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株式会社ANALOG   場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク 
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 ■あべのハルカス全館開業への期待
 
 多様な客層を狙った立体都市~大阪で初めての日本一のビル

 3月7日のあべのハルカスの開業は、全国ニュースでも取り上げられました。何しろ、日本一の高さのビルが首都圏以外で建築されたのははじめてのことだったからです。

 百貨店だけでなく専門店、ホテル、オフィス、美術館などの都市機能が集積し「フルターゲット時間消費型」の大型ビルです。オフィスゾーンの従業員は5,000人といわれています。今までの阿倍野に無かった集積です。

 阿倍野・天王寺は大阪市内でもキタやミナミの陰に隠れた第3のターミナルといった存在でしたが、日本一のビル、超高層の展望台という一つ突き抜けた特徴を持つことで一躍脚光をあびました。
 大阪のJリーグチームで、ガンバ大阪の陰に隠れてきたセレッソ大阪が年俸6億円のワールドクラスのサッカー選手フォルランを獲得したことで、早くも優勝候補と言われ、人気を集めている風景に重なります。(セレッソ大阪のホームグラウンドは長居競技場ですかから、阿倍野のすぐ近くです)

 ハルカス近鉄本店について指摘されている課題
 
 ひとつは「客層と売場のミスマッチです。近鉄百貨店は自転車客の割合が高いなど、地元の人に愛された百貨店です。新しく導入した売場のいくつかがミスマッチであると指摘されています。
 報道している日経MJによれば、例えば文具やプラモデルを集めた「男の隠れ家」は縮小するそうです。また家具売場も期待ほど売れていないとか、いずれも定着するには時間がかかる売場です。早々と縮小するのはどうでしょう・・・・売り方や販促手段も工夫が必要でしょう。展望台ができて新しい来訪者が増えれば、そこから顧客づくりが始められるでしょう。

 足元客の支持をつなぎ止めながら赤い女性などの新しい客を獲得するためには、人の「導線」への理解が必要です。百貨店の中では意外に「導線」に無頓着な人が多いのですが、都心店の場合「導線」がすべてです。これはJR大阪伊勢丹三越の失敗でもあきらかです。

 2つめは「日本一滞在時間の長い百貨店」づくりが購買につながっていないという点。滞在時間が2時間を超す客が2.5倍になっているのに、売上につながっていないということ・・・これは従来の販促手法から進化できていない運営の問題です。

 3つめは近隣施設との連係不足とされています。特にJR西日本系の「天王寺MIO」との連係はゼロということです。駅ビルはともかく、JR西日本にとってハルカスは都市観光の新しい目玉ですから、JRとの連係はいずれ進むことでしょう。美術館や動物園などの周辺の活性化にも期待が高まります。

 2014年の近鉄の売上げは、目標の1,000億円にとどかない見込みですが、開業後の年間売上げは1,450億円、入店客数は4,500万人だそうです。ぜひとも達成して下さい。(また、セレッソ大阪がひとつでもタイトルを取ることをお祈り申し上げます)

 大阪というまちが「ちゃんとした事」で全国の話題になることは大歓迎です。ハルカスとフォルラン効果にはエールを送りたいと思います。
                                                           (2014年03月07日)
 ■斜陽都市マルセイユに学ぶ大阪の未来~雇用無くして繁栄はない
 
 フランス第2の都市マルセイユの斜陽

 季刊まちづくりの最新号41号にマルセイユの都市デザインが紹介されています。(首都大学の鳥海基樹准教授)
 フランス第2の都市でありながら、うらぶれた港町の斜陽都市のイメージが強かったマルセイユが「ユーロメデテラネ構想」(欧州地中海覇権都市建設プロジェクト)で欧州の文化首都として生まれ変わろうとしているというのです。

 地中海商圏は10億人商圏と言われています。従来、マルセイユは周辺都市との折り合いが悪く(耳が痛いですね)、周辺各都市での投資がばらばらに行われていたので、その効果が現れていなかったと言います。

