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■「辺境」で求められる百貨店機能

 買い物困難地域での百貨店の移動販売

 本日の繊研新聞の記事で、山陰地区の中山間地域んも買い物困難地区へ米子島屋と一畑百貨店(松江の地元百貨店)が移動販売者での巡回販売を始めたという記事が掲載されています。

 コンビニや食品スーパーでは先行事例もありますが、地域コミュニティの支援という事業ですが、百貨店にはまた違ったニーズがあります。
 
 食料品を中心に日用雑貨を含めた500品目を扱っていますが、最も売れているのが「フォション」などのアイスクリーム、次に袋パン、生鮮三品の順で、客単価は1500〜1600円程度ですが、季節の生菓子は完売し、中元の要望もでているそうです。

  地方の高齢者は買い物弱者であっても「百貨店」へのニーズは持っています。地方都市で百貨店が閉店した地域から別の都市の百貨店へのバスツアーが盛況だという報道もありました。

 ポーラ化粧品がバスで仕立てたミニ百貨店を地方に巡回し、成功しているというニュースもよく取り上げられています。ネットを使いこなせれば大抵のものは入手できますが、百貨店で買い物する楽しみはそれ以上の楽しみがあるのでしょう。

  都市部の買い物難民

 中山間地域だけでなく、都市部でも買い物難民が増えています。高齢者になると移動が大変ですし、都心の百貨店では高齢者はターゲットでは無いので、何とかたどり着いても買い物を楽しめない環境になってしまっています。

 近鉄百貨店桃山店の店長に、日時を決めて高齢者施設の入居者の方に開放していると伺ったことがあります。

 「観光施設」」として百貨店を見直してみると可能性が広がります。実際に中国人団体客は観光地として日本の百貨店を訪れています。国内でも買い物目当ての日帰りバスツアーが人気です。
 アウトレットモ-ルも日帰り観光地として利用されています。(神戸市は観光客数にカウントしています)大阪都心部の百貨店でも、地方や高齢者のハレの場として都市観光の拠点になる店があってもいいでしょう。

 何も「ユニクロ」とかそんな感じの「勢いのある」専門店を導入して「坪あたりの売上げ数値を稼ぐ」(利益には結びつきませんが)ばかりが能では無いでしょう。

                                            (2013年06月28日)
■「JR大阪三越伊勢丹」誤算の研究A

 本店の縮小版で無い魅力作り

 JR大阪三越伊勢丹の売上げ構成比を伊勢丹本店、JR京都伊勢丹と比較したのが下図です。規模や立地が違いますので本店の縮小版では駄目なのですが、どうしても部門のバランスを考えてミニ版を作ってしまいがちです。

  近くにターミナル立地での成功例であるJR京都伊勢丹があるので、そちらとも、併せて比較すると、これから伸ばしていけそうなポイントが浮かび上がってきます。

  本店に比べてターミナル立地である、JR京都伊勢丹では「食堂喫茶」と「食料品」のシェアが高いのが特徴です。JR大阪三越伊勢丹では食堂喫茶はそれなりに存在感がありますが、「食料品」がもっと伸ばせる可能性があります。

 また、本店と比べて雑貨が低くなっています。化粧品や服飾雑貨も食料品とあわせて、強化をすればすぐに効果がでてくるアイテムです。

 本丸は婦人ファッションの強化ですが、強みのある紳士服・洋品とあわせてターミナル立地ならではの「食料品」の強化と、伊勢丹の持つ強みである雑貨を強化すべきでしょう。

 競合店である阪急、大丸、阪神もそれぞれ強み持つアイテムですが、梅田の絶対的な集客力を考えるとそれぞれが分けあっても十分成り立つだけの市場があります。

 なによりも、うめきた先行開発区域グランフロント大阪の開業景気で人は店の前を通っているではないですか・・・・・!

 
 基本的には阪急、阪神、大丸といった地元の百貨店を応援したいのですが、三越伊勢丹はこの地にあって欲しいですし,百貨店の未来のためにも失敗を克服して欲しいと願っています。

                                        (2013年06月27日)
図ー伊勢丹 部門別売上高の比率


(ストアーズ社 百貨店調査年鑑2012より作成)  伊勢丹の強みは雑貨
■「JR大阪三越伊勢丹」誤算の研究@

 2008年の経営統合から始まる混乱

 2005年に株式会社三越が大阪駅新北ビルへの出店を決定して以来、出店の準備は株式会社三越が中心になって進めてきました。2007年には「新店準備室大阪事務所」と「三越大阪ギフトサロン」を梅田近くに開設しています。

 2007年と言えばリーマンショックでの大混乱がありました。その中で、三越と伊勢丹が経営統合し、事業主体が「株式会社ジェイアール西日本伊勢丹」に変更されました。

 「ジェイアール西日本伊勢丹」は伊勢丹とジェイアールが共同で京都伊勢丹を運営するために設立された会社で、この時点で、当プロジェクトに関わるのは三越と伊勢丹とJRの3者になりました。実質的に三越の準備室は組織としては解体されたのでしょうが、組織の慣性というモノがあって、よほど力強く方針転換しない限りなんとなく踏襲されるものが残ります。ネット上の情報ですが、当初の売上げ目標はリーマンショック前の数値がそのまま継承されていたと言います。

