)

 「密買東京」は、ここでしか買えないモノ、入手方法が良くわからないモノなどお気に入りのモノを、密かに発見する楽しみを提供するオンラインショップです。

「何かとっておきのモノを探したい。」
欲しいものが明確である場合はわりと簡単です。
ネットショッピングならキーワード検索も可能ですし
似通った商品を比較検討し自分の条件にあった商品を選別することもできる。
でも、自分の心を動かしてくれる「力のあるモノ」に出会いたい。
そんなときどこに行って探してみればいいのやら?

そこで私たちは考えました。
扱う商品は全てどこか熱を帯びた力のあるモノ。
モノの力で人の心を動かす、そんなセレクトショップを立ち上げたい。

「こんなモノが世の中にあったんだ!」
「とにかく作り手の思いがすごい!」
「使い勝手最高!機能美万歳!」
「気にはなっていたけれど入手方法がようやく解明!」
「間違いなく世の中にひとつ!」
などなど...

そんな熱いモノや、人が知らないモノを手に入れる喜びを感じてほしい。
その日、そのとき、あなたの購買意欲に結びつく商品がなかった場合でも
「いつか私にとってのとっておきが出てくるのでは」と予感できる、
期待をもって何度も訪れたくなるセレクトショップ。
ごく親しい人にもこっそりと教えたくなるような。

そんな思いを込めてつくったのが、この「密買東京」です。

私たち自身がテンション高めに紹介したくなる商品だけを集めて
ピンポイントで誰かの心を熱く動かすことができればと思っています。
まずはゆっくりとしたペースでスタートしていきます。
温かい目で見守っていただければうれしいです。


http://www.mitsubai.com/tokyo/ へのリンク

 リアル店舗にしても、ECサイトにしてもぎらぎらと「売りたい」気持ちが前面にでてくると飽きられるのも早いですね。特にECサイトは簡単にブラウジングできるので、同じパターンの売り込みに「またこのパターン」かと免疫がすぐに出来ます。

 初期にはかなり勉強したのですが、最近の先端的なECサイトはこのように共感をつくることを先行させています。今、暑苦しいプレゼンが多いのは官庁や大学などの「周回遅れ」の人達でしょうか?大阪大学の「スーパー日本人プロジェクト」などはその典型でしょう。電通さんとか、知恵の無いIT業者にだまされているんですよ。

                                                                            (4月7日)
 ■「ビッグデータ」と「BtoI」~個人情報についての極端な神経質さと不用心さのギャップ
 
 個人情報を扱うために、プライバシーマークを取得する企業にはとても厳しい、管理規則があります。マイナンバーを扱う事業所にも補完についての厳しい基準があり、介護関係の事業所の中には敢えて、マイナンバーは預からずに,自己責任での対処をもとめる(マイナンバーが必要な手続きについては代行しない)ところもあります。

 学校や団体などでも名簿が作られなくなるほど神経質な取扱がされる一方。ネット上に個人情報を無防備にさらしている個人は少なくありません。フェィスブック等のSNSでは簡単に本人を特定されます。事件の被害者になったときには簡単にネット上から本人写真が取得されますし、スキャンダルが報道された有名人は自ら公開している不倫の裏サイトが広く知られるようになります。「個人情報」について、個人サイドの不用心さが極端だなと思います。(ドイツでは個人データに関する法律で個人の活動データと個人のプライバシー情報は分離されて特定個人情報は扱えないことになっているようです。日本国内でもおそらくそれに似た基準があるのでしょうが、個人情報のR抽出は跡を絶ちません。企業の「ニーズ」としては「分析された個人データ」~購買パターンや活動パターンより直接的な個人名やセールスに結びつく個人情報に関心が高いのかもしれません)

 クレジットカードや各種入会手続きで同意とおした契約書には、利用データを第3者に提供する旨の文言が全てに含まれていますが、あまり気にする人はいないでしょう。
購入履歴や,スマホの位置情報システムによる行動パターンの「ビッグデータ」は集計解析され、販売されています。
 ネットショップなどでの「購入履歴」によってその人にとって「最適化」された広告が表示されるという仕組みもよく体験される事と思います。

 「BtoI」という概念は「BtoB」(企業から企業への取引)、「BtoC」(企業から消費者への取引)とよく似た語感がありますが,取引関係を表す言葉では無く「BUSINESS to Indeividiual」の頭文字から企業から個人にアプローチするマーケティング手法のことをいいます。

 マーケティング対象をマスではなく、個人とし、個人にフィットした情報、サービス、商品を提供するというのがポイントです。かつての「分衆論」や「十人十色論」「ワントゥワンマーケティング」の延長にある考え方と言えます。情報技術の発達とクレジットカードの普及で、クレジットカードなどでの購買行動がかなりしっかりと把握できるようになった事が背景にあります。スマホを使ってくれることにより生活シーンの映像も容易に入手できるようになりましたしね…昔はフィルム付きカメラを送って食卓や生活シーンを撮影お願いしての分析でしたから随分ハードルが低くなりました。

 とはいえ、ネットでの買物はまだまだ消費の一部なので、購買行動の全体を把握するのはまだまだ不足しているデータが多いのです。

 行動を把握するのに、スマホなどの位置情報を活用すれば広域での回遊は把握できそうですが屋内の動きを掴むのが屋内LBS(LocationーbasedーSolution)です。区内の行動をカーナビの要領で把握するシステムでウォルマートやメイシーズで導入されているそうです。中国でも普及しているようです。…昔は店内の行動を調査員が尾行して記録したしていましたが…。そのうちに眼鏡型のウェアラブル端末を使って、店内の導線だけでなく視線も記録され分析されることが容易になるでしょう。

 情報を集める手段については随分技術革新が進んだと思います。ただし、様々な手段で集約した情報をどう分析して、どう活用するかについて、国内ではその「ノウハウ」については、まだまだ未熟です。

 百貨店がクレジットカードを使って顧客データを分析すれば,それが強みになって大きく販売を伸ばせるという期待がありましたが、伊勢丹などごく一部を除いて、DMの送付や割引によるインセンティブ以上に活用されていません。

 分析をしてくれるデータサイエンティストは外部から呼べても、数値をどう読み取ってどうアクションに繋げるかについて、解釈して実行に移せるスキルがある実務家や、その価値を理解するトップマネジメントが圧倒的に少ないのです。「ビッグデータ分析」 についてもIT業者の流行言葉による販促の範疇を超えるモノではありません。良くわからないけれど、「なんとなく新しそうなこと」に大金を投じる経営者は意外に多いのです。これは不思議な風習だと思います。

                                                                               (4月6日)
 ■「千葉ポートスクエア」日本最大級のインバウンド拠点に
 
 バブルの負の遺産~廃墟SC再生のひとつの方向性
 
 総合免税店となった「ラオックス」が中国不動産大「緑地集団」と「千葉ポートスクエア」を100億円で取得したのは昨年のことです。商業棟17,000㎡を活用し「日本初の訪日客専用アウトレット」を設置し隣接するホテルと「日本最大級のインバウンド拠点」を形成すると発表されました。

 「昨年の訪日外国人数は過去最高の1973万人に達したが、今後、リピーターの増加で従来の「爆買い」から、体験型の「コト消費」の需要が見込まれており、両社はポートスクエアにあるホテルなども活用しながら、日本文化が味わえるような施設を目指す」(産経ニュース3月28日)~具体的には飲食やポップカルチャーなどの日本文化を体験できるショップやショーなどを上演できる劇場の導入を計画しているようです。

 「千葉ポートスクエア」は93年に千葉市が開発し多複合施設です。かつてはトイザラスやパソコン専門店だったラオックスが入居していましたが、近年は廃墟SCとして知られていました。「千葉中央卸売市場跡地」のウォーターフロント開発です。
最寄りの駅から徒歩15分という足場の悪さもあり、ホテルも運営主体が入れ替わっていました。バブルの負の遺産ですね。観光バスで移動する層が継続して訪日してくれるなら採算はとれるでしょうが、観光客の質が急速に変わってきたときにどうなるんでしょうね。
 建物はお金で買えますが、目玉になる肝心の文化コンテンツ・体験は簡単には整備できないですよ。