 私は大阪、関西の課題解決には大阪府と大阪市の統合より、関西広域連合が機能を果たすことが重要だと考えています。ともすれば他のエリアを飲み込もうとしているような覇権主義が疑われるようでは連係は進まないでしょう。マルセイユでは政府のリーダーシップで大きなデザインを描き、重点的な投資が行われています。

 論文の中で「容積率の緩和で行政が1円の金も使わずに民間投資を呼び起こしても、できあがる都市環境は超高層ビルだらけで貧しくなる。アメニティあふれる都市空間作りのためには、公的資金、税金の投入が不可欠」と論じられています。

 プロジェクトの内容は元の記事をご覧頂くとして、注目したいのは持続的な雇用の創出です。

 アーティストへのアトリエ提供だけでない雇用創出政策

 マルセイユでは若い芸術家にアトリエを提供する政策が有名ですが、文化をベースにした地区再生のポイントは古いタバコ工場をコンバージョンした「メディア・ポール」と呼ばれるオーディオ・ビジュアル産業のためのスタジオ、編集工房、CGの制作アトリエです。この機能で600人の雇用を産んだと言います。

 地方圏の文化財の保存・修復センターの誘致も衰退しているブラウンフィールドをハイカルチャーのイメージで再生させている。

 日本では都心のビジネスエリアでの容積率緩和による開発が定番ですが、ヨーロッパでは強者はほっておいても何とかなるので弱者こそ支援をという意識が強く、衰退地域のかさ上げが中心になっているようです。

 私たちが常識だと思い込んでいる定番の発想を見直していく必要がありそうです。

 大阪には「創造都市」を研究する研究者が多かったのですが、近年人材の流出が始まっているといいます。残された官僚や学者が、時の権力者におもねるのは、ある意味仕方がありません。

 大阪には町人の研究者の伝統があります。

 米国のポートランドやヨーロッパの都市開発をスタディしながら、大阪、関西の将来のビジョンをデザインしていく作業は続けていく必要があると考えています。遠からず、流れは変わることでしょう。

                                                     (2014年02月20日)
 
 ■くずはモール3月12日増床開業~7.2万㎡ 売上500億円を見込む
 
 くずはローズタウンのタウンセンターから京阪奈広域商圏のショッピングモールへ

 京阪電鉄が開発したくずはローズタウンは枚方市の北東部のはずれだった場所に開発された住宅地です。公団の男山団地を誘致するにあたって、バス路線を運行するために資金ねん出のために周辺部の住宅開発を行ったっとも言われています。
 大阪府枚方市と京都府八幡市にまたがる136万㎡の住宅地です。

 「くずはモール街」はそのニュータウンのタウンセンターとして1972年に開業しました。当初のオープンモール型のショッピングセンターは日本では珍しいタイプです。松坂屋とイズミヤ、ダイエーが核店舗でした。

 2006年、建て替わり「KUZUHA MALL」として新装オープンしましたが、3月12日に5万㎡から7.2万㎡に大幅に増床し開業します。商圏は八幡市、城陽市、京田辺市の京都府から、生駒市などの奈良県までひろがっています。

 今回の増床で、大型セレクトショップ,ZARAや雑貨店などの都市型テナントが強化されているのが目を引きます。家電、スポーツ、住居系の大型店も導入されロードサイド店への対抗が図られています。枚方市郊外の国道1号線沿いには「ニトリモール」が開業を控えています。また、松井山手駅近くにはホールセールクラブの「コストコ」が開業し人気を集めています。

 また、2000席のシネコンも整備されます。枚方市ではやはり国道1号線沿いのフィオレにしかシネコンがなかったので、集客のキーになるでしょう。

 京阪「ミュージアムゾーン」「SANZENーHIROBA」には京阪特急「旧3000系」のテレビカーが「デジタル動態保存」=(本体は動かないものの運転操作に合わせて画像や走行音が流れるもの)され、京阪沿線のジオラマが展示されます。

 施設、昨日はもうしぶんありません。奈良や京都の新しい住宅地からの集客もはかれるでしょう。ネックがあるとすれば、駅までの道路がその集客の負荷に耐えられるかどうかだけです。