 内情については全く知りませんが、優秀なサラリーマンが複数の会社から集まったときに、お互いに相手の面子を直接つぶさないように穏便にまとめる力学が働くのは良くあることです。衝突しない代わりに協力しない・・・・というのは、3セクの企業でもよくあった話です。

 この時点でゼロベースで見直しをしなければいけなかったのですが、何となくいけるような気がしていたのでしょうね。JR京都伊勢丹の成功体験と「伊勢丹」のプライドでしょう。当時本社でもこのプロジェクトを不安視する声もありましたが、本社マターでは無く「JR西日本伊勢丹」はJRとの共同事業だっったので、強くアクションすることが出来なかったのだと思います。

 当初の事業の責任者のあいまいさが結果的西日本の経営を揺るがすほどの不採算事業を産むことになります。
 

 JR京都伊勢丹の成功の背景

 1990年に京都駅に出店したJR京都伊勢丹は3番店としての地位を確立し,ファッション分野では2番店のジャンルもあります。ターミナル立地なので、飲食、食料品にも強みがあります。観光客の利用も多いようです。
 
 立地的に、滋賀県,京都南部と言った今までに開拓されていないブルーオーシャンを押さえたことと、河原町から離れていたので海外ブランド品を導入することが出来たのが勝因です。
 一番店である島屋が、身の回り品(服飾雑貨?)が強いものの婦人ファッションの力が弱いことも幸いしました。
 商品券のシェアが低いことはギフトのストアブランドとしては定着していない証拠ですが、.今後時間をかければ解消できるはずです。

 また、 また、京都人にとって「東京」はある意味いい「鴨」(御しやすいお客さん)なので東京ブラン度への抵抗感がないことも、あるかも知れません。

 大阪では同じ勝ちパターンは通用しません。

 (余談ですが、大丸の人員の絞り込みはすごいですね。利益額で比較するとまた違ったモノが見えるかも知れません。伊勢丹とは違った方向性で百貨店の未来を示しています)

 JR大阪三越伊勢丹の現況

 売上げシェアを比較すると、飲食と紳士ファッションは相対的に検討していますが、肝心の婦人ファッションの強みが活かされていません。

 今後、百貨店売場は縮小し,専門店を導入することが報道されていますが、今のまま縮小版を作ってもさらに悪くなるだけです。売上げ数値を比較してもはっきりとした強みが見えてきません。
 今の時点で他店と比較しても何も得るものはないように思います。

 西日本旅客鉄道(JR西日本)は22日、販売不振が続く百貨店「JR大阪三越伊勢丹」について、今秋にも店舗刷新に向けた概要をまとめる方針を明らかにした。早ければ年明けにも内装工事に着手する。同店は開業から2年連続で売り上げ目標を下回っており、店舗構成の見直しを急いでてこ入れを図る。
 同店は2011年5月に開業。初年度の売上高は目標の550億円を大きく下回る310億円で、12年度も303億円と計画(340億円)に届かなかった。販売不振からJR西日本は12年4〜9月期に188億円の減損損失を計上、店舗構成を抜本的に見直して15年春に改装開業する方針を明らかにしていた。
(日経地方経済面5月23日)

 強いモノ、勝てるモノに集中しないと・・・・。地域一番店となる商品売り場を少しづつ増やすことが必要でしょう。

 ――2012年度も売上高は計画を下回った。
 「初年度の反動が出た面もある。ただ、1年目を総括して様々な面で修正している。食品フロアでは野菜売り場を刷新。人気店も導入した。婦人服も対象年齢を広げるべくブランドを入れ替えた。全体では減収だったが、順調にカード会員の口座数や売上高は伸びている。歳暮や中元も前年を上回るなど、固定客は確実に増えている」
 ――15年春の店舗刷新はどうなる。
 「商品戦略では伊勢丹ならではの商品を置くとともに、他店にある商品もそろえたい。売り場刷新などハード面でも、可能な限り手を入れたい。ただ、開業前の売上高目標550億円を目指すのは難しい。(300億〜400億円台といった)もう少し低い数字で、営業黒字が出せるように経費削減を進める。すでに京都店と催事や販促活動を共同でやるなど効果は出ている」
日経地方経済面5月 3日社長インタビュー

2013年3月期のルクアの売上高は、前の期比5%増の357億円となった。昨年11月に、阪急うめだ本店が増床開業したが、影響を受けなかった。ルクアの月次売上高は昨年12月以降も前年を上回って推移している。百貨店の主要顧客が50歳代なのに対し、ルクアは20歳代が中心で客層がずれている」
 「前期の来店者数は9%減ったのに増収となったのは、カード会員の存在が大きい。会員限定のイベントなどを開いたことで購入品数が増え、客単価は通常客の2倍(約5900円)となった。現在のカード会員数は約25万人に達したが、直近の1年で急増している」
日経地方経済面5月3日 ルクアの中山社長インタビュー

  JR西日本の株主総会では、売り上げが低迷する百貨店「JR大阪三越伊勢丹」の抜本的な再建策を求める声が株主から上がった。
 矢吹静副社長は「共同出資する三越伊勢丹ホールディングスと再生策について協議を重ねている。百貨店と(売り上げが好調なファッションビルの)ルクアを融合した新しいタイプの商業施設を2015年春をめどに開業したい」と答えた
。日経地方経済面 6月22日