「千葉ポートスクエア」は、敷地面積2万1067.14m2、床面積14万7054.46m2で、オフィス棟は地下3階~地上28階、商業棟1は地下2階~地上8階、商業棟2は地上5階、ホテル棟は地下3~地上21階を展開。駐車場は1100台を有します。

所在地:千葉県千葉市中央区問屋町1-35
http://portsquare.jp/PDF/Chiba_PS_ver20140710.pdf へのリンク

 バブルの負の遺産の再生(精算?)の方法として面白い動きですね。関西のウォーターフロント開発のあの物件とか,この物件とか買ってくれたらいいのにな…。と思ってしまいそうですね。

 大阪霞町のフェスティバルゲート跡を購入したパチンコ屋さんも最初は韓流テーマパークとかの楽しい開発構想があったのですが,結局パチ屋とドンキになってしまいました。国内外を問わず、その場の勢いだけで構想される、思いつきのような開発は結構早く「ぽしゃる」ことが多いように思います。(大阪で言えば「道頓堀極楽商店街」「フェスティバルゲート」「道頓堀プール計画」「北新地たかじん通り計画」など、聞いた瞬間に「半笑いで面白いね」としか言いようのないプロジェクトなどかな。)

                                                                                    (3月30日)
 ■北海道新幹線開業~平均乗車率は26%
 
 3月26日(土)北海道新幹線(新青森~新函館北斗)開業

 初日の乗車率は61%。前年度の同じく区間の在来線利用者の3.3倍の14,200人が利用したそうです。下りが8,200人、上りが6,000人です。」帰りは飛行機で帰った人も多かったという新聞記事もありましたね。27日(日)の乗車率が37%。開業後の9日間で26%と想定されています。平日は乗車率が落ちます。

 北陸新幹線の開業後3日間の平均乗車率は48%ですからやや厳しい結果なのかも知れません。(北陸新幹線は約4割程度の乗車率を想定していたようです)

 新函館北斗駅からアクセス列車「はこだてライナー」で函館市内まで15分。路線バスだと1時間かかります。
 東京―新函館北斗を最速4時間2分、仙台―新函館北斗を2時間30分で結びます。東京から函館までは、飛行機を利用すると1時間半程度。料金を比較すると、正規料金を見れば、新幹線の普通指定席は、飛行機よりも1万円以上、割安となるそうですが、割引を利用すれば、飛行機の方が安くなるケースもあるようです。

 地元は開業人気で大忙しだったそうですから,今後、ゴールデンウィーク、夏休みの受け入れ体制、顧客づくりが課題ですね。

 北陸新幹線は金沢延伸開業によって、東京~金沢間の鉄道は、乗り換えありの約4時間から、乗り換えなしの約2時間半へと所要時間を大きく短縮。これにより空路は、羽田~小松線の利用者がこの1年で3割以上、減少しています。またANA(全日空)は今年3月より、羽田~富山・小松線を1日各6往復から4往復へ減便しました。
 開業後鉄道の利用者は3倍になったそうです。
各駅の1日あたり乗車人員は、多い順に金沢駅8800人、富山駅4800人、新高岡駅1600人、黒部宇奈月温泉駅800人、糸魚川駅400人と金沢に利用が集中しています。

 今後、札幌までの開通は2030年。札幌までの開通後に真価があらためて問われるでしょう。

 今回の開業による経済波及効果は年間136億円(日本政策投資銀行)と推計されています。北海道庁が札幌まで延伸したときの経済波及効果を推計していますが2兆5,000億円と算出されています。(工事などの実事業費1兆5,000億円含む)※開業後10年間
 1年あたりにしても今回の波及効果とは桁違いの予測が出ています。(事業費を除いても年間1,000億円?)
 ※いずれも北海道全体への波及効果

                                                                        (3月29日)
 ■堺鉄砲町イオンモール3月19日開店と昔あったイトーヨカドー堺店の敗退理由
 
 3月19日にイオンモール堺鉄砲町がグランドオープンしました。堺市の北端の大和川に近く、商圏は大阪市住之江区、住吉区を含んでいます。堺市内には北花田にイオンモール北花田店を開業していますが、商圏は南北に拡がると考えられるのでバッティングはしないでしょう。

 株式会社ダイセルの堺工場の跡地で、南海本線の七道駅とデッキで繋がっています。自動車商圏で20分圏。56万世帯、110万人が商圏人口です。核店舗はGMS「イオンスタイル」、「H&M」「スポーツオーソリティー」「天牛堺書店」等をサブ核店舗にし160店の専門店で構成されるショッピングモールになります。賃貸面積は56,000㎡の規模は飲食に重点をおいています。

 工場で利用されていた赤煉瓦建築を残していたり、地元の産品の包丁はイオンでもトップクラスでや泉州こだわりタオルを幅広く展開します。

 堺都心では市役所のある「南海高野線堺東駅前」の凋落が激しいです。あつては複数のスーパーと髙島屋があり映画館もあった繁華街ですが、見る影もありません。

 堺の旧市街地の「南海本線堺駅前」もかつては西武百貨店の出店計画もありましたが今はもう、商業拠点のイメージはありません。「リーガロイヤルホテル堺」もありましたが、今は「ホテル・アゴーラ リージェンシー堺」となっています。(ア●ホテルに売り飛ばされないで本当に良かったですね)

 さて、堺市駅近くにはかつては「イトーヨーカド堺店」が1986年~2011年に営業していました。イトーヨカード関西進出1号店です。面積:11794m2、駐車場:624台というデータがネット上に残っています。大型GMSと専門店という旧来の構成で、かつて堺東駅前にあったダイエー+ジョルノ(再開発ビル)と覇を競っていました。(堺東周辺にはイズヤ,ニチイ、長崎屋なども集積していました)

 イトーヨカドーはその後、堺市の郊外部の津久野や鳳に出店したこともあって老朽化した店舗をスクラップしたのでしょうが、」首都圏では圧倒的な強みがあっただけに、地元の競合や市場をなめきっていたのが成功しなかった要因です。自分たちのスタイルを変えようとしなかった。それは最初は珍しかったのですが、やがて、お客さんとのあいだいに隙間が出来てファンと言える「顧客」を育成できなかったのでしょう。

 現在でもイオングループには地域の特性を取り入れようという意思を感じますが、イトーヨカドーはトップ及びトップのジュニアへの忖度はあったとしてもエリアマーケティングにはいまひとつ熱心では内容に感じます。末期のダイエーにも似ているかも知れません。とはいえ、セブンイレブンという収益源があるのでダイエーのようなことにはならないでしょうが…。

                                                                                    (3月22日)
 
  図1 南北に交通網が整備されている堺市では北花田と鉄砲町はバッティングしない。
 ■12回目を迎える日本橋ストリートフェスタ~継続する参加者の熱気
 
 大阪日本橋(にっぽんばし)はかつては古本屋街として知られていました。戦後電器屋街として栄えていました。1975年頃から家電店の大型化が進み、1985年頃からはパソコン、ゲームの街として知られるようになりました。郊外に大型家電量販店が出店し、ヨドバシに象徴される全国チェーンの家電量販店の台頭に地場の家電量販店の陰も薄くなり、オタクの街としてのカラーが強くなってきています。

 2005年以来、新しい街を象徴するようなコスプレイベント「日本橋ストリートフェスタ」が年に1回開催されるように成り今年も3月20日に開催され多くの人で賑わったようです。昨年は25万人の来場者があったといいます。

 SFやファンタジーをモチーフにした映画や、アニメ、ゲームのキャラクターになりきった仮装パレードは、なかなか日本には定着しないと思われていたのですが、もう25年間継続しています。

 http://nippombashi.jp/festa/2016/event-outline.html へのリンク
  http://osaka.thepage.jp/detail/20160320-00000008-wordleafv へのリンク