 売り場面積はトータルで7.2万㎡です。売り上げ目標は500億円(増床前実績327億円)玉川高島屋ショッピングセンターが890億円、西宮ガーデンズが736億円。たまプラーザテラスが514億円ですから射程距離ではあります。

 影響を注目したいのは、枚方市の駅前、高槻市、生駒市などです。

                                                          (2014年01月29日)
 ■年度をまたがる購買行動にもとづく「顧客分類」
 
 シーズンごとに洋服を買い換えするのは「過去の常識」

 企業の都合では,シーズンごと、年度ごとにファッションを買い換えしてもらうのが理想です。

 ところが、例えばお父さんの洋服は、ずっとそうではないですよね。最近はミセスや独身女性の一部のファッションもそれに近い買い換えサイクルになってきています。

 シーズン毎に買い換えするのは人に見られることの多い、芸能人や、芸能人化した起業家だけです。東京にしかいないそんな人達とそれを見て憧れる,下図のタイプAが伊勢丹の顧客です。・・・ということでJR大阪三越伊勢丹は失敗しました。いや,実は時間をかければタイプCの顧客を創れたはずです。あの数字(売上)ではさすがに持ちこたえることはできなかったようです。

 最初から長期戦で,売上が今の規模でも損失を出さない事業計画を立てる必要ありました。おそらく「大阪」は「価格志向」の強い貧乏人ばかりだから失敗したと思っているでしょうね・・・・。

 当社の提案する「超・顧客分類」を参考にしてよく考えてみて下さい。

 内心で「軽蔑」している相手にものを売ることはできません。かつて失敗した「西武」も「イトーヨーカドー」も関西市場に対する優越感を隠そうともしませんでした。おだてられるというか「いい気持ち」にさせてくれる店で買いたいのですよ。プチ金持ちも貧乏たれも。

                                                        (2014年01月23日)
 図ー顧客分類


 タイプAが「東京の伊勢丹」の顧客  人に見られる職業の人が多いのでシーズン毎にファッションを購入
 伊勢丹の社員さんがこのタイプが多いので(「例 元カリスマバイヤーのF氏)この層が「中心顧客」と考えていると思います。
 (多分)

 タイプBはルクアなど駅ビルのお客さん。確かに価格の高いテナントも入居していますが基本は貧乏人。梅田大丸が売場を縮 小する「うふふガールズ」の利用者もこの層。百貨店とはやはりなじまないのでしょうか・・・・・。

 タイプCは本来の客層・・・とはいえ最近の百貨店はこの層に冷たいです。梅田商業施設戦争で唯一影響が皆無に近かったの
 はこの層をがっちりおさえているあの店です。日経新聞では全く報道されませんが・・・・。
 
 タイプD 購買力は無いとはいうもののお金がないわけではないです。・・・・・「メガドンキホーテ」はこの層を掴んだ新しい「百貨店」 だと私は思っています。
                                                     (2014年01月22日)
 ■「三越伊勢丹」の撤収と大阪駅北ビル再構築に待ち受ける困難
 
 三越伊勢丹の「敗因」

 「売場面積が足りない」(5万㎡)、「東京流の売場を徹底できなかった」、「ファッションに強い伊勢丹と高齢者に強い三越の強みを結集しようとしたが中途半端になった」等々が語られています。
 
 東京流かどうかはさておき、百貨店の強みを活かしきれなかったことにつきると思います。東京のファッションコンサルタントが開店当時絶賛していたように、トッピングともいえる「新しい華やかさ」は十分だったのでしょうが、「飯の種」の部分をしっかりと地道に押さえる戦略が足りなかったのです。残念ですね。

 地盤の無い地域での百貨店の小型店舗は成功しない

 売場は5万㎡から2万㎡に縮小されます。JR西日本の運営するショッピングセンターのテナントとして残るというのが実態でしょう。百貨店の小型店舗はことごとく失敗しています。