 この文面からは今後の改革には「ルクア」が主導権を取ることが伺えます。とはいえ、中山社長が明言しているようにルクアの利用者と百貨店の利用者は全く違う層です。融合はとても困難な課題と言えます。

他店と比較しても今更仕方が無いので、大きく、伊勢丹強み、三越の強みから残す売場を絞り込む事です。食料品売場については「伊勢丹」のスタイルを意識しすぎです、立地と顧客ニーズにあわせて再編すべきでしょう。野菜と冨澤商店には固定客が着いていますが、動線を含めて再検討できるでしょう。

 一方、阪神百貨店については同記事に下記のコメントが掲載されています。「専門店」の内容によりますが、阪神の社員の人員の縮小は確実に進むことになりそうです。

 H2Oは建て替えを計画中の阪神百貨店梅田本店(大阪市)への専門店導入を検討していることを明らかにした。株主の質問に対し、荒木直也取締役が「店づくりは様々な角度から検討していきたい」と答えた。
 阪急うめだ本店が昨年11月に増床開業して以降、阪神百貨店の売り上げは低迷している。荒木取締役は「強みである食品などを生かして独自性を強め、競争していく」と話した

 
 大阪三越伊勢丹の開業以降の組織の誤算=(優秀なサラリーマン人材による、リーダー不在の紙組織の中での、部分解の積み上げによる合成の誤謬)についで、JR大阪三越のマーケティングの誤算については,又日をあらためて論じることにします。

 トップにリーダーシップが集中しすぎてもサラリーマンは大変つらい思いをしますが、責任の所在が曖昧であると企業は衰退していきます。


                                           (2013年06月26日)
図−京都の三店の売上げシェア(3店合計値に占めるシェア)  2011年  (%)

(ストアーズ社 百貨店調査年鑑2012より作成  各店に支店の合算値を含む 京都でのシェア)

図ー2 梅田4店のシェア比較  (2011年 阪急は改装中です)  4店内でのシェア

(ストアーズ社 百貨店調査年鑑2012より作成)

図ー4店のアイテム詳細シェア比較(2011)  本店は支店などの数値も合算されています

(ストアーズ社 百貨店調査年鑑2012より作成)


なにげに大丸が婦人ファッションのシェアを拡大しています。うふふガールズが功を奏しているのでしょうか?
■価格競争の泥沼から抜け出せなかった「旧」東洋ホテル

 大阪万博に備えて開業した「旧三和グループ」の迎賓館

 梅田から一駅の中津駅で,地下鉄駅から直接つながっている立地の良さは「高級ホテル」と「ビジネスホテル」の間のどっちつかずのイメージがありました。

 1969年、大阪万博の前の年に開業、。三和グループの迎賓館として、客室乗務員の宿泊もかつては「リーガロイヤル、ホテルプラザと並んで御三家と呼ばれていた時期もありました。

 最近の客実稼働率は80%を維持していたようですが、設備の老朽化は隠しようが無く、改装コストを投資できないと判断されて廃業するようです。

 2006年に「ラマダホテル大阪」となり、海外からの誘客を図ったようですが、中国人観光客だのみで客単価は7,000円台にまで低下していました。

 アパホテルや、東横イン、スーパーホテルなどは低価格で営業するために建築コストや人件費などの運営コストを徹底的に抑制しています。
 かつては良質であっても、経年劣化した施設ではそれらの「ファストファッション」のような低価格ホテルに勝てません・・・・。利益が残らないのです。

  547室で「高級ホテル」を運営するのは今の大阪ではかなり厳しいでしょう。全体のホテル稼働率は東京を上回っていますが、客単価は東京に比べ低い水準にあります。
 (というか東京の価格水準が参考にならないともいえます
                                       (2013年06月25日)
■50歳台を巡る攻防〜博多阪急vs博多大丸

  博多阪急2013年度374億円 前期の4%減からやや回復

 昨年は開業景気の反動で4%減と苦戦しましたが、衣料品ブランドの入れ替えや、化粧品売り場の改装で1%増となりました。来期は4%増の390億円を目指すそうです。
 30代後半の子育て層や20代半ばのOL層が顧客の中心で、高い客単価が見込める50歳前後が手薄になっているといいます。
 対策としては「友の会」の拡大(お得な商品券での囲い込みですね)、語学教室やファッションショーのイベント強化そして生活提案による来店を促す仕掛け作りを考えているようです。

 百貨店のプライドを押さえて「低価格品」を増やしていくそうです????

  価格帯の幅を拡げることは必要ですが、「価格競争」を家賃の高い駅ビルで仕掛けることは自分の首を絞めます。食料品惣菜のロックフィールドの事例でも触れましたが、売れ筋っぽいモノを安く売るだけしか無いテナント(例えばユニクロ)を導入すると、既存の優良点の効率を下げますし、また価格訴求テナントの利益額もあがりません。

 例えば博多のキャナルシティや神戸のハーバーランドUMIEなどのようにファストファッションばかりを集積すると、同じようなテナントでも価格訴求しか出来ない企業と、そうでないテナントの優劣がはっきりします。