コスプレを楽しむ人とコスプレイヤーを撮影する人が一体となったイベント。永井豪先生のトークショーがあったとはいえ、プロが不在の中での盛り上がりは面白い現象ですね。

 70年代のSF雑誌に海外のSF大会(ファンの集まり)でコスプレが紹介されていていましたが遠い世界の事でした。

 SFファンの集まりや、SFアニメ、コミックの集まりなどで人気キャラクターのコスプレをする人が増えてきて,街頭にも出現しだしたのだと思います。(多分,始めて見たのはラムちゃんの「コスプレだったでしょう。虎模様の毛皮のビキニみたいなものを身につければ簡単にできそうですからね…これはラムちゃんではないとおもえるほどの何であったとしても雰囲気はね…)


 今はSNSを使えば年中,コスプレをたくさんの人に見てもらえますが、やはりライブが一番なのでしょうね。
                                                                                        (3月22日)
 ■ソーシャルアパートメント~交流空間のある住宅が定着するためには
 
 「ソーシャルアパートメント」という着目点

 「ソーシャルアパートメント」とは2005年に学生だった株式会社グリーバルエージェンツの創業者が提案した交流用のラウンジを併設した賃貸住宅です。「私が大学3年のときに創業当初のfacebookやmixiなどのSNSに出会い、インターネット上でつながりを創出していく魅力に触れました。私はそれをリアルの住空間に展開したいと考え、住まいを通したソーシャルネットワークの「場」として、交流用のラウンジを付帯した新しい住宅形態「ソーシャルアパートメント」を発案し、2005年5月、大学4年にて当社を設立しました」おいうことで、現在では30棟、1,500戸にまで拡大しています。
 
 以前紹介した東急電鉄の「食」をテーマにしたシェアハウスなどにも繋がる発想です。共有スペースがおしゃれで格好いいですね。英会話教室や料理教室がある物件もあるようです。

 http://www.global-agents.co.jp/portfoliopage/ へのリンク

 事業は,住宅併設型カフェや交流スペースを併設したホテルなどに広がっています。共有スペースを使ったテストマーケティングなども行われています。シェアハウスに比べるとプライバシーが守られるのでハードルが低いかも知れませんね。賃貸なので,人間関係がこじれたら引っ越せばいいのですから。

 若い世代はSNSなどに結構無防備にプライバシーをさらしているので、少し心配な面もあります。宗教の勧誘やマルチなどの勧誘にコミュニティが悪用されないか、管理人の技量が問われますね。大手企業ではなかなかコミュニティの管理まで踏み込めないので大きく拡がらないのだと思います。東急電鉄のシェアハウスようにテーマを絞った方がやりやすいのかな。

 やはり単身者の多い首都圏が中心の事業ですね。関西でも大阪、神戸、京都に物件があります。京都は良いかもしれませんね。地域のコミュニティは閉鎖的ですが、住んでみたいという人は多そうです。

 子育て、高齢者がコミュニティを必要とする

 生活の中でコミュニティを必要としているのは若者より子育て世代や高齢者ではないかと思います。東急不動産は高齢者住宅に「レストランや大浴場など、家事の負担を軽減する共用空間、ラウンジやゲストルームなど内外の方々と交流できる共用空間」を設置しています。また積水ハウスは東京都北区に、子育て世帯と高齢者世帯が同じ敷地内で居住する多世代交流型賃貸マンション「マストライフ古河庭園」を2012年3月1日(木)に竣工しています。

 高齢者のサービス付き賃貸住宅は数が多いのですが、子育て支援にはまだまだ目が向いていなかったようです。これだけ世間で話題になれば今後増えてくるかも知れません。何らかの制度支援が行われる可能性もありますしね。

 交流空間のある賃貸住宅は基本的には居住者同士のコミュニティを形成することが大事ですが,東急電鉄の食をテーマにしたシェアハウスのように地域に開かれたモノであることが望ましいでしょう。ネット上のコミュニティと同じく、管理人による適切なタイミングでのコントロールも必要になりますが、大手企業のサラリーマンでは難しいですし,その技術に関するカリキュラムもまだまだ不足しています。大手企業が係わると一方的にサービスの提供を求められることに成り、コミュニティは形成しにくいでしょうね。

 それでもなお「ソーシャルアパートメント」という仕組みには社会の抱えるいくつかの課題を解決する可能性を感じます。

                                                                                        (3月18日)
 ■「日食」の破綻と「成城石井」の絶好調~海外ブランド依存の終局
 
 日食の経営破綻

 日食の経営破綻がニュースになったのは3月15日です。帝国データバンクの記事によると在庫負担が重く、「円安」にとどめを刺されたようです。負債は108億円。

 当社は、1955年(昭和30年)2月に設立された輸入食品販売業者。海外ブランドを中心とした各種食料品の卸(60%)、小売(40%)を手がけ、ウエッジウッドやピーターラビット、ダマン・フレールなどの紅茶類、ペニンシュラ、ウォーカー、パイアールなど菓子類を中心にワインやチーズなど、多数の海外ブランド食材を取り扱っていた。全国の百貨店や雑貨店、スーパー、食品問屋などへ販路を拡大し、90年1月期には年売上高約151億8800万円を計上していた。

 近年はオリジナル商品も展開し、小売業にも進出。チーズやワイン、生パスタなどを取り扱い、全国の大手百貨店やショッピングセンター、アウトレットなどに直営店59店舗を展開するなど積極的に事業領域を拡大していた。

 しかし、安定した業績を確保する一方で、在庫負担は重く、開店資金などの設備資金や運転資金などにより金融債務は70億円以上に膨張し、取引金融機関は18行まで拡大していた。さらに近年の急激な円安に伴う収益悪化や固定費増加などにより資金繰りは余裕がない状態が続いていた。このため、小売店舗の拡大による収益改善や金融機関との関係強化などに努めていたものの、今年に入り一部で不明瞭な決算操作が発覚したことで信用低下を招き、急激に資金繰りが悪化。ここに来て、先行きの見通しが立たないことにより、今回の措置となった。なお、保全管理人の管理のもと、在庫処理による販売を行いながら、一定期間は事業を継続する。


 百貨店の海外ブランドの食料品の多くは日食の扱いです。ジャムや紅茶、クッキー、オリーブオイル、ワインなど…。ワインは単価が高いので在庫負担は大変だったでしょうね。おっそりなくなってしまうと食卓が随分寂しくなります。在庫一掃のバーゲンで買い占めましょうか?海外ブランドのブランドの知名度頼ったMDは今後も厳しいのかも知れません。円安政策はしばらく続きそうですしね。

 成城石井のオリジナリティ

 3月17日づけの繊研新聞に成城石井の原社長のインタビュー記事が掲載されています。
 高級スーパーの競争が激しくなる中で、欧州からワインやチーズ、ハムを輸入する事が品揃えの差別化の主流で自前の輸入会社を設立していました。」今はグローバル化が進展し、仕入れ先は欧州からアジア、オセアニア、アフリカまで調達先が拡がっています。
 商品に健康、美容、オーガニック、等の情報を付加して提案し調達から物流、小売り、飲食まで「食を川上から川下まで垂直統合したビジネスモデル」で自前かすることで他社と差別化しています。「高級スーパー」であってもブランドに依存することが無い事が特徴です。

 小売り業から出発しているので「売り切る販売力」が何よりの強みでしょう。倒産した日食も小売りや飲食に進出していましたが、食品卸として「百貨店」チャネルのウェートが高かったので時代対応が遅れたのかもしれません。

 デパ地下ブームの先に向かって

 来店者数の減少に悩んでいた百貨店はかつて「デパ地下ブーム」で一息つきました。今はインバウンドでなんとか命脈を保っています。それでも千葉県の柏そごうや旭川西武のようにスクラップされる大型店も見受けられます。(柏そごうは セブンアンドアイのセブンパークアリオ柏出店が影響しているのでしょうが、旭川は地元百貨店閉店後唯一の百貨店だっただけに再生の道は無かったのかとも思います)