 百貨店は総合力に強みがあって、パーツパーツでは他業態に勝てないのです。可能性があるとすれば、駅立地のサテライト店舗(宝塚阪急のように立地が良ければ成立します)。ただし、食料品に自信をもつ阪神百貨店も三宮の店は早々に撤収していますし、伊勢丹の化粧品売場の出店「イセタンミラー」もおもわしくないようです。
 今後大阪商圏から「伊勢丹三越」は静かにフェードアウトしていくことになるでしょう。

 ルクア+三越伊勢丹の床である7万㎡をうめるためには、いずれ家電量販店のような業態か丸井を誘致するか・・・大型テナントの導入ということになるでしょう。7万㎡を自主運営するノウハウはまだJR西日本にはないと思われます。百貨店の場合含まれている共有部分が売場で無くなるため、SCとしての面積は合計53,000㎡となるようです。百貨店はテナントとして「分散配置」され総店舗面積は13,000㎡となります

 総合力をベースに強みのある売場を強化することが売上回復の道筋なのですが、売場縮小はマイナスでしかありません。伊勢丹大西社長は百貨店とSCの融合をまだ掲げていますが、大丸のように周到に人事制度や人員体制を見直し、売上があがらなくても収益が確保できるようにしないと百貨店が主導する専門店の活用は無理です。
 SCのテナントとしての小型百貨店は競争力はありません。SCとして成功している阪急西宮や二子玉川高島屋にはそれなりの規模があります。

 売上げ目標 800億円・・・・

 売上げ目標が現在の660億円から800億円に設定されていると発表されていますがこれは現実的ではありません。例えば79,000㎡のラゾーナ川崎で701億円。76,00㎡のJR博多シティで712億円・・・800億円は巨大SCであるイオンレイクタウンなみの売上です。普通では難しいでしょうね。

 売上金額を追うのでは無く、大丸のように売上が低くても収益があげられるように転換した方がいいでしょう。

 「三越」「伊勢丹」ともにまた機会があればそれぞれ独自の店舗で関西にもどって来て下さい。その日を楽しみにしています。

                                                    (2014年01月22日)

 ■変化しないものにある商機~百貨店の復調にむけて
 
 広告代理店的「トレンド観」からの脱皮が必要~ニュースが無ければ存在価値無しか?

 梅田の商業施設では新しくできた「グランフロント大阪」や「ルクア」に注目が集まりがちです。目新しく,面白い業種業態は記事になりやすいからでしょう。

 企業経営にとって「変化」のあること自体ではなく、「変化」の示す「意味」の読み説きが重要です。「勢いのある」業種業態に関心が集まりますが、そこはまだ「利益の源泉」にはならないことも多いのです。例えば梅田の商業施設の売上では「百貨店」が話題の施設より高いシェアを占めていることを忘れてはいけません。

 阪急は改装で広域からの集客を果たしたと言われています。それでも売上べースはあくまでも沿線客です。JRステーションシティはルクアとJR大阪三越伊勢丹をあわせてやっと、不調と言われている阪神に肩を並べます。

 阪神百貨店の不調は,改装中に獲得していた阪急百貨店の顧客の利用と,JR沿線客でのシェア低下によるものでしょう。また、かつての一番店に挑む2番店としての挑戦的な姿勢が失われたことも背景にあると思えます。・・・・・もちろん売場面積も違うのですが、「ルクア」や「うめきた」よりも売上的な存在感は変わらずにありますニュースとして発表されている建て替え計画ではその強みを押さえておく必要があります。

 訪日中国人、韓国人は減っていない~質の転換は歓迎すべき

 いわゆる「日中関係」「日韓関係」の冷え込みでの訪日客の現象は事実ではありません。日本政府観光局の2013年の訪日外客数の実数は中国本土は減少していますが、香港、台湾は増えています。中国からも団体旅行は減少しているものの、個人客が増えています。一時的な購買力のある団体客では無く、富裕層が増えてくれることはリピーターの確保もしやすいので市場としては魅力的です。

 復調と言われている百貨店の2013年の総売上は6.2兆円です。訪日外国人の年間売上げは384億円なので、話題になっている割にシェアが少ないので、百貨店業態としては団体客対応より、富裕層の囲い込みが重要になります。