 単価が低いために単にその売り場の総売上額が下がるというだけでなく、周辺の売場の効率も低下します。

 50歳台は博多大丸の主要顧客

 博多阪急が欲しい50歳台の顧客は博多大丸の主要ターゲットでもあります。博多阪急がこの層を本気でつかまえたいのであれば、「価格競争」より先にやることがあるでしょう。
 規模も違いますから真っ正面からは対決できなくても、お客様に使い分けいただく「強み」を掘り起こすべきでしょう。「価格競争」を選ぶと言うことは、大丸ではなく郊外店との競争になります。

 2012年は駅ビル自体の集客力が落ち込んでいたようです。JRでは駅前広場を活用したイベント開催に活路を見いだしたいようです。アミュプラザ(JR九州の駅ビル)がある鹿児島や長崎では駅前広場のイベントで集客に成功しています。他の駅と違い博多駅は交通が集中する結節点であるだけに県警はイベント開催に難色を示しています。

 
※関係ないですがメモ代わりに・・・

  ハルカス近鉄本店1日10万人超

 13日に開業した「あべのハルカス 近鉄本店」が立替前は平均4.5万人だった来店客数が2倍以上の10万人を超える水準だそうです。まだ高層ビルの展望ルームなどは開業していませんから、これで本格的に開業したらどれだけの人が来店するのでしょうね。
 開業景気の反動はくるでしょうが、日本一の高さのビルという「名物」はしばらく人気を集めるでしょうね。

                               (2013年06月21日
■目に見えない競争力と企業のゴール

 「価格競争力」だけではない強みづくり

 どの百貨店の惣菜売場にもある「ロックフィールド」は同じような「サラダ」を売る店が100円台で売っているポテトサラダを200円台後半〜300円台で販売しています。
 低価格で販売するお店はいくつかありますが、どの百貨店でも一番いい売場を獲得しているのは「RF1」だけです。
  サラダ系の惣菜を洋菓子のように見栄え良く飾り付けたり、パッケージに凝った売場を作ったのはロックフィールドが先駆けです。その売り方は、デパ地下だけで無くコンビニエンスストアや食品スーパーにも影響を与えています。
 ロックフィールドは早い時期から製造部門で、トヨタの生産方式をベンチマーキングし生産段階での効率を向上させたことで知られています。店頭での調理を行わず人件費率を下げると共に、1日に2〜3回の配送で廃棄ロスを最小限に抑えています。

 本来なら、「価格競争」を仕掛ければ競争相手を簡単につぶせる収益率があげられるはずです。この企業はそれを選びません。「健康、環境、安心」を提供し「食育」を推進しています。商品開発にかける手間とコストもしっかりかけて「ブランディング」を戦略的に進めています。

 確かに複数のサラダ店に囲まれた某百貨店の売場の売上げ効率は低いようですが、ほとんどの店では高い効率を上げています。閉店前に他店が大きなマークダウンや、3パック500円と言った売り方をしているときにこの店だけは派手な呼び込みはしていません。というか商品がほとんど無くなっていました。最近販売機会ロスの改善を強化し、商品は増えてきていますが・・・。

 よく比較される「柿安ダイニング」は店頭調理に重点を置いているようで、「柿安ダイニング」では本来まな板の前にいるはずのシェフが売場に立ってカスタマーを観察し外から見て厨房に指示を出しているそうです。(全ての百貨店の厨房施設が良好なモノとは限りませんので出店先は限られていますが・・・)これはこれで一つの見識です。両者は同じような商品を扱っていながら違った「市場」で競争しています。

 商品をまねっこして価格で勝負している企業は、価格競争から抜け出せません。

 「価格を下げる」と価格競争に陥るジレンマ

 経済産業省のレポートで、「価格を相場よりも2割下げた場合、消費者の意思決定における価格の重要度が10ポイント上昇する。企業がシェアを重視して値下げ競争に陥るとさらに安値競争に入るという悪循環が裏付けられる」と分析されています。
 
 「価格競争の」頻度についての国際比較でも、「価格競争があり参加している」企業は、日本で75%、フランス57%、中国55%、ドイツ53%、英国49%、米国48%と紹介されています。

 また別のデータでも輸入価格が上昇する中で、輸出価格の引き上げが出来ていないということが指摘されています。国際的な競争があるにしても、1995年と2011年を比較して、為替要因を除いてドイツでは5%の下落にとどまっているのに対して日本は10〜15%下落しているといいます。

 とにかく「競争」に直面すると「価格」で対応する傾向が強いようです。

 もちろん「市場」の購買力に合わせた価格帯での商品供給は必要ですが、値引きのためのコストダウンでは永遠にコストダウン競争が続きます。

 サムスンの商品はある時期トップダウンでデザインに投資した事がブランドイメージの向上につながったといえます。

 ユニクロのゴールが見えない

 ブラック企業としてやり玉に挙げられる「ユニクロ」ですが、フリースの再生や、進出国での社会貢献など結構社会活動を行っている割に、社員の給料を100万円にコストダウンして、何がしたいのかよく見えません。自社の企業の拡大?それは手段であってもゴールではないですよね。

 かつての松下電器の水道哲学のようにシンプルな、経営者と社員が共有している目標ってあるのかしらん。和民とか楽天でもそうなのですが、そういった理念は不必要と考える経営者が生まれた時代の風潮があるのでしょうね。

 自分自身もある時期、そんな風潮に感化されていたと思いますが、それは持続性のある考え方ではないなと最近考えています。  まあ、一時的に感染するはしかのようなものですね。