 日食の破綻は百貨店の食料品売場に突きつけられたひとつの課題だと考えています。

 テナント頼みでは無く、イートイン、外食、さらにはギフトやECを含めたトータルでの売りきる力をもとにした「食の提案」がなければ独自の差別化はできません。そこまで踏み込める百貨店があるのかどうか…今後全面的に改築オープンする阪神百貨店、大丸心斎橋店にはおおいに期待しています。阪神らしい、大丸らしい食の提案があることでしょう。
                                                                                         (3月17日)

 「アトレ恵比寿」を見る機会があって感じたことですが、駅ナカ商業施設のスイーツや惣菜のショップの充実が半端ではないですね。関西でも大阪駅や新大阪駅の店の食料品,大阪の名産食品の充実をみれば、デパ地下はその優位性を急速に失いつつある事がは残念ながら明白です。百貨店ならではの差別化ポイントはあることはあるのですが。

    
 ■お菓子の支出と都市の特性~大阪の「ようかん」問題再考
 
 大阪人は和菓子を好まない?

 かつて、東京系の百貨店が大阪で「ようかん」催事を行うことの無謀を指摘しました。都市で言えば沖縄那覇市に次いで圧倒的な低さの支出でした。最新データで他の洋菓子もランキングすると「まんじゅう」や「他の洋生菓子」もそのランクは低くなっています。大阪人は和菓子が好きではないのでしょうか。
 結構老舗の和菓子店もあるのですが、あまりお金は使わない。和菓子と言えば京都ですが、京都市でも「ようかん」や「まんじゅう」の支出はあまり高くありません。(京都では生菓子屋サンに比べてまんじゅう屋さんはランクが低いモノとして格付けされています)さすがに「他の和生菓子」は金沢市、岐阜市についで3位に入っています。…岐阜市?
 
 岐阜の和菓子と言えば「鮎もち」「栗きんとん」などが有名ですが結構和菓子屋さんも多いようです。
 茶の湯を好んだ織田信長の出身地でもあり、焼き物が盛んな地域です。古田織部の出身地でもあります。調べてみると茶道を行っている人が結構多いのです。(レジャー白書地域辺R津余暇活動参加率)歴史文化が現代の消費行動にも大きな影響を与えているのだなと再認識しました。
 ちなみに利休を生んだ堺市でも「ようかん」の支出は大阪市に次いで低いのですが、「他の和生菓子」の支出は年間1万円を超えるグループに入っています。かん袋のくるみ餅、小島屋のけし餅、ニッキ餅など名物も多いですしね。

 神戸は「洋菓子のまち」という幻

 一方、洋菓子ですが誰もが思い浮かべる神戸市ではケーキへの支出がそれほど高くありません。神戸市内よりも宝塚市、芦屋市、西宮市などの阪神間でケーキが好まれているのかも知れません。「他の洋生菓子」は支出が多いのですが「プリン」「ゼリー」「ビスケット」も低くなっています。(「他の洋生菓子」とは何でしょう?バームクーヘン?チョコレート? 

 「神戸市」のイメージは「阪神間」の都市の影響が強いことがうかがわれます。
 震災後にハーバーランドに出来たケーキを中心とした「神戸スイーツのフードテーマパーク」も、あまりうまくいかなかったことを覚えています。

                                                                                        (3月16日)
 図ー1 和菓子の年間家計支出(2013~2015年平均) グラフ10
図-2洋菓子の年間家計支出(2013~2015年平均)
グラフ11

(家計調査年報)
 ■インバウンド需要の2極化と百貨店の戦略の岐路
 
 春節商戦の客単価減少

 今年の春節商戦は2月7日から13日でした。繊研新聞3月7日の記事によると、免税売上高を伸ばした百貨店が多かったモノの、客数は伸びていますが、売上の中心が化粧品・食料品などの日用消耗品にシフトし、高額品の「爆買い」が沈静化してきたため客単価は減少傾向にあるようです。
 ラグジュアリー商品は免税店(空港型市中免税店)に流れていると言います。銀座の三越と東急プラザ内のロッテ免税店であわせて300億円規模の売上になると推計されています。
 日用品は今後越境EC(国を超えたWEB販売)で代替されていくようです。2014年時点で中国居住者が日本で購入した品物の市場規模は6,000億円。2018年には2.5倍になると経済産業省は予測しています。
 中国の成長率は今後鈍るかも知れませんが、世界経済の中での存在感は依然として衰えないでしょう。GDPが逆転されると入っていた時期からその差は広がる一方です。(図 参照)

 「爆買い」と揶揄している内に、好感度層が増えてきて,リピーターは「より高品質、新しい地域への関心が強く納得できるものには惜しみなく対価を払う」層で「中国人を顧客化するには関係性を強め絆を作ることが有効」だそうです。…普通の商売の基本ですね。

  2極化というのは単価の低い日常品と、モノに限定されない高感度な消費という2つの分野に集約されるということです。

 「効率」と言う概念の時間的なスケールが課題になるでしょう。短期的に「売場効率」「人事生産性」を考えるなら百貨店という業態には競争力はありません。2極化の前者はドラッグストア等には勝てないでしょう。後者について「体験価値の提供」や「質の高い接客」ではかつては百貨店の競争力があったのかもしれません。

 今はどうなのかというと…厳しいのかもしれません。
 閉店のニュースが流れた「旭川西武」も「柏そごう」もどちらもそのような百貨店の魅力をベースに持った店ではありません。「効率」を「強みにしたセブン&アイですからスクラップの判断はやむを得ませんが、閉店は地元に少なくない傷跡を残しそうですね。

 百貨店の淘汰はこれからも進むでしょう。生き残っている百貨店も、インバウンドで一息ついていたうちに新しい百貨店への転換をはからなければいけなかったのです。モラトリアムの時期は意外に早く終わりそうです。

                                                                          (3月14日)

 空港型市中免税店とは消費税だけで無く、関税やたばこ税、酒税などが免税対象になる「免税店」です。海外旅行の時に空港で商品を受け散る仕組みの店を利用したことのある人は多いでしょう。海外のタバコや洋酒がありがたかった時代に。
 国内では三越銀座店(1月27日)、福岡三越(4月1日)、東急プラザ銀座(3月31日)に設置予定です。髙島屋が来年春に新宿店、その後大阪店に開設を予定しています。

 大阪では大丸に空港型市中免税店が開設されるようです。(今大丸にあるラオックスは普通の免税店~消費税のみです)

 新関西国際空港株式会社は先日、日本の大手百貨店である大丸松坂屋と提携し、大阪市内に免税店をオープンすると発表した。日本国内の空港型市中免税店は初ではないが、順調に計画が進めば関西初となる。正式な店名はまだ決まっていない。
 今回発表された関西地域の空港型市中免税店では、化粧品や宝石、ジュエリーなどが販売され、消費税だけでなく関税や酒税も免除され、商品は出国手続き後に関西空港で引き渡すようにするという。2017年春の開業と初年度売上130億円を目指す。
 2月27日レコーディングチャイナの配信記事より
 
 来年春にはビックカメラなんば店にも免税店が開設されます。(売上目標130億円)
 http://www.nkiac.co.jp/news/2015/2334/sicyumenzeikix.pdf へのリンク


 「心斎橋は魔界だ」そうです。中国人が欲しいものは何でも揃っている…  中国当局が購入商品に高い関税をかけるようになったようですが、今後は体験消費にシフトして楽しんでいただくとしましょうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46689?page=4 へのリンク
 
図ー名目GDPの伸び  GDP世界2位から遠く離れて 下降局面にあることを認識する必要があります
 グラフ12
単位 : mil.US$    出典:IMF    データ更新日:2015年10月13日