 ウォールストリートジャーナルの記事では中国富裕層の旅行先として日本がトップにランクされているそうです。
                                            (2014年01月20日)
 図ー2012年の梅田エリアの売上比較~百貨店の底力ははっきりしていますね

(繊研新聞、百貨店調査年鑑、新聞記事)
図ー沿線別百貨店利用率(2008年) 

(三菱総研 2008年7月「大阪圏における鉄道沿線住民の外出行動調査」)


図ー訪日外客数変化(2012年~2013年)

(日本政府観光局 JNTO推計値)


中国富裕層では旅行先として日本が人気(ウォールストリートジャーナル)


 ■オムニチャネルリテイリングへの大丸松坂屋の取り組み
 
 ネット通販の購入商品を店舗で受け取れる「クリック&コレクト」
 
 2013年11月に大丸松坂屋で始めたサービスでは、アパレルメーカー「ワールド」のネット通販で購入した商品を自宅だけで無く,店頭で受け取れるものです。
 サイズや着心地を確かめられます。都会の一人暮らしの女性だと在宅時間が確かでは無いですし、宅配便の受け取りをなりすましと警戒して一旦、不在としてから「再配達」してもらうという事もあるようです。

 「エンドレスアイル」というサービスは店舗で品切れの商品の在庫をネット通販で確認して購入できるというものです。

 ともにカード決済で5%のポイントがつきますが、現状のネット通販ではユーザーは「価格」で店舗を選んでいますから、新しい購入スタイルを,新しいユーザーに作り上げる必要があります。
 百貨店の冬のバーゲンセールで高額品や正価商品の伸びが高かったそうです。価格だけ出ない差別化ポイントは必ずあります。

 このサービスは既存の百貨店客にとっては便利なサービスですが、、新しい市場の開拓に結びつくかどうかは今後の推移を見守りたいと思います。

 通販事業で収益を上げるノウハウで、百貨店にあてはまるものと当てはまらないものがあります。

                                         (2014年1月15日)
 ■小売業の複合化が進む~通販、専門店業態などとの相次ぐ連係強化
 
 リアルとネットをつなぐプラットフォームづくりに取り組むセブン&アイHD

 セブン&アイHDはネット販売を軸にグループ会社のオムニチャンネル戦略を強化し,各事業会社のシステム・物流のプラットフォームの共通化を進めていくそうです。

 その一環でしょうかシャディを傘下に持つニッセンホールディングスの株を126億円かけて50.1%買収しました。

 シャディにしてもニッセンにしてもどちらかと言えば、時代遅れになりつつあるカタログ販売が強い会社なので、買収については?ですが、バーニーズジャパンの2位株主になったり、フランフランを運営するバルスのバルスの株式を取得したり多様な業態とのシナジー効果を意図した連携の拡大を進めている方向性には間違いはありません。

 業界のトレンドして業態を超えたネットワークづくりによる事業拡大が加速しています。

 ただ、イオンにとってピーコックストアの買収はあまり効果がないのと同様に、ニッセンやシャディの買収はセブン&アイにとって大きなプラスはもたらさないでしょう。少しピントがずれています。

 むしろ、注目したいのはYAHOOによるアスクルの買収です。オフィス向け通販では圧倒的な力を持つアスクルは一部、消費者向けの通販を始めています。まだ、それほど拡大はしていませんが、順調に伸びればいずれアマゾンを脅かす存在になるでしょう。

 今、元気に見える楽天市場はいわば寄合百貨店なので、個々の出店者に対してのコントロールが効きません。その為、優勝セールの時のような問題が発生します。
 トップ企業のアマゾンは自社からの販売になります。だからこそ、送料無料などの思い切った政策がとれ、競合を寄せ付けません。

 アスクルの持つ即日配達のインフラを、消費者向けに整備できれば、アマゾンとは違った競争力が生まれます。

 ソフトバンクの資金力で小売り部門が強化されれば、おそらく「楽天」はかなり厳しい立場に立たされるでしょう。

 さらに、その競争の中で、ニッセン,シャディには新しいEコマースのノウハウはありません。セブン&アイは組む相手を間違えたようです。

                                       (2014年01月10日)