                                              (2013年06月20日)
■大阪の観光力

 大阪府の観光資源

 「大阪府」エリア」に限定しても歴史文化資源は少なくはありません。「仁徳天皇陵」(通称)を中心とした古市古墳群や富田林の寺内町、河内長野から高野山に向かう街道、天美温泉、枚方の船宿跡、・・・・それらの多くは高度成長期以降の宅地化の進行の中で埋もれてしまっています。

 保存とか見直しの動きがあっても、その歴史を知らない住民が多すぎて、観光地としての整備より住環境整備が優先されています。(古墳を崩して宅地造成するとかの話題は少なくありません)

 「大阪観光局」のゴールが「大阪」への海外観光客の拡大なのか?関空利用や大阪宿泊など大阪を起点とした海外観光客の拡大なのか?を考えたときに、目標数字から後者である事はあきらかです。

 イベントは必要・・・イベントだけでは効果はない?

 過去に大阪に海外観光客が沢山集まった記憶をたどれば、1970年の大阪万博以降、1995年のAPEC、2007年の世界陸上(失敗という厳しい評価もありましたが)などの国家的なイベント開催時が思い浮かびます。

 あれほど賛否を巻き起こした大阪城のモトクロスもいつの間にか終わっていましたし。(入場者1万人、j2のガンバ大阪の入場者数を下回りましたね)

 水と光のイベントで人を集めるという企画はとてもいいのですが、それだけでは海外の観光客を3倍にすることはできないでしょう。(神戸市のマジックのように、無料イベントルミナリエ来場者やアウトレット来店者を神戸市への観光客とする荒技も、「海外観光客」には応用できません)

 カジノ解禁の勉強不足

 さて、その時の切り札は「カジノ」なのでしょうか。・・・新聞報道ではマカオがラスベガスの4倍の売上げという数字が話題になり、まるで大きな賭場経営が地域経済に効果があるように論じられていますが、「カジノの設置」の本来の趣旨はカジノもある「統合型リゾート」の整備による国際会議や展示会の誘致による地域の活性化なのです。・・・米国でも各地にカジノが存在しても成功しているのは展示場、ショッピングモール、ショービジネスが集積しているラスベガスだけです。寂れたカジノはまるで日本のさびれた競艇場や競輪場のようなものです。

 大阪府・市の議論でもMICEの一部としての「カジノ」の議論はされていても、少なくとも、谷岡先生を始めとする有識者は「カジノ」単体での経済効果は論じていないはずです。

 例えば、ソウルのシェラトンウォーカーヒルホテルにはカジノがありますが、誰もカジノ目当てでソウルに旅行しませんよね。というかカジノの存在を知らないでしょう。

 さて、日本でカジノを解禁するとしたら、本音では賭場開帳の利権が欲しい人はいるとしても、国内での設置では「統合型リゾート」構築のパーツとして議論されてきていますから。

 数百室規模の国際級のホテルがあるのは東京か大阪ですが、ゴルフ場等のリゾート施設が展開できる敷地を確保できるのは「北海道」か「沖縄」あるいは「東北」になります。お台場や南港では規模が小さすぎます。
 冒頭の大阪の観光資源についての議論と同じで、沢山の人が「生活」している場所には設置できない機能です。リゾート感が全然ないですからね。

 大阪に海外観光客を呼び込むには

 基本的には、ビジネスでの来訪者を増やすことと、海外留学生を受け入れる機能の強化がベースになります。そのうえで、都市型の観光施設(買い物や安全なナイトレジャー)の受け入れ体制を強化することです。 国際クラスの高級ホテルが集中し、そこそこ稼働率を上げているので、ベースは整ってきているといえましょう。

 箕面観光ホテル7月に改装開業

 大阪府下の温泉地はあまり集積は無いのですが、(新しいスーパー銭湯は別)色々ともめていた箕面観光ホテルが大江戸温泉物語の手によって再生され7月27日に「大江戸温泉物語箕面観光ホテル」として開業します。
 和室を増やし、バイキングレストランを併設します。温浴施設部門だった「箕面温泉スパーガーデン」は10月上旬に改装オープン。一体運営されます。

 お台場の大江戸温泉物語は外国人客も少なくないので、意外にこの温泉も外国人観光客に人気を呼ぶかも知れません。
 宝塚温泉、有馬温泉に近いイメージの都市近郊リゾート感が残っていますしね。

                                        (2013年06月18日)
■大阪観光局は早い時期に関西観光局に進化する必要性がある

 大阪観光局始動

 大阪府と大阪市、経済団体が連係して大阪を観光都市として積極的に売り出す「大阪観光局」が動き出したというニュースが流れています・とりあえずの動きは聞き取り調査と言うことで関空で女性チームが海外旅行者に取材している姿が報道されています・・・・そんなデータは日本政府の観光局が沢山やっている調査なのでわざわざ「やってます」アピールをする必要があるのかとも思いますが、大阪府と市が共同で民間と一緒に動き出しただけでも「成果」であると思いたいです。

 調査結果を活かして、これから国別(中国、韓国、東南アジア、欧米)年齢別に具体的な誘客策を展開するそうです。(政府観光局のデータがあるのですから、屋上に屋根を重ねる調査から始めるのは、スタート時から、これではいかにもお役所仕事という感じがします)

 2012年には200万人の外国人観光客を2016年には450万人、2020年には650万人に引き上げる目標は「円安やLCCの就航」で達成可能だということです。(中国、韓国との関係改善が課題ですね)

 集客の目玉は?