資料:GLOBAL NOTE 出典:IMF

【リンク先URL】

http://www.globalnote.jp/post-1409.html


 ■兵庫県の全国2位の転出超過には関西の課題となる2つの要因がある
 
 北海道に次いで2番目に人が転出している兵庫県

 今年1月29日、2015年の住民基本台帳人口移動報告が発表されました。社会増から社会減を引いた転出転入数では大阪府が3年連続の転入超過で2,296人の転入超過だったのに比べ兵庫県は7,409人の転出超過で、北海道に次いで全国2番目の転出超過数だったようです。
 1年間の変化なので、大型開発が動けば一気に人口が増えるのです。大阪府では大阪市内、吹田市、豊中市で転入超過数が多かったのです。タワー-マンションや大型の開発があったので理由は明白です。

 兵庫県はどうして人口が流出したのでしょう。転出超過数が多い都市は、まず北区、西区のニュータウン中心のエリアが目立っています。高齢化が進み建て替えの時期なのでしょうが、大阪方面への交通アクセスが悪いのがマイナス要因になっています。ニュータウンと言えばかつて人口伸び率の高さが際立っていた三田市も人口縮小局面に入っています。
 一方、明石市は再開発も進み、人口が伸びています。昭和30~40年代に建てられた明舞団地の再生にも早くから着手されています。同じニュータウンの須磨区も減少率は高くありません。世代交代がうまく進んだのかもしれません。
 神戸周辺でも中央区、灘区、東灘区、西宮市など都心への回帰が進行しているように見えます。やや新しめの(その為交通アクセスが悪い)ニュータウンから人が流失しています。

 もうひとつの人口減少要因は、姫路市、尼崎市などの液晶やプラズマ工場のあった地域の「パネルベイ」ショックがあらわれています。大型工場、製造業の不振が姫路市、尼崎市、加古川市を直撃しているようです。

 奈良県、和歌山県でも4,000人近い転出超過があるようです。年代別の分析や転出先の分析が必要ですが、大阪で増加していることを単純に喜べない」地盤沈下状況です。

                                                                            (3月7日)
 図ー兵庫県 各都市の人口数と社会増減(2014~2015年)
 グラフ13
(住民基本台帳)
 ■博多マルイはアパレル比率3割に~モノからコト、サービス経済重視
 
 JR博多駅前の郵便局跡地に「KITTE博多」が4月21日に開業します.。延床面積は64,296㎡。核店舗は「博多マルイ」で売場面積が15,000㎡になります。JR博多駅とは2階デッキと地下通路で繋がっています。

 1~7Fが「博多マルイ」で8Fはユニクロの大型店と福岡大学のサテライトクリニック(外国人対象の国際医療、ロボットスーツを使ったリハビリ医療。、女性向けの婦人科、美容医療を集約した女性専門のフロアを設定して売るのが特徴です)、9~10Fはレストランフロア。」(普段使いの出来るカジュアルな飲食店舗)全館で50店以上の飲食店が集積されます。そのうち4割が九州初出店です。
 11Fには結婚式場「hakatagi GRAND HYURI」( ※Uの上に三角がのったキラキラネームですハカタギグランヒューリお読むそうです) 3つのバンケットで構成されています。

 「博多マルイ」は飲食、食物販が充実しています。各フロアにカフェを配置。アパレルの比率は3割です。従来のマルイでは5割です。靴やバッグ等の雑貨店、靴のフィッティングや服の細かい調整などカスタマイズサービス、化粧品、スポーツ用品などのライフスタイルサービスのウェートが高まっています。

 「顧客の関心はモノからコト、サービスに移行しており、博多店は今後のマルイの新しいビジネスモデルになる」ということです。

 ビル全体では24時間利用可能な駐車場(120台)そして駐輪場(900台)と駐輪場の充実が目立ちます。

 今年は名古屋駅前や東京都心での施設開業が続きます。大阪では阪神百貨店、大丸心斎橋店が改築中ですが駅前の郵便局跡地はまだ動きがありません。なんばの新歌舞伎座跡地も解体工事中。

 さて次に大阪市内で大型施設が動き出すときにはどんな店舗になるんでしょうね。

                                                                               (3月2日)
 ■関西の起業家達が育つために
 
 「にしなかバレー」西中島南方に集まるベンチャー企

 大阪の西中島南方は新大阪駅から1駅の「好立地」です。東京都の往来が便利で、京都や神戸へのアクセスも良い場所にあります。かつて「リクルート」が「日本リクルートセンター」と称していたときに西中島と新大阪の間に大阪本社がありましたし、公文教育研究会の大阪本社もこの周辺にあります。新しいビジネスをスタートアップしやすい下地があるのでしょうね。

 ワンルームマンションに事務所を構えたり、東京の企業の出張所がおかれたり、ビジネスゾーンとしては利便性が高く、かつ家賃もお手頃です。この場所で「にしなかバレー」と呼ばれる企業のコミュニティが生まれたのは昨年の6月です。「シリコンバレー」や東京の「ビットバレー」のように谷があるわけではありません。…「フードバレー」と同じような、ノリなんでしょうね。

 30~40歳の若手起業家が「起業を志すわかもののが集まるスペースをつくろう」「ベンチャーキャピタルを呼んで資金調達をしやすくしよう」という事で約20社のベンチャー企業が2ヶ月に1回交流会を開き、学生に起業ノウハウを伝えるイベントを開催しています。

 中心メンバーが近くの「グロービス経営大学院大阪校」の御出身なので、同社もバックアップしておられるようですね。業種のまとまりは「IT」とかのように特定業種ではないですが、規模の大小に拘わらず経営者は「孤独」(社員はわかってくれないのですよ)ですから,横の繋がりをもちおめるのと、こうやってキャッチフレーズをつけるとマスメディアもとりあげてくれるので注目度も高まります。(日経新聞などもたびたび記事にしています)

 「北野工房のまち」「ATC」を再生させる43歳の社長

 「北野工房のまち」(1998年)「ATC」(1994年)は公社、3セクという官主導の運営会社から民間に経営が移管されています。「北野工房のまち」は2013年から大阪のサウンドプランという不動産・商業施設運営会社が運営しています。ものづくり体験や飲食施設の導入でファミリー層や外国人観光客を呼び込んで来館者数が100万人を超えました。43歳の若い世代の社長が頑張っているようです。阪急百貨店の元役員が社長になっているATCの再生にも取り組んでいるそうです。バブルを知らない若い世代がバブルの遺産をどう再生するのでしょうね。

 鉄道会社が起業家をバックアップ

 阪急電鉄が梅田に設置している会員制オフィス「GVH #5」(ジー・ブイ・エイチ・ファイブ)は2010年にスタートしたGVH Osakaがベースになっています。2014年に設置されたオフィス、起業支援の仕組みです。

 海外での企業支援活動の豊富なノウハウを有するサンブリッジグループとGVH#5を運営する阪急電鉄の出会いから、大阪“梅田”での起業家支援の活動は一気に活発化しました。2010年、起業家支援の取り組みがスタートしてから今日まで、日々の着実な取り組みを一歩一歩積み重ね、関西圏で奮闘する起業家たちが抱いた夢は未来へと確実につながりはじめています。(同社サイトより)

 かつて、大阪を支えていた起業の多くが消滅したり、東京へ活動の軸足を移しています。次の時代を担う産業、起業の育成は急務ですね。

 30~40歳台の若い世代の企業育成も大事ですが、例えば「シャープ」などの解体されつつある起業の技術・ノウハウを活かして起業する元社員をサポートするという仕組みも必要でしょう。「企業」はどうしようもなくても「人材」は救えるのではないかと思います。
 アイリスオーヤマの家電製品開発部門が大阪に事務所を置いているのは、人材のストックがあるからでしょう。ホテルプラザ出身のシェフが店を開くことで路面店のフレンチやイタリアンの文化が大阪に定着したようにね。