 米国では富裕層対象のラグジュアリー市場でアマゾンの支持率が高まっているそうです。(1月14日繊研)化粧品、ファインジュエリーなどが売れているといいます。

世帯年収50万ドル以上の世帯の64%が月1回以上利用しています。もともと国土の広い米国ではメールオーダーは買い物習慣の中で一定のシェアがあります。日本でも通販市場の伸びが注目されていますが、もう一段階伸びていくためには、サイトのブランディングが必要だろうとと思います。百貨店のECへの対応はどこも遅れていますしね。

 そういえばファッション商品の通販サイトゾゾタウンの社長のツイートが話題になって居ましたね。「詐欺??ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ。お前ん家まで汗水たらしてヤマトの宅配会社の人がわざわざ運んでくれてんだよ。お前みたいな感謝のない奴は二度と注文しなくていいわ。」 (「1050円なくせに送料手数料入れたら1750円とかまじ詐欺やろ〜 ゾゾタウン」への返信です)

 フランスでは書籍の送料無料が禁止される、いわゆる反アマゾン法が可決されようとしています。

 
 ■書店の店頭の雰囲気の変化~店頭プロモーションが店を殺す
 
 書店は場所貸し業になるつつある

 かつて、書店の店頭はオーナーやオーナー企業の個性によってアートが得意な店やサブカルチャーが得意な店など見ているだけで楽しい,時間つぶしには最適な空間でした。個性的が無い店でも、色々なジャンルの雑誌や本を眺めていると視界が広がる爽快感がありました。

 本や雑誌が売れなくなってきてから、雑誌のおまけが本体よりも前面にでてくるようになりました。店頭がメディアになりサンプリングのような使い方がされているのでしょう。

 つい最近近くのブック●ア-ストが実に、いやな空間になっていました。近隣の国を罵倒するヘイトスピーチのような書籍が大量に集積され,主張の内容の是非はともかく、攻撃的な雰囲気があふれかえって入るのです。・・・・本好きであればその政治的なスタンスは多様であっても、この空気には引いてしまうだろうなと思いました。

 マスコミでもこの兆候は報道され、本屋さんからもいろいろな動きがでてきていますね。

 店頭プロモーションが格安?

 何故、こんな風になったのでしょうか。背景にはメディアとしての店頭のプロモーションがパッケージ商品になって普及していることがあげられます。

 多くの書店のオーナーとなっている大手印刷会社のサイトでは次のような案内があります。

 棚プロモーション :店内の書架や特設棚に、企業の商品と関連書籍を組み合わせて陳列します。来店した生活者への訴求効果が高く、クチコミによる認知拡大なども期待できます。

 ・ 棚プロモーションを全国100カ所で2週間実施した場合、約500万円



 これは商品のプロモーションとの組み合わせの案内ですが、安いですね。

 新聞広告なら1回分、チラシだったら180万部程度。2週間並べば到達率は高いでしょう。

 ただ、利用者層とプロモーションの方向性が一致しないと場所を貸している店舗にとってはマイナスです。ウヨクであれ、サヨクであれ、声を限りに口汚く他人をののしって演説しているヒト(本)がいれば、普通の人は遠巻きにして見ないふりをして避けるだけです。

 書店への信頼を無くします。

 費用が格安な事にも「書店」の窮状が伺えますが、これでは「場」の力を弱めるばかりです。
 書店が生き残る途はもっと他にもありそうなのですが。

                                       (2014年01月06日)

 最近の本屋さんがなんか変だなと思って,この論考を載せた後で、池袋の西武のリブロが大変なことになっていると聞きました。

 http://t.co/iALHaRAifk へのリンク

 「渋谷を作った男」堤清二への死後インタビューの大キャンペーンです・・・・・。
 いくら何でもこれは酷すぎますね。西武百貨店・・・・・。

「本屋大賞」というのも最近信用できなくなっています。「売れるが勝ち」というスタンスは本好きには反発されそうです。
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