 USJの新しいアトラクション「ハリーポッター」と日本一の高層ビル「あべのハルカス」が終夜客の追い風になるという報道ですが、行政は中之島の中央卸売市場の「食のマーケットリゾート」構想や冬の「大阪・光の饗宴」、大阪府下では世界遺産への登録を目指す「仁徳天皇陵」が集客の目玉としてあげられています・・・・・・・・。

 色々と言われている「道頓堀プール計画」のような誰の目にも見える「わかりやすい瑕疵」はないのですが、あきらかに集客増の実現性は乏しいでしょう。例え実現できなければ局長の報酬カットや更迭という「責任を明確にした」外形的な仕組みを取っても、実現の筋道を描けないスタートでは、税金を使わない「道頓堀プール計画」より困った案件です。「責任」は給料を減らす事では無く、死にものぐるいで計画を実現することでのみ果たされます。

 経済団体の方々は、大阪府と大阪市だけでは観光客増は実現できないことはわかっているはずです。神戸、京都を始め、関西広域でプロモーションを進める必要あることは明確です。

 今は、政治的な軋轢があって他都市の反発が予想されますが、夏以降は、関西の都市の関係ははもう少し良い関係になるはずです。早い時期に(政治の思惑を離れて)オール関西で動ける体制をとるべきでしょう。

 外形的に「民間」の手法を取り入れているようで中身は何も変わっていない・・・・。民間から出向される「人材」の「本気度」に期待しましょう。

                                      (2013年06月17日)
■神戸の年間観光客数は3,282万人と過去最高へ

 清盛効果?イベント関連の60万人増のうち57万人は清盛関係

 震災後、年間観光客数が震災前を始めて上回ったのは2010年でした。長田での鉄人28号像の完成や、市立博物館、県立美術館の入場者の伸びなど文化施設による誘客ももちろんですが、三田のアウトレットモールのリニューアルも大きく寄与しています。この年の年間観光客数は3,194万人でポートピアが開催された1981年の3.085万人を始めて上回りました。

 12日に発表された2012年の観光客数は3,282万人と過去最高となりました。大型客船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」を始め、過去最多の客船110隻が神戸港に入港しました。国際会議の積極誘致も功を奏したようです。NHK大河ドラマ「平清盛」にあわせた「平清盛ドラマ館・歴史館」の来客数が57万人とイベント客60万人増に貢献したことや、須磨海岸の観光客数の増加なども集客に貢献しています。

 地域別で伸びが大きいのは「西北神」の22.4%増で、三田のアウトレットモールのリニューアルが効いています。神戸三田のプレミアムアウトレットは面積が20%増加し、売上げも16.5%増加しています。(389億円)

 神戸の課題は近隣からの日帰り客が中心で、関東や九州、海外からの宿泊客を獲得できていないことです。
 
                                             (2013年06月14日)
■グランフロント開業後の大阪市内ファッションビルへの影響

 影響が大きかったファッションビルは?

 オフィスに通勤する女性が中心のターゲット層が似通っている「ディアモール大阪」に大きな影響がでています。HEPファイブ、エストはルクア」(6月5日記事参照)と同じく5〜7%の現象であることと比較すると突出しています。(いくつかのテナントを引き抜かれましたしね)
 京阪モールも梅田に通勤するOLさんの利用が多いためか10%以上のマイナスでした。イーマは意外に健闘しています。

 うめきたの今後

 うめきた先行開発区域グランフロント大阪のショップ&レストランとしては開業時に打つ手は打ちましたからあとは街の成熟を待つだけです。(商業施設としては当面打つ手はありません)
 良いニュースが8日に発表されています。厚生労働省の新薬や医療機器の承認の窓口「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構」(PMDA)の関西拠点が10月に開設されることです。医薬品や医療機器開発の迅速化が期待されるもので、関西の財界の悲願でもありました。

 うめきたの産業集積の一つの目玉が確定しました。彩都の「医療基盤研究所」の創薬支援戦略室の開設(5月)とあわせ、関西でのライフサイエンス集積に弾みがつきます。

 東京に出向く負担が関西の企業にとっては馬鹿にならないのです。

 商業施設や高層ビル(本日はあべのハルカスの近鉄百貨店も一部がオープンですね)や、タレント市長さんの言動に比べると地味な話題ですが、関西にとって、しみじみとうれしいニュースでした。

                                       (2013年06月13日



繊研新聞6月13日号より作成

■老舗ホテルのブランド価値は?〜中之島活性化への課題

 高級なホテルイメージの群雄割拠

 かつてバブル経済前の大阪では「ホテルプラザ」と「ロイヤルホテル」(現在のリーガロイヤルホテル)の2強が圧倒的なステイタスを持っていました。1986年に大阪ヒルトンホテルとホテルニューオータニ大阪が進出したときには大阪ホテル戦争と「大阪ホテル戦争」とまでいわれましたが、「リーガロイヤル」のトップの座は揺らぎませんでした。