 まあ、起業できる人材は限られているかも知れませんが。学生から30~40歳台~シニアを結びつけた連携で新しい事が生み出せればいいですね。

                                                                              (2月29日)

 起業ママイベント「ママクリエーターコトコトイベント」

 千里阪急の子供服売場イベントスペースで”起業ママクリエーターを集めたイベントが開かれました。(2月24日~3月1日)。アクセサリーショップ、グルーデコ、ダイパーケーキ、ツイードバッグ、ポーラセーツ、アロハイストーンなど12人のクリエーターのワークショップが出店したようです。

 「普段あまり見かけないママ達が来店し、全館への波及効果もあった」と言うことです。

 ハンドメード作品のCtoCサイト「クーリーマ」が1月30~31日に南港のインテックス大阪で開催した「クリーマクラフトパーティー2016」には全国2,000人のクリエイターが出店し15,000人が来場したと言います。WEBサイトでは比較的簡単に手作り商品の販売も始められます。

 これらの中から大きな企業が育つ可能性も有りますし、CtoCの流通形態が定着する新しい流れも予感させます。(消費税が10%になれば誰も店舗でものを買わなくなるかも知れませんね)

                                                                                 (3月2日)
 ■私をスタジアムにつれてって~球場は地域活性化の鍵になるのか?
 
 横浜ボールパークとドーム構想

 DeNAベイスターズが本拠地の横浜球場の運営会社を買収しました。築後40年経つ横浜球場を改修し観客席を増設する「未来予想図」を発表しています。(川崎球場から大洋ホエールズが移転したのはついこのあいだのような気がしますが、もうそんなになるのですね。)グッズ販売や飲食店の充実など地域コミュニティの核になることを目指しています。野球の成績は低迷していますが、客席のバリエーションなど様々な工夫をしており「競争相手は平日は居酒屋、カラオケ店、休日はテーマパーク」ととらえています。

 一方、横浜に」ドーム球場を設立する構想があり、MM21の再開発地区か、山下埠頭に600億円をかけて建設する構想が商工会議所を中心に進められています。球団には球場と一体運営することで大きなメリットがあります。また、民間が主体となって運営することで柔軟で積極的な集客戦略が可能になります。ドームという箱ものを造れば集客できるという発想は逆転しています。ドーム構想はDeNAに事前に話をしていなかったといいますから、話はややこしくなっています。

 プロ野球では広島カープが「マツダスタジアム」の指定管理者になって,地域にカープ色を演出し、周辺に大型スーパーやスポーツジムが開業。2015年の経済波及効果は217億円(2014年)を上回ると言われています。
 楽天もコボスタ宮城を大改修し、一帯4,000㎡を「楽天山パーク」とし公園の様に整備します。観覧車も設置されます。試合前後も楽しめる「テーマパークのような空間を目ざしている」そうです。

 横浜のドーム球場構想は、カジノ誘致を狙っている山下埠頭案も有力だといいます。
 http://www.yokohama-dome.com/pdf/20140712.pdf へのリンク


 目玉になるカジノも、実現するとしてもまだまだ法案成立まで時間がかかるでしょうし、ドーム球場のコンテンツの核になるベイスターズにも話をしていない計画は、立派な資料が揃っていても「ただの思いつき」のレベルを超えていないように思います。(資金の裏付けもないようですしね)

 平松市長時代の「うめきた」での大規模サッカースタジアム計画を彷彿します。とにかく、順番が逆なのです。

 ガンバ大阪の新スタジムの「こけら落とし」が2月14日に開催され満員の観客が集まりました。色々と課題もありますが、周辺のアメフト球場、野球場、万博記念スタジアム、万博公園、ららぽーとエキスポシティが連動すると面白いことが沢山実現しそうです。

 メディアでもガンバ大阪野呂社長へのインタビューが相次いでいます。フォルラン獲得時のセレッソ大阪の何とかといった(すいませんお名前を失念いたしました)社長のように浮かれないようにしていただきたいものです。それでも、フォルランがいなくなっても「セレ女」という言葉が聞かれなくなっても,スタジアムに足を運ぶサポーターが大勢いることが、セレッソ大阪の財産だと思います。いつかまた大阪ダービーで盛り上がれば良いですね。

                                                                             (2月17日)

 まだまだだけど可能性を感じられるスタジアム

 2月28日は 市立吹田スタジアムのJリーグ開幕戦でした。色々とオペレーションに課題があった「こけら落としマッチ」から運営はかなり改善されています。とはいえ、運営者は「3~4万人」の集客にまだなれていないのかわかります。
 ただ、キックオフの3時間以上前から沢山の人が集まって、これからの試合にワクワクしている祝祭感は特別なものです。
 プロ野球は大阪球場、日生球場、藤井寺球場、甲子園球場ぐらいしか利用したことがないので比較になりませんが、ナイターでしたら試合開始ぎりぎりに駆け込んでそそくさと引き上げる経験しかしたことがありません。(パリーグの試合ばかりなので試合中にのんびりとレフトの守備についている福本をいじったりする楽しみはあるのですが)
 野球の場合、休みの日に1日かけて野球場周辺で楽しむというスタイルが確立されていないように思います。(楽天やDeNAの横浜スタジアムは違うかも知れません)お祭りのようなわくわく感がスタジアムの回りで演出できたら楽しだろうなと思います。
 万博周辺は特に色々な施設が集まっていて、うまく連携すれば面白いまちができると思います。

 まあ、試合には勝たないといけませんけれどね。

                                                                      (2月29日)
 ■東京の周縁部が面白い~出張報告
 
 久しぶりの東京出張でしたが、どちらかといえば周縁部にあたるエリアを見てきました。トレンドの最先端は均質で退屈ですからね。

 ①「未来食堂」神保町。

 東京駅から半蔵門線にのるために、大手町を歩きましたが、金融機関のビルがどや顔で立ち並んであらためて、無機質な街ですね。地下テルにのり神保町に。

  未来食堂未来食堂2

 こじんまりしたカウンターの店で、奄美大島の娘さんの装束をした方がサービスをされていました。昼の定食は一種類で、「あつらえ」とかは夜だけでしょうか。表の看板を撮影している人が居られましたから、結構話題になっているようです。
 節分なので鰯の梅煮と自家製「がんもどき」(ひろうすのことを関東の人はこう呼びます)。900円という価格は一部「カンパ」のような上乗せがあるのでしょうか。別に嫌ではないですし、この仕組みを支えたい人が利用するという事で文句はありません。十分美味しかったです。

②モリパークアウトドアビレッジ昭島市

 昭島市は青梅線で立川の先にあります。ららぽーと立川立飛とどちらに行こうかと迷ったのですが、先日ららぽーとエキスポシティをじっくり見て少し落胆したのでこちらを見ることにしました。約21,000平方メートル(約6,500坪)の敷地に、アウトドアをテーマとする物販店舗、飲食店舗、クライミングジム等が出店する7棟の施設が配置されています。
 昨年3月にオープンしています。一体にはモリタウンやハーレーダビッドソン昭和の森などの施設が昭和飛行機の社有地に並んでおり「昭和の森」と呼ばれています。昭和飛行機は戦闘機と言うより輸送機を造っていた会社で三井系です。

http://akishima-showa-no-mori.jp/about.html へのリンク

 モリパーク1モリパーク2

 アウトドア関係のショップが集積し、国際大会が開催できるクライミングウォールが印象的です。

 モリパーク3

 格納庫のような大きな屋根付きのイベント会場があります。
 社有地の活用だからできるのと、青梅線が奥多摩の山々の入り口になっている立地が活かされているのでしょう。GMSが入っているモリタタウンは凡庸ですが、アウトドアビレッジは面白いなと思います。不特定多数にはうけないでしょうが、ファンをひろくから惹きつける吸引力があります。