 1994年に「ハイアットリージェンシー大阪」が南港に開業し、1996年には「帝国ホテル大阪」、1997年には「ザ・リッツカールトン大阪」が開業し、激化する競争の中で、施設の老朽化の改装費用が準備できなかった「ホテルプラザ」が1999年に閉鎖されました。

 下記の図が2005年時点での市内のホテルのイメージ評価です。大阪でのトップブランドは「ザ・リッツカールトン大阪」にとってかわられ、「帝国ホテル大阪」「ヒルトン大阪」もそれぞれの地位を確立しています。
 特に女性層ではシニア世代を別にして、かつて憧れのホテルだった「リーガロイヤルホテル」への支持は揺らいでいます。

 大企業のパーティには強いですし、シニアの男性層には固い支持層が居るのでしょうが、若い女性を集める魅力が薄れています。

 リーガロイヤルホテルは中之島西部地区活性化のためには重要な機能なのですが、このままでは中之島はずっと「堅苦しい」「おっさんのまち」としてイメージが凝り固まってしまいそうですね。
 そんな街並みも都市には必要ですから、意図したモノであればいいのですが・・・・・・

 「大規模」でかつ「高級感のある」ホテルというのは国際会議の誘致などのためには必要ですが、うまく運営していかないと経営的には厳しくなる一方でしょう。
 色々なことが「後手」に回った結果でしょうか。地元老舗ホテルの再生を切望いたします。

                                            (2013年06月11日)
図−大阪市内主要ホテルのイメージ   (2005)

図−高級なイメージのホテル    (2005)

図−結婚式をあげたいホテル   (2005)


出典:(なにわ考現学2005)  大阪市内に通勤する男女を対象。

1989年からほぼ5年おきに大阪市内の施設やエリアのイメージを調査し調査資料
大阪市内通勤者を対象に調査を実施
  89年、94年、99年、05年の4回刊行されていた

 ・・・・そろそろ考古学ではないかと言われそうですね。
 頑張って2013年版を作成しなければ・・・・。
■大阪ホテル戦争の始まり〜埋没するホテルの生き残り策は?

 2万円台後半〜の超高級ホテルの競争が激化
 

 6月5日のインターコンチネンタルホテル大阪の開業は、大阪のホテル戦争の激化を告げています。来春のあべのハルカスにおける「大阪マリオット都ホテル」の開業によって勢力図がどう変わっていくか、注目されます。中之島地区でもいくつか高級ホテルの計画もあります。

 東京のラグジュアリーホテルの5万円台の価格に比べるとずいぶんとお得なのかも知れませんが、一般市民にとっては2万円台の後半は敷居の高い価格です。

 予約サイトなどを使えば安くなるのですが(リーガロイヤル7,500円という日経新聞の記事は、名門ホテルと思い込んでいた地元民にとっては寂しい値段です)稼働率は大阪で3月は87.2%、東京では87.1%ですから結構順調です。

 円安効果も追い風になっているのでしょうが、今後はアジアのビシネス客の呼び込みが課題になります。

 百貨店と違いインバウンド重要が中心なので、ゼロサムゲームではないのですが、一旦、海外の入国者が減ることがあれば、近隣需要の取り合いになります。

  ブライダルを始め、色々なイベント需要や、美容・リラクセーションの商品開発に苦労したこともありましたが、国内の需要獲得は所得格差が広がっているだけに勝ち負けがはっきりするでしょう。

 施設が老朽化したホテルから淘汰されていくのでしょうね。例えブランド力があっても・・・・、地元で愛された「プラザホテル」も再建できずに無くなってしまいましたし。

 大阪のホテル市場についてはいずれまとまった原稿で整理します。

                                          (2013年06月10日)

図 大阪の主要高級ホテルの客室数と宿泊料金

 6月5日の日経新聞の記事に追加しWEBで検索
 リーガロイヤルホテルについては日経の記事そのままですが、客室数が多いので
 安く提供してる部屋もあるのでしょうが、ホテルの「格」のイメージとは少し齟齬がありますね
 地元民にとっては、正直 寂しい現実です。「地元の名門ホテル」だったのに・・・・。

 日経新聞の料金設定の出し方には異議があります。
■イオンモール大坂ドームシティの人波に流されて

 女子トイレの長蛇の列

 大阪ドーム(現在は京セラドーム大阪)にはかつてパドゥという低層の商業施設がありました。5月31日にオープンしたイオンモール大阪ドームシティは、GMSが中心のSCです。飲食店、食料品のテナントが目立ちますが、この周はGMSの空白地帯なので、地域住民は喜んでいると思います。

 4日の夕方に店を見てきました。なんばからのった阪神なんば線は、少しだけくすんだお姉さんで一杯でした。H&Mの袋を持っているので、神戸方面からの買い物帰りかと思いましたが、ドーム前駅で半分ほどの人が降りました。イオンモール・・・そんなに人気なのか?と一瞬思いましたが、どうやらその日はドームで韓流タレント(ヨン様とか超新塾とか東方なんとかとかいったモノだと思います)の公演があったようです。

 イオンモールの飲食店は混雑していましたし、女子トイレは長蛇の列でした。昔あったパドゥはそんなに大きな施設ではなかったので、公演で人があふれてもこんなに売れていませんでした。今から考えると、随分機会損失していたなあと思います。

 日常の集客は?

 イオンモールはイオンのSC部隊では無くイオンリテイル(昔のジャスコ)が運営しているので、中心はGMSです。オーソドックスなGMSの進化形は、どこか懐かしい感じがしますが、街には必要な機能なのでしょう。西区、港区、大正区は空白地帯なのでこの日のような混雑はないにしても堅実に集客できるでしょう。地域のコミュニティの拠点・防災拠点になっていくと思います。

 大阪ガス発祥の地としては少し物足りないですが・・・・ペットと自転車売場はいいと思います。イオン系の「未来屋書店」の品揃えも悪くないです。地味ですが、これから地元に愛される店になってください。

                                        (2013年06月06日)




■うめきた先行開発区域グランフロント大阪開業で明暗分かれる百貨店?

 読者をミスリードする新聞の見出し

 百貨店の5月の売上高前年比が発表されています。日経、朝日などの一般紙は「グランフロント大阪」の開業の影響で梅田の百貨店の売上高前年比がダウンしていると報道しています。

 確かに5月の数字だけを見ると大丸、三越伊勢丹が前年比7%ダウンしています。(阪神は別の事情があります)これを持ってグランフロント大阪の影響とミスリードさせる新聞の見出しは勉強不足です。「グランフロント大阪」の売上げの25%は飲食です。またテナントをみても百貨店と競合する店は入っていません。ご自分で買い物をする視点で店をご覧になればいいのです。
 新聞記者の皆さんは、発表資料の数字だけで記事を書いていませんか?数字を見れば簡単にわかります。

 確かに好調を続けていた「ルクア」は「グランフロント大阪」の影響をもろに受けています。そして、阪急三番街、HEPファイブ等も影響を受けているでしょう。百貨店と「グランフロント大阪」は客層や利用目的が違います。

 百貨店が前年比を割っているのは「阪急梅田本店」の開業の影響です。例えば大阪三越伊勢丹は1月の売上げ前年比-8%です。
 あえて、影響を語るなら三越伊勢丹、梅田大丸ともに通行者数の増大を購買者に繋げられなかったというポイントのみです。

 百貨店の課題は「うめきた」では無く内部にある

 阪神については下図のように阪急の改装オープン以降前年比を割り続けています。5月はむしろ少しだけ改善しています。
 これは阪急の改装中に阪急の売上げの一部を阪神が確保していたことのい事の反動です。阪神は改築が計画されていますが、阪急とは違う独自の百貨店として攻勢に転ずるべきでしょう。考えられる手段はいくつもあります。

 伊勢丹はエース級の人材を大阪に続々と送り込んでいるそうです・・・・新宿伊勢丹のエースは確かに優秀な方なのでしょうが、崩壊した百貨店を建て直すのには「挫折を知らないエリート」では無理です。

 今、島屋大阪店の評価がミセス層で高くなっています。百貨店らしい百貨店として安心して買い物ができるので客層も良くなっています。(ヤング向けのGOKAIは失敗でしたけれどね)阪急梅田本店は商品政策や売場作りの微調整をする必要があります。他店に比べて景気が良さそうですが、目標数値には到達していないのですから・・・・。
 
 グランフロントは開業景気の観光客が落ち着いた後、オフォイスワーカー向けの商業施設として落ち着いていくことでしょう。オフィスの入居率の改善が至上命題で、商業としてやれることはここまでで十分だと思います。逆に、集客力に、あまり過大な期待を持たないことです。

 OBPも最初はデートスポットとして賑わっていましたが、最近はどうでしょう・・・・。

                                       (2013年06月05日)

図ー百貨店売上げ前年比

(日経新聞6月4日)
図ー阪急・阪神売上げ前年比推移


(エイチツーオーリテイリング公表資料)
■北欧のファッション企業は大阪がお好き?〜「モンキ」「ウィークディ」1日オープン

 何故か北欧系のファッションショップは大阪から上陸する


 昨年の「タイガーコペンハーゲン」(デンマークの雑貨)も1号店は大阪でしたね。今月1日大阪戎橋にH&Mの系列企業「モンキ」と「ウィークデイ」の日本1号店が開業しました。

 両ブランドが日本初上陸の場を大阪に選んだのは、都市ではなく立地にフォーカスした結果だという。エネルギー溢れる地元大阪の人々や、世界中からの観光客が行き交う大阪の中心地、道頓堀。その活気に満ちた雰囲気に魅力を感じたという。また、向かいに位置するH&Mとの相乗効果も期待している。 アパレルウェブ.COMの記事より
http://www.apalog.com/report/archive/1825 へのリンク

 「モンキ」はリーズナブルな価格でカラフルな商品が揃う店で2フロア300uで出店します。もともとは日本のストリートファッションに発想をえて開発されたブランドですから北欧からお里帰りしたのかも知れません。

 「ウィークディ」はややy価格帯が高いがモードな雰囲気が特徴の「セレクトショップ」で4階にレディス、5階にデニムとメンズを揃えた450uの店です。(興味があるので、できるだけ早く利用してみて感想をまとめます)

 アベノミクスの風は大阪には全く吹いていません。とはいえ、国内のブラックなデフレファッション店や米国の安物過ぎるカジュアルでは気分が滅入るばかりなので、若いデザイナーが発信するエッジの効いたデザインが楽しみです。

                                           (2013年06月03日)
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