 昭島1昭島2
 ちなみに「モリタウン」はこちら。凡庸とは失礼ですね。きれいにまとまったSCです。

③二子玉川ライズ テラスマーケット

 昭島3二子玉1

http://www.fashion-press.net/news/14316 へのリンク

http://www.rise.sc/ へのリンク

 こちらは去年4月に開業した施設。「蔦屋家電」は書籍主体で家電製品(主に情報家電)が品揃えされています。デザイン系の書籍の選択が良いので一日楽しめます。TSUTAYAも図書館の運営でちょんぼしたのですが、アマゾンにない本を眺める魅力を提供してくれています。
(見ていて面白い商業施設はどこも採算が悪いようです。武蔵小杉のグランツリーも利益はあがっていないようです。何とか継続できる仕組みを仕込んでおかないといけませんね。増田さんが創業者だからできるんでしょうね。)

 あと、ファミリーレストランの100本のスプーンの店の前のベビーカーの大群が気になりました。若い人が多いマーケットなのですね。活気があって少し明るい気持ちになりますね。

 SC自体は凡庸ですけどね。

 移動途中で見た溝ノ口の「丸井」は新しい店ではないですが、食料品売場を導入し丸井の転換点となった店で「丸井ファミリー溝ノ口」(1997年開業)と専門店ビルで「ノクティ」と呼ばれています。

 丸井は昔はクレジット百貨店で、上京した若者が「DCブランド」を月賦で購入した時代に伸びました。今は普通の百貨店のようなものですね。

 開業後時間が経っていますが,食料品売場がしっかりしているのにびっくりしました。価格もリーズナブルです。(大阪の百貨店はかつては食料品売場のノウハウは東京の先を行くと言われていましたが今はそうでもないです。今回の出張の宿泊はO井町の関西系百貨店経営のホテルでした。1階にはその百貨店の食品館があるのですが。9時まで営業のその店の売り場は8時を過ぎると閉めている店(アンリとか)が虫食い状に存在することです。店の配置を換えるなり、営業時間を短くするなりしないと、たとえ一部時間帯でも、営業している店と営業していない店が混在しているのは、駄目になっている駅前再開発ビルのようで、「食料品に強い関西の百貨店」の名が泣くでしょう。結構恥ずかしい…テナントに対するグリップが効かなくなっているのでしょうね。ゾーニングを何とかしないと)

 ちなみにその百貨店で購入した恵方巻きの巻き寿司ですが、京都の有名料亭の名前がついていたので少しふんぱつしたしたがおそろしく不味かったです。あとで記事を見ると節分の巻き寿司の売れ残りが大量廃棄されているようで、クリアスマスケーキやおせち料理のやり口で1ヶ月前から作り置きしていたのだろう、と思える味でした。「た○熊」は絶対に使ってやるもんか…行けないけれど。
 得体の知れない「惣菜」は絶対買わないと決めていましたが、昔は食に定評があった大阪の有名百貨店だと思い油断しました。
 一度自分達で食べてみればいいんだ。お金を返して。


 「たん熊の冷凍恵方巻き」は三越伊勢丹のオンラインショップでも販売していたようです。この関西系の百貨店だけが悪辣な事をしていたわけではありません。ワゴンで販売するときに解凍ものと表記していただきたかったものです。本当に不味かったんですよ。

 
③代官山ログロード

 東京の自由が丘に似た街として「摂津本山」「岡本」をあげたことがありますが、代官山の駅をおりたらまるで「岡本」やなという印象が強かったです。ほっとすりる街ですね。
 東急の線路跡にログハウス型の店舗をならべた「ログロード代官山.」
  http://www.logroad-daikanyama.jp/ へのリンク
代官山
 ログハウスを並べた通りというアイデアは鉄道高架下や高速道路の遊休地でありがちな発想ですが,代官山らしい店を集めたところがみそでしょうか。

 商業施設はお客さんがつくるという視点でオープンからの成熟をウォッチし続ける必要があります。

 久しぶりに東京へ出張したのに最新のトレンドスポットをご紹介できなくてすいませんね。

                                                           (2月5日)
 ■「副首都大学大阪」?「副首都」という言葉の違和感
 
 小松左京先生の作品に「首都消失」という小説がありました。「日本沈没」に比べると話題にはなりませんでしたが、突然、首都東京がバリアに覆われて連絡不能に成り、「兵庫県知事」がリーダーになって対策をとるという話だった(うろおぼえというか途中で投げ出したのかな…小松先生のポリティカルフィクションは内容が濃くなるほど官僚のシミュレーションレポートのようになって小説として面白くないので苦手です)

 何が言いたいかというと、首都等東京をバックアップしようとすると「大阪」や「名古屋」とかの単一の都市では無理で、少なくとも京阪神を含む「関西」の規模でないと無理でしょう…誰しも思うことですね。万が一の時どうするのか?大阪を副首都にというスローガンには書けている視点があります。

 中央官庁「霞ヶ関」は日本最高のシンクタンクです。(小松先生のメリトクラシー信仰に影響されすぎかな万が一の時のバックアップ機能を果たそうとすると人材が圧倒的に不足します。もしもの時に日本をオペレーションする知性はどこにもとめれば良いのでしょう。
 大阪府知事とかであればノックさんでもつとまります。神輿を担いで組織を運営する人が必要です。

 最近は「サナダムシ」みたいにこき降ろされる大阪市役所の職員さんも優秀な官僚ではありますが頭数がたりません。その時に多分人材を求めるとすれば「大学の研究者」です。最近は「ごくつぶし」「世間知らずの役立たず」のように非難されている大学の研究者ですが、頭はいいですよ彼らは…(特任教授の某先生は色んな意味でクレバーだと本当に感心します)

 首都に万が一の事があったときに、治安に関しては間違いなく米軍が自衛隊を指揮して何とかするでしょうが、行政機構の再構築が必要です。その時に核になるのはひちつにお都市ではなく「関西広域連合」でしょうし、知的資源となる人材をストックするために多様な「大学」の集積をはかるべきでしょう。

 大阪市立大学と大阪府立大学を統合してコストを削減する計画があるようです。たぶん「副首都大学大阪」となるのでしょう。(予想)

 なんだか間抜けなネーミングだなと考えている内に、こんなことを妄想してみました。

 「思いつき」といえば流石にだれも真面目に取り上げない「10万人の盆踊り計画」という思いつきですが、会津若松では随分前から行われていたとのことですがあまり盛り上がらなかったようです。阿波踊りには10万人の人出があるようですね。2003年頃関経連の観光振興提案でも「10万人の盆踊り」というアイデアはあったようです。

 海外の知的な人材を大阪に集めるためには文化と大学の充実が効果的なのですが、文化首都とか学問の首都とかのコンセプトは、経済人にはあまり人気がないようですね。

 「副首都」という言葉の卑屈さが恥ずかしいとは思わないのでしょうか。何かあったら京都への「遷都」でえええやないですか。機能は関西全体でバックアップ機能を整えればいいのです。

                                                                               (1月25日)
 役人にも大学にも利害関係はありません。念のため。

 少し前まで「思いつき」としか思えない「道頓堀プール計画」や「北新地やしきたかじん通り」などを茶化すと猛烈なバッシングをうけたのですが、「盆踊り計画」は産経新聞さんでも「思いつき」と判定されています。空気が変わったのか、世の中が少し冷静になったのか…。

 北新地の「たかじん通り」「銅像建立」はその後の報道が無かったのですが、その後中断したという報道がありました。「殉愛」妻の方が仕掛け人だったようですが、新地のママの反発があって立ち消えになったとのことです。ばかばかしい騒動でしたね。銅像設立が新聞記事になったこと自体が関西のメディアの劣化を現しているようです。
 ■今年の中国の春節は2月7日~13日だそうです
 
 春節とインバウンド客

 別に連休でなくても中国人観光客は多いのですが、中国の今年の「春節」は2月8日で、連休は2月7日から13日になるのだそうです。(同じように旧正月を祝うアジアの国々でも、国によって連休の時期は異なります)

 株式の低迷で、富裕層の消費は抑制されるかも知れませんが、海外で春節を過ごす中国人は過去最高の600万人になるようです。(中国日報1月15日)今年の一番人気はタイだとか。

 株安よりも円高の方が影響が大きそうですね。

 いわゆる「爆買い」は長く続かないことはみんなわかっているので、今年あたりからはビジネスのスタイルを見直して、中国人の「顧客づくり」に本格的に取り組む時期でしょう。香港や台湾の富裕層は国内の富裕層より国際化されていますし、中国本土の富裕層も2世、3世世代となってきているのでずっと洗練されてきているので。「爆買い」でレッテルを貼った田舎者イメージで溜飲を下げているだけ足元をすくわれます。

 稼げるうちに稼ぎたいホテル~ロイヤルホテルの再開発延期

 リーガロイヤルホテルは13日、平成33年9月を予定していたリーガロイヤルホテル(大阪市北区)の建て替え計画を延期すると発表した。従来は、開業から50年になる同ホテルを刷新して集客力を高める考えだったが、訪日外国人客が急増しているため、建て替えを急ぐ必要がないと判断した。川崎亨社長は「営業を続ける方が企業価値の向上に資する」と説明した。今後の建て替え計画については「この20年間で方向性を決める」という。  (2015年11月13日産経)

 梅田のOSホテルも建替は延期していたようで、稼げるうちに稼いでおこうという方針のようです。それだけこの好況が続くわけないという意識が高いといえます。朝日新聞の中之島フェスティバルタワー・ウエストに出店予定だった新しいブランドのホテルも出店を断念したようで、森トラストがヒルトングループの最高級ほてる「コンラッド」を出店する可能性が高いそうです。

 敷地を買い戻すなど森トラストとの縁が薄くなり、自前で中之島開発に乗り出すともいわれ、中之島への出店の体力がロイヤルホテルになくなったのでしょう。中之島での再開も延期し、当面のインバウンドの好況期にしっかりと稼ぐという選択をしています。

 かつては大阪の迎賓館ともいわれた中之島のリーガロイヤルホテルですが、関西財界からのバックアップも期待できないなか、トップブランドの地位を少しずつ失いつつあるようです。

                                                                                (1月20日)
 ■「ルクア大阪」快調な再スタートを維持できるか
 
 2015年4月にJR大阪三越伊勢丹はルクアイーレとして再スタートをきりました。従来のルクアとあわせたルクア大阪としての売上げ目標は770億円。JR大阪三越伊勢丹とルクアの売上げ実績合計に120億円上乗せしています。ルクアの実績の2.2倍強です。

 4月~9月の売上げ実績は前年実績の2.2倍強と目標を上回っています。(繊研新聞11月30日)このペースを維持できれば目標をクリアですね。

 11月の伸び率が(ルクア+ルクアイーレ)が109.3、消費のピークである12月の伸び率が107.4だと発表されていますから、年間の目標達成は少し厳しいかも知れません。

 飲食についてはそこそこ伸びていますが、物販、特にファッションの伸びが1.7倍を切っています。食品、飲食、雑貨など低単価の商品は好調でも、衣料品などの高単価商品の売れ行きは鈍いそうです。大きな出血は止まったものの、回復への道はまだまだ課題が多いようです。

 三越も伊勢丹はも好きな百貨店なので、中途半端なハイブリッド店舗ではなく、はっきりと撤退し再進出を図って欲しいと願っています。

                                                                         (1月18日)

 入店客目標7000万人は2月時点でクリアしたそうです。3月29日の新聞記事では「売上高も目標を達成しそうな勢いで推移」という表現ですから、おそらく目標達成には届かないけれども良い線はいっているのだと思います。

 
 ■イオンモール岡山開業1年の課題~伸びなかった客数
 
 イオンモール岡山(2014年12月開業)来店客数は目標の2000万人に届かず

 西日本最大級の92,000㎡の店舗は開業1年目の売上高、来館者数は目標を10%下回ったと報道されています。(繊研新聞2015年12月25日)
 JR岡山駅に隣接していて、JR地下道から3割、車での来店が3割、自転車が6%といわれています。居住地は岡山・倉敷が65%と足元の比重が高いようです。郊外店に比べ20さいだいの比重が高く、20,30,40台がそれぞれ25%。飲食や雑貨、ホビーが好調でファッション、そしておそらく「食」が厳しいようです。

 売上金額は地元のブロガーの推計値から倉敷店の400億円を少し上回るレベルでしょうか?倉敷店はアウトレットモールに隣接し,駐車料金が無料なのですが岡山店は駅前でも有り駐車料金が必要になります。
 
 もともと、文化施設に特徴があるので売場効率は悪いのは織り込み済みでしょう。おそらく足を引っ張っているのは,核テナント17.453㎡のイオン岡山店だと思います。旗艦店舗というこtっよでGMS再生のための想いが強くてこれだけの面積を取っているのだと思いますが、政令指定都市の駅前立地に「GMS業態」を設置すること自体が間違っています。

 GMS再生の実験を行うとしても、武蔵小杉のイトーヨーカ堂のように郊外の生活に近い立地でないとリスクが多すぎます。
 専門店業態(イオンバイク、イオンリカー、未来堂書店等)かフォーラスやオーパと行った専門店ビル業態でないと「ファッション店舗」の足を引っ張ることになります.
※武蔵小杉イトーヨーカドーは売上は苦戦しているようです。若殿のメンツを書けて頑張った売場をつくっても、実績には繋がっていないということでしょうか。GMSの改革はまだまだ大変ですね。


 ある意味、力の入った店舗であるだけに、その判断を誤っています。

 密度の高い足元商圏を対象に「日常使いの利用促進」を工夫していくそうですが、この対策ではますます袋小路に入っていきそうな気がします。

                                                                                (1月12日)
 図ー売場面積と売上金額
グラフん14
 
※イオンモールの売上は推計、グランツリーは開業時の目標 その他は2014年実績(繊研新聞)
 ■利用者の評価が大きく分かれる「中古市場」
 
 今後間違いなく伸びていく「中古市場」

 景気指標は上向きといわれていた時期でも、生活実感は明るいものではありませんでした。確かに投資をしている人は市場の動きがあることを喜んでいる姿がTVで報道されていましたが…世の中全体が浮き立つような高度成長期~バブル期のような躁状態はどこにもありません。

 時代の節目が変わってきたのです。

 百貨店の売上げは復調しています。インバウンド需要が底ざさえした上に一部の高額品需要が拡大しているからです。消費の構造も変わってきているのだと思います。従来型の不況でもなく好況でもない状態の中で,需要と供給のミスマッチが少しづつ修正されつつあります。

 そんな中で、中古品市場が注目されています。

 「新品が買えないから、安い中古品で我慢する」という構図ではなく、大量生産品ではなくオーダーであったり、作家ものの一品を選択する感覚に近い購買行動です。

 いま、物販でも外食でも恐ろしい勢いで「原価率」を押さえ込んでいるようです。そこそこの値段で変える商品の「質」がかなり劣化しています。ユニクロやしまむらであれば最初から割り切って購入しますが、中くらいの商品の「新品の質」はなさけないほど低いです。

 価格ではなくクオリティで「中古品」が選択されているのだと理解下さい。

 当社の調査でも、市場の半分の人は最初から「中古品」を選択肢に入れていません。「中古品」を積極的に取り入れる人は年代をとわず、マーケットリーダー層で特徴的に存在しています。長い間消費者行動を調査していますが、マーケットリーダー層がこのように考え出すと、「百貨店」はお手上げです。対応出来ません。

 「中古品」といってもアイテムや市場によって異なりますが、この消費者の変化について小売業界、特に百貨店業界は追いつけていません。(商品の目利きが必要になりますからね)

 詳しい分析は、おってまとめていきましょう。百貨店業界人必見です。

 皆様にとって良い1年になりますようにお祈り申し上げます。

                                                                (1月7日)

 最近いわれだしている「こっとう男子」とかいうものとはまた違った意味での市場の変化です。